ワールドトリガー 全てはこの手で   作:ジュナス

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十八話

あの後、救助活動など色々していたが、後から来た隊員やレスキューなどにそれを引き継いで本部に三雲を連れてむかう。ちなみに沙霧ちゃんはすでに先に本部に向かっている。オペレーターの沙霧ちゃんに現場でできることはないからだ。

本来こいつを連れて行かなければいけなかったんだし。まあ本音は空閑と話をしたかっただけなんだけどな、三雲はついでだ。でも空閑との繋ぎもあるし、ボーダーではいてもらわないと困る。

 

そして本部まで行くと三雲をおいて今回のレポートを書いていたら、なにやら会議室に呼ばれた。俺からすると面倒この上ないが、三雲をなんとかするためにはしょうがないか。でも違うかもしれんな。なんなんだろ?あ、そうだ。根付さんと話し合うの忘れてた。話終わればそのこと話さないと。

 

会議室に向かって歩いていると、前に沢村さんと迅がいる。沢村さんはいいとして迅がいるってことは三雲関連ではなく、今回のイレギュラーゲートの件だろう。あいつのサイドエフェクトから考えて。

 

「お疲れ様です、沢村さん。あと久しぶりだな迅」

「あ、真田くん。今日はお疲れ様」

「真田さん久しぶり」

「いやー、ホント疲れましたよ。いきなり新型ですもん、しかも忍田さん何かあっても俺が責任を取る。とか、失敗したらどの道ぶっ殺されてたでしょうね。誰にとは言わないけど」

「そうですね、確かにそうなりそうだ。誰に、とは言わないけど」

「〜〜!うるさいわよあんたたち!というか真哉!あんた人のこと言えるの!?」

「……ねえ沢村さん、俺ちょくちょく女性陣にそれに似たようなこととかヘタレとか言われんだけど、なんで?別に好きな子いるとか言ったことないんだけど」

「はあ、ニブチンめ」

「無理ですよ沢村さん、この人の隣に誰かいるの、俺でも見えません」

 

なんだよ。なんで俺が悪いみたいな空気になってんの?というか迅、それって俺には彼女が出来ないってことか!?マジかよ、灰色の20代とか嫌だよ……

 

「あ、そうそう。真哉さん、今回のことで今考えてるの言わないでもらえます?」

「あん?なんか見えてんのか?」

「ええ。その方がいい方に転がると思うんで」

「お前がそう思うんならそうなんだろう。じゃあ黙ってるわ」

「助かります」

「じゃあ貸し一な」

 

「失礼します。真田真哉到着しました」

 

ちょうど会議室についていたので気にせず会議室に入る。背後からなんとも言えない空気を感じるが気にしない。どうせそれ込みで言ったんだろう。よほどその誰かの為になるなら俺は何も言わない。でも貸しは後々しっかり徴収するからな。

 

すると中には城戸派幹部、林藤玉狛支部長、忍田本部長、さらにA級三輪隊の隊長の三輪が城戸司令の斜め後ろに立っていた。あと三雲もいた。

 

そして俺たちが到着したところで会議はイレギュラーゲートの対策について、となりそうになったところで忍田さんが待ったをかけて三雲の処分の話をする。

その後、侃々諤々と両派閥とも意見を交わして行く。正直面倒なんだが、帰っていい?

 

ボーッとしていたら、途中被害を小さく抑えたことで褒められたが適当に返事しておいた。あとなんか迅がイレギュラーゲートのことを任されて、ついでに三雲の処分も任されていた。そして会議は終わった。俺はとりあえず報告書をあげる前に根付さんに今日会ったことの概要を説明する。それによってメディア対策をやってもらおう。

 

……というかマジでなんで呼ばれた?迅が無理だった時のスペアか?マジでレポート完成させてた方が良かったんじゃねえの?

まあ迅に貸し一個作れただけ良かったとしようか。

 

あ、忍田さんと林藤さんにあのこと伝えとかねえと。

会議室を出たところで二人に話しかける。城戸派には聞こえないように。

 

「忍田さん、林藤さん、ちょっとうちの隊室に来てください」

「どうしたんだ?報告書はまだ後でもいいんだぞ」

「緊急の案件か?今はゲートの方をどうにかしないとマズイんだが」

「緊急の案件です。ゲートとは方向性は違いますがそれに匹敵するほど」

 

俺の真剣な様子に二人とも感じるものがあったのだろう、着いてきてくれた。あと本部長補佐と言っても伝わっていいのかわからないが沢村さんには下がってもらった。忍田さんの判断で聞いてください。

 

そして二人を連れて来たので茶と茶菓子を出す。ワザワザこんなもの出している時点で、向こうも長くなるかもというのを察したのだろう。真剣な表情になる。ちなみに時間が時間なため、沙霧ちゃんと彩香ちゃんはすでに帰っていた。

 

それにしてもどこからどこまで話すべきか。結構デリケートな問題だからな~。

 

「そういえばまだ直接礼を言っていなかったな。助かったよ真田。お前がいなければ今回の一件、被害はもっと大きかったかもしれない」

「そうだな。特に今回は爆撃型の爆弾をほぼ撃ち落としてたらしいな。あれがなければどれほどの被害が出ていたか」

「確かにあれの近くにアタッカーだけだったらと思うと背筋が冷えます。最悪、死者が多数出ていたかもしれないですね」

「ああ。それでも我々の手から零れ落ちてしまった命もある。まだまだ精進せねば」

「はい」

 

今回の被害を聞いたところ、ビルの壁の下敷きになり、死者が出てしまった。それでも爆発に直接巻き込まれて亡くなった人が出ていないので、大分被害が抑えられたというのがボーダー内の意見だ。しかしそれでも被害者からしたら大きなことだ。まだまだ頑張らなければならない。あんな目に合うのはやつが出るのはもうごめんだ。

 

「では話を始めたいと思います。本日、人型ネイバーと遭遇しました」

「なんだと!」「ほんとか!?」

「はい。そのネイバーは本日ゲートが開き襲撃された三門第三中学校に一昨日転校してきたそうです。これはうちのオペレーターと同じクラスのため、確認が取れています」

「ならそいつが今回の元凶か!?なぜさっき言わない!また会議を…!」

「ちょっとストップ。真哉、まだ続きがあるんだろ?」

「はい」

 

部屋を飛び出しそうな勢いの忍田さんを林藤さんが体を張って抑えてくれた。

つーか危ねえ、忍田さんピリピリし過ぎだろ。林藤さんが一緒にいて助かったぜ。一人だったらと思うと肝が冷える。

 

「……すまない、続けてくれ」

「はい。まずその中学校がネイバーの襲撃を受けたのは聞いていると思います。そこを襲ったモールモッドを、俺と三雲が排除したと」

「ああ、そう聞いているし、嵐山隊からも報告が上がっている。トリガーの反応も三雲くんのものだったと確認は取れている」

「それですが、三雲のトリガーを件のネイバーが使った結果です。ネイバーが三雲にトリガーを返すのは俺がこの目で確認しました。注意深く見なければ倒れたところに手をかしているいるだけに見えたでしょうがトリガーを渡していたのをこの目で確認しています」

「……城戸さんに知らせていないのは明確に敵対していない上、こちらが助けられたからか?あの人に言うと部隊がすぐにでも派遣されるから」

「そうですね。俺の見立てでは彼は今のところ味方よりの中立、こちらが仕掛けない限り敵対することはないでしょう。それに戦力も分かっていません。そんな相手を攻撃するなんて、バカのすることです。黒トリガーの可能性もあるのに」

「確かにな。だから俺たち二人に?」

「いえ、この程度ならぶっちゃけ忍田さんだけにしてました。しかももっとぼかして。あなたたちがどういう意図を持って人を動かしても、その通りに行くとは思っていないからです」

 

ぶっちゃけ俺はボーダーの派閥が嫌い。

まず城戸さん。ここはネイバーなら全部敵ってスタイルの時点でアウト。俺らにそんな戦力はないし、中立か味方になる可能性のあるやつまで敵に回すとかあり得ん。

で玉狛派の林藤さんたち。これはネイバーにもいいやつだっているんだから仲良くしようぜという考えだが、言っちゃなんだが甘過ぎる。林藤さんは頭が切れるからいいが、そうでない奴がその考え通り動いてネイバーに利用されないなんて言い切れない。こっちの世界だって裏切りがあるんだ、向こうもあって当然だ。というか人間である限り裏切りなどあって然るべきだ。

で最後の忍田さん派。確かに街の防衛を第一に掲げるのはいいことだが、国防的に攻められてからやり返すのではダメだ。それでは被害が出る。相手だって攻められないと分かれば捨て駒だけで攻撃をしかけてくることだってある。そうさせないためにも報復は重要だ、やられっぱなしだと思われては負けだ。

 

「俺が二人を呼んで詳しく話したのは繋ぎを頼まれてるからです。詳細な情報がない相手を信用なんかしないでしょう?」

「…そう、だな」「まあ確かにな」

「で、本題なんですが。そいつ、ボーダーに父親の知り合いがいるらしくてその人を頼りにここまで来たらしいです」

「それで、その知り合いの名前は?」

「モガミソウイチさんというそうです。俺も聞き覚えはあったのでボーダー最初期の方ですよね?」

 

俺がそう言うと、二人は呆然としている。そんなに驚愕の事実なのか?

 

「やっぱり二人は知っていますか。でも今はいないってことを考えるとそいつの親父みたいに向こうを旅してるんですか?」

「…いや、最上さんはなくなっている。大規模侵攻の前に」

「迅の黒トリガーがそうだ」

 

……あれ、どうしよう?それじゃあいつを仲間に引き込む手段がなくなったぞ?一番楽だったその知り合いに味方に引き込んでもらうってのしか考えてなかった。どうせ見つかるだろうと思って他の要望聞いてなかったな。

 

「真田、その子の名前は分かるか?」

「はい。空閑遊真です」

「そうか…空閑さんの…」

 

ついてけないから勝手にしんみりすんのやめてくんね?まず空閑って誰よ?というかあいつの親父、こっちの生まれって言ってたけど息子は血筋的に確実に半分は日本人だろ?それなのに向こう生まれはネイバー?ネイバーって戸籍みたいな扱いなのか?

まあいい。つまらないこと考えるのはやめだ。

 

「あと、彼が嵌めていた指輪は親の形見らしく、外すくらいなら学校に行くのをやめるといっていたくらいですので、推測ですが黒トリガー持ちです。しかも彼の親父さんの」

 

俺がそう言うと、二人は完全に沈黙してしまう。

きっとこの二人からしたら先輩であり、もしかしたら恩師なのかもしれないな。

多分二人で話すと思うし、俺は邪魔者かね?

 

「報告は以上になります。では失礼します」

「真田」

 

出ようとして扉に手をかけた瞬間、呼び止められた。

 

「空閑くんに会えるか?」

「それは俺より三雲にいった方が良いでしょう。転校してきたばかりなのにかなり仲良くなってましたよ」

「三雲くん…ということはゲートのことは空閑くんと協力して、ということか」

「多分そうなると思います。一応レポートに纏めたんですけどね、俺も。状況から色々推測して戦略的な意図から性能まで纏めたの。迅的には俺のより向こうの方がいい未来になると思ったらしく、俺に黙ってるようにお願いしてきたんですよ?とりあえず渡しときますんでゲートの件が終わった時にでも読んどいてください」

 

そう言って忍田さんにレポートを渡す。これは最重要だと思ったので一番最初に仕上げたのだ。結局必要なくなったけど。

 

「ありがとう。確認しておこう」

「では、改めて失礼します」

「ああ、ご苦労だった」

 

 

ふう。なんかすげー疲れたな、今日。

でもま、あとは迅がどうにかするんだろう。

今日はゆっくり寝るかね。

 

 

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