ワールドトリガー 全てはこの手で   作:ジュナス

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二十二話

あの後すぐに通信も復旧し、沙霧から詳細を聞いた。

どうやら本部への爆撃型は寸でのところで太刀川が斬り、難を逃れたらしい。

しかし謎だ。なぜ追撃をしてこなかった?あと少しで本部を落とせただろう。そうすれば情報のやり取りも難しくなり此方側が大分不利になったはずだ。もしかしてこちらとあちらでは戦争の定石というものが違うのかもしれない。

たしか向こうの技術はトリオンありきだったはずだし、こっちはそれとは違い電気や化石燃料、その他もろもろを基にして発展した技術という違いもあり発想自体も違うのかもしれない。

 

とりあえず考えられるのは相手は本部、というか本拠地を落とす気がなくいつでも潰せるということだけを示したというところか。で、トリオン兵の配置を見たが五方向バラバラに送られていた。そしてバラバラに追ったところを新型でトリガー使いを捕獲、と。簡単に考えれば即戦力の戦闘員を捕獲しに来たという事か。実際に諏訪も捕まったらしいし。

だが向こうも俺たちのトリガーにベイルアウトがあることは分かっているはず。それなのにこの大戦力をこっちに送り込んで、収支はつりあうのか?

以前の小型トリオン兵騒ぎや爆撃型トリオン兵はこの相手の事前準備でいいのだろう。ということは多分C級隊員がベイルアウトが使えないことは洩れていてもおかしくない。ということはもしやC級隊員狙い?で、本部を叩いたのは大した戦闘力もないような訓練兵を外へ逃がすと思ったからか?

 

そうなるとやはり他の箇所から抜かれたのは痛いな。俺も下がろう、あとは嵐山隊に任せて。

とりあえず情報の共有はしよう。

 

「おい嵐山!」

 

 

そして情報交換を終え、ビルの上を走りながら後方に下がる。その時三雲も一緒に行くというので好きにさせた。こいつの戦闘力はたいして高くなさそうなので一人にしてやられても困る。ついでに黒トリ持ちの空閑も一緒に来てくれたのはありがたい。

そして俺は走っている間もトリオン兵を上空から正確に撃ち抜いていく。空閑は下を走りながらトリオン兵を粉砕していく。……あの黒トリ便利そうだな。

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

「おいおい、どうすんだよハイレイン。モッド型でもあいつの足止めが出来てないぞ。やっぱり俺にやらせろよ」

「……」

 

彼らが見ている画面の大きなものには、真田がトリオン兵を殲滅しているところが映されている。

黒い角が生えているエネドラがいうモッド型は新型の色付きであり、それらは既に何体も撃破されている。

しかも目標である訓練生、彼らが言うところの雛鳥も見つかっていない。

 

「!目標補足しました、雛鳥の群れです。どうやら住民の避難にあたっていた模様です」

「なるほど。どうりで巣を叩いても出てこないわけだ」

 

しかし遂に彼らも標的を補足することに成功した。

 

玄界(ミデン)の戦力は散っている。ラービットが仕事をする舞台は整った。お前たちはラービットの仕事に邪魔が入らないよう、ミデンの兵と遊んで来い」

 

そして新しく新型、ラービットが補足したC級隊員たちの元へと転送された。それらは三体おり、彼らのいうところのモッド体である。しかも別々の種類の。

そいつらがいきなりC級隊員を捕獲してしまった。

それを見たC級隊員はパニックになり逃げ惑う。それもそうだろう、彼らは皆C級隊員。戦闘力も高くなく、訓練でも見たことのないトリオン兵が相手だ、それも三体。C級が束になっても敵わない戦力差なのは明白だ。

 

そしてまた一人、新型が捕まえようとし体を開き

 

 

 

 

吹き飛ばされた。

 

「なんだと!?黒トリガーか?」

「いえ、反応は通常トリガーです。戦闘員ではなく雛鳥の中にいるようです。ですがこの数値は……」

「いやはや、さきの戦闘員といいミデンはもう侮れませんな」

 

その老人の一言に、周りの面々は表情を硬くする。

実際ここにいるメンバーの中では明らかに最高齢で、歴戦の風格を醸し出している。そして彼だけ頭部に角が存在してしない。

 

「作戦変更だ。ランバネイン、エネドラ、お前たちは予定通りゲートで送り込む。ミデンの兵を蹴散らしラービットの仕事を援護しろ。ただし無理は禁物だ。あくまで戦力の分断が目的だ、危険な場合はミラのトリガーで回収する。

ヴィザ、ヒュース、お前たちは「金の雛鳥」を追え。もしかすればここで、新しい神を拾えるかもしれない」

 

そして彼らは動き出す。

彼ら自身の目的のために……

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

!いた!もうC級のとこまで来てやがる!こうなりゃ出し惜しみはなしだ。

 

新型の横にある住宅の上にテレポートし、ギムレットを生成、すぐさま標的を撃ち抜く。

だが二体――うち一匹は半壊だった――は撃ち抜けたが、もう一匹の灰色のやつは取り逃がしてしまった。

だけど今回は俺一人ではない。

 

「あとは頼んだぞ」

『強』印(ブースト)五重(クインティ)

 

そして背後から飛んできた空閑が新型の上に到達、勢いを殺さず地面に叩きつけた。

その一撃ですでに半壊していたが、まだ動いたので弧月でコアを突き刺し完全に破壊する。これであらかたの脅威は消えたな。

 

というかここに新型を三体も送り込む?とするとやはり相手はC級隊員がベイルアウト出来ないことを把握しているな。そしてそのC級に新型を三体も当てるのは狙いがこいつらと見てほぼ間違いないだろう。

 

「忍田本部長、こちら真田。相手はC級隊員に対して新型を三体も投入してきた。おそらく狙いはC級隊員だ」

『状況はほぼ把握した。東部と南部にもそれぞれ色違いの新型が出現している。そちらには現在玉狛第一も向かっている』

 

おお、あいつらが来るのか。というか戦力過多じゃねえか?三雲はいいとして、俺と黒トリ持ちの空閑、さらに玉狛第一。こりゃ俺は他に回った方がいいか?

いや、でも手が足りないことは確かか。

 

このまま行こう。

 

「おいそこのC級、こいつらには何人食われた?」

「は、はい。五人ほど……」

「もうこいつらは動かん。捕えられたやつはキューブにされるらしいから取り出して持っておけ。戻し方は今本部の技術班が総出でやってるから心配はするな」

 

そういうと何人かは泣きながら新型の所に向かった。きっと食われたのは友達だったのだろう。

そして目の前でその友達を食われたやつはどう思ったことか……トラウマになるくらいならボーダーは辞めるべきだろう。それを乗り越えられないやつは戦闘員としても大成出来ん。

 

そして三雲たちは雨取ちゃんたちと会話している。確かあいつらみんな玉狛だな。色々話すことあるだろう。

俺は住宅の上に上がり再び弾をばら撒き、あたり一帯のトリオン兵の殲滅にかかる。

 

 

すると突然、空間に黒い穴が開いた。

おそらくゲート付きラッドだろう。あれがそこら中に再び潜んでいるのは厄介だ。おそらく先程の三体もこれで来たのだろう。

 

ゲートから出きる前に再びギムレットを斉射する。

しかし今度は撃破出来なかった。

 

つーかあれは……!

 

「C級は固まって市街地方面へ!三雲はその援護、空閑は前に出ろ!」

 

言うなり、相手の注意を引くようにアステロイドとメテオラを斉射する。アステロイドはガードさせるため、メテオラは目くらましのためだ。

 

しかしそれは相手もお見通しだったのか、煙幕の中から射撃してくる。

 

マズイ!

 

「避けろぉ!」

 

 

「エスクード」

 

その射撃はあわやと言うところで現れた壁により防がれた。そして現れたのは

 

「烏丸!」

「真田さん、遅くなりました」

「いや、助かる。俺じゃ後ろのフォローが出来ないからな。木崎そっちは任せるぞ」

「真田さんは?」

「俺の相手はこいつらだ」

 

玉狛第一だった。

そしてあいつらにはC級を頼む。俺の相手はこいつらだ。

 

「四年半越しだな。あの時もいたのかねえ」

「……何の話だ」

「こっちの話だ。だけど予想外だぜ」

 

アステロイドのフルアタックを放つ。

だがその濃密な弾幕も、相手の角つきのトリガーであろう黒い物体にすべて防がれた。何発かは乱反射してこちらに返ってくるが、そんなものに当たる軟な鍛え方はしていない。

そして弧月を抜刀し、角なしの老人の方に斬りかかる、が相手の持つ杖で防がれた。

 

だがその程度、防がれることは分かってる。

鍔迫り合いから弾かれ、いったん距離が空く。おそらくこいつらの狙いはC級の捕獲だろうが今はそんなことどうでもいい。

 

四年半以来、初めての敵ネイバーとの遭遇。しかも人型。違うと分かっていても感情が抑えられない。

 

まさかここまで殺意が湧くとは、三輪のこと言えねえな。

空閑の時は平気だったんだがやっぱり敵じゃダメだな……

 

 

「八つ当たりだってことは分かってる。だけどてめえら……

 

 

 

 

ここで死んでいけ!」

 

 

 

 




原作と違い空閑が付いてきているのは修が本部に報告していないのと黒トリガーを発動しているとばれていないからです

ちなみに木虎は付いてきてません
なにせここではイルガーの件での借りはありませんから
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