「うーん、なんか那須隊と来馬隊のスナイパー両方とも未熟って感じだな。あと諏訪隊のアタッカーも。慣れてないっつーか心構えっつーか……若いからしょうがないのか?」
「やっぱりそう思いますか」
「ああ。どーも失敗した後の動揺がなぁ」
まあ場数踏めばどうにかなるだろ。なにせボーダーのトリガーにはベイルアウト機能もついてるんだ、本番でトチっても逃げればなんとかなる。まあ市民が後ろにいんのにそれやられちゃたまんねえが。
「まあいいや。あれは各チームでどうにかすんだろ。俺は久々に玲ちゃんに挨拶してくからもう行くわ」
「お疲れ様です、真田さん」
「おう。じゃーまたなー」
俺はモニタールームを出て那須隊のオペレータールームへ向かう。
……着いたはいいがどうすっか。流石にあそこガールズチームだから入りにくいんだよな。出てくるの待つか……いや、ここで今日のおさらいでもされてたらなかなか出て来ないな。しょうがない、行くか。
俺が意を決してノックしようとしたら、ちょうどその瞬間ドアが開き玲ちゃんが出て来た。
「や、玲ちゃん久し振り。ちょうどランク戦してたみたいだから顔見に来たよ」
「ご無沙汰してました真哉さん。今日の私どうでした?」
「おう。相変わらずのバイパー使いっぷりだったね。ホレボレするよ」
そう言うと玲ちゃんは嬉しそうに笑っている。ホントこうやって普通にしてるとどこぞの御令嬢って感じなんだよな。偶にトリガーハッピーかと疑うことあるけど。
すると後ろの三人がなにやらこそこそと話している。…もしかしなくても俺初対面じゃね?
「どうも那須隊の皆さん始めまして、真田真哉です。どうぞよろしく」
「え!?真田さんってあの真田さんさん!?」
「どのかはわかんないけどボーダーの戦闘員に真田は俺だけのはずだからあってると思うよ」
「あのワンマンアーミーの真田さん!?」
「まあそう呼ばれたりもするけど」
そのあだ名は恥ずかしいからやめて欲しいんだが。俺別に忍田本部長に勝てる気しないし、何より黒トリガー持ちにも勝てる気がしないからな。それなら木崎みたいにパーフェクトオールラウンダーって呼ばれたい。まあ俺は木崎の次になったからそう呼ばれないのは仕方ないが。
というかこの子達テンション高いな。そんな有名人にあったみたいな反応されてもちょっと困るんだが。
俺が困った顔を玲ちゃんに向けると向こうも察してくれたみたいでみんなを止めてくれた。
「ほらみんな、真哉さんも困ってるじゃない。落ち着きなさい」
玲ちゃんが苦笑しつつみんなを諌めてくれたのでその場はなんとかおさまった。
「し、失礼しました。わたし日浦茜って言います!よろしくお願いします!」
「熊谷友子です」
「うん。みんなよろしくな」
みんな可愛らしいねえ。いかにも青春って感じがするな。やっぱりチームはいいなー。でも俺教えんの下手だからめんどくせえんだよなー。でもさみしいし今度考えてみるかな。
というかもう一人の自己紹介は?あれか?人見知りか?今も人の後ろに隠れてるし。
「あ、あの…失礼ですが那須隊長とはどういったご関係で…?」
すると日浦ちゃんが恐る恐るといった感じで聞いてくる。後ろの他の二人も興味津々な感じで聞こうとしている。
多分恋バナかと疑っているんだろう。女の子はそういうの大好きだもんな。
「楽しみにしてるとこ悪いけどそんな大袈裟なもんじゃないよ。バイパーの使い方を教えてもらったってだけ。まあその後はちょくちょく戦闘指南的なことしただけかな」
「そうなんですか!那須先輩、わたしたちに教えてくれてもいいのにー」
「ごめんなさい。でも話す機会もなかったし…」
どうやら矛先はそれてくれたみたいで今度は玲ちゃんが質問されている。むう。気まずい…
「そういえば真哉さん、この後暇ですか?」
「ん?おう。今日はもう予定ないし。なんかあんの?」
「久しぶりにランク戦いいでしょうか。それで、出来たらアドバイスも…」
「んー、いいけどもう昼メシの時間じゃね?そっちは午後の予定とかある?ないならメシでも食いに行こうよ」
すると那須隊のみんなで話し合い始めた。
なんか遠慮してるのか他の子達が結構引き気味に見える。やっぱり初対面の大人の男とメシに行くのは気が引けるのかね。
「えっと、みんな用事があるそうで…」
話し合いが終わった玲ちゃんが困ったような顔で言う。
俺がチラっと後ろの子達を見るとニヤニヤしてるのが目に入る。あれ?明らかに勘違いされてね?
「そっか。どうする?メシいく?」
「えっと…ご迷惑でなければ」
「迷惑じゃないさ。じゃ行こうか。那須隊のみんなもまたね」
「「「お疲れ様でした」」」
「じゃあみんな、またね」
俺たちは那須隊のみんなと別れ、本部の外へ向かう。
そういやどこ行こう。やっぱり女の子とメシって言ったらイタリアン?フレンチ?でもランチだし、玲ちゃん高校生だからなー。あんまり気取ったものじゃなくてもいいか。
「玲ちゃん、何か食べたいものでもある?」
「いえ、真哉さんと一緒ならなんでも…」
頬を染めながら言うとか超可愛い。同年代だったらコロっとおとされてるな、俺。玲ちゃんかわいいし。
でも玲ちゃんは病弱なのだ、どういう意味で頬を染めたのかはわからない。
「じゃあ行こうか」
「はい」
◆◇◆◇◆
「ご馳走さまです」
「あー、別に気にしなくていいよ。どうせ金使うことあんまないし」
「いえ、それでもです。ありがとうございました」
「ん。美味しかった?」
「はい」
俺たちは本部の外まで足を伸ばし、そこで昼食を取った。
いやー、やっぱりいい子だな。こんなに丁寧にお礼を言ってくれる子はなかなかいないからな。
「じゃあ本部戻るか。それで今日のおさらいしてからランク戦って感じで」
「はい。よろしくお願いします」
そして本部に向かおうとし
「あー!真田さんじゃん!」
「ん?おー駿、相変わらず元気そうにしてんな」
緑川駿に声をかけられた。こいつは中学生にしてA級隊員になった、いわゆる天才児。ちょくちょく相手をしてたらなんか懐かれた。まあかわいい後輩なので悪い気はしない。
「あ、那須先輩も。こんにちは」
「こんにちは、駿くん」
「あれ?真田さん二人きり?もしかしてデート?」
「デートっつーかメシに来ただけだ。これから本部に帰ってランク戦とかやる予定」
「え?真田さんランク戦すんの?オレもやりたい!」
「いや、別にいいけど玲ちゃんと今日の反省とかランク戦の後アドバイスもするから少し時間かかるぞ?」
「大丈夫!真田さんは滅多にランク戦出ないんだから少しぐらい待つよ!」
んー、俺そんなにランク戦してないっけ。まあ確かに固定給もらってないし本部で役職付いてるわけじゃないから最近は防衛任務やりまくってたな。それに本部でのランク戦は確かにやってなかった気がする。訓練はほとんど対ネイバーの仮想訓練だったし。
というか男女二人で出掛けたらデートとか。あー、彼女欲しー。デートしてー。
「じゃあそれでいいならそれで」
「やったー!じゃあ待ってるね!」
そう言って駿は走り去っていった。なんと慌ただしいやつ。というか玲ちゃんの優先だから先に行っても時間かかるんだが。
「じゃあとりあえず本部に戻ろうか」
「はい」
そして俺たちは車に乗り込み本部に向かった。
あ、駿も乗せてやればよかった。……まあいいか。
玲ちゃんと他愛のない話をしながら車を運転する。
因みにサイドエフェクトのおかげで話しながらでも周りから意識を切らないので一応事故は今までゼロだ。……まあどうでもいいか。