五月。それはそれは新年度の四月をへて初めての連休、所謂ゴールデンウイークのある月。
それを新たな友人と共に過ごすものは多い。しかし難点は一つ、友人がいないものは孤独に過ごすことになる。
ちなみに以上は学生の場合であり、社会人では通用しない。俺はこの春ボーダーに就職した。だが俺は後方に下がるのを嫌がり、忍田本部長にまだ前線に出してもらうよう直談判した。そしてわずかながらトリオンの成長が見られるため渋々ながら許可を得られた。その時に色々と言われたが、ここでは要らない。
で、何が言いたいのかと言うと。
「忍田さん。俺にゴールデンウイーク、ないんすか?」
「あるわけがないだろう。もうお前は学生ではないんだ、しっかりと働け」
「はい……」
ゴールデンウイーク全てに防衛任務を入れられ、休みが潰れたのだ。
確かにボーダーに就職したのはいいが、まさかこんなに使いつぶされるように働かされるとは思わなかった。
まあ防衛任務ごときでもはや疲れることはほぼないのだが、休みがないのはメンドクサイ。まあその分給料が出るからそこで納得しよう。そうじゃないとやってられない。
この数日間、一体何体のネイバーを倒したことか。百より先を数えるのはもう止めた。
今日も今日とてネイバー狩りである。
『真田さん。新たなゲートです、場所は———』
「了解。トマホーク」
そしてオペの子から送られてきた場所にバイパー+メテオラのトマホークで爆撃。あまり遠くなく数も少なかったようで一瞬だった。
『流石ですね真田さん。あっという間でした』
「ありがとう。でもちゃんと正確なデータを送ってくれたおかげだよ」
ちなみに現在オペしてもらっている子はまだ隊を組んでいない子で、レベルで言うと半人前ちょっとくらい。チームとかで専属オペレーターになればレベルが向上するだろうが、チームを作ろうしてるやつがいるという話は聞かない。
今は五月でちょうどB級ランク戦が休みの期間なのだ。そういう話がないということは次回はB級の隊は増えないだろう。
『あ!真田さんまた来ました!場所は———』
「お?遠いな、とばすか」
指定された場所は俺の今いる場所から結構遠く、警戒区域の端の方でもあったので急がなければならない。
俺はグラスホッパーを使い、建物を無視して一直線にネイバーへと向かう。どうやらバンダーが二体だけのようだが、迷わず外に向かっている。
全く面倒だ、あんまり近いと爆撃は控えなきゃいけない。そうすると近づく必要がある。
その後もグラスホッパーを連続して使い、ようやくネイバーの頭上に到着。そして孤月を抜刀、バンダー二体を斬り伏せる。ちゃんと二体とも弱点部に直撃したので一撃だ。
「撃破完了」
『確認しました、回収班が向かいます』
「了解」
その後も何度も来るネイバーを倒し、本日の任務は完了した。
防衛任務も引き継ぎを終え本部に戻ると、ゴールデンウィークにも関わらず結構な人数の隊員がソロランク戦をやっていた。
ボーダーとしては技術向上に一生懸命でありがたいことだが、学生としてあの過ごし方はいいのだろうか。まあいいか。
俺はその場を抜け食堂へと向かう。ちなみに俺の今日の任務時間は0時から8時までだった。本来ならもっと短いのだが、どうせ入るなら長時間入ると言って入れてもらったのだ。ちなみにさっきのオペの子は朝6時頃からで、その前にも何人かで交代してやって貰っていた。
とりあえず朝メシとして煮魚の定食を貰い食べ始める。
食堂にはあまり人はいない。まあそれはそうだ。ボーダーの戦闘員は基本的に朝は家で食べてここに来るのだろうから食堂が混むわけがない。それに任務終わりに俺が少しダラダラしていたせいもあり今は9時なのだ、ガラガラでも仕方ない。
そして1人黙々と朝食を食べていると、声をかけられた。
「真田さん、おはようございます!」
「ん?お、おはよう日浦ちゃん」
声をかけてきたのは那須隊のスナイパー、日浦茜ちゃんだった。
今日も元気がいい。
「どうしたの?こんな朝から」
「今日スナイパーの合同練習ですからそれまで練習してようかと。真田さんは?」
「俺はさっきまで防衛任務だよ。これ食べたら帰ろうと思ったけど、それなら俺もランク戦でもしようかな?」
「あ!それなら少しお話ししましょうよ!那須先輩の話聞きたいです!」
えらいグイグイ来るなこの子。なんというか物怖じしない。というか何も知らないだけだったり?
まあ気にせず接してくれるのは俺にとってもありがたいからいいんだが。
「いいよ、何から話そうか……」
「なら2人の馴れ初めから!」
「馴れ初めって、俺ら付き合ってないんだけど……」
苦笑しつつ、出会いを思い出す。
「あれは確かね———」
◆◇◆◇◆
ある日、本部でソロランク戦をしようと通路を歩いていると、壁にもたれかかっている子がいた。服装的に女の子だろう。遠目からでも明らかに具合が悪そうに見えるし、近くに彼女の知り合いと思しき人はいない。となれば俺が介抱するしかないだろう。
「君、大丈夫か?」
声をかけながら肩を軽く叩くが、返事はない。だがとても苦しそうなのが息遣いから分かる。
「辛そうだから医務室に連れて行くよ。触るけど許してね?」
そう言って少女を横抱きにして抱える。持った感じ結構軽い気がする。まあ彼女いたことないから他がどんなもんか知らないけどな!
この子パッと見高校生くらいだな。というかこんな体調悪い日まで本部に来なくてもいいのにも。
俺は道中、誰かに見られてからかわれるということもなく医務室に到着した。
「さーせーん、急患でーす」
そう言いつつ足で扉を開けはなつ。行儀が悪いが女の子を抱えているのだ、仕方がない。
その後は医務官に引き渡して帰ろうかと思ったが、用がないならついててやってほしいということなので見ていることにした。どうせ誰かとランク戦の約束がある訳でもないので予定はないに等しいのだ。起きる前に先に飲み物は買ってこよう。
それでもこの子が起きるまでは結局暇なのでケータイをいじって時間を潰す。
そしてどれ程たったか、ようやく少女は目を覚ました。
パッと見もうそこまで辛くなさそうだがそれでも倒れたのだ、大丈夫だろうか?
「おはよう。状況は分かる?」
「……いえ」
「そっか。まあ簡単にいうと君が倒れてたから本部の医務室まで俺が運んだ。とりあえず医務官呼んでくるからまだ横になってなさい。あと水とスポーツドリンク両方あるからどっちか好きな方飲みなさい」
遠慮されても面倒なので少々強引に押し付けるように渡す。すると困り気味ながらも受け取ってくれた。そして俺は医務官を呼ぶ。
その後は診察やら何やらをしていたが、俺は部屋の外で待機。だって相手女の子だし、男の俺がいるのは問題だろう。
そして医務官に呼ばれたので中に戻る。
「あの、ありがとうございました。えっと…」
「あ、名前?俺は真田真哉。あとあれぐらい気にしなくていいさ」
「わたしは那須玲といいます。本当にありがとうございました」
「そんなに畏まらなくてもいいのに。どうせここにいるんだからボーダー隊員なんだろう?」
「はい。今期入隊しました」
「そっか、まだまだ入りたてだね〜」
そのまま軽く話しを続けるが、もうそこまで辛くはなさそうだ。何らかの発作だったのだろうか。まあその辺は追求するのもあれなんで聞かないけど。
「じゃあ俺はもう行くよ。なにか困ったことがあったら言いな?俺に出来る範囲でだけど力になるからさ」
「すいません。本当にありがとうございました」
「うん。じゃーねー」
そんなこんなで医務室を後にした。
それにしても可愛い子だったな。なんか儚げな可愛さ、同級生くらいだったら惚れてたかもな。それにあそこまで丁寧にお礼を言うとか、俺があの子の歳くらいの時じゃあ絶対出来なかったな。
◆◇◆◇◆
「とまあそんな感じで、その後は顔合わせたら挨拶する仲になり、ランク戦をするように。でそこでバイパーの使い方を教わったんだ」
「なるほど〜、そうだったんですね!」
と、俺ら玲ちゃんとの思い出話をすると、それを日浦ちゃんは楽しそうに聞いていた。あんまり楽しい要素なかった気がしたんだが?
「それから最近は那須先輩とはどうなんですか?」
「どう、と言われても……まあ普通に話したり、ランク戦したり、たまーにご飯行ったり?」
「そうなんですかー」
そう、目を輝かせながら言う日浦ちゃん。少し怖い。大したことないと思うんだが。
「あ、奈良坂先輩!」
「日浦」
あ、確かこの2人って師弟なんだっけ。
そして俺も奈良坂の方を向くと、凄い驚いた顔をしていた。そんな驚く?
「久しぶり、奈良坂」
「お久しぶりです、真田さん」
そして奈良坂は日浦ちゃんに目で問いかける。おそらくなんで一緒にいんの?的なことだろう。
「真田さんとはちょうどここで会ったからお話ししてたんです!」
「知り合いだったんだな」
おい、それは暗にスナイパーとしてはぼっちだって言いたいのか?確かに俺は合同練習もサボりがちだし、弟子なんていないけど知り合いくらいちゃんと……いや、あんま分かんねえや。
「はい!那須先輩経由で知り合いました!」
「なるほど、玲から」
「奈良坂先輩はこれからなにか用事あるんですか?」
「とりあえず隊室に顔を出して、それから合同練習まで軽く訓練してるつもりだ」
「なら少し見てくれませんか?」
「……いいぞ。では真田さん失礼します」
「あ、奈良坂。もし米屋いたら、ソロランク戦ブースいるから暇なら来いよって言っといてくんない?」
「分かりました」
「真田さん、失礼します!」
「うん。またね」
そして2人と別れた。
さて、俺はランク戦やってますかね。
今回は予約投稿を試してみました
あとスマホでも
変だったら修正します
まだまだ書き溜めてあるんで更新は続きます