防衛任務やソロのランク戦という、あまり変わらない日常を過ごしていたら、もう五月も終わりという時期に差し掛かってきた。ランク戦も活発になっていくだろう。
だが最近、やはり思うことがある。それは
忍田さんがうっとおしい!
あの人ことあるごとに俺にチームを組めチームを組めと言ってくるのだ。
一応ボーダーには戦闘員以外にも仕事はあるが、まだその手の仕事はしたくないし、ぶっちゃけ城戸司令が俺は好きじゃないので、あの人の下に付くような本部の仕事はしたくないのだ。それをトリオンも少しずつではあるがまだ成長しているという大義名分で戦闘員をやっているのでいい加減ノーということも無理な気がする。
なので、そろそろB級のチームのランク戦に殴り込みをかける。一応ランク戦はオペレーターと隊員一人いたらOKらしいのでオペレーターを見つけないといけない。
「というわけなんだけど御三方、誰か有望そうな子いる?」
ちなみにその三人とは俺とそこそこ仲のいいオペレーターの三人、現在は玉狛支部の宇佐美栞、A級風間隊の三上歌歩、B級諏訪隊で麻雀仲間の小佐野瑠衣に来てもらった。なにせ俺ってオペレーターの子たちのことあまり知らないのだ。
「え?真哉さんランク戦出るの?なんで?」
そう質問してきたのは一番付き合いの長い栞ちゃんだった。
まあみんな疑問に思ったことだろう。なにせB級となってから今まで俺はチームを組んだことが一度もなかったのだ。ボーダー初期は人数の関係でチームはなかったが、隊員が増えてきてチーム制度が出来てからは誘われても何となく断っていたのだ。理由はあまり覚えていないが、多分そのころは個人の技量の向上に努めていたんだろう。自分からチームを作らなかったのはチームのスタンスも決めてなかったし、仲のいい隊員も別にいなかったからだ。
だけど今は違う。
「まあ俺にも色々あんのよ。取りあえずA級目指す」
「ふ〜ん。真田さんって色々考えてるんだ」
「おいこら、瑠衣ちゃん。君の中での俺はどんな人間だ」
「え〜?麻雀とお酒が大好きで戦いの得意な、ダメダメな先輩?あとヘタレ」
「……色々言いたいことはあるが最後のはなんだ、最後のは。ヘタレってなんだ」
「だって、ねえ?」「「ね〜」」
なに?イジメ?イジメなん?後輩の女の子三人からイジメられるなんて……俺女の子にイジメられて喜ぶような人種じゃないんだが。
ていうかヘタレってどういうことよ。確かに誰かとそういうことになったのはあまりないけど。
「だって先輩、那須先輩と二人きりでご飯にも行くのに付き合ったりしてないですよね」
「ん?まあ玲ちゃんとはメシは一緒に行くけどランク戦とかの後に反省とか話しながらだぞ?あと俺としては意図して二人きりになってるわけじゃないんだけど」
そう言うと三人から溜息をつかれた。なんだよ。
「まあその話はいいです。理由も分かりました。で、どういう子がいいんですか?」
「なんか腑に落ちないんだが…まあいいか。で、どんな子か。まず俺が色々やりたいから、それに合わせられるように考え方が柔軟な子がいい。あと頭の回転が速いこと。この二つは優先条件で。であとは出来ればでいいからプログラミングとか得意なこと。あ、あと忘れてたけど木虎みたいなプライドが高いのはNGだからそこんところよろしく」
「分かりました。優先順位はプライドが高くないこと、頭が柔軟なこと、頭の回転が速いこと、プログラミングなどが得意なことですね」
「おう。というか自分で言うのもあれだが条件厳しい?」
「まあそうだと思います。一応探してみますが」
「というか真哉さんって藍ちゃんのことホントに嫌いなんですね」
「いや、あれは嫌いというより苦手。プライド高いのは対応に困るしそれが女で年下だともうどうしたらいいか分からん。近寄りたくない」
歌歩ちゃんが確認したものに同意すると、栞ちゃんが木虎のことを聞いてきたから一応否定しておく。まあ否定ではないかもしれないが。俺はあいつのことがホントに苦手だ。男なら問答無用でプライドをへし折りにかかるが女はどうもいかん。それにあいつが苦手なのはプライドの高さだけじゃなく、自己顕示欲も大きいことがある。俺としては関わりたくない。普通に関われば嫌いになる。それぐらい本能的なところであいつのことを避けている。
「ていうか俺のオペレーターになってくれる子なんているのかね?オペレーターの子達からすると俺って接しにくくない?」
「そんなことないと思いますよ?真田先輩ってボーダーの中でも有名ですし、なんでA級にならないのかよく話題になっていますよ」
「それってオペレーターやりたいとかやりたくないとか関係ないと思うんだが……」
「でも真哉さんがチーム作るならやりたいって人結構いるよ?面倒見がいいって評判になってるし。那須ちゃんの例があるからかな」
あれ?俺って後輩から評判悪くないんだ。あんまり話しかけられることが少ないから結構敬遠されてるのかと思ってた。そんなことなかったんだな。
「でも真田さんのこと怖いっていう人もいるけどね〜」
グフッ……瑠衣ちゃんや、上げられたところを落とすのはやめてくれませんかね。いくら事実でも辛いんすよ?
「じゃ、じゃあオペレーターの件らよろしくね?今度何かしら埋め合わせするから」
「真田さん期待してるよ〜」
「アタシも!」
「えっと、いいんですか?」
「気にしなくていいんだよみかみか〜。真田さんはこういう時は太っ腹だから」
「というかそういうことするからお金なくなるんじゃ無いですか?真哉さん」
「そうかもしれんがただでものを頼むのは嫌なんだよね。というか金銭的なもので確定なんだね、別にいいけど。歌歩ちゃんも遠慮はしなくていいよ」
「真田先輩がそう言うなら……」
俺としては貸しにしてくれていいんだけど、まあもので欲しいと言うならそれはそれでいいや。
そしてその後は雑談になったがやはり女の子三人、とても姦しい。俺としては少し居心地が悪いが、まあいいか。お願いしてる側なんだし。
で翌週、歌歩ちゃんから一応一人見つかったというので、その子に会いに来た。
で、今はその子に挨拶をされている。
「あ、あの!
「お、おう。よろしく」
海野沙霧?なんかどっかで……聞いた、じゃなくて見た気がするんだよな。なんでだろ?
歌歩ちゃんが沙霧ちゃんの説明をしてくれるがそれを聞きながらも思い出そうと努力する。
「あ!思い出した!」
「……真田先輩、ちゃんと聞いてました?」
「おう。俺のサイドエフェクト知ってるだろ?で沙霧ちゃん。久し振り、だね?元気みたいでよかったよ」
「…!覚えててくれたんですか?」
「まああまりはっきりとは覚えてなかったけど、手紙と顔を見て分かったよ」
「手紙?真田先輩手紙ってなんですか?」
「ん?ファンレター的なもんとか感謝の手紙とかちょくちょくもらうんだけど、沙霧ちゃんのは感謝の手紙って感じだったかな。まさかボーダーに入ってたなんてね」
「真田先輩。もしかして全部読んでるんですか?」
「もち。だってモチベーション上がんじゃん?俺がボーダーになったおかげで助けられる人がいたってわかるから。それがなきゃ精神的に疲れてもう後方に下がっていた可能性があるね」
いや、実際下がっていただろう。俺が大学の頃、ボーダーに入ってからこっちの大学でサークル活動などをやらなかったためか、友達があまりいなかったので感謝の言葉を直接言われることなんてなかったし、講義が終わればボーダー本部に行って訓練か任務って生活サイクルしてたからな。一時期なんでこんなことしてるんだろうと思ったことがあった。俺じゃなくても他にやる人間がいるだろう、って。なにせこのサイドエフェクトだ、考える時間はたくさんあったし、ドンドン悪い方向に考えることも多々あった。そんな中での手紙はよく覚えている。その時の手紙が沙霧ちゃんって言うドラマみたいなことはなかったけど、それでも救われた気はするし、何より自分が頑張ったおかげで人が助かるっていう実感も得ることが出来た。そこからだ、俺がボーダーの他の人間に積極的に関わるようになったのは。そこで新しい技術を得たり、得た技術や戦術を教えたり、共に考え新しい何かを考え出したり。いいことは沢山あった。
「それで沙霧ちゃん。俺はこれからB級ランク戦に挑戦するつもりだ。だからこれから色々無茶な要求をするだろう。それでも俺のオペレーターになってくれるか?」
「は、はい!まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします!」
「うん。よろしく」
そして俺たちは改めて握手を交わす。これで正式にB級真田隊結成だな。まあ隊員一名オペレーター一名という巫山戯た構成だが、B級中位までは余裕だろう。
「これから頑張っていこう。早速だがチームの申請とかその他諸々やらなきゃな」
「はい!頑張りましょう!」
「あと、歌歩ちゃんもありがとう、オペレーター探してくれて。二人にもお礼を言っといてね」
「はい。真田先輩もこれから頑張ってくださいね」
「おう。見てろよ、すぐにA級に駆け上ってやるぜ」
さて。まずは沙霧ちゃんにサポートの技術など、色々覚えて貰わねば。
三人が分かりにくかったかもしれないですけど一応主人公の呼称で分かるようにしてます
真田さん→小佐野
真哉さん→宇佐美
真田先輩→三上
という感じです