あれから一週間、色々沙霧ちゃんに教えていたが本当にこの子は頭がいい。俺の要望に全て答えるようなスペックを持っていた。プログラミング技術は俺が分からないからなんとも言えないが、それなり以上の技術を有していることは分かった。
今はそこまでオペレーターの技量は高くないがそんなもんは後から身につければいい。ぶっちゃけ素質の方が大事だからな。
で、ついにB級ランク戦開幕当日。
「さてと、今回の相手なんだが」
「はい。ハンドガンタイプのガンナー二人の茶野隊と三人で一斉攻撃のハウンドストームが得意技な間宮隊です。タイプ的に開始後、合流を優先すると思われます」
「うん。多分そうするだろう。それに実力的にタイマンじゃ勝てないというのは自覚していると思う。そこで考えられる相手の行動は?」
「チームで集まって迎撃、もしくは先手必勝で他の隊の得点を取りに行くことです」
「うん、まあそうなるだろう。よく考えられてる」
「ありがとうございます!」
ちゃんと作戦などは考えられる頭脳はあるな。よかったよかった。緊張も少ししてるが、そこまで酷くないみたいだ。いい緊張感って感じかな。
で、今回のトリガーはこれだ。
メイン 孤月
旋空
バッグワーム
テレポーター
サブ ライトニング
シールド
バイパー
グラスホッパー
「もう始まるな。じゃあサポートよろしく」
「はい!」
◆◇◆◇◆
「ボーダーのみなさんこんにちは!今回司会を務めます海老名隊のオペレーター、武富桜子です!今回は注目の一戦なので非番のA級隊員の姿も見られます」
その言葉通り、ランク戦のモニタールームには太刀川隊、風間隊、嵐山隊などが来ている。B級も非番のチームは殆ど揃っている。
それもそうだろう。今回、B級ランク戦に初参加の真田隊は個人総合で現在2位につけている真田真哉が隊長を務める隊なのだ。否が応でも注目が集まる。
「おい、真田さんがチーム作ったって知ってたか?」
「いや、俺は始めて聞いた。一体他の隊員は誰なんだ?」
そんな会話がそこかしこでされている。その疑問を解消する言葉が実況席から発せられた。
「皆さんも気になる真田隊の構成は、隊長真田真哉さん。オペレーターが海野沙霧さんの2名のみ!しかもオペレーターは経験なし!正直無謀だと思っています!その辺どうなんでしょう、実況席の加古隊長、緑川隊員!」
「確かにチーム戦にソロで挑むのは不利だけど、それでも問題ないわ」
「そうだね、正直B級下位じゃ相手にならないと思うよ」
「おっとそうこうしているうちに全員転送された!
今回のフィールドは市街地A、ギミックも何もないスタンダードなフィールドです!」
すると六個の点のうち一つがレーダーから消える。
バッグワームを使った証拠だ。ちなみにモニターにはしっかりと映っている。
「開始早々、真田隊長バッグワームで姿を隠し移動。他の隊は合流を優先した!」
「お、真哉さん今回はスナイパーで行くのかな?気をつけないと瞬殺されちゃうよー」
「まだまだ甘いわね。あんな素直に走ってると格好の標的よ」
加古隊長の言うとおり、茶野隊と間宮隊は普通に道路を走っている。しかしそれでも建物のを壁にして射線を外しているようには見える。
「しかし加古隊長、スナイパーの射線からは隠れてると思いますが」
「まあそうね。でもあの人は別にスナイパーじゃないのよ」
するとどこからともなく現れた射撃が前後から茶野隊を襲う。たまらず逃げるために屋根の上に上がるが、
「あーあ、やっちゃった」
ドン!ドン!
「な、なんとー!?茶野隊の二人ともベイルアウトー!正直鮮やか過ぎて何が起きたのか……緑川隊員お願いします!」
「まず最初の射撃は真哉さんのバイパーだよ。あんな風に自在にバイパーを使いこなす他には那須先輩といずみん先輩だけだよ。で、そのバイパーで炙り出されたところを狙撃でお終い。弾速的にライトニング使ったのかな?急所を一撃なんて流石だね〜」
「これがパーフェクトオールラウンダーの実力か!?いきなり2ポイント奪取ー!」
そして茶野隊のベイルアウトを確認した間宮隊は建物の影に隠れ、防御体制に入る。
「おっと?この間宮隊の動きはなんでしょう?」
「多分攻撃される面を限定して、姿が見えたらハウンドストーム?それで攻撃するつもりなんでしょう。でも……」
すると背後以外の前方、左右、そして上空から射撃が襲う。それをシールドでなんとか防ぎ切ったがすぐにまた第二波が襲いかかる。だがしかし、第二波を防ぎきった瞬間建物の中からの斬撃により間宮隊の三人ともベイルアウトした。
「ななな、なんとー!開始数分で全員を撃破、生存点も加えて7ポイント獲得、圧倒的だー!」
「最後のはバイパーで釘付けにして意識を背後から逸らしたところで家の中から旋空弧月で締め、だね」
「この試合、近中遠距離武器全てを使い相手に姿すら見せずに完封!これがパーフェクトオールラウンダーの実力かー!?」
開始5分と少しで5人全員撃破。獲得ポイント7。
B級隊員にとっては衝撃となる隊がB級ランク戦に現れた瞬間だった。
◆◇◆◇◆
ふう、やっぱり下位連中じゃ話にならんな。あの程度の戦術に引っかかるなんてまだまだだな。
「真田さん、お疲れさまでした」
「おう。沙霧ちゃんもサポートありがと。あの立体図、あるのと無いのとじゃ攻撃の正確性に差が出るからね」
「はい、ありがとうございます!」
沙霧ちゃんの良かったところを褒めると、とても喜んでくれた。きっとこの子も不安ではあったんだろう、それを良く出来ていたと褒められて安心したのかもしれない。
ちなみにあの立体図とは、街を立体図にしてもらいそこに相手の位置を書いたもので、トリオン体の網膜モニターに写してもらったのだ。これがあればバイパーを使いこなしている人間にはかなり役に立つ。
実際これって結構大変なのだ。この一週間で一番力を入れたところでもあるし。
その後、今日のことでは反省点がなかったので逆に相手の何がいけなかったのかの考察をしていると、他の隊員が結構やってきた。どうやら今日のランク戦を見ていたらしい。
「そういや今日の解説誰?一応始めてのランク戦だったから記念に音声データとっといて貰ったんだけど」
「私と、」「オレです!」
「お、加古ちゃんと駿か。ちゃんと解説出来てたか〜?」
「オレだってそのくらい出来ますよ!」
「というかアッサリ過ぎて解説も何も殆どないじゃ無いですか、真田さん」
「それはあいつらが悪い。俺は全力でやっただけだし」
ていうかランク戦で手加減とかありえんだろ。本気の勝負であり訓練でもあるんだから。
「あ、そうそう。紹介しとく。うちの、つーか俺のオペレーターの海野沙霧ちゃん。まだ不慣れなとこもあるっぽいから困ってんの見かけたらよろしくしてやって」
「海野沙霧です!よろしくお願いします!」
「加古望よ。よろしくね、沙霧ちゃん」
「きっとお前も気に入るさ。沙霧ちゃんすげーから」
「そそそ、そんなことないですよ!?」
俺が何故気に入るかと言ったかというと、加古ちゃんは才能のある人間が好きなのだ。まあ戦闘方面の才能は知らんが普通に頭いいし、才能がないことはない。
あとA級唯一のガールズチームの隊長なので困ってたら助けてくれるだろうと思ったからだ。
「ふーん、真田先輩がそう言うなんて……困ったことがあったら遠慮なく言いなさい?同じ女の子なんだから」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「その年で女の子って(笑)」ボソッ
あ、駿それダメなやつ。声抑えても多分聞こえてる……
「駿くん、後で話があるから」
わーすっごいきれいなえがおー(棒
……南無。骨は誰か拾ってくれるだろ(諦め)
「え!?さ、真田さんもそう思うでしょ!?」
「ん?年下の子は皆女の子だよ。それがどうかした?(巻き込む気か!こっち振んなバカヤロー!(アイコンタクト))」
ふぅ、完璧な返し。サイドエフェクトのおかげでポーカーフェイスもバッチリだぜ!
駿は周りを見渡すが、誰も目を合わせてくれず孤立無援。ドンマイ☆
女の子に年のことはNGだぜ?一つ賢くなったな、駿。
…仕方ない助け舟くらい出してやるか。
「今日は不完全燃焼だからランク戦したいんだけど誰か相手してくんね?」
「あ、はい!オレやります!久しぶりに真田さんと戦いたい!」
「じゃあ俺も見に行きます」「俺もー」
気まずくなったこの場から逃げ出すために他の男勢もついてくるという。
ふう、よかったな駿これで
「緑川くん。終わったら、ね?」
魔王からは 逃 げ ら れ な い !
「真哉さん?」
「沙霧ちゃん、加古ちゃんたちと親睦深めときな。加古ちゃん、よろしくね」
そういって加古ちゃんに握らせる。何をって?なんでしよーね?(スットボケ
「「「(よ、よえー…)」」」
その場の男性隊員の意見が一致した瞬間だった。
なお沙霧ちゃんは流れがわからなかった模様。株は落ちなかった……(安堵
今回からランク戦期間となります
といっても集団戦を書くのは得意ではないのですぐ終わりますけど
これをちゃんと書ける葦原先生は凄いと思います
あと無理はしないで欲しいです