あのランク戦以降、何人かB級の奴らが自分を売り込みに来た。面倒に思いつつも取り敢えずソロ戦した後簡単なアドバイスをして返してやった。隊に入れてやるつもりはない。実力差があり過ぎて話にならなかったのだ。
あと、沙霧ちゃんのことで陰口をたたいてる奴がいたから強制的にブースに入れてソロ戦でフルボッコにした。
むしゃくしゃしてやった。反省も後悔もしていない。それにちゃんとランク戦だからいいっしょ。隊務規定違反してないし。(すっとぼけ
そしてさらに二戦ほどランク戦をやり、現在はB級上位となっており、順位は6位。ちなみに今度は東隊と影浦隊とやることになっている。
それで今日は対策でも考えようと沙霧ちゃんと2人で作戦室に詰めている。
因みに作戦室のレイアウトはソファ(結構高め)×4とその中心にそこそこの大きさのテーブル、あとオペの時に必要なもの以外はまだない。さすがに一気にいろいろ揃えることは出来ない。因みに禁煙である。
そして現在はノーパソで映像とかや資料を映しながらどうしようかってことを話している。
「取り敢えず言えるのは2チームとも狙撃がウゼーってとこかな」
「そうですね。東さんは熟練ですし、絵馬くんも凄腕みたいですね」
「ああ。カゲのヤローも相手にしなきゃいけないのにこれは面倒くさいぞ」
そして一つの結論が出た。スナイパーがウザい、ということだ。これが普通のスナイパーだったりアタッカーだったら問題はないのだが、あの東さんがいるのだ。アタッカーに集中出来なくなるし、そんな状況だとカゲにやられかねない。あとゾエの適当爆撃もダルい。
そして俺がそう考えることは相手も分かるだろうから、相手はそれに対処しようと動くだろうからこれまたメンドイ。
「いっそ今度の試合は敵が減るまでスナイパーで行こうか。ポイントはあんまり取れないけどやられないよりはマシだろ。それに人が減ればまだマシになる」
「すいません。私もいい作戦は思いつきません……」
「あー、気にしなくていい。元々こんな状況じゃ作戦なんか立てず逃げ一択だし、経験の浅い沙霧ちゃんじゃしょうがない」
実際作戦考えるのとか、ある程度戦力が整ってて相手と拮抗してないとキツイからな。こんな状況でいきなりいい作戦思いついたら天才だよ。
「で、次はフィールドだな。まあ普通に市街地Bでいいか、俺も狙撃するし。あんまり狙撃有利MAPにすると簡単に感づかれるだろうしこんなもんだろ」
「そうですね。あんまり特徴的なステージだと作戦がバレたりこっちがやり辛くなりますからね」
相手に東さんがいるのがこういう時に面倒くさい。あの人こっちの考えを見透かすからな。まあA級にいくならそれをも対応しなきゃいけないんだけどな。
さて、あとはトリガーセットだな。まずイーグレットとライトニング、バッグワームは確定。後半近接するし、機動力もいるから孤月とグラスホッパー。シールドはいらないメンツだけど念のため一つは入れてこれで6個。あとはアステロイドとバイパーだな。
セットはメインに、イーグレット、ライトニング、グラスホッパー、アステロイド。サブにバッグワーム、孤月、シールド、バイパーだな。
後でトリガーセットを変えなきゃな。
「さて、対策はこんなもんだろ。沙霧ちゃんはこれからどうする?」
「えっと、私は両隊の戦闘データをまた見ておきます。真田さんをしっかりサポートしたいですから」
「そっか。あんまり無理しちゃダメだぞ?」
「はい」
そして俺はやる事もないので取り敢えずソロ戦ブースに向かう。誰かいるといいなー。
ん?あれは
「何やってんの加古ちゃん?」
「あら、真田さん」
俺がソロ戦ブースに着いて目にしたのは、A級ガールズチーム隊長の加古ちゃんが何やら年下の女の子に声をかけているところだった。それだけならスルーしたかもしれないが、今回は相手が何やら困っていたので話しかけたのだ。
そして声をかけられた加古ちゃんはこちらを向き、注意が逸れたためか少女は安堵した顔をしていた。
「で、どうしたのよ加古ちゃん。相手が女の子だからナンパではないだろうけど、少し困ってたように見えたぞ?」
「イニシャルKで良さげな子がいたのよ。だから勧誘してたの」
いや、だったらそんなに困らせちゃ逆効果じゃないだろうか。苦手意識ついちゃうぞ?でも加古ちゃんが勧誘する子か、結構すごい子なんだな。
「あ、あの!真田さんですか!?」
「お、おう。ボーダーの戦闘員で真田は俺だけのはずだから間違いでなけりゃそうだぞ」
「あの時は助けていただきありがとうございました!」
………?
「真田さん?」
「何が言いたいのか分からないがちょっと待て。俺にも心当たりが…」
と加古ちゃんに言ったところで気付いた。この顔見たことある。でもなんか違う気がする……取り敢えずサイドエフェクト使って思考を加速させる。
取り敢えず助けたってところだが、最近ボーダーとして人を助けたことはない。それに外では別に名乗ってないから俺だとわからないだろう。でも俺にもなんとなく見覚えがあるんだよな。それも最近じゃなくて。一体何時だ……
あ、思い出した。
「あの時の子か、大きくなったなぁ」
つい頭を撫でてしまったが仕方ないだろう。この子はあの時の、大規模侵攻の時に助けた子なのだ。あの時は中性的な感じで分からなかったが女の子だったのか。何処となくあの母親の面影も残っているな。
というのも、俺は瓦礫に埋もれて気絶したからこの子がどうなったか知らなかったのだ。医者に聞いて死んだと言われるのが怖くて当時は聞けなかったし、落ち着いてから聞こうにも誰に聞けばいいのか分からなかったのだ。その子が無事に生きて、こんなに成長してれば感動もする。
「覚えててくれたんですね…本当に、ほんとうにありがとうございました…!」
少女が泣きながらお礼を言う。
そしてそれにつられて俺も少し泣いてしまった。ヤバイな、俺こんなに涙もろかったっけ……
「え、なにこれ……?」
そんなつぶやきが聞こえた気がしたが気にしない。
◆◇◆◇◆
取り敢えず少女が落ち着いたところで隊室に連れてきた。少し人に見られたので恥ずかしかったというのと、人に聞かせるのもアレな内容になるのでってことでここに来た。ちなみに沙霧ちゃんはお茶とお茶請けを出してくれた。本当に気が効く子である。
「で、2人の思い出に浸ってないで教えてくれないかしら。なんか置いてきぼりでついていけないんだけど」
少女が落ち着いたのを見計らったように加古ちゃんが尋ねてくる。が、これは俺の一存で決めていい内容ではない。
「その前に2人で話したいんだが」
「2人きりで?」
「2人きりで」
数秒間、真剣な目で見つめ合う。別にやましい事ではないので目を逸らしたりはしない。
「分かったわ。私たちはこっちで待ってる。それでいいわよね?沙霧」
「はい」
「悪いね」
そう言って少女を連れて部屋を移動する。
……いざ話してみようと思ってもなにから話せばいいやら。聞きにくい事ばかりなんだよな。
「そうだ、取り敢えず自己紹介しようか。俺は真田真也、22歳。今期隊を作ってB級ランク戦に初参加だ」
「は、はい。筧彩香です。14歳の中3です。つい最近B級に上がりました」
………
「……すまん、言葉選んでたら会話が出来ない。色々と聞いてもいいか?」
「はい。もう心の整理はついているので…」
そうか。もうあれから4年も経ったんだもんな。いくら大規模侵攻当時は小学生でも、心の整理をつけるだけの時間は経過したっていうことか。時の流れは速いのか、遅いのか。
「じゃあすまないがこれだけは教えてくれ。母親は?」
しかし静かに首を振るだけだった。
「そうか。今度墓参りに行こう。ちゃんと助けましたってな」
「はい。母も喜んでくれると思います」
死ぬ思いはしたけど助けられたことには変わりないんだ。しっかりと報告しといてやらないとな。まあ娘の顔見て助かったってのは知ってそうだけど。
「今もこっちで暮らしているのか?」
「はい。母の実家がこっちだったので今はおじいちゃんとおばあちゃんと一緒です」
そうか。助けたけど孤独になってたってことにならなくてよかった。一人ぼっちになってたら悲しいもんな。
もし俺がその年でその境遇になっていたら耐えられなかったかもしれない。
「それにしても驚きました。B級ランク戦を見てたらあの時の人がいたんですから」
「ん?そういや何で俺の顔知ってるんだ?直接顔合わせてないよね?」
「あ、そうですね。真田さんはその時意識なかったんですもんね。私達が瓦礫の下から助け出された時は私は意識があったんです。その時顔を見たんですよ。私はその後すぐに母を探しに行ってしまいましたが……」
「しょうがないさ。当時小学生だろ?それが普通の行動さ」
「いえ、後で警察などから聞きました。状況からして男性が命懸けで守ってくれたんだろう、と。それなのに今までお礼すら言えず、本当に申し訳ありませんでした」
本当に律儀な子だ。それに芯もしっかりしてる。本当にいい子だ。
「どういたしまして」
そう言った俺の顔はきっとスッキリとした顔だっただろう。心の奥底にあったモヤモヤが今ようやく解消したのだ。
このオリキャラは最初は出すつもりはありませんでした
でもこれ以降を書いてる時、ランク戦だけじゃつまんないなーとか、一人で戦い続けるのもワートリじゃ無理があるかなー、と思いこの話の出だしを書いてる時に閃きました
ちなみにキャラが確立するまで二転三転しまくりました
トリガー構成とか色々変えたり、サイドエフェクトつけようか迷ったり、設定を色々いじったり
長くなりましたね
ではまた次回