フォースの暗黒面に堕ちた黒鉄一輝の話   作:A4

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 どうしようこの先あんまり考えてない…
 
 
 
 感想、評価、本当にありがとうございます。作者がこの話を書く上での励みになったりネタになったりするので本当にありがたいです。
 
 SWと落第騎士という人気作品の組み合わせが良かったのかお気に入り数が今までで最も伸びてるので驚いてます。


4話 夜の終わり

 一輝が離れの座敷牢に監禁されて以来珠雫は唯一の頼みの綱である母に兄の解放を嘆願していた。

 「お願いですお母様!父様に兄様を出すように言ってください!」

 しかし母は何も言わずたださめざめと泣き続ける。母の説得を初めて2時間近くになるがずっとこの調子であった。珠雫はそんな母を見限る離れに向かうべく方向を変える。

 (……何でこんな事に)

 珠雫はそう思う。最近の一輝は非常に調子が良かったように見える。兄が珠雫に向ける顔は当初は朗らかな笑顔であったが月日が経つにつれ陰が増して行き終いには笑みを無理やり貼り付けた様なひどい物になって行った。しかし最近、時折遠くから見たりすれ違ったりした所を見るからにかつての笑顔に加え自信を取り戻したように感じられた。

 (私がもっと兄様の事を見れていれば)

 父は彼女が一輝に近付くのを快く思わず習い事や稽古をより課し、兄と接する時間が少なくなったのを口惜しく思った。

部屋を出た彼女の身体を突然怖気が襲った。怒り、憎しみ、哀しみ、絶望、怨嗟、自棄、劣等感、妬み、そういった負の感情が蟲の如く彼女の彼女を這いずり回った。珠雫はそれに耐えきれず膝を着いた。

その間にも思念、もしくは回想だろうかそう言った物が脳に叩き込まれる。

『……なぜ僕がッ!』『…なんで産まれてきたのよ』怨望『お前には何も期待してない』嫉み『落ちこぼれ』落胆、失笑、『いつか認めてくれる』『父様が言ってたけどコイツには何してもいいんだとよ』憎悪『死んでしまえ』無視、劣等感、『死んでしまえ』『しんでしまえ』『死にたい』悪意『処分してしまえ』『もう害にしかならない』

『……もうたくさんだ』

 疲れ切ったような声が最後に聞こえた。

 それらの思念に加え幻視、幻痛が彼女を襲う。珠雫はこの思念の持ち主が誰なのか分かった、分からないはずがなかった。

 珠雫は膝を着いたまま吐瀉し、胃の中身を廊下に広げる。

 「お兄様は……ずっと…」

 知らずの内に涙が流れる。兄はこれだけの感情を抱えたまま8年間これらを抱え、狂気と絶望に身を削られながらただ一つ希望を持って今日まで生きてきたのだろう。しかしその希望も今さっきを以て砕けてしまった。

 珠雫は理解したようで理解してなかった。兄は自分の考える以上の悪意の地獄で過ごしていた。

 珠雫は崩れ落ちそうな体を壁で支えつつ前に進み始める。兄を救うために。

 

 

 

 

 

 珠雫が離れに辿り着いた時日本家屋風の離れは炎に包まれつつあった。

「珠雫か…」

 兄が長刀と赤刃の西洋剣を両手に携え離れの大広間に佇んでいる。周囲には分家の人間の死体が転がっていた。不可思議な事にまるで同士討ちをしたような惨状である。珠雫は知る由もなかったがそれらは一輝の洗脳によって引き起こされた同士討ちであった。

 いずれにせよこの凶行に兄が関わっているのは明確である。

 「……兄様」

 しかし珠雫は不思議と兄が恐ろしく感じない。一輝の顔は昔見た優しい兄の笑顔そのままであった。

 「こうして話すのは本当に久しぶりだね」

 一輝の様子は本当に昔のままであった。

 「……兄様ッ!」

 珠雫が一輝に縋り付いた。もう悲しさと悔しさ、その他の感情でもう自分でも何をしているのか分からなかった。

 「もうやめましょう兄様。珠雫は、珠雫はッ」

 そこから先はもう言葉にならなかった。一輝はそんな珠雫を不思議そうに見ている。

 その時視界の端で何かが動き、一輝の首がそちらに向く。

 「……グ……ッ」

 黒鉄厳が苦悶を漏らしながら這いずり少しでも一輝から遠ざかろうとしていた。ライトセーバーでその体は両断され、とても動くことは難しい体で。

それを目にすると笑みをさらに深くし厳の固有霊装の刀をフォースで手中に納める。

 そして珠雫を振り払うと実父にゆっくり近づくと刀をその背に突き立てる。そして漏れ出る厳の苦悶の声を楽しげに聞く。

 「珠雫、僕は間違っていたとしか言いようがない。ずっとこの男に認められるために、愛されたいがために努力していた、僕は阿呆か。」

 一輝が傷口に突き立てれた刀の剣先をぐちゃぐちゃとかき混ぜる。それに応じ厳が楽器のように多彩な悲鳴を上げる。一輝の含み笑いが少しずつ大きくなり哄笑に変化していった。

 (……涙……?)

 炎に包まれつつある広間にて珠雫は哄笑を放つ兄の眼から一筋の泪が伝うのを確かに見た。

 「…僕が馬鹿だった、愚かだった。いや、そもそも他者に依存する事こそが間違っていた。ああ、まったく……」

 熱にうなされたが如く言葉を吐き出していた一輝が言葉を止める。外から大型の車の停車音が聞こえた。

 「……2個小隊ぐらいか」

 一輝がぽつりと呟きライトセーバーを起動し、外に向かった。珠雫は手を伸ばし引き留めようとしたが彼女は無意識のうちに兄を恐れその手を止めてしまった。彼女はその判断を後々まで後悔することになる。

 

 

 

 今日の親戚の集まりには反伐刀者団体の襲撃を警戒して黒鉄家の傭兵が普段よりも増員して周囲を警戒しており、彼らは敷地内の異変を探知し急行した。

 「黒鉄お抱えの民間警備会社か…」

 装輪装甲兵員輸送車から降り、ボディアーマーで身を固めた銃兵が展開するのを見て呆れたように言う。

 兵の装備はベレッタM70アサルトライフルにミニミ軽機関銃。装甲車には重機関銃や無反動砲が備え付けられている。これだけの戦力があれば落ちこぼれの魔導騎士相手でも十分に戦えるだろう。

 「撃てっ!」

 指揮官の号令を合図に一斉に小火器、銃火器が火を噴く。それに対し一輝は隕鉄の展開を解き掌を柔らかく弾幕に対し翳すだけであった。

 「……どうなってる?」

 「撃ち続けろッ!」

 兵は困惑する。5.45㎜弾、12.7㎜弾、無反動砲弾が何らかの力場に捕まったかのごとく宙に浮き進まない。

 一輝はそれに笑みを零すと掌を軽く払う。その瞬間止められていた弾丸や砲弾が兵員を襲った。 

 しかし流石は黒鉄お抱えの民間警備会社、彼らは間違いなく精鋭であった。弾丸の雨を喰らい戦死した指揮官を下士官が代行し指揮系統を回復。装甲車の陰に隠れ、周囲の森林に散開し銃撃を継続する。しかも銃弾が力場で遮られてるのを察すると駆けつけてきた増援から別働隊を組織し左右側面から一輝を攻めさせようとしている。

 「……少しまいるな」

 敵の動きをフォースで感知し、不機嫌になると同時に感心した。魔導騎士でもない一般人がここまでできるものか、とも思う。そしてフォースで弾幕を防ぎながら数名の兵員に念を送る。

 「…………」

 「…………」

 念を送られた兵が念い従い行動を始める。

 「おい!やめろ!こっちは味方…」

 「……一体何を…!」

 「やめろ、やめてくれ!」

 装甲車に据え付けられていた砲手がおかしな行動を取り始め、それに対し無線網には阿鼻叫喚が木霊する。12.7㎜重機関銃の射手は周囲に散開していた兵を撃ち始め。無反動砲の砲手は兵の盾となっている僚車の横っ腹を吹き飛ばすと一輝へ挟撃を仕掛けようとしている別働隊に向け狙いを定めた。

 装甲車の乗員はその凶行を止めようとするが逆に拳銃で撃たれ倒れ伏す。

またある者は逃亡しようとしたところを味方だったはずの者に射殺される。

 しばらくすると洗脳された兵員だけが残り、彼らも拳銃の銃口を咥えこむと引金を引いた。

 

 

 

 一輝は産まれて初めてこの上ないほど素晴らしい気分であった。全身に力が溢れ今なら車に轢かれようとも無事だという自信がある、海を割れと言われたら割れる、山を持ち上げろと言われたら持ち上げられる。そんな気分であった。

 「……ああ、僕は他人などを求めたからこそ弱かったのか」

 一輝はその結論に至り歩き始める。その証拠に今の一輝のフォースの力はかつて無いほど高まり数時間前の力を遥かに凌いでいた。

 知らず知らずの内に足取りが軽くなる。そんな一輝の進行方向に6両の装甲車が猛スピードで向かってくる。

 それに対し狂笑し体に満ちるフォースを解放する。

 16トンは優にある装甲車6台全てが風に吹かれた木の葉のように空高く舞い上がり重力に引かれ地面に衝突し、くしゃりと玩具の車のように潰れた。

 




 自分はスターウォーズの知識についてはスピンオフ作品などは殆ど知らないので教えて頂いたりしてもらえると非常に助かります。
 
 
 感想、批評お待ちしております
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