(`・ω・´)ノ
天魔、それは妖怪の山の頂点に君臨する、天狗の長。なのだが―――
「俺は本当にお前がこの山の頂点なのかと錯覚することがあるぞ、
「まあまあ、そういう事言わないの法眼君。これでもれっきとした天魔だよ?それと、僕の事はあまり本名で呼ばないこと」
―――鞍馬の前にいるのは、机の上で寝転がっている幼女だった。そして、彼女こそが妖怪の山の頂点である天魔、
「全く・・・俺に何の用だ。こっちも忙しいんだ。あのバカラスのせいでな」
「あははは、文ちゃんもいつも通りみたいだね。それで、本題なんだけど、法眼君に頼みがあるんだよ」
机の上で寝転がりながら話す飯縄。横から見たら微笑ましい光景だ。
「頼み?饅頭買って来いとか、花取ってきてとかは受け付けんぞ。あの時は本気で死ぬかと思ったんだからな」
最後の辺りは顔を青ざめながら言った鞍馬。その理由は、先月ほど辺り、急に飯縄から花を取ってきてと言われたので、その花がある場所に行くと、緑髪の女性にいきなり攻撃を仕掛けられたからなのだが、それはまた別の機会に話すだろう。
「あれは本当に申し訳なかったと思ってるよ。僕もちゃんと説明してなかったからさ。今回はそんなこととは無縁な、簡単な頼みごとだよ」
「全く、頼むぞ。もうあんなことは懲り懲りだ」
話しただけで疲れた様子の鞍馬に飯縄は、
「実はね、地獄に行って欲しいんだ」
まるで死刑宣告のようなことを言い出した。
数刻後、鞍馬は妖怪の山の裏側にある、中有の道の上を飛んでいた。
「飯縄め、どこが簡単な頼みごとだよ、だ。完全に難しすぎるだろう。二、三発殴ってやりたいところだ。立場上出来ないのが非常に悔しい」
あの死刑宣告のあと一悶着あったのだが、地獄にいる閻魔に確かめて欲しいことがあるということが言いたかったということで誤解が解けて、地獄へ向かっているところだ。生者が地獄に行けるという疑問があることだろうが、ここは幻想郷である。それで納得してもらいたい。
「ここが地獄か?」
彼が降り立ったのは、彼岸花が其処ら中に咲いている場所だった。
「なんともまあ、面白みのなさそうな場所だな」
辺り一面彼岸花。その他にあるのは幽霊と川くらいだ。
「はてさて、閻魔様はどこにいるのやら」
鞍馬は川に沿って歩き始めた。
「あちゃー、やっちまったね」
赤い髪をした長身の女性、小野塚小町は困っていた。その理由は、自らが持っている鎌で遊んでいた所、うっかり船をザクッとやってしまったといういかにも自業自得なことなのだが。このことが彼女の上司にばれたら、確実にお叱りルートまっしぐらである。
「どうしようかね・・・お?」
彼女の視線の先にいたのは我らが主人公、鞍馬であった。と、ここで彼女の悪知恵が働く。
「そうだ、あの天狗のせいにすればいいんだ。あたいは何も受けず、あの天狗は映姫様の有難いお話を聞ける。一石二鳥とはまさにこのことだね」
そう決めた彼女は、鞍馬の方へと歩を進めていく。こうして、鞍馬はまた苦労をするのだった。
「おーい、ちょっとそこのお兄さん」
「ん?」
聞こえた声に足を止める鞍馬。振り向いた先にいたのは、物騒な鎌を持った赤髪の女性―――つまり、小野塚小町―――だった。何故か、鎌の先に木片がくっついているが。
「
丁寧な口調で話す鞍馬。いわゆる、仕事モードという奴である。
「ああ、あんたのことだよ。少し頼みごとがあるんだ」
「ではお断りします」
即答である。鞍馬は日頃の経験から、「頼みごとがある」=厄介ごと、という事に成り立っているのである。
「ちょ、ちょっと。話くらい聞いてもいいんじゃないのかい?」
余りにも速攻で切り捨てられたため、焦る小町。
「残念ですが、私は人?を探しているので」
「人?もしかして閻魔だったりするのかい?」
「ああ、そうです。その閻魔さんを探しているんです」
その言葉を聞いた小町はニヤリと笑う。これだったら話が早いと思ったのだろう。
「よし、あたいが呼んでやろうじゃないか。」
豊富な胸を張って言う小町。そのあたりの男性なら鼻の下を伸ばしているだろう。
「でも、呼ぶって言ったってどうするんですか?」
「そのあたりも任せなって。コホン・・・あーあ急にサボりたくなってきたぞ!こんな時は昼寝でも「なんですって?小町。」うええぇぇ!?え、映姫様どこから!?」
「あーあ急にサボりたく~の辺りからです」
初めから聞かれていなかっただけマシだろう。
「あ、そうだ映姫様!この天狗が船を壊したんですよ!」
「え"!?」
ここでやっと騙されていたことに気づいた鞍馬。意外と騙されやすいのかもしれない。
「それは本当ですか?」
「本当です!」
「え"え"!?」
それにしてもこの死神、驚きの白々しさである。
「まあ、あなたの言うことが本当かもわかりません。ここは私が確かめましょう」
そう言って映姫が取り出したのは手鏡のようなもの、閻魔用の裁判道具である浄玻璃の鏡だ。簡単に言えば、過去を映し出す鏡である。プライバシ―もへったくれもない鏡である。
「では・・・ッ!?」
鏡を見るなり青ざめた顔になる映姫。
「どうかしましたか?」
「い、いえ。少し驚いただけです。それでは・・・はぁ」
ため息をつく映姫。それにあわせて冷や汗を書き始める小町。
「・・・小町」
「はいっ!?」
ビクッと体を震わせる小町。これから何が起きるかわかっているようだ。というか、完全に主人公が空気である。
「まったくあなたという人はどうしてそういつもいつもサボったりするんですしかも今度は鎌で遊んでいて船を叩き割ったなんてふざけているのですかふざけていますねあなたはそれにたまたま通りかかったこの天狗のせいにするなんてあなたはいつからそんな駄目な死神になったんですか最初からですかそれに・・・」
「トホホ・・・ってそうだ、映季様」
「なんですかまだ話は終わってませんよまさか言い訳をして逃げるつもりですかもう許しません今日という今日はたっぷりと「そうじゃなくて!この天狗が映季様に話があるらしいんですよ」
何時までも続くような説教から逃げるようにいう小町。
「それは本当ですか?」
「あ、はい。天魔様に伝言を伝えるようにと言われまして」
さっきまでの説教を見て唖然としていた鞍馬だが、はなしを振られたことによって戻ったらしい。
「伝言とは?」
「確か・・・『そろそろ結界の時期じゃなかったっけー?』と言っていました」
結界の時期、鞍馬は天魔から言われたその言葉の意味を知っていた。
「そうですね・・・そろそろだったでしょう。では私も伝言を頼みます。『そろそろ結界の時期なので、山を混乱させないようにしてください』と伝えてください」
「わかりました。では私はこれで」
そう言って鞍馬は山に向かって飛んでいった。
「もうそんな時期ですか・・・忙しくなりそうですね」
気を引き締めた映姫だが、
「ね~映姫様。何を話してたんですか?」
小町のゆる~い声で引き締めた気がゆるんでしまった。
「小町・・・あなたはもう少し場の空気を読んでから発言したほうがいいですよ」
「え~?あ、そういえば鏡を見て驚いてましたけど何だったんですか?」
「ああ、あれことですか・・・まあ、あなたなら大丈夫でしょう」
そう言いながら小町の耳に口を近づける映姫。そして、その口から放たれた言葉は、
「鏡に最初に映ったのは、辺り一面の血の海に立っている彼の姿でした」
あまりにも予想外の言葉だった。
誤字脱字、おかしな点などがあれば、かそくサメハダーの如く報告してください。
友達のかそくサメハダーに勝ったことが一度も無い(´;ω;`)ブワッ