鞍馬が地獄へ行ってから数分後。
「ねぇ、いるんでしょ?紫ちゃん」
飯縄は、誰もいない場所に向かって言葉を発した。数秒後、その場所がパックリと開き、目玉だらけの空間が出現した。そして、その中から出てきたのは、
「あら、やっぱりバレていましたか」
胡散臭い雰囲気を出す女性。妖怪の賢者、八雲紫だった。
「バレていましたか、じゃないでしょ。あんなに鞍馬君を見つめて。もしかして好きとか?」
「ご冗談を。私程度の妖怪が彼と一緒になれるわけないでしょう。私でも敵わないのに」
さりげなくとてつもない事を言った紫だが、周りに誰もいないからいいのだろう。
「あれ、じゃあなんで鞍馬君のことあんなに見てたの?」
「いえ、少し気になるところがあっただけですわ」
紫は顎に手を当てて、何かを考える素振りを見せながら言い出した。
「彼を山に入れたのはあなたでしたね」
「そうだけど、それが?」
「では―――
―――彼を二度目に山に入れたのも、あなたですか?」
その言葉を聞いた瞬間、飯縄は殺気を出し始めた。
「・・・何が言いたいのかな?」
徐々に増えていく殺気。その殺気に押されながらも、紫は言葉を紡ぎ出した。
「いえ、あなたは彼を、一度この山から追放した。なのに彼を山へ戻した。それは本当にあなたが―――
「それ以上話さないほうがいいよ?」
いつの間にか、紫の喉元には、どこから出したかもわからない刀が添えられていた。
「・・・ッ」
「僕ね、あの時の話をされると、話してる人を殺したくなっちゃうんだ。だから、その話はしない方がいいよ?」
小さい体からは予想も出来ない程の殺気を出す飯縄。紫は冷や汗を流していた。
「・・・わかりましたわ。その話はもう止めにしましょう」
「うんうん、それが一番いいよ」
殺気を収めて、いつもの様に机に寝転がる飯縄。紫は安堵の溜息を吐いた。
「では、私はこれで」
「うん、バイバーイ」
紫はスキマを開き、その中へ入っていった。紫がいなくなったのを確認したあと、飯縄は一人、呟いた。
「あの時の話で殺意を覚えるのは、僕よりも遥かに、鞍馬君のほうが強いよ。彼は、最も大事な人間を失ったんだから・・・」
誤字脱字、おかしな点などあれば怒ったナルガクルガ希少種の如く報告してください。
ここのネタを考えるのが難しい。