「「お帰りなさい」」
声がかかる。
「ただいま」
返す。
単純だけれど、
どこか嬉しい。
きっと人形になって仲間ができたから
会話ができるから
こんなに嬉しいのだ。
同時に、
この人達を守らねばならないと思う。
私が
一番強いのだ。
力を持つものとして、
しっかり守らねばならない。
そうしないと、私の存在意義がわからなくなる。
この時代に
この世界に
ジオン公国なんて存在しない。
張りぼての正義だってわかっている。
ジオンだって裏でいろいろやったんだ。
コロニー落としの裏で何があったかそれは、
秘密になっていて知ることもできなかった。
つまり、
それだけのことをジオンは犯しているのだ。
もし、裏で虐殺が行われていたとするならば
ジオンが残虐非道,乱暴狼藉を働いていたならば、
正義ってなんだろう。
私の存在意義がなくなる。
「ガウさん?
オーイ、ガウさん?」
ん!?
「ご免なさい、思考の海に沈んでた。」
ぼんやりしてた。
「何を考えていたの?」
教えたくない。
「色々だよ。」
「教えて?
そんな暗い思い詰めた顔で考え事して、
悩みなら、聞くよ?」
「いや、いいよ。」
「いいから。言ってみ?
誰かにいったら楽になるよ?」
そういうものなのか…。
「私の存在意義を考えていただけ。
私の掲げる正義は
偽物の
張りぼての
間違った
ものじゃないかって
深く考えただけです。」
「存在意義ねぇ…。
いいんじゃない?なくっても。」
そんなはずない。
「私というイレギュラーが存在する理由、
あなた達を守らないとという気持ちが
私の掲げる正義が
偽物の間違ったものじゃないか、
不安なんですっ!!!」
私は叫んでいた。
裏切られて堕ちたとき、
ガルマ大佐は
ジオン公国に栄光あれぇえぇ!!!
と叫んだ。
私の彼の考えるジオンは…。
正しいのだろうか。
そして、
私の存在意義は、
この世界で正しいのだろうか。
連邦だって全部が腐っていたわけではない。
つまり、ジオンだって腐っていたんじゃないのか。
静寂。
唐突に口を開く。
「間違っていますね。」
「何故!?」
「私たちは、艦娘です。
艦娘であり、人類のために戦う。
それ以外に存在意義は、必要でしょうか。
艦娘は、人類を護るための存在で
強者に守られる存在ではないのです!!」
叩きつけられる正論。
「…。私は、なんのためにっ
なんのために、、
ここにいるんですか!?」
「貴女も艦娘でしょう?
答えはわかるはずです。
それに
あなたの正義はあなたにとってのものでしかない。
私たちの日本軍だって
侵略戦争とも言われるし、
植民地解放の英雄とも言われている。
あなたのジオンだって同じでしょう?
殺す者がいて殺される者がいる
それだけで、戦争なんですよ。」
「…………。」
何も言えなかった。
そうだ。
忘れていたんだ。
彼女達は、
軍艦で
軍人で
それぞれの思いをのせて
戦って
戦って
沈んでいった
…。
私がこの世界の中に現れた理由なんてわからない。
ただ、
一つ言える。
この世に全ての人にとって都合が良いような
正義なんて存在しない。
そこにあるのは、
ただの良心だけだ。
そこに正解なんてなくて
間違い何てなくて
存在する意義なんて
必要なくて
「ご免なさい。」
過去に浸って私は、
彼女の誇りに
軍艦としての誇りに傷を着けた。
過去に囚われる
そんな事があってはいけない。
自分の力の限界だって知っている。
人は独りでは生きられない。
寂しくて
不安で
忘れていたんだ。
大切なことを。
「ありがとう。
あと少しで、間違えるところだったよ。」
静かに伝えた。
悩むことって
沢山ありますよね。
ときどき、
自分の存在意義や
自分は何なんだろう
とか…。
そんな話でした。