偽史・恋姫無双――乱世を照らす太陽――   作:味噌の素

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どうも味噌の素です、今回は前回から10年ほど時間が飛びます、ご了承ください。

追記:大幅に文章を改訂しました12/24


ある日どこかで

人の噂も75日、都では様々な噂が浮かんでは消え、消えてはまた浮かんでいった。

 

しかし、そんな大小様々な噂を掻き消すように、あるひとつの噂が都に留まらず、大陸中を揺るがさんばかりに鳴り響いていた。

 

ーー冀州、汝南袁氏には、天の御遣いがいる!ーー

 

ーー彼の者こそ、この乱世を終わらせるものなり!ーー

 

ーーなんでも、十二にして、冀州にて文武において、並ぶ者なしとのこと!ーー

 

 

曰く、その名も「光輝の皇子」と……

 

 

 

 

 

 

……夢を見ていた

 

僕の目に写るのは、もう10年あまりも前に天へ召されていった、亡き父上の優しい面影だった。

 

僕が物心ついたときには、もういなかった。

悲しくなかった、と言えば嘘になるけど、僕は決して寂しくはなかった。

 

厳しくも優しい、強い母上がいたし、支えてくれる人達がいっぱいいたから。

父上は、晩年でもあまり苦しむことはなく、安らかに逝ったそうだけど、ただ一つ、僕のことだけが心残りだ、と言っていたそうだ。

 

「父上……紅羽は、父上が居らずとも立派に務めを果たしていきます。だから、安心して見守っていてください!」

 

僕は、父上にできるだけ、心配をしてほしくなかった。

そんな気持ちを込めて、そう言うと、父上は、こちらに近づいてきて、優しく僕の頭を撫でてくれた。

子供扱いされたことに、少しムッとしたけれど、遠く懐かしい父上の、大きな手の暖かい温もりを感じていた。

 

しばらくそうしていると、今度は後ろからもまた、新しく肩に重みと暖かさを感じた。

振り返ってみると、母上も後ろから僕を、抱き締めてくれていた。

 

 

ーーしばらく、今しばらくはこのままでーー

 

 

そんなことを考えながら、僕は静かに目を閉じて、この暖かい静寂に身を委ねた。

だけど、しばらく経つと、さっきまでの温もりが、どんどん遠ざかっていくのを感じて慌てて目を開く。

 

「父上、母上、どこに……っ!?」

 

僕は、父上と母上を探して辺りを見回してみる。

 

するとそこには、とても悲しそうな顔で佇む、見たこともない衣服に身を包んだ、夫婦のようにみえる、二人組がいた。

 

ーーなんでだろう、この人達、どこかで会ったことがある気がする……ここじゃない、遠いどこかでーー

 

その二人を見ていると、なんだか不思議な感情ばっかり湧いてきた。

 

ーー会いたかったーー ーーありがとうーー ーー泣かないでーー

 

そして……

 

「"…ごめんなさい"」

 

その瞬間、僕の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

……朝か

 

紅羽は目を覚まし、窓の外を見やる、太陽が山から半分ほど、顔を覗かせているところであった。

にわかに宮廷の中も、物音が増えていく、上半身を起こし、体が徐々に覚醒していくのを、紅羽は感じながら、今日の予定を頭の中で確認していく。

 

(今日はまず、湯治を済ませた後に、麗羽姉様と美羽姉様達と朝食。その後に、炎樹(えんじゅ)と政治の勉強。そして母上と剣術の稽古をして、お昼を軽く取った後に、街の警邏を終えれば後は自由時間だ!)

 

と、頭の整理を兼ねて、予定を確認していると。

 

「坊っちゃん! 湯治の支度が整いましたぜ!」

 

「わかった! 炎樹、すぐに向かう!」

 

戸の向こうの廊下から、野太い声が聞こえてきた 。

 

(さて、そろそろ準備しなくちゃ)

 

完全に覚醒するのに、三分と経たずに立ち上がると、まずは、少し乱れている布団を直し。

次に、髪の乱れと、衣服の乱れを正そうと、鏡台と対面をする。

すると、そこには精巧な人形を思わせる、綺麗に整った顔と、その、中でも一際目を惹く、透き通るような、碧の右目と、燃え盛るような、紅い左目と目が合う。

 

(さて、髪の乱れは?)

 

少し上に目を向けると、上質な絹を思わせる艶の、腰ほどまである、輝くような金色の髪が目に入る。

だが、寝ているときに癖がついてしまったのか、あらぬ方向へ跳ねてしまっている。

 

(まったく、手入れも面倒だって言うのに、切ると皆がうるさいからなぁ…)

 

一つ溜め息を付き、馴れた手付きで髪をすいていく。

すると、一刻も経たぬ内に、涼やかな清流を思わせる、さらりとした状態へと生まれ変わっていた。

 

(あの人たちは、どうにも僕のことを着せ替え人形かなにか、と勘違いしているんじゃないか?)

 

次に、衣服の乱れを直しながら、そんな風に彼は考える。

だがそれも仕方ないと言うものである。

 

母性本能をくすぐられる、幼くも整った顔立ちに。

宝石も斯くや?というほどに綺麗な金色の髪に、今だ6尺程の背の丈である。

 

余談ではあるが、一度目にした町人から、兵卒、将に至るまで、その可憐な姿に心奪われないものはいないという。

 

(よし!準備万端だね)

 

そう心中で呟くと、廊下で待たせている炎樹の元へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

「おーっほっほっほ! 皆さん、今日も華麗な朝食会を始めますわよ!!!」

 

(毎度のことながら、華麗な朝食会ってなんなんだ?)

 

朝から宮殿を揺るがさんばかりに声を張り上げ、豊かな胸部を強調するように反らし、金の巻き髪を元気に揺らしているのは、この冀州を治める王、袁本初である。

 

「朝っぱらから五月蝿いのじゃ、姉上ぇ~」

 

と、眠たそうに目を擦っているのが、袁本初の従妹であり、袁顕奕の従姉にあたる袁公路であるが、従姉に当たる袁紹によく似ているものの、体つきや顔立ちは袁紹に比べてかなり幼く見える。

 

「麗羽様ったら、朝から元気だなー、さっきまで起こすの大変だったのに…」

 

「文ちゃんもさっきまで、麗羽様と一緒になって寝てたよね…」

 

「はいはーい、美羽様はこちらの蜂蜜水を飲んで目を覚ましましょうね~」

 

などと暢気にやっているのは、三人とも袁紹配下の将、または袁術配下の将である。

 

文ちゃんと呼ばれた、薄い緑の短髪に、細長い紺色の布を巻いた少女が文醜。

 

青みがかった髪を、肩の辺りで切り揃え、溜め息をつく少女が顔良。

 

青い髪を、短く切り揃え、主君である袁術に、蜂蜜水を振る舞っている女性が、張勲である。

 

「麗羽姉さんは二刻の遅刻! 美羽姉さんは一刻の遅刻です! 斗詩さん…は良いとして、七乃さんはなんでもっと速く、美羽姉さんを起こさないんですか! それと猪々子さん! あたなたはもっと早く起きてください! これが大事な会議や戦の前だったらどーするんですか!?」

 

紅羽は端正な顔を、憤怒に歪ませながら怒りの念を露にする。

だが、そんな彼の態度にも周りの面々はどこ吹く風といった具合に。

 

「あーら紅羽さん、そんなにわたくしに速く会いたかったんですの?」

 

「ち! 違います!ただ僕はこのあとの予定に、支障が出るのでいっているのです!」

 

「へへ! いつもだったら後二刻は起きなかったところを、今日はいつもより早くおきましたよ、紅羽様!」

 

「それならば! もう後二刻は早く起きるようにしてください! 斗詩さん! 貴女が最後の良心です! しっかり麗羽姉さんをしつけてください!」

 

「でも、紅羽様……どんなに頑張ってもこれ以上は無理ですよ……」

 

「もう仕様がないですね……で? 美羽姉さんはなんで時間に遅れたんですか?」

 

「うむ! 昨夜は遅くまで七乃達と蜂蜜祭りをしておったのじゃ!」

 

「美羽様ってば、蜂蜜のこととなると後先考えられなくなりますもんねぇ~」

 

(……お父様、叔父様方もうこの国はだめかもしれません)

 

と、一人苦悩する紅羽であったが、それに答えてくれる者は閑古鳥の、カッコウというもの悲しい響きだけであった。

 

 

 




いや~予想していた半分も進まなかったです、書いてる内にどんどん書きたいことが増えていくって言う…

とりあえず、若干チートと言ったところで、どれくらい?とイメージしにくいかと思いますので、簡単な6段階での紅羽の評価を。

統率6 武力4(6) 知力4 政治3 魅力6

といったかんじです、華琳様より統率と魅力を少しあげて、その分知力と政治をさげた感じです、武力の(6)については後程物語のなかで明かされます。正直これほどの武将がいても袁家が生き残れるビジョンがみえない…

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