偽史・恋姫無双――乱世を照らす太陽――   作:味噌の素

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現在文章を大幅に改訂中ですが、同時進行していた最新話が書き終わったので、先にこちらを投稿しようかと思います。

最新話をご覧いただくに当たって、大幅に書き直した一話と二話を先にご覧いただいた方が分かりやすいと思いますので、お手数ではございますが、一度見た、という方も、一話と二話を見て頂くことをおすすめします。

ご迷惑をおかけします。


蠕動する悪意

幽州啄郡。そこは近年、"白馬義従"の名高い公孫讚将軍の治める土地であった。

 

ーー公孫讚 伯圭ーー

 

北から漢を脅かさんと、侵攻を続ける異民族達、その魔手が今だに大陸全土に伸びていないのは、ひとえに彼女の功績が大きかったからだろう。

その功績は、市井の民の噂では、郡や県を飛び越えて、州の牧となる日も近いのでは?と真しやかに囁かれる程であった。

 

「…………」

 

しかし、時の人、白馬将軍、公孫讚の顔は現在、とても晴れやかと言えるような顔ではなかった。

 

それというのも今朝方、つい3日ほど前に討伐した黄巾賊、その残党100余りを追撃すべく、200程の追っ手を差し向けたのだが、壊滅の憂き目に遭ったという信じられない報告が舞い込んで来たからであった。

 

(どういうことなんだ、皆目検討もつかない……)

 

その信じられない報告には続きがある。

 

僅かに残った、帰参してきた将兵達の報告によると、幽州と冀州の国境近くの山中。そこで残党を捕捉し、追撃を仕掛けようとした矢先、正体不明の500人程の部隊によって壊滅させられたとのことだった。

 

黄巾賊の残党は、その混乱に乗じて、冀州の方へ逃げていった、とのことだったが…

 

(旗も掲げない、鎧や武器なんかにも統一性が見られない……かといってあの辺に500人規模の山賊団がいる、なんて話も聞いたことがないしなぁ……)

 

正規の軍隊であるならば、武器や鎧の意匠や色をある程度揃え、旗を掲げているものである。

しかし、報告によると旗も掲げず、武器や鎧の意匠なども全くのバラバラである、とのことなので、更に公孫讚の心中は混乱していた。

 

(だめだな、答えが全然見えてこない……はぁ、こういうときに子龍がいてくれたら、「相変わらず、伯圭殿は残念ですな……」とかいって助言してくれるのにな……って! 残念とか言うな!)

 

考えても仕方がないことは公孫讚自身がよく知っていた。

しかし、あまりにも理解が及ばないことに、つい過ぎてしまったことについて考えてしまっていた。

 

(はぁ~、子龍は今頃どこにいるんだろうな?)

 

今はいなくなってしまった、"雲"

その行方に思いを馳せて、公孫讚は今日で何度目かもわからない、深い溜め息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「洛陽の妖姫」

 

その妖しくも、美しい姿を見たものは誰しも、魔に侵されたかのように、おかしくなる、と都の高官や将軍、宦官の間では、密かに話題となっていた。

 

ある日を境に突然、暴虐になったり、無気力になったり。

まるで、人が変わってしまったような有り様を、"妖姫に魅入られる"と囁いたが、口では怖がりつつも、皆眉に唾をつけつつ、面白おかしく「洛陽にいることは確からしい」「名門、甄氏の娘である」などと口の端に昇らせるが、誰しも下らない与太話だと思っていた。

 

しかしその噂の真実が、洛陽、いずれは大陸すべてを脅かす、目に見えぬ毒となることを、全てが手遅れになるまで、彼らは知る由もなかった……

 

 

 

 

 

「うん、私の可愛いペットちゃん達は順調ね!」

 

全くの光が差し込まぬ部屋、その部屋で光源となっているのは、部屋の中央の机に置かれた大振りな水晶の珠だけであった。

 

その水晶の光が、毒々しい桃色の長い髪と、狂喜に歪んだ目と、挑発的で嗜虐的な色を隠そうともしない顔、露出の多い黒い拘束具のような服に身を包んだ、豊かな肢体を照らしている。

 

この女こそ、「洛陽の妖姫」と呼ばれている女、甄姫であった。

 

「んふふ♪ この調子でいけば、予定より全然早く、あの子に会えそうだわ!」

 

甄姫がそう言って、一度手を振る。

すると水晶が先程まで映していた、「公」の旗を掲げる軍団を、散々に打ちのめす、生気を感じられぬ顔色をした軍団の映像から。

金色の髪を有し、碧色の瞳と、赤色の瞳を有する、小柄な少年の姿を映す映像へと切り替わる。

 

「ああ、紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 紅羽ちゃん! 私の可愛いお人形さん! 貴方のその可愛い、可愛いお顔が絶望に、痛みに、哀切に、憤怒に、憎悪に歪んだら、どんなに素敵なお顔になるのかしら!」

 

途端に、発狂したかのように、ひたすらに桃色の吐息を吐き、肢体を悦に震わせ、顔を快楽に歪ませて、指を沈めていた秘部から淫らな水音を響かせる。

 

「貴方が積み上げたもの、何もかも! 全部、全部!

奪ってあげるわね! そうして絶望に浸る貴方の顔を見ながら、最後に残った貴方自身の、心も体も、余すことなく全て犯し尽くしてあげる! そうしたらきっと、どんなにキモチイイのかしら! だから……んっ! ふぅ……だからそれまで待っててね、紅羽ちゃん」

 

びくびくと体を痙攣させたまま、女はもう一度、顔を狂喜に歪ませ、少年の映っている水晶に口付けをし、頬擦りをしながら、とても愛しそうに抱き締め、先程とはうって変わって甘く、優しく語りかける。

 

「貴方はね……私に全てを奪われ、犯されるために生まれてきたのよ? 貴方を美味しく、美味しく食べるために、私が色々してあげたんだから……だから、ね?」

 

まるで慈母か、聖母の化身かと錯覚してしまう程に、慈愛に溢れた表情で、女は最後にこう呟いた。

 

「目一杯、美味しく育ってね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦乱とは常に、少数の悪意によって広がっていく。

多くの者は「家族のため」「主のため」「国のため」「生活のため」

理由は様々だが、大多数の者はきっと、そんな純粋な思いで戦っていく。

 

しかし、少数の悪意ある者達が「奪いたい」「傷つけたい」「殺したい」と願う

 

 

 

ここ洛陽でも、そんな唾棄すべき、悪意の種が芽吹き、血飛沫色の華を咲かせ、死という名の花粉を撒き散らそうとしていた。

 

 

ーー戦乱の世は、ゆっくりと、だが確実に近づきつつあったーー

 

 

 




異民族に強かった、ていう公孫讚さんのアドバンテージは、もっと評価されても良いと思う(笑)あと劉備の学友だったていうところもポイント高い。
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