帝都に着くとやはりこの世界ではここは先進国だと改めて認識される...とネメシスは思った。
まず人の数。かつてここを出る前もそうであったが今も同様、いやそれ以上の人々で賑わっていた。他の国々でもここまで人が賑わい、集まる地はそうそう無かった。
ネメシス(発展...という視点で見れば西の...錬金術が盛んなあの国がここに次いでいるな。)
...そういえばさっきから少年...タツミは目をキラキラと輝かせながら辺りを見回している。
さながら都会に憧れ上京してきた若者。いや、ある意味そうなのだが。
先の土竜の襲撃の一件でついでに共に帝都に向かう道中タツミが帝都に来た理由を聞いた。
タツミはこの帝都から離れた地方の村出身らしい。村は重税で苦しんでおりそこでタツミと他2名が帝都で稼いで村を救うためにこの帝都で名を上げに来たとか....
ちなみに連れだった2名(サヨとイエヤスというらしい)は道中襲われた賊に襲われた際はぐれたのだという。
タツミは「アイツらなら大丈夫。きっと今頃帝都についてる頃さ!」と言っていた。まぁどちらにせよ私には関係ないことなのだが。
ネメシス「さて、ではここらでサヨナラだ。」
タツミ「え?ちょ、ちょっと待ってください!」
急にどこかへ行こうとするネメシスをタツミは必死に引き止める。
ネメシス「なんだ?」
タツミ「ネメシスさんはこの帝都で暮らしていたんで者?おれは帝都なんて初めて来たからどこをどう行けばいいのか分からないんですよぉ!」
ネメシス「そんな泣きついてきても...。そもそも一緒に行動するのは帝都に着くまでと言っただろう?
さっさと離れろ。」
そう言いネメシスは自分に抱きついていたタツミを強引に突き飛ばす。
いきなり強く突き飛ばされたためタツミはその場で尻もちする。
ネメシス「お前は兵士になりたいんだろう?だったらこの大通りを真っ直ぐ行けば雇ってくれる兵舎が確かあったはずだ。」
タツミ「ネメシスさん....!ありがとうございます!」
クソッ...と呟きながら頭を抱えるネメシス。10年以上も人間の感情を抱きながら過ごしてきたためここのところだいぶ丸くなってきた。ネメシスはそんな自分に少なからず嫌悪感を抱いてしまったがすぐに「まあいいか」と切り下げた。
ネメシス「そうだタツミ。最後に言っておくがくれぐれもこの街の人間には....
アレ?」
気づけばタツミはもうネメシスの前にはおらず、既にネメシスから離れた所まで走り去っていた。
ネメシス「はぁ....元気な若者なのはいい事だが些か元気すぎるな。」
最後に「この街の人間には用心しておけ。」と言っておきたかったのだがな。
ネメシスは帝都に帰ってきてすぐ察した。10数年前、ネメシスが帝都を旅立つ前と比べてこの帝都に漂うマイナスエネルギー....つまり人の負の感情が濃く漂っている感じがした。
世界を旅している中帝都から来た行商人やらから聞いた程度だが....
ある大臣が現れて以降帝都は腐りきってしまった とか半ば世紀末のようになった とか革命軍なるレジスタンスまでができそれが敵対している等、あまり良い印象がない噂しか流れていなかった。
こうして帰って肌で感じてみると分かる。人間が作ったもので、ここまで腐敗したマイナスエネルギーは稀だ。余程とんでもない奴なのだな その大臣とやらは....。
リュートやアル達が心配になってきた。アイツらなら余程のことがない限り大丈夫だろうが....。
とにかくリュートの家に行ってみよう。
ネメシスは足を早めてリュートの家まで向かっていった。
ネメシス「なん...だと?」
どういうことだ?確かにここにリュートの家があったはず....いやあったんだ。
だがこれは一体どういうことなのだ?
何故、「リュートの家が無いんだ」?
ネメシスは通行人に問う。ここにあった家があったはず。何故消えている?と。
何度も聞き込みをし、ネメシスはやっと知ることとなる。
10年前。ネメシスが去ってからたった1年後。凶賊がリュートの家を襲い火を放ったのだという。ならリュートは?セリューは?アルは? アイツらは何処に行ったのだ?
彼らの行方は通行人、近所の人々に聞いても結局分からなかった。リュートらの気を探そうにも以前よりも様々な人が行き来するようになっているため判別しにくい。
ネメシス「...足で探すしかないか。」
できれば警備隊と会えば簡単に済む話なのだがな....。
ネメシスは帝都の中心一帯を歩き回りながら探し回る。ところがそれらしい人を見たという情報はおろか今日は見回りをしていないのか警備隊とも遭遇しない。
ネメシス「いくら何でも運がなさ過ぎるだろ....クソッ!」
それでも歩みを止めないネメシス。1時間、2時間....いやヘタすればもっと時間が過ぎただろうか?もう日は沈み人もあまり見かけなくなった。
ネメシス「これだけ探しても手がかり無しとはな。仕方ない。一旦拠点に帰るか?」
帝都から少し離れた場所に作った拠点。もしかしたらそこにアルやリュートらもいるかもしれない。そんな僅かな希望を抱き拠点へ向かおうとするネメシス。
ーーふと視線を横に逸らすと見知った人物を見つけた。
ネメシス「...タツミ?」
タツミ「あ、ネメシスさん!」
道端に座り込んでいた少年....帝都につき、別れた少年 タツミだった。
タツミ「ネメシスさん...はは、随分早い再会でしたね。」
ネメシス「まったくだ。まさかこんな早く再開するとは思ってもみなかった。
なんでこんな所にいる?確か兵士に志願しにいったんじゃ.....。」
タツミ「あー...そのぉ...。じ、実は....。」
タツミはネメシスと別れて以降、自らに起きた事を全て話した。
話を聞き終えたネメシスの表情は呆れ返ったものだった。
ネメシス「お前....。兵士の経験もない地方民がいきなり隊長クラスにさせてくれって言うのはあまりに図々しくないか....。しかも今のこの時代、新人をそんな階級にして雇ってくれる訳ないだろ....。」
タツミ「や、やっぱりそうですかね?」
ネメシス「それにその後見知らぬ女に有り金全部あずけた結果そのまま盗られたと。
バカかお前は。」
タツミ「それに関しては...面目ないですハイ。」
ネメシス「とにかく明日は一般兵に志願してもらえ。下っ端から地道に手柄を建てていくがいい。お前程の者なら将軍クラスになるのも夢ではないかもしれん。」
タツミ「え?ま、マジですか!?」
ネメシス「そもそも土竜を一瞬で倒したんだ。少なくとも見積もってもそのくらいの実力は持ち合わせているだろうな。」
タツミ「そっか....。そういえばネメシスさんってあんなに強いのに軍とかに所属してないんですね?」
ネメシス「私はそんなものに興味はないからな。...さて世間話が長くなったな。私はそろそろ...。」
これ以上タツミと関わっても時間の無駄なのでさっさと立ち去ろうとするネメシス。
「あなた達行くところがないの?なら私の家に来ない?」
ネメシス「ぬ?」
タツミ「え?」
直後、後ろから少女が呼びかけてきて動きが止まる。身なりからしてどこかの貴族の娘だろうか。
タツミ「....ホントにいいんですか?おれを騙したりしてない....ですよね?」
先程女に騙されたため少し疑心暗鬼なタツミ。まぁ当然だろう。この時期に、どこから来たのかもしれない者を招きいれる貴族などこの帝都ではほとんど居ないだろうしな。
「アリアお嬢様の言うことに従っておけ。」
「お嬢様はお前達のような奴を放ってはおけないんだ。」
...と後ろから少女 アリアの護衛の兵士が言う。
間もなく、タツミは喜んでアリアのもとにお邪魔することを決めた。
やれやれ、もう少し警戒をだな....。ん?待てよ?「あなた『達』」ってことは。
ネメシス「まさか私も誘っているのか?」
アリア「当たり前でしょ?遠慮しなくてもいいのよ♪」
ネメシス「いや私には一応帰る場所がある訳だし、そもそも元々はこの辺りに過ごして...」
「お前もアリア様の優しさに免じておけ。」
アリアの後ろから、凄い形相しながら兵士がネメシスに語りかけてくる。
これは断ったら色々と面倒くさそうだ。
ネメシス「...わかったわかった。今晩だけ私もお邪魔させてもらうとしよう。アリアお嬢様....。」
アリア「決まりね!それじゃ帰るとしましょう!」
ネメシスは流れに身を任せ、なんやかんやでタツミと共にアリアの屋敷に向かうのだった。
続く
はいネメシスがアリア邸に連行されましたね。最初考えていたストーリーではネメシスはこのまま拠点に戻る流れだったんですが原作キャラと絡ませたかったのでこうなりました。
アルとの再会はまだ少し先になるそうです。