今回の主役はアルちゃんです。
翌日
私....アルは幼馴染みのセリューさんと共に街のパトロールをしています。今の所異常はなし。たまに路地裏で不良達がたむろしていましたが私が姿を見せただけですぐ退散していきました。...はて、彼らに怖がられるようなことはしていない筈なのですが....。
とにかく颯爽と逃げてくれて助かったと密かに思ってもいます。セリューさんは悪というものを憎悪しており盗っ人やあの不良程度の者にすら死という断罪を与えようとする程です。
そんな彼女の暴走を止めるのは私の役目でもあるのでその手間が省けたので少し楽です。
セリュー「アルちゃん!今日も街は平和だね!」
アル「そうですね。あとセリューさん、勤務中はちゃん付けしないでください。」
セリュー「あっ...申し訳ありませんでした、副隊長!」
帝具 ヘカトンケイルことコロを抱き上げながら彼女はそう言い敬礼する。
アル「フフ、今日も元気でよろしい。ではもう一回りしてから詰所に戻りましょう。」
セリュー「了解!
あの、副隊長...少し聞きたい事があります。」
アル「? 何でしょう。」
セリュー「実は先日、ドクターの所へ『調整』をしに訪ねた時ネメシスさんに会いました。」
アル「! ....そうですか、主に会いましたか。」
セリュー「やはり副隊長....アルちゃんも会ったんだね。」
アル「ええ。私もつい最近だけど再会し、今は共に暮らしています。それがどうかしましたか?」
セリュー「ネメシスさん、パパが死んだって事を知って悲しがってた。私にも謝ってた。傍にいなくて悪かったって。
でも...ネメシスさんはパパの仇を取ろうと思っていないのかな....?」
そうか。彼女の父、リュートの友人であった我が主ネメシスは彼の死を知った。私の口から説明を受けた時彼は悲しみこそすれど表情や態度は平然としていた。恐らくセリューと話していた時も同様の態度だったのだろう。
そんな主の態度を見て彼女は疑念を抱いているのだ。もう
アル「そんな訳ありませんよ。主にとってリュートさんは最初の理解者であり大切なご友人です。今は平然な態度を取っているだけで、リュートさんを殺害した者に怒りの炎を抱いているに決まっています。」
本当にそう思っているのか、私にもわからない。でも私にとってもリュートさんは大事な人だった。きっと主はそれ以上に大切に思っていたはず。私はそう信じ、セリューさんの問いにそう答えた。
セリュー「そう...だよね!ネメシスさんって昔からあんな感じだったのに....疑っちゃった!そうだよ、ネメシスさんだって絶対怒ってるよ!」
アル「そうですよ。それじゃパトロールを再開しましょうか?」
セリュー「了解です!」ビシッ
それから小1時間程、街を見回り特に異常が無いことを確認して私達は詰所に戻りました。
アル「副隊長 アル、セリュー・ユビキタス両名ただいま戻りました。」
「おかえりなさい副隊長。どうでしたか?」
アル「特に異常は無かったですよ。」
セリュー「あの、オーガ隊長の姿が見えませんが....隊長はどちらに?」
「あぁ、隊長なら今日は非番でメインストリートに行っていると思うよ」
セリュー「そうだったんですか...」
アル「...さて、それでは私も今日は早めに切り上げます。」
「おや、随分お早いですね。何か理由でも?」
アル「家の方での仕事がありまして...」
「そうだったのですか。お疲れ様です。」
アル「えぇ。また明日。」
私はそう言い、セリューさんにも挨拶をして詰所を出ました。
....私は嘘をつきました。確かに屋敷の方での仕事もあります。しかし本当の目的は別にあります。
リュートさんの仇....。主は本当に復讐しようとしているのか否か....真偽は定かではありませんが関係無くなります。何故なら主の手を煩わせる前に私が仇を討つからです。
私は警備隊に入隊してから密かにリュートさんを殺した者の正体を探っていました。そして主が帰ってくる1週間程前....私はリュートさんが殺されるよう手引きした者の正体を掴んだのです。
真実はあまりにも残酷でした。探っていた当初はセリューさんと共に犯人達を断罪しようとしていました。しかし、この事実知って彼女を巻き込むことを止めました。
彼女は彼を慕っているのです。彼女がこの事実を知ってしまうと....おそらくショックを起こし暴走してしまうでしょう。
これ以上....彼女が壊れていくのを見たくない。だから私は独断で行動を起こしました。
リュートさんの仇の1人....警備隊隊長 オーガを殺すために。
メインストリートに着くなり難なくオーガを見つけた。メインストリートには多くの人が行き来しているが目標のオーガは大柄で特徴的な人物だ。見つけるのに時間はさほどかからなかった。
オーガ「おぉ。アルじゃないか。どうしたこんなところで会うたぁ珍しいじゃねぇか」
アル「オーガ隊長、突然すみません。実は隊長に報告したい事がありまして....。こう人が多い所ではあれなので人気の無いところに....」
オーガ「あ?あぁわかった。」
オーガは何の警戒もなく路地裏まで付いてきた。数年間忠実に従い働いてきたのだ。まさか殺されるとは思ってもいないだろう。
オーガ「おいおい...こんな所まで来て、一体何の報告だ?」
アル「...」
殺す前に....どうしても聞きたいことがある。
アル「隊長。隊長はセリューの父 リュート・ユビキタスとは同僚で友人だったと聞きます。」
オーガ「き、急にリュートの奴の話なんかしてどうした?それがどうかしたか?」
アル「いえ。ただ
どうして彼を殺すよう差し向けたんですか?」
オーガ「!!!!!」
アル「私は知っていますよ。彼を殺した主犯までは分かりませんでしたが....隊長、あなたがリュートさんを売ったということを。」
オーガ「....そうか...知っちまったのか...」
アル「何故彼を売ったのですか?彼はあなたの友人だったはず。なのに何故?」
オーガ「....く、くくくく。友人だと...?ふざけるんじゃねぇ。おれは奴が気に入らなかったんだ...あの偽善者の大バカ野郎がな!
アイツを差し出せば大金が手に入るって聞いたから売ったまでだ!それだけだ!」
アル「そうですか.....。なら貴方は主犯の正体も知っているはずですね。教えてくれますか。」
オーガ「言うわけないだろ?それに、その事を知ったお前を生かして置く訳にはいかないなぁ!」
オーガはそう言い、剣を構える。
アル「教えてくれないなら結構です。私も貴方を殺しに来たのですから。
それにしても残念です。セリューさんは貴方を慕っている。彼女は悲しむでしょうね...」
オーガ「セリュー...アイツもリュートと同じだったな!反吐が出そうな偽善者気取り....リュートと被ってイライラするぜ、あの馬鹿女は!」
ピクッ
アル「....なんだと?」
オーガ「だがそれはお前も同じだな!くたばれ!」
オーガはその巨体に似合わない速度でアルに接近し、彼女の首目がけ剣を振るう。しかし、その剣がアルの首に触れることはなかった。
ゾオッ
オーガ「.......!!??」
アルに近づいた瞬間、例えようのない悪寒がオーガを襲った。
「馬鹿だと?」
「あの子が....セリューが?」
「....許さない」
「私の幼馴染みを....友人を.....」
ズザザザザザザザザザザザ ンッッ!!!!!
アル「馬鹿にしたな...!!!」
オーガ「がはぁ...!?」
それはまさに一瞬だった。オーガは自身が気づく事も出来ないまま、四肢を切断されていた。
オーガ「ガハッ....アヒ、アヒィィイイイ!!」
手足が斬られ、もはや身動きもできないオーガ。そんな彼に止めを刺そうとアルがゆっくり近づく。
オーガ「ま....マテ!殺さないでくれ...ゆ、許して...たす....けて、くれぇ....!!!」
無様にも命乞いをするオーガ。しかしアルは冷たく言い放つ。
アル「許しは....リュートさんに乞いなさい」
ザンッ
アルはオーガの首を跳ねた。呆気なく、いとも簡単に。
アル「....もっとも貴方は地獄落ちでしょうけどね」
オーガが惨殺されまもなく、四肢を無残に切断されたオーガの斬殺死体が見つかり、帝都は騒然とした。
続く
久しぶりとあってか随分長くなってしまった。
ネメシス「私の出番は全く無かったな」
そして続きですが、次回の投稿日も未定です。できだけ早く続きを投稿できるようにします。