ハイスクールD³   作:K/K

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出演、競争

 『禍の団』によるレーティングゲーム襲撃から数日が経過していた。シンは仲魔と無事に合流を果たし、受けた傷も既に癒え、いつも通りの日常を送っている。

 あの件で、有望株と思われていた若手悪魔のディオドラ・アスタロトは反逆者として拘束され、旧四大魔王であるクルゼレイは死亡。もう一人のシャルバは、魔人などの襲来の混乱に生じて逃走を許してしまった。

 あの場にシンもいたが、正直フリードとマザーハーロットに完全に気を取られていて存在の認識すらしていなかった。

 また、イリナとディオドラの眷属たちも無事に見つかり、ディオドラの眷属たちは事情もあるので、サーゼクスたちが一旦身柄を保護する形となり、今後どうするかを検討するという。

 近くに体育祭を控えたある日の休日。シンの家のチャイムが鳴る。

 

「はい」

 

 玄関のドアを開けると、その向こうには異様なメンバーが居た。

 サーゼクスにグレイフィア、セラフォルー。もう一人は、シンが見た事の無い中性的な容姿をした金髪の美形。

 

「やあ」

「こんにちはー☆ シン君☆」

「どうも」

 

 朗らかに笑うサーゼクスと明るく挨拶をしてくるセラフォルー。シンは軽く頭を下げて挨拶をする。

 

「急な訪問で申し訳ありません」

 

 グレイフィアが恭しく頭を下げた。

 

「お構いなく。暇でしたので。それで──」

 

 シンの目が金髪の美形に向けられる。視線に気付き、その美形は品の良い笑顔を見せる。

 

「初めまして。私はミカエル。天使の長をしております。デュリオがお世話になりました」

「ああ、成程」

 

 シンは事件後にデュリオと碌に話さずに別れたことを思い出す。上に無断で来たので見つかったら不味い、と言い残して逃げる様に去っていったが、どうやら筒抜けであったらしい。

 

「イリナも貴方のお世話になっているとか。色々と感謝していましたよ、貴方に」

「ちょっと手を貸した程度ですよ」

 

 素っ気なく謙遜するシン。

 

「こっちもそちらに色々と心配を掛けている様なので」

「──その件について気に障ったのなら、ここで謝罪します」

「──すみません。意地の悪い言い方をしました。別に気にしていませんよ」

 

 ミカエルがイリナにシンの監視もとい見守る指示を出していたことについて、皮肉混じりの冗談を言うと、ミカエルは即座に謝罪する姿勢を見せる。そこまでさせる気など微塵も無かったので、すぐにシンも前言撤回する。天使は基本的に生真面目な者が多い、というアザゼルの言葉を思い出す。

 

「傷の方は、もう大丈夫みたいだね」

「ええ。アーシアの神器ですぐに良くなりましたので」

 

 ドアを開いていたシンの腕をサーゼクスは見ていた。

 フリードによって両腕で折られたが、先に言った様にアーシアの神器ですぐに骨もくっついた。重傷を負わされた一誠も、フリードによって目を負傷させられたリアスたちも、後遺症も無く傷は完治している。

 

「少し君と話がしたいんだが……いいかな?」

「どうぞ。狭い家ですが」

 

 すぐに応じ、家の中に案内する。両親はいつも通り不在であるので特に問題は無い。

 居間に着くとピクシーたちがソファーに座っている。

 

「あ、サーゼクスだ」

「ヒホ! レヴィアたんもいるホ!」

「ウガッ」

 

 セラフォルーの顔を見た途端、嫌そうな声を出すケルベロス。すぐに離れようとするが、その前に電光石火で接近してきたセラフォルーに抱き締められる。

 

「三人とも久しぶりー☆ 相変わらずフカフカモフモフだねー、ケルベロス君☆ 柔らかーい☆」

 

 頬擦りをしてくるセラフォルーにケルベロスは不動の構え。もう彼女専用のぬいぐるみにでもなる決心が付いたらしく、心を完全に無にしてされるがままとなっていた。

 

「ジャックランタン君は?」

「あいつならギャスパーの所に居ます。家とギャスパーの家を気分次第で行ったり来たりしているので」

「へー。ギャスパー君とも仲が良いんだ☆」

「一時期ジャックランタンと一緒に引き籠っていましたし、一番仲が良いんじゃないですか?」

「そうなんだ。初耳」

 

 とは言うものの、ジャックランタンはいたずら好きであり、ギャスパーを良く振り回しているが。

 

「とりあえず、そこにどうぞ」

「すまないね」

 

 多人数が座れる場所は、食卓とそれ用の椅子しかないのでそこに座る様に促す。

 言った後に気付いたが、四人に対して食卓の椅子が予備も入れた四つしかない。シンも入れれば五人。

 

(まあ、立って聞けばいいか)

 

 そうシンは思っていたが、四つ目の椅子に誰かが座ることは無かった。

 

「グレイフィアさん?」

「私のことはお構いなく」

 

 グレイフィアは椅子に座らず、サーゼクスの背後に立っていた。こここそが自らの定位置と言わんばかりに。

 ならばもてなす為にお茶かコーヒーの一つでも淹れなければ失礼かと思い、キッチンの方を向く。すると、さっきまでサーゼクスの背後に居た筈のグレイフィアがそこに立っていた。

 

「このキッチンのものを拝借してもよろしいでしょうか?」

「一応、こっちがもてなす側ですが……」

「押し掛けてきた上に、間薙様にもてなしてもらうのは少々図々しいかと思ったので」

「ここはグレイフィアに任せて貰えないかな?」

「間薙様は、お掛けになってお待ちください」

 

 大して美味くも無いお茶やコーヒーを淹れるぐらいなら、任せた方が賢明かもしれないとシンは思う。他人の接待など碌に経験したことが無い者がしても、失敗するのが目に見えている。

 

「じゃあ、お願いしてもいいですか?」

「はい。すぐに準備します」

 

 初めて使うキッチンなのに、グレイフィアは長年使用していたかの様に手際よく準備をしていく。何処に何があるのか分かっているのか、動きに無駄が無い。

 シンが空いた椅子に腰を下ろす。すると、ぬいぐるみの様にセラフォルーに抱き抱えられたケルベロスと目が合った。小柄なセラフォルーが三メートル程あるケルベロスを軽々と抱えている姿は中々シュールである。

 ケルベロスの目がどうにかしてくれと訴えてきている風に見えたが、見て見ぬふりをした。あそこにいるのはケルベロスではない。セラフォルー専用のぬいぐるみと思うことにする。

 

「それで、今日は何の御用ですか?」

「あの後のことを幾つか君に報せようと思ってね」

 

 サーゼクスが言っているのは、恐らくディオドラの件についてであろう。ディオドラに関わった者として、その後について報告しに来たらしい。

 

「わざわざサーゼクスさんたちが来なくても良かったのでは?」

 

 悪魔の最高責任者や天使の長が足を運ぶ仕事とは思えなかった。

 

「いや、今回の件について君には本当に申し訳ないことをしたと思っているんだ。本来ならば巻き込まれる必要が無かった筈なのに巻き込んでしまった」

 

 一瞬だが、サーゼクスの目がシンの右脚に向けられた気がした。

 

(まあ、当然だが筒抜けか)

 

 あの戦いの後にシンも何があったのかを教えたが、最低限のことしか言っていない。フリード、ドーナシーク、マザーハーロットの赤い獣、蘇ったフリードとの戦いの詳細を省いて言っただけ。その過程で赤い獣に右脚を喰われて再生したことは言っていない。誰かが言ったのか、もしくはバトルフィールド内のことが映像記録として残っていたのかもしれない。

 考えれば戦いに巻き込まれる発端となったのはディオドラの罠──恐らくはフリードとドーナシークの私怨によるもの──だったことを思い出す。連戦による命の綱渡り状態をよく駆け抜けたものだと、シンは他人事の様な感想を抱いた。

 

「それに、君にはディオドラ・アスタロトを通じて悪魔の負の面を見せたからね」

 

 悪魔の負の面。その言葉だけ聞くと皮肉に思えてしまう。

 シンもディオドラの所業については知っている。アーシアを策略によって教会から追われる立場にしたこと、教会に関係する女性を自らの欲望の為に眷属へと変えたこと。

『悪魔の駒』の悪用とも言うべき行為だろう。

 

「ディオドラだけでは無い。過去にも同じ様に好みで同意も無く眷属にしたり、神器所有者を無理矢理眷属にしたりする悪魔も居た」

 

 敢えて隠さずに話すことで誠意を表しているサーゼクス。

 

「そういう悪魔には、それ相応の処分を与えて数は減少したと思っていたのだがね……」

「締め付けを厳しくした結果、隠し方も上手くなったということですか?」

「残念なことにね」

 

 何々をしてはいけない、と禁止すれば大概の者は罰を恐れてそれに従うだろう。だが、あくどい者、ずる賢い者は必ず抜け道を見つけ出して、禁止されたものに手を出す。悪魔だけに限らず人間でもよく聞く話である。

 

「──失望したかい?」

「特には。嫌な悪魔一人見ただけで全部嫌っていたら、それよりも先に人を見限っていますよ」

 

 一を見て十もそうだと決めつけるのは簡単だし楽である。しかし、シンはそんな風に単純にはなれなかった。

 

「それに部長たちのことは嫌いじゃないので」

「──その言葉だけで大分気が楽になったよ」

 

 サーゼクスは微笑を見せた。

 

「ディオドラ・アスタロトに関しては現在『禍の団』についての情報を聞き出している最中だ。彼は、冥界へのテロ行為だけでなく現魔王に関与する者たちの不審死、グラシャラボラス家次期当主の事故死への協力が疑われている」

 

 グラシャラボラスの名を聞いて、シンは以前殴り飛ばした男の顔を思い浮かべた。そろそろ心身の傷は癒えただろうか。

 

「尤も、有力な情報が得られる可能性は低いと見ている。どうも、彼には最低限の情報しか与えられていなかったみたいだ。──シャルバが彼の口封じよりも逃走を選んだことが何よりも証拠だ」

 

 その名を聞いて、苦いものがこみ上げてくる。シャルバ・ベルゼブブはあの戦いの混乱に乗じて姿をくらませてしまった。それに気付いたのはマザーハーロットたちが去った後のことである。

 悪運の強い奴に限って、次に会う時には厄介な力を引っ提げている様な気がする。今回のフリードの様に。

 

「アスタロト家の土地は九割没収。魔王輩出の権利も長期間剝奪された。──ディオドラ・アスタロト自身も、生きている間に冥界の空を見ることはないと断言しておく」

 

 空も見えない所へ幽閉。それが、ディオドラに与えられた結末であった。悪魔の寿命は長い。何百年、何千年という命が尽き果てるまでディオドラは独りきりで過ごす。死刑の方が温情かもしれないとすら思えてくる。尤も、死して罪を雪ぐか、生きて罰せられ続けるか、どちらが相応しいのかは個人差があるだろうが。

 

(まあ、もう終わったことだ)

 

 シンはそれだけ思い、ディオドラの存在を記憶の端にとっとと追いやる。ある意味では最も冷酷な対処かもしれない。

 

「そうですか」

 

 シンのその一言で、ディオドラについての話は終わった。

 

「それで、そちらの方は何の御用でこちらに?」

 

 次にシンは、ミカエルに話を振る。デュリオとイリナについての礼を言っていたが、それだけでは無いだろう。

 

「私がここに来た理由は二つあります。デュリオとイリナがお世話になった件についてが一つ。これはデュリオからです。色々と助けて貰った礼だそうです」

 

 ミカエルの手が光り、その光の中から四角い紙箱が現れる。

 

「彼の趣味は美味しいもの巡りなので、その中でも特に気に入ったものを貴方に、と」

 

 ミカエルから手渡される箱。すかさず横から伸びてくる小さな手。

 

「甘いニオイ!」

 

 箱の中身を鋭敏に察知したピクシーが箱に抱き付く。

 

「ヒホ! お菓子かホ!」

 

 ジャックフロストもいつの間にかシンの側に来ていた。

 素早い動作でピクシーが箱を開ける。中身は見た事の無い円形の焼菓子。切れば何人分になるかは分からないが結構な大きさであった。

 

「ねえねえ。食べていい? 食べていい?」

「食ーべーたーいホ!」

「分かった。分かった」

 

 我儘を言ってくるピクシーたちがこれ以上騒がしくなる前にジャックフロストに箱を渡す。

 

「ヒーホー!」

 

 ジャックフロストはそれを宝物の様に頭上に掲げ、グレイフィアの方へ走っていく。その後をピクシーが飛んで追う。

 

「これを切り分けて欲しいホー!」

「お願ーい」

「承りました」

 

 二人の願いを快く引き受け、手際よく準備していく。

 

「デュリオのことは本当にありがとうございました。魔人も、それも我々にとっては猛毒そのものであるマザーハーロットと交戦して生き延びられたのは貴方のおかげです」

「俺だけの手柄では無いですし、こちらも助けられましたから」

 

 決して謙遜ではない。あの戦いに於いては、シン、オーディン、タンニーン、デュリオの誰かが欠けていたら犠牲者が出ていた。それぐらい紙一重の戦いであった。

 

「デュリオの方は?」

「赤い獣の穢れにかなり毒されましたが、堕天にまでは至っていません。現在は静養中です。勝手な行動をした罰を含めて部屋に見張りを付けて外出出来ない様にしていますが」

「無事ならそれでいいです」

 

 尾を引く様な結果にならず、ひとまず安心する。

 

「もう一つ私の方もディオドラ・アスタロト関連についてのことです。彼の眷属の処遇の話になります」

「ああ、そう言えば……」

 

 ディオドラの眷属たちは保護されたという話は聞いたが、その後にどうなったかまでは知らされていない。

 

「元教会関係者ということで、彼女たちの管轄は我々となりました。デュリオとイリナの強い意思もありましたしね」

 

 ミカエルの表情はあまり明るいものでは無い。だが、暗いと言う程のものでもない。

 

「彼女らの経緯を知った上で、今後について彼女らに提案をしました。──ですが、彼女たちは、シスターや教会に関わる道はもう歩めない、と」

 

 恐らくは、復帰の道を提示したのだろうが、ディオドラの元眷属たちは拒否したらしい。

 有名なシスターや名の知れた聖女だった故に、一度道を外した自分たちを許すことが出来ないのだろう。

 

「なるべく人目を避けた場所で彼女らはひっそりと暮らすと彼女たちは言っていました。誰に関わる事も無く。あれは隔離されることを望んでいる様に見えました」

 

 天界、冥界、人界との繋がりを断ち、転生悪魔として孤独な生を全うすることを自罰としているのかもしれない。

 

「──そうですか」

 

 それだけしか言えなかった。これ以上ディオドラによる悲劇は起こらないが、起こってしまったことを無かったことには出来ない。そして、シンはそれを救う術を持たない。

 あの時、戦いの直前でデュリオにそれを譲った。結果として血を流さずに終わった。しかし、それが正しかったかどうかは分からない。少なくとも、すぐに正解が出る様なことではない。正しいか間違っているか、それが分かるのはどれほどの時間が必要なのだろうか。

 

「不甲斐ない結果です。貴方たちが頑張ってくれたおかげで彼女らを保護することが出来たというのに」

 

 視線を伏せて申し訳なさそうするミカエル。熾天使であっても傷付いた心は容易く癒すことは出来ない。

 

「今後は、天界が責任を持って彼女らの行く末を見守っていくつもりです。彼女たちは、時間を掛けて自分たちの過去を振り返るでしょうが、いずれその目が未来に向けられることを願って」

 

 第三の人生、あるいは最初に歩んでいた人生に戻った彼女たちは今後どうなっていくのか。結末など誰にも予想も出来ないし、するものではない。

 

「今後と言えば、テロリストの介入もあって若手レーティングゲームも大きく見直されることになった」

 

 ミカエルの話が終わったのを見計らってサーゼクスが話し始める。

 

「当分の間、中止にでもするんですか?」

「仕切り直しになると思うが、冥界の住人たちや他勢力からの強い希望があって、後一戦だけ組むこととなった。リアスたちには既に報せてある」

「どんな組み合わせで?」

「リアスとサイラオーグだよ」

「──へえ」

 

 興味が湧かないと言えば嘘になる。若手悪魔の中で最強を決定付ける対戦カードであった。

 

「そしてもう一つ、シトリー対大公カードも熱望されているね。現時点においては試合の是非も決まってなくて、若手は全員待機という指示が出ているけどね」

 

 決定はしていないが、ほぼ内定している様にシンには思えた。テロの直後とあって自重しているが、暗いニュースが続く冥界を活気付けるにはレーティングゲームが必要なのだろう。現実に多くの冥界の住人たちが対戦を望んでいる。

 

「──それでなんだが、ここから先の話はまだリアスたちにも言っていないんだが」

 

 サーゼクスがそう前置きする。

 

「サイラオーグが私に直訴してきたんだ。ゲームが決まったら、ぜひ君を練習相手として招きたいと」

「……俺をですか?」

「ああ」

 

 まさか、サイラオーグからその様な申し出をされるとは露程も思っていなかったので、不意打ちを受けた気分となる。

 

「随分と気に入られたね。彼とは親しいのかい?」

「──親しい程では無いですが、それなりに縁は在ったと思います」

 

 冥界には何度か訪れ、何回かサイラオーグと会って会話もしている。同じ相手を殴ったり、妙に鋭い気配を向けられたことがあったが、思っている以上に注目されていた。

 

「嫌なら今のうちに断っておいた方がいい」

「──考えておきます」

「そうかい。伝えておくよ」

 

 はっきりした返事では無かった。シンもサイラオーグには悪い印象を持っていないので、断るのも気が引けた為こういう返事となった。

 

(──とは言え、戦うかもな……)

 

 曖昧に返したが、シンの脳裏に自分とサイラオーグが対峙する光景が過る。その光景が現実のものになるとシンの勘が囁いていた。

 

「私の方の話はこれで以上だ」

「じゃあ、私の番だね☆」

 

 ミカエル、サーゼクスの話が終わり、残るはセラフォルーのみ。しかし、疑問に思う。何故セラフォルーがシンの家に来たのか。今回の件でセラフォルーは関わっていないし、妹のシトリーも関係していない。

 

「そう言えばセラフォルーは彼に何の用が? 詳しくは聞いていなかったが」

「シン君にも用事はあるけど、メインは違うのよねー☆ おーい! 二人ともー☆」

 

 セラフォルーが呼び掛けたのは、グレイフィアの足元で切り分けられた菓子に行儀悪く噛り付いているピクシーとジャックフロスト。

 

「『アレ』、出来上がったよー☆」

「ホント?」

「すぐ行くホー!」

 

 菓子を食べるのを中断し、セラフォルーの下へ駆け寄っていく。

 

「アレ?」

 

 サーゼクスとミカエルが知っているのか、という視線をシンに向けるが、シンも心当たりが無いので首を横に振った。

 目を輝かせるピクシーとジャックフロスト。一方でケルベロスは何故か嫌そうに喉を鳴らしている。

 

「はい☆」

「わーい」

「ヒホ!」

「ランタン君にも後で届けてあげてね☆」

『はーい』

 

 セラフォルーから手渡されたのは冊子。その表紙には『マジカル☆レヴィアたん』の文字。猛烈な悪寒が背中を走っていく。

 

「──何ですか? それは?」

「え? 聞いてないの? ピクシーちゃんたちが今度出演する『マジカル☆レヴィアたん』の脚本だよ☆」

 

 全く以て初耳であった。そんなこと一単語すら聞いていない。思わず責める様な眼差しをピクシーたちに向ける。

 

「うん。言ってないから」

「ヒホ。別にいいかと思ったホ」

「……」

 

 しれっと言うその態度。何といい性格をした仲魔たちなのだろうか。その図太い神経に頼もしさすら覚えてしまう。

 

「ピクシーちゃんたちを見た時にビビッと来たの☆ 私の番組で人気者になれるって☆ 監督さんにピクシーちゃんを紹介したら即採用ってことになって、いきなり準レギュラーでデビューよ☆ ピクシーちゃんたちも出演オッケーで契約してくれたし」

 

 何から何まで初めて聞くことばかりであった。いつの間にそんなことに、と思ったがある事を思い出す。リアスたちが、レーティングゲーム前にテレビ局でインタビューを受けていた時のことを。

 暫くの間、ピクシーたちがテレビ局内で自由行動をしていた時があった。紹介や契約はその時にしたのだろう。

 

「はい☆ シン君にはこれ」

 

 セラフォルーから書類が渡される。

 

「出演料とか細かい契約内容について書いているから、キチンと読んでサインしてね☆ 気になる点があったら何でも聞いて☆」

「出演料?」

「ピクシーちゃんたちをノーギャラで出そうなんてしないよ☆ ちゃんとしたお仕事には、ちゃんとした報酬を払います☆ でも、ピクシーちゃんたちは振込先口座とか持ってないから、代わりにシン君の口座を貸してね☆」

 

 書類に軽く目を通す。書かれている出演料はかなりの額であった。

 

「いいんですか?」

 

 提示された金額について思わず確認をとってしまう。

 

「いいの☆ あ、でも☆ そのお金でピクシーちゃんたちをお腹いっぱいにしてあげてね☆」

 

 ピクシーたちがこの仕事を受けた理由が大凡分かった。きっと、ケルベロスを飢えさせない為に受けたのだろう。今でこそ普通の暮らしをしているピクシーたちだが、以前は逃げたり、隠れたりなどして飢えが付き纏う生活をしていた。

 シンの家に住む様になってそれとは無縁となったが、森で君臨していたケルベロスは逆に人の世界に出たせいで自由に狩りなどが出来ずに飢えとまではいかないが、食欲が満たされない生活を送っている。ケルベロスはそれを表立って見せないが。

 このことは、ピクシーたちなりの新入りであるケルベロスへの気遣いなのかもしれない。

 

「くっ。流石セラフォルー。目の付け所が良い。今度グレモリー家がプロデュースする特撮ヒーロー『乳龍帝おっぱいドラゴン』で彼らにマスコットポジションをやってもらうと思っていたが、先を越されてしまったか。冥界で子供たちに大人気のおっぱいドラゴンに引けを取らない人気者になれると思っていたのに……」

「……え? 冗談ですよね?」

 

 悔しそうにしているサーゼクスに、シンはつい聞いてしまった、出来れば冗談であって欲しい。

 

「既に主題歌は完成、撮影は開始、グッズ展開の計画まで進んでいるよ」

 

 真顔のサーゼクス。まごうなき本気。まさか、自分の仲魔と友人が特撮デビューするなど予想外にも限度がある。

 

「ああ、そうだ。君にも聞いて貰おうか。おっぱいドラゴンのテーマ曲を」

 

 まるで名案でも思い付いたかの様に言うサーゼクス。

 

「いや、それは……」

 

 全く聞く気になれない。

 

「それってこないだのテレビ局で撮った奴? 私がダンスの振り付けを考えたの」

「何やってんですか?」

「違うよ。出来ればイッセー君が子供たちと踊っている正式バージョンを持って来たかったが、残念ながらまだ編集中でね。持って来ることが出来なかった」

(何やっているんだ、アイツ……)

 

 しれっと知る新事実。

 

「だが、代わりに仮歌バージョンを持ってきた。かなりレアだと思うよ。ちなみに作曲は私で、作詞はアザゼルだ」

「何やってんですか?」

 

 さっきからこんなことしか言っていない様な気がするが、それしか言えない。

 

「へえ☆ 楽しみ☆」

「冥界の子供たちに大人気のキャラクターの歌ですか。興味がありますね」

 

 セラフォルー、ミカエルは興味津々。

 

「ヒホ! オイラも聞くホ!」

「アタシもアタシもー」

 

 ピクシーとジャックフロストも興味津々。

 

「……」

 

 ケルベロスは相変わらずぬいぐるみに徹していた。

 グレイフィアを見る。グレイフィアは諦観の目でシンを見つめ返してくる。大人しく受け入れろということらしい。

 この場合に於いて、今のシンの心境を共有する者は居ない。四面楚歌であった。

 サーゼクスが携帯音響機器を取り出し、手早くボタンを押して操作する。

 軽快な音楽の後、歌が始まった。

 

『とある国の──』

 

 衝撃的なのは、仮歌を歌っているのがアザゼルであること。

 

『──。──―ゴン。おっぱいドラゴン』

 

 渋い声で言葉に出来ない感想を抱かせる歌詞を歌い上げていく。

 

『ずむずむ。いやーん』

 

 脳みそが湯立ち過ぎて気化しそうな内容の歌詞。聞いていたシンは、脳細胞が死滅していく様な気分を味わっていた。

 

「ああ、これはアザゼルだが、本番の曲はイッセー君に歌ってもらったよ」

「……そうですか」

 

 横目でミカエルとセラフォルーの様子を見る。セラフォルーは楽し気に聞き入っている様子。ミカエルは俯き、時折体をビクビクと痙攣させていた。全身全霊で笑いを堪えている。

 アザゼルの元同僚であるミカエルには、アザゼル本人が歌っていることもあって、腹筋が捩じ切れそうな程の凄まじい破壊力を発揮させていた。

 一番が歌い終えるとすかさず二番目の歌詞。時間にすれば数分間の出来事だというのに、何故こうも永く感じられるのだろうかと、シンは心を半ば無にしつつ思う。

 全て流し終えると、機器を切り、サーゼクスが問う。

 

「どうだったかな?」

 

 その問いに対し──

 

「──独創的でした」

 

 ──シンは逃げに等しい回答をした。

 

 

 ◇

 

 

『ただいまの競技──』

 

 駒王学園のグラウンドにてアナウンスの声が響き渡る。

 本日は駒王学園の体育祭の日であり、生徒だけでなく保護者も見学していることもあって、いつも以上の熱気がグラウンドから放たれていた。

 シンは自分が参加する競技が始まるまでの間、運営の手伝いをしながら競技の様子を眺めている。

 

『それでは、二年生全クラス対抗の二人三脚、スタートです』

 

 アナウンスが読み上げたのは、一誠とアーシアが参加する予定の競技であった。視線を動かして二人の姿を探す。

 動かしていた視線が止まった。二人が並ぶ列を見つける。丁度、足をひもで結び付けている所であった。

 空砲が鳴る度に列が進んで行く。やがて、一誠たちの順番に回って来る。

 

「お、始まるな」

 

 同じく運営を手伝っている匙もスタート前の一誠たちを見つけた。

 一誠とアーシアはスタートラインの前に立ち、構える。審判係がスターターピストルを掲げ、よーいと掛け声を出すと選手全員が前のめりになる。

 空砲が鳴ると同時に全員がスタートラインから駆け出す。

 一誠とアーシアが先頭を走る。早朝の訓練の成果もあって足並みは見事に揃っており、どんどん速度が上がっていく。

 

「速いなー」

 

 後続を引き離していく一誠たちのスピードを、匙は称賛する。

 一誠たちが走る姿を、リアスが、朱乃が、小猫、ギャスパー、木場、ゼノヴィア、イリナが応援する。

 オカルト研究部のメンバーだけでなく、アザゼルや一誠の両親もまた声援を送っていた。

 誰もが一誠たちに頑張れと声援を送っている。ここで黙っている程、シンは薄情では無い。

 

「行けっ!」

 

 走る一誠たちの背を押す様な弾丸の如き声援。近くで聞いていた者たちは、その声量に驚いて誰の声か探している。大声を出すイメージが無いせいで、それらの視線がシンに向けられることは無かった。

 唯一、シンの隣でそれを聞いていた匙は目を丸くしている。

 

「お前もそういう声、出せるんだな……」

「こういう時ぐらいな」

 

 一誠たちは、皆の応援を受けて更に加速し、圧倒的な速さでゴールテープを切った。

 ゴール直後に一誠はガッツポーズをし、アーシアは一番の旗を渡されると応援してくれたことへの礼代わりに旗を見せる様に振った。

 

「おおー」

 

 一位でゴールした一誠たちに、匙が小さく手を叩いて讃える。

 シンは一誠たちにゴールを見届けると、その場から移動し始めた。

 

「どこ行くんだ?」

「準備だ。そろそろ競技の番が回ってくる」

「何に出るんだっけか?」

「借り物競争だ」

「そうか。頑張れよー」

「ああ」

 

 匙の軽い声援を背に受け、シンは後ろに向けて手を振りながら準備に向かった。

 アナウンスが、次は借り物競争であると放送で流す。

 競技は滞りなく進んでいき、あっという間にシンへ順番が巡ってきた。

 スタートラインに立つ。リアスたちの声援が耳に入り、視線だけそちらに向ける。

 横並びでオカルト研究部のメンバーがシンを応援していた。先程競技を終えた一誠とアーシアも並んでいる。並んでいるが何故だろうか、一誠は心ここに在らずという感じの夢心地の様な気の抜けた顔。アーシアは耳まで真っ赤に染めて俯いている。

 露骨な両者の態度に、短い時間の中で何かが起きたのが一目で分かるし、大体察せた。

 目線を戻すと、審判係がスターターピストルを構えている。もう間もなくスタートの空砲が鳴る。

 

「よーい……」

 

 ドン、という空砲が鳴った直後にシンは飛び出す。人外の力を使わずに、純粋に人としての力だけで走るシン。

 日頃から特訓をしているので、すぐに独走状態となった。

 やがて、目の前に箱が幾つか並べられた机が見える。箱の中に借りてくる物が書かれた紙が入っている。

 一番で箱の中から紙を取り出し、中身を確認するシンであったが、そこで動きが止まった。

 後続が追い付き、次々と箱から紙を取り出し、借りてくる物を探しに行っているというのにシンは不動のまま。

 何か悩んでいる様にも見える。

 暫しの間、シンは動かなかったが急に行動を開始する。コースを逆走し始め、向かった先には一誠とアーシア。

 

「え? どうしたんですか?」

「二人とも付いて来てくれ」

 

 同行を頼むシン。

「は、はい!」

 

 アーシアは快諾する。一方で一誠はというと──

 

「……んふふ」

 

 シンの姿が眼中に無いらしく、だらしのない顔で思い出し笑いをしていた。

 無言で一誠の額を指で弾く、後頭部が背中に付く様な勢いで一誠は仰け反った。

 

「いってぇぇぇぇ! 何すんだぁ!」

「──来い」

 

 二人の手を引っ張ってゴールを目指す。足の速さもあって一番でゴールすることが出来たが、問題はこの先にある。

 指定されたものをちゃんと持ってきていないとゴール扱いされない。

 順位の旗を持つ審判係の男に、シンは紙を見せる。

 見せられた紙に書いてある内容と、シンが連れて来た二人を交互に見る。

 

「……本当にこの二人が?」

 

 シンは無言で頷く。一誠とアーシアは質問の意味が分からずにキョトンとしていた。

 

「ケッ!」

 

 審判係は、何故か一誠の方を見て吐き捨てながらシンに一位の旗を手渡すと、ゴールした他の競技者の下にさっさと行ってしまった。

 

「何だあれ……」

 

 審判係の態度に戸惑う一誠。

 

「その、何が書かれていたんですか……?」

 

 シンは二人に審判係と同じ様に紙の内容を見せた。途端、アーシアは真っ赤になる。

 

「お、お、お前……!」

 

 一誠の方は動揺して言葉が詰まっている。

 

「人気の無い所で、あの程度で済ませたことについては自重したな、と言っておこう」

「な、何でお前が俺とアーシアがキキキ……したのを知っているんだよ!」

 

 思わず口走りそうになるのを何とか濁す一誠であったが、殆ど内容を言っている様なものである。

 

「俺じゃない。あいつ等だ」

 

 シンが目線を動かす。一誠が向けられた先を見ると、校舎の陰から顔を出してニヤニヤと笑っているピクシーたちが居た。

 一誠とアーシアが少しの間だけ校舎裏へ移動し、そこで何があったのかを見て、伝えてきたのは彼女らの仕業である。

 

「お前! というかお前ら!」

 

 照れ隠しの様にシンの胸倉を掴んで前後に揺さぶる一誠。されるがままのシン。途中で気付いて止めに入るアーシア。

 ガクガクと揺さぶられていたシンの手から紙が落ち、風に吹かれて宙を舞う。その紙に書かれていた文字は──

 

『カップル』

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……! はあ……! はあ……!」

 

 シャルバ・ベルゼブブは必死の思いでここまで来た。

『禍の団』の拠点。拠点は幾つも存在するが、シャルバが居る拠点は限られた者しか入ることが許されない。

 幸いにもまだ誰にも見つかっていない。もし、見つかることがあれば死は免れない。

 大多数の戦力を失った挙句に作戦に失敗したのだ、その責任を取らされることは目に見えていた。

 

「まだ死ねん……! 私はまだ……!」

 

 赤龍帝に敗れる所か、いきなり乱入してきたフリードという狂人に一方に倒された。精神がひび割れる程の屈辱が彼の中に残ったが、逆にその屈辱が彼をあの場から逃げさせるという選択肢を与えた。

 シャルバが呟く様に、この屈辱を抱いたまま死ぬことなど出来はしない。

 目的の場所に辿り着く。殺風景な扉。だが、この扉の向こうに『禍の団』の象徴である『無限の龍神』オーフィスが隔離されている。

 周囲に護衛など配置されていない。そもそもそんなものはオーフィスに必要無い。限りなく頂点に等しい力を持つオーフィスを倒せるものなど存在しない。

 

「もう一度……! もう一度だ……!」

 

 オーフィスの望みを叶えるという誓いを立てたことで、シャルバはオーフィスの力である『蛇』を授かった。もう一度オーフィスに誓いを立て、更なる力を手に入れる。

 最早、賭けでしかない。オーフィスの気紛れでシャルバの命運は決まる。仮に力を与えられたとして、その力に耐え切れる保障も無い。しかし、全てを失っているシャルバにはこれしか手段が無かった。

 扉を潜り、中に入る。室内には家具や生活用品などの置かれている物は殆ど無い。だが、何故かテーブルと椅子だけが置かれており、それが何も無いこの部屋では浮いて見えた。

 

「オーフィス!」

 

 オーフィスの名を叫ぶが、反応は無い。

 

「オーフィス! 居ないのか!」

 

 決死の覚悟で潜入したというのにオーフィスの不在という空振り。だというのにシャルバは叫ぶ。

 

「私はまだ死ねない! 何も成していない! 偽りの魔王たちへの復讐も! 私たちを拒絶した冥界への鉄槌も! 真の血統であるベルゼブブの名を取り戻すという目的も! オーフィス! 私にもう一度力を! 二度と屈することの無い力を!」

 

 血走った眼で血を吐く様に叫ぶシャルバ。

 カチン、という陶器と陶器が触れ合う音が何も無い筈のこの空間に聞こえた。

 誰も座って居なかった筈の椅子に金髪の青年が座り、紅茶を飲んでいる。

 

「だ、誰だ……?」

 

 辛うじてその言葉だけ言えた。本能が警鐘を鳴らし、体が危険を察知して震えそうになる。だが、何故か同時に強烈なまでに魅かれるものも感じた。もっと深く知りたいという欲求が恐怖を超える。

 シャルバの言葉に、金髪の青年は少しだけ驚いた表情となる。

 

「へえ。()()()()()()()()?」

「な、何を言っている……! 何時からそこに居た……!」

 

 虚勢。今のシャルバの態度は上っ面のものでしかない。

 

「最初からだよ。君が入って来た時からここに居たよ」

「馬鹿な……!」

 

 確かにシャルバはテーブルを見た。そこには誰も存在しなかった。一切感知出来ないなど在り得ない。

 

「貴様は何者だ! ここで何をしている! オーフィスは何処に行った!」

 

 見せつける様に魔力を発するが、金髪の青年の碧眼は揺らがない。

 

「君は、力が欲しいのかい?」

 

 シャルバの質問に答えず、青年の方が逆に問う。

 

「何を──」

「欲しいのかい?」

「ほ、欲しいに決まっている……!」

 

 どういう訳か青年の言葉に逆らうことが出来ず、素直に答えてしまう。

 

「──これも何かの繋がりかな」

 

 青年は一人で納得し、椅子から立ち上がった。

 青年がシャルバに近付く。シャルバは金縛りでも受けたかの様に動けない。

 

「まさか見える様になるとはね……おめでとう。君の執念は一つの壁を超えた。そんな君に僕から贈り物を与えよう」

 

 青年がシャルバの眼前に立つ。

 そして──

 

「なっ!」

 

 シャルバの下がっていた視線が段々と上に上がっていく。そして、シャルバを黒く染めていく影。

 

「まさか……! まさか……貴方は……! ベル──」

 

 

 

 

「ベル。誰か来ていた?」

 

 ルイと一緒に戻って来たオーフィスが部屋に入るなり金髪の青年──ベルに聞く。

 

「ああ。シャルバという名前だったかな? 彼が来ていたよ」

「シャルバ、どうした?」

「僕の『翅』を一枚あげて閉じ込めた。使いこなせるようになったら出て来られるんじゃないかな?」

「シャルバ、死ぬ」

「かもね。でも……もし出て来られたのなら面白いことになりそうだ」

 

 ベルはオーフィスを見つめ、爽やかな微笑を浮かべた。

 

 




これにて六巻の話は終わりです。幕間一話入れてから七巻に入っていきます。

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