ハイスクールD³   作:K/K

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最近、プライベートが忙しいので当分の間は今のような投稿速度になります。


脱走、追走

 シンとオーフィスの邂逅より少し時間を遡る。

 アザゼルが趣味と実益を兼ねた実験に精を出しているとき、それは突然訪れた。

 

「うん?」

 

 アザゼルの眼前を横切っていく一匹の蝶。何処からか迷い込んできたのか──と思う以前にあり得ないことであった。

 アザゼルのプライベート用研究室は神器に関する膨大な実験データや人工神器に関する機密、色々な意味で表に出せない彼だけの極秘など研究者にとって垂涎ものの情報の宝が保管されている。だからこそ、警備は厳重であり虫一匹入れないようにしている筈なのだ。

 それなのにさも当然のように蝶が飛んでいるのはおかしい。

 アザゼルが密かに掌に光の力を溜めるが、蝶は警戒などしていないかのようにひらひらと飛びながらアザゼルの傍へ行き、手の甲の上に止まる。

 

「誰の差し金だぁ?」

 

 蝶へ問い掛けると蝶から色味が抜けていき、蝶は折り紙となる。

 

「式神か……」

 

 紙に疑似的な生命を与え、本物のように動かす。この折り紙はそれだけではなくアザゼルが見たところ、黒魔術や白魔術も施されており東洋、西洋のハイブリッドであった。

 アザゼルが見ている前で蝶の折り紙は独りでに開いていき、正方形の紙に戻ると紙の中央に通信用の小型魔法陣が描かれる。

 この時点で誰からの通信かアザゼルには分かっていた。

 通信が繋がると同時にアザゼルは開口一番に向こう側に居る人物の名を呼んだ。

 

「ヴァーリ、何の用だ?」

 

 小型魔法陣を介してヴァーリの顔が見える。その顔はいつ見ても自信、覇気、生気に満ちていた。

 

『やあ、アザゼル』

 

 ヴァーリは気さくな挨拶をするが、アザゼルはしかめっ面であった。

 

「……あんまし気軽に連絡入れてくるんじゃねぇよ」

 

 普通ならアザゼルと直接連絡を取ることすら困難な筈だが美候、黒歌の仙術、ルフェイの魔術ですんなりと警戒を抜け、いとも簡単にアザゼルとコンタクトを取る始末。末恐ろしい才能を存分に発揮してくる。

 

『ふふふ。ちゃんと外部には洩れないようにしているさ。俺だってあんたの立場をそれなりに考えているつもりさ』

「どこぞの誰かさんのせいで信用が地に堕ち掛けたこともあったがな」

『普段から裏で色々と動いているせいで『何か企んでいるのでは?』と思われているせいもあると思うが?』

 

 心当たりが多数あるのか顔を顰めた次は口を真一文字に結んでしまう。

 アザゼル自身お節介な面があり、そのせいで余計なお世話をしてしまうことが多々ある。堕天使の総督という立場や裏であれこれと動いているせいで、何かを企んでいるのではと勘繰られてしまう。アザゼルに世界をどうこうする野心など無いのに。尤も、アザゼルが逆の立場ならどれだけ自分が胡散臭いのか客観視出来ていた。全ては積もりに積もった身から出た錆。

 これ以上突かれても嫌なので話を変える。

 

「……お前が俺たちと露骨に敵対していないのは分かっているが、それでも微妙な扱いだ」

 

 ヴァーリ、彼と共に行動する者たちは『禍の団』でも浮いているというのが三勢力共通の見解である。場合によっては以前の奇襲のように一時的に協力することも黙認していた。

 敵の敵として利用出来るということ。そして、現白龍皇を敵に回したくないという思惑から泳がせていた状態だが、それでも切っ掛けがあれば曹操たちと同様に三勢力はヴァーリたち殲滅に動いてもおかしくない。

 

『三勢力全てが敵に回るのかい? それはそれで面白そうだが──』

「面白くねぇよ、クソガキ」

 

 静かな怒気を込めたアザゼルの声。すると、ヴァーリは苦笑する。

 

『冗談だよ。すまない、アザゼル』

 

 アザゼルが怒ったのはヴァーリの身を案じてのこと。アザゼルはそれを言葉にすることはないが、ヴァーリのことを敵と割り切っているのなら怒る必要など無い。育ての親であるアザゼルの気遣いをヴァーリはちゃんと気付いており、素直に謝罪した。

 

「……で? いい加減用件は何だ? 俺とお喋りするのが目的じゃないだろう?」

『オーフィスが兵藤一誠とドライグに会いたがっている』

 

 単刀直入に言われ、アザゼルは言葉を失う。

 

『だから、そちらにオーフィスを引き渡す』

 

 次に言われた内容を理解するのに少し時間が掛かってしまった。

 

「……そいつは本気なのか、ヴァーリ?」

『ああ、彼──今は彼女か。まあ、性別なんてオーフィスにとっては些細なことだが。彼女はそれを望んでいてね。俺としても興味があるので便宜を図りたい』

 

 ヴァーリの提案は途轍もないことであった。上手く行けば三勢力が抱えている問題を解決出来るかもしれない。しかし、同時にとんでもない爆弾を抱え込むことを意味する。下手をすれば三勢力の協力関係が崩壊する危険があった。

 ヴァーリの提案を聞いたときからアザゼルの頭脳は高速で動いていた。如何なる方法をとれば成功するのか、様々な案を導き出そうとする。この時点で不可能だと判断すればアザゼルはこの提案を蹴っていた。しかし、聡明なアザゼルの頭脳は可能という答えを弾き出してしまった。

 感情に任せて否定する方がよっぽど楽だと思う。こういうときでも正しく働く自分の頭脳を少し恨めしい。出来るという答えが冷静さをくれてしまい、喚くことすら出来ない。

 

「……お前のことだ、それだけじゃないだろう?」

 

 話を進める時点でヴァーリはアザゼルの返答を受け取ったも同然である。

 

『彼女を狙う者が居てね』

「そりゃあ、当然だろう。そんな奴、星の数ほど居る」

『だが、本気で滅ぼそうとしている者は居ないだろう?』

「……居たら大馬鹿だな」

『その大馬鹿が敵さ。そろそろ仕掛ける為に動こうとしている。しかも内から』

 

 最強、無敵に等しい存在であるオーフィスを本気で葬ろうとするなど夢物語に等しいが、動くとなると何かしらの策があるとしか思えない。

 ヴァーリの説明を聞き、アザゼルの脳裏に浮かぶのは聖槍を持つ漢服の青年。

 

「大馬鹿な上にイカレているな、そいつは」

『俺は好ましいがね。大事を成そうとするには無謀さと狂気が必要なのさ』

 

 評するヴァーリもまたアザゼル視点からすればその二つを持っている。今の状況が楽しくてしょうがないと顔に書いてある。

 

『だからこそ、オーフィスで突いて出方を見る。俺の敵かどうかを見極める為に』

「……オーフィスですら囮に使うのか? お前の趣味の為に」

『人聞きが悪いなー。もしかしたら、俺の味方になってくれるかもしれないだろう?』

「白々しいんだよ。答えなんて分かり切っている癖に」

 

 アザゼルが呆れながら指摘すると、ヴァーリは歯を見せて笑い、内にある獰猛さが露わにする。

 

『まあ、そういうことだ。オーフィスを預けた後のことは任せた』

 

 そう言い、通信を切ろうとするヴァーリにアザゼルは待ったを掛ける。

 

「──待て。その前に一つ確認したい」

『何だ?』

「お前……ルイとベルを知っているか?」

『ルイとベル? ……知らない名だな』

「オーフィスのお友達だとさ」

 

 オーフィスの友達という言葉にヴァーリは目を見開く。オーフィスにそんな対等な存在が居るなど思いもしなかったという顔であった。

 

『……オーフィスとは何度か会話をしたことがあるが、その名が出て来たことは無かったな。ついでに彼女の周りにそんな人物が居たのも見たことがない』

「原理は知らんが奴らは神出鬼没だ。気付いたらそこに居る。オーフィスを連れ出す際に現れるかもしれないから注意しろ。……お前が俺の言うことを聞くかどうかは知らんが、戦うなんて考えは捨てろよ?」

 

 得体も知れない二人のことを警告し戦うなと忠告もするが、ヴァーリはアザゼルの話を聞いた途端にその目を輝かせた。

 

『──忠告感謝するよ。気を付ける』

「この野郎……」

 

 その目を見ただけで忠告を聞く気が無いと分かってしまう。骨の髄までバトルマニア気質なヴァーリにアザゼルは苦虫を嚙み潰したような表情となった。

 そして、アザゼルとは対照的にヴァーリは最高に楽しそうな笑みを見せる。

 老若男女問わず魅了するような笑顔のままヴァーリとの連絡が切れた。通信用の魔法陣が描かれていた紙が一瞬燃え上がる。灰も焦げた匂いも残さず完全消滅し、一切の痕跡を残さない。

 一昔前のスパイ映画のような徹底した証拠隠滅にアザゼルは呆れつつ、ここから先のことを考え始める。

 趣味と気晴らしにやる筈だった実験と研究は完全に止まってしまう。頭の中がヴァーリとオーフィスのことで一杯になっているので仕方がない。

 アザゼルは目を瞑り、腕を組み、黙考する。長い間同じ姿勢を保ち続け、時折指が苛立ったように腕を叩く。

 優れた頭脳を持つ故にヴァーリの引き渡しが上手くいかなかった場合の可能性と何が原因となるのかすぐに導き出し、それについての対抗策を考える。

 その辺りはヴァーリ側が為すべきことなのだが、アザゼルは我が事のように考えていた。とどのつまり、親心としてヴァーリのことが心配で仕方がないのだ。

 すぐに何をすべきか答えを出すが、それはそれで別の憂鬱が出て来る。こういうときに便利だが、同時に何かしらの不安要素もある。

 アザゼルは深く溜息を吐いた後、プライベート用の通信魔法陣を展開した。

 

 

 ◇

 

 

 決行日。ヴァーリは仲間たちを率いてオーフィスの許へやって来た。オーフィスはこれから『禍の団』を出て一誠たちの所へ行こうとしているのだが、吞気にお茶を飲んでいる。

 

「オーフィス、そろそろ時間だ」

 

 ルフェイの魔術で視覚や気配など感知するあらゆるものを誤魔化しているが、ルフェイと互角以上の魔術師が存在するので見破られるのも時間の問題。あまり悠長なことはしていられない。

 オーフィスは今ヴァーリたちに気付いたかのようなマイペースでカップから唇を離し、感情の読めない目でヴァーリたちを見る

 

「よく来た」

 

 見られているだけなのに全身に圧し掛かる重圧。その気になれば蠟燭でも消すかのようにこちらの命の火を消せる次元の違う強さ故にそう感じてしまう。オーフィスはただ見詰めているだけだというのに。

 美候を始めとした強者たちが冷や汗を流す中でヴァーリだけはオーフィスの無意識の重圧を涼風のように受け流していた。

 

「ご期待通り兵藤一誠とドライグの所までエスコートさせてもらう」

 

 オーフィスはこくりと頷くと椅子から降りた。そのまま行くかと思いきや、何を思ったのか虚勢を張ってオーフィスを睨んでいるジャアクフロストの前で足を止める。

 

「な、何だホ! やるのかホ!」

 

 ファイティングポーズをとるジャアクフロストだが、流石に力量の差が分かっているので声が震えている。すると、オーフィスは無言のままジャアクフロストを持ち上げ、そのまま抱きかかえた。

 

「行く」

 

 ジャアクフロストの何を気に入ったのか不明だが、抱いたまま出発を告げる。オーフィスの腕に抱かれたジャアクフロストは、完全に固まっていた。相手が相手だけに虚勢すら張れなくなっている。

 

「……暫くオーフィスの相手をしてくれ」

 

 取り上げる訳にもいかないので、ジャアクフロストはそのままにしておくことにする。

 そして、テーブルから数歩離れた後で唐突に振り返って言った。

 

「ルイ、ベル、行って来る」

 

 一体誰に別れの挨拶をしているのかと一同疑問に思った瞬間、彼らは戦慄した。

 先程までオーフィス一人しか座っていなかったテーブルに金髪の少年──ルイと同じ髪色の青年──ベルが座り、お茶を飲んでいたからだ。

 見落とす筈など無い。周囲を常に警戒していた。ルフェイの魔術、そのルフェイの傍に座る灰色の狼の嗅覚、美候と黒歌の気による探知、そしてヴァーリとアーサーの戦士としての直感。それらを全て通過して今目の前に居る。まるで別の世界から浮き上がってきたかのように。

 

「行って来るといい。僕らはいつでも君の帰りを待っている」

 

 ベルが微笑と共にオーフィスを見送ろうする。ルイの方は無言でオーフィスを見詰めているだけ。会話と光景だけ切り取ると妹を送り出すかのようシーンだが、至るまでが超常的過ぎた。

 二人の突然の出現に誰も戦闘態勢に入ることが出来ない──ヴァーリを除いて。

 誰もが硬直している中でヴァーリのみが二人へ一歩近付く。

 

「初めまして。アザゼルから話は聞いている。ちなみにどっちがルイでベルかな?」

 

 異質な相手に対し、ヴァーリは臆せず笑みを浮かべて質問する。その鋼の精神力は仲間の美候たちですら正気の沙汰ではないと思うほどであった。

 

「僕がベル。そっちがルイだよ」

 

 ヴァーリの問いに気分を害した様子は見せず、淡々と答える。

 

「成程。答えてくれて感謝する。──聞いたところによると二人はオーフィスの友人だとか?」

「そう。我と、ルイ、ベルは友人」

 

 今度はオーフィスが二人に代わって答えた。

 

「そんな存在が居るのか半信半疑だったが……会ってみて理解したよ。確かにオーフィスの隣に立てる存在だ」

 

 ヴァーリは多くの戦闘経験から大抵の相手の強さが分かる。中には一誠のような一見すると弱いが爆発的な潜在能力を持つ者が居り、完璧に見抜くことは出来ないがそれでもかなりの精度を誇る。

 そんなヴァーリがルイとベルを見た印象は『全く分からない』であった。強いのか弱いのかすら判別出来ない。異常な存在を持つことから強いと思われるが、力が強い、オーラが強い、魔力が強いといったような強みが伝わって来ない。

 もしかしたら今のヴァーリでは量ることすら無謀と言える、次元の違う高みにいる存在なのかもしれない。

 そんな相手を前にしてしまったら、ヴァーリは──

 

「──堪らないな」

 

 ──ますます口角が上がってしまう。

 

「良くないことを考えているね」

 

 心を読むまでもなくヴァーリの顔に描いてある。

 

「考えちゃ悪いかな?」

「……」

 

 ベルは顎に指を添え、首を傾げて考えるような素振りを見せる。無表情で分かりづらいが、迷っている、悩んでいるようである。

 

「……君の期待に応えたいとも思ったが、僕と君とでは強さの形が違う。好みも違う。比べ合いをすること自体が不毛だと思っているんだ、ヴァーリ・ルシファー」

 

 自分の方が強いと言っている訳では無く、曖昧な表現をするベルにヴァーリは首を横に振り、その考えを否定する。

 

「確かに俺はこの拳で戦うことを好む。だが、タイプが違おうとも強いということに変わりはない。寧ろ、俺としては知りたいぐらいだ。俺の知らない未知の強さを。俺は如何なる強さも等しく尊敬する」

 

 すると、ベルは微笑を浮かべた。傍に座るルイも先程まで興味無さそうにしていたのに、ヴァーリを凝視している。

 

「分かっていたことだが、君は混沌(こちら)側だ」

「こちら側? 『禍の団』のことを言っているのか?」

「考え方の話さ」

 

 ベルは笑みを消し、オーフィスの方を見る。

 

「そろそろ行った方が良い。気付かれたみたいだ」

 

 ベルのみがそれに気付き、立ち去るように促す。

 

「分かった。ヴァーリ、行く」

 

 オーフィスもまたヴァーリに催促する。ヴァーリはルイとベルの視線が既に外されているのを見て、振られたことを察した。

 

「……誘うにはまだ早かったと思うことにする」

「僕も彼も逃げも隠れもしないよ。その時が来れば、君の望みは叶うさ」

 

 慰めるようにベルが言うと、ヴァーリは後ろ髪を引かれる思いを抱えるが──

 

『ヴァーリ』

 

 今まで沈黙していたアルビオンが声を出す。

 

『……あまり寿命が縮むような真似はするな』

「分かったよ、すまない」

 

 アルビオンに本気で窘められたので未練を断ち、オーフィスを連れて仲間と共にこの場から離脱する。

 

「──さて、暫くの間は少し退屈になるかもしれない」

 

 残された二人。ベルは一人言葉を零す。

 

「だから、話を聞く時間は沢山ある」

 

 誰もいない空間に向けて話し掛けたとき、空間が歪み、銀髪の中年男性が現われる。

 

「あっれぇー? 普通気付くぅ? おじさんビックリなんだけどぉ? 折角、サプライズ! って感じで登場しようとしたつもりなのにお見通しってやつー? うわおっ! 恥ずかし! おじさん恥ずかし! うひゃひゃひゃひゃ!」

 

 開口一番軽薄な台詞を放つのは旧魔王派のリーダーでありルシファーの血を継ぐ悪魔──リゼヴィム。

 

「そう言う君は薄々僕らのことに気が付いていたようだね?」

「その、とーり! オーフィスちゃんの機嫌を損ねるのが怖かったから深くは聞けなかったけどねー! で、もー! 何かがいるような、いないような、やっぱりいるような、曖昧で不思議な言葉に出来ない感覚だったから、おじさん誰にも相談出来なかったよう! 言ったらボケたって思われるからさぁ! ボケてんのは他の奴らなのに理不尽じゃない!?」

 

 今まで話し掛けられなかった鬱憤を晴らすかのように捲し立てるリゼヴィム。年齢に不釣り合いなふざけた喋り方は、聞いた者たちの大半は眉をひそめることだろう。しかし、ルイとベルは表情一つ変化させることなく真摯と言えるぐらいにリゼヴィムの話に耳を傾けている。

 

「いやー、めでたい! こうやって堂々と声を掛けてくれたってことはー……おじさんと話す気になってくれたってことだよねぇ?」

 

 抑え切れない好奇心。相手の全てを見逃さない狂気を帯びた瞳。老獪さと童心が悪夢のように混合し、不気味な気配を放っている。

 

「さっきも言ったようにオーフィスが出掛けたから時間が空いた。君と会話する余裕は十分にあるよ」

 

 ルイは相手の全てを受け止めるような微笑を浮かべる。

 

「うっひょい! やったね! 話したいこと山程あるからたっのしみー! 今夜は寝かせないぜー!」

 

 道化染みた態度をとるリゼヴィム。剽軽を気取っているようにも相手を小馬鹿にしているようにもとれる。

 そして、ベルが言う前に遠慮なくテーブルへ座る。しかも、ルイのすぐ傍に。怖いもの知らずの行動であるが、同時に二人の出方を窺い、量ろうとする狡猾さも見え隠れする。

 尊大且つ自己中心的な真似であったが、ルイの方はお茶を飲む方に意識を向けており、リゼヴィムに探らせない。リゼヴィムの方もこの程度で何かが掴めるとは微塵も思っていないのでニヤニヤと笑っているだけであった。

 

「あのさぁ、最近うちのシャルバ君が戻って来たのよー。こっちに何も言わずに消えたかと思ったら、唐突に帰ってきたわけ。温厚のおじさんもこれは流石に見過ごせないってなって、見せしめに殺そっかなぁ、殺っちゃおうかなぁって考えながらシャルバ君に会ったらもうビックリ! 何か行ったときよりもパワーアップしてんの! 何か髪も真っ白になってイメチェンしてたから驚いたのなんのって……だってすっごい似合わないんだもーん!」

 

 うひゃひゃひゃひゃひゃ、とシャルバを盛大に馬鹿にして笑う。魔王以上の力をシャルバは手にしているが、リゼヴィムにとっては驚く程度で済ますことであり、まだ警戒をするに値しないのが態度から伝わってくる。

 

「思春期真っ只中みたいっ! おっそいよー! いったいよー!」

 

 ベラベラとハイテンションでよく喋るリゼヴィムと口数が少なく感情の変化も少ないベル。ルイに至ってはどちらも無である。両極端なので両者間に凄まじい感情の温度差が生じているが、一つだけ共通していることがある。

 それは、どちらも相手のペースに全く乗らないこと。リゼヴィムは反応が薄い二人に対して一切テンションを緩めることをせず、ルイとベルはリゼヴィムに影響を受けることなく淡々と在り続ける。両者ともマイペースであり、我を通していた。

 ベルはリゼヴィムの話を聞きながらいつの間にかリゼヴィムの前に置かれてあるカップにお茶を注ぐ。

 

「そういうのを含めてお茶でも飲みながらじっくりと話そう……砂糖は入れるかい?」

 

 

 ◇

 

 

 オーフィスを抱きかかえたヴァーリを先頭にしてヴァーリチームは事前に下調べをしていた人気も人目も無い脱出ルートを疾走していた。

 ヴァーリは己の足で走り、黒歌とアーサーは美候の乗る筋斗雲に同乗。ルフェイは箒に跨って並走。誰もが自動車を軽く超える速度を出している。

 ある程度安全な場所まで移動した後、ルフェイの転送魔法陣によりアザゼルが指定した場所へ転移する。拠点近くだと魔法陣の発動を察知されて妨害される恐れがあった。

 このまま順調に行くかと思いきや──

 

「黒歌!」

 

 ──ヴァーリが急に黒歌の名を呼んだかと思えば、オーフィスを黒歌へ投げ渡す。

 

「にゃっ!?」

 

 黒歌は尻尾の毛が逆立つ程驚きながらも筋斗雲から飛び降りてオーフィスを受け取る。オーフィスがジャアクフロストも抱えていたので二人分の重さで思い切り仰け反ってしまい、背骨が悲鳴を上げる。

 ヴァーリの行動に抗議しようとしたが、ヴァーリの獣の如き笑みにその言葉は喉の奥へ引っ込む。

 ヴァーリは急停止し、反転。背後に振り返る一瞬で禁手を発動させ、『白龍皇の鎧』を纏う。瞬きよりも速い禁手化に仲間たちは驚く。少し見ない間に更に禁手の精度が上がっていた。

 振り返ったヴァーリの手は白色のオーラを纏っており、後方へその手を突き出す。オーラは球体となって放たれ、ヴァーリたちが来た道を逆走。何かに着弾すると夜の世界に太陽が落ちて来たかのような閃光と一拍置いて破壊が生じた。

 振り返る間に禁手と攻撃の両方を完了させたヴァーリ。誰もがその行動を問うことも咎めることも出来ない。そんな間など一瞬たりとも存在しなかった。

 

「黒歌、ルフェイ。オーフィスたちを連れて先に行け。美候、アーサーは俺とここで足止めだ」

 

 呆気に取られているメンバーにヴァーリは冷静に指示を出す。その内容だけで何があったのかを察し、それぞれが言われた通りに行動を開始する。

 黒歌は急いでルフェイの箒に乗り換える。ルフェイは黒歌たちが乗ったことを確認すると、最大速度でこの場から離脱。あっという間に小さくなり、やがて視界外へ消えた。

 それから数秒も経たずに変化が起こる。ヴァーリたちの周囲に霧が立ち込め始めたのだ。無論、それがただの霧ではないのはヴァーリたちも分かっている。この霧はゲオルクの『絶霧』であり、後数秒遅かったら黒歌たちも霧の結界内に閉じ込められていた。

 

「ヴァーリよぉー、迅速な対応は結構なんだが速過ぎるってのもどうかと思うぜぃ?」

「せめて一言ぐらい忠告して欲しかったですね」

 

 美候は如意棒を両肩で担ぎながら小言を言い、アーサーは先程のオーラの着弾の衝撃によってずれた眼鏡を直しながら美候と同じ不満を言う。

 

「そう言わないでくれ。その忠告の時間すら惜しいぐらいにギリギリだったんだ。──流石はゲオルクだな。結界の展開の速さと範囲が桁違いだ」

 

 相手の力量を褒めるヴァーリに二人は溜息を吐く。しかし、内心ではヴァーリの判断力と行動力に感心していた。誰よりも先に気付き、誰よりも先に動く。改めてヴァーリのリーダーとしての器を思い知らされる。だが、決して口に出して褒めない。褒めたら調子に乗るし、これからも一人で突っ走るようになってしまうからだ。ある程度は仲間でヴァーリの手綱を握っておく必要がある。

 軽口を交わす彼らであったが、不意にその表情が引き締まる。ヴァーリたちに接近してくる複数の足音。間もなくして足音の主たちが三人の前に現れた。

 

「やあ、ヴァーリ。いきなり攻撃して来るなんてどういうつもりだい?」

 

 気さくな言葉を掛けるのは曹操。彼の後ろでは英雄派の仲間たちも居る──どういう訳かゲオルクが心底不機嫌そうな表情をしているが。

 

「殺気を感じたから敵だと思ってしまった。まさか、曹操たちだったとは。すまなかったな」

 

 白々しい態度で謝るヴァーリ。あれだけの規模の攻撃をその言葉で済まそうとしていることに曹操は苦笑する。

 

「……まあそれはいい。それよりも本題だ……オーフィスは何処へやった?」

「オーフィス? 何のことやら?」

「ヴァーリ、慣れない演技なんてするもんじゃない。君たちがオーフィスを連れ出したのは知っている」

「話が見えないなー」

 

 あくまで白を切るヴァーリに控えている英雄派のメンバーの表情も徐々に険吞なものとなっていく。

 

「主義主張は異なるが、『禍の団』に所属する同士。内輪揉めはなるべく控えたい。だから、もう一度言う。オーフィスは何処だ?」

「どうやら俺たちの間には誤解が生じているみたいだ。知らないものは答えられない」

 

 こうなると話は平行線となる。曹操が幾ら追究してもヴァーリははぐらし続けるだけ。

 

『……』

 

 やがて、二人の間で会話が途切れた。最早、話し合いの余地はない。そうなることは分かっていたが。

 

「哀しいな。仲間同士争うことになるとは」

「そうか? 俺は楽しいな。肩を並べていた相手と本気で戦えるなんて」

 

 正負に分かれたことを言っているが、互いに浮かべているのは笑み。全ては茶番。最初から決まっていた答えに辿り着いたに過ぎない。

 

「……二人で盛り上がっているところ悪いが、俺から一つ質問させてもらってもいいか?」

 

 ゲオルクが二人の会話に入る。あまり前に出ないゲオルクにしては珍しい行動である。

 

「ヴァーリ、何故俺が『絶霧』を発動させようとしたのが分かった?」

 

 かなり離れた距離で『絶霧』を発動させようとしたら、いきなり先制攻撃をされた。曹操の聖槍で守られたが、あのときはゲオルクも冷や汗をかくと同時に何故分かったのかという疑問が生まれる。もしかしたら、『絶霧』にはゲオルク本人も気付いていない発動予兆のようなものがあるかもしれないと思ったのだ。

 

「勘」

 

 ゲオルクは少しの間言葉を失った後、苦虫を嚙み潰したような表情になる。

 

「アーシア・アルジェントといいギリメカラといい、どうしてこうも俺の前には理不尽な奴が現れるんだ……! こっちは真面目にやっているというのに……!」

 

 ここ最近立て続けに自分の常識を覆す相手と戦う機会が多いので愚痴るゲオルク。

 

「まあまあ」

 

 曹操がグチグチと小言で文句を言うゲオルクを宥めようとするものの──

 

「……お前もその理不尽の内の一人だからな?」

 

 横目でゲオルクに睨まれる。曹操は困ったような表情をし、宥める為に伸ばした手を引っ込める。

 

「──さて、本題に戻ろう。オーフィスの居場所を吐かないなら少々強引に聞き出させてもらう」

「こちらは少々でなくても構わないぞ? 本気で来い」

 

 目的を果たす上で邪魔となる障害物。こうなることは最初から定められていたのかもしれない。

 

 

 ◇

 

 

「──ヒホ! ヒホ! ヒホ!」

 

 今までオーフィスに抱かれっぱなしであったジャアクフロストが、急に腕の中で暴れ出す。

 

「離すホ!」

「何故? どうした?」

 

 首を傾げながらオーフィスが問う。

 

「俺様も戦うんだホ! ヴァーリが戦うときは俺様も一緒に戦うんだホ!」

「また我儘言い始めたにゃー」

「ジャッ君、落ち着いて」

 

 黒歌は呆れ、ルフェイは宥めようとする。

 

「行くんだホ! 行くんだホ!」

 

 それでも言うこと聞かないジャアクフロスト。

 

「行けば、死ぬ。それでも、行く?」

 

 オーフィスは暴れるジャアクフロストの顔を両手で挟み、顔を覗き込んで念を押すように訊く。それだけでジャアクフロストの動きは止まった。

 

「そ、それでも行くんだホ……」

 

 声が震えている。しかし、最強に近い存在を前にしても意思を折ることはしなかった。

 オーフィスはジャアクフロストの顔をジッと見つめ続ける。何かを考えているようで何も考えていないようなぼんやりとした表情。

 

「──分かった。なら、我が少し力を貸す」

「ヒホ?」

 

 どういう意味かと聞くよりも前にジャアクフロストの真っ赤な口にオーフィスの唇が重なる──ことは物理的に無理だったので、オーフィスは唇を近付けるとジャアクフロストの口の中に舌を伸ばす。オーフィスの赤い舌を這う小さな黒い蛇が、オーフィスの舌から這い出てジャアクフロストの口の中へ飛び込む。

 ジャアクフロストの喉が動き、口の中の蛇を呑み込むのを誰も止めることなど出来なかった。

 

 

 ◇

 

 

 外界から隔絶されたゲオルクの『絶霧』の結界内にてヴァーリチームと英雄派は熾烈な戦いを繰り広げていた。

 

「おらぁぁぁ!」

 

 跳び上がったヘラクレスが落下と共に巨拳を振り下ろす。拳の向かう先に立つのは美候。大振りの攻撃なので避けるには十分な時間があり、美候は落下地点から素早く離れるのだが──

 

「うおっ!?」

 

 ──外れたヘラクレスの拳が地面に叩き付けられた瞬間に爆発が起こる。爆風と衝撃に煽られるせいで反撃が出来ない。しかも、ヘラクレスの攻撃はそれだけでは済まない。ヘラクレスを中心にして周囲の木々などが爆発と共に破壊されていく。美候も眼前に迫ってくる何かに気付き、反射的に如意棒を振り抜く。途端、小さな爆発が発生し如意棒を通じてビリビリとした衝撃が美候の手に伝わって来た。

 

「図体がでかい割には意外と小技も出来るじゃねぇか」

 

 小さな爆発の正体はヘラクレスの攻撃で周囲に飛び散った石や土の塊である。ヘラクレスの神器の効果により即席の爆弾と化したのだ。幸い、飛ばしたものが小さかったので威力自体はそこまでではないが、厄介な上に鬱陶しいことに変わりはない。

 凡庸な者ならばここで終わっていただろうが、美候は凡庸に非ず。炸裂する礫を全て見極めて如意棒で弾き飛ばす。

 細かな礫が一斉に爆発し、美候の姿が爆煙に覆い隠される。だが、すぐに美候は煙を突き破って現れる。一人ではなく複数人になって。

 美候の仙術による分身はヘラクレスを四方から囲み、逃げ道を塞ぐと如意棒を伸ばす。

 直撃すれば人体など容易く貫くが──

 

「ふんっ!」

 

 ──ヘラクレスの巨体が一瞬膨張する。全身の筋肉に力が込められ鋼と化す。そこに次々と打ち込まれる如意棒。しかし、ヘラクレスの筋肉の鎧を貫くことが出来ない。

 

「かってぇ!? 頑丈過ぎだぜぃ!?」

 

 打ち込んだ美候の手が痛みを覚えるぐらいにヘラクレスの肉体は硬い。だが、ヘラクレスの方も険しい表情をし、額から一筋の汗を流す。

 如意棒を打ち込まれた箇所が赤黒く変色している。本気で身を固めれば魔法すら通さない肉体が痛みを訴えていた。

 

「……やるじゃねぇか」

 

 互いの実力は人聞きでしか知らないが、対峙して初めて脅威として認識する。

 美候とヘラクレスとは別の場所でも激しい戦いが繰り広げられている。

 正面から斬り合うアーサーとジークフリート。聖王剣コールブランドと魔帝剣グラムが斬り結ぶ。聖剣の頂点と魔剣の頂点。もし、衆目に晒されたのならば大金を支払うのも惜しくはない頂点同士の決戦。

 

「君とは一度こうしてみたかった」

「そうですか。最初で最後の願いが叶って良かったですね」

 

 聖と魔が反するように二人の温度差も反しており、ジークフリートが血を滾らせているがアーサーは至って冷静に剣を振るう。

 

「ついでにもう一つ俺の願いを叶えてくれないかな?」

 

 ジークフリートは両手に持っていたグラムを片手に持ち替える。空いた手に転送魔法陣が浮かぶと中から一本の剣が飛び出し、ジークフリートはそれを握ると共にアーサーへ振り下ろす。

 コールブランドで受け止めたアーサーは、ジークフリートの握る剣の正体に気付いて瞠目する。

 

「木場裕斗の聖魔剣か!」

「その通り。本人と同じく優等生だよ、この子は」

 

 二刀流となり手数を増やしたことでアーサーを守り一辺倒にさせる。

 

「僕の魔剣が如何に問題児だったのかが嫌でも分かるよ」

「心中お察ししますよ」

 

 激しくなるジークフリートの攻撃だが、守りを固めたアーサーを崩せない。このまま持久戦に入るかと思いきや、横から新たな攻撃がアーサーに迫る。

 咄嗟に跳んで回避すると、標的を失った聖剣の群が地面に突き刺さっていく。

 

「ジー君、お姉さんも居ること忘れてないー?」

 

 横槍ならぬ横剣を入れたジャンヌが不満そうに言う。

 

「──相手が相手だけに個人的な感情を優先してしまったよ、すまない」

 

 謝罪はするものの若干の不満が表情に出ている。しかし、個人的な感情は後回しにして英雄派のメンバーとしての仕事は為す様子。

 二対一になるが、アーサーは眼鏡を掛け直すだけで動揺は見せない。これでもまだ勝算がある、仕草から伝わってきた。

 メンバー同士が熾烈な戦いを行う中でリーダーであるヴァーリと曹操は対峙したまま動かない。

 

「正直に言う。こういう展開を望んでいた」

「生粋のバトルマニアだな……ヴァーリ。あのマタドールと馴れ合うだけのことはある」

「魔人といえば、あの二人はどうしたんだ?」

「二人ともやるべきことをやっているさ。同盟を結んではいるが、協力の強制は出来ない」

 

 魔人二人が何処かに潜んでいるのならば脅威であるが、曹操の様子を見る限りはこの場に居ない。尤も、ヴァーリを騙す為の嘘という可能性も捨てきれなかった。

 

「まあ、仮に協力出来たとしてもヴァーリ、君を倒す役目は譲れないな。ヴァーリ・ルシファーという壁を超えれば俺は更に成長出来る」

「いいな。互いに糧とし合おう。俺とお前、どちらが高みに昇ることが出来るか喰らい合おう」

 

 白色のオーラが増すヴァーリ。まだ底の見えないヴァーリに曹操は微笑を浮かべながらも額からは冷や汗を流している。

 ヴァーリが相手ならば曹操も切り札を切らざるを得ない。

 曹操は聖槍を眼前に掲げ、穂先に額を当てながら解放の言葉を唱える。

 

「禁──」

「曹操!」

 

 しかし、その続きはゲオルクの声により遮られる。

 戦いの場から離れて結界の維持といざというときの為のサポートとしてゲオルクとレオナルドは控えていた。

 だからこそ、ゲオルクは結界に起きた異常をいち早く察知する。

 

「何かが外部から無理矢理侵入してきた!」

 

 焦るゲオルクと驚く曹操。神滅具による結界を無理矢理こじ開けて侵入してくることなど少なくとも魔王級でないと不可能である。

 

『ヒホヒホヒホヒホ!』

 

 愛嬌と間抜けさを感じさせる聞き覚えのある声。同時に結界内の気温が急速に下がっていき、すぐに真冬並みの気温となる。

 

「この声は……」

 

 周囲の木々から音が鳴り出す。急激な温度変化により中の水分が凍結して割れているのだ。

 

『ヒホホホホ!』

 

 周囲を凍り尽くしながら現れたのはやはりジャアクフロスト──なのだが。

 

「ジャアクフロスト……?」

 

 ヴァーリの視線が何故か上向きになっている。彼の知っているジャアクフロストは自分の身長の半分以下、だが目の前に現れたジャアクフロストは自分よりも大きく、三メートルはある。

 

『ヒホー! ヒホー! ヒヒホホッ!』

 

 さっきから言語が言語になっておらず、鳴き声のように喚いている。

 

「まさか……呑んだのか? オーフィスの蛇を……」

 

 力の急上昇の理由を曹操はすぐに見抜いた。そして、もう一つ見抜いたことがある。それはヴァーリも気付いていた。

 ジャアクフロストの真っ赤な両目の中で黒い蛇がグルグルと泳いでいる。正気を感じさせない言動、身の丈以上の力。

 ジャアクフロストは今──

 

『暴走している……』

 

 

 

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