ハイスクールD³   作:K/K

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召集、集合

 一誠とアーシア、小猫、匙は、ただただ目の前に広がっている光景を呆けた様子で見ていた。彼らが現在居るのは街の一角にあるファミレスのチェーン店、メニューの種類が豊富、味もそこそこ、量もそこそこ、値段も良心的ということから、家族連れや所持金の少ない学生たちなどからも良く利用されている。

 本来なら家族や学生たちの雑談でざわめいている店内であるが、何故かその雑談によるざわめきは少なく、代わりにひそひそと耳打ちをする声が聞こえてくる。

 耳打ちをする皆の視線はある一点へと収束されており、その視線の中心にいる一誠たちは、無遠慮に浴びせられる視線に居心地の悪さを感じつつも、この場から動くことは出来なかった。

 何故なら――

 

「美味い! 美味いぞ! この料理!」

「おいしー! あ、ゼノヴィア! それ頂戴!」

「なっ! 横取りとは恥を知れ、イリナ! なら代わりにこれを頂く!」

「ああ! それはとっておいたやつなのにー!」

 

 ――目の前で大食いの競争でもしているのかと思える程大量の皿を積み上げていくイリナとゼノヴィアが居たからであった。

 フォークとナイフあるいはスプーンが止まることを知らずに動き続け、料理が置かれていく度に獲物を喰らう肉食獣のような獰猛さで貪り付きあっという間に空にしていく。

 なまじ二人の容姿が優れているだけに、容姿と行為の大きな差で人目に付いてしまっていた。あるいはその清々しさまで覚える激しい食事行為にある種の官能さでも見出したのか、大人や学生を含め、幾人もの男性が鼻の下を伸ばしてこちらを覗き込んでくる姿もある。

 

「こ、こちらハンバーグステーキセットとなります。御注文した方は――」

「私だ! あとついでにこれも追加でお願いする」

「あ、私もこれ追加でー」

 

 料理を運んできたウエイトレスが引き攣った笑みで注文を運んでくると、イリナとゼノヴィアは嬉々とした様子で追加注文をする。

 それを聞いた一誠は渋い表情をしながらこっそりと自分のポケットから財布を取り出して中身を確認し、密かに溜息を吐いた。

 

「あ、あの。足らないなら私も出します!」

「……私も出します」

「ふ、二人に出して貰うことなんて出来ない! 大丈夫だって! 女の子に奢るのが男の甲斐性だし!」

 

 はははは、と乾いた笑いを洩らすが、実際の所一誠の財布の事情はぎりぎりに等しい。だが、男としてのプライドが女性にお金を出して貰うということを拒んでしまう。

 ましてやアーシアは一誠の両親からお小遣いを貰っているが、それをコツコツを貯金しており、いずれ一誠の両親にお礼として温泉旅行でも送りたいという話を聞いているだけに、一誠がアーシアからお金を借りるという選択はまずあり得なかった。

 一誠はチラリと向かい側に座る匙を見る。本音を言えばお金を借りることを頼むのは別のプライドが邪魔をするが他に方法は無く、背に腹は変えられない。

 

「なあ、匙」

「断る!」

「まだ何も言ってないだろうが!」

「野郎に貸す金なんぞ無い! 寧ろこっちの方が何か貰いたいぐらいだ!」

「こ、この野郎……」

「ああ、畜生ぉぉぉ! こんな状況を会長に見られたらもう言い訳のしようがないんだぞ! こうなったら俺も喰う! すみません! スペシャル和牛ステーキセットを一つ下さい!」

「ふざけんなぁ! これ以上俺の財布を責めるなぁ!」

「うるせぇ! 腹いせだぁぁぁ!」

 

 互いに薄らと涙目になりながら胸倉を掴み合って言い争いを始める。アーシアはオロオロとしながらも必死で喧嘩を仲裁する為にか細い声を出し、小猫は水を口に含みながら二人の言い争いをいつもの無表情な瞳で眺め、一切止める素振りを見せない。そして、イリナとゼノヴィアは我関せずとばかりに、黙々と出された料理を口に含んでいく。

 ファミレスの一角で形成される混沌とした空間の中、その中心に居る一誠は匙と罵り合いながらも頭の片隅で考える。どうしてこのような事態になってしまったのか、と。

 ここに至るまでの過程、それは十数時間程逆昇る。

 シンとの会話の後、アーシアと共に家に帰宅する。アーシアと同じく同棲している筈のリアスが居ないのは、少し考えることがあると言って一人部室へと戻ってしまったからであり、そこから各自解散という形になった結果がこれであった。

 一誠は帰宅中、何度かアーシアを横目で見て、シンに言った通り自らの計画を話そうと口を開くが、視線に気付いたアーシアと目が合う度に喉まで出かかった言葉を呑みこんでしまい、何度も機会があったにもかかわらず、それらを全て不意にしてしまった。

 

「あの……どうかしましたか、イッセーさん? さっきから少し様子が変ですが……」

 

 一誠の態度を流石に不審に思ったのか、アーシアの方から気遣う声を掛けられる。

 

「あ、いや何でも無いさ」

 

 反射的に誤魔化してしまう一誠であったが、それでもアーシアから不安は拭いきれず、それどころか更に心配の色を濃くさせてしまう。

 

「もしかして……木場さんのことですか?」

 

 アーシアに図星を的確に突かれ、一誠は表情を凍らせてしまった。慌てて話を逸らそうと話題を考えるが、上手く頭が回らず別の話題を出すことが出来ず黙ってしまう。それを肯定と受け取ったアーシアは、ポツリと言葉を洩らし始めた。

 

「私は……今の木場さんのことが怖いです」

「……まあ、確かにあいつことを少しでも知っているなら想像出来ない程危ない顔をしてたしな……」

「私が怖いのはそこじゃありません」

「え?」

 

 一誠の考えとは違い、ここ数日の間、触れれば斬れるような、冷徹で近寄りがたい表情をしていた木場のことをアーシアは怖くないという。

 

「私が怖いのは……このまま木場さんが居なくなってしまうことなんです」

 

 ゼノヴィアとの戦いの最中に見せた、自分の全てを代償に払ってでも戦おうとする木場の姿。その苛烈ぶりとは裏腹にその存在は余りに脆くて儚げに見え、燃え尽きる前の蝋燭、あるいは薄氷の剣のような、いつ消えてしまうか分からない危うさをアーシアは感じていた。

 

「悪魔になってからも主への信仰を捨てきれない私が主や教会を憎む木場さんの心配をするなんて烏滸がましいかもしれません。……でも、木場さんが居なくなるのが怖いんです」

 

 アーシアにとって木場は一誠と同じく、自分にとって新しい居場所をくれた恩人の一人である。故にその存在は既に無くてはならない存在となっていた。しかし、その木場がもしいなくなってしまったら。その『もしも』を考えたとき、アーシアの心は奈落へと沈んでいくような冷たさを感じる。

 

「……イッセーさんは……どこかに行きませんよね?」

 

 どこか童女のような悪戯っぽい微笑みを浮かべながらアーシアは言うが、一誠にはそれが、言葉に出来ない不安を押し返そうとする精一杯の強がりのように見えた。

 一誠はアーシアの言葉に答えるよりも先にアーシアの手を握り締める。一誠の手の感触に一瞬驚くアーシアであったが、すぐにその頬に朱が差し込む。

 

「俺は何処にもいかないさ。アーシアを守るのは俺の役目だからな」

「……はい!」

 

 一誠の手をアーシアは握り返す。二人はそのまま家に帰るまでの間、その手を離すことは無かった。

 そして帰宅後、家事の手伝いをするアーシアと別れ、一誠は自分の部屋に戻る。そして部屋の扉が閉まると同時に頭をベットに押し付け、そのまま頭を抱える。

 

「言える訳がねぇぇぇぇぇぇ!」

 

 一誠は先程のアーシアの姿を見てしまったせいで、聖剣を破壊する計画をアーシアへと伝える意志が殆ど折れてしまっていた。あんな風に人を思いやる心清らかな少女を、触れれば消滅してしまう聖剣や何をしでかすか分からない頭の中の螺子がダース単位で外れているイカレ外道神父、そして実力未知数の堕天使組織の大幹部の前に連れていくかと思うと、話す気になどなれる訳が無い。

 

『それでどうするんだ、相棒? あの小僧には格好つけて話すと言ったがそれ以前の問題だぞ?』

「……分かってはいるんだけどな」

 

 左手から聞こえてくるドライグの声に力無く応える。

 

『このまま言わずに先延ばしにするつもりか? あの娘は駄目で、他に誘う奴らは危険に晒すという訳だな。まあ、それも間違っちゃいない選択だがな』

 

 ドライグの口調は責める様なものでは無かったが、一誠にしてみれば耳の痛い話である。確かにこのまま何も言わずアーシアを蚊帳の外にすれば、危険が及ぶ可能性は低くなる。しかし、それはアーシアの命を優先し他の命に順位を付けるということとなる。他人が聞けば面白くない話ではあるし、何よりも一誠自身そのようなことは望んではいない。

 

「……とりあえず、とりあえずは匙や小猫ちゃんに連絡をとってからにする。二人の返事を聞いてから……最後にアーシアに話す」

『相棒の好きにしな。お前の選択が俺の選択だ。相棒っていうのはそういうものだろ?』

 

 『赤い龍の帝王〈ウエルシュ・ドラゴン〉』という仰々しい異名からは想像がつかない程、親しみを感じさせる気さくな対応。少しでもその名を知っている者ならば、想像と現実との差に戸惑いを覚えたであろう。

 

「まずは匙からだな……」

 

 携帯電話を開いて登録している番号の中から匙の電話番号を探す。ソーナたちとの自己紹介の後にもしもの場合に備え、非常連絡先として生徒会役員全員の番号を教えられていた。まさかその中でも、永遠に埃を被っているだろうと登録時に思っていた匙の番号を一番初めに掛けることとなった現実に皮肉を感じながら、一誠は携帯電話を耳に当てる。

 3回のコール音の後に電話が匙の電話へと繋がった。

 

『もしもし、匙ですが。どちらさんで?』

 

 ぶっきらぼうな話し方で電話に出る匙。本来なら匙たち生徒会役員の皆もリアスたちの連絡先を登録している筈である。誰かと問うということは、少なくとも匙の携帯電話には一誠の番号は登録していないということであった。その事実に気付き若干腹が立つものの、冷静を保ちつつ一誠が名乗る。

 

「匙、俺だ。兵藤だ」

『御掛けになった電話番号は違います』

 

 いきなり会話を打ち切ろうとする匙に、一誠は慌ててそれを止める。

 

「待て! いきなり過ぎるだろうが!」

『こっちの台詞だ! なんでお前が俺の携帯に連絡してくるんだよ! 嫌がらせか!』

「何で俺が電話しただけで嫌がらせなんだよ! だいたいお前、俺の番号を登録してないだろ! 部長や会長はきちんと登録しておけって言ってただろうが!」

『リアス先輩や朱乃先輩、アーシアさんに小猫ちゃんなら百件だろうが千件だろうがいくらでも登録してもいい。だがな! 何が悲しくて野郎の、それも片やイケメン爽やか野郎の木場、片や学園に轟く変態三人組の一人、兵藤の番号を登録しなきゃいけないんだよ! メモリの無駄以前の問題だ!』

「こ、この野郎……」

 

 話し合うどころか罵り合いに発展しそうになる中、左手のドライグが溜息まじりの声で一誠に呼びかける。

 

『相棒、熱くなっている所悪いが言い争うのが目的じゃないだろ? このままいったら出そうとしている話も出せなくなるぞ』

 

 ドライグの言葉を聞いて言い掛けようとした言葉を喉の途中で止め、そのまま胸の内に飲み込む。ドライグの言う通り、一誠には匙の手助けが必要であり、このまま不毛な言い争いをしていても何一つ良いことなどありはしない。

 一誠は一度大きく息を吸い込んだ後、自分の内に篭る熱を吐き出すイメージをしながら深呼吸をする。少しだけ気分を落ち着けた一誠は改めて匙に話し掛けた。

 

「……お前の言いたいことはよく分かった。それでもこの話だけはちゃんと聞いてくれ」

『ああ? ……まあ、聞くだけなら』

 

 急に落ち着いた態度で喋り出す一誠。その変化に熱くなっていた匙も戸惑ったのか、急速にその熱を冷ましていく。

 

「明日の休日手伝って欲しいことがある」

『なんだそりゃ? 学生にとって大事な休日の時間をお前に割けっていうのか?』

「頼む」

 

 一誠が真摯な態度で行う頼みに電話越しの匙は黙る。普段は碌な話を聞かない一誠がこうまで真剣に頼ってくることに、匙は何か動かされるものを感じていた。

 少し間が開いた後に匙の溜息が聞こえてくる。

 

『――しょうがねぇな。分かった、行くよ』

「おお! ありがとな!」

『なんか奢れよ』

 

 その後、匙に集まる時間と場所を伝えて電話を切る。そして、次に連絡するのは小猫の番号であった。

 少々緊張しながらシンから教えられた小猫の番号を入力し発信する。コール音が数回鳴った後、小猫が電話に出た。

 

『……もしもし』

 

 いつもの平坦な口調で小猫が応じてくる。

 

「あ、小猫ちゃん? 俺、俺。イッセーだけど」

『……なんでイッセー先輩が私の番号を知っているんですか?』

 

 いきなり不信感を露わにして一誠の声に応える。

 

「いや、これは別にやましい方法で取った訳じゃなくて――」

『……ストーカー行為は犯罪ですよ?』

「してないから! そんなこと絶対にしないから! きちんと間薙から番号を聞いて掛けているだけだからね!」

『……間薙先輩がですか?』

 

 一誠に番号を教えた相手が意外だったのか、小猫の声に若干であるが驚きが混じったのが一誠には分かった。

 

『……それで私は何をすればいいんですか?』

「え?」

 

 先読みする小猫の言葉に一誠は思わず間の抜けた声を出してしまう。

 

『……間薙先輩が理由も無く、イッセー先輩に私の連絡先を教えるとは思いません。……きっときちんとした理由、おそらく祐斗先輩のことで私の力が必要なんじゃないですか?』

「……よく分かったね。小猫ちゃん」

『……私も祐斗先輩のことが心配ですから』

 

 小猫の勘の良さに舌を巻きながら、一誠は教会の人間と結託し聖剣を破壊しようとする旨を伝える。

 

『……大胆なことを考えますね』

 

 小猫の呆れたような反応が返ってくるが、その声の響きに否定的なものは感じられない。

 

『……他の人にこのことを伝えてはいないんですか?』

「一応、匙には伝えてある」

『……匙? ……ソーナ会長の眷属の人でしたか?』

「うん、合ってる。今の所は小猫ちゃんと匙だけだ」

『……間薙先輩には伝えてないんですか?』

「教えたけど断られた。聖剣絡みで別の仕事があるらしい」

『……そう、ですか』

 

 本来なら真っ先に手を貸してくれるであろうと思っていたシンの不在が余程意外であったらしく、小猫の声にほんの少しだけであるが掠れる様な動揺が感じられた。一誠にもその気持ちがよく分かる。

 しかし、手を貸せないのなら仕方ない。後ろ向きになりそうな気持ちを吹っ切るように明るめな口調で集合場所と時間を小猫に伝え、そのまま切ろうとするが一誠はふとあることを思い、最後に話し掛ける。

 

「なあ、小猫ちゃん。間薙の名前を出した時あっさり信じてくれたけど、もし俺が木場の名前を出しにして聞き出していたら――」

『――それは無いです』

 

 簡潔であるが確信に満ちた声で、一誠のもしもを切り捨てる。

 

「ハッキリ言うんだね」

『……イッセー先輩は女性絡みになると確かにスケベで女の敵で変態です。……でもそれ以外は最低でも最悪でもありません。……少なくとも間薙先輩はそんな人に力を貸したりしません』

 

 一誠、シン、両方への信頼を現す小猫の言葉。今までの共に行動してきたことが無駄ではないということを実感し、一誠は胸の内に熱いものを感じた。

 

「ありがとう。小猫ちゃん。絶対に成功させよう」

『……はい』

 

 一誠は礼を言ってから電話を切った。これで匙、小猫に明日会うことができるが、次はいよいよアーシアにこのことを話さないといけない。そう考えると気が重たくなる一誠であった。

 

「……イッセーさん」

 

 一誠が悩む最中いきなり部屋のドアが開き、そこからアーシアが現れる。アーシアの前触れの無い登場に一誠は思わず跳び上がってしまいそうになる身体を無理矢理抑え込み、勤めて冷静な声を意識しながらアーシアへと話しかける。

 

「ど、どうしたんだ、アーシア? 何か用でもあるのか?」

「イッセーさん。……木場さんのことで何かをするつもりですか?」

 

 心臓が一瞬鼓動を止めたような錯覚を一誠は覚えた。アーシアの口から出てきた言葉は、まだ一誠が伝えていないことであったからだ。

 

「……さっき小猫さんと電話していましたよね? はしたないことと分かっていますが私、それを聞いちゃいました」

 

 小猫との会話に集中していたせいでアーシアが近付いて来る気配を完全に見落としていた自分のミスを内心で罵倒しつつ、どう話すべきか言葉を考える一誠の側にアーシアが近付き一誠の隣に座る。

 

「私も参加してもいいですか?」

 

 アーシアから出てきたのは聖剣の破壊に参加する意思。真っ直ぐと一誠を見つめて揺るがない瞳で一誠に伝える。

 

「……危険なことだぞ?」

「分かっています」

「死ぬかもしれない」

「それも分かっています」

「教会から更に敵視されるかもしれないんだぞ?」

「例え忌み嫌われようと私は信仰を捨てる気はありません。それに今の私にはそれと同じ、いえそれ以上に大事なものがありますから」

 

 明るく微笑むアーシアの顔を見て、一誠はこれ以上言うことは野暮であることを悟る。今思えばこうなることは最初から分かっていたのかもしれない。アーシアと初めて出会ったときから何度か見た彼女の強い意志、それを見て一誠は何度も感嘆を覚えたのだから。

 

「……分かった。アーシア、力を貸してくれ」

「はい!」

 

 こうして三人の協力を得た一誠は、翌日待ち合わせ場所へ皆と集まったのだが、当日になって聖剣破壊を告げられた匙は案の定嫌がって参加を辞退しようとしたが、それを小猫が無理矢理引き止めることとなった。

 半泣きで不参加を訴えてくる匙に一誠は黙っていたことを詫びた後で、匙の力が必要であり、本当に嫌ならばこのまま帰ってしまっても仕方ないという旨を伝える。匙は非常に複雑そうな顔をしてから肩を落として半ばヤケクソ気味に参加することを告げた。

 かくして聖剣破壊の為のメンバーが揃ったところで次にするべきことは、最も重要な要素であるイリナとゼノヴィアとの交渉であった。彼女たちがどこに居るか未だ判明していない状態であるが、その間にもどうやって自分たちの要望に沿った結果になるかを普段勉学ではあまり用いない脳を高速で回転させつつ二人の探索を始めた。

 人数がそれなりに居るため、二手に分かれてイリナとゼノヴィアの捜索を始めたが、探し始めてから僅か数十分ほど経って、匙から二人を見つけたという連絡が入ってくる。好調な滑り出しに喜びつつも、後のことを考え緊張で僅かに身を固くする一誠であったが、連絡をしてきた匙からは困惑した様子で、しきりに二人の容貌を尋ねてくる。一誠はきちんと二人の特徴を教えるが、その度に匙は電話から離れて何度か確認をしている様子であった。

 

『あれでいいのか? 本当にあれで? うーん、あれでいいのか……』

 

 戸惑っている匙の声が何度か聞こえてくる。その様子を不思議に思いながらも、一誠は匙から教えられた場所を他のメンバーにも告げて目的の場所へと向かう。

 二人が居ると言われた場所に立っている匙を見つける。それとほぼ同じタイミングで、他の面々もこの場所に集まった。

 

「匙、二人は?」

「……多分、あれだ」

 

 指差す方向を見て、全員同時に呆気にとられる。

 白いローブを纏い、片方は背負う程の巨大な物体を持っている姿、そしてその顔から間違いなくイリナとゼノヴィアであることは分かる。しかし、肝心の二人がやっていることは、簡潔に言えば物乞いであった。祈りの言葉らしきものを言いながら通行人たちに訴え、お金を恵んで貰おうとする様は間違いなく物乞いそのものであった。

 

「なあ? 何度も聞くがお前が言っていたエクスカリバーの使い手ってあの二人でいいんだよな? 聞いていた話とは大分違うんだが」

「間違いない……はず」

 

 つい昨日までは『主に為に心血を賭す誇り高き使徒』を地でいこうとしていた二人であったが、今の姿はまるで真逆であり『路頭に迷う哀れな子羊』にしか見えない。一日で変化した落差に軽く混乱しそうになる。

 

「……ホームレスシスター」

「あ、あのやはりこういった場合には御二人にお金をあげるべきでしょうか?」

 

 二人の様子を辛辣に表現をする小猫に大真面目に考えるアーシア。

 このまま見ていても埒が明かないと思い、全員を代表して一誠がいまだに恵みを求めている二人へと近付く。

 

「あのー」

「あ! イッセー君!」

「むっ! 赤龍帝!」

 

 声を掛けると同時にやや情けない顔をしていた二人は一瞬ではあるが驚きの表情を浮かべていたが、すぐにその驚きは消し去り昨日会ったときのような凛々しさを感じさせる顔付きになる。

 

「こんなところで奇遇ね。一体何用かしら?」

「見てのとおり我々はこの信仰に疎い国で新たに信仰の根を降ろそうと忙しいのだが」

 

 先程のまでの貧しさを前面に出していた態度が嘘と思える程の面の厚さである。遠目から見ていた一誠としてついさっきまで物乞いをしていた姿を見ていたが、二人のいじらしさすら感じさせる強がりに呆れるよりも先に同情心の方を覚えてしまっていた。こうなってくると見ていたなどとても言えない。

 

「ちょっと二人に話があって、探していたんだ」

「話?」

「我々にはそんな暇など無いことは知っている筈だが?」

 

 『嘘付け』、という言葉が喉まで出かかるのを我慢しながら一誠は話を続ける。

 

「大事な話なんだ。聖剣にも関わることだ」

 

 イリナとゼノヴィアが視線を交わすが表情は厳しい。一誠の話を聞くことに難色を示している様子であった。

 

「私たちと悪魔が関わることがあるとすればそれは戦いのみだ。ハッキリと言わせて貰おう、君と話をするつもりはない」

「ゼノヴィアがこう言ってるし私も反対かな」

「頼む! あそこのファミレスで数分だけでも話を聞いてくれないか? 話を聞いてくれる礼とは言わないが何でも好きなものを注文してもいいから!」

「――と本来の立場なら言うが今は特例の任務の最中、何事にも例外が付き物だ!」

「――ゼノヴィアもこう言っているし私は賛成よ!」

 

 見て分かる程露骨なまでに二人の瞳の色が変わり、手の平をあっさり返す。一誠もまさか食べ物でこうも簡単に釣れるとは思わなかった。頭の中で息詰まり、切羽詰るような交渉シーンを思い浮かべていた一誠は脱力感を覚えながらも、二人を連れてメンバーの下に戻る。

 そして、そこから現在へと至る。

 

「ふぅー、ここまでにしておこうこの国の言葉で腹八分目がいいらしいからな」

 

 明らかに数人分は食べたであろう皿の山を前にしてゼノヴィアが満足そうな表情で冷えた水を飲み干す。

 

「しかし、悪魔に食事の施しを受けるとはな。人生何があるか分からないものだな」

 

 凛とした顔で小さく笑うゼノヴィア。とても数十分前まで贋作の絵画に手を出したせいで路銀が一切無くなり、飢えてひもじい思いをしていた人物とは思えない。

 

「持つべきものはかつての縁なのですね、主よ。この心優しき悪魔たちに深き慈悲を」

 

 その贋作に騙されたイリナが、神と一誠たちに礼の言葉を言ってから胸の前で十字を切りそうになるが、皆が慌ててそれを止める。

 

「それで私たちにする話とやらは一体何だ?」

 

 机に置かれた伝票の金額に目を丸くしている最中の一誠にゼノヴィアが本題に入るように言ってくる。とりあえず支払いのことは後に考えると決めた一誠は生唾を呑みこみ喉を鳴らしてから頭の中で何十も考えていた言葉を口にする。

 

「エクスカリバーの破壊に協力したい」

 

 一誠の言葉にイリナとゼノヴィアはすぐには反応せず、その内容による驚きからか口を閉ざしてしまう。店内の喧騒の中で突如訪れた一角での沈黙、一誠たちも次にゼノヴィアたちが何を喋り出すかで緊張し、物音一つ上げようとはしない。

 この沈黙の中、最初に口を開こうとしたのはゼノヴィアであった。その口から出て来るのは拒絶の言葉か、あるいは承諾の言葉か、コンマ数秒の間で一誠たちの緊張は一気に上昇する。

 

「構わない」

 

 出てきたのは承諾の言葉。切り出した一誠本人もあまりに躊躇した様子も無く言ったゼノヴィアに驚きの目を向ける。それはゼノヴィアの隣に座っているイリナも同様であった。

 

「ちょっとゼノヴィア。そんなにあっさりと……」

「合理的に考えたまでだ。イリナ、私たちの目的はエクスカリバーをコカビエルの手から放れさすことだ。だが、正直に言えばかなり困難と言える。私が『アレ』を使ったとしてもコカビエルの手を掻い潜って一本、運が味方に付いたとしても二本が限界だ」

 

 破壊を前提とした場合はな、と最後にゼノヴィアは付け加える。客観的に自分たちの戦力を判断するゼノヴィアに対し、イリナの表情は決して好い顔をしない。悪魔の手助けを受けるということ自体、神に祈りを捧げる身として拒否感を覚えるらしい。だが、それが本来の正しい反応とも言え、むしろゼノヴィアの判断の方が異端とも言うべきものであった。

 

「例え自分たちの力が届かなくても、主の為に身を捧げるのが私たちにとっての本懐じゃないの」

「自己犠牲――信徒としてそれが全うできたのなら、命尽きたとしても主の下へ召されるだろうな」

「だったら!」

「ただ、主の為に例え自らが穢れようとも使命を全うして生き、何度でも主の為に戦う。それも信仰だと思うのだが?」

「……前から思ってたんだけど、私とあなたの信仰って微妙に反りが合わないわね」

「君は主の為に命を捧げる覚悟で信仰をしている。私は主の為に人生を捧げる覚悟で信仰をしている。似て非なるがどちらに優劣があるわけでもない。そうだろ?」

 

 ゼノヴィアの言葉にイリナは言葉を詰まらせる。ややリアリスト寄りのゼノヴィアの考えとややロマンチスト寄りのイリナの考え、双方の考えが完全に重なることはないが交わる点もある。それはゼノヴィアの言い分に対してイリナがある程度の理解を示しているということであった。

 

「それでも悪魔の力を――」

「安心しろ。借りるのは悪魔ではなくドラゴンの力だ」

 

 ゼノヴィアの視線が一誠の左腕に向けられる。その視線とゼノヴィアの言葉にイリナはハッとした表情で何かに気付いた様子であった。

 

「悪魔の力ではなくドラゴンの力を借りるなら上も納得してくれる筈だ。形式状、教会の人間が悪魔と組みしたわけではないからね」

「詭弁よ、それ。仮に借りるとしても周りのこの人達はどうするの? 皆、悪魔でしょ!」

「ドラゴンは力を集めるのは周知の事実だ。かってに集まって成り行きでたまたま共闘してしまった、とでも報告しておけばいい」

 

 イリナの指摘もどこ吹く風と言ったように、眉一つ動かさずにあっさりとした様子で答える。このゼノヴィアの返答に暫しの間、口を開けて驚いていたイリナであったが、短い溜息を吐くとそれ以上ゼノヴィアと揉める事無く大人しくなってしまう。

 それはイリナがゼノヴィアの考えを認め、一誠たちに協力するということであった。

 

「一応は納得してくれたみたいだ。では力を借りるぞ、赤龍帝」

「了解。交渉成立だ。俺の――ドラゴンの力を貸すぜ」

 

 二人の言葉で緊張に満ちた空気は解け、場は安堵した様子となる。

 

「おまたせしました。こちらイチゴパフェとなります」

 

 そんな空気の中、ウエイトレスがデザートを一誠たちの前へと置いていく。一誠がイリナとゼノヴィアの方を見るが頼んだ覚えがないのか二人は揃って首を横に振る。今度はアーシアたちの方に目を向けるがこちらもイリナたちと同様の反応であった。

 間違えて運ばれたのかと誰もが思ったとき、頭上の照明から鈴の様な声がした。

 

「あー、やっときた!」

 

 一斉に目線が照明の方へと向けられるとそこには照明に腰掛けているピクシーの姿があった。

 

「なんでここに? 間薙と一緒じゃないのか?」

「シンがこっちを手伝っておいてくれだってさー」

 

 照明から飛び降りたピクシーは、そのままイチゴパフェの前に移動すると添えられたスプーンを器用に使い食べ始める。

 

「あまーい」

「これは……お前たちの使い魔か?」

「改めて見て思ったんだけど、もしかしてピクシー? 物凄く貴重な妖精じゃなかったけ?」

 

 ピクシーの登場に軽く驚く二人。

 

「使い魔っていうか……今はここに居ないけど間薙の『仲魔』だ」

「間薙……ああ、あの勧誘し損ねた彼か。『仲魔』……変わった表現をするんだな、その彼は」

「こんな希少な存在を身近に置いておくなんてね。そういう筋のコレクターだったら0を7つか8つぐらい付けてでも欲しがるのに」

 

 改めてピクシーの希少さを教えられ、軽く目を丸くした一誠はイチゴパフェと格闘し続けるピクシーに目を向ける。

 

「お前って本当に珍しいんだな」

「そうみたいだね。あたしって凄いねー」

 

 少し自慢げに胸を張るピクシーであったが、金額云々について理解している様子は無くただ希少、珍しいという言葉を褒め言葉と勘違いして受け取っている様子であった。

 

「あ! そうそうシンから伝言があったんだっけ」

 

 スプーンを動かす腕を止め、ピクシーは一誠の耳元に近寄る。

 

「伝言?」

「あのね、『部長たちのことはこっちで何とかするから気にせず自分たちのことに集中してくれ。あと会長の方もどうにかするから匙にも伝えておいてくれ』だって」

「間薙……それであいつは今は何をしているんだ?」

「うーん……内緒!」

 

 

 

 

「この場所でいいのね、シン」

「その筈何ですがね……」

「その肝心の人物は見当たりませんね」

 

 人気のある場所から少し離れた所に造られている広場。周囲を木々で覆われているせいか、休日にもかかわらず全く人が居ない。所々に置かれてある休憩用の無人のベンチが、より広場の悲壮感を漂わせていた。

 そんな無味乾燥とした場所をアダムが待ち合わせの地点とし、そこにシンはジャックフロスト、リアス、朱乃、ソーナ、椿姫を連れてやってきたのだが、そのアダムの姿が見えない。

 

「遅刻なのでしょうか?」

「集合時間の15分も前に来ているのに呼んだ本人が姿を見せないとは感心しないわね」

 

 少しだけ目つきを鋭くしたソーナが、まだ見ぬアダムに対し静かな怒りを仄めかす。そんなソーナに椿姫は同感ですね、と相槌を打っていた。

 そんな二人を見て、リアスはこっそりとシンに話し掛けてくる。

 

「貴方から聞いた話の規模のことを考えると無視できないものではあるけど、よくソーナを動かせたわね。それも生徒会全員の協力付きで」

 

 もしもの場合を想定しての待機ということでこの場に居ないが、残りの生徒会メンバーも今回の件について全面的に協力する言質を取っている。

 

「一体、間薙くんはどんな対価を払ったんですか?」

「ああ、まあ、何と言うべきか――」

 

 朱乃の質問に言葉を濁すシン。それを見て不思議そうに見る二人であったが、更に追及する前にソーナの声が飛ぶ。

 

「間薙くん。そのアダムという人物に連絡を入れてくれませんか? 彼の言っていたことが本当なら、一分一秒も無駄には出来ないので」

「――そうですね」

 

 ソーナに従いシンは携帯電話を取り出すとアダムの番号に掛ける。すると林の方から着信音が鳴るのが皆の耳に入ってきた。悪魔の聴力を以てしてもかなり小さく聞こえることから、それなりの距離にアダムは居ることとなる。

 

「向こうからか」

 

 何度も鳴らしているが一向に出ないので、直接本人が居る場所へと向かう。日光が遮られた木陰はやや涼しく、湿った空気が漂い緑の匂いに溢れている。そんな中から聞こえてくる着信音を頼りに歩を進めていくが、ある程度進んだとき着信音以外の音が聞こえ始めてきた。

 

「あら? 何かしら」

「音……というよりも声?」

 

 朱乃が指摘した通り、よくよく聞けばその声は女性と思わしきものであった。途切れ途切れでありどこか押し殺したような声。

 更に奥へと進んでいくがその声は徐々にはっきりと聞こえ、次第にその声がどんな種類の声か分かり始め、全員の歩みが重いものとなり女性陣の頬にも赤みが差していく。

 

「……ねえ、これって……」

「……その……何と言うか……」

「……ええっと」

「……喘ぎ声ですわね」

「何だそれホー?」

 悶え艶のある女の嬌声。何とも言えない空気が場に漂い始める。そしてその中でも数少ない男性であるシンは居心地の悪さを感じていた。ジャックフロストに至ってはこの声がどういうものか、シンのズボンを引っ張りながら何度も尋ねてくる始末。

 

「――とりあえず、俺が先に行って見てきます」

「……大丈夫?」

「居るか居ないか確認してすぐ戻ります」

「オイラもいくホー」

「お前は留守番だ」

 

 そう言ってシンは奥の方へと一人進んで行く。

そして数分後、心底うんざりした様な空気を纏ったシンが戻ってきた。

 

「……どうだった?」

「……想像していた通りのことをしていましたよ」

 

 呆れ果てたといった口調でシンはどんなものを見てきたか教える。シンの言葉に自然と女性たちの目が林の奥へと向けられる。

 

「あちらもこちらのことには気付いたことですし、一旦戻りましょう」

「……ええ、そうね。あれだけ携帯を鳴らしていれば嫌でも気付くわね」

「違います」

「えっ?」

「最中のあいつと目が合いましたからね。――それでも続けてましたけど」

 

 広場に戻ってから数分後、シンたちが入っていった林の中から、襟元を直しながらアダムが歩いてくる。

 

「やあ、みなさん。集まって頂き感謝します」

 

 晴れ晴れとした顔で皆に挨拶をするが、リアスたちの反応は冷めたものであった。

 

「貴方がアダムかしら? 初めまして。貴方がもたらした情報が無視できないものだったから来てみたんだけど、随分と愉しんでいたみたいね?」

「くくくく、愉しむだなんてそんな。ただ男女特有の会話をしていただけですよ、私は。ああ、ちなみに相手の女性は別の道から帰らせたのでご心配なく」

 

 特に誤魔化すつもりもなく笑みを崩さないアダム。その面の厚さは並ではないらしい。

 

「まあいいでしょう。集合の時間きっかりに来ていますから。それで彼から聞いていますが、そのバルパーが施した術式について貴方から詳しく聞かせて頂けますか?」

 

 無駄な話はするつもりは無いらしくソーナは冷徹な声で話を先に促す。

 

「それなら実際に見た方が早いですね。その為にここに呼んだわけですから」

 

 アダムはそう言って広場の奥に進んで行く。全員がその後についていくが約200メートルほど歩くと近くに立つ木の側で立ち止まる。そしてその木の幹を指先で叩き目当てのものであることを示す

 

「これです」

「朱乃」

「はい」

 

 リアスの指示で朱乃がその木の幹に手を触れる。すると朱乃の手から魔力が発せられ、それに反応して幹から円形状の陣が浮き出す。そのまま朱乃はその陣に触れるとガラス細工の様に粉々に砕け散ってしまうが、砕いた朱乃本人は眉間に眉を寄せ険しい表情となる。

 

「……これは」

「どうしたの?」

「この術式はかなり巧妙に作られた偽物です」

 

 朱乃は言う。表面上は本物の術式と何ら変わりないが、本物とは違い効力を発揮する力は無く、描かれている式も、本物の匂いを出す為の偽装に過ぎないと。

 

「流石、将来有望なリアス・グレモリー様の眷属ですね。一目で見破るとは」

 

 手を叩き賞賛の拍手を送るが、そんな拍手一つで場の空気が変わる筈もない。

 

「一つ聞いていいか?」

「何でしょうか?」

「この偽物を含めてこの街には一体どれくらいの術式が施されているんだ?」

 

 シンの問いにアダムはにこやかな笑みを浮かべこう告げる。

 

「そう大した数じゃありません。私が数えた所ざっと見ても300程ですから」

 

 

 




皆がそれぞれ集まって色々話す回でしたが、もう一人のメインの木場が出ませんでしたね。次の話では活躍する予定です。
気付けば最初の話を書いてから一年が過ぎました、今後もこういったペースが続けばいいなと思っています。

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