ハイスクールD³   作:K/K

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上面、食事

『……』

 

 埃のニオイが漂う体育倉庫内で、五人の男女が沈黙したまま向き合っていた。

 一人はシン。目の前で並ぶ三人に呆れを混ぜた冷たい視線を送っている。

 一人は一誠。目の前から突き刺されるシンの視線に耐え切れず、冷や汗を流しながら俯いている。

 その隣にいるアーシアは耳まで真っ赤に染め、体を縮込ませていた。

 アーシアと一誠の間に挟まれているゼノヴィアは、威風堂々としており、臆することなくシンの視線を受け止めている。

 そして、最後の一人であるイリナはオロオロとした様子でシンと一誠たちを交互に見ている。

 

「……別に」

 

 沈黙をシンが破る。

 

「行為そのものを咎めるつもりは無い。だがな、俺も立場というものがある。立場上こんなことを言うのは間違っているかもしれないが、場所を選べ」

 

 あくまで諭す様な口調。

 それを聞き、ゼノヴィアは『ふむ』と言いながら顎に手を当て、考える仕草を見せた後、ある答えに至る。

 

「――つまり、『乳繰り合う』ならここよりも場所が整っている保健室の方が」

「黙れ。馬鹿」

 

 真顔で出された結論を、シンは短い言葉で一蹴する。

 何故この様な状況になっているのか。事の発端はゼノヴィアにある。

 シンとイリナが一誠たちの早朝特訓に合流し、暫く特訓風景を眺めていた。やがて、一誠たちの特訓は終わり、一誠たちは練習に使用していた道具を体育倉庫に片づけに行った。

 そこまでは良かったのだが、中々戻ってこない三人に対しシンは不審に思い始め、そのとき唐突に夏のプールの一件を思い出した。

 まさか、と思い体育倉庫の中に入ると案の定と言うべきか、上半分を剥いたアーシアとゼノヴィア、そして露わになった二人の胸に触れる一誠の姿があり、そこから冒頭に至る。

 シンはオカルト研究部員ではあるが、同時に生徒会のメンバーでもある。役職には就いてないが、ソーナからは生徒会としてある程度の権限を保証されていた。そして、生徒会には学園の風紀を取り締まるという仕事もある。顔見知りということで見逃しても良かったが、今後シン以外に見つかる可能性も考慮し、釘を刺しておくことにした。

 

「――アーシア」

「は、はい!」

 

 名を呼ばれてびくりとしながら返事をし、そのままシンを見るが、途端に赤面して顔を伏せてしまう。体育倉庫に入ったとき、アーシアはシンに下着も何も着けていない上半身裸を見られていた。一誠相手ならある程度の羞恥も我慢出来るが、他の男性なら話は別である。今のアーシアはまともにシンの顔を見られなかった。

 

「するなとは言わない。だが、さっきも言った様に場所は選んでくれ。――でないと見せたい相手以外に見せることになるぞ?」

「はい……」

 

 消え入りそうな声で返事がくる。

 

「アーシアを責めないでくれ。一緒にと誘ったのは私だ」

「――いい加減、突発的に暴走するのは止めろ。ゼノヴィア」

 

 アーシアを庇うゼノヴィアに、シンから苦言が呈せられる。

 

「至って真面目に考えて行ったつもりなのだが?」

「真面目に考えた挙句に正反対なことをしてどうする」

 

 本人が至って真剣な為、シンとしても諭しようが無い。時間を掛けてあーだこーだ言っていくしか解決方法が無いのではと思えてくる。

 

「あんまり露骨過ぎるとそのうち見つかって最悪停学を受けるぞ? ――それとも続きは停学中に家でするのか?」

「そうか。――その手があったか!」

「あってたまるか」

 

 ゼノヴィアに斜め上の解答を間髪入れずに否定する。基本的には真面目なのだが、ふとした拍子にとんでない思考に至るのがゼノヴィアの悪癖と呼べた。その度に指摘すれば良いが、指摘せずに済む日が来るのは何時になるのだろうか。

 

「――イッセー」

 

 名を呼ばれ、気まずそうに俯いていた顔を上げる。

 

「流され野郎」

 

 何時か言った台詞を、若干棘を含ませた形でもう一度言う。

 あれこれと諭されるのではなく、直球過ぎるその言葉が一誠の心に突き刺さった。実際、その通りなので反論一つ出来ない。

 

「……仰る通りで」

 

 今の一誠に出来ることがあれば、甘んじてその呼び名を受け入れることである。

 

「偶にはお前も言ってやったらどうなんだ? ――ドライグ?」

 

 一誠の中に宿る龍にも忠告する様に言う。

 

『……相棒がすることに俺はとやかく口を挟むつもりはない』

 

 一誠の左手の甲が光り、そこからドライグの声が発せられる。ドライグ自身は、一誠に過干渉するつもりは無いと明言する。

 

「そういう風だから好き勝手使われるんだろうが。……性欲願望具」

 

 ドライグの尊厳を一撃で粉砕する言葉。それを聞かされた瞬間、一誠の左手が跳ね上がった。

 

「お、おい! 落ち着け! 落ち着けドライグ!」

『うおおおおおおお! 相棒ぉぉぉ! 一発でいい! 一発でいいからそいつを殴らせてくれぇぇぇ!』

 

 暴れ狂う左手を必死に押さえ込む一誠。左手からは慟哭の様なドライグの叫び。

 狭い体育倉庫内が騒然としたものとなる。

 鼻先で一誠がパントマイムの様に左手と右手を戦わせている状況下で、相変わらず涼しげな表情のシン。

 そんなシンの横顔を見ているイリナは分からなくなってしまう。友人たちのやりとりを呆れながらも見捨てずに付き合う彼。身内の様に諭す彼。そして、冷たく、恐ろしい死の気配を放つ彼。

 一体どれが本当の彼なのだろうか。

 監視の件も、聞くだけ聞いただけで怒ることも追及することもしなかった。堪らず、イリナの方から何か言うことは無いのかと聞いてしまったが、返ってきた答えは『無い』。それどころか、これからも使命に沿って動けばいいと監察対象直々の承諾までされてしまった。

 何を考えているのか。感情の色が薄いシンの表情を見ても、イリナには何一つ読み取れるものは無かった。

 

 

 ◇

 

 

 その日の放課後、いつものメンバーがオカルト研究部に集まる。シンもその中に居り、隣にはピクシーたちも居る。

 朝、置いてかれたことに対しピクシーたちはそれを非常に不満に思い、ずっと不機嫌であったが、シンが何かを奢ると言うと途端手の平を返してすぐに上機嫌となった。言った後に察したが、不機嫌な態度は、全てシンのその一言を引き出す為の演技であった。少しでも隙を見せると味方でも容赦無くそれを突いてくる仲魔たちの強かさに、頼もしさすら感じる。

 

「……そういえば」

 

 小猫がシンに話し掛ける。彼女の側にはパスカルが横になっている状態で小猫に撫でられ、それをされるがままでいた。戦いとなると苛烈に戦うが、普段の彼は非常にマイペース且つ大人しい。

 

「……この子は普段は何を食べているんですか?」

「基本雑食だ」

 

 言葉通り、食べられる物なら何でも食べる。姿から肉食をイメージさせるが、野菜も食べる。昨晩、キャベツを一玉与えた所、一口で嚙み砕いて飲み下してしまった。

 だからといって肉食を好まないという訳でも無い。塀の上を歩く野良猫を見て、表情が少ない彼が、明らかに獲物を見る目をしながら口角を吊り上げているのをシンは見ていた。その気になれば、周囲一帯から野良猫どころかペットまで消えるだろう。

 

(食事代をどうするべきか……)

 

 小猫の言葉で、最近頭を悩ましている問題が思い浮かんできた。ピクシーやジャックフロストは小柄の為特に問題は無く、ジャックランタンにとっては食事など娯楽程度にしか思っていないので殆ど必要ない。ただ、ケルベロスは見た目以上に食べる。

 一応はシンを気付かってか食事量を抑えているみたいだが、それでも結構な量である。シンとしても人間界に連れてきた責任としてケルベロスを飢えさせるのも忍びない。しかし、満足させる量を与えるとなると、シンの家の財政は破綻する。

 いくら強くなっても金の壁を破ることが出来ないという事実に、世知辛いものを感じた。

 

(はぐれ悪魔たちを倒せば金が出るシステムだったらな……)

 

 などと都合の良いことを考えてしまう。そんなことなど在る筈も無いのに。

 

「……い? 先輩? 間薙先輩?」

「ん?」

「……アザゼル先生とリアス部長の準備が終わりましたよ」

 

 パスカルを撫でていた小猫は既にソファーに座っており、アザゼルとリアスがいつの間にか巨大なスクリーンと映像媒体らしき機械を設置していた。

 そのことに全く気付かなかった。考えにどれだけ没頭していたのかが分かる。

 

「これには、若手悪魔の試合が記録されているわ。勿論、私やソーナたちの試合もよ」

 

 機械に触れながら、どんなものか説明をするリアス。

 

「お前たちの試合の後にも他の若手悪魔たちがレーティングゲームを行った。ライバルたちの試合をよく見ておけよ。そこから何か得られるものがあるかもしれないからな」

 

 リアスの言葉を継いでアザゼルが補足説明する。

 これからオカルト研究部一同で、若手悪魔たちの試合内容を視聴する。

 何故この様なことをするのか。それは先日、リアスたちの次のレーティングゲームの対戦相手が決まったからである。

 ディオドラ・アスタロト。今、リアス眷属内で渦中となっている人物が相手であった。

 

「まあ、入っている内容はアガレス家とアスタロト家のゲームだけだがな。そう長い内容じゃない」

 

 アザゼルの説明に、一誠が疑問の声を上げる。

 

「バアル家とグラシャラボラス家のゲームはどうなってんですか?」

「中止になった。何でもゼファードルが寝込んじまったらしくてな。ゲームに参加出来る様な精神状態じゃないらしい」

 

 シンは、脳裏にゼファードルのいざこざを思い出す。そうとう尾を引いているらしい。

 

「凶児なんて呼ばれて忌み嫌われていたゼファードルが、心折られるなんてよっぽどショックなことがあったのかもな。なあ?」

 

 皆に聞いている様であったが、シンには自分に問いている様な気がした。アザゼルのことなので、もしかしたら全て把握している可能性がある。

 

「――俺としては少し残念だ。若手悪魔の序列一位のサイラオーグ・バアルの実力を見たかったからな。リアス、お前も少しでも情報が欲しかっただろ?」

「ええ、そうね。サイラオーグは怪物とまで呼ばれる実力を秘めているわ。レーティングゲームに本格参戦すれば、上位を狙える実力者だと周りも言っている」

 

 真剣な表情で語るリアス。それだけでどれほどの実力者か伝わってくる。

 

「……もしかして、ライザーよりも強いんですか?」

 

 リアスは少し考えた後――

 

「……そうね。贔屓目に見て私はサイラオーグの方が強い――」

「――それはどうでしょう」

 

 ――サイラオーグの方に分があると言おうとしたが、途中で異を唱えられる。

 口を挟んだのはシンであった。

 

「今ならいい勝負をするかもしれません」

 

 一同最初は何を言っているのか分からずにポカンとしてしまう。

 やがて言っていることを理解し、もう一度驚く。まさか、シンの口からライザーの肩を持つ発言が出ることなど、誰も微塵も思っていなかった。

 

「――あくまで、もしかしたらですが」

 

 照れ隠しの様に言葉を濁す。

 

「……パーティーのときも思っていたけど、貴方っていつの間にライザーと仲良くなったの?」

「別に仲が良い訳じゃないです」

 

 そこだけは即答で否定する。

 

「――まあ、いいわ。確かに貴方の言う通り、ライザーの不死性とサイラオーグの力が競り合ったときの答えはやっぱり実際に見てみないとね」

 

 自分の答えを一旦保留し、シンの考えを汲んでか答えを曖昧なものとした。

 

「サイラオーグさんってどんな戦い方をするんですか? やっぱりリアス部長の従兄弟ですし、滅びの力を?」

 

 一誠の質問に、リアスは僅かに表情を曇らせる。

 

「……確かに滅びの力はバアル家の特色よ。お母様が授かった力は、私やお兄様にも受け継がれたわ。でも……」

「同じ血だからといって才能、素質、特色ってのが必ずしも受け継がれる訳じゃない。サイラオーグはな、純血悪魔の中でもそういったものを何一つ得られなかったのさ」

 

 若手最強の悪魔が全くの無能ということに、一誠を含む他のオカルト研究部のメンバーは衝撃を受ける。

 

「じゃ、じゃあどうやって若手最強に?」

「体一つしかないんだ。そりゃあ、立ちはだかる奴を殴って蹴って倒してきたのさ。まあ、純血悪魔はあまりしないが、そこに至るまでに鍛えて鍛えて鍛え抜くしかねぇよ。負けたら鍛えて、勝っても鍛えて、どれだけ血を流しても、どれだけ汗を流しても、どれだけ泥に塗れても、ただそれだけを愚直に続けただけだ」

 

 徒手空拳だけで最強の座を掴んだことに、一誠たちは戦慄する。

 シンもまたサイラオーグと会ったとき、握手を交わしたことを思い出していた。血が滲むなどという言葉が霞む程の修練の果てに得た拳。触れただけで『強い』と感じる訳である。あの拳には言葉以上の説得力があった。

 

「一度彼が修行している所を見た事があるけど――色々な意味で震えるわよ?」

 

 ここまでの力を持っているのかという恐れ。ここまで至ることが出来るのかという羨望。あの姿は見た者の心を揺さぶる、とリアスは最後に付け加える。

 

「――と、ここまでお前たちをびびらせたところで悪いが、ディオドラとの戦いが終わったらサイラオーグと戦うことになるぞ。ゼファードルがいつ復帰するか未定だからな」

 

 爆弾発言が静まり返っている部室にいきなり投下される。リアスも初耳らしく目を見開いていたが、すぐに気を取り直して一人黙考し始めた。対サイラオーグの為にどれだけの準備が必要か瞬時に計算する。

 

「こんなタイミングで言ったのは悪かったが、あんまり先のことばかり考えていると足元を掬われるぞ?」

 

 沈黙するリアスにアザゼルが話し掛けると、ハッとした様に顔を上げ、気持ちを切り替える様に深呼吸をする。

 

「――そうね。まずは目先の試合に集中しましょう。アスタロトの試合内容を研究、分析するのが今回一番の目的よ。気を引き締めて見ましょう。何せ、アスタロトはアガレスを破ったのだから」

 

 周囲の評価では、アガレスの方がアスタロトよりも実力が上であると思われていた。しかし、結果は予想に反してアスタロトの勝利。若手悪魔のレーティングゲームで唯一下馬評を覆している。

 

「まさか、アガレスが負けるなんてね……」

 

 今でも信じられないといった態度で映像を再生する。

 レーティングゲームの内容は、説明すると至ってシンプルなものであった。

 長髪の眼鏡を掛けた女性、シーグヴァイラ・アガレスが眷属たちを引き連れて進軍し、柔和な笑みを常に浮かべ続ける優男、ディオドラ・アスタロトの眷属たちを次々に撃破していく。

 しかし、最後はディオドラ単騎でシーグヴァイラを含む眷属たちを返り討ちにして勝利を掴んだ。

 結果を見ればディオドラの一人舞台であった。シーグヴァイラたちもディオドラの眷属たちも、彼の活躍を彩らせる為の添え物に成り下がっていた。

 

(随分、圧倒的だな)

 

 いくら評価に誤差があるとはいえ、殆どディオドラ一人でシーグヴァイラたちを撃破している。実力を隠していたと言われればそれまでだが、シンはディオドラの力に直感的に違和感を覚えていた。他のメンバーも同じ様に、ディオドラの実力に驚きよりも先に怪訝を感じている。

 そのとき、床に伏せていたパスカルが顔を上げ、唸り始める。鋭い視線が部室のある点について向けられていた。

 

「どうしたの?」

「ダレカクル」

 

 パスカルのその言葉に、部室内のメンバーは一瞬にして警戒態勢となる。

 その直後に、転送魔法陣が床に浮かび上がる。描かれた紋様には誰もが見覚えがあった。つい先程までスクリーンに映し出されていた紋様である。

 

「――アスタロト」

 

 朱乃の洩らした言葉に応じる様に、魔法陣から一人の人物が現れる。

 見ていた映像と寸分変わらない笑みを浮かべる優男――ディオドラ・アスタロト。

 

「皆さん、出迎えありがとうございます。久し振りにアーシアに会いに来ました」

 

 警戒態勢の皆を見てもその笑みを崩すことは無い。一誠などディオドラが現れたときからギリギリと歯を軋り、今にも飛び掛かりそうな程危険な敵意を向けているが、余裕に満ちた態度を崩さない。一誠など眼中に無い様子であった。

 

「何の用かしら?」

 

 ディオドラに向けられるリアスの排他的な冷たい声。

 

「レーティングゲーム前に少しお話をしたいことが。――ああ、でも一番の目的は愛しのアーシアの顔を見に来たことですが」

 

 そう言ってアーシアに微笑み掛けるが、アーシアの方は一瞬身震いした後に、一誠の背後に隠れてしまう。

 客観的に見ても脈など一切無い反応であったが、ディオドラの方は傷付いた様子も無く、人見知りの幼子の反応でも見るかの様に微笑ましくそれを眺めていた。

 

「まあ、立ち話もなんだ。座れよ。ディオドラ・アスタロト」

 

 アザゼルがソファーに座るよう促す。

 

「では、お言葉に甘えて」

 

 ディオドラがソファーに座ろうとすると、木場と朱乃、小猫がソファーから立つ。それに反応し、少し遅れて一誠とアーシア、ゼノヴィア、ギャスパーもソファーから慌てて立った。

 普段は家族同然の付き合いをしているリアスの眷属たちであるが、こういった上級悪魔同士の対話では分を弁えた行動を自然にとる。でなければ、リアスに恥をかかせることになるからだ。

 そのまま部室の隅に移動し、置物の様に沈黙する。

 

「朱乃。お茶の用意を」

「はい」

 

 リアスの指示に従い、お茶の準備をする朱乃。普段の動きと違い、温度を感じさせない機械的な動きであった。

 数分後、朱乃が淹れたお茶がディオドラの前に置かれる。この数分間、部室内には一切会話は発生しなかった。

 ディオドラは置かれたお茶を一口飲む。

 

「美味しい。流石、リアスさんの『女王』。結構な御点前で」

「ありがとうございます」

 

 朱乃は笑顔で応じるが、目は笑っていない。親しい者ならそれが上辺だけのものだと分かる。

 

「レーティングゲーム見させてもらったぜ。アガレスに勝つなんて大したもんじゃねえか」

「紙一重の差でしたよ。やはりアガレスは強かったです」

 

 謙遜するディオドラだが、何処か言葉に嘘を感じさせる。アザゼルもそれを感じとったのか目付きが変わる。

 

「本当に大したもんだったぜ? 特に終盤は、な。あんだけの力を持っているなんて予想外だった。能ある鷹は爪を隠すってやつか?」

 

 褒めるというよりも探っているという印象を受けるアザゼルの言葉。

 

「日々の研鑽のお陰ですよ」

 

 笑顔で言い切ってみせる。

 

「――そうかい」

 

 これ以上探っても何も出てこないと察し、この話がこれ以上続くことは無かった。

 

「それでお話のことなのですが――その前に」

 

 ディオドラの視線が手元のお茶から別の対象に向けられる。

 

「彼は?」

 

 ディオドラの視線の先で、シンは朱乃が置いたお茶を静かに飲んでいた。

 一方、仲魔たちはというと、ディオドラのことを警戒しているのかソファーから離れ、我関せずを貫いているパスカルの体の陰に隠れて、コッソリとこちらを眺めている。

 

「……確か彼は、リアスさんとソーナさんとのレーティングゲームにも居ましたね。てっきりソーナさんの眷属だと思っていましたが?」

「彼は、ソーナの眷属でも無いし、私の眷属でも無いわ」

「眷属では無い? なら転生悪魔でも無いのですか? 人間ならこの場に相応しくないと思いますが?」

 

 顔は笑顔のままだが、声に明らかに侮蔑が込められていた。シンというよりも人間という存在を見下している。

 

(隠すつもりは無い、という訳か)

 

 差別感情を露骨に見せるディオドラ。悪魔とて十人十色。自分たちの種以外を蔑む者たちも必ず居る。いちいち分かりきっていることに腹を立てるのも馬鹿馬鹿しいので、ディオドラの言葉に全く反応することなく、シンはお茶を飲み続けていた。

 自分の言葉に一切意を介さない姿を不快に思ったのか、更に何を言おうとディオドラが口を開く。

 

「君は――」

 

 しかし、それを制する様にリアスが口を挟んだ。

 

「彼は、私とソーナ共通の大切な友人よ。――私の友人に対して言葉は慎重に選んでね?」

 

 言葉次第ではグレモリー家とシトリー家を、敵に回すかもしれないという脅しを暗に言う。

 ディオドラは、その細めた目から一瞬眼光を飛ばす。が、すぐにそれも笑顔で覆い隠されてしまった。

 

「つまらないことに時間を取られるのはここまでにしておきますよ。今、リアスさんの気分を害するのは損ですし」

 

 ふざける様に両手を軽く上げ、降参といったポーズをとる。その言動自体が、リアスの気分を著しく害するが、ディオドラは分かっているのか分かっていないのか構わず本題に入る。

 

「単刀直入に言います。リアスさん。貴女の『僧侶』、アーシアさんと僕の眷族をトレードしませんか?」

 

 途端、部屋の片隅で怒気が膨れ上がるのをシンは感じた。怒気を放つのは、当然一誠である。目を動かし少し見てみると、噛み付きそうな形相から今にも嚙み殺しそうな形相へ変わっていた。尤も度合いは違うが、木場は無表情だがその眼は鋭く輝き、ゼノヴィアもまた眉根を寄せており、他のメンバーたちもディオドラの発言に嫌悪感を覚えているのが分かる。

 

「そんなことだろうと思ったわ」

 

 ディオドラは一冊の本を虚空から出現させ、中身をパラパラとめくり始める。

 

「それでこちらが用意出来るのは――」

「話を進めているところ悪いけど、私はトレードに応じるとは一言も言っていないわ」

 

 ページをめくる手が止まった。

 

「貴方の眷属と釣り合いがとれないというつもりは無いわ。最初からトレードをする気が無いだけ。彼女は私の大事な眷属よ」

「大事な、ですか? それは彼女の能力が? それとも彼女自身が?」

「全て合わせてアーシアの魅力よ。それに、自分の眷属だもの。最後の最後まで面倒を見るのは当たり前じゃなくて?」

「立派な考えだとは思いますよ。でも、今のままでは彼女は下級悪魔のままだ。僕のプロポーズさえ受け取ってくれれば、すぐに上級悪魔の仲間に入れる」

「そういう地位も大事だけど、妹同然のアーシアにはきちんと納得した形で幸せになってほしいわ。――正直に言うと貴方の所には安心して送り出せない」

 

 手に持っていた本を放り棄てる様にテーブルの上に置く。

 

「僕では彼女を幸せに出来ないと?」

「少なくとも、トレードで手に入れようとしている貴方には不信感を覚えるわ。求婚とはそういうものじゃないでしょう?」

「大事な女性を自分の側に居させたいというのは当然の考えでは? 僕にとっては僕の手に届く範囲が彼女にとって最も安全な場所だと思っているので」

 

 ディオドラの言葉に、リアスから静かな怒りが零れ出す。

 

「私が彼女を守れないと? 貴方よりも弱いと思っているのかしら?」

「弱いなどとは思っていませんよ。――でも、リアスさんに負けるとも思っていません」

「余計な心配よ」

「かもしれませんね。――いざとなれば、リアスさんはサーゼクス様のお力を借りればいいですし」

 

 さも、リアスがサーゼクス頼りだと言わんばかりの台詞。実の兄を敬愛している為に、兄に負担を掛ける様なことを嫌うリアスにとっては、最上級の挑発である。

 

「……言葉は慎重に選ぶベきだとさっき忠告した筈よ?」

「ええ。周知のことを言ったつもりです」

 

 場の空気が重苦しいものと化す。リアスは能面の様な表情で、ディオドラは相変わらずの笑顔のまま、部室内を瞬時に満たす程の魔力を放っている。

 一触即発の状態。二人のうち、どちらかがあと一言でも発したら、すぐさまそれを火種として爆発するだろう。

 が、その極限まで張り詰めた空気もあることで一変する。

 

「こんにちはー! ちょっと用が……あって?」

 

 勢い良くドアを開け、快活な挨拶をしながら入って来たイリナであったが、オカルト研究部内の異常な空気に触れ、最後の言葉は小声となっていた。

 前触れも無く現れたイリナに、部室内の誰もが目を丸くした状態でイリナの方を見ている。

 

「――お取り込み中だったかしら?」

 

 見知らぬ人物が居ることと、一誠たちが揃って壁際に並んでいるのを見て、イリナなりに状況を把握する。

 

「ごめんなさい! どうぞ、どうぞ、続けて」

 

 そう促すイリナであったが、先程までの空気は見事なまでにぶち壊されている。改めてさっきまでのやりとりをしても滑稽なだけと判断したリアスとディオドラは、この話題を終わらすことに決めた。

 

「――兎に角、貴方のトレードには応じないわ」

「――分かりました。今日はこれで帰ります」

 

 ディオドラは、ソファーから立ち上がるとアーシアへ微笑む。

 

「僕たちを妨げる障害は多いけど、決して僕は諦めない。乗り越えてみせるさ。アーシア、愛している」

 

 アーシアに向けて愛の言葉。それを聞いた女性陣は、一斉に身震いをした。情熱的な台詞とは裏腹にその言葉に強烈な嫌悪感を覚えている様子。事情を全く知らない筈のイリナも鳥肌を立たせ、何故か男のギャスパーも体を震えさせていた。

 顔を蒼褪めさせるアーシアに尚も笑みを送り続けるディオドラ。それを阻む様に、一誠がディオドラの前に出る。

 

「どいてくれないかな? 僕とアーシアの前から」

「い・や・だ・ね!」

「あまり調子に乗らない方が良いと思うよ? 所詮、君はドラゴンありきの下級悪魔君なんだから? ――まあ、中に入っているドラゴンも血に飢えた粗暴で薄汚いドラゴンだけどね」

 

 笑顔のまま一誠たちを罵倒する。

 

「このっ!」

 

 更に一歩前に出ようとする一誠。だが、その動きは急に停まった。誰かが腕を引っ張っている。一誠が首だけ後ろに向けると、アーシアが一誠の腕を引っ張っていた。

 

「アーシア?」

 

 何故と聞く前に、今度はアーシアが一誠の前に出て、ディオドラと真っ向から向き合う。

 

「イッセーさんもドライグさんも、貴方よりも綺麗でずっと強いです!」

 

 普段は控え目な態度のアーシアが、この時ばかりは強い意思を以ってディオドラの言葉を強く否定する。

 

「へえ? 僕よりも?」

「そうです!」

「それは聞き捨てならないね」

 

 笑顔はそのまま。しかし、その眼だけは妖しい輝きを放つ。

 

「じゃあ、こうしよう。次のレーティングゲームで直々に兵藤一誠を倒す。そうしたら、僕のプロポーズを受けてくれるね?」

「分かりました」

「アーシア! 貴女――」

 

 躊躇うことなく了承するアーシアに、思わずリアスは声を出してしまう。だが、続く言葉は、リアスに向け手を突き出す一誠によって制された。

 

「俺が、お前に負けるわけねぇだろ」

 

 一誠もまた言い切る。

 首尾よく望んだ通りの展開となったディオドラ。その顔には満面の笑み――は無く、迷い無く自分を倒すといった揺るぎない一誠の姿が癪に障ったのか、僅かな不快感を浮かべている。

 

「驕らないことだね、赤龍帝。次のゲームで完膚なきまでに倒してあげるよ」

「お前が見下した俺たち(ドラゴン)の力を存分に見せてやるさっ!」

 

 一誠の言葉を鼻で笑いながら、ディオドラは足元に魔法陣を出現させ、光に包まれて帰っていった。

 ディオドラが帰った後、リアスが溜息を吐く。

 

「貴方たちねぇ……」

「す、すみません! 部長さん! つ、つい我慢出来なくて……。イッセーさんもごめんなさい!」

「いやいやいや! 謝る必要なんて無いって! アーシアが言わなかったら俺が言ってたかもしれないんだから! 部長! 叱るなら俺を!」

「二人とも落ち着きなさい」

 

 独断でアーシアの行く末を賭けたことに怒っているかと思われていたが、リアスの声は柔らかく、怒気を含んではいなかった。

 

「言ってしまったものはしょうがないわ……決まったからには絶対に勝つわよ!」

『はい!』

 

 リアスの宣誓に眷属たちは声を揃えて上げる。

 そんな中で、話についていけず置いていかれている者が一人。

 

「えーと……もしかして私、変なタイミングで来ちゃった?」

「ある意味では最高のタイミングだったぞ」

 

 アザゼルがフォローを入れる。一触即発の空気を一瞬で萎えさせたのは、アザゼルにしてみれば大したものと言えた。

 

「そ、そうですか?」

 

 褒められたことがいまいちしっくりとこないのか、複雑そうな表情をする。

 周囲が騒がしくなっていく中、一人ソファーに座り続けているシン。傍から見れば溶け込めずに孤立している様にしかみえない。とはいえ普段流されたり、巻き込まれることが多いシンにとっては、この孤立こそある種の自由と言えた。

 そんな自由の中で、シンはまだ残っているお茶に手を伸ばそうとし、その手を途中で止める。シンの視線は、ティーカップから別の物に向けられていた。

 テーブルに置かれた一冊の本。ディオドラがトレードの為に出した本である。イリナや一誠たちのこともあって回収し忘れていったらしい。

 何気ない好奇心からその本に手に取り、開く。中にはディオドラの眷属である女性たちの写真や特技などといったデータ、あまり声に出せない様な情報まで詳細に書かれていた。

 リアスが中身を見ずにディオドラの要求を突っ撥ねたのは正解だった。もしも見ていたら、この本でディオドラの頬を張り倒していたかもしれない。個人情報やプライバシーという言葉が馬鹿らしく思える程の内容である。

 

「何それ?」

 

 いきなり背後から現れたイリナが、シンの顔の側で話し掛けてくる。顔を動かせば頬が触れ合いそうな近距離だったので、シンは目線だけイリナに向け、本について軽く説明する。

 案の定というべきか、ディオドラのしたことにイリナは憤慨した。

 

「何なのそれ! アーシアさんの気持ちを何も考えていないの!」

「……本当に考えていないのかもな」

「え?」

 

 考えれば考えるほど、ディオドラのやり方は露骨過ぎた。下手に出るつもりは一切無く、外堀を埋めるつもりもない。寧ろ軽んじている態度すら見せる。いくら何でもプライドが高いからという理由の許容を超えている。悪魔ですら治癒するアーシアの性格を考えれば悪手でしかない。

 そう思うと、ディオドラがアーシアに向けた行動全てが薄ら寒く思えてきた。

 前に、一誠にディオドラと直接会って見なければ良いも悪いも分からないと言ったが、今日会ったことで、一つの解答が出る。

 

「――きな臭い奴だ」

 

 それが、シンがディオドラに抱いた印象であった。

 

「ところで何をしにここに来たんだ? 用はどうした?」

 

 いつまでも隣にいるイリナに用事のことを聞く。

 

「大丈夫! 用があるのは貴方だから!」

「――何?」

 

 嫌な予感がする。

 

「私、考えたの。正直、貴方って何を考えているのか全く分からない変な人だって」

 

 人によっては傷付きそうな台詞である。

 

「でも、それは貴方のことを殆ど知らないからなのよ! そう! 私たちには会話が足りないの!」

 

 一方通行で話されているこの時点で会話など成立していない。

 

「このことを解決する方法はすぐに見つかったわ!」

「……それは何だ?」

「私の立ち上げるクラブ『紫藤イリナの愛の救済クラブ』に入って一緒に困っている人たちを助けましょう! 互いのことを理解出来て、人助けも出来て、まさに一石二鳥よ!」

 

 色々と主張の激しい名前のクラブに勧誘され、眩暈がしそうになる。

 

「今入ってくれるなら貴方の名前もクラブに刻むわ! そう『紫藤イリナと間薙シンの愛の救済クラブ』よ!」

「……何かの罰かそれは?」

 

 永久ものの恥である。

 

「ねえ? ねえ? どう? どう?」

 

 爛々と目を輝かせて誘ってくる。

 

「――とりあえず考えておく」

 

 シンの選択は保留であった。が、後日あの時きちんと断っておけば良かったと後悔する時が来るのを、この時のシンはまだ知らない。

 

「うーん。いい案だと思うんだけどなー」

 

 快諾されなかったことに若干の不満を抱いているイリナだったが、断られなかったのでそれで良し、と妥協する。

 

「――ところで」

 

 イリナの目が再び本に向けられる。

 

「その本、少しだけ私に貸してくれない?」

「何か気になるのか?」

「うーん。何なんだろう」

 

 イリナは眉間に皺を寄せ、何かを思い出そうとする仕草を見せる。

 

「この写真の人、どっかで見たことがあるのよね……」

 

 

 ◇

 

 

「すまない、間薙。もっと洒落た店を私が知っていたら」

「気にするな。肩肘を張ることが無くていい」

 

 シンと由良は、隣り合って席に座っていた。

 今日は、生徒会の手伝いをする日だが予想以上に仕事の量が多く、夜が更けるまで時間が掛ってしまった。帰宅しようとする際に、由良から声を掛けられ以前一緒に食事をすると約束したので、その約束通り今二人でとあるラーメン屋に来ている。雑誌でも度々紹介されている有名なラーメン屋らしい。

 既に仲魔たちは家に帰しており、店内も時間が遅いので客が居らず、今は由良とシンの二人だけである。

 注文は済ませており、店主が座っているカウンター席の奥で手際よく料理をする音だけが聞こえてくる。

 

「――静かだね」

「そうだな」

「君はよく外食をするのか?」

「偶に、だ。基本的には自炊だ」

「料理が出来るのか。それは凄いね」

「美味くも不味くも無い平凡な腕だ」

「出来ること自体大したものさ。私はあまり料理なんてしないからね」

 

 あまり盛り上がっていない会話。原因があるとすれば淡々としているシンにある。しかし、由良は特に不満そうな表情をしていなかった。シンが不誠実な人間ではないということを知っているからである。

 

「ソーナ会長は料理をすると聞いたな。偶に菓子を差し入れするとか?」

 

 その話題に触れた瞬間、由良の顔から血の気が引く。

 

「会長のお菓子は、その、うーん、何というか、あー、そのー、あのー」

 

 その反応で腕前の方は察せた。これ以上この話題を広げても由良の為にはならないので、別の話に変えようとしたとき――

 ――シンは弾かれた様に店の入り口の方を見る。

 

「どうかしたのかい?」

 

 由良が聞いてくるが、シンは答えずに入り口の扉を睨み続けている。

 数秒後、入り口の扉が開く。

 

「いらっしゃい」

「二名だ」

「空いている席にどうぞ」

 

 入り口から入って来たのは二人の男性。このときになって由良の顔付きが変わった。

 男たちは、カウンター席に座るシンたちの姿に一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐにそれを笑みで消し、シンたちの隣の席に座る。

 

「奇遇だな」

「女っ気の無さそうな奴だと思っていたがちゃっかりデートかぃ。やるじゃなーい」

 

 親し気に話し掛ける男たち。片方は白龍皇ヴァーリ。もう片方は、シンと交戦経験のある美候。

 リアス、ソーナの縄張りとしているこの町に敵対関係にある者たちが平然とした様子で現れた。

 

「何をしに来た?」

 

 低い声で威圧する。

 

「ちょっとした用事を済ませたついでに食事に。この店のラーメンをぜひ食べてみたいと思っていた」

 

 ふざけているのかと思ったが、その眼の本気さから嘘では無いらしい。

 

「用事?」

「明日にでも兵藤一誠に聞いてくれ」

 

 口振りからして既に一誠とは接触済みらしい。

 

「お前たちは――」

「まあ、待ちな」

 

 由良が言いかけるが、それを美候が中断させる。

 

「話は食事中でも出来るって」

 

 手に持ったメニュー表を指先で叩きながら、美候は朗らかな笑みを見せる。

 

「それはダメだ」

 

 しかし、ヴァーリがそれを却下した。

 

「ラーメンを食べるときは雑念を捨て、舌に全ての意識を集中したい。いや、食べるんじゃない。これは会話だ。ラーメンと真剣に向き合う会話だ」

 

 独自の熱弁を振るうヴァーリ。

 『急に何を言い出すんだこの男は』という意を込めて視線を、シン、由良揃って美候に向ける。

 

「悪いねぃ。ヴァーリはラーメンにうるさくて。――ま、言いたいことも聞きたいことも食い終わってからにしようや」

 

 かくしてとあるラーメン屋の一角にて、非常に重苦しい空気の食事が始まる。

 




気付けばアニメも最終回。時間の流れを早く感じます。

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