ハイスクールD³   作:K/K

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平行、吸血

 バトルフィールド内に居る旧魔王派の悪魔たちを大半仕留めたアザゼルは、残りを引き連れていた部下たちに任せ、一人その場から離れる。

 彼が離れた理由は、彼が持つ宝玉にあった。

 五大龍王のファーブニルの魂を宿したこの宝玉が、このフィールドに訪れて以降ずっと輝き続けている。

 現在フィールド内には視認していないが、感覚的に魔人が存在している。各勢力の中でただ一人九体の魔人と会い、その全てから生還出来たという経験を持つアザゼル。そんな彼の感覚に狂いは無い。

 魔人の気配の方には一緒にバトルフィールド内に来たタンニーンが向かったが、この宝玉が指す方向は、その魔人の気配とは逆方向である。

 万が一、もう一体の魔人が存在するかもしれない。部下を置いてきたのも犠牲を最小限に抑える為。

 アザゼルは飛翔しながら宝玉の光の強弱で方角を確認し、光が強まる方へ飛ぶ。

 徐々に宝玉の輝きが増す。だが、未だに魔人特有の寒気立つ気配は感じ取れない。宝玉が指しているのは魔人では無いのかもしれないとアザゼルは思い始めていた。

 やがてフィールドの一番隅に小さな影を見つける。

 それを視認したとき、アザゼルは心の中で舌打ちをした。

 

(成程……はっ! こいつは大外れだな!)

 

 自らの引きの悪さを自嘲する。アザゼルはその人影を知っていた。正確には姿ではなく纏う気配を。

 その存在は、魔人をも凌駕する。

 アザゼルはその存在の側に静かに降り立つ。

 ゴシック調の黒いワンピースを纏い、長い黒髪を背に垂らした人形の様に精巧な作りの顔立ちをした少女がそこに居た。

 

「まさか、お前自身が出っ張ってくるとはな」

 

 アザゼルの声に反応し、少女はゆっくりとアザゼルに顔を向ける。その動作は緩慢であり隙だらけと言っても良かった。だというのに、アザゼルはその少女の行動全てに神経を張り詰めさせている。

 

「アザゼル。久しい」

「以前は老人の姿だったか? 今度は美少女姿とは恐れいる。正直、お前の趣味が分からん。何を考え、何をしに来た? ――オーフィス」

 

 『無限の龍神』というこの世で最強級の力を持つドラゴンであり、『禍の団』のトップにして象徴。それがこの少女――オーフィスである。

 アザゼルの言った様にドラゴンではなく少女の姿をしているが、会う度に姿が違い定まっていない。尤も、オーフィスが成る人の姿など飾りに等しい。その身から放たれる圧倒的力の片鱗こそがオーフィスがオーフィスであると何よりも証明していた。

 

「見学。ただそれだけ」

「高みの見物か……余裕だな。仮に俺がのこのこ出て来たボスを倒せば、それで世界は平和、ハッピーエンドってことにはなるか?」

 

 アザゼルは、まるでプレゼントを渡す様な気軽な動作でオーフィスの喉元に光の槍を突きつけた。あと数センチ前に出せば、オーフィスの白く細い喉を貫くであろう。

 状況から見ればアザゼルが有利。しかし、オーフィスは光の槍を突きつけられてもそれに目線を落とすことはせず、その視線はフィールド中央に並ぶ神殿へと固定されている。無関心を貫いている。

 一方でアザゼルの方は、有利な筈だというのにその表情に余裕は無く、額に僅かに汗を滲ませている。

 

「無理」

 

 固定されていた視線が外れ、アザゼルに向けられる。その一言、その視線、オーフィスがその気になればそれだけで相手を滅ぼすことが可能である。

 

「はっきりと言ってくれるな。――だが、そう言われて引くと思うか?」

「それでも無理。アザゼルでは()()は倒せない」

「我……ら?」

 

 アザゼルは気付く。オーフィスの隣に誰かが居ることに。

 オーフィスよりも更に小さな金髪碧眼の少年がオーフィスと手を繋いで立っている。

 

(おいおいおいおい!)

 

 心臓がうるさく思える程鼓動する。全身に血が巡っていく筈が、体温が急速に下がっていく様な気がした。

 

(いつだ! いつからそこにいた!)

 

 上空から確認したとき、間違いなくオーフィス一人だけであった。話し掛けたときもオーフィスしか見えなかった。

 アザゼルとあろう者が、こんなにも近くに居るのにオーフィスが言うまでその少年の存在に気付けなかった。まるで突如として世界に浮き出てきたとしか言い様が無い。

 それは異常事態であり、同時に少年の存在もまた異常そのものである。

 動揺を押し殺しながらアザゼルは少年を観察する。

 喪服の様な黒のスーツを着ており、片手をジャケットのポケットの中に入れている。アザゼルの視線を気にする様子は無く、先程のオーフィスの様に並ぶ神殿を感情を読み取れない目で見詰めている。

 

「そいつは……誰なんだ?」

 

 どもらず、噛まず言葉を発せたことが奇跡に思えた。

 オーフィスが少年に目配せをする。少年はポケットから手をゆっくりと引き抜く。ただそれだけの動作だが、警戒心が最大まで高まっているアザゼルは、自分でも格好悪いと思えるほど過剰な速度で首ごと視線を動かしてその動きを追ってしまう。

 少年は抜いた手を口に添え、何かをオーフィスに耳打ちする。虫の羽音よりも小さな声であり、アザゼルでも聞き取れない。

 

「ルイ」

 

 少年の代わりにオーフィスがアザゼルに名を教える。

 

「ルイ……?」

 

 アザゼルの記憶の中にその名は無い。これ程得体が知れないというのに。

 

「そっちがベル」

 

 オーフィスの視線がアザゼル越しに誰かに向けられた。

 

(……ここまでくると笑えるな)

 

 振り返ったアザゼルは背後に立つ青年――ベルを見て、その様な感想しか抱けなかった。

 

「初めまして。君がアザゼルだね?」

 

 ルイとは違い、ベルは直接話し掛けてくる。高くも低くも無く、これといって特徴の無い声。しかし、何故かその声は耳に残り、自然と傾けたくなってくる。

 

「……お前たちも禍の団の一員か?」

 

 自分でも馬鹿な質問をしていると思えた。あのオーフィスが側に置く程の存在が、一員などで収まる筈が無い。それこそ首領クラスでもおかしくない。しかし、何か言葉を発し、それで時間を稼がなければ冷静さを欠く思考を正すことが出来ない。

 

「いや、違うよ。僕らとオーフィスはただの友人さ」

「……ああ、そうかい。オーフィスの友達なんて初めて見たよ」

 

 オーフィスが否定しないことから事実らしい。この世で最強に限りなく近い存在と対等な関係を結ぶルイとベル。オーフィスもそうだが、この二人に対しても情報を得なければならない。

 アザゼルは突き付けていた光の槍を消し、握りしめていたファーブニルの宝玉を懐にしまう。例え『堕天龍の閃光槍』の禁手を使用したとしても、この三人に勝てる光景が微塵も見えない。ならば最初から戦うことを捨て、命懸けで対話しそこから何かを探ることに徹すると決めた。

 

「安心して欲しい。最初から君と争うつもりは無いよ。僕たちは彼女の付き添いさ」

 

 アザゼルの内心を見抜いているかの様なベルの言葉。揺らぎの無いその瞳は全てを見通していると錯覚させられる。

 

「……ならオーフィス。お前から聞きたいことがある」

 

 ぼんやりとした瞳が、アザゼルの姿を映し込む。

 

「今頃になって何故『禍の団』の首領になった? お前がテロリストの親玉になって力を貸し与えてから被害が各地に出ている。――目的は何だ? 一周回ってシンプルに世界征服にでも乗り出したか?」

 

 自分で言っておいて世界征服なぞ馬鹿馬鹿しいとアザゼルは思った。何故ならオーフィスには簡単過ぎる。オーフィスを止められる存在などこの世に存在しない。

 わざわざテロリストたちに力を与えるなどという回りくどい方法をとる理由が知りたかった。

 

「――静寂な世界」

「……は? 何だって?」

 

 思わず聞き返す。

 

「――静寂な世界」

 

 オーフィスは全く同じ声でもう一度言う。

 

「それはつまり――」

「故郷である次元の挟間に戻ること。挟間の中の静寂を得たい。ただそれだけ」

 

 言われて納得せざるを得なかった。確かにそれが目的ならば他の力を借りる必要がある。何せ世界を征服するよりも困難なことであるからだ。

 

「うちに帰りたいってか? お前さんでもホームシックに罹るんだな。にしても次元の挟間か……」

 

 次元の挟間。それは人間界と冥界、天界と人間界の間にある世界と世界を分け隔てる壁、あるいは境界と呼ばれる内にある世界である。

 壁や境界を超えることは可能だが、その中にわざわざ入ろうとする者は居ない。そもそも各勢力は、そこに入る必要性を見出していない。中は何も存在しない『無の世界』が広がっており、そしてそこには決して触れてはいけない存在が唯一の主として居座っている。

 その名は――

 

「グレートレッド。我は、挟間をグレートレッドから取り戻す」

「成程ね。それを条件に禍の団や旧魔王派たちに力を貸しているって訳か」

「そう」

 

 動機を聞かされた正直な感想としては、アザゼルはオーフィスが利用されている、というものであった。どれだけオーフィスが力を与えたとしても、禍の団や旧魔王派たちがいくら束になってもグレートレッドを挟間から追い出す光景が想像出来ない。

 ただ、オーフィス本人が小細工など通用しないほど強い為、相手が何か企んでいるとしても無頓着であり、時間に限りの無い存在である為悠長に千年でも万年でも待てることを考えれば本人が利用されていると思うことは無いだろう。

 思考するアザゼルは、今得た情報から連鎖的にある人物の思惑に見当がつく。

 

「……ヴァーリは元気か?」

「アルビオン? 普通。偶に我と喋る」

「そうかい」

 

 どうにも真っ直ぐバトルマニアへと育ってしまったヴァーリに誰に似たのか、と内心苦笑する。

 

(白龍皇になっちまったからこそ、なのかねえ?)

 

 ヴァーリが禍の団にいった本当の目的。近くで彼を見ていたアザゼルだからこそすぐに分かってしまった。

 

「……んで、そっちの奴らは何が目的なんだ?」

「僕たちのかい?」

「オーフィスと一緒に行動している理由は何だ? お友達だから、なんてピュアな理由じゃないだろう?」

「終始彼女と共に行動しているわけではないよ。今回は偶々さ。目的、目的か……」

 

 ベルはネクタイの結び目を正す様に触れる。

 

「君も知りたいかい?」

 

 ベルの言葉の直後、転送用魔法陣が宙に描かれる。

 魔法陣を潜り抜け、真紅の髪を揺らす美丈夫が姿を現す。

 

「――サーゼクス。お前もこっちに来たか」

「後は部下たちに任せていいと判断したのでね。……それに無視できない気配も感じた」

 

 四大魔王サーゼクスは、オーフィスに視線を向ける。

 

「この場でウロボロスであるオーフィスと出会えるとはね……それと」

 

 オーフィスはサーゼクスに目を向けることは無かったが、代わりにルイがサーゼクスを見ていた。

 

()()()()()()()()()()()

 

 ベルの口から出るその名。敵意も悪意も無い。しかし、何かを含ませたその声は見えない圧を生み、アザゼルは無意識に拳を握り締め、サーゼクスは意図せずに体から滅びの魔力を漂わせる。

 

「それが、君の名前でいいんだね?」

「貴殿とは何処かで会ったことが……? それと失礼」

 

 一言詫びた後に、体から漏れ出る滅びの魔力を消す。サーゼクスは、表面上は平静を装っているが、その内では自分にこの様な反応をさせたベルという青年に警戒心を抱く。

 

「いや、今日が初対面だよ。ただルシファーという名を持つ魔王に興味があっただけさ」

 

 サーゼクスに対してもアザゼルの様に至って平常に話す。一切の起伏を感じさせない平坦さが返って不気味さを出していた。

 

「さて、話を戻そうか。君たちは僕らの目的を知りたい、と言っていたね」

「大人しく話してくれるのかい?」

「正直に話されても、素直に信じられないと思うがな」

「言葉にしなくても君たちからは強い意志が感じ取れる。内容によっては力尽くでも阻止する、という意思が」

「悪魔の未来を守るのが魔王の使命だ」

「ガキ共の邪魔はさせられないんでね」

 

 ベルはそれを聞き、再びネクタイの結び目に触れる。それが彼の癖なのかもしれないとアザゼルは思う。

 

「君たちの強い意思は好ましいと思えるが、阻止となると無理だろうね。目的の為の行動は既に終えているんだ」

 

 ルイがオーフィスに耳打ちをする。

 

「ルイたちが、今しているのは、経過の観察、らしい」

 

 オーフィスによるルイの言葉の代言。

 

「観察、だと?」

 

 目的の為の行動は既に終わっている。経過観察。その言葉に気持ち悪さを覚える。不安から来るものではない。全くもって心当たりが思いつかない。得体の知れなさ、オーフィスと肩を並べられる存在ならば何らかの痕跡があってもおかしくない筈だというのに。

 しかし、アザゼルもサーゼクスも今日の今日まで、ルイとベルという人物についての情報を持っていなかった。それが不安を煽る。

 

(あるいは、それが不自然と感じさせないほど馴染んでしまったものなら……?)

 

 一つ考えが頭を過る。だが、それ以上考えることは出来なかった。新たな魔法陣が現れ、何者かが転移してくる。

 描かれた魔法陣を見て、サーゼクスが悲し気に呟く。

 

「アスモデウス……」

 

 魔法陣から出てきたのは、黒地の貴族めいた衣服を纏う、長い黒髪を一つの纏めた美青年。

 

「ここで会うとはな、サーゼクス。偽りの魔王め……!」

 

 サーゼクスの顔を見た途端、青年は顔を憤怒の赤に染め上げる。

 

「アスモデウスの御登場か」

 

 アザゼルの声に反応し、憤怒の表情を押し込める様に隠し、不敵な態度で一礼する。

 

「お初にお目にかかる。俺は真のアスモデウスの血を引く者。クルゼレイ・アスモデウス。『禍の団』に属する真なる魔王の一人だ」

「真? 旧の間違いじゃないのか?」

 

 アザゼルの挑発の一言は、クルゼレイの不敵さを一気に剥ぎ取った。

 空気を震わす程の魔力がクルゼレイの全身から発せられる。その色は黒、そして魔力の中に微かにオーフィスの魔力の気配も感じ取れる。間違いなくオーフィスの力の一部である蛇を呑み込んでいた。

 

「魔王ならもう少しクールに行こうぜ。俺の軽口ぐらい流せるぐらいに」

「ほざけ、堕天使が。翼同様に汚らわしい言葉を吐くな」

「旧い魔王ってのは、どいつもこいつも血の気が多い」

 

 すぐに罵倒の言葉を吐くクルゼレイに、アザゼルは肩を竦める。突き刺す様な殺気と共に浴びせられても余裕の態度であった。

 

「そのどいつもの中にはカテレアも入っているのか……?」

 

 カテレアの名を口に出した途端、より殺気の濃さが増す。その態度の変化でクルゼレイとカテレアが親しい仲、恐らく男女の関係であることをアザゼルは察した。

 

「先に言っておくが、カテレアとは戦ったが殺したのは俺じゃないぞ。文句があるならあのバトルジャンキーな上にナルシストな闘牛士もどきに言うんだな」

「そんなことは分かっている。しかし、彼女の魂を慰めるには貴様の首が必要だ。当然奴の首もな。それを彼女の墓前に捧げて初めて彼女は救われる」

「あーそうかい」

 

 鬱陶しいまでに殺意を振り撒くクルゼレイに、うんざりしてきたのかおざなりな返事をすると、クルゼレイに向け挑発の指招きをする。

 

「だったら掛かって来な。相手をしてやる」

「――待ってくれるかな、アザゼル」

 

 二人の間にサーゼクスが割って入る。

 

「どうした?」

「……少しクルゼレイと話がしたい」

 

 その表情、声音でアザゼルはサーゼクスがクルゼレイを説得したいのだと分かった。

 

「お前って奴は……」

 

 呆れというよりも、そうまでして種としての数を減らす悪魔に歯止めをかけたいのかと憐みを覚える。同時にわざわざ自分から傷付く様な真似をするサーゼクスに不安も覚えた。

 

「お人好しめ。――向こう答えなんて決まっているぞ」

「それでも現魔王として直接聞かなければならない」

 

 サーゼクスがクルゼレイに向き直った途端、クルゼレイから放たれる黒い魔力が蛇の様に地面を這い、宙に蠢く。クルゼレイの敵意に満ち溢れた怒りの形相に合わせて、のびていく魔力がサーゼクスに害を与えようとするが、サーゼクスに触れるまでもなくその過程で見えない何かによって先端が悉く消失していった。

 

「サーゼクス……! 忌々しき偽りの存在! 私の前に現れるとはなっ! 貴様が! 貴様らさえいなければ、我々は……!」

 

 吐く言葉一つ一つに纏わりつく怒りと恨み。正統なる血統である自分たちが居るべき場所を追いやられ、今その座にいるサーゼクスと、残りの魔王たちに消えぬ恩讐を見せる。

 

「本物、偽物。その違いはいったい何なんだろうね。偽物が本物の模倣として、本物が本物たる理由は? 唯一無二であることかい? 長い時間かい? それに相応しい実力かい? なら本物が偽物に破れ去ったとき、破れた本物は一体何を理由に自分たちが真であると主張するんだろうね?」

 

 クルゼレイの怒りなど然程興味が無いのか、ベルはアザゼルに問い掛ける。

 

「――哲学なんざ興味ないな。まあ、言えるとしたら偽物はどうあっても偽物だが、なんかの拍子で偽物が本物を超えちまったら、それはもう偽物とは呼べんな。まあ、本物と言うのも何か違うかもしれんが」

「成程ね」

 

 アザゼルの答えに対し、ベルは一言だけ言い肯定も否定もしなかった。

 どう見ても埋めようの無い深い溝を見せられても、サーゼクスの気は落ち着いたままであった。

 

「クルゼレイ。ここは引いてくれないか? 既に君たちの配下には大きな被害が出ている。勿論、私たちも無視出来ない被害も受けている。袂を分けたとしても同じ悪魔であることは変わらない。徒に限りある同種の命を削るものではない」

「笑わせないでもらおうかっ! 同種? 同じ悪魔だと? 全く違うな! 貴様らは所詮悪魔としての在り方を捨てた者たちだ! 日和った落伍者共の集まりだ! 我々こそが悪魔の本懐を全うする真の悪魔っ!」

 

 自分たちこそが悪魔として本物である声高らかに主張するクルゼレイ。

 

「――かつての悪魔ならばその生き方でも問題なかったのだろう。しかし、時間は流れる。既にその生き方では限界が見えているのだ。滅びに向かって行くだけが本当に悪魔として正しい道なのか? 今こそ別の道を探すときでは無いのか? ……かつての魔王の血筋を表舞台から遠ざけ、冥界の辺境へと追いやったときからその考えが頭を離れたことは無い。力による追放ではなく、和解の道があったのではないかと。三勢力が和平を結べた様に」

 

 悔恨を滲ませるサーゼクス。アザゼルは甘い考えだと聞いて思ったが、その考えを嫌いにはなれない。アザゼル自身も長い戦いの日々を経験し、戦いへの嫌気があったからであろう。

 しかし、その言葉はクルゼレイには一切届かず、寧ろ激情する。

 

「それこそがふざけた話だ! 堕天使どころか天使にとも通じた今の貴様らに悪魔を語る資格など無い! 貴様らが我々から魔王の座を奪ったときから既に殺し合うことが定められている! 話し合いなど無駄だ!」

「よく言うぜ」

 

 クルゼレイの話を聞き、アザゼルは呆れた様子で口を挟む。

 

「堕天使、天使と通じているのが嫌な潔癖症な癖に、『禍の団』に属しているじゃねえか。あそこは三勢力の危険分子の集まりだぞ」

 

 言っていることとやっていることの嚙み合わなさを指摘するが、クルゼレイは小馬鹿にする様にアザゼルを笑う。

 

「属す? 笑わせるな、馬鹿め! 所詮は利用しているに過ぎない。天使も堕天使もな!和解に和平だと? そんなものは不要だ! いずれが悪魔以外は全て滅ぼし、我々悪魔が全ての世界の王となる! やがては世界を滅ぼし再構築する! 新たな悪魔の世界の創造だ!」

 

 自分の言っている内容に酔ってきたのか、声が段々と大きくなっていく。

 熱量を増していく一方で、それを聞いていたアザゼルの表情はどんどんと冷めていく。クルゼレイの中身の絵空事、ろくでもない理想を聞かされ心底呆れ果てていた。

 

「世界の王ねえ……? 全てを滅ぼすとか大層なことを言っているが、オーフィスから力を貰っている時点で既に屈してんじゃねえか」

「黙れ、穢れた堕天使が! オーフィスの力も悪魔の世界の為に利用しているに過ぎん!」

「よくまあ本人の前で言えるな。ただまあ――」

 

 アザゼルはオーフィスを見る。オーフィスはクルゼレイの言葉に何の関心も示さず、神殿の方を眺めていた。隣に立つルイも同じく神殿を見ている。

 

「お前さんのご高説には全く興味が無いらしいな。はっ、眼中にも無いか。ところでよ」

 

 アザゼルはクルゼレイに挑発的な笑みを向ける。

 

「オーフィスにはどうやって媚びたんだ? 冥界の僻地に長いこと居たんだ、額の擦り付け方と足の舐め方ぐらいは覚えたんだろう?」

「き、さま、は……!」

 

 蔑む言葉にクルゼレイは歯が砕けそうな程に噛み締め、血が噴き出すのかと思える程目を血走らせる。

 

「オーフィスにしてみれば、願いさえ叶えば利己的でも遜った態度でも構わないさ。誓えば渡す、それだけのこと」

「超常的な奴ってのは、そういう所が無責任だな。厄介なものをばら撒く」

「否定はしないよ」

「さっきといい独りで何をブツブツ言っている!」

 

 アザゼルの態度を自分に対する挑発と受け取ったクルゼレイは、アザゼルに向けて掌を突き出す。

 手の中で蝋燭の炎の如く小さな魔力が生れたかと思えば、一瞬にして膨張しアザゼルを楽々と呑み込める大きさになる。

 沸き立つ殺意に背を押され、その魔力の塊をアザゼルに放つ。

 構えようとするアザゼルであったが、それよりも先にサーゼクスがその魔力の前に立ち手を翳す。

 そこから発せられる渦の様に旋回する滅びの魔力。巨大な魔力を瞬時に削り取って消滅させていき、サーゼクスに届く頃には元の蝋燭の炎程度の大きさにまで削げられていた。

 サーゼクスは手を閉じ、クルゼレイの魔力を握り潰して消滅させる。

 

「――私との話はまだ終わっていない」

「終わっているさ! 最初からな!」

 

 あくまで戦いを避けようとするサーゼクスにクルゼレイは更に苛立ちを募らせる。

 

「気に喰わん! 気に喰わんぞ! サーゼクス! お前の持つ滅びの力こそまさに悪魔としての力! その滅びの力を以てその堕天使を滅ぼすことこそ正しき力の使い方だ! だというのにお前はその力で守った! 魔王としてあるまじきことだ! そんな魔王など認められるか!」

「クルゼレイ、貴殿が思い描く魔王と私が思う魔王は違う。私は悪魔という種を守り、繁栄させ、未来へと繋ぎたいだけだ。今の冥界にも、未来の冥界にも戦争は必要ないのだ」

「違う! 魂を奪い、地獄へ誘い、全てを滅ぼすことこそ今と未来の冥界に必要だ!」

 

 サーゼクスと真逆の結論を出すクルゼレイ。

 

「サーゼクス」

 

 アザゼルがサーゼクスに声を掛ける。サーゼクスは僅かに首を動かし、アザゼルを見る。

 

「もう無駄だ」

「――残念だ」

 

 その一言には心の底から無念だという気持ちが込められていた。

 最初から話し合いが成り立つとはサーゼクスも考えてはいない。しかし、それでも何もせずただ戦うということは出来なかった。万が一でも戦わずに済むという可能性に賭けて。だが、それも決裂で終わった。

 同種で殺し合うなど空しいことでしかない。

 サーゼクスは目を閉じる。その姿から慙愧の念が感じ取れる。閉じた目を開いたとき、サーゼクスの覚悟は決まっていた。

 

「――クルゼレイ。現魔王として、冥界の敵である貴殿をここで排除する」

「私はお前が魔王であることを認めんと言った筈だ!」

 

 クルゼレイから魔力が迸り、一帯を覆い尽す。

 

「アザゼル。少し離れていてくれ。危険だ」

「あいよ」

 

 どっちがだ? とは聞かずにアザゼルは大人しくサーゼクスに従い、黒翼を羽ばたかせて二人から距離をとる。

 

「勝負はすぐに着くだろうね」

 

 移動した先にいつの間にかベルが居た。

 

「お友達を置いてきて良かったのかよ?」

 

 アザゼルはもう驚かずに、オーフィスたちのことを聞く。アザゼルが言う様に、二人はすぐ側で起きていることに無関心であった。

 

「大丈夫さ。君もそう思っているんだろう?」

「さあな」

 

 アザゼルは惚ける様に返すが、すぐにその表情を引き締める。

 

(クルゼレイの奴、『独りで何をブツブツ言っている』なんて言ってたが、こいつらの存在が認識出来なかったのか? なら何故俺たちには見える……?)

「それは君たちと話がしたかったからさ」

 

 アザゼルの心を容易く読み、声に出すよりも先に答える。

 

「……人の心を読むのはあまり良い趣味じゃないな」

「アザゼル。君の存在に前から興味があった」

 

 アザゼルの嫌味を無視してベルは話を進めていく。

 

「生憎、俺にはそっちの気は無いぞ」

「人は雷に、火に、嵐の脅威を前にして、それに恐れ、そしてそれの中に神を見出した。だが、時代が進むにつれてそれらの脅威は人々に解析され、踏み込めない神域からただの現象に成り下がり、そこに神を見出す人々はいなくなった」

 

 茶化すアザゼルに、ベルは傲慢さすら感じるほど一方的に会話を進めていく。

 

「だが、それでも唯一踏み込めない領域がこの世界にはある。――それが神器さ。だがそれもいずれは過去のことになるだろうね」

 

 ベルは手提げている山羊のレリーフが付いた黒革のバッグを開け、中から何かを取り出し、それをアザゼルに見せる。

 黄金の輝きを放つ宝玉。見間違う筈が無い。それはアザゼルが持っている筈のファーブニルの魂が封じ込められた宝玉であった。

 アザゼルは懐に手を伸ばす。そこにあるはずの宝玉が無い。

 

「――手癖が悪いな。ついでにバッグの趣味も悪い」

 

 虚勢の様に軽口を飛ばすアザゼル。

 

「君には尊敬の念すら覚えるよ。神のみが許された領域に踏み込んだのだから」

 

 ベルは初めて無表情を崩し、微笑を浮かべながらアザゼルに宝玉を投げ渡す。

 

「そりゃどうも」

 

 アザゼルは口の端を歪めただけの笑みらしき表情を見せながら渡された宝玉を受け取る。

 

「これはサーゼクスにも後で言おうと思っていることだけど――」

 

 ベルがアザゼルに近寄る。アザゼルの方が上背があるため、ベルは下から見上げる形となったが、その両眼からアザゼルは目を逸らすことが出来なかった。

 

「僕たちに協力してくれないかい? 協力してくれるのなら、君に教えてもいい。君の知らない全てのことを」

 

 

 

 ◇

 

 

 体の一部が無くなるということ。それも片足が無くなると体から数キロの重りが外された様な気になる。しかし、同時にその重りは体のバランスを保つ為のものであることを、上手く立てない体でシンは実感する。

 今まで無意識に行っていた立つという動作。生まれて初めてそれを難しいと思う。

 

「大人しくしていろ」

 

 老人の声が聞こえる。一瞬その声が誰の声か思い出せなかった。少し間を置いた後に、オーディンの声だと思い出す。

 痛みや喪失のショックで記憶が飛んだのではない。今も見えない手で絞られているかの様に傷口から流れ出る血のせいで、思考が鈍くなってきた。

 

「あー……大丈夫です」

「そんなわけあるか」

 

 意識があることをオーディンに告げるが、オーディンは呆れた表情をしながら少し強い語気で言う。

 オーディンの目から見れば、今のシンの顔色は、大量出血のせいで死人に等しいものであった。

 今すぐに治療を施さなければならないが、その為の魔術が使用出来ない。魔力を使おうとすると外部から見えない圧力の様なものが働き、魔力を体の内に押し込められてしまう。

 原因は明らかにあの獣にある。赤い獣の何かがシンたちに干渉し、魔力を使用不能にしている。

 戦いの手段の一つであり、赤い獣に唯一効果的なダメージを与えられる方法が封じられ、窮地に追いやられる。

 この状況で獣は当然手を緩めることは無く、標的を、それも片足を失い碌に動けないシンを狙い、地を駆け出す。

 龍の如き四足の巨体が、豹の様にしなやか且つ俊足を以ってシンたちに迫る。

 オーディンはシンを見捨てることはせず、守る盾或いは迎え撃つ矛となる為にグングニルを構えてシンの前に移動する。

 出会い、共闘するまでの時間を合わせても、たかが十数分程度の間柄。しかし、オーディンはその身を呈してシンを守ろうとしている。

 傍から見ればそんなことをする必要など感じられない。ましてや、オーディンはシンがいずれは敵対するかもしれない魔人であることも見抜いている。ならば何故守ろうとするのか。

 答えは、単にオーディンの誇り故である。

 シンが怪我を負う原因となったのは、オーディンの魔術の不発である。魔術を扱う者として神の中でも並ぶ者は居ないという自負がオーディンにはあった。だが、外的要因があったとしても魔術に失敗した。それは誇りを傷付け、強い怒りを伴わせる。

 だからこそ、失敗したけじめとして身を以ってオーディンはシンを守る。そして、目の前の獣に、何一つ思惑通りになどさせない。

 神としての誇りを持ち、獣と相対する。

 そして、もう一人、己の誇りの為に戦う者が居る。

 駆ける獣を横殴りの様に側面から突撃した巨影――タンニーン。

 タンニーンは、獣を地面に押さえつけたまま巨翼を羽ばたかせ、低空飛行を維持しながら獣で地面を削り取っていく。

 

「炎一つ奪った程度でドラゴンを無力にさせたつもりか! まだ俺の爪も牙も折れてはいないぞっ!」

 

 力で獣をねじ伏せようとするタンニーン。七つの頭が地面に押し付けられながら、顔面で大地を強制的に掘削させられていく。

 しかし、その内の頭の一つが、無理矢理首を曲げて顔をタンニーンの方へ向けると、口から雷光を放ち、タンニーンの脇腹を貫く。

 鱗は溶け、肉が焼ける。それだけにとどまらず雷がタンニーンの体内を通過する一瞬の間に、高電圧、高電流の電気が猛毒の様にタンニーンの内部を駆け巡る。

 獣の雷をその身に受けるのはこれで二度目。通常ならば意識が飛ぶか、苦悶のまま沈んでもおかしくはない。しかし、タンニーンはそれに声一つ洩らさず力も緩めない。

 タンニーンはシンに対し、負い目に等しい借りがある。

 怒りのまま襲い掛かり、一方的な理由で殺し合った。それはタンニーンの私怨によるただの八つ当たりであり、シンに非は無い。罰せられるべきは自分だが、相手はそれを望まず、殺されかけたというのに平手打ち一発で全てを終わらせた。

 タンニーンは全てを流せる程単純では無いし、器用でも無い。シンがよくても、まだタンニーン自身は自分のしたことを許していない。だからこそ、タンニーンはここでシンの命を終わらせる訳にはいかなかった。

 

「タンニーン!」

 

 オーディンの声。老体とは思えないほど良く通る。

 

「少しの間、時間を稼げ! この魔力封じ、わしが何とかする!」

「――任せた!」

 

 どういう方法で破るのかなどタンニーンは聞かず、全てをオーディンに任せ、自分は目の前の獣の足止めに専念する。失敗するなどとは考えない。あのオーディンが何とかすると言ったのだ、これ以上説得力のあることなど無い。

 

「そういう訳だ! 暫く俺に付き合って貰うぞ!」

 

 タンニーンの巨大な拳が、獣に打ち付けられる。

 オーディンはタンニーンに何とかすると言ったが、現状でオーディンがこの魔力封じを破る術は無い。無いならどうするか、答えは一つしかない。

 

「さて、()()とするか」

 

 この場で、この異常を分析し、それに対応させた新たな魔術を創り上げる。オーディンにしか出来ない文字通りの神業である。

 オーディン、タンニーンがそれぞれの役目を果たそうとする中で、シンは冷たく、重たくなっていく体を支え、途切れそうになる意識を辛うじて繋いでいた。

 体を起こそうとするが、すぐに力が抜け、前のめりになる体を両手で支え、倒れるのを防ぐ。

 傷口を破いた袖で縛り、簡単な止血をしたが、獣の与える傷に何らかの効果があるのか血が止まらない。

 足元から広がっていく血溜まり。シンの顔を映す程の量であった。

 血溜まりに映る自分の鏡像。不意に、その鏡像が唇を歪めて笑う。シンが笑っているからではない、鏡像だけが笑っている。

 前にも似た様なことがあったのを思い出す。

 血溜まりの中のシンは声を出さず、口だけを動かし何かを話し掛けてきた。何故かシンは何を言っているのかすんなりと理解出来る。

 

『足りないなら、注げばいい』

 

 何を、どこにと思うシン。すると血溜まりのシンが指差す。指した方向にあるのは、地に付けられたシンの手。

 シンはその手を上げる。掌には、あの獣の赤黒い血がべったりと付いたままであった。砂利塗れの獣の血。

 この血を舐め取ればいいのかと考えたとき、シンの見ている前でその血が掌の中へと吸い込まれていく。あたかも砂に注がれた水の様に。

 血溜まりのシンが指招きをする。流れた血に触れさす為に誘っている。

 どんどんと人外化していく己の肉体。しかし、それを苦悩する暇など無い。躊躇すれば命を失う。シンに選択の余地など無かった。

 血溜まりに映る己の顔に触れる。血は幾筋に赤い霧の様になってシンの体へと吸収されていく。

 流れた血を取り込みながらシンはふと思う。

 

 次に自分が血を流したとき、また同じ赤い血なのだろうか。

 

 

 ◇

 

 

 木場は少し離れた場所で拘束されたディオドラの眷属たちを見ていた。不審な動きを何一つ見逃さない確固たる意志の光を宿した目で。

 一方でイリナはというと、ずっとディオドラの眷属たちに話し掛け続けている。その反応は悪く、全員イリナを居ない者の様に無視し続けている。しかし、イリナはめげる事なくずっと喋り掛けていた。

 正直、無反応な相手に一秒たりとも沈黙を続けずに話をし続けるイリナの忍耐力は大したものであった。

 眷属たちも徐々に根負けし始め出し、視線が忙しなく動いたり、何か言いたげに口を開けたり閉じたりしている。

 会話が始まるのは時間の問題に思えた。

 

「――っ!」

 

 それに最初に気付いたのは木場であった。次にイリナ、その次にディオドラの眷属たちも気付く。

 何かがこちらに向かってやってくる。しかし、その何かが分からない。悪魔の様な気配だが、何かが違う。神器の気配の様でやはり何かが違う。

 純粋に気持ちが悪い。そういう気配であった。

 

「――紫藤さん」

「分かってる。――何この感じ……」

 

 木場は聖魔剣を創造し、イリナも擬態の聖剣を構える。

 近付いて来る気配。それに加えて、這いずる様な音も聞こえてきた。

 

 ――やがてそれは現れる。

 

「ひっ!」

 

 ディオドラの眷属の一人が悲鳴を上げた。声を上げたくなる気持ちは木場もイリナも嫌と言う程理解出来る。

 一言で言えば、それは肉塊であった。体の内側を外側に向いた様な色をした肉塊。

 それだけでも嫌悪するが、そこから飛び出る何本もの手足と黒い羽。それが悪魔のものであるとすぐに分かる。極めつけは、肉塊と半ば融合している悪魔の顔。虚ろな目でどこかを見ており、生きているのか死んでいるのかは分からない。

 

「何なの、これ……?」

「……何かはあまり想像したくないね」

 

 木場たちの目の前で、肉塊が体を震わす。すると何本もの突起が表面に出来る。中には先端に手や足を付けたものもあり、悪趣味極まりない光景となっている。

 

「一つ分かるとしたら――」

 

 突起は触手となり、木場たち目掛けて一斉に伸ばされる。

 

「捕まったら、ああなる!」

 

 迫る触手の群に、木場は聖魔剣を強く握り直した。

 




因みにこの巻のボスは、原作と違う相手にするつもりです。
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