書き溜めがあったので連投を。
朝起きると汐音が隣で寝ていた、そして鼻と目から血が流れているのに気が付き、すかさず汐音の首に噛みつき血を吸う。
するとションがドアを蹴り開け怒鳴り込んでくる。
「おーい!シャドー君ー!元気ですかー!?お前今日の授業『教師体験』をこっちで勝手に手続きしといたからがんばれー!それじゃー!」
ションは手紙を残し嵐の様に去っていった。
汐音は今ので目を覚まし、こちらに目をやる。
「きゃっシャドーくんだいたぁん」
汐音は嬉しそうに体をくねくねさせている。
「…ご馳走様」
少し顔を赤くしながらも気にしない様に手紙を手に取り内容を目に流す。
「おーい、シャドー学校いくぞー」
デルが声をかけてくる
「あー、俺今日は教師やるみたいだから一人で行って。俺とりあえずオウネ先生に会ってくる。汐音はどうしよ…留守も暇だろうし、邪魔しないなら来る?」
「了解・・・この前の教師体験か、がんばれー」
「行く~」
「分かった。デル、途中まで一緒に行くか」
「おお、そうか。んじゃ行こうか」
それから途中で別れオウネの所に着く。
「で、何か報告があるんだっけ?オウネ先生」
「急だな、挨拶は生物の基本だと思うが?」
「あぁ、申し訳ないなオウネ先生、昨日の今日で頭がイかれてるんだ。おはよう」
「承知している、それと今日の授業は把握しているな?・・・それとそこの嫁はシャドーの授業中はこちらに居てもらっていいか?」
「問題ない。それは構わない、じゃあ行ってくる。怪我には気をつけろよ」
シャドーは後ろ向きに手を振り手紙に書いてあるように目的地へ移動する。
建物の前に着き、中へ入る。
「来たな、昨日の今日で疲れてると思うが頑張れよ」
中にはアルデルルが居た
「シャドーさん!今日はよろしくお願いします!」
そして何故か少年もいた。
シャドーは少しの間考えるがすぐに合点がいく。
「…あぁ、とりあえず体験か。いい学校だぞここは。俺はいきなり高3行きだったから小学校は分からんが」
「技能はそのレベルだからな、お前に足りないのは知識とこの世界の常識だからな」
「なるほど!僕も早く高3になれるように頑張ります!」
「・・・お前のせいで高3のレベルが低く見られてる気がするな」
シャドーに向かって呆れた風にいう。
「俺の所為じゃない」
シャドーは肩を上げとぼけるように答える。
「ともあれさっさと始めよう。教室へ行こう」
「そうだな、行くか」
アルデルルが教室へ案内する、教室に入ると少年と同じくらいの少年少女が計六人いる
「今日限りで戦闘科の教師をするシャドーエッジ・スカーレットだ。以後よろしく。教えてやれることは何でも教えてやるつもりだから頑張ってくれ」
「はーい!」
少年少女は元気に答える
「とりあえず一人ずつ名前と能力を言え」
電子タバコを吸い始める。
少年少女が順に話し出す
「カローズハルト・アロレンタです、能力は【アーチャールミア】、潤みを操ることができます」
「・・・モーレンツォ・フィバレオンです、能力は神水を操ることができます。地球では神水を簡単に三途の川と呼ぶそうです」
「ハルボーグ・イプゼシオです!!雷を操れます!!押忍!!」
「アエグナ・ドマレインと言います、能力は拳銃を創れます・・・地味ですけど」
「フィアレミス・マレフォードです、私は空を操れますわ」
「はい!僕はヴァレイド・フォルツォです!!能力は事象を無かったことに出来ます!!チートっぽいけど自分が変えられる事象はほんと小さいものです、はい」
「ふむ、みんな強い力を持っているな。どう思うシャドー先生?」
アルデルルが冗談交じりに言う
「なんか、全員微妙。俺の基本的に使う能力は【創り出す程度の能力】、【幻を操る程度の能力】、【消す程度の能力】、【種族を操る程度の能力】、【悪魔を操る程度の能力】、【ベクトルを操る程度の能力】だ。これ以外にも何個か」
「チートだな」
「流石シャドーさん!!」
「俺は【可能な範囲はすべて意のままにできる】って銘打った方が聞こえやすいかな」
「アルデルルさんも十分チートな気が・・・」
「こいつみたいにいくつも能力を使い分けるみたいな非効率なことはしないだけだ」
「は、はぁ。とりあえず、じゅ、授業しましょう!」
「じゃあ校庭に出るぞ。アルデルルは俺の力出せるようにしといてくれ」
シャドーは創刀を担ぎ歩き出す。
「了解」
アルデルルはそう言うと黄色い結界が校舎を覆う
「そうだな。お前たちは武器は何を使うんだ?」
「武装??」
少年たちは首を傾げる
「あぁ…そこからなのか。済まなかった、なら今から全系統の武器を一種類並べるから思い思いの物を取ってくれ」
剣や槌など様々な武器を地面に並べる
少年たちは物珍しそうに武器を見つめ選んでいるが、ヴァレイドだけは一人座っている
「お前はもう決まってるもんな。そうだ、これを機に新しい短剣をやろう。そうだなぁ、何がいいか」
魔法陣から一枚の黒くてでっかい竜の鱗が出てくる
「お、これいいな。待ってろ今加工する。シャルは散歩してていいぞ」
『そう?なら行かせてもらうわね。気が利くようになったのね』
そう言うと鞘から抜けて適当にどっか行ってしまう。
「さぁて、少し辛いぞ」
シャドーは魔法陣から炉を出し坩堝の中にぶち込んで数分後赤く光ってくる。
それを金床に乗せ槌で叩き一本の真っ黒な直短剣が産まれる。
「よし、これでいいだろう。後はエンチャントだな。炎で慣れてるだろうし…黒い炎にするか。こいつは痛いからな…」
シャドーが魔力の込められた彫刻刀でルーン文字を使用した複雑な魔法陣を描き、ヴァレイドに渡す。
「うわあ!新しい短剣だ!ありがとうございます!!」
「いいなぁヴァレイドー」
「ずるいぞー」
「抜け駆けはいけないと思うでござる!」
「そうですよー」
「そうですわ」
「んなこと言ったって・・・」
「とりあえず気に入った武器を選べ。オーダーメイドは大変だからエンチャントだけはしてやる。つけて欲しい属性言わねぇと変なのつけるからな」
「はーい!」
少年たちは各々に気に入った武器を選ぶ
「僕はこれにします、属性は闇関係をお願いします」
アロレンタは杖を手に取る
「僕はこれにします、属性は水をお願いします」
フィバレオンはブーメランを手に取る
「自分はこれにするでござる!属性はもちろん雷で!!!」
イプゼシオは異形な剣を手に取る
「私はこれがいいです!属性は気分的に風をお願いします!」
ドマレインは一丁の拳銃を手にとる
「私はこれがいいですわ、属性は光をお願いします」
マレフォードは無加工のワイヤーを手に取る
「流石にそれはどうかと思うが・・・」
アルデルルが異様な目でワイヤーを見る。
「この鉄の糸に魅力を感じましたわ」
「さいですか」
「ワイヤーはな、決まるとマジで楽しいぞ。面白い様に肉が削げる」
シャドーは全員分の魔法陣を精密に描き、ワイヤーにはマホガニー木で柄を造りそれに魔法陣を描く。
「ふぅ…魔力すっからかんになったわ」
「おおお!」
少年たちは興奮して各々の武器を大事そうに抱える
「ふぅ…いつか創神器を貰った時にもそうやって大事にしてやれ。大事にされて喜ばない奴なんざそうそういないさ」
「はい!」
「さて…まずはイプゼシオ、お前だ。その剣は
「ふむふむなるほど」
イプゼシオは興味津々に聞いている
「さて、早速だが実践だ。俺を真っ二つにしろ」
「承知しました!!」
イプゼシオは躊躇いもなく雷を纏い剣に纏わせぶった切るが刃は途中で止まる
「良くも悪くも残念だが驚いた。肌の硬度を下げたとはいえここまで入る物なんだな。しかし違う。当たり前だが骨は普通の斬り方じゃ切れない。大体が圧し折る感じで叩っ斬るようになってしまう。そうではなくだな。骨の関節部分に入るように刀を振り始める位置、自身の腕力でどこまでの速度を出せるか、刃の落ち具合、刃の引き具合を頭の中で計算するんだ。そしていずれはそれを本能で出来るようにしろ。剣はあくまで皮膚を斬るものだがいざと言うときは一撃で仕留めなければならない。実際にやってみよう」
シャドーは刃を抜き自身の分身を創る。
「ふっ…!」
シャドーが一点に狙いを定めて脇腹から腰の軟骨を斜めに切り裂き、分身の腹は綺麗に肌の捲れも無くゆっくり離れて下に落ちる。
「慣れるとざっとこんな物になる」
イプゼシオは慣れない光景に唖然とする。
「...まぁなんだ、剣類は引きながら切り下すって事だろ?」
「まぁ、簡単に言ったらそうなんだが…う~ん、まぁそれでいいか」
「だが例えば人型以外、例えば人外と戦う場合の戦闘はどうする気だ?」
「それこそ応用さ。そいつの体を見て人間の体と部位を当てはめればいい」
シャドーが電子タバコの煙をもわっと口から出す。
「地球とその周りの宇宙の常識はこの先通用しない...が、それはお前らがこの先習う科目だな。まぁ小学校では戦闘の基礎を教えるだけだから問題ないだろ」
「俺は今あくまで戦闘科だ。他のは他の学科に任せればいい。それに目と首を刺して死なない奴なんて中々いないさ。それこそ無や半無、№共だろ」
「そうだな、まぁ今はそこまで気にすることでもないだろう」
「そう言うことだ。さて、これからはちんたらやるよりさっさと終わらせた方がためだ。貴様ら、全員で来い」
シャドーは電子タバコを投げ捨てて、指をくいと動かす。
「はい!」
「本気で殺しに来い。ただしっかり動きをしっかり学べ」
コートの裏側から金具を外し魔導書を読み始める。
全員がバラバラに行動してなりふり構わず突っ込んでくる、アロレンタは杖の武装だが何故か殴りかかってきた。
シャドーは目を本から離さず体を横にそらしかわす。
続けてイプゼシオとマレフォードが攻撃をする、イプゼシオが剣で牽制しながらマレフォードがワイヤーを鞭のように操りシャドーの足元を狙う。
飛び跳ねワイヤーをかわし、足裏で剣を弾くとまた綺麗な姿勢のまま着地すると同時にブーメランと銃弾が飛んでくる。
体を弓なりに曲げ銃弾を避けた後ブーメランを足で絡めとりフィバレオンの腹目掛けて蹴り返す。
「げっ!?」
フィバレオンは回避行動をとるがかわしきれず直撃する
「さぁ、どんどん来い」
刹那の瞬間後ろからヴァレイドが奇襲するがヴァレイドの腹を蹴り上げ攻撃を妨害する。
「ちっ、やっぱり無理か」
それから三時間は実技授業だったのだが体力が切れる前にそれを終了する。
「そうだな、おつかれ。これから属性の授業を始めさせてもらおう。お前たちの武器には思い思いの属性をいれたよな。それの扱いを学んでいただく。」
シャドーはYシャツに袖を通し黒いブレザーを羽織り髪を結び眼鏡を付けて教室へ向かい、生徒全員が席に着く。
「そうだな、まずエンチャントだが。
シャドーは眠くなりそうな事ばかりを楽しそうに喋る。
「まぁ、錬金術を学びたいなら俺に聞け。神になれるまで程度しかできないがな…」
「錬金術を神力で応用すれば未知の発見がある、ここではそう言った研究もおこなわれているぞ」
「・・・へぇ」
「よし、今日はおしまい。お疲れさん。」
「はーい」
「後は俺が言っておくからお前はもう帰っていいぞシャドー、お疲れ様」
「シャドー先生、ありがとうございました!」
「あぁ、楽しかったぞ。こっちの先公の方が頭の出来はいいからな。しっかり知識を搾り取ってやれ」
くすくす笑いながら後ろを向いて手を振りもと来た道を引き返しオウネと会ったところに着く。
「ただいま。終わった」
ネクタイを少し固める。
「お疲れ様、お前んとこの嫁さんは随分としっかりしてるな。しかしこの子が嫁か・・・ロリコンか?お前」
「違うから。ロリコンでは断じてない…はず」
「シャドーくんおかえり~」
汐音がだらけたように足元にしがみついてくる
「ただいま」
わしゃわしゃと汐音の頭を撫でる。
「夫婦と言うよりは父娘だな、今日はこのあたりで良しとしとこう」
「あぁお疲れさま。じゃあ適当に散歩しようか、汐音」
そう言って肩を組む。
「いいけど迷子ならないでよね。シャドーくん方向音痴なんだから」
汐音は組んだ方の手を握って歩き出す。
「でもどこ行くの?」
「どこ行くか。そうだな、ここは普通の世界と同じだし、街側行けば飲食店もあるだろうからそこで軽く間食でもするか」
そして創刀を呼び出し鞘に納める。
「シャドーくん奢って」
「ここで使える金は俺しか持ってないだろうからな。しかねぇな、特別に奢ってやるよ」
「じゃあ明日辺り朝ごはん作ってあげる」
二人は街のある方に向かう途中で見知った顔を見る。
「あ、俺の小隊員共だな。ようお前達」
ガルトーラたちに話しかける。
「うおおおお!!!シャドー!!!久しぶりだなぁああ!!」
「あ、シャドー君」
「お、やあシャドー君。久しぶりだね」
「久しいな、お前達」
「シャドーくんがいつも迷惑かけてますっ、私シャドーくんの妻の汐音です~」
礼儀正しく頭を下げる。
「ほうほう、聞いてはいたけど本当に子どもが嫁なんだねぇ」
「うおおおお!!ロリコンかあああ!?」
「ダメだよガルトーラ君っ、人の性癖にとやかく言っちゃ」
「私って幼いのかなぁ?でもでもこの年になってもまだ若いなんて言われると照れちゃうなぁ」
嬉しそうに頬に手を当て体をくねらせる。
「嬉しそうな所悪いがよ。お前の容姿のおかげで俺がロリコン疑惑かけられてんだよ」
「私確かにシャドーくんからしたらすっごい年下だけど人間からおばちゃんだからなぁ…シャドーくんが焦って16歳の時に不老不死にしたのがいけないんじゃん」
じっとりとシャドーを睨む。
「…すいませんでした。俺の落ち度だわ、うん」
悔しそうにシナモンを咥える。
「まぁまぁ、ところでお二人でどこ行くんだい?」
「二人で飯にでも行こうかと。久しぶりに会えたからな」
シャドーが本当に嬉しそうに微かに笑う。
「そうか・・・うーん、どうしようかな」
「心配し過ぎだよ洸天君、シャドー君は強いし」
「なにかあったのか?」
「最近このあたりで神殺しの事件が相次いでてね、この守りの中なのに事件が起きてるから基本的に集団で行動することってオウネ先生に言われたんだよ」
「うむ!この守りの中なのに事件だぞ!?すごいなぁ!!」
「ガルトーラ君、そこ感心するところじゃないよ」
「それは心配だが…まあの人の事だ、楽しんでるだけだろ。ならお前達も来るか?最近
「それはいいけどさ、夫婦の団欒を邪魔もしたくないね」
「そうだね~、あ!そうだ、シャドー君携帯持ってる?」
「あー、入学当時に買えと言われたが持ってない。伝書鳩ならあるぞ」
「伝書鳩?」
「地球の生物の鳩っていう鳥型の生き物を連絡方法として使ってたらしいよ」
「へええええ!!!そうなのかああ!!」
「不思議だねぇ、鳥さんで連絡できるんだぁ」
「あ、でもルネ君が思ってる方法とは違うと思うよ」
「え?鳥さんしゃべらないの?」
「う、うん」
「なーんだー」
「鳩の足に手紙を括り付けるか箱みたいな奴の中に手紙を入れ相手へ向けて飛ばすんだ」
「へぇ、面白いねぇ」
「なら今から一緒に買いに行くかい?」
「あー、そうだな。まずそれを先にするか。そのついでで飯食いに行こう。別にいっつもガキと飯食ってるし変わらねぇよ気負いするな」
「そうなの?なら行こうよ~」
「うーん、女子三人で行かせるのは流石に男として見過ごせないね」
「おい洸天!!シャドーは男だあああ!!!」
「あ、そうだった。忘れてた」
「殺すぞ。いいからさっさ案内してくれ」
「女の子だって」
汐音はさも楽しそうに笑っている。
「ごめんごめん、じゃま行こうか」
シャドー達は大きな街の方へ行き携帯の店に立ち寄る。
そしてなんの迷いも無く好みのスマホを手に取る。
「これいいか?」
会計を済まし適当なファミレスに入る。
「さて、シャドー君のおごりだね」
「うおおおお!!倒産させてやるぞおおお!!」
「やめようよガルトーラ君っ」
「お前は2品までな。本気でやりかねん」
「なにいいい!?」
「ははは、賑やかだね」
「私は10品までいいよね?」
「ダメ。ってか太るぞ」
それから各々の思い出話に花を咲かせ自宅へ戻る。
「お、おかえりシャドー」
「ただいま」
「おやすみ~…」
汐音はベッドにダイブする。
「こら、寝るなバカ」
汐音の足を掴んでベッドから引きずり出す。
「お前んとこの嫁さんは元気だなぁ」
「元気だけど怒らせたら怖いよ。僕は無いけど、シャドーくんいつも怒られてるよ。仕事し過ぎだとか、構ってくれないとかだけど」
「仕方ないだろ、今も昔も常に社畜だったから板についちまったんだよ」
「へぇ・・・大変だなぁ」
「ホワイトになりたい…」
「頑張れ」
「今日は幾分かホワイトだった。ガキの御守りだからな…やっぱ寝るか、おやすみ」
シャドーがベッドになだれ込むと汐音もベッドに入る。
しかしシャドーは夜中に起き出してしまう。
「夜中…か。変な時間に起きちまったな」
シャドーは学園の校門から出てタバコを吸う。
「やっぱりタバコかぁ、私も久しぶりに吸おうかなぁ」
汐音はシャドーの胸ポケットから一本取って咥える。
「シャドーくん、火貸して~」
二人はシガーキスで火をつける。
「ん~、やっぱ美味しいね~」
ゆっくり味わう様に煙を肺に入れていく汐音。
「久しぶりだな、二人で吸うの」
汐音の頭を撫でながら肺に押し込んだ煙を吐きだす。
「そうだね~、たまにはいいかも。咲夜さんを今度説得してみようかなぁ」
「お、それは本当に頼む。家でくらいは吸いたいからな」
吸い殻を携帯灰皿に汐音と自分のを入れて家に戻る途中で月を見ると綺麗な満月だったが魔力が感じられない。
「よお、シャドー、起きたのか」
デルが声をかけてくる。
「ん、居たのか」
「月が気になるのか?」
「いや、地球とは違って月に魔力が無いと思ってな。いつでも始祖の姿にはなれるからいいんだが」
「地球の月がどういうものかは知らんがここの月は理事長が創ったものらしいぞ、太陽も。それとその太陽と月に守り神的なのがいるらしい」
「行ってくるわ。汐音をよろしく」
シャドーは一旦部屋に戻り数分で戻り結界の外に出てから月へ向かう。
そこは実際の月と全く変わらない光景が広がっていた。
「月の都は裏側にあったしそんな感じで裏にあるんじゃないか?」
シャドーはある程度早めに飛んでいると一般的な一軒家が建っている。
「ビンゴだ」
シャドーは黒い炎でタバコに火をつけてインターホンを鳴らす、すると中から紫色のダボダボとしたローブを着たジト目の少女が出てくる。
「ここに守護神が居ると聞いたんだが、お前か?」
「しらない」
「あぁ、そうか。…煆焼、融解、分離、結合、腐敗、結晶化、給送、昇華、発酵、高揚、増殖させた後とある物質を投入した場合出来る物質は?」
「賢者の石…欲しいの?」
「あぁ、やっぱりか。俺はシャドーエッジ・スカーレットだ、よろしく」
シャドーは急にそわそわし始める。
「な、なぁ…炉はあるのか?」
「…あるけど、錬金術に興味があるの?」
「辺り前じゃないか!!大好きだよ!!」
シャドーはもう目が
「でもダメ、私の目的は錬創術だから。錬金術はもう興味はないの」
「錬創術?済まない、詳しく聞いてもいいか」
シャドーは顔が固まり尋ねる。
「簡単にいうと錬金術の強化版よ、でも『目的』と『錬成するもの』が違うの」
「さしずめ神の上の存在、意識体と言ったところか」
「察しがいいね、でも錬創術は禁忌だし教えてあげられない。ごめんね」
「頼む、教えてくれないか。錬金術なら完璧にやれる、頭のさほど悪くないつもりだ」
シャドーは深く頭を下げる。
「・・・そうは言われても・・・・あなた学年いくつ?」
「高校三年、恐らくまだ知識は足りないはず」
やさぐれた様に斜め下に目を逸らす
「・・・そう・・・・じゃあ問題に答えられたらいいよ」
「ふむ」
「この世界の唯一神の存在意義とは?」
「他の誰にもできず、そいつにしかできない一つの事を成し遂げるのが存在意義なんじゃないか?」
「・・・・そう、それがあなたの回答なのね。面白いわ」
「…ただ、これは答えられないのが普通な気がする。それが分かってたら錬創術なんて完璧に理解したも同然じゃないか」
「そうね、そうかもしれないわね、でもね、まだ足りないわ。明日にでもここに行ってきたら?」
そう言って少女は一枚の紙を渡してくる。
「ふむ、ありがとう」
その紙に目を移す、そこにはとある場所への地図が掛かれている。
その日はそのまま寮に帰り寝直す。
次の日また昨日と同じように小学校へ赴く。
「おはよう、今日は~…何するか」
「ん、お前の好きな科目でいいぞ」
「今日は~…ほんとなにしようか。錬金術の実習したい人~」
「はーい!」
錬金術そのものは知らないようだが興味はあるようだ。
「じゃあまず炉を作るところからだな」
シャドーは設計図と山積みの煉瓦とセメントを校庭に置く。
「じゃあ俺は見てるから頑張れよ」
「はーい」
少年たちは設計図を見ながら作るがどうもうまくいかないようだ。
「おい、シャドー。子供に煉瓦やらは重いんじゃないか?」
「やるならそこからやらないとダメだろ。錬金術にガキもクソもねぇよ。つまらないなら辞めて構わないさ」
シャドーは大きい魔法陣の中から樫の木炭と坩堝等の準備を整える。
「まぁ俺は錬金術に詳しくないからな、その辺は教師であるお前に一任するさ」
「ふう、錬金術ってのはこんな無駄そうなことのもやるんですね」
「作り方を覚えればいつ何時、どんな状況でも使えるからな。それに錬金術は理科を魔術的に捉えた物だ。当たり前のことをするのが当たり前と言う事を忘れるな」
「なるほど!理解しました!よーし頑張るぞ!!」
「うーん、自分好みに作り替えるってのもありなのかな?」
「うむ!頑丈そうなのにもしたいな!」
「なにかオプション的なものも付けたら面白そうだね」
「け、拳銃の形にしたら私でも創れるかな?」
「それはさすがに無理がある気がしますわ」
少年少女たちは各々の考えで炉を組み立てていく。
「まぁ、造りとして並べた燃料が自動で補充されるようになるなら何でもいいさ」
シャドーも煉瓦の山から慣れた手つきで炉を組み立てあっという間に終わってしまう。
少年たちも次々に個性的な炉を組み上げていく。
「さて、ここからが大事な所だ。ここに様々な鉄鉱石、卵の殻、骨、聖人の骨、小麦粉の材料と木炭、瀝青、石炭、生木、馬糞、溶岩と様々な熱源、燃料がある。これらを使って一番純度の高い鉄を作れた奴には一つだけ我儘を聞いてやる」
「はーい!」
少年たちはそれぞれ素材を取り炉に燃料をくべて鉄を製錬していく所をシャドーは楽しそうに見ている。
「出来ました、自分は鉄鉱石に骨と木炭で精錬してみました」
「酷い間違え方じゃないが残念、平均的な鉄が作れるだけだな」
シャドーはそれを自分の巨大な炉の中にある坩堝に投げ入れる。
「・・・僕は鉄鉱石と卵の殻を瀝青で精錬しました」
「う~ん、惜しいなぁ」
シャドーは顎を撫でて眉を顰める。
「さて、こっからは全員一気に言え。正解を教えてやる」
シャドーはさっきと同じように自分の坩堝に投げ入れ、馬の糞を火にくべる。
言われるまま精錬後の鉄を各々は見せてくるがどれもあまり良い物はできていなかった。
「正解は卵の殻と鉄鉱石、木炭、生木だ。そして理想的な熱になったら馬糞を加えろ。熱を一定に保ちやすい燃料なんだ」
「へぇ」
「ほう、錬金術ってのは奥が深いな。でもめんどくせぇ」
「そうですね、少し手間はかかりますが面白味はあると思います」
「まぁ、覚えて損する物じゃないが予備知識などは必要になるな。さて、お前らみんな上手い事当たりが無いから俺が全部純度を高めないといけないな」
シャドーは柄杓を取り卵の殻をすり潰したものを坩堝の中に振りまく。
浮いてきた不純物を柄杓で掬い取り数分後には全く不純物の浮いていない熔けた鉄をそれぞれインゴットの型に流し氷属性の魔術で固めて、様々なインゴットが入ったアタッシュケースの中の鉄インゴットが入ってるところに鉄を付けると吸い込まれるように中に入ってインゴット一個分の大きさに
「へぇすごいですねぇ」
「さて、やれることはやるだけやったが…流石に錬金術だけじゃ飽いてくるだろ。戦闘でもするか、解説を入れながら」
「はーい」
シャドーは創刀を自由にしてろと言い普通の諸刃の剣を取り出す。
「さぁ、一人ずつ来い。みっちり鍛えてやろう。…俺はそこまで熱血的な妖怪でもないが」
シャドーはシナモンを咥えてから剣を構える。
「ではまずは僕から・・・!」
アロレンタは杖を構える、するとアロレンタの姿が変化して汐音の姿へと変化した。
シャドーは一瞬の驚きを見せるがすぐ顔を堅めて剣を握り直す、と同時にアロレンタが魔法陣を目の前に召喚し、それの中から光り輝く龍が出現しシャドーめがけて飛んでいく。
シャドーはそれに大した興味も寄せず最低限の動きでかわし、いつの間にかアロレンタの真後ろに移動していた。
「戦いの基本は相手の不意を衝くところから始まる。目の前から分かりやすい攻撃はよろしくない。経験から言うが下手すると魔粒子を喰ってくる奴もいるから体内に魔法陣を作るなど頭を働かせると面白い戦闘が出来るぞ」
そう言い一定の距離を離れまた剣を構える。
「不意を衝く・・・か、一応あなたの動揺させようと一番脳裏に焼き付いていたものになったのですが効果はあまりなかったのかな?」
アロレンタはそう言うと杖から闇の霧を出し周囲を覆う、鼻先の景色すら何も見えない状態だ。
同時に後ろから汐音の姿で闇の力をまとった杖を薙ぎ払う
シャドーはあたかも見えているかの様に体を後ろに引きかわした後腕を掴み、背負い投げる。
アロレンタは地面に衝突と同時に咽せて倒れこむ。
「はい次。お前は休んでろ」
「・・・行きます」
フィバレオンはブーメラン構えそれに水圧を乗せシャドーめがけて勢いよく飛ばす、同時にブーメランの通った後に霧を発生させ姿をくらます。
「アロレンタとは違う感じの水の扱いか。一ついい事を教えてやろう。俺らみたいにくらいが上がっていくと視覚情報だけじゃ追いつかない敵もわんさか居る訳だ。それに合わせ俺たちもそれに適応していくために術を身に着ける。つまり言いたいことはだな、目で羽虫を追うよう猫のようになるな」
シャドーは少しきつめの膝蹴りをフィバレオンの腹にねじ込む、フィバレオンは吐血しその場に倒れこんだ。
「次だ」
シャドーはとても楽しそうに笑みを浮かべている。
「押忍!!」
イプゼシオは七支刀を構え雷を自信と剣に纏わせる、瞬間超音速でシャドーの後ろに移動し切りかかる。
「うん、お前はアドバンスに似て直線的な動きをするな。お前は早すぎるという訳でもないし曲がって相手の不意をつけ。これは全ての如何なる状況下の戦闘に適応できるからな」
シャドーは亜光速でかわし、背中を蹴る。
「なんの・・・!!」
態勢が崩れかかるがなんとか立て直し超音速で距離を取り雷撃を地面に走らせ攻撃する。
シャドーはそれを手で受け止めた後半径2km内に魔法陣を展開し大きな岩を所々に創り、胸ポケットから黒いワイヤーを取り出す。
そしてイプゼシオの肩をかかと落としで外し体勢を崩させ、腹を蹴り押し岩に叩きつけた後高い岩山に飛び乗りイプゼシオ目掛けてワイヤーを回転を掛けながら飛ばし何回か巻いた後自身の手元へ戻ってくる。
それに火をつけると物凄い速さで燃え進みイプゼシオに燃え移る。
「はい次」
「わ、私が行きます!」
アエグナが前に出る。
「お、頑張れ」
シャドーは剣を手の中で一回転させ握り直す。
アエグナは拳銃を取り出しその周りにガトリング砲を無数に召喚する。
「いっけえええ!!!」
それらは一斉にシャドーめがけて射撃される。
シャドーはそれを剣で弾きながら片手でフリントロックを取り出しガトリング砲の銃口に一発ずつ弾をねじ込み自爆させる。
「・・・!、それなら!」
アエグナは距離を取りながらいくつもミサイルを召還しシャドーに向け飛ばす、それをしながらも自らでも攻撃する。
シャドーはRPGでミサイルを誘爆させることでそれを回避してアサルトライフルで弾を放つ。
「うわ!この人怖い!」
誘爆させられるがそれでもミサイルを飛ばし続ける、同時に持っている拳銃をマシンガンに変え弾丸に風を纏わせさらに周囲に巨大な風の流れを作りミサイル弾丸の弾道を変化させ不規則にシャドーに襲い掛かる。
シャドーは我慢が効かないと言った様子でアサルトライフルを太ももに叩きつけ真っ二つにして、妖刀を引き抜き妖気を荒げ弾丸を腐らしミサイルを爆発するよりも早く切り捨てていく。
「イプゼシオと言いお前といい…随分楽しませてくれるじゃないか」
シャドーの目に嬉々とした感情が見える。
「もう!いい加減にしてよ!!」
今まで召喚していた銃系統を引っ込め巨大な機械神を召還し使役する。
『薙ぎ払え!『拳銃神アグレイオ』!!』
召喚された機械神は全身から銃器を取り出し一斉に放出する、それらはすべて高温度のレーザー砲だ。
『愛した者に殺戮を。恨んだ者に祝福を…』
シャドーは冷たく解号を呟く
終始【闇血剣モールキャッセ】
シャドーがモールキャッセの刃先でレーザー砲に触れるとそれは最初から無かったかのように消える。
「うげ!?そんなのあり!?」
「お前の番はお終いだ。お疲れ」
シャドーは一瞬で後ろに回り後頭部を拳で殴り気絶させる。
「次は
「今の俺は少し興奮気味だから加減が難しいやもしれん。やり過ぎても許してくれ」
「了解しましたわ、なら私も全力でお相手いたします!」
フィアレミスは両側にマホガニーの持ち手が付いたワイヤー作りの鞭を装備し構える。
「さぁ…宴を始めよう」
シャドーが妖しく眼光を揺らめかせ、ぬうっと距離を詰めモールキャッセで斬りつける。
それを後退してかわし、鞭でシャドーの体を固定し空から光レーザーの雨を降らせる
シャドーは一回バク宙してから後ろに大きく引き、次の瞬間妖力による壁を張り目にも止まらぬ速さで突進してくる。
「!」
フィアレミスはとっさに自分とシャドーの間に光の壁を作り光を屈折させ目を眩ませる
シャドーは瞬時に目をつぶって蹴り上げる。
フィアレミスは空中で態勢を立て直し鞭で空中に亀裂を入れる、すると空間が歪み関節ブラックホールが創られる。それはシャドーをものすごい引力で吸い込もうとする
シャドーはそれにわざと吸い込まれた
「ッ!!」
フィアレミスは態勢を崩し倒れはしないがその場で動けなくなってしまった。
「今のは流石にまずかったかな」
少し興奮が冷めまともな思考が戻り若干の気まずさを感じる。
「ッ・・・うっ」
フィアレミスはなんとか保っていた態勢が崩れ倒れてしまった。
「おっと」
シャドーはそのまま横抱きにして持ち上げソファに寝かせる。
「じゃあ次」
「さて、僕の番かな♪」
ヴァレイドがニコニコとしながら出てくる
「お前なら手加減は要らないな」
シャドーは重々しいコートを脱ぎ椅子に掛けてからモールキャッセを構える。
「さあ!本気で行きますよ!!」
ヴァレイドは嬉しそうにそういうと足元に魔法陣を展開し詠唱する。
『目覚めよ古の短剣、俺の力を喰らい覚醒しろ!!』
深炎『フラムウラガン』!
ヴァレイドの周りが漆黒の炎に包まれ手元に火属性の魔法陣が彫られた短剣が現れる。
「これは昨日あなたにもらった短剣ですよ、そしてこっちが昔もらった短剣です。まぁ名はないんですけどね」
そう言ってポケットからもう一つ短剣を取り出す。
「懐かしいな」
シャドーは懐かしんでる様子も無く等々に斬りつけてくる。
「うお!?」
ヴァレイドはそれをかわし後ろに退くとシャドー足元に火の魔法陣を展開しシャドーを高温度の炎で燃やす。
シャドーはそこから踏み込みヴァレイドの腹にシャドーの膝が飛んで来る、それを二本の短剣で受け止めその反動で後ろへ飛び、背後には黒、そしてシャドーの目の前に白い陣を展開する。
「くらえ!」
白い陣から高出力の迫撃砲が炸裂し黒い陣でシャドーの後ろに転移しさらに掌の赤い魔法陣で黒い炎のレーザーを無数に浴びせる
シャドーはそれをモロに受ける。
煙が晴れるとそこにはTシャツが燃え、上半身だけ裸になったシャドーが剣を地面に刺して佇んでいる。
「ふぅ…武器が無かったら痛かった」
シャドーは首を鳴らした後で姿が消え、次の瞬間ヴァレイドが吹っ飛ぶ。
「!?」
ふっ飛ばされながらも何とか態勢を立て直したヴァレイドはシャドーがいた所を見るが目の前にシャドーの姿はない、ヴァレイドはすぐさま黒い陣を展開しそこから空へと転移する
「おわっ、お前もこっちに来るのかよ」
空から蹴りこもうとしていたシャドーは完全に不意を突かれたが、無意識に腹に一発殴っていた。
「
殴られた直後にシャドーの手首に白い魔法陣を貼り付ける、その後また黒い陣で地上に戻った瞬間シャドーの手首の陣が激しく光り、光粒子のエネルギー波を浴びせる。
シャドーはそれを淀ませるほどの闇の癪気を放ち高濃度の妖力弾を数発飛ばすが、それを黒い陣で受けシャドーの真後ろに転移させる
「自分で出したものくらい自分で扱えるさ」
シャドーはそれを指でなぞりヴァレイドの方へ投げ、逆五芒星の形の妖力弾を飛ばす。
「ですよねっ!」
その妖力弾は急に空中で停止すると弾け飛び、辺りが紫色の霧に包まれる。
同時にヴァレイドが手を勢いよく合わせると霧が一気に炸裂しシャドーを巻き込んで大爆発が起きる
「なんかアニメで見たなそういうの」
肌の表面に軽く傷を作るがそれは素早く回復され、シャドーはゆっくり歩いてヴァレイドに詰め寄り目の前まで来たところで動かなくなる。
「さて、ここからはお前のための修行だ。甘えなら無しだ、死ぬ気で来い」
シャドーは少し笑むと体中からシャドーの物とは性質が全く違う闇の力が満ち溢れ、シャドーを覆う紫と赤黒い色の癪気が視認出来るほどに濃い物となっていく。
そしてシャドーの右半身には揺らめく炎の模様をした刺青のような黒い痣が浮かんでいる。
「ゼネラルは本当いい置き土産を俺にくれた。…気づくのに時間がかかったが」
その力はまだ封印を一つも解いていないのに二十固めを5つ解いたレベルの物だった。
「うわぁ、これは勝てないよ」
「さぁ、来いよ」
シャドーは呪印による力の上昇に加え、妖力を高め腕を組む。
「一応本気でやってみますけど、お手柔らかに」
ヴァレイドは短剣をシャドー目掛けて飛ばす
シャドーはそれを指で絡めとり下に突き刺し、その場から半径5m内に黒い雷を降らせる。
ヴァレイドは短剣に付けていた透明の糸を引き地面から引き抜く、瞬間にその短剣と自身の位置を入れ替えシャドーの懐に入る。同時にもう一本のルーンエンチャントの短剣で腹を刺しにかかる
シャドーはそれを柔道の要領で受け流し様に投げる、ヴァレイドは叩き付けられる瞬間に地面に黒い陣を展開し入ると同時にシャドーの頭上に出て口から破壊光線を放つ
シャドーは不意を突かれ直撃するが、目立った外傷は見られない。
「痛っつつ…少しは効いたぜ」
にやりと笑い姿が消えるが、それからは攻撃は行わない。
「ちっ、無傷かよ。ってシャドーさんどこ行ったし」
ヴァレイドは地面に降りると目をつむり精神を集中し辺りに神力の気をあたりに充満させる
するとシャドーがこの空間に自身の粒子を混ぜ込み溶け込んでいることが分かる。
「察しがいいじゃないか。ただ、対処法を何とかせねばならなかったな」
いきなりヴァレイドの脇から手が出てきて妖力弾を腹に押し付け爆散させ、実体化する。
「ちっ、有りかよっ!」
土煙から出るとシャドーに対して周りに白い陣六つを展開しそこから白い柱を召還する、それでシャドーを拘束するとヴァレイドはニコッと笑う。
「これが僕の本気ですっ!」
白い柱が琥珀入りに光りだしシャドーを包み込む、それは全てを消し去る神の光だ
「ならばその技、俺も答えよう」
暗灼【Scorching Barrel】
漆黒に染まる炎のように漆黒の妖力が揺らめき、その妖力は砲撃とも斬撃とも言える攻撃を放つ。
それ等はぶつかるが圧倒的な力の差を証明するかの様に突き抜けてヴァレイドを覆う。
「い!?」
ヴァレイドはかわし切れず直撃しふっ飛ばされる。
「ふぅ…これで全員か…疲れるもんだな。昔は40億年間ずっと戦っても大丈夫だったのになぁ…年取ったのかなぁ」
シャドーがその場に座り込み時の流れをひしと感じていると後ろから抱きつかれる。
「シャドーくんっ、暇だから来ちゃった」
こちらの顔を覗き込みにんまりと可愛らしい笑みを向けてくる少女は汐音だ。
「汐音か、今来てもしてやれることは無いぞ…俺は今お疲れなんだ」
シャドーが電子タバコを咥えるようとするとそれをシャドーのポケットにしまう。
「まだ終わりじゃないよ?私がいるじゃん」
「…は?なんで俺がお前を殴らなきゃならんのだ…」
「いや、やられるのはシャドーくんだから」
汐音は唐突にローキックをシャドーに繰り出す。
シャドーは目視できても反応が出来ていなかった。
それに続き汐音はシャドーの膝をふみつけてから少しだけ跳ねて空中で体をくねらし足を水平にしてこめかみを膝で蹴る。
この間シャドーは全ての攻撃を見きってはいるものの全くかわせないでいた。
「なっ…!?なぜ攻撃が通る…!?」
シャドーは完璧に動揺していた。
「そりゃ、何年も一緒に居たんだしシャドーくんの癖とかそこら辺は分かるよ~」
「癖だけでそんな入る訳が…」
「ううん、シャドーくんの癖は致命的だよ。シャドーくんの癖は私がわかる範囲では一つ。自分の中で一定のリズムを作りそれに合わせて攻撃する。それだけなのにみんなが勝てない理由、それも簡単ね。ただ極端に早すぎるだけ、だから生活面や戦闘内でそれを炙り出していくしかない、でも強すぎてそこに着目できない、って言う感じに循環が生まれてシャドーくんは強さを保ててる訳。だからシャドーくんの強い所を見つけ出しそれを拘束する手立てを作りながら自分が技をかけやすい所は上手くカウンターを繰り出す、これがシャドーくんを倒す上で本当に重要な所かなぁ?」
シャドーは汐音が自分の弱点をズバズバと言う姿に驚きながらも感心し、喜びを隠せないでいる。
「何かの役に立つと思いお前に戦闘の仕方を教えた甲斐があったな」
シャドーは心底嬉しそうに頷く。
「なるほど、あなたの強さわかった気がするぞ」
そう言って汐音の後ろにヴァレイド以外の五人が立つ。
「ふぅむ、バラすなよな…これ結構重要なんだからさ」
「いやぁ~、圧倒的に力の差があるしハンデよハンデ」
汐音は笑みを浮かべる。
「そうだね、でもさ。アルデルルさんも聞いてるみたいだけど?」
「そうだった…汐音、お前なんて事してくれたんだ…」
シャドーは片手で顔を覆いうなだれる。
「でも、そんなことを知っているこの人って・・・あなたは一体誰なんです?」
「あぁ、私はね~。シャドーくんのお嫁さんで~す」
いえーいとVサインをする汐音。
「お嫁さんか、道理で」
「あの人はめんどくさいけどしっかり見たらボロが出るから、頑張ってね?」
汐音がそう言って肩を叩き、シャドーは悪態をついている。
「よしみんな!今度は同時に行くぞ!」
アロレンタはみんなに指示を出す。
「・・・そうした方がよさそうだね」
「うむ!
「が、頑張るよ私!」
「
全員が一斉に構える
「お前らもう回復したのかよ…老体は労わりやがれ!!」
シャドーは魔法陣から二つのカトラスを鞘から引き抜く。
「老体って、まだまだ若いでしょうが!!!」
「昔はお前らくらいなら相手にしてもここまで疲れはしないんだよ!!」
シャドーは柄を指で引っ掛け、回転させて跳びあがりフィアレミスに突っ込む。
フィアレミスはそれをガードし地面からワイヤーを伸ばしてシャドーを拘束する。
それを気にイプゼシオはフィアレミスごとシャドーに切りかかる。
シャドーはフィアレミスの足を掴みイプゼシオの腹にフィアレミスの顔をぶつけようとするが、その顔が消えそのままシャドーはイプゼシオに肩から斜めにぶった切られる。
「ぐっ…今のは予想外だ」
柄を握り直して体を巧みに動かし二本のカトラスで何度も斬りつける。
イプゼシオはそれをなんとか受け流し続けるとシャドーの後ろからフィアレミスのワイヤーが心臓部分を突き刺す
「はっはっは、俺に心臓を狙っても意味は無いぞ。俺にとって心臓は所詮飾りだ」
シャドーは突き刺さったワイヤーに自身の筋肉繊維を絡ませて動かないように固定し、カトラスの柄頭でフィアレミスのこめかみを殴る。
「そんなこと、わかっていますわ!」
フィアレミスはニコッと笑う、瞬間シャドーの体の自由が一切なくなる。同時にシャドーの周りに大量の神器級のバズーカが出現する
「私の銃の創造の力と!」
「僕の神水の力を合わせれば!」
「神の力を帯びた不死殺しの兵器に代わる!!」
二人がそういうと一斉にバズーカが放たれる
シャドーは当たるすれすれの瞬間に口から何か赤黒い不吉な靄が放たれ、ヴァレイドの口内に入りヴァレイドの口内からは赤くて神々しく光る靄がシャドーの口内に入る。
そしてヴァレイドとシャドーの体は二つの靄で作られた線が伸び絡まり合う。
「ふむ、この体…俺には劣るが悪くない」
ヴァレイドがシャドーのような口調で喋り出す。
「この野郎!」
「待てイプゼシオ!迂闊に近づくな!」
イプゼシオは忠告を聞かず突っ込んで行く
「ヴァレイドから離れろ!!」
イプゼシオはシャドーのからだを切りつける瞬間ヴァレイドの体にも同じく切り付けられる。
「なに!?」
イプゼシオは後ろに後退する
「なんだあれは!?」
「恐らく乗っ取りに一種だ、迂闊に動くな」
「で、でもこのままじゃ手が出せないよ」
「そうですね、どうすれば・・・」
するとフィバレオンが前に出る
「・・・俺がやる」
「何か策があるのか?」
「無い、だからヴァレイドごとやる」
「な!?ふざけるな!仲間だぞ!!」
「だからなんですか、戦場で戦えない兵士は邪魔なだけだ。ましてや乗っ取られて人質なんて恥だ、これは遊びじゃないんですよ」
「ぐっ」
「くくっ、それでいい!!仲間を殺してでも遂行させるものが任務、使命だ!!さぁ、俺を斬れ!!」
二つの短剣を握りしめ一つをフィバレオンの顔の横すれすれに飛ばし、それに注意が向いた時にシャドーはフィバレオンの真後ろに移動しておりもう一つの短剣を首から尾てい骨までを背骨に沿って刃を通す。
「ちっ!」
フィバレオンは攻撃を喰らった後何故か消える、それと同時にアロレンタの後ろに現れる。
「・・・どうも」
「確かに、任務の遂行は絶対だ、使命だ」
「ならっ」
「でもな、仲間や家族、命を守れねーやつは神としてそして一つの命として屑だと僕は思う」
「・・・」
「ふっ、おい言われてるぞシャドー」
アルデルルが笑いながら言う
「知るか。それは全体で見た場合の意見だ。俺はあくまで殺戮の道を嬉々として転げ回る狂人だからな」
シャドーは改めて柄を握り直し首をくいくいと二回持ち上げて挑発する。
「そうですよ、その考えはあくまで全体としての考えだ」
「かもな、でも個は全、全は個だ」
「・・・ふん」
「行くぞみんな!」
「押忍!!」
「うん!」
「わかってますわ」
全員が構える。
「大層いいリーダーを持ったじゃないかお前達、誇れるぞ。そして嘆きたまえ、一度触れたら死ぬと言う恐怖を教えてやる」
シャドーは二本のカトラスをシャドーの体に突き刺しヴァレイドの体に居るシャドーは顔をしかめるが引き抜く。すると刀身はほんのりと赤みを帯びた光を放つ。
「なんだ?」
アロレンタが口を開くと同時にシャドーとヴァレイドを繋ぐ線に向かってフィバレオンがブーメランを飛ばす。するとその線は千切れるがシャドーが戻った様子はない。
「この線はあくまで俺とヴァレイドの痛覚や状態を合致させる為だけの物だ。切ってもさほど意味は無い」
「なら十分だ」
フィバレオンはそう言うと手を合わせる、するとシャドーの体の後ろに大きな波が現れ体を浚って行く
同時にイプゼシオとフィアレミスがヴァレイドの体ごとシャドーを切りつける
「くそっ、この体じゃそろそろ限界か」
シャドーはヴァレイドの体の大体の関節を外した後、素早くシャドーの体に魂を戻しそれをモールキャッセによる破壊で回避し、二つの攻撃はシャドーの強固なコートによって防がれる。
「固って!?」
「ならこれでどうですの!!」
フィアレミスは空を歪めシャドーに落とす、それにより強固なコートにヒビが入る。
「これは空の、いえ宇宙の重みですわ!」
「あぁ!?お気に入りだったのに…い、いいさ家にまだ何着かあるし…」
軽く落ち込みを見せるがすぐに切り替え二人ぎりぎりに赤く光る刀身をかすめる。
「ぜいやあ!!!」
イプゼシオは刀身を弾き亜光速でシャドーとの距離を縮めると真っ二つにする
「な、なんで俺の体が!?」
シャドーは即座に再生するも動揺を隠せないでいた。
「貴方のその体、種族による特殊な皮膚と見た。なら僕の潤みで種族と言う潤みを消し去ることなぞ容易だ」
「からの!」
瞬間シャドーの皮膚と言う皮膚が悲鳴を上げ激痛が走る
「もう動けまい!行くぞ!」
イプゼシオは七支刀を地面に突き刺す
雷殴【雷落とし】
雷で創られた拳は対象を灰にするまで落ち続ける
それはシャドーに落ち降り続ける
「こんなガキどもに封印を解くまでもないと思っていたが…お前ら!いいコンビネーションだ、いい勉強になったよ。だからそろそろ眠ってもらおう」
暗灼【Scorching Meteor】
漆黒に染まる炎のように漆黒の妖力を掌に集め空に放つと漆黒の妖力を纏った球体が無数に降り注ぐ
それらは五人を巻き込みながら落ち大地を引き裂き破壊しつくし辺りは土煙に包まれる
「ふぅ…帰ったら俺もあいつらとの連携をするように考え直そうか…」
瞬間後ろからヴァレイドがルーンエンチャントの武器で切りつける
「おはよう、ヴァレイド」
それを紙一重でかわして腹に重々しい拳を叩き込む。
「ちっ!」
同時にシャドー鼻先に大出力超電磁砲が炸裂する。土煙が引くとそこには巨大なゴーレムに守られた六人が立っていた
「か、間一髪だったね」
「助かったぜ、ドマレイン」
「うん!」
「これは前話してくれた『銃魔人』か」
「助かりましたわ、今の流石に」
「うむ!!死んでいたな!!!」
「そして俺の回復専念、いい連携だアロレンタ!」
「お前ら…堪らないぜ…!!今まで教師だからって理由で適当に流してたが…お前達がすごく気に入った。もう少し強めてもいいかもな」
【二十固め、参之暁】
シャドーの周りには雲の様な赤黒い霧が立ち込める。
「うわぁさっきより強力なエネルギーだ」
「これは・・・やばいな」
「どうしますの?」
「・・・やるしかないだろ」
「わ、私もサポートするよっ!」
「うおおお!!!やってやるぞおおお!!」
全員が足元にそれぞれの陣を展開する
「俺たちももうエネルギーが残り少ない、一発勝負だ」
「なんだ、もう少ないのか?俺はまだまだ腐るほどあるのだが…?」
「化け物ですねっ」
アロレンタは頬に汗を流す
「流石シャドーさん、でも一発で仕留めれば!勝機はある!!行くぞ!!!」
『燃やし尽くせ!バクオ!』
『潤み尽くせ、インドン』
『焦がし尽くせ!!オオソガ!』
『呑み尽くせ、イイルギ』
『埋め尽くせ!キキガイイオウ!』
『覆い尽くせ、デルドン!』
六解【
空を覆い裂き汚し海を呑み大地の破壊し焦がし埋め尽くす巨大な弓は対象を跡形もなく消し飛ばす
シャドーはモールキャッセで波を作り出す。
鈍炎【グラビティ・フラム】
妖力と魔力で生成された炎の砲撃で全てを焼き尽くす
それらは互いにぶつかり大爆発を起こし辺りを消し飛ばす、その後土煙が引くと六人は気絶しボロボロになったシャドーが立っていた。それにアルデルルが近づく
「まさかこの子たちがここまでとはな、おいシャドー無事か?」
真顔を取り繕うとしているがどうしても締まりのないすごく緩まった笑みを浮かべているシャドーがボロボロになった服を着て擦り傷を作っていた。
「無事なようだな、さてどうするか」
辺りは全て消し飛んでおり何もかもなくなっていた、結界のおかげで外は無事なようだ。
「こんな奴らを数日担当できたこと、俺は光栄に思うよ…最高じゃないか」
「ここを戻してくれシャドー、できるだろ?」
「あ、あぁ…任せろ」
シャドーは結界内の損傷を消す。
「流石だ、それとあの子たち。どうするか」
「寝かせてやれ。じきに目を覚ます」
「わかった、こっちは俺が対処しよう。お前はもう今日は上がっていいぞ」
「ん、あぁ。じゃあ失礼する。行こう汐音」
「は~い」
汐音はシャドーの腕に引っ付き、オウネの所に向かう。
「終わったぞ。実に有意義な授業だった」
「その様子だと、さぞかし楽しい授業だったようだな」
「あぁ、あいつらならずっと面倒見てやりたいくらいだ。俺に呪印に加え二十固めを三つも解放させるなんてなぁ。それも小学生でだぞ?」
「なに?それは本当か?二十固めの使ったというのか?」
「あぁ、驚くだろ?連携がすごいんだ」
「連携程度でそれほど・・・か、にわかには信じがたいが」
「この服の荒れ様が証拠だ」
シャドーは腕を横に広げる。
「ふむ、それなら今後あの子たちの事は色々お前の助けを借りるかもな。わかった、報告ご苦労だ下がっていいぞ」
「あぁ、失礼する」
少し短くなった自分の髪をかき上げて自宅へ戻る。
「ふぅ~…疲れたぁ…」
シャドーはすぐにベッドに倒れこむ。
「お疲れ様~」
汐音は椅子に座る。
シャドーが体を起こし、ポケットからメモを取り出し内容を見る。
それにはとある場所の住所が書いてあった。
「ここにいくのか」
シャドーは起き上がって一人で外に出てその地図に載ってある場所に移動する。
そこには趣味の悪い典型的黒魔術を扱う魔女の家風の家屋が建っている。
「…誰も居ないじゃないか」
そう言って呼び鈴を鳴らす。
呼び鈴を鳴らすと中からションが出てきた
「はい誰」
「お前かよ…えぇ…まぁいいか。錬創術を知っているなお前」
「・・・どこでそれを」
「月に行ってきた。そんでそこの女に錬創術と言う存在を知り教えろと言ったら質問を掛けられ、何か足りないと言われお前の所に来たらいいと言われたんだ」
「・・・そうか、まぁ上がれ」
「失礼する」
シャドーはそのまま適当にションの家に上がり、ションに言われるがまま椅子に座ると前に机とコーヒーが出てくる
「さて、どこから話そうか。てかお前は何を知りたいんだ?」
「錬創術を使えるようになりたい」
「簡単に言ってくれるな、そう簡単じゃないんだよ錬創術ってのはな」
「そんなことは知っている。だからこそなんだ、だからこそ手に入れなければならない」
「その先に何を望む?」
「守るための力。今も昔も変わらんさ」
「そうか、だがひとつ言っとくぞ。個々の力に執着するな、身を滅ぼす」
「重々承知しておこう」
「さて、錬創術の話だったな」
ションは立ち上がり本棚から本を取り出す
「錬創術とは物体を吸収し創造し破壊するといった三要素の上になりたっている」
「俺のモールキャッセに似つくところがあるな」
「そうだな、似ている部分はあるが根本的部分が違う。吸収は確かに物体の吸収でもあるがそれだけじゃなくその物質の知識、理論、情報を吸収する目的もある。そしてそれを再創造、そして新たな理論の創造、そしてそれらの破壊、既存の理論の破壊。それこそが錬創術の核だ」
「吸収、創造、破壊が錬金術での理解、分解、再構築に代入されるのか…なるほど」
「うむ、元々、錬金術ってのは錬創術を使える神が地球に降り、伝えたものがモデルになっている」
「なら地球に錬創術がつかえる奴が居てもおかしくはないんじゃないか?」
「・・・昔、はな」
「昔?それはどういうことだ」
「・・・錬創術が明るみに出る、それは神々の・・・いや宇宙の終わりを意味する。それは阻止しなければならなかった。だから・・・」
「敢え無くの殺害か。まぁ…致し方ないな。しかし本当にいたのなら書物も少しは残ってるんじゃないのか?」
「そうだな、地球のどこかには・・・あるいは残っているかもしれないが、調査によるとそんな場所はなかったそうだ」
「案ずるな、目星はある。ティタン神族を滅ぼした際になにか特異な術を使っていた。タルタロス内を見てくるよ」
そう言って立ち上がる。
「待て、俺も行こう。目星があっても見つかられないんじゃ意味がないだろう?錬創術についてもまだ俺の知る全てを話してない」
「なら頼んだ。急ごう」
校門から出た瞬間にションと共に幻想郷とは別次元の地球へ転移する。
そしてシャドーは人間の姿に変わる。
「…やはり人間になるとピアスの痛みは消えるか」
そう呟いて耳を触ってからタバコを吸う。
「そういえばピアスはお前にとって不利な条件だったな」
「このピアスは銀製でな。自分の贖罪のため肌身離さずつけているんだ」
「ああそうだったな、よし調査を開始しよう。それとここではむやみやたらに力を使うな、わかっているな?」
「当たり前だ。下手はしないさ。そんなのはギャング生活で慣れてる」
そう言って煙草の灰を落とす。
「今のお前はギャングじゃない、ここでは一般市民だ。お互いのここでの名前でも決めておくか」
「間淵 京助でいい。人間の頃の名前だが…」
「なるほど、わかった。俺はデイビッド、ロナルド・デイビッドだ」
「ハロー、デイブ」
ふざけてそう呼ぶ。
「好きに呼べ、で、どうする?」
「まずオリンポスの神に会う必要がある。冥界に行くぞ。まずは世界の壁のほころびを見つけよう。早速ギリシャに行こう。まず何処に行こうか」
「俺の家に行こうにも・・・ユウタさんの資金は乏しいしなぁ」
「なら俺の家に行こう。俺なら説得すれば多少話は聞くさ」
「情報を持つものが増えるのは避けたいが・・・まぁ仕方ないか」
「…俺はそんな口の軽い阿呆じゃない。話すとしても最低限の協力者にのみだ」
煙をゆっくり吐いて自分の事務所に向かう。
「ここか」
「俺がでかくする前…だな。若い頃の俺か~、懐かしいな」
そう言い門の前まで通ると門番らしき者に目配せしてから中に入る。
そして受付嬢に自分の要件を使える。
「アポはとっておられますか?」
「そんなものは無い。いいからだせ、そいつに用があるんだ」
「少々お待ちください」
そう言うと電話を取り何か応対している。
「まず幹部の服部が話をするので5階の応接間でお待ちください」
そう言うと1人のスーツを着た男性が案内する。
そして応接間で待つこと10分。
ようやく背広に袖を通した白髪の巨漢が現れる。
「いきなり質問で済まないがお客人。貴方はなぜここに来た?」
巨漢が口を開く。
「間淵と東雲に会いに来た」
「…?間淵、ですか」
「おい、シャ・・・京助、情報をする人間は少ない方が良いといったはずだぞ」
「この人はいいんだ。さて、服部さん。俺が言いたいことはもうわかりますよね」
「間淵?しかしおかしいだろう」
「沙希はどうしてる。元気でやってるか?叉焼会のガキはしっかりやれてるか?ロシアの方とはまだ紛争が続いてるのか?」
「おい、京助。思い出話はその辺にしてくれないか?長居はできん」
「まずは協力者だ、少し待ってろ」
「じゃあまず、ここに来た理由を聞こうじゃないか」
「資金だ。俺はとある用でギリシャに発つ」
「その用とは?」
「ノーコメントだ。言っても理解できない」
「なら次だ。なぜわざわざボスたちに会おうとする」
「それが手っ取り早い。頭を押さえれば資金は空気より軽く手に入る」
「交渉が決裂した場合は?」
「諦めよう」
「こちらにリスクは?」
「ない、とは断言できないが限りなく0に近い」
「いいだろう、ボスとお前に掛け合ってくる」
それから3時間は経っただろう。
シャドーが眠そうにあくびをしたその時、扉が丁寧に開けられる。
「君かい、僕を名乗ってるって人は」
この世界の俺のお出ましだ。
隣には沙希が居て、後ろには服部さんが居る。
「その通りだ」
「確かにそっくりだけど…少し老けてない?」
「今俺は32とかそこらへんだからな、仕方ない。俺がもと居た所はもう少し未来の平衡世界だ」
「で、いきなり金を要求ねぇ。中々図太い精神を持ってるみたいだね」
「ふん、必要なのだから仕方ない」
「僕としてはすごく不思議な気分で信じられないんだけど…」
「初めて乗った車の機種とか昔のあだ名とか言えばいいか?」
「えっ、そんなの覚えてるの?」
「俺は覚えてるぞ。初めて告白した時は振られただろ」
「うぐ…や、やめて。それをほじくり返さないで…ほんと辛かったんだから。あ、でもさ沙希、この人ほんとに僕っぽいよ」
「しかしだなぁ…こんなシャキッとしてる京助って、なんか変…」
「変っ!?酷くないか…」
シャドーが少しシュンとする。
「あ、落ち込むところ似てる」
沙希がおぉ、と感嘆の声を漏らす。
「まぁ、今僕らお金困ってないしいいんじゃないの?あ、僕もギリシャ行っていい?あっちのギャングをシメないといけないんだよね」
「なら神崎もつれて行ったらどうだ?あいつも戦力になるだろう?」
「ん~、彼に借り作ると後で見返り要求してくるし。また女の子拉致してあいつに渡すのも飽きたよ?」
「ギャング情報は生々しいな、闇だらけだ神として見過ごせないが・・・あ、い、いやなんでもない」
「神…?痛い子なのかな」
間淵は首を傾げる。
「重度の中二病患者なんだ気にしないでやってくれ」
「じゅっ!?お、俺はだな・・・なんかここだと調子が狂うな、まぁいい。ギリシャには行けるんだな?」
「まぁ、金は腐るほどあるんだ。海外旅行に割く分は余裕である。それに間淵も仕事があるしな」
沙希はそう言って協力する旨を伝える。
「多少なら手伝える。銃さえあればな」
「
「上等だ」
「デジレ君、箱銃二挺用意して」
「了解です」
少し間をおいてそれが届くと、そのアタッシュケース型の銃を二つ用意すると慣れているうに荷物を詰め銃が見えないようにする。
「それと成田の方でギリシャまでをファーストクラスで予約しておいてね。席が空かない場合は買収していいから」
「わかりました」
そう言うとデジレと呼ばれたフランス人はそとに出る。
「ははっとんでもない奴らだな、お前の強さも現代のころからってわけだ」
「俺の知ってるクリュエルファミリーよりちっと小さいがね」
「まぁ、今日は泊まっていきなよ。と言うか泊まる宿すらないだろうしね」
「お言葉に甘えさせてもらおう」
「長居はできないといったはずだが・・・まぁ今のこの姿では・・・・う、頭が痛い。ちょっとトイレ行ってくる」
「あ、また中二病発症だね」
くすくす笑って沙希と一緒に自分の部屋に戻る。
「じゃあ客室へ案内しよう」
そう言って廊下を少し歩き、それぞれくっそ広い部屋に通される。
するとションは部屋から出てシャドーの扉をノックする。
シャドーが寝ぼけた目で扉を開けるとションが目に入る。
「あぁ…お前か、何の用だ…」
「話しておきたいことがある、それと渡したい物もな」
そう言ってションは一つの宝石と紙を渡す。
「ん、なにこれ…」
「紙の方は今回のとある人物からの依頼・・・要はいつものお使いだ、読んでおけ。石の方はお守りだ」
「人間の形で依頼ぃ?なにそれ、ステルスゲームでノーキルノーアラートやれって言ってるような物だろこれ…」
そう言って書類に目を通す。
そこには何やら奇妙な文様と文面が記されていた。
『依頼:アトランテ名『ハルイオクト』又の名を『地球』に行きエジプトとギリシャにある『アトランテ神話』に属する物を発見、調査せよ。幸運を祈る』
「アトランテ、ねぇ…あっちに行ったときアトランテ語っていうのを聞いたな。ついでにアトランテ語を理解し慣れない日本語を話す生物も持ち帰ったはずだ」
「ああ、あの子たちは今は生態調査中だ。この携帯でしかコンタクトはできないが何かわからないことがあったら聞くといい」
そう言って一つの携帯を渡してくる。
「レミーか。こっちの方が助ける必要もないし助かるな」
そう言った後部屋に入るように促す。
「後は・・・もう一度言うが俺たちは正体を知られてはならないし存在を知られてもだめだ、情報を持つ人間はなるべく少なくな」
「それは重々承知しているさ。今回は致し方ないだろう?地道に働くとむしろ余計に俺らを知る人間が増える。それなら実際に俺に会って膨大な資金援助を頼む方が効率的だ」
そういい胸ポケットからタバコとライターを取り出す。
「まぁな、だが今は昔の様に記憶の操作や消去は上の連中はやってくれない。いいな?」
「任せろ。そう言うのは慣れてる」
「なら問題ない、じゃあな」
そう言ってションは自分の部屋に戻っていった。
それからシャドーはすぐに眠りにつく。
次の日はすぐに迎えられ現在は空港で荷物検査を何とか掻い潜り、飛行機の最高級の部屋でシャドーと間淵、そしてションが座っている。
「へぇ、これが飛行機というやつか」
「飛行機なんて本当何年振りだっけかな…」
「僕は沙希にお使いで色々国を飛ぶからね~、あまり何とも思わないかなぁ」
「さて、ここからギリシャまではどのくらいだ?」
「17時間から20時間。ほぼほぼ一日かかる」
シャドーが暗記していたようでおおよその時間を答える。
「長いな、なら俺は少し寝るよ、シャ・・・後は京助に任せよう」
「分かった。ヒッチハイクがあったら流石に守ってやれないからな」
そう言い間淵とシャドーはタバコを吸い始める。
その後はシャドーと間淵は何を話すわけでも無く酒を飲みかわし泥酔して眠りアテネの空港に着く。
「さて、まずはどこからか」
「アクロポリスの丘だ」
「じゃあ観光行ってらっしゃい。僕はお仕事行ってきまーす」
そう言うとアタッシュケースを持ちタバコを咥えてどこかへ行ってしまう
「言語なら任せてくれ。とりあえずアクロポリスの丘のパルテノンだ」
「パルテノン神殿だな、入口があることを祈ろう」
「いや、入れるさ。アテネの力を探り壁の穴を見つける。」
「了解した、手分けしよう」
「いや、パルテノンの場所は知ってるからすぐ行く。手分けするなんてナンセンスだ、行くぞ」
シャドーもアタッシュケースを担いで歩き出し、数時間で目的の場所へと到着する。
「ここだ。夜中になるまでは適当に観光でもするとしよう」
そう言うと懐から一つの札を取り出し、それをバレにくそうな木の高い枝に貼り付ける。
「それは?」
「周辺の情報を絶えず俺の脳に送ってくれるルーンだ。こうでもしなければいい頃合いというものを逃すだろう
?」
「ふむ、そうか。多少の異能なら使えるんだったな、なら俺も錬金術、魔術関係の方面でサポートするとしよう」
「あぁ、頼んだ」
するといきなり透き通った白い肌に金色の髪を持つ女性からフランス語で声をかけられる。
おそらくギリシャに来たはいいが言語が通じないのだろう。
「飲食店があるのはここを降りた後右に折れて二つ目の交差点を右斜め上に進めば見えてきます」
シャドーは慣れたフランス語で応対するのだが、その女性は地理に乏しいのか理解できていないようだった。
「分かった、案内しますよ」
ションに目配せしてからその女性を飲食店がちらほら見える通りまで案内する。
すると丁寧に礼を言われ、その女性は街並みの中に消える。
「ふぅ、俺もまだ言えるもんだな」
「・・・。」
「どうせ人にあまり関わるなとか言い出すんだろ」
「いや、『人助け』なんてらしくないなと思っただけだ。気にしないでくれ」
「あ、の、なぁ。俺はこれでも一般的な奉仕の精神は持ってるつもりだぞ?親切はするべきだろうが」
シャドーは少し睨むように訴える。
「いつも戦いを楽しみ、不必要と必要を嗅ぎ分ける吸血鬼だとばかり思っていたが・・・まぁ悪い面でも良い面でも不思議な奴だなお前は」
「けっ、言ってろ」
悪態をつきションと共に適当な喫茶店に入る、二人はコーヒーを注文するが店員は頭にはてなマークと困惑の色を見せている。
「お前なぁ、ここはハワイじゃないから日本語は通じんぞ。コーヒーを二つ頼む」
シャドーは流暢なギリシャ語を扱い注文を済ませ席に着く。
「ああ、地球は言語がいくつかに分かれてたな。めんどくさい」
「細かい部族のを合わせると40ヶ国語以上ある。まぁ、俺は基本的に先進国の言語は会話に支障がない程度には扱えるから心配しないでくれ」
「それは頼もしい、エジプトでも物事のスムーズに進められそうだ。で、例の件だが」
「あぁ、そうだ。エジプトもあるんだったな。で、それだどうした」
「お前は地球の事を詳しく知っているな、なら古代文字も精通してるはずだ。何か心当たりは?」
「一度エジプトのピラミッドで墓荒らしと洒落込もうじゃないか。古代エジプトは知識の宝庫だしな」
「墓荒らしか、とても神の立場の言葉じゃないな。まぁ荒らしはしなくても探すもんは探そうかね」
「それと、妖力を極端に押し込めば吸血鬼の姿でも何とかなるとは思うんだ。翼はコートの中に押し込むからさ」
「なるほど、それなら何とかなりそうだな。だがくれぐれも念入りに抑えておけよ」
「任せろ。封印術と結界術は俺の手の物ってのはお前も知ってるだろう?俺の妖力原を広範囲封印し結界術でその中に妖力を貯蓄し、封印する」
「まぁお前の事だからな、手抜きは視野に入れていない。正直言って俺はここでは役に立たない、他は任せたぞ」
「任せろ。天界に行ったら封印は解いても大丈夫だよな。世界の壁が壊れない程度に抑えるけどさ」
「問題ない、神界はパラレルに左右されないんだ。神はお互いに自分の存在を知っているからな」
「だよな、それなら何とかなる。ん…てことはアテナやゼウスは俺の事を覚えてるのか?ボコボコにした記憶すらも…」
「いや、それはない。ここはお前のいた地球とは違う、確かに『もう一人の自分がいる』と言うのは知っているが何も情報を共有してるわけではないからな。だが神界に行ったらとりあえずお前は喋るな、お前は一般神界ではブラックリスト入りしてるんだ」
「ちっ、それならもう一回しようかと思ったんだが…やめた方が良さそうだな」
シャドーは本当に悔しそうに爪を噛む。
「これからもやめた方がいいな、これ以上汚名が続くと庇い切れなくなる」
「うぐ…ぜ、善処しよう」
少しだけ声が震えている。
「よし、なら夜まで観光っとしますかね」
「じゃあ俺ちょっと着替えるためにトイレ行ってきます」
そう言うとトイレで早種族換えと封印を終わらせて出てくる。
「ただいま」
「おかえり」
「じゃあ観光行くぞ、あてもなく散歩だが」
「いいんじゃないか」
シャドーは代金を払いあてもなく街をぶらぶらと歩く。
途中でビリヤードやダーツをションに付き合わせたりして暇をつぶしていると日はもうすっかり沈んでいて神殿付近に人はもう居なくなっていた。
「よし、行こうか」
ションを強引に路地裏に連れ込みそこからパルテノン神殿へ転移する。
「お、おい、誰かに見られたらどうする?」
「もうルーンにより人に見られる可能性は消してある。さっさと天界に行くぞ」
そう言うと妖刀を取り出し神力を混ぜ、そこから緩い所を見つけ出し妖刀で縦になぞるとそこが人一人分入れる程度の大きさに開く。
「破壊するだけじゃなく普通に開けることだって可能なんだぜ?」
シャドーはふふんと胸を張る。
「威張るな、誰でもできる」
ションは声を荒立てズカズカと中に入っていく。
「ちっ、破壊だけしか能の無い奴と思われてそうだからこうやって普通にできるって証明してんのにその扱いは無いだろ」
そう言いながら開けた穴を閉めて奥へ進む。中に入るとそこは暗い一本道で先は暗くて何も見えない閉鎖空間だった。
少し歩くと天界に出る。
「ふぅ、久しぶりの天界だな。相変わらず好めない空気だ」
「よく見ろ、ここは天界じゃないだろ。妙だな、雰囲気が変だ」
辺りから閉鎖空間独特の風の通る音が聞こえ後ろにはすでに穴は無くなっている。
「どのみち嫌な空気には変わり無さそうだが…どこだここ。空間の狭間にでも投げ出されたか」
「雰囲気は確かに狭間独特のものだ、空間の狭間っていう線は間違っちゃいないようだな。しかしなぜこんなところへ・・・」
「空間の狭間なら天界まで破っていけばいいだけだ。行くぞ」
シャドーは自分にかけていた封印を消し飛ばすと今まで溜めていた約一日分の膨大な妖力と神力と魔力が溢れ出す。
「そうだな、俺も手伝おう。だがあまり強力なのはやめろ、時空を歪める」
ションは掌に小さな太陽を生成する
「了解した」
妖刀で通常斬撃を放つと特に妖力も乗せなていないでいるのに視認出来てしまうほど強い斬撃だった。
その攻撃にションは太陽のエネルギーを乗せ壁に当たりはしたが無傷でまるで効いていない
「ちっ、だめか」
「抜け出す方法は・・・ん?」
ションはその場にしゃがみ込む。
「どうした?」
タバコを吸い始める。
「この床、道じゃない・・・なんか鱗のような・・・?」
「ちょっと歩いてみるか」
そう言うと鱗が生えてる方向とは逆の付け根側に向かって歩き始める。
数分が立った、やす目となく先に進むが何一つ見えてこない。
「・・・やっぱりおかしい、地球の狭間の環境は知れている。なのにこのような環境・・・なにか別の力が働いてるとみていいだろう」
「それなら一度力を解放して弾き飛ばせばいいんじゃないか?」
「ダメだ、お前の力だと空間へのダメージがでか過ぎる。まずはこの床について調べよう」
「調べる、ねぇ?見た所竜に似た鱗だが」
鱗を剥がそうとすると案外簡単に剥がれる。
「竜の鱗に似ているが材質は石っぽいな」
「石、ねぇ?ん、シャドーそれは何だ?」
ションがシャドーの肩に指をさす、そこには心霊写真よろしく白い手がのっかっている
「あぁ?うわ、なにこれ」
そう言って手に触ろうとする、しかし触ることはできない。
「・・・何者だ、姿を見せろ」
「ほっほっほ、客人は礼儀と言うものを知らんのかぇ?」
どこからか老人の声が聞こえる
「おっと、仲間が失礼をしたなご老人。俺は間淵 京助、天界に向かっている途中で不具合が起きたようでこの空間に入ってしまったんだ」
「ほっほっほ、これは不具合などではない。意図的な罠なのだよ」
「罠だと?」
「そうじゃ、さっきからわしの背中でうるさいわい。出方も知らんのか最近の若いのは」
「あんた何者なんだ?」
「わしはただの老人じゃよ、そんだなぁ昔言われてた異名で言うなら・・・」
老人は少し考えてゆっくりと話だす
「わしは№01、バスラーク、かの?」
「!?」
「№1!?それは本当かご老人」
シャドーはそれに驚きを隠せないでいた。
「数億年前の話じゃよ、今はもうただの老兵じゃよ」
「あ、あんた伝説上の生き物だろ。死んだって聞いたが?」
「そうだな、ある意味わしは死んでるのかもしれん」
そういうと白い手が消え前から白い半透明の老人がどこからともなく現れる。
「戦はできなくとも知識はある。偶然ではあるがこれも何かの縁だ、知恵を少々お借りしたい。強くなる知恵を…」
シャドーは何時にもまして真剣な声をしていた。
「ふむ、若いの。そう生き急ぐな、『先知るもの足元見ず』と言う。足元がお留守じゃぞ」
「こいつは今すぐにでも力が欲しいそうだ、ただのあほなんだよ」
「む?おぬしどこかで会ったことないか?」
「?、いや俺はあんたとは初対面だが?」
「いや、その目。どこかで見たことがあるぞ」
「目・・?」
「・・・!おぬしユウタ!?」
「は?いや、俺はユウタではない。彼は俺の父だ」
「何?奴は息子など持っておったのか?がっはっはっは!面白い!」
「まぁ疑似的なものだけどな」
「そうか、ふむ。奴は元気にしてるか?」
「・・・・ユウタは死んだ」
「・・・・そうか、死んだか」
「驚いていないようだが?」
「いや、うすうす気づいていた。奴を見たんだここで」
「なに!?」
「わしの下が宇宙冥界への入り口だ、そこに奴は逝った」
「・・・シャドー、どうする?」
「まぁ、目的は冥界へ行くことだ。バスラーク殿、縁があったらまた」
そう言ってバスラークから飛び降りる。
「この先は宇宙冥界、地球とは全く違うところだぞ。しかし地球の冥界とつながっている、うまくやれば行ける」
「いいさ、興味が向いた。ションも何回かユウタと言う奴を口に出していたからな。見舞いに行くのも悪くないだろう」
「そうか、ありがとう」
「あ?気持ち悪い奴だな。興味があるから行くだけだ」
悪態をつきタバコを吸う
二人は大蛇の背を降り暗黒の世界に落ちていく。
足が地に着いたと思うとそこは深淵に包まれた空間が延々と続いている。
「おぉ、ここに似た所俺知ってるぞ」
懐かしいとばかりに辺りを見回すが少しして首を傾げる。
「なんか俺の知ってるのと少しだけ違うな」
そう言って顎を撫でる。
「ここは地球や他の冥界の更に深い場所に位置する場所だ、知らなくて当然だな」
「ここにユウタとか言う奴が居るのか。さっさと見つけよう」
「そうだな、見た目は・・・あの人は自由気ままだからなぁ、とりあえずそれっぽい人が居たら俺に教えてくれ」
「う、う~ん…まぁ、いいか」
タバコを地面にこすりつけて辺りを見渡しながら歩く。
辺りはいかにも闇っぽい魔物や神、妖怪などがおりその中には地球で見たような魔物もいる。
「ふむふむ…あ、そうだ。俺こっちでも百鬼夜行作ろうかな。スカウトスカウト」
シャドーは辺りの妖怪たちに声をかける。
「おい、シャドーやめとけ。ここでそんなことやったって無視されるだけだぞ」
「くそ、いつかこっちでも百鬼夜行を作って妖王になってやる」
親指の爪を噛んで何かぶつくさ言いながら深い所に進む。
「うーん、ここだとユウタさんの力が感知できないんだよなぁ。あの人体乗り換えるし」
「あ~、なんかあそこで魔神とやりあってる奴いるんだけど」
苦笑いしてタバコを咥える。
そこにはとてつもない威圧の魔神と互角に殴り合い喧嘩をしている人間がいた
「あー、あれだ、あのキモイの絶対ユウタさんだ。てかなんでアシリアルスさんと戦ってるんだよ。あれ創造神だぞ」
「行ってくる」
シャドーはただそう言うと二十固め、拾伍之鐳月を解放し二人を殴り飛ばす。
魔神の方は吹っ飛びもせずシャドーを気にも留めていないが、ユウタの方は吹っ飛び壁にめり込む。
「おいユウタ、情けないぞ」
「いってー!誰だよお前!」
服はボロボロだが平然としたユウタが壁の中から出てくる。
「俺は幻想郷の妖王、シャドーエッジ・スカーレットだ。副職で魔界神もやっている。そんであんたらは何でそんな喧嘩してるんだよ」
「幻想郷?・・・幻想郷にそんな奴知らんなぁ」
「こいつは別宇宙の妖王ですよユウタさん」
「んあ、把握、てかションじゃねーか!お久しぶり!」
「あーはいはい、あんた死んでたんじゃねーのか」
「これ死体だよ、こいつが俺のプリン食ったから腹立って殺しに来たんだよ」
「子供みたいな奴だな…じゃあ二つプリンをあげればいい?」
手に二つのプリンを創り出す。
「おお、わかってるじゃねーか新米、ユウタよりは礼儀あるようだな」
「んだと?こんな新米と一緒にすんじゃねーよこら」
「ああ!?こいつの方が雰囲気お前より強そうじゃねーか」
「お前、随分と俺に向かってでかい口叩くじゃないか。いいぜこのプリンは没収だ」
そう言ってシャドーは手元にあったプリンを握りつぶして創刀とモールキャッセを取り出す、しかし二人は口けんかに夢中で気づいていない。
「確かに雰囲気は強そうだがそれ用はただのメッキやろうじゃねーか!一緒にすんな!」
「あん?見ろこいつ、いい目してるじゃねーか。死地を見てきた目だ、お前なんかより千倍役に立ちそうだ」
「ざけんな!魔神より俺の方がつえーわ!しかも魔王じゃねーか!けっ」
「ユウタさんこいつ意外とやりますよ?」
瞬間、シャドーが空気になっていた。
「死んだけど?」
「あ、ユウタさんやりすぎ」
「可哀想な新米だ、南無三」
「ユウタさんまじでやめて、シャドーはまだ何も知らないんだよ。高校生だし」
「そうなの?なんか雰囲気は結構強そうだったからそのうち生き返るだろ」
「無理です、こいつまだ別世界の概念は言った状態なので」
「えー、そうなの?それは可哀想なことをした」
そういうといつの間にかシャドーはションの横にいた。
「大丈夫か、シャドー?」
「…?ごめん、なんか良く分からないんだけど何かあったの?」
「一回殺されたんだよ、ユウタさんに」
「すまんすまん、別次元の人間だとは知らなかった。まじごめん」
「死んだのか!?それはありがたい!!ありがとう」
そう言うと少し離れてからゆっくり力を上げ始めるが少し時間が経つと規格外の力を超え始める。
「ほうーこいつ素質あるな、弟子に欲しいくらいだ」
「弟子はごめんだが知識は教えてもらいたい」
「おいおいやめとけ、こいつより俺にしとけ。いくらでも教えてやるぞ」
「こんな糞プリンアリンコなんかほっとけ、俺の方が絶対いいぞ」
「あ?」
「は?」
二人が睨み合うと空間に亀裂が入る、それは鏡が割れそこに映る様に見える。
「お、俺こんな風になりたいとか憧れ持ったの久しぶりかもしれない…」
その場にしゃがみタバコを吸っている。
「やめとけ、これはこの宇宙の中でも異例中の異例だから。おかしいから」
「いや、なるわ。絶対こういう風になる」
シャドーは珍しくふんすと鼻息を荒くしている。
「・・・これになるとか無理じゃね?」
目の前では空間を裂きながら体が吹き飛んでは気づいたら再生しており少し目の離すと空間が無くなり歪んでブラックホールが自然生成し、それらが何故か砕けなくなるという超常現象が起きておりそれらの中で叫びと笑いが並行し光より早い「何か」がぶつかっているというよくわからないことが起きていた。
「楽しそうじゃないか…俺も混ざりたいが混ざったら死ぬ…」
シャドーは舌打ちをして壁を殴る。
「ん?あー大丈夫だぞ、死ぬより速く逝けるから。楽だぞ?」
「そう言う問題じゃないの」
そして二人は気づいたら砂漠に座っていた、しかし刹那に氷河へと変わる。
「・・・え?あ、あれ、どこだここ」
「…うっぷ、力無理やり溜めすぎたか…?」
徐々にシャドーの妖力の流れが不安定になっていく。
「ぐ…このままじゃまずい…ション、離れろ…!!」
こみ上げるシャドーの妖力に大気全体が震え始め、冥界に充満する負の力が渦巻いてシャドーに流れる。
「・・・!!」
ションはすぐにワープホールを展開し距離を取る。
「クルルル…」
シャドーは事切れたように理性を吹き飛ばしてションに持っていた創刀で斬りかかる。
「げっ!」
ションはそれの持っていたマントでかろうじて回避するがマントは跡形もなく消える、同時にシャドーは氷河を貫けて地中に突っ込んで行った。
「おい、妖王。お前にひよっこか?まだ制御もできてないのか?」
「ふん、新米のいい末路だ。求めすぎた結果があれだ、昔のお前を見てるようだ」
「・・・そうだな、まるで昔の俺を見てるようだ」
シャドーは指にはめていた指輪を大切そうに紐に通し首から提げてから妖刀とモールキャッセを取り出して柄頭を打ち付けて真っ黒の浮かぶ大剣が現れる。
「力を…!!」
ユウタに目掛けて浮遊する魔剣を巧みに操りながら創刀で地面から斬りあげる。
ユウタはそれを片手で止め、圧し折るとそれの破片を大剣に錬成しシャドーを切るとその刀がまた形状が変化しドリルになるとシャドーの体をドリルごと光速回転させ再び地面にめり込ませる。
「痛みは生への結びつき…俺は生者などにはなってはいけない。俺は守護者でしかない」
ただ一言つぶやくとさらに速度が上がり攻撃には殺気と鋭さが増す、さらに創刀を投げ飛ばすとそれにエネルギーの紐を括り付け亜光速で振り回し続ける。
「・・・なんだこいつ、ほんとに学生か?」
「暴走してるとはいえ、ここまでなると化け物だな」
「なうbdんか?????」
そのまま遠心力を破壊力に変え創刀を叩き落す、それは地面に着く前に原子が消滅し周りが何もかもなくなり真空になる、同時に「何か」が斬撃を放ち銀河を一刀両断する。
「うお!?何やってんだこいつ!!」
「ここまでか・・・!!」
その頃ションはエネルギーを防御をするだけで自身のエネルギー全て使い果たし宇宙空間に浮いていた。
「おい、大丈夫かション」
「かはっ・・・!!!!っ!ぐふっ」
ションは吐血し息をするのがやっとの様だ。
「休んどけ、あれはこっちで対処する」
ユウタはそういうとシャドーの前に移動するがシャドーは移動してきたユウタにクリティカルな蹴りを入れると能力を使って神を創りそれを幻にし存在を全ての概念から消す、さらにそれに神族と魔族、巨人族、人間を混合し悪魔を操る力で使役するとベクトルを変換しそれを「何か」と共に光速でユウタにゼロ距離で叩き込む。
更にそうしてるシャドーを横目にもう一人創ったシャドーがアシリアルスの背中を掴むと投げようとするがそれは残像でありもう一人のシャドーは刹那のうちに半身が無くなっており気づいたら首もなくなっていた。
「ふん、所詮は意思のない幻影だ」
アシリアルスはそう言って腕を組み目を瞑る。
その頃ユウタはゼロ距離で喰らった「何か」を創神器でガードしていたがそれが折れ吹き飛ぶ。
「ちっ!ここまでかよ!」
その声が聞こえた時はシャドーとユウタの間には超倍重力ブラックホールが生成されており二人の次元を歪めていた。
「bどぅあヴぃdywヴぁj???????????」
シャドーは何かを言うとそのブラックホールをただの妖刀で「空間の概念」を切り離しブラックホールが空気の様に消えていく。
「は??ありかよ」
「とんでもないな、この辺の銀河はもう未来はないな」
「ご愁傷様」
そう言っている間にシャドーは近くの数千の銀河を消し創り直し「銀河刀」を創る、さらにそれを割り「超ビック・バン」を放つ。
「いっ!!??」
ユウタはそれを「無かったこと」にしようとしたが処理が追い付かず木っ端みじんにする、アシリアルスも同じように「すべてを喰らう」様にしたが喰らいきれず同じく木っ端みじんにする。
「bwだうyvbwやvdwやうあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シャドーは更に宇宙を自分の中にうつすと更にその中にある生命から「欲」を全て見て取り込み自然を操り原子から「何か」の化け物を創りそれを自分が「今」創った月だけの銀河の番人にしそれらから無尽蔵にエネルギーを供給し続ける、さらに宇宙から「憎しみと悔しさを自身で培養し」さらに力量を上げる。
そうしてる間にユウタとアシリアルスは原子核を自身の原子核に変換し増やして体を創り復活していた。
「あーこいつまじでやりやがったわ」
「宇宙生成し創造神気取りか?青いな」
その言葉を置くようにアシリアルスは一光年先にふっ飛ばした。
「うおい!?マジかよ!?」
「bdwぎゃvdwじゃcvdjwやヴぃdywヴぁjwだglrjんgml;d;」
「聴き取れねーよ!!!」
ユウタはそのまま「宇宙の融合と再生と破壊を可能」にし、月を消そうとしたがその「理論」を「消し」。月は無傷で残る。
「はい!?」
「dbぬkhbjgv!!??」
シャドーは何か言いながら疑似創刀を数千本創りそれを魔剣の様に光速で操りユウタを翻弄する、しかしユウタは折られた創神器ともう一本持っていた創神器でそれらを切り払う。
同時にシャドーはユウタの後ろを取ると詠唱しだす。
bsだwj【vdwがjvdwじゃcdwつあcじゃtjl】
シャドーの周りが水素で埋め尽くされその場に水だけの「星」が出来上がる、生命を創り、奪い、更に原子を創りだした「祖なる原子」はこの世の理論、概念、原子を根絶する。
「え、これまじ?ちょっ!!待っ!?」
シャドーは周りにある自分が創った「月の銀河」もろとも圧縮し更にエネルギーを倍増させる。
「bどぅあkvbdくぁ!」
「畜生!やってやる!こんな理不尽な破壊は流石に許せねーぞ!!!」
自分の持てる限りの「全てを可能」にし、目の前に零次元への入り口を創り更にカウンター用にそれらを吐き出すホワイトホールを創り態勢を整える。
宇宙が揺れる、「全て」が悲鳴と困惑に落ちる、それを救う光とそれを奪う闇、二つの「非」がぶつかる時世界を終焉を迎える。
「dwばうkbどぅか!!」
シャドーは残っている「異能」「エネルギー」を全て「星」に注ぐ。
「おいおい!!まだそんなに残ってるのかよ!!!」
ユウタも自身に残っている「全て」を注ぎこの一撃に「掛ける」。
そして全てがピークに達すると宇宙がまばゆい光に包まれる、その瞬間世界から「影」と「闇」、「黒」が消えた。
そしてその一瞬が過ぎユウタとシャドーの辺りは「光」が失われていた。
「・・・・うわぁ、まじかよ。まじでこの辺リセットしちまった」
「あ・・・・あ・・・」
「おっと!!!」
ユウタはエネルギーを使い果たしていたが何とかシャドーの腹に触れると自身の命と引き換えに「その力」を封印する。
「た、助かった。済まない」
シャドーは何があったのか全てを把握し切れてない様子だった。
「・・・・そうか、なら、よかった・・・」
ユウタは白く光り透けていく。
「…活動限界か」
胸ポケットからタバコを咥え震えた手で何とか火をつける。
「まぁな、ションたちが起きたら謝っとけよ、それと、その封印、もう解くな、また宇宙がリセットされるから」
「あれは良くない。まさか嫁の事を忘れるまで自我が崩壊するとは…」
シャドーは片手で顔を覆う。
「言葉まで失ってたしな、完全に『概念の外』の奴らになってたよ全く」
「やはり16からはまだ早かったか…器が持たない。やはりこんな粗悪な体では何もできないか。体も用意しなければ」
「・・・それ以外にも色々問題があるがな、てか時間だ。俺はいったんここまでだ、また何かあったら呼べよな」
「あぁ、済まない。…俺、どうしよう」
その場にへたれこむ。
「おい、馬鹿王、何やってんだ?」
後ろからアシリアルスに話しかけられる。
「いや、うん。これをどう贖罪しようかと」
「・・・いやぁこの辺すっきりしたなぁ」
「絶対あの悪魔が俺の元に…俺、次こそ死ぬんだよ…」
「悪魔??・・・あぁあの女か、ご愁傷様だな」
そういいながらそこら辺の宇宙をゆっくりと戻しだす。
「俺、また暴走して次こそ全てを消し飛ばせば…」
「なんだ?暴走して宇宙をすべて破壊するつもりか?」
「あー…怒られたくないがためにそこまでやりたくはないかなぁ。嫁もいるし」
シャドーはぐぬぬと爪を噛む。
「ふん、あの女は危険すぎるからな。まぁ安心しろ、奴は気に入ったおもちゃは大事にするやつだ、死にはしない」
「おもっ、おもちゃ…」
シャドーは額に青筋を浮かべている。
「まぁお前が気に入られてるかは知らないがな」
アシリアルスはそう言うとシャドーと自分を元の冥界へと転送する。
「…とりあえず元の冥界にはこれたが、うぅん。絶対ただじゃ済まないよなぁ」
そう言いながらタルタロスの神力を探る。
すると近くにタルタロスと思われる力を感じた。
「…また入るのか」
タルタロスの力を一番感じる奴に話しかける。
「・・・。」
こちらには気づいているが言葉を発しない。
「おい、中にいれろ」
「・・・。」
しかしタルタロスは一切動かずただシャドーを見てくる。
「おい、早くしろ」
「無駄だ、タルタロスは言葉は話さない。通用するのは物だけだ」
アシリアルスが後ろから話しかけてきた。
「殴ればいいのか?」
「お前はバカか?物だといったんだ、誰が殴れといった」
アシリアルスは少し苦い顔をして言う。
「いや、だから木の棒とかで殴れば当たるし」
「・・・。物々交換の事だ、何をおかしなことを言ってるんだお前は」
「なら金か?」
尻側のポケットから財布を取り出す。
「金か・・・違うな、金と言うよりは宝石だな。しかも極めて高質なやつがな」
「どうせダイアじゃダメなんだろ?...う~ん、何かあったっけか?」
タバコを吸う。
「・・・お前が暴れなけりゃユウタやションに聞けたのにな、俺はこいつの対処法を知らないし」
「そうだ、この際もう創刀で叩っ斬るというのは?」
手をポンと打つ。
「頭沸いたか?耳にナマズでも入れてるのか?さっきの戦闘でついに思考回路が停止したか?」
「いや、正直めんどくさいから…」
「それでもションの生徒かよ、わからなければ周りに聞けって言われなかったのか?」
「特に。そもそも頼れるほどの奴が少ないもんでね」
「この冥界の周りに聞け」
「気が進まんが…仕方ない」
そう言って周りの奴に声をかける。
「何だ?」
「あの
そう言って親指で後ろのタルタロスを指差す。
「タルタロスか?なんであんな奴と仲良くなりたいんだ?」
「あの木偶の中の巨人共に用がある」
「巨人?あーティタン神族に用があるのか?なら俺が話を通してやるよ」
そう言って大男はタルタロスの前に行き耳元で何かを呟く、するとタルタロスは素直に入口を開けてくれた。
「ほれ、通れ坊主」
「ぼ、坊主!?俺は列記とした成人だぞ。それより、あんたの名前を教えてくれよ」
「俺か?俺はハデスだ、おっと、地球の奴と一緒にするな?俺は高貴な存在だ、あんなのと一緒にされちゃ困る」
「あれか、オリンポスの…だっけか?」
「だーかーらー地球のハデスと一緒にするなって言ってるんだよ、俺は『アルレゲン』の唯一神様だぞ。本来お前のような奴がお話しできるようなもんじゃないんだ、わかったか坊主」
「…山田さんがいっぱいいるみたいな名前の被り?」
「あれだ、地球の奴いるだろ?俺はクロノスと知り合いでな、奴が自分の息子に名前を付けるときに俺の名を取ったんだろ」
「ただの被りなのか…まぁ、いいや。ありがとう」
そう言ってタルタロスの中に入る、中は真っ暗で光源に少しだけマグマがあるくらいだ。
「ふぅむ、俺が知ってる所とは少々違うようだが…あの馬鹿どもは何処だ」
シャドーは妖刀を抜き肩に峰をあてがいそこらをうろつく。
「・・・なんだお前、ここにどうやって来た?」
黒いキトンを着て、みすぼらしくところどころを怪我した男が横の牢の中から話しかけてきた。
「ハデスに頼んで入れてもらった。俺はティタン族に用があるんだ、要件を飲んでもらうぞ。拒否した奴には間も
なく斬首の刑だ」
「ふん、お前のような小僧が大口を敲けるような世界に外はなっているのか?落ちたものだな、だから言ったのだ「ゼウスではこの世界は統治できない」と」
男が悔しそうに声を荒げて言う。
「俺に対しての罵倒はどうでもいい。問いたいことがある」
「・・・なんだ」
「錬創術について聞かせてもらいたい」
「錬創術だと?・・・・そういえば昔「宇宙から来た神だ」とかほざいてたやつがそんなこと言ってたな」
「多分それだ。書物か何か残ってないだろうか?」
「・・・・そうだな、この奈落のどこかにそいつの研究部屋があると聞いたことがある」
「それで十分だ。ありがとう」
そう言いシャドーは黒い霧となり散布する。
「・・・・霧か、面白い体をしているな」
「母が異常なんでね」
そう言いほとんどをタルタロスの中めいっぱいに探索させる、タルタロスの中は広大で研究室らしき部屋が多数あり目的の部屋を見分けることが困難の様だ。
「随分とたくさんあるな…何か目星になりそうな物とか分からないか?」
「・・・錬金術とやらが似たことをしていると聞いた、その錬金術に似た機材がある部屋を探せばいいんじゃないか?」
「じゃあ炉か…」
霧の方の自分の視界から炉や蒸留器を探す、するとそれっぽいものが配置された部屋がいくつか固まっていた。
実体化して一番大きな研究所に入る、そこには書物や何かの実験の器材に骨や腐った肉などが散乱しさっきまで使っていたかのような新しさがある。
「腐肉なんざ置きっぱにしてんじゃねぇよ…くせぇな」
たばこを吸い辺りを見回す。
「・・・なんだおまえ」
声のする方を向くと10歳位の少女がこちらを見ていた。
「あーすまない、錬創術を求める錬金術師だ」
「れんきんじゅつし?あー・・・にんげんがれんそうじゅつをまねしてつくったあれね、そのれんきんじゅつしさんがここになんのよう?」
「だから言ったろ。錬創術求めて空き巣中だ」
「そう、でもここにはないよ。他をあたりな」
「人に言われて動くほど純真無垢な奴じゃないんだ」
シャドーは煙を吐きだして細かく探索する。
「ま、好きにすればいいよ」
「う~む…ここに何かあるはずなんだが」
黒い霧を幾つか飛ばし別の場所も探索をする。
するととても奥の小さい小屋に歪な形をした石造りの炉が見える。
シャドーは子供の姿を作れるくらいに霧をそっちに集め実体化する
そして炉をシャドーの素体の隣に置いてシャドーに戻る。
「そうだ、お前は何者だ。タルタロスの中にいるのは理解できない」
「ただのじゅうにんだよ、それいじょうでもそれいかでもないよ」
「タルタロスは断罪の地だ。住人はあり得ない」
「そうかな?ありえないなんてありえないってこのまえだれかがいってたよ?」
「知らん。それは阿呆の戯言だ」
「れんそうじゅつをさがしているあなたがそんなこともしんじられないなんてあきれるわね」
「説明がめんどくさいんだよ。さっきのお前の問いは追求しきれないんだから」
溜め息をついて椅子を作りそれに座る。
「それが錬創術の真骨頂だよ、「理解できないからできない」じゃなくて「理解できないからできる」んだよ
「理解できないからできる、というのは喰えんな。それは断言も出来ず肯定もできないとても曖昧な物として捉えるのが正確だと思う」
「ふーん、あなたはこういうはなしはどこかでしたことがあったのかな?ま、いいけど。それで?これからどうするの?」
「そうだなぁ、どうするかなぁ...連れはさっき行動不可能にしちまったし...俺だけの知識じゃどうしようもない」
椅子に深く座り「ふぅむ...」と考えあぐねている。
「そのつれ、どこにいるの?」
「冥界にいる。冥界で喧嘩してそいつが倒れたんだ」
「ここにつれてきて」
「仕方ねぇ、やるか」
そう言って目が変化してから花の入った花瓶を置きションと入れ替える。
「・・・・。」
「これ?いきてんの?」
「知らん。意識吹っ飛ぶくらい暴走したから...うん、生きてないかも」
すると少女はションを軽々持ち上げ炉に投げ入れる。
「...火葬?」
タバコを地面に押し付け火を消してから新しい物を吸う。
「つくりかえただけ」
するとションが無傷で炉から出てくる。
「・・・、?」
ションは何が起きたのかわからないと言いたそうにシャドーを見る。
「おかえり。この子が治した。あ、そうだ。名前聞いても?」
「なまえ?なにそれ」
「錬創術など物事を指名するための固有名称だ」
「ふーん、それでもわたしにはそんなこゆうめいしもないけどね」
「不便だな。名前、付けるか?」
「つけてもいいけど、かわいくないといやだ」
「ニアンとかは?」
「・・・・やだ」
「アルキミア」
「やだ」
「クロエとかは?」
「だが断る」
「レティシア」
「・・・・ま、さっきよりはましかな」
「ガキの名前決めるときはこんな苦労しなかったんだがなぁ...女の考えってのはどうしてこうも複雑なんだぁ...」
頭を掻く。
「レティでいいよ」
「じゃあよろしく。それともう一つ、生活がある程度保証される場所があるんだがそこに住んでもらいたい」
「だが断る」
「だよなぁ、じゃあいいや。とりあえずここに転移の魔法陣書かせて」
「俺は反対だ、こいつは引きずってでも学園に連れて帰る」
「お前の意見は聞いていない。交渉とはあくまで相手を優位に立たせるのが定石だ。下手に手を打つんじゃない」
「知らん」
ションはそう言うと少女の足元にワープホールを開き少女を吸い込んで閉じる、同時にションは倒れて意識を失う。
「...いいだろう。あいつ、本当に殺してやる」
折れた創刀を引きぬき空間を切り裂き無理やりワープホールを開かせて中に入る、すると案外近くにレティは居た。
「べつにむかえにこなくてもいいのに」
「俺の交渉相手を勝手に連れ去ったんだ。仕置きが必要だ」
タバコを地面に落とし足で踏みつぶす。
「まぁそういってやるなよ、おれのせいでああなってたんだから」
「...とりあえず、先程のでお前が特異な術を使えることが分かったが、あれが錬創術なのか?」
「ちょっとちがうかな、わたしのそんざいそのものがとくしゅだから、それでまわりがえいきょううけてるだけだよ」
「影響を受けるからと言ってもさっきのは自我が働いていただろ」
「俺のこの「体質」はすぐに発症しないってことだ、あと特異質的な奴とかに聞かないとかな。それと私は二重人格でもなければいつもこどもっぽいことをはなしているわけでもないよ、これでもまた「体質」なだけ」
「随分とめんどくさいんだな。で、お前は錬創術には精通してるのか?」
「さあね、僕と私、俺のあたしはなにもしらないよ。知っているのはヘスティア様だけ」
「ヘスティア...ね。とりあえずさっきの所に戻ろう」
「いいよ」
少女は空間に穴をあけ外に出る。
「さて、じゃあ俺は帰るかな。すまんね、いきなり押しかけてきて」
「別にいいよ」
タルタロスから出てからあることに気づく。
「あ、帰りどうしよ」
「あの男使えばいいんじゃない?」
「仕方ない。使うか」
シャドーはションの胸倉を掴み頬をはたく。
「う、うぅ・・・」
「起きろ、とりあえずもどるぞ」
「な、なんだそいつ」
ションは少女を指さす。
「良く分からない幼女。とりあえず凄い人らしい」
「へぇ」
「とりあえず帰ろう。疲れた」
タバコを咥える。
「錬創術はいいのか?」
「諦めたように思われるかもしれんが俺には早すぎる。もっと強くなってから来るとするさ。それに今は自身を鍛えたい」
「まぁいい判断ではあるな、一時的な退きもまた必要なことだ」
「じゃあ、帰ろう。案内頼む」
「いや、ここからならぶち抜ける」
ションはそういって空間に穴をあける。
「あんた・・・錬創術使えるんだ?」
「少しだけな、まだ知識程度だが」
「ふーん」
「じゃあ、機会があればまた来る」
タバコを携帯灰皿の中にいれて穴の中に入る。
「暇だし付いてく」
「なんだ、子供の世話は御免だぞ」
「あんたみたいなガキに世話されるほど落ちちゃいないよ」
「クソババアか」
「ぶっ殺すよ?」
「なぜだろうな、お前に殺意がわく」
「私も」
「はぁ…ならこいつの面倒は俺が見る。それでいいだろ」
穴の中から顔を出して呆れたように言う、三人は穴を進み外へ出るとそこは学園だった。
「ガキにしてはやるね」
「そりゃどうも」
ションはそう言うと無言でシャドーに手紙を渡しどこかへ行ってしまった。
「あいつ絶対子供できてもまともに接してやれ無さそう」
受け取った手紙に目を移す、手紙には『これから夏休みに入る、お前の所のチームメイト集めて遊んでろ』
「…じゃあ小隊メンバーとか集めて実家に戻るか。レティ、少し動くぞ」
オウネの所に出向く。
「なんだ、シャドー」
「この前預けた女と黒い奴と№をそろそろ返していただきたい。小隊メンバーで地球の幻想郷で合宿をしようと思うんだ」
「ああ夏休みか、対して授業出来なかったな」
「まぁ、俺は色々あったし。それに俺は授業をする側になって学ぶこともあったしな、俺としては満足のいく生活だったさ」
「そうか、夏休みは10日だ。せいぜい楽しめ」
「わかった。あいつらは何処にいるんだ?」
「学園だ、あの子たちもそっちに送っといた」
「ありがと、じゃあまたな」
軽く手を振ってから学園に行く。
「お、シャドー君。久しぶりだね」
「おう!!!!なんだこの子たちは!!!!!!!!知り合いか!!!!!!!!!!???」
「あ、シャドーさん」
「おうシャドー様、お帰りなさいませ」
「シャドー君、お久しぶり」
「キチガイは帰れ。あとは…ヴァレイドでも連れてくか。お前ら、暇ならこの夏休み使って合宿するぞ」
「合宿ねぇ、どこいくの?」
「俺の家。つまり地球の幻想郷」
「へぇ、友人の家に行くのも悪くないかな」
「おおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
「た、楽しそうだね」
「でかい温泉もあるし旅館が実家だから部屋とかは気にするな。あ、そうだオウネ先生も連れて行こう。そうすればお前らが幻想郷の結界を壊すこともない」
皆を引き連れオウネの元へ再び戻る。
「な、なんだお前たち」
「いや、こいつらがうちに来ると結界が壊れそうだから引率としてついてきてもらおうかと」
「それくらいお前でやれ、と言いたいところだがお前たちにはまだ結界の貼り方も教えてないしな。私も休暇を取りたいし行ってやらんこともないぞ」
「おぉそれは助かる。美味い飯も用意してやれるし少しの間だけでも寛いでくれ」
「ならさっさと支度しろ」
「荷物はこのコートの中にあるしもう行ける。ヴァレイドは連れて行こうと思ったが自己鍛錬だな」
「連れて行けばいいじゃないか、どうせあいつらも夏休みだろ」
「ここの校舎のデカさ考えると動くのめんどくさいんだよ」
「なら私が呼んでやる」
オウネはそういって掌にあらかじめ書かれた陣を上に向ける、そうすると上にワープホールが開き中からヴァレイドが降ってきた。
「おぉ、助かった。ヴァレイド、これから俺の実家で強化合宿だ。お前も来い」
「ええ!?今からですか!?」
「あぁ、今日から夏休みだからな」
「えぇ~・・・まぁシャドーさんが行くっていうなら行きたいですけどまだ準備できてないですよ」
「何か必要なのあるのか?」
「まぁ色々と、ですね」
「じゃあ俺らは校門の前で待ってるから出来たら来い」
「OKです」
ヴァレイドはそういうと走って部屋を飛び出していった。
「じゃあ俺らは先に校門を出よう」
シャドーは少し早めに歩く。
「そうだな、ついでにあいつらも連れてってやるか」
「随分大勢でけしかけるみたいだしキャンピングカー使うか…」
「きゃんぴんぐかー?」
「クソでっかい車だ。地球からの移動手段にでも使おうかと」
「めんどくさいな、転送陣でいけばいいだろう」
「ロマンの無い奴め…」
などと話しているとすぐに校門を出る。
「さて、そろそr」
「はーい!きれいなお嬢さん!!僕とお風呂なんてどうですか!?」
振り返るとアドバンスがルネに言い寄っていた。
「我が小隊の風紀を乱すのは許さんぞ」
シャドーが素早く妖刀で首を貫く。
「いやだなぁ俺は風紀なんて乱してねーぞ」
しかし一切気にせず話せを続ける。
「やめろシャドー、そいつはそれくらいでは死なん」
オウネはそういうとアドバンスを大きな瓶に詰める。
「げっ!!」
「燃えつけろ!」
瞬間瓶の中が燃え、アドバンスの悲鳴が聞こえる。
「これでしばらくは出てこれまい」
「難儀だな」
そういって瓶の後ろからションが出てきた。
「ション、あいつは連れてくるなと言っておいたが?」
「俺だって連れてくるつもりはなかったさ、話してすらいないしね。どうせシャドーたちと話してるのを盗み聞ぎしたんだろう」
「ちっ、やられたな」
「汐音とヴラディミールは…来たな。じゃあ早速行こうか。オウネ先生は結界の準備を頼む」
そう言って素早く転移の魔法陣を展開する。
「わかった」
そういって目の前に転送陣を展開する、そして学園から幻想郷までを一気に転送する。
「ここが地球か」
オウネは不思議なものを見るようにあたりを見渡す。
「景色を楽しみたいのなら車で、さっさと家に行きたいのなら転移する。選んでくれ」
タバコを咥える。
「少し興味があるな」
「行こうよ洸天君!」
「ま、そうだね」
「うおおお!!楽しみだぞおおお!!」
「ならまってくれ」
巨大な魔法陣からキャンピングカーが出てくる。
「さぁ、行くぞ」
車に乗り込むと人間の姿に変わり冷蔵庫からコーラとビールを取り出して運転席に座る。
「シャドーくん、飲酒運転は犯罪です」
汐音が真面目に指摘するがシャドーは知らんぷりをする。
すると車の中から携帯の着信音が鳴る。
しかしシャドーは酒を飲みながら運転して気が付いていない。
「おいシャドー電話来てるぞ」
「はいはいはーい!俺が出るぜ!」
アドバンスはそういって電話を手に転送し出る。
「やめろ、仕事の電話だ」
シャドーは汐音に無理やり運転させ立ち上がる。
「もしもしお嬢さん、あなたのパンツの色h・・・」
「死ねっ!」
喋っている途中にシャドーにふっ飛ばされる。
「もしもし、俺だ」
「えっと…さっき変な声したけど…?」
「気にするな、阿呆が戯言を吐いただけだ」
「そっか、あのね最近うちのファミリーの資金が枯渇気味なんだけど…」
「知らん、俺はもう側近をやめている。それくらいは頭を働かせろ」
そう言うと無造作に通話を切り運転に戻る。
「なんだ、仕事の電話じゃなかったのか?」
「仕事だ。ギャング間で金が足りないから貸せと言われてな。俺のファミリーに金がないという訳じゃないんだが…こういう時の対処法こそ実践で学んでほしいんだ」
吸い殻を灰皿に押し付け車を走らせる。
それから高速道路を数時間走り続けてやっとのことで札幌の
「京助坊ちゃんお帰りなさいませ!」
厳つい男が門前で頭を下げてから中に入り、シャドーの帰りを知らせるとずらっとムサい男や女中が並び頭を下げる。
「あぁ、ただいま。友人を連れて来たから10ほど部屋を開けておいてくれ」
「へい、承知しました!」
そう言うとまた中に走っていく。
「王様だな」
「流石シャドーさん!!」
「シャドー君のその顎で使う性格もなんとなくわかった気がするよ」
「…昔はこれが嫌で東京に出たんだが、東京ではギャングになっちまうし。血は争えないんだな」
タバコを咥え中に入り、各部屋に通される。
シャドーはすぐに浴衣に着替えると、灰皿を占領する。
「おい、シャドー、あのメイドにチくるぞ」
「知らん。休日は俺の時間だ」
シャドーが寛いでいると不意に襖が開く。
「父さん、僕と戦ってくれ」
シャドーの息子のヴロボロスが息を切らせていた。
「なんだそいつ」
「俺と汐音の息子。こっち来てたのか、次は山壊さないように気をつけろよ」
シャドーは吸血鬼の力を抑えながら人間の姿で外に出る。
「わかった。とりあえずどっちかが戦闘不能になるまででいいよね」
ヴロボロスが上着を脱ぎ捨て一発目の拳を打ち付け、それを合図にシャドーは首をへし折り、腕をもぎ取る。
「最初からえげつないなぁ…」
それを素早く再生してからシャドーの肉がめくれるレベルの連打を叩き込むがそれも全て再生され、次の瞬間にはヴロボロスは旅館の裏にある山まで吹き飛ばされていた。
「それくらいじゃないとお前怒るじゃないか。それに人間の姿でここまでやると皮膚が破けそうで痛いんだからな」
ヴロボロスはその衝撃を山に着地するまでの間に吸収してシャドーに突進する。
それを横に流そうと構えたシャドーの左脇に転移したヴロボロスは、体を回し遠心力を加えた肘打ちを肋骨に叩き込む。
「あ~あ…もう、始まっちゃったよ」
汐音が目頭をつまみ溜め息を吐いている。
「こうなるともう手が付けられないからねえ」
グレイが頭を掻いて出てくる。
「こいつの一族もその妻もおかしな奴が多いな、まぁさほど驚きはしないが」
「人間の方のお父さんとお母さんはまともな人なんだけどねぇ。あ、兄さんがいつもお世話になってるね。どうもありがとう」
グレイは気さくに笑みを浮かべる。
「まぁあいつよりは常識はありそうだな」
「まぁ、これからもよろしく頼むよ」
酒を一口呷ってどこかに消える。
「おいシャドー、少し話があるんだがいいか?」
「なら少し待ってくれ。こいつ〆る」
すると少し本気を出したのか薄い紫色の癪気を放ち始めて、重いラリアットをヴロボロスの首に叩き込んだ後に続けてボディブローをする。
ヴロボロスはただ口から血を吐くだけで何もできずにいた。
それを機と見たシャドーは右の拳に妖力を溜め、拳骨をするとヴロボロスは地面に叩きつけられて気絶している。
「手荒いな」
「なに、稽古でもないただの喧嘩だ。そう時間をかける必要もない」
そう言ってタバコを吸い始める。
「喧嘩ねぇ・・・?」
ションはヴロボロスを見て気絶状態を維持したまま全身を完璧に回復させる。
「別にそのままでよかったのに。で、何の用だ」
「探してほしい人物がいる、この地球にいるかわからないが」
「断る。今はあくまで合宿に来ているんだ。他の奴らを強化せねば意味がないだろ」
シャドーは人間の姿になる。
「そうか、まぁ気が向いたら話しかけてくれ」
「分かった。ルネを呼んできてくれ、あいつから鍛える」
シャドーは長い髪を束ね、ションは頷きながら屋敷の方へ消えて、少ししてから扉からルネが顔を出す。
「な、なにかなシャドー君」
「修行だ。戦闘の仕方を教えてやる」
鍛錬用の木の人形と、空気式サンドバッグを庭に置く。
「せ、戦闘かぁ・・・私に出来るかなぁ?」
ルネは髪を束ねシャドーに近づく。
「できない。だから教えるんだ。いつもより優しめでやってやる」
「よ、よろしくお願いします」
「じゃあまずは組手だ、俺は防御とかしかしないから好きにやってくれ」
「は、はい!」
シャドーに殴りかかろうとしたが当たる寸前で止めてしまった。
「…お前の弱点、優しすぎることだな。この世界は毎日が戦争だ。ガキが運動会で手を繋いでみんなで一位なんてありえないんだ、一秒先には首の皮が繋がってないこともあり得る」
「うん、そうだね・・・でも私は・・・」
「う~ん…とりあえず戦闘の知識をつけて貰おう。まず鍛える部位を教えようかな…悪いが№含めて小隊集めてくれ」
「は、はい」
ルネは小走りで屋敷に入りみんなをつれてくる。
「すまんな。大会も近いんだしってことでお前らの戦力をぐっと上げる。そのために鍛える部位…というより肉体の使い方を教える」
口ではまともな事を言いつつもめんどくさそうなのが見て取れる。
「肉体・・・ねぇ?」
「うおおお、主に何をするんだ?」
「体術を目で盗んでも貰う。分からない奴はしっかり俺が教えよう」
「僕はそういうのはあんまり好きじゃないんだけどなぁ」
「体術か・・・俺は盗むっていうのは苦手なんだがな」
「ならまずそれからだ。観察眼を鍛えろ。戦闘中に相手の技を盗むのも手の一つで裏をかける」
「確かに・・・相手の手の内がわかれば対策はいくらでも建てられるしね」
「ふむ・・・観察眼か・・・・主にどうすればいいのだ?」
「見て真似っこするだけだ。死ねと言ったら死ねと返すように簡単な作業だ」
「雑だねぇ・・・でも実際にするのは難しそうだ」
「うーーーーーーむ・・・・・」
「・・・相手を真似る・・・相手をコピーすればいいのですか?」
レミーは小声で尋ねる。
「完璧じゃなくていい、それだと見破られもする。だから自分のものにするんだ」
「相手の経験値を自分のにか・・・そう言えば召喚できる子にそんな奴がいたね」
「まぁ、そう言う訳で…腕相撲でもしながら試合を見てると良い」
指を鳴らすともう一人のシャドーが創られる。
洸天たちは言われるがままに腕相撲を始める、しかし洸天は全力でガルトーラの腕を倒そうとするが微動だししない。
「ぐっ・・・!っくっ・・・うっ」
「・・・・。」
「汐音、お前はザワークラウトとソーセージとビールとジュースを用意しといてくれ」
シャドーは分身と対峙し、深く息を吸ったと同時に動く。
初撃は互いの拳を打ち付け、二撃目は本体のシャドーが脇腹にボディーブローをねじ込み、分身を吹き飛ばす。
しかし空中で体を止め、回転しながら本体に近づき、空中で縦にかかと落としを繰り出す。
いつものシャドーを見れば分かるが動きがいつもよりも鈍い。
人間の体と言う事もあるのだろうか?もう肩を上下に揺らしている。
「はぁ…はぁ、俺も年だな」
「お、おつかれ・・・」
洸天が息を切らして言う。
「洸天よ・・・もう少し頑張ってみてはどうだ?」
「君が異常なんだよ・・・」
「はぁ~…」
汗を流して縁側に横になる。
「わぁ、帰ってくるなりいきなり喧嘩?京助も好きだねぇ」
金髪で長身の女性が出てくる。
「ん?」
「姉貴か…久しいな。少し老けたな」
「死んどけ」
姉はシャドーの頭を蹴り上げ、臓物を掴む勢いで腹に拳がめり込む。
シャドーは軽く血反吐を吐きぷるぷる震えている。
「うわぁ、怖いね」
「大丈夫かシャドーーー!!!」
「あぁ、紹介が遅れたね。あたしはこのアホの姉の間淵 恵美。何か困ったことあったら言いな、ある程度何とかしてみせるよ」
そう言って庭からどこかに行ってしまう。
「クソ姉貴…昔はもっと可愛げがあったのによ…」
人間から吸血鬼の姿に戻る。
「シャドーがシャドーなら姉も姉だね」
「だな」
「兄貴~、まぁた姉ちゃんにちょっかい掛けたのかよ…懲りねぇな」
タンクトップにスパッツと言う超薄着で出てきた茶髪は妹。
「夢羽か、金はやらんぞ」
タバコを咥える。
「・・・女だらけだな」
「うおおおお!!!俺の星にも花が欲しいぞ!!!!」
「あのなぁ、妹に欲情する兄があってたまるか。俺はこいつの食い扶持を稼いでる様なもんだぞ」
「ふーん」
「昔は兄貴優しくて小遣いくれたり遊んだりしてくれてたのな」
「俺は今忙しいんだよ。お前は俺のガキの頃と違って友達いるだろうが」
少しバツが悪そうに目を逸らしてタバコを吸う
「まぁ、いいけどさ。父さんがくれるし」
つまらなさそうに縁側から離れどこかに行ってしまう。
「さて、次はどうするんだい?」
「そうだな。この木の人形で練習」
木を十字架の形に組み上げただけの簡易な物を地面に刺す。
「了解」
洸天とガルトーラは人形を自らが知っている武術的なもので攻撃する。
「だから、さっきの勝負を見てなかったのか?失敗してもルネが居る。とりあえず目で見た感じを試してみろ」
「人形だろ?何を真似ろっていうんだい?」
「さっきの俺の戦闘だ。見ながら腕相撲でもしてろと言っておいたのだが」
「ふーん」
真似るように初撃は人形の拳を打ち付け、二撃目は洸天たちが人形の脇腹にボディーブローをねじ込み吹き飛ばす。
そして二人同時に人形に近づき洸天は切り刻みガルトーラは握り潰す。
「こんな感じかシャドー!!!」
「ま、最後はアレンジしたけど」
「威力が足りてない。筋肉をもっと効率的に動かすんだ、後はゴムの要領を混ぜるとより火力が上がる」
新しい組み木を建て、右上に拳を空振りさせ体を横に水平にして足を前と後ろに大きく開き、右足の甲で一撃、左足のかかとで一撃喰らわせると頭に当たる部分が音もなく、木屑一つ残さず消えていた。
「ふーん・・・その位なら出来そうだけど、無駄な気がするなぁ」
「いや基本から入るのは大切なことだ、我らが人の
「まぁ確かにそうだけど・・・僕は戦闘は避けたいんだけどね」
「お前個人の話を聞いているんじゃない。あくまで俺の求める妥協点ぎりぎりは動いてもらわないと困るんだ。土台はすべてに共通し、必ず一定の力を与えてくれる。頑張れば今夜の夕飯は俺が腕によりをかけよう」
「お、それは楽しみだね。なら少しは頑張ってみようかね」
洸天はそう言うと先ほどのシャドーの動きを真似るように動き難しい処は自分なりにアレンジし訓練する。
「ところでシャドーよ、私には日課の夕ランニングがあるのだがいいか?」
「あぁ、日課とかは縛らないさ。俺もこっちでの仕事が腐るほど…っと、噂をすれば取り立てにきやがったよ」
「シャドーさん。帰ってきたのならなぜ連絡も無しに修行してるんですか!お願いですから仕事をしてください、じゃないと私が怒られちゃうんですよ!?」
緑髪の少女が金色の棒を持ち、ぷりぷりと説教を垂れている。
「あぁ、悪かったよ。今夜に全部終わらせるから許してくれ」
「ならいいのですが…とりあえず今夜中ですからね?」
「あぁ、約束する」
そう言われると満足したのかその少女はどこかに消える。
「ふぅ…妖王と魔界神なんか両立して始めるんじゃなかった…」
めんどくさそうに頭を掻く。
ガルトーラはそのまま庭をランニングしだし、ルネも洸天もそれぞれ修業をしだす。
シャドーも体を動かし始めて数時間が経ってから汐音がおにぎりやサンドイッチなどの軽食と共にビール、ジュースが持ってこられる。
「みなさんお疲れ様~。休憩くらいしたら?」
シャドーは静かにビールをジョッキに注ぎ一気に飲み干し、二回目を注ぐ。
「お、ありがとうね」
息を切らして近づいてくる。
「あ、ありがとうね汐音ちゃん」
「いえいえ~、シャドーくんに付き合ってありがとね~」
汐音は軽く笑ってオレンジジュースを飲む。
「まぁ、こっちにいる時よりかは楽しいさ」
独り言のように小さく呟く。
「ん、なんか言ったかいシャドー君」
「家の執務室で黙々と仕事するよりお前達とこうやって修行している方が楽しいと言っているんだ」
恥を堪えてぶっきらぼうに答える。
「はは、楽しいか・・・うん、そうだねあの頃よりは僕も楽しいよ」
最後だけ何故か小さく言う。
「妖怪の血に塗れるよりかはな、あれは流石につらい。よし、各自自由行動だ」
シャドーはタバコを咥え中の厨房に入る。
「やぁやぁ、皆さんお疲れ様」
にこやかな笑顔でグレイが出てくる。
「ん、君は?」
「僕はグレイシア・スカーレット、シャドーの弟だよ。君たちの事はヴラディミールの頭の中から調べて知ってるよ~。幻想郷へようこそ、歓迎するよ」
「うん、よろしく」
「よ、よろしくね」
「そうだ、君兄さんに魔術教えてもらってたね。もう少し詳しく知りたいなら教えるけど?」
ルネに向かって話しかける。
「え、本当ですか?」
「うん。そこの君も才能は有りそうだし、どうかな?」
グレイは意図せず氷で銃をを造り、実銃のように使う
「わ、わぁ凄い」
「え?あぁ、これ?こんなのただのおもちゃさ」
適当に打たれた場所を見ると北極でも見られないような氷が木を覆っていた。
「すごい・・・」
「ふーん、君氷系の能力者なのかな」
「全属性に対応できるけど氷が得意だね」
そう言って顎をくいっとやり部屋に案内する。
「僕もついてきちゃったけどいいのかい?」
「あぁいいよ。力ある者には成長の機会を、ってね」
書類が地面には散らばり机上にはエロ本とフラスコや試験管等が散乱し、グレイはパソコンの前の椅子に腰かける。
「さて…まず魔法陣の作り方だ。教えられたように魔素を魔法陣のように集めそれを自分の魔力で線を結ぶんだ」
「基礎は似てるけどちょっと面倒だね」
「慣れたら簡単だし使い始めから陣の展開は最高クラスに早いからね。こいつを教えるようにしてるんだ」
「ふーん、僕はシャドー君の修行よりこっちの方が良いなぁ」
「僕は運動も好きだけどなぁ。っと、話それたね。じゃあやってみて」
洸天は目を閉じて集中する、すると周りの魔素が変化し魔法陣を形成する。
しかしルネはうまく魔法陣を形成させられない。
「君はオッケー。女の子の方は…何が分からなかったかな?」
「魔法陣っていうのがうまくイメージできなくて・・・」
「じゃあまずは完成形の魔法陣をよく観察して」
水色の魔法陣を構成する。
「魔法陣はさっきも言った通り魔素を操れないとめんどくさいから、それから練習してみようか。感覚としては空気中にある一番近い空気に神経を凝らしてみるといい感じに一ミリ方眼紙みたいな状態で見える。それを自分の魔力でつないでみて、あの魔法陣を模写するように。」
「んーーー・・・」
ルネは難しそうな顔をして空間を直視する、するとぼんやりとした魔法陣が出来上がる。
「そしたら、そう難しく考えないで感覚でやってみるといいかも、こんな感じじゃないかなって。そこから違う所を修正すればいい」
「わ、わかったやってみる」
少しずつ良くなっていく。
「じゃあそれをまず十回だね」
「わかったよ」
「じゃあまずはそれからだね」
…所変わって厨房ではシャドーが冷蔵庫の中で色々漁り、厨房のテーブルに置いてある発泡スチロールの中に入った巨大なマグロを見てにやける。
まずパパッと御膳を作りその後にとろろを作り米を炊く。
ここまで終わらせると次に鮭、イカ、アジを刺身にして皿に乗っける。
「ふぅ。まずできたな」
女中の一人を呼び止め、自分の客人を厨房に呼べと命令する。
先程の女中が皆を連れて厨房に入り、頭を下げてから仕事に戻っていった。
「来たな、お前ら」
「へぇ・・・これが君の手料理か、豪華だね」
「まだ終わりじゃない。すげぇうまい魚が二つ残ってる」
そう言ってまず最初に先程のマグロを取り出す。
「魚ねぇ、いいんじゃないの」
「お、おいしそう」
「うおおおお!!!これはすげえな!!」
「ふむ、お前は主婦でもやって余生を過ごせばいいんじゃないか」
「あ、それいい考えなんじゃねション」
「・・・これが・・魚?」
「ふぇbbwくぁ?」
「黙っててください」
「とりあえず解体だけなら私は興味ないから帰るぞ」
オウネは一足先に部屋に戻っていった。
「まったくオウネは・・・クソクレイジーレズだから困るよな」
「・・・本人の前で行ったら消されるぞ」
「うえい」
「シャドー君、この人たち面白いね」
「dbんわbdkじゃ」
「黙っててください」
「…始めるから、静かにしててくれ」
少し困った様に包丁を持って深く息を吐く。
ここからは豪快な解体ショーが始まり、その後にアンコウのつるし切りが行われこれを部屋に持って行く。
「さて、こっからは飯だ。好きに食え」
「どうも」
それぞれは部屋に戻り食事を堪能する。
「そうだ、ルネ。お前グレイに魔術を教えてもらっていたようだが、成果はあったか?」
「ちょ、ちょっとだけ」
「まぁ、魔法陣の展開ができるようになっただけいい方だな。なら次からはグレイに教えてもらうと良い、魔術は正直あいつの方が上だしな」
〆の雑炊を口にかきこむ。
「う、うん」
「僕は何をしたらいいのかな」
「そうだな、魔法陣開けるならもう攻撃魔術と付与魔術でも教えてやるか。俺だってあいつが知らない魔術くらい腐るほど持ってるしな」
「助かるよ」
「で、俺は何を?」
「お前は俺が手塩をかけてド近接に鍛え上げてやる」
一息ついた後タバコを吸う。
「それは楽しみだな」
「とりあえず俺の二十固めの二つ目の攻撃に耐えられるかを明日に試す。あ、そうだこれから肝試しでもやるか?それか鬼の宴会に混ざるのもいいが」
「多文化に触れてみたい気がするけど、文献には大きな文化があったって聞いてるんけどこの星から感じる人の気配が異様に少ない気がするんだ。どういうことかな?」
「それなら火星と言う別の星に行った。残ってるのは火星に行かず残った奴と頑張って繁殖させた人間、そして妖怪だけだ。今は俺のギャングがこの幻想郷を回してるんだ」
「へぇ、君は星神のようなことをしてるのか・・・でも変だね、この世界に神の気配はほとんどしないけど?」
「確か地球という星には神が大人数居ると聞いていたが」
「うん、僕もそう聞いた。この宇宙のこの地球は他の地球と何が違うんだい?」
「人が火星に移り住んだことにより圧倒的な信仰を持っていない神々のほとんどは消滅した。イザナミやイザナギ、三貴子くらいしか残ってない」
「そうか・・・それは残念だね」
「そうだな、さて食事はし終えたし早速やるか?」
「なんだ、夜もやるのか?殊勝だな」
「いや、やらないんならいいんだ。俺はちょっと外の空気を吸ってくる」
「僕は・・・そうだね、本でも読むか」
「わ、私はどうしよう・・・」
「俺は酒を飲む」
日本酒をコップに注いで一気に飲む。
「飲み過ぎには気を付けなよ」
洸天はそう言うとリュックから小説のようなものを取り出しガルトーラと共に外へ出ていく、部屋にはルネとシャドーだけ残された。
「別にそんな飲み過ぎても僕は大丈夫だし…」
もうすでに酔っていた。
「しゃ、シャドー君、私はどうすればいいのかな」
「ん?好きにしてていいよ?僕はお酒飲んでるし」
普段のシャドーからは思いもよらない程の柔らかい笑みに優し気な声と緩い命令。
「う、うん?」
ルネはそう言うとベットに横になりそのまま眠りについてしまった。
一方、帰宅していたヴラディミールは庭で剣術を磨いていた。
「よ、ヴラディミール」
「あ、どうもアドバンスさん」
少し息を切らして様々な剣技を繰り出していた。
「前から思ってたんだけどさ、お前って剣使うの上手いよな」
「そら40億年ただ鉄の剣とペン一つで生きてきましたので」
「へぇ・・・んじゃさ、一回俺とやってみね?」
「あ~…いいですよ」
ただの鉄の剣を鞘に納め、アドバンスと一定の距離を保つ。
「お前って創神器持ってたっけ?」
「いえ、鉄の剣しかないです」
「そっかー・・・なら後で作ってやるよ、俺の部屋に来な」
「おぉ、ありがたいです。でも創神器使ってもいいですよアドバンスさんは、僕が頑張ります」
「いや、当たったらやばいしお前がどんだけ強くても創神器は蘇生不能の奴だからな」
「それを考慮しての言葉です。楽しいから好きですよそういうの」
「へぇ、なら切られても文句言うなよ」
アドバンスはニコッと不敵な笑みを浮かべる。
「自業自得で起こったりなんかしませんよ」
苦笑してから妖しく目が光る。
「ならやるか!」
「先手は譲りますよ」
特に創神器に気を奪われるでもなく比較的落ち着いてアドバンスを見据える。
「なら遠慮なく」
瞬間、ヴラデミールの後ろに回り創剣を横から振り首を狙う。
残像を残し、後ろからアキレス腱に剣を振るうがアドバンスはそれを宙返りで回避しそのまま頭の横から切りかかる。
体を海老反りさせ、それをくの字に曲げる勢いで地面を破壊して下に素早く逃げ、辺りに散らばる巨大な岩を足場にし、速度を付けてアドバンスの横っ腹に居合いを叩き込む。
それを創刀で防御しそのまま鉄剣を消してヴラデミールに切りかかる。
「ふぅむ、なら加工すればいっか」
鍔を爪で切り落とし、消えた刃も爪で短剣のように形を整える。
そして腰から5本のナイフを取り出し、アドバンスを避けるように地面に刺し縦に斬りかかる。
それを後ろに避けながら回避し刺さっているナイフを操り、囲むようにヴラデミールに飛ばす
しかしヴラディミールは柄を掴み一本のナイフから二本目が出て最初に持っていたナイフの二倍の数になる。
まず両手にある五本のナイフを無差別に投げ、アドバンスに蹴りを喰らわせて自分に気が向いたところでもう五本を飛ばし一回目に投げたナイフに当てアドバンスの方向に軌道を変える。
アドバンスはまず飛んできたナイフと軌道を変えるのに使ったナイフを操りそれを空高く飛ばす。
さらに自分の持ち前の速度で残像の分身を二十体作りさらに地面に穴を数十個程掘り分身で一斉にヴラデミールに切りかかり、天から光速で十本のナイフの雨を降らす。
「多勢に無勢…これくらいなら余裕ですがね」
地面から銀色の液体がヴラディミールを包み、その液体は無数の棘を形成した。
同時に足元から普通の剣が現れヴラデミールの股から脳までを貫く
「…僕の負けですね。お気遣いありがとうございます」
瞬時に再生して頭を下げる。
「いや、正直戦い方とか反射神経とか半端なくて焦ったわ、能力使わなかったら普通に負けてたよ」
「戦場に情けはないですから、能力なんて使って普通ですよ。まだまだ鍛練不足です。では僕は自己鍛錬に」
また頭を下げてどこかへ行く。
それと入れ替わりで酔い覚めしたシャドーがのそのそ出てくる。
「あ・・・うーん、剣の使い方教えてもらいたかったけど、まぁ後ででいいか。で、シャドーなにしてんの」
「ん、あぁ…腕を創刀にくれてやろうかと」
「・・・は?頭沸いたか?」
「いや、こいつに力をもっと知って欲しいんだ。左腕なんてあまり使わんしな」
「ふーん・・・お前がいいならいいけど、間違ってもぽっくり逝くなよ」
「まぁ、死んだらその時は~…ヴロボロスにこいつをやるかな。まぁ、とりあえず見合い人になってくれ」
創刀を鞘から引き抜く。
「俺がかよ、まぁいいけどさ・・・」
「じゃあ、早速」
創刀で左腕を切るが、軽い感触を感じるのみで痛みはない
「ふう、創刀で斬られるのはこんな感触なのか…面白い」
「うわぁグロイ」
「これくらい見慣れてるし…まずこれ見れなかったら人間なんか喰えないし」
そう言って片手で器用に包帯を巻いていく。
「さて、試し切りしたいが…それは明日にするか」
創刀を鞘に納め縁側に置いて体術の練習をする。
「左手、いいのか?」
「戻そうと思えば戻せる。しかしそれだと面白みがないだろう?左腕は封印だ」
特に気にしている様子もなく愉快そうに笑う。
「面白味ねぇ?ほんとお前はおかしな奴だよ」
「ふん、これで少し弱くなってもう少し他の奴とも楽しめそうだ。俺としては収穫だよ、こいつが強くなってくれたことも含めてな」
「お前のそいつは吸収系の能力なのか」
「さぁ?こいつはあまり自分の事を教えてくれなかったからなぁ」
創刀を引き抜き実戦で使うような剣撃を繰り出す。
「そうか・・・お前も後で俺の部屋に来い、いいものやる」
「別にやることないし今からでもいいぞ」
タバコを吸う。
「今は俺が用事があるから無理だ、また後でな」
アドバンスはそう言うと人里の方に飛んで行った。
「…じゃあ俺は部屋戻って仕事し直すか」
部屋で寝ているルネを尻目に書類に色々書く。
それから数十分経ち、少し暇になったシャドーは立ち上がる。
「よぉし、人里襲うか一鬼夜行だ畜生」
タバコを咥え幻想郷の人里まで飛ぶと人里で不自然な光のちらつきが見える。
「用事があるってのはそう言う事か。まぁいい、とりあえず強襲だ」
妖刀を抜き、家屋を切り捨てて歩く。
途中で携帯を取り出しとある番号にかける。
「おい、エルドレット。人里に来い、里を壊滅状態にするぞ」
「うむ、心得た。今から秒で行くから待っとれ」
古風な言い回しと現代的な言い回しを使いプツっと通話が切れ本当に秒できた。
シャドーの隣には藤色の髪に金髪のメッシュが前髪に入った女性が立っている。
「…随分と背、伸びたじゃないか」
「主人様は相変わらず無茶な事ばっかしてる様じゃの。さて、この里如何致そうか?」
「大人10人、子供18人残せ。それ以外は殺して構わん」
それからは早い物であっという間にほぼ壊滅状態にしてしまった。
「お疲れ。後お前仕事サボったろ、書類たまってたぞ」
「う、そ…それは…」
「もう終わったからいいさ、俺はまた留守にするから次は終わらせとけよ。次やってなかったらケツから杭ぶち込んで一ヶ月だぞ」
「ひぃっ…分かった!しっかりやるから許してほしいのじゃ!」
「もういいと言ってるだろ。とりあえずご苦労、後は好きにして良いぞ」
シャドーはそのまま実家へと帰宅する。
玄関に降り立つとガルトーラに合流する。
「む、シャドーか」
「あぁ、お前も帰りか」
コートの左の袖が風のせいで乱暴にはためく。
「ああ、ところでなんで外に?」
「人里をほぼ全壊にしてきた」
「何!?なんでそんなことを・・・」
「そうでもしないと妖怪の恐怖が薄れ、低級はただでさえ弱いのにさらに弱り消滅してしまうからな」
「む、むぅ、生存のための犠牲か・・・・致し方ないのか・・・」
「あぁ、ただでさえ人口が減って色々大変だしな。そろそろ人造人間でも創るときかもな…」
そう呟いて部屋に入る。
「あ、おかえり」
「あぁ、ただいま」
コートを脱いで畳んで棚に置く。
「どこ行ってたんだい?」
「人里をほぼ壊滅状態にしてきただけだ。つかお前ら腕消えてんのに案外平然だな」
タバコを吸って座布団の上に座る。
「どうせ何かやらかしたと把握できるし君はほぼ不死身だからね」
「お前に心配は逆に侮辱だろう?」
「う~ん、複雑な気持ちだ。流石の俺も創刀で切ったらまずいんだが」
苦笑して冷蔵庫からガチガチ君を食べる。
「!?」
瞬間空気が凍る。
「こいつに俺の力をやりたくてな。喰わせたんだ」
「き、君の創神器って吸収系の能力なんだ・・・意外だね」
「どうなんだろうな、あいつしっかりとは自分の事教えてくれないからわからん。後で聞いてみる」
「そうか・・・ならいいけどさ」
「ただもう暇だな、やることがない」
「そうだね、しりとりでもする?」
「しりとり?それはなんだ」
「あれ、ガルトーラ君知らないの?」
「うむ」
「シャドー君はしりとりしってる?」
「当たり前だろ」
「うーん、地球のしりとりって僕の星のやつがあってるか確認したいからさ、ガルトーラ君に説明がてらルール言ってみてよ」
「しりとりのりから始まりんを言ったら負け」
「同じだね」
「う、うーん、とりあえずわかった」
しりとりをしまくり一番先に飽きて寝たシャドーを筆頭に皆が次々寝始める。