神生学園記   作:汐入 那月

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未知の惑星の調査

所変わって後日のシャドーの寮内。

 

「くそっ!!あいつを簡単に信用したのが間違いだったんだ!くそっくそっ!!」

壁を何度も殴ったり額を打ち付けたりしている。

 

「な、なぁシャドー、お前のせいじゃねーって、な?」

 

「あいつは俺なんだ!自分の事が分からなくてどうする!?」

全身の髪を逆立て学園の中なのに妖力が微弱に漏れている。

 

「はぁ…自分の不始末を人に攻めるんじゃないよ。自分の不始末なら…自分で何とかするのが通りってもんじゃないかい?」

 

「…そうか、わかった。鍛えてくる」

アルデルルの家に真っ先に向かう。

 

「頼む、稽古をつけてくれないか!」

そこには包帯グルグル巻で松葉杖をついたアルデルルが本を読んでいた。

 

「・・・誰かさんのせいでこのザマんだがね?」

 

「あぁ、すまなかった。他を当たろう」

誰に頼むかと思うとやはり行きつく先は理事長の家だった。

 

「…シャドーだ。理事長に会わせて欲しい」

 

「・・・・。」

石像は無言でどきシャドーは理事長室に通される。

 

「理事長、クライシスを殺すために力が居る。なにか智慧を貸してはもらえないだろうか」

 

「・・・私は忙しい、他を当たれ」

 

「いやだ。クライシスの所為で殆どの部隊が外に出てて頼れる人なんてもう貴女しかいないんだ」

 

「くどいぞ、お前は人に頼ることしか出来ないのか?自分の不始末と考えているんだったら修行も独学でやるんだな」

 

「それをして生まれたのがクライシスじゃないか。確かに自分の不始末だから自分でやれと言われるのは分かっていた。だが俺だって無駄死にはしたくないしクライシスを殺すまでは死んではならない。人を頼るだけで強くなる術が分かるなら、俺はどんな奴にでも頭を垂れて知恵を盗む」

 

「・・・・いい度胸だ、ならお前に1つ任務を与えてやる」

理事長はそう言って一個の資料をシャドーに投げる。

 

「ありがと!」

そう言って寮に走って戻ると資料に目を通す。

資料にははるか昔に廃棄された発展途上前の星を事が書かれておりそこに最近謎の組織が展開されているとのこと、強さや状況から言って『無』が絡んでいる線もある。

その星には未解明の都市やまだ使えるのに廃棄された武器などが放置されており危険度は計り知れないとのこと。

最終目標はその星のその団体を壊滅させ、その星に眠る『宝具』を回収すること。

しかし宝具の情報は曖昧なので信憑性は低い。

 

「よし、行くか」

資料に書いてある通りの場所へ向かう。

ごく普通に宇宙船を使わずに宇宙空間を移動しているが、なぜかすいすいと動けている。

クライシスに施された修行のどれかが今生きているのだろう。

それから少し経って目的の惑星、サルセイノ星に到着する。

 

「クライシスさん、理事長から一つ連絡が。『シャドーがサルセイノ星に任務で向かった。あと死ね』とのことです」

 

「ふーむ、結構怒ってるなぁ。戻ることがあったらほんと謝りまくって色々買ってあげなきゃ。…レミー、進路をサルセイノ星へ」

ブローケルツについて支度を整えたクライシス一行は船を走らせる。

シャドーはひとまず辺りを見回すが資料に合った通りの廃れ具合で、こんな所に組織が働いてるなんて思えないほどだ。

ここは不安定な地磁気と電磁波の影響で幻覚、幻聴、機械の不調、人体への影響などなど色々ある。

 

「環境はあまりよろしくないな。人が居れば何か聞き込みが出来たんだが…」

右側から金属が叩かれている音が聞こえるので、こっそりとのぞき込むと、モロマフィアみたいな奴が武器が入っていると思われるクレートを運び出そうとしていて、さらにその周りには武装集団が居る。

そして奥にはリーダーと思わしき者が二人、握手をしている。

こういう時は大体武器の取引という商談が上手くいったのであろう。

シャドーは少しため息をついてからスーツに着替える。マフィアを回していた時よくしていた服装だ。

その恰好で歩いて二人の所まで歩く。

 

「む?君は誰だい?」

 

「べfjhbwdjふぁ?」

 

「日本と言う場所に所属しているクリュエルファミリーのボス、間淵 京助だ。恐らく耳にしたことはないだろう。星の中で細々とやってきたマフィアでね」

 

「ほうほう、それはそれは、そんな名も知らない星からこんなところになんのようです?」

 

「とある友人からはるか昔に廃棄された発展途上前の星で何らかの組織が最近動いていると情報を耳にしたので興味がわいて出てきたのさ。その組織とは君らで合ってるのかな?」

 

「うーん、我々はだいぶ前からこの辺りで武器密輸と人体売買をしているからねぇ?最近の若い組織は湧いてないと思うけど・・・」

 

「dんわbkdwぁbn??」

 

「あーそうだね、そういえば最近海側の方に新しい組織が建ったっていう噂があるね、でもあっちは通称死の谷と言われるほどの危険な場所だからね、我々も近づかないよ」

 

「なるほど。そしてさらに一つ。この何を言ってるか分からない奴は?無か何かか?」

 

「ん?無?何の話だい?彼はムン星の住人だよ」

 

「つまりお前たちは滅ぼしても問題はないんだな」

スーツを脱ぎ捨て普段の服装に戻ると、人差し指をくいくいと動かして挑発する。

 

「や、やっちまえ!!」

リーダーの合図とともにシャドーに対して一斉射撃される。

 

「当たると服が破けてダサいしな。一気にやっちまうか」

何でもない普通の刀でその場にいる奴らに峰内で気絶させる。

 

「あとは…」

全員つるっぱげにしてから輸送機の中に入る。

右に重火器が積まれたクレートが詰まれ、左には年端も行かない少女がざっと50人くらいは気絶させられていた。

 

「流石に可愛そうだし、どうにかできんかね…」

とりあえず一人ずつ起こして回ると、少女は起きるが状況を掴めないのか混乱している。

 

「さて、どうした物か…」

シャドーはその場に座り唸っていると一人の少女が話しかけてきた、この少女たちの中では一番年長であろうくらいの歳の子だ。

 

「あ、あの、ありがと・・・ございます」

 

「あれ、お前は喋れるのか」

タバコを咥えてから、その場に椅子を作って座るように促す。

 

「は、はい、私は記憶ではなく体の方だったので・・・」

 

「事後?それともまだなのか?」

 

「じご?と言うのはどういうことですか?」

 

「つまり股にちんこを入れられたのかまだなのか」

 

「ち!?い、いえ、まだそんなことをされてませんよ・・・」

 

「そうか、よかったな。こういうのは大体よくないことに使われるから、これからはなるべく一人で外をうろついたりしないことだ。と言ってもこの49人は廃人だがな」

 

「・・・あの、頼み事をしてもいいですか?」

 

「とりあえず聞いてやるよ」

 

「この子達の記憶を・・・取り戻してはくれませんか」

 

「また随分と難しいお願いだな。もし俺がやってあげたとして…お前は対価に何が出せる?」

 

「・・・この星のことで、私が知っていることをすべて話します」

 

「ふむ、7歳にしては上出来だな。よし、話してくれ」

 

「この先に、西側にこの組織の本部があります、そこに記憶を保管して置ける場所があってそこにこの子達の記憶があると思います」

 

「任せろ、何とか取り戻してやるよ」

シャドーは少女を外に連れ出して輸送機を魔法陣の中の空間の中に投げ入れる。

 

「さぁ、行こうか肩に乗ってくれ」

シャドーはしゃがんで少女に手を貸す。

 

「はい!」

肩に乗せてから西の拠点まで案内を受けながら進む。

 

 

 

「ここか」

シャドーは吸っていたタバコを投げ捨てる。

 

「はい、あと保管庫は精密なので慎重に運ばないと壊れてしまうと聞きました」

 

「なに、空間ごと離れた場所と入れ替えてしまえば問題ないさ」

笑いながら建物の中に入る。

 

「倒さないんですか?」

 

「君は倒してもらいたいか?」

 

「・・・敵、ですが、お任せします」

 

「任せるというのはつまり、そいつが罪を犯しても君は助けることが出来ないという残酷な選択だ。とだけ君に教えてやろう」

素早く見張りを蹴り倒しながら手当たり次第に部屋の中に入る。

 

「・・・。」

少女は何かを考え黙り込んでいる。

部屋に1人ずつ敵がいたので、そいつらの首にナイフを突き付け「今日この星に運ばれた50名の内49名の少女の記憶のある保管庫は何処だ」と問いかけ、有益な情報を得られなかった奴は首を落としていく。

しかし全員が「俺は知らない」と言う。もしかしたら上層部しか知らない話題なのかもしれない。

なら悪い事をしたと少しだけ憐れむがそれもすぐに消えて二階へむかう。

二階を周っていると娯楽室が目についてしまい、中に入る。

シャドーは目を輝かせてダーツをし始める。

 

「・・・なんですか、それ」

 

「ダーツって言ってな、真ん中に近くさせた方が勝ち、みたいなゲームだ。さぁ、三階行くぞ。次は戦闘になる可能性があるから肩車な。俺片腕無いから支えてやれないんだ」

そう言って左の腕の通ってない袖を動かす。

 

「・・・。」

少女はそれを見ながら黙っている。

少女を首に乗せて三階へ向かうと1人なんかヤバい奴が居る。

そいつは黒い瘴気を放っていて、その隣には元々人の形をしていたと思われる肉塊がある。

シャドーはいつでも力を出せるように少女に結界の様な物をつけて少しずつ近づく。

少し考えてからそいつの前に立って手を振ってみる。

 

「なんだこいつ。放っておいた方が良さそうだな」

それぞれの部屋の中に入る。

その部屋の中にも瘴気を放つそいつは居た。

 

「ダメもとで聞くけど、お前こいつわかる?」

 

「・・・憶測なんですけど、アークだと思います」

 

「アーク?また知らないのが出てきたな。それは一体?」

 

「物質から記憶を抜かれてしまった記憶が元の持ち主を探して彷徨っている間に亡霊になってしまう・・・それがアークだとこの星に伝承があります」

 

「ふーむ…だめだ、手掛かりがない。二階に戻るか」

また適当に部屋を探り始める。

その中の一つの部屋にノートパソコンがあり、どうやらメールが届いてるらしかった。

 

「今時スリープにしないなんて不用心だな」

そのメールの内容を見る。

 

『ボスが何者かにやられた、三階の奥の部屋の警備を厳重にしろ、それと最近アークの動きがおかしい、慎重に抜き取れ』

 

「じゃあさっきのアークが肉塊を作った張本人なんだな。しかし奥の三つの部屋ねぇ…アークが居るだけだったけど」

疑問を抱きつつもまた三階の真ん中の部屋に入ってみる。

その部屋には地図と良く分からない機械が置いてあった。

地図を懐にしまって、シャドーはすかさずレミーに電話をかける。

 

「・・・はい、レミーです」

 

「シャドーだ。今俺の目の前には良く分からん機械がある。解析頼んだぞ」

 

「わかりました、調べてみます」

そう言ってレミーから信号のようなものがなり機械と共鳴する。

 

「・・・これは記憶探知機ですね、太古の昔今は幽霊と言われる物を見つけるために使われていた機械です」

 

「ご苦労」

そう言って通話を切ってからその機械を持ってアークの前に向ける。

 

『探知完了、殺戮の記憶、持ち主、セネン』

 

「これで肉塊の記憶でも見てみるか」

再度三階へ向かい肉塊に探知機を向ける。

 

『・・・すまない・・・・悪かった・・・記憶は返す・・・・だから・・・・殺さないっ』

と言ったところで途切れる、同時に肉塊にキラリと光る物があるのがわかる。

シャドーは肉塊に手を突っ込み光る物を取り出す。

それは鍵で、木の枝のような形をしている。さらにシャドーは筋肉の動いた記憶を元にそのカギの場所を割り出す。

 

「筋肉の動かされる速度、伸縮具合、血圧の変化などからどこかを割り出した。行ってみよう」

その場所は図書館で奥に隠し扉があり、そこを降りる。

一本道の階段を降りて金色の豪華な扉の鍵を開けて中に入る。

するとそこには発光するCDディスクみたいなのがある。

数は50だった。

 

「1枚多いな…」

 

「記憶は持ち主に近づくと勝手にもとに戻ります、残った記憶は誰か違う少女のものなのでは?」

 

「とりあえず持っておくか」

その場で輸送機を出して少女たちをディスクの前に連れて行く。

するとディスクは一つ一つ少女の中に吸い込まれるが、やはり1枚余る。

 

「さて、お前らはどうするわけ。俺はお前たちを住まわせるほどの財力はあるにしても、お前たちが嫌だろう」

 

「北に・・・私達の集落があります、そこまで送っていただけませんか」

 

「分かった」

シャドーは天井をぶち抜いて輸送機に乗り込む。

そして少女たちを乗せてその集落まで送る、そこは年端も行かない少女たちだけで構成された集落で少女たちはほそぼそと暮らしていた。

 

「ロリコン大歓喜だなオイ…とりあえず頭の所まで連れて行ってくれ。挨拶して本来の任務を進める」

 

「わかりました」

少女はそう言って集落では一番目立つ建物に案内する。

 

「あ、貴方がこの子達を助けてくれた人ですね、本当にありがとうございます」

ロングの赤髪の少女は深くお辞儀をする。

 

「ガキしかいないからさらわれるのも頷けるが…もう少し対策でもしておくといいと思うんだがね。ひとまず俺は送りもしたし任務があるからこれで」

輸送機を置いたままタバコを咥えて海岸に何かないかと空から見回る。

 

「ま、待って下さい!貴方のお力を見込んで頼みがあります!」

 

「乗りかけた船だ。いいだろう、最後まで付き合ってやる」

 

「ありがとうございます!!!」

少女はそう言って話をしだす。

 

「私達少女は「クリノアカリ」というマフィアに飼われている家畜なんです、調教された少女の記憶は高値で取引されるらしく余すところがないという理由だけで私達を家畜扱いに・・・そこで貴方に私達の平穏を取り戻してほしいのです!!」

 

「まぁ、それくらいなら。んで、クリノアカリの拠点は?」

長くなったタバコの灰を携帯灰皿落とす。

 

「海側の・・・ここからすぐ下に行った大きな白い建物です!」

 

「ついでに全てのマフィアを潰そう」

最後の煙を吐いて立ち上がる。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「しっかし、めんどくせぇな。とりあえずクリノアカリだけ潰してくる」

海側の白い建物を目印に海の辺りを見ているとそれらしいものが目に入る。

入り口から入るのもめんどくさいので最上階の窓からお邪魔することにした。

しかし球体型に障壁が建物を守っていて、それ近づく虫が弾け飛ぶ瞬間が見える。

 

「こういう時クライシスみたいに無の腕とかあれば楽だったんだが…」

シャドーは一瞬考えて窓から中を覗き、中の人間と自分の位置を入れ替える。

 

「な、何だ貴様!?」

 

「ふん、詰めが甘いな。お仲間さんと位置を入れ替えさせてもらったよ」

ニヤニヤしながら創刀を引き抜く。

 

「な、くそ!」

男はそう言って急いで逃げていく、それを見た周りが銃火器系の武器を取り出しシャドーを攻撃する。

 

「相手を舐めてかかってはいけない、これは良い教訓だな」

そう呟きながら一瞬で銃を撃ってきた人間だけを殺す。

 

「う、うわぁあ・・・」

男は転びその場に倒れ込んで恐怖の顔でシャドーを見る。

 

「うんうん、いい顔だ。今すぐにでも殺してあげたい顔なんだが…まだ殺さない。ボスの所へ案内してくれないか?そうしないなら君はこの場で倒れてしまうね」

 

「わ、わかった」

男はそう言ってボスの部屋までシャドーを案内する。

 

「ありがとう」

タバコを咥えてボスの部屋に入る。

 

「やぁ、殲滅しに来たよ」

愉快そうに手を振りながら入る。

 

「な、何だ貴様は!?」

 

「学園、と言ってわかるかは知らんが…学園の者だ。お前たちの商品から助けてくれって頼まれちまってなぁ」

 

「な、奴らの回し者か!?おい!護衛!護衛はどこだ!」

 

「あー、すまん。護衛と思わしき者は全て殺してしまった。物のついでだ、お前も死んじゃあくれないか?」

 

「なっ!?目的はなんだ!?金か!?女か!?それならいくらでも用意する!!だから命だけはっ!!」

 

「可愛らしい反応だな。なら死ね。それかこの星の治安向上に努めるんだな。犯罪行為はもってのほかだ、うん」

 

「わ、わかった・・・ど、努力しよう」

 

「俺は常に貴様を見張っている。もし罪を犯したとなれば…簡単には死なさんぞ」

トラウマを植え込むレベルで脅してから建物を出る。

 

「ま、まって下さい!!」

建物を出ると一人の男が話しかけてくる。

 

「どうした?」

タバコに火をつけて男の方を向く。

 

「こ、これを・・・」

男はそう言って1つの記憶をディスクを渡してくる。

 

「またディスクか…これで二枚…これは?」

 

「これはアイカの・・・集落のリーダーの子の記憶です、どうか彼女に返してあげて下さい・・・お願いします」

男はそう言い残すと白い霧となって消えた。

 

「ふーむ」

適当な鼻歌を歌いながら集落に戻りディスクをリーダーの少女の頭に叩きつける、すると彼女が強く光り何かを思い出したかのように目を開ける。

 

「・・・ありがとうございます、シャドー様、お陰で大事な記憶を取り戻す事ができました」

 

「あー、俺はあまり感謝されるのは慣れてないんだが…。そうだ、お前たちこの星で宝具の情報を聞かなかったか?それか何か伝承などでもいい」

 

「私はこの星のことを研究していた父の娘でして・・・、そういった情報やある程度の地形の知識は持ち合わせています」

 

「ならなにか数年で大きく変わった場所とかはないか?」

シャドーは緑色のパッケージのタバコを咥え、フィルターを噛むと良い音を鳴らして何かが弾ける。

 

「そうですね・・・、海側の方やこの奥にある採掘場、それとどこかの学園というところから来た人たちが調査していたりとか・・・ですかね」

 

「わかった。それとガキ共を家の中に入れとけ、大惨事になるぞ」

 

「?、わかりました」

少女はそう言うと急いで集落の子たちに指示を出していく。

 

「シャドォォォォォォォォ!!ひさしぶりじゃないかぁぁぁ!!」

狂気的な笑みを浮かべてクライシスが集落に向かって猛突進してくる。

シャドーは嫌悪感丸出しの顔を浮かべてから創刀で迎え撃つ。

 

「いきなり何の用だくそ野郎!」

左手で受け止められた創刀をぐりぐり押し込んでいく。

 

「何かあれば助けてやろうと思ったんだがな、我慢できなくて潰しに来たのさ。新技の披露と行こうじゃないか」

「いくぜ、【ペインキラー】」

クライシスの持つ【無力】【神力】【妖力】など自分が持てる力を高い水準で一定に揃え、それらが混ざり合った瞬間にクライシスの持つシャルドニュクスの頭から鎖が伸びていき、徐々に脇差が形作られていく。

 

「これが創刀の持つ力をさらに引き出そうとした結果だ。ちなみにこの状態、少しでも不安定になるとこの状態は一瞬で解除される。さらに俺はこの時最低10分の6の力を出さなければ、シャルを強化することは中々できないし、俺にもリスクがたくさんできてしまう。出せるものはしっかり出さないときつい」

クライシスは坦々と自分の武器の説明をしながら首に鎖をかけている。

 

「神力と妖力なら何とかなるやもしれんが…今の俺にそこまでの技量と繊細な力の操作はできないからな。どうせ長くはもたないんだろ、持ちこたえるしかない」

シャドーはできる所まで力を底上げして構える。

 

「お前の推察通り長くはもたない。だから一瞬でボコボコにしてやる」

クライシスは吸っていたタバコを捨てて一瞬でシャドーは四肢を切断される。

 

「残念だな、それで斬られても今の俺の体は再生できる」

シャドーは細胞の過再生させて無かった部分までつなげて元通りにする。

 

「俺にリンチされてから色々考え方やスタイルも変えたようだな。いい傾向だ」

クライシスはうなずいてシャドーの腹に蹴りを入れるが、シャドーは体の分子構造をX線レベルにスカスカにしてクライシスの肉体粒子を通り抜ける。

そんな感じでクライシスにとっては緩い攻防戦を続けた後に、飽きたクライシスが右手の吸血鬼パンチでシャドーをKOする。

気絶したシャドーは適当な所で寝かされる。

 

「じゃあ、こいつの介抱頼んだよアイカちゃん。俺はまたこっそり見張ってるから、それと何かあったらこの番号に連絡してくれ。俺がすっとんでくから。ただ俺を良い奴と思っちゃいけないよ、俺は今絶賛指名手配中の大罪人だからさ」

軽く頭を撫でてから船に入る。

 

「うーわぁ…クライシスくんが優しいの似合わねー」

レゾンが吐く真似をして煽ってくる。

 

「ほんとな、お前みたいなやつは世界破壊してまわってたほうが似合うぜ」

顔を隠したアドバンスもレゾンと一緒に煽っていく。

 

「俺だって壊す方が楽だけどな。やり過ぎると理事長もっと怒っちゃうしね、つっても適度に壊していかないと話題から薄れちゃって操作も進まなくなっちゃうから痕跡とかも色々残してあげないといけないしで本とめんどくさい」

 

「あまりやり過ぎるなよ、簡単に死にたくないやつも居るんだからな、まぁ俺には関係ないから良いけどさ」

 

「別に死にたくないなら力を付ければよかっただけなんだ。弱い自分を恨むんだな」

 

「お前より強くなれとかどこのやつができるんだよ!」

アドバンスは笑いながら言う。

 

「今見込みがあるのはシャドーだけだな。あ、左腕渡し損ねた…くっそ、いつも楽しくなって満足して帰っちゃうから渡せないんだよなぁ…」

 

「今渡してくればいいじゃん」

 

「クライシスさんは変な所で恥ずかしがり屋さんなので」

レミーがボディに意識を移してから嘲笑混じりにそう言う。

 

「あ、シャル。行ってきて」

 

「…は?」

ソファに寝そべってファッション誌を読んでいたシャルドニュクスはクライシスを睨み一瞬のうちに刀身を手から出して右目前まで出す。

 

「お、お願い。マジではずいからさ?ね、頼むよ~…」

 

「はぁ…戦ってる時と大変な時は真面目でかっこいい主人なのになぁ…なんでいつもはこんなダメ人間なのかしら」

シャルは左腕の錬創術を解きながら外していく。

 

「接合に必要な錬創術だけ教えてから腕くっつけてくるわね」

 

「うん、ありがと」

シャルは船から出て気絶したシャドーを介抱しているアイカをどかして、シャドーの頭に腕を扱うのに必要な錬創術の知識をねじこんでからそれが作動したのを確認して、左腕を移植する。

 

「いい?この子の左腕にはもう何があっても触っちゃだめよ」

そうアイカに伝えて船に戻る。

 

「腕をつけてきたわ。もし無の世界で一年以上生きることが出来たら虚無臓が出来てしまうけれど…本当にいいの?」

 

「大丈夫さ。最初は大変だけどいずれ慣れる」

 

「生活じゃなくて虚無臓が出来た時のリスクよ。出来始めは溜め込んだ無の管理が出来てなくて何回も無を吐いたじゃない。それ、学園内であったら危険よ?」

 

「それは俺の関与する場所じゃない。それにそれで何かあったらそれはシャドーの力不足の責任だ。無力は悲劇を生む、それは同じ俺なら知ってるはず。ステルスを起動させろ、今日はなるべく手を出さずシャドーの監視だ」

 

「・・・さて、ここからはお前も知らない未知の世界だ、楽しむといいさ」

アドバンスは普段とはとは違う雰囲気を漂わせながら不気味に微笑む、まるで別人のように。

 

「似合わん、やめろ。そんなことは俺も知ってる」

ニヤけて右手で小突く。

 

「そいつは失礼、未来からの来訪者には無縁の話だったな」

そう言い残すとフと意識を失ったように眠りについた。

シャドーが目覚めると何もないはずの左腕に良く分からない白い物がくっついている。

 

「なんで、クライシスの腕が俺に?アイカ、何か知ってるか?」

 

「女性の方が付けていきました、それは何でしょう?」

 

「無と言って本当なら物質化できないはずなのになぜか物質化している腕だ。触ると、この世に元々ない物に変わるから絶対に触れるなよ」

片腕を色々動かす。

 

「そ、そうですか・・・それにしてもそれ・・・何処かで見たような?」

 

「本当か?思い出せ、俺はそいつも殲滅対象なんだ」

 

「・・・そういえばさっきもお話した通り海の方の採掘場にそれらしきものが入って出ていったのを記憶を失う前に見たことがあります、今から大体2年前くらいですね」

 

「そうか、ありがとう。いずれ会うようなことがあったらその時はまた」

飛ぼうとするとアイカに呼び止められる。

 

「ま、待って下さい、これを」

そう言って1つのディスクと剣を渡してくる。

 

「記憶と…これは?見た感じ普通の剣じゃなさそうだけど」

 

「この集落・・・厳密にはここにあった村の言い伝えにある悪を滅したと言われる聖剣です、何かのお役に立つかと」

 

「なるほど、悪…か、わかった。ありがと」

地面を軽く蹴って、辺りを飛びながら沿岸沿いを睨み続ける。

すると何かに押され気味の抗争中のマフィアを見つける。

マフィアの一人の影の中に入り抗争の様子を見る、それは至って普通のマフィア同士の抗争だが武器や戦い方を見ているとどうやら内部分裂して争っているようだ、その中にリーダーのようなやつは一人も居ないことも気がつく。

 

「なんだ、ファミリー内の幹部無しの割れなんぞあるのか、やれやれ…」

影から出てきて一人を無で完全に消す。

 

「!?」

その一人の死をきっかけに抗争をやめ一斉にシャドーの方を向く。

 

「な、何者だ!?」

 

「なんで争っている?理由を言え」

タバコを咥えて火をつける。

 

「・・・よそ者には・・・と言う解答は求めていないという顔だな、我々はとある理由で戦いを強いられている、おかしくは見えるがこれは抗争であっても皆同意の上での殺し合いだ、邪魔だて無用」

 

「理由を言え。さもなくば消す」

 

「・・・我々のマフィアのボスが死んでな、もちろん跡取りは要るが・・・これが何とも非力なやつでリーダーの素質はあるものの争いごとは避けるような事をして弱腰になっている、そこで遺言の通り息子か或いは『リーダーにつく者を少人数で選び抜き勝ち残ったものをボスにする』と、そういう物がある、それに従っているまでだ」

 

「なら混ぜて頂こう、3秒ほどよこせ」

 

「・・・?、何をするつもりだ?」

 

「あーすまん3秒じゃ無理だ。お前のボスを変えることにした。案内しろ」

 

「変える?」

シャドーの発言で周りがざわつく。

 

「俺は地球と呼ばれていた星の日本という国で活動していたマフィアのボスだ。任せろ。ボスの、部下の上に立つ者の何たるかを教えてやろう」

 

「・・・なるほど、別の組織に力を借りると言っているように聞こえるが?」

 

「案ずるな。今はフリーだし、軽く力添えする教育係とでも思え」

にんまり笑う。

 

「面白い、その考えに乗ってやろう」

 

「良いんですかアルスさん!」

 

「我は面白いやつに興味がある、それにこいつには何か不思議な魅力も感じる」

 

「は、はぁ」

 

「自己紹介が遅れた、我の名は猛蔵(もうざ) アルス、この組織の副リーダーを努めている」

 

「シャドーエッジ・スカーレットだ。ゲレトレイドレス学園の生徒でもある。仕事の粗さが目立つときもあるが性格だ、多少の不始末は水に流してくれ」

そう言って左手を出す。

 

「ん?なんだそれは?」

 

「無と呼ばれる腕の腕だ。触るなよ、死ぬぞ」

 

「無?聞かぬ名だな」

 

「それも仕方ないな、普通じゃ聞かないさ。俺だって純正の無なんてこの腕以外見た事がない」

 

「ふむ?まぁ任せよう」

男はそう言ってアジトに案内する。

それから一通り案内が済んでからボスの部屋に入る

 

「本日よりてめぇの教育係になるクリュエルファミリーのボス、間淵京助。現在の名はシャドーエッジ・スカーレットだ。てめぇがなよってるせいでファミリー内がバラバラになってんだ、責任感じろよ?」

目の前でタバコを吸い始める。

 

「熟知している、教育とは随分と上から目線だな、この私がお前如きに教わることがあると?」

 

「クリス、お前の方こそ随分な言い分だな?まだボスにもなれない半人前のくせに」

 

「ぐっ」

 

「なら問おう。なぜボスにならん、父からの呪縛という訳でもないのはある程度予想がつくが、お前には駒を使う意思が見て取れない」

 

「俺はすべて一人でやる、誰の助けも組織も要らない、俺は守りたいものを守れればそれでいいんだ、なのに・・・」

 

「こいつの友が戦死してな、ある意味呪縛なのかもしれない」

 

「友なら何人も死んだし何人も殺した、自分の背中にある物が自分だけの骸と思うなよ。さらにお前は今父を慕ってくれた父の友を見殺しにしようとまでしている。他人の十字架を背中にいくつも背負うのは勝手だが、その重みを感じないならお前は生物として半人前にすらなれてないさ」

 

「・・・そう、なのかも知れないな」

 

「一ついい案がある」

 

「なんだ?」

 

「この先に採石場があるんだがお前たち二人でそこにある物を取りに行ってもらうというのはどうだ?」

 

「?、何の意味がある?」

 

「お前の一番の友の最後の言葉を聞けるかもしれないぞ」

 

「意味が分からん」

 

「行ってみればわかる、シャドーさんお願いできるか?」

 

「任された、出来る限りはしよう」

アイカに言われた道を通り採石場まで辿り着く。

 

 

「ここが採石場か」

 

「この近辺で無と呼ばれる謎が出入りしている情報がある。それに腕が無になったせいか確かに気配を感じる」

 

「触れたら無に帰るというやつか、噂には聞いていたがまさかそんなものが実在しているとはな」

 

「俺の左腕とこの中が情報ソースだぜ。さぁ、死なないように気張っていくぞ」

 

「わかった、貴様に任せてみよう」

クリスはそう言って今までにシャドーが感じた事のないエネルギーを漂させる、それはまるでシャドーと同じ負そのもののようにも感じる。

 

「この腕があれば多少強引な策が実行できるのか。あいつに弱点が増えるのになぜ…?」

 

「・・・?、そいつはそれを楽しんでいるのかもな、それと自己紹介が遅れた、俺はクリア・エメラルド、ファイタースピリット使いだ」

 

「あー…話には聞いていた。なるほどな、知らん力の源はそれか」

タバコを地面に擦りつけて捨ててから少し歩く速さを上げる。

 

「聞いたことがあったか、遥か太古の昔に使われていた力のようだが今は使えるものはほとんどいないと聞く、俺はそれの【ノーマル】『死を超えるもの』が使える」

 

「んー、死を超えるなんて普通の事が人間はすごい事なのか」

 

「神からしたら小さなことに見えるだろうな、実際俺もこれを今まで本気で使ったことがないから本調子は知らない、俺の親父が言うには『調整と森羅万象』と言う物らしいが?聞いたことはあるか?」

 

「俺も数年前母星から出たばかりでな、生憎だが知らん」

 

「そうか、ある意味おれと同じ半人前・・・いや俺はまだ半人前でもないか、お前も俺もこれからと言う事だな」

 

「未来の自分に殺されかけてみろ、世界が変わるぞ。目的が明確になる」

 

「目的か、俺は自分が守りたいものが守れればそれでいい、それ以外は何もいらない」

 

「人間、何かを失わないと進むことが出来ないのさ。仲間はいいぞ、俺も最近できたが学びと実りが多い。それにファミリーは駒であると共に大切な隣人でもある、みな何ができるのか違うからこそマフィアは成り立つんだ、あいつらの事も少しは考えてやれ。長年戦を共にした友の血を見るのは何より残酷だぞ」

 

「俺はもう血は見たくないんだがな・・・ん、着いたぞ」

クリスがそう言うととてつもなく広い空間が現れる。

 

「ふーむ…やってみるか」

左腕を二つの塊の霧に変え、それらを錬創術で辺りを徘徊させる。

 

「この霧も危なそうだな」

そう言ってクリスは少し後ろに下がる、霧で辺りを探索すると異様なまでに『何か』が徘徊しているのが分かる。

 

「霧どころじゃないさ。良く分からんのがうじゃうじゃいるぞ、いくつか無も混じってるはずだ」

すぐに腕を戻し右手で創神器を取り出そうとするが焦ってアイカから譲り受けた剣とぶつかってしまう。

すると剣が妙な力を発する、その力はまるで創神器そのものだ。

 

『我を呼び出した者は誰だ』

低く少し冷たい声だ。

 

「創神器…?それにしては力がでかすぎないか?」

シャドーがうんうん唸っている。

 

『我は創神器『アルペジオ』空白の戦争時代の英雄器である、その辺の創神器と一緒にしないでもらいたい』

話しているアルペジオに対して少しシャルが怯えている。

 

「?、お前誰と話している?」

クリスが話しかけてくる、どうやらこちらの会話は届いていないようだ。

 

「なんだ、お前には見えないのか。馬鹿みたいな力を持った剣が出てきてな、ちと冷たさそうな奴だ」

シャドーは不服そうにアルペジオ見る。

 

『・・・我は古の時代は無を倒し過ぎて退転して愚かな剣よ、主は死に我も無との対戦で敗れ封印されたからな』

 

「無を殺せるのは嬉しいが…協力する意思は?そこが重要だ」

 

『そこの若い創神器はまだ半人前のようだがこれからのようだ、それを使ってやるといい、しかし忠告はしておく、それで無と戦いすぎるのはやめておけ、我はお前の影の創神器としてお前に仕えるとしよう』

 

「じゃあシャル、ビビってないで無を消すぞ」

二十固めの肆を解放して一番近い無に斬りかかる、しかしそれは無ではなく、無の力を帯びた起爆札であった、それは攻撃と共に光り出す。

シャドーは咄嗟に無の腕で大きな壁を作り爆風などを完全に相殺する。

 

「!?、おいシャドー!大丈夫か!?」

 

「俺を誰だと思ってる?これくらいじゃ何ともならんさ」

内心相当ビビってるのだがそこら辺は表に出さない。

その爆音を聞きつけたのか、かなりの大きな力が集結しつつある。数は約500万強と言ったところだ。

 

「ここは無の巣窟か何かか!?」

クリスを掴み、無で地面をかき分けながら採掘場を抜ける。

そして左目に三つ首龍を宿して目を向けると約5千億強ほど居る。

その中から8百万程がシャドーと同等の力を持ったやつがいて、それらはすべて統率が取れている。

 

「ふーむ、結構やばいな」

クライシスがいつの間にか三つ首で採掘場を見ていた。

 

「お前ッ、どの面さげてきやがった!!」

 

「流石にお前一人じゃ捌けないさ、死なない程度に手を貸してやる」

クライシスは虚無臓に溜めた無王の無を左腕から吹き出させて左腕を元通りにする。

そして一人で突進していき、シャドーは舌打ちして後に続く。

 

「50万は捌けるようにしておけ、こいつらのあやし方は簡単だ。自分の無を脳に送り込んで奴らと同じアルゴリズムを全身に叩き込み、奴らの動きの一つ一つを当てはめ手段を割り出すんだ」

 

「簡単に言ってくれるじゃないか」

左腕から脳に無を送り込むが初めてタバコを吸った時のように軽いめまいを起こす。

しかし多少の動きが見えてくる。

初手は何とかクライシスとシャドーが防ぎきる。

 

「これが無か、面白い」

クリスが能力を発動し抗戦する、普通の力なら全て無に帰り通用しないはずだが何故か何体かを捌くことが出来ている。

そのどれもが中身が無くまるで抜け殻のように見える。

 

「妙な奴らだな、俺は本物と半分しか知らないからな…」

(変異種ではあるが普通の奴らより幾分か弱い…しかし何か隠している感じが嫌らしい…)

クライシスはささっと13万匹潰しにやける。

一方シャドーの方は何とかシャルで6匹倒す。

 

「くそっ、半無よりは強いじゃないか!!」

思わずシャドーが力んだ瞬間何か今まで感じた力とは別の何かを感じる。

 

「シャドー今感じていると思うがそれが神力と妖力と無が混ざったときのエネルギーだ。それらは不安定過ぎるが扱えるようになれればパンチで宇宙一つ消せるからな」

クライシスは余裕ぶっこいて遊んでいると無に一発殴られる。

無傷だ、しかし心なしか少し体が気怠くなる、そして殴った奴の腰から下に肉がつく。

 

「吸収系か…?」

更にどんどん殴られる、すると殴った奴が完全に人の形の取り戻す。

 

『・・・ハハハ、オモシロイナ、オモシロイナ、アハハハハ!!!』

言葉を発すると同時に歪み狂う魔法陣が足元に展開される。

 

ファイタースピリット『虚無』

時空を破壊し吸収すし拡大する虚無、それはそこを知らない闇だ。

 

『タノシイタノシイコロシアイ♡』

そう言って魔法陣から体の50倍大きな槍を取り出し仲間もろともシャドー達を薙ぎ払う。

クライシスはそれを無を表面に張った目玉で受け止める。

 

「これが楽しいのか?だとしたらお前、相当キマってんぜ?」

クライシスは槍を持って投げ返す。

無はそれを意図的に腹で受け地面に流し込む。

 

??『覇王』

星が叫び狂う、星の生命の喰らい無の槍が地面から生えシャドー達を襲う。

 

「お前ら邪魔だ、少し避難しておけ」

クライシスはシャドー達を自分の船の中に転送させ槍に刺されながら無を宇宙空間まで蹴り上げる。

 

『ナニナニ?アタラシイワタシノハレブタイ?ウレシイワ~』

 

「なんだよお前女か、可愛げあるじゃないか」

 

『アラアラアリガトウ?』

無はそう言うと時空を裂き中から何か【この世にあってはいけないもの】を取り出す。

 

『コレはワタシノお気に入り♡、全てをクラッテ成長するカワイイカワイイ愛しのコ♡』

 

無神器『ハオウ』

大きな槍のような形をしているが奴はそれを杖のように振っている。

 

「シャル、そろそろ俺たちも起きようか」

 

【ペインキラー】

シャルドニュクスの頭部分から無と妖力が練り合わさってできた鎖が伸び、無と妖力と神力が練り合わさった脇差が生み出される。

 

「さぁ、二十固め解放縛りでどこまで行けるかね」

タバコを捨てて速さという概念を超えた移動で無の眉間を突く。

 

『ダメヨ坊や、ハヤサニ頼ってきては』

神知と概念を超えたはずの攻撃は何故か眉間に当たらず、それどころかさっきと全く変わらない位置にクライシスは居た。

 

『概念を捨て、知を捨て、有を捨てて、カカッテキテチョウダイナ?』

無は空間をヒラヒラと舞う。

 

「惚れちゃうぜこんなん…ぜってぇ殺してやるからなぁ!!」

楽しくなっちゃったのか普段のクールな化けの皮が剥がれる。

 

「世界線変動あたりか…?」

 

『アラアラ考え込んじゃって・・・カ・ワ・イ・イ・ワ・ネ?』

無はそう言ってゆっくりと槍を振る、それに合われて宇宙の景色が虹色に輝く。

 

『コケテゴランナサイ?』

虹色の宇宙は一瞬にして小さな小宇宙へと変わりクライシスにゆっくりとそれこそ亀のようにのろのろと寄ってくる。小宇宙の向かうベクトルを真逆にして放出型にしようとするが全く変化はない。

 

『マダマダヨ?概念は捨てなさいな・・・そうね?ガイネンではあっても存在ではない、空理論であっても有理論ではナイノヨ?』

クライシスは自ら新たな世界を別の空間の一角につくりその中に入る。

そのせかいは全ての世界線がいくつもの分岐をつくり枝分かれしながら広がっていく。

そしてクライシスは無の眉間に創刀を刺す瞬間の世界線に入り全ての世界線と連動させる。

 

『アラアラ大胆な坊やネ?時空を歪めて世界線を連動させるなんて、でも残念♡そういう物ではナイノヨ?』

連動させたはずの世界線はジグザグの枝のように交差し混ざり合い歴史を改変する、しかし相手は無だ、そもそも歴史は存在するはずが無い、奴は平気な顔をしているがその折れ曲がった世界線で唯一原型を留める空間があった。

その空間は何もない世界、生まれるはずも創り出されるはずもなかった宇宙の歴史だ。

 

『あなた達有にはあって無にはないもの、それは存在ヨ』

そんな会話をしているとアドバンスが割り込んでくる。

 

「やあクライシス」

 

「ん、なんだよユウタ。随分とでしゃばるな」

 

「なぞなぞをしようと思ってな、それに奴の力は割と単純だったし」

 

『ン?殿方はダレカシラ?』

 

「お前の言う概念の無い存在さ、シャドーもしお前はコンクリート壁に押しつぶされそうになりました、さてどうしましょう?」

 

「ぶちやぶる」

 

「・・・ならそれをやればいいのさ、いつも通り、簡単に壊せ!」

ニヤニヤと笑いながら宇宙の方を指差す。

 

「なるほど!!」

クライシスは余裕を取り戻しタバコを咥える。

そして腹を殴りその瞬間に自分を中心に無の大爆発を起こす、すると空間の凝縮の破壊し概念を捨てた境地にたどり着く。

 

『ソウ、概念を捨て、知を捨てて、至る境地よ』

 

「知を捨てたらそこに残るのは無秩序のみだ。それが存在しなければまず何もかもが生み捨てられ散ってしまうじゃないか。お前は俺に新たな境地を教えてくれたが、知を捨てるなんて戯言は見逃せないな、お仕置きだ」

 

『ナマイキナ坊やネ?ならかかってきなさい、本当の神を戦いを見せてあげるわ!』

亀のように鈍かった弾は瞬間、クライシスの胃と入れ替わる。

入れ替わったことが無かった世界線を無理やり捻じ込み、無へボディブローを叩き込む。

その部分とシャドーの腹を入れ替え自らはクライシスの頭と自分の頭を入れ替え乗っ取る、同時にクライシスの方の体に『死んだ』という概念の定理を移動させる。

 

『コレデオシマイヨ』

 

「悪いが俺も俺でお前の体を頂いている。乗っ取りに長けているのは俺の方だ」

そしてクライシスの体が死んでいないという概念を定理し、シャルドニュクスを手で持ち無の体を拒否反応を起こす。

それにより瀕死になりながら自分の首と相手の首を切り落としシャドーは無で紡いだ神経を自分の体に繋ぎ合わせて元通りにした後シャルドニュクスを手に持つ。

 

『サスガ、見こんだだけの事はあるわね♡これではじり貧だしこれで終わらせましょう・・・神の戦いとは元来から知性の知性の戦い、どちらが優れて知性を持っているかで強さは変わる、貴方はそれを知っている、そして私はそれを思い出した、ありがとうね、クライシス、いえ、アトランテの子よ』

 

『忘却の彼方へ、至る日の夢を、儚き姫の夢は数多の線香花火であるよかれ』

【忘無】『美姫』

桜の花びらが舞うように概念が宙を舞う、それは宇宙(そら)を入れ替え歪み、そこには歴史以外の全てを拒絶する。

 

『歴史とは人の思い出、さあ、どうする?』

 

「神は知性による戦こそが戦い、か。いい教訓だな、生憎俺はまだ青いからな。№0としては武力で抜けさせていただく」

 

『それもまた知性よ、坊や♡』

クライシスは左目も無に変え花弁のような概念の散る先を見ながら避けて強く殴る。

それはまた殴られなかった世界と入れ替わり意味を無す。

 

「クライシス!惑わされるな!お前のやってきたことを信じればいいんだ!お前がやりたいことは何だ!」

 

「全てを消してやることに決まってるじゃないか!!」

 

『ふふふ、私の大技、戦闘向きじゃないのよね~♡』

クライシスは創刀をしまって拳を強く握りしめて無相手にまっすぐ突進する、それは花弁をかき分け拳は軽く奴に到達する。

 

『正解、貴方はまだまだ強く、強くなるわよ?貴方の歴史には破壊に溢れていた、絶望しかなかった、それは貴方がよく知っている、そしてそこに何も生まれないことも貴方は知っている、なら有の世界を探求し新たな概念を見つけなさいな』

 

「じゃあその一歩としてあんたの命を頂こう。船に乗っとけ」

 

『・・・アラ?殺さないのね?』

 

「ばかか。こんなすごい奴殺したら罰が当たっちまう」

 

『神が罰?面白い事を言うわね?ならお言葉に甘えて』

 

「お前名前は?」

 

『レイ、レイ・アッガスアトランテ・ソウよ』

 

「母の敵対勢力側か。皮肉なもんだな」

シャドーとマフィアのガキを船から蹴り飛ばし、クライシスはソファに寝転がり一瞬で張りつめていた顔は緩みきる。

 

「もうぜってぇ働かない…」

 

『そこの二人、忠告しておくわ』

レイはそう言ってシャドーとクリスを指す。

 

『黒と白には気を付けなさい』

レイはそう言って小さな宝石へと変わり床に落ちる。

 

「あ、やられた。よし、白と黒、殺しに行くぞ。せっかく手に入れた良駒を…許さん」

シャルの鞘に手をかけると急に実体化して蹴り飛ばされる。

 

「あのね!マジもんの無とやりあって疲れてんだから休みなって。死なれると私も困るのよ?あんた以上に面白い使い手なんて中々いないんだから」

 

「しかし俺は№0…疲労なんてないはず、俺は万物の頂点なんだ!」

 

「うっさい!寝てろ!!」

シャルの本気のグーパンでクライシスは眠りにつく。

 

「と言う事なので気をつけてくださいねシャドーさん」

未来の方のレミーは苦笑して手を振る。

 

「…俺ら詰んでね」

 

「・・・あんな戦いみせられた後じゃ戦意喪失するな」

 

「え、遠足は始まったばっかだし仕方ないさ…」

鬱気味にシャルドニュクスを担いで採掘場の先に進む。

 

「遠足ってお前・・・まぁいいが、これからどうする?正直あれらとサシでやる気は俺にはないが」

 

「俺は動けないことはないがあんな数は無理だな。5分で六匹程度がいい所だ」

 

「・・・後、約443万体・・・」

 

「あいつなんでこんなところに向かわせたんだ…冥界に行った方が早いんじゃないかこれ…」

 

「さて、お前は俺の教官だったな?なら作戦でも聞かせて貰おうじゃないか」

 

「こういう時だけ学ぶ姿勢みせてんじゃねぇ。とにかく隠密行動するしかないだろ、白と黒の所まで最低限のエンカウントで済ませる」

 

「わかった、それで行こう、しかしそいつらに会ったところで勝算はあるのか?」

 

「ないが何とかするしかないだろ。じゃなきゃ生きて帰る事すらままならん」

 

「俺も何かあるらしいしな、おめおめ逃げ帰る訳にもいかない」

 

「死ぬ算段はお決まりですかな?」

顔を隠したピエロの様な男が話しかけてくる。

 

「何の用だよ、声で分かるぞバカ」

 

「えー、そこは「誰だお前」とかだろ~」

 

「・・・知り合いか?」

 

「こんな奴知らん。きっと人違いさ」

 

「私も彼の事は存じ上げませんね~、隠密に行きたいなら入り口までは案内しましょうか?」

 

「・・・俺は正直そうしてもらいたいな」

 

「なら言葉に甘えようじゃないか」

 

「御意」

ピエロがそう言うと次の瞬間さっき起爆へマをした場所に送られる。

 

『ご武運を』

 

「・・・神って便利だな」

 

「だろう?俺もそう思う」

シャドーがタバコを咥えようとすると馬鹿みたいな笑い声が聞こえる。

 

「わひゃひゃひゃひゃ!!こいつらざっけー!!」

レゾンが体を大きく反らせて変な体勢で無を蹴散らしまくっている。

 

「…何も見てない何も見てない」

シャドーが踵を翻そうとするとレゾンがねっとり絡んでくる。

 

「おーいおいおいおい、それはよくないって~。君…今帰ったら俺が殺しちゃうよ?」

 

「り…理不尽だ…」

 

「クライシスから援護を頼まれてる。仕方ないから手を貸しはするけど、俺らはあくまで敵なんだ。寝首を掻かれないようにな」

 

「俺がそれをさせるとでも?」

クリスはファイタースピリットを荒げながら手を向ける。

 

「うん、必ず成功するぜ。ただ君は危険だからな、一瞬で眠ってもらうようにする。で、お互い緊張感も出たことだし進むぞ。俺が騒いだからここに相当な数の無が集まる。俺の能力で適当に横道を作るからそれで場所を探られないように進めばうまいこと行けるはずだ」

 

「わかった、しかし俺にはお前たちの様な武器が無いのだが何かそういう物を出せないか?」

 

「ないね、正直君は戦力としてみていないから。なにかかしてあげることはできるが俺はそれをしない、せいぜい生き残れるように努力するんだな」

 

「ちっ、神ってのはケチだし口が悪いな、まぁ事実だが・・・」

クリスはそう言って少しファイタースピリットを緩める。

 

「おっと、訂正があるね。俺は神じゃないよ。ただの人間、無の世界で数年修行を積んだらすこしどこかがイかれるのさ。だから正しい括りは「得体の知れないもの」になる。生物としてみないでくれ」

 

「人・・・ね?生物を越えた先の存在か、本当に頭がどうにかなりそうだ」

レゾンの然力により進んだ先が削れていく。

そしてシャドーの三つ首の目で黒と白の無が居る穴へ落ちる、そこは白い宮殿の様な場所だが至る所に本棚や何かの機械などが置かれていたりする、そして何よりそれらすべてが白い揺らめきのように見える。

 

「お、俺これ見たことあるよ。これはあっちの世界の建造物だ。シャドー、君なら視れるはずだよ。ただ、目も無にする必要があるね。できる?」

 

「やってみよう」

しかし現在のシャドーでは腕に直接干渉する変化しか扱えないため眼球として扱うことは不可能。

そこでシャドーは腕から無を伸ばし眼鏡のように加工する。

そしてそれを腕に付けたまま掛ける。

そこには得体の知れない生物や見た事のない化け物、人、動物などがバイオカプセルに保管されており診察台の様な物には体の中身を全て抜かれた魚の開きの様な人が寝かされていた、さらに本棚には『倫理破』、『理論破書』、『概念転換』など訳の分からんないものが数多く収められている。

 

「持って帰ったら研究者が発狂しそうだな」

シャドーが笑っているその横でレゾンは虚無臓から分泌された無で目を覆い書物に目を通していく。

 

「俺の彼女が見たら喜びそうだな」

こっそり数冊パクってリュックの中にしまう。

 

「おいおい、こんな得体の知れない靄なんて持って帰ってメリットはあるのか?」

 

「君も馬鹿だな。ファイタースピリットでこれの下位互換はできる。そしたらこれが重要文化財になることが分かるさ」

 

「?」

クリアは言われた通りFS(ファイタースピリット)で目を覆い確認する、すると見てはいけない物を見てしまったような顔でレゾンを見る。

 

「今俺を見て分かっただろうから言うが、俺は常に体に無の蛇の様な物が這いずり回っている。特に何も害はないしたまに女になるからいいけど、もし襲われるようなことがあったら言え、〆る」

そう言って蛇の頭を指でなぞる。

 

「・・・まぁわかった、でもFSって意外と需要あるんだな、そいや完全に無意識だったがあいつらの攻撃耐えてたな俺」

 

「自覚がないようだから言っておくが、しっかり力を全体に回さないと攻撃によって削れたままでいつか剥がれるぞ」

 

「そうなのか?なら気をつけよう」

クリスはそのまま研究所のような場所を徘徊する。

 

「クライシスが見たら喜んで人間の方に行くんだろうなぁ」

そう言ってレゾンも開かれた人間の中を見る、それは体の中に何かが住み着きながら寄生する生物がうじゃうじゃと居り喰らった部分から肉が無くなっているようだ、しかし皮膚部分だけは何故か手を出していない。

 

「皮膚には手を出さない、か。半無の解剖実験か?」

皮膚を剥がし口の中にいれる、しかしそれはただの人の皮膚のようだ。

 

「なんだ、普通の人間の味だな。ん~??」

 

「おいおい、そんなもの食べて大丈夫・・・」

クリアがそう言って近づこうとすると全員の後ろにとてつもない寒気が走る。

いち早く気づいたレゾンがシャドーとクリスを研究所の外に蹴り出して自分も早く出る。

 

『アレ?オカシイナァ?確かにナニカノ気配がシタンダケド?』

そう言って人の形とは言えぬもののそれなりに近い『何か』の子供の様な物が光の部分からシャドーが影から現れるような感じに同じように現れる。

 

「何かいたのか?」

そして後から扉のような場所から『確実に関わってはならないもの』と言わんばかりの眼帯をした男が現れる、それに対しシャドーとクリスは息をするのを忘れるほどの恐怖を全身に感じる。

 

「黒と白はまだ下だな。しかもこいつらいきなり現れやがった」

シャドーは恐怖で声を震わせる。

 

「…少し俺が話してくる」

レゾンは瞬間移動で研究所の前に現れる。

 

『アハハ、お兄さんみぃつけたぁ?』

子供は後ろで禍々しい言葉を放つ、レゾンは本能的に『何かされた』と一瞬にして感じ取ることが出来た。

 

「ユイ、やめるんだ、それはターゲットじゃない」

 

『エ?ソナノ?じゃあお兄さんだぁれ?』

 

「俺はこの採掘場最下層にいる黒と白の無を殲滅するために来たんだ」

 

『アレヲタオスノ?アハハ、バカなの?』

 

「どうやら本気の様だな、それにお前はこことは違う世界の住人のようだ、しかしあまり人がここに居るもんじゃないぞ、早急に帰還を勧める」

 

「生憎普通の人間じゃなくてね」

体から無を少しだす。

 

「なるほど、半無殿か、これは失礼したな、観光、楽しみ給え」

 

『ネエネエ、オニイサン?この辺で神様見なかった?』

 

「見たぜ。そいつらがどうしたんだ?」

 

『ワカッテルクセニ~野暮な人だなぁ~』

 

「殺す、それが仕事だ」

 

「なるほど、それならば俺は手を貸せないな。流石に俺も神には対抗できんさ。じゃあ、頑張れよ」

 

「そうは見えんがな?まぁいい、私の名は『ディレンデル』、レン星から来たものだ」

 

『僕はユイ!どっかの間抜けな成りそこないの『宝具』の弟さ』

 

「すまん、こいつはまともに会話が出来なくてな、こいつの名はアムト・ユイ、『無宝具』のホログラムだ」

 

『あ~早くおねぇちゃんに会ってぐちゃぐちゃにシタイなぁ』

 

「お前は少し黙っていろ、話がややこしくなる、すまんな、そう言えばお前の名は何という」

 

「第一宇宙出身、レゾン・リヤンだ。おそらく今学園からクライシスの名と共に指名手配されている。縁があったらまた会おうじゃないか」

 

「お前も追われる身の者か、まぁせいぜい生き残ろうな、同じ人間として」

男はそう言ってテクテクと歩いていく。

 

『バイバイ~オニイサン~』

子供は霧のようになって消えていく。

レゾンは心臓の鼓動が強く打つのを感じながらシャドー達の元に戻り二人を掴み地面をすり抜けてさらに下へ行き、そこで会派の内容を詳しく説明する。

 

「おそらくだが、クライシスでも苦戦するような相手のはずだ。しかし友好的にしていけば悪評も轟くだろうしな。俺たちからしたら好都合だ」

 

「レン星・・・とか言ったか?なんなんだあれは?本当に人なのか?」

 

「俺も昔2回だけ行ったことがある。神殺しを生業とするものが多く住む星だ」

シャドーが説明をする。

 

「神殺し・・・それで神を追っているのか、厄介だな」

 

「あんなに強い住民は類を見ないがな」

レゾンが笑って言う。

 

「・・・ただでさえおっかない場所なのにさらに敵追加か、泣けてくるね」

 

「まぁ、あいつらに会いそうになったら俺はお前らと戦闘ごっこをするからいいさ、せいぜい死ぬなよ。それにお前は人間じゃないか、先に狙われるのは神であるシャドーだ。それにあの男の名前、宝具の名だ、流石に身震いしちゃうね」

 

「…さっさと最下層に行ってしまおう」

レゾンの能力で最下層を目指す。

そこは採石場と言うだけあってたくさん鉱石を掘った跡が残る跡地だった、そこに二人だけジャンケンをしながら何かを待つ者たちがいた。

 

「死ぬ覚悟はできたなお前ら」

レゾンがにやけながら笑えないことを言う。

 

「滅多な事言うんじゃねーよ・・・本気であれとやるのか?」

 

「きっとやりあうことになる。なんせレイをいきなり封印してくるような奴らだしな。恐らく封印したらここに来るとふんでいたんだろう」

シャドーは人生最後の一本となるかも知れないタバコを吸い終える。

レゾンを先頭にゆっくり二人の方へ向かう。

 

『遅かったじゃないか、待ちくたびれたよ』

『遅かったじゃないか、もうクタクタだよ』

双子のように交互に話しながらゆっくり立ち上がるそれは揺らめく白の影、それは全員が目にしてきた『何か』と異質のものだった。

 

『僕はもうお腹ペコペコだよ』

『私はもうお腹スキスキだよ』

声をそろえユラユラと宙に浮く。

 

「ヤバくなったら疲れててもクライシスを出す。きっと俺らより戦力になるからな」

レゾンは創鎌を構える。

 

【クレイジー・パフォーマンス】

創鎌は一回り大きくなり、鎌の部分に文字が浮かび上がる。

シャドーはアルペジオを呼び出す。

 

『なんだ?』

 

「手を貸せ、生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ」

 

『あいわかった』

 

『わあわあ、すごいな、英雄器だ』

『わあわあ、すごいな、どうやってぼくたちの封印を解いたのかな?』

二人が顔を見合わせて話あう。

 

『すごいねすごいね、楽しいね』

『すごいやすごいや、面白い』

『それなら』

『ボクたち』

『ワタシタチ』

『有象無象を相手してくれるんだよね?』

『『有の者達?』』

 

「…クライシス来てくれないかなぁ」

シャドーは悪態つくとクライシスはニヤニヤしながら椅子とテーブルを持って降りてくる。

 

「せっかくだから生で見ようと思って」

シャルはもう私服に着替えており、ファッション誌とポテチを脇に挟んでいる。

 

「ああ、くっそ!!どうにでもなれ!」

シャドーはアルペジオで一閃する。

それは見事に綺麗な孤を描きその描いた孤を飛ばして斬りつけるが、あっさりかわされてしまう。

 

『先手必勝!なんて思った?』

『ボクたちに勝てる、そう思った?』

一呼吸おいてまた話し出す。

 

『無理無理、だってこれは遊びだから』

『無駄無駄、だってこれは遊びだから』

『私は無象』

『僕は有象』

『『無を司る物なんだから』』

 

【有象無象】『森羅鋼零』

 

「俺もう帰りたい」

 

「勝てば帰れるさ」

レゾンは鎌の柄に乗り、バイクみたいな感じで突進し、無象の方に一振り入れる。

それは当たると当時に無象を切り捨て殺す。

 

『お見事!』

『凄い凄い!』

しかし何故か死んだ方とは別にもう一人有象の横で拍手をする。

 

『最初は間違え探し!』

『どれがボクたちでしょうか?』

そう言うと空間が別の場所と入れ替わり地面と空が反転した世界へを誘われる、そこには堪えない笑いと悲鳴、そして数多の有象無象が居る。

レゾンが目に無をつけて辺りを見回す、しかしどれも全て本物と言う事しかわからない。

 

『あーずるいずるい、反則だ―』

『あー汚い汚い、反則だぞー』

そう言った声が空間を響き渡る。

 

「もういい、全部殺してやれ」

レゾンは腹が立ったらしく鎌を持ってプルプルしている。

 

「やめとけ、どうせ意味がない。きっと何かひねりがある」

シャドーはタバコを吸って思考を凝らす。

そして少し強めに地面を殴ってみる、しかし効果はない、だが心なしか地面にも無が含まれていることが見て取れる。

 

『おー頭いい、対処法知ってるね』

『わー頭いい、それ知ってるんだね』

『でも違うよ、そうじゃない』

『これは間違え探しなんだからね』

クスクスと笑い声が響く。

 

「いけ好かないガキ共だな、ならこいつら全て殺せばいいんだろ」

クリスはそう言って一体に斬りかかろうとする。

 

「やめとけ、いいことないぞ。とにかく間違い探しだ、ルールに従えば一旦は前進するんだ、分かりやすくていいじゃないか」

クリスの顎の下にタバコの火種を押し付ける。

 

「あっち!?何しやがる!?」

 

「余計なことするから」

少し空に浮いて上空から地面を見てみる、するとそこは遊園地の様な見た目をした空間でよくわからない生物が徘徊している、それらも次々に有象無象を食い殺している。

 

『あるの?』

『ないの?』

『なんだろうね?』

次にシャドーは有象無象をいくつかと見比べる。それらはふざけた顔をしている物や全裸の者、料理をする者、おめかしする者、旅商人、若妻、中二病の者など多種多様な『おかしなもの』だった。

 

「つまりまともな奴を探せってことか…?そして地面がヒントで地面にも無を感じる、と」

高く跳び、無の腕で強く地面を殴りつける。

 

『だから違うってば』

『そこに僕たちは居ないよ、あるのは・・・』

『『たくさんの無象!』』

同時にそう言うと地面が裂け海の水の様な白い液体が遊園地を襲う。

 

「おい!シャドー!これまずくないか!?」

 

「津波と同じだ。飛べばいいじゃないか」

レゾンは鎌をバイクのように扱いクリスを救出する。

 

「た、助かった」

下では有象無象以外の全てがホログラムのように消えていく。

 

『早くしないと』

『ゲームオーバーだよ?』

シャドーが創刀を構え巨大な斬撃を飛ばす、それは空中で静止しそれに有象無象が集まってくる。

 

『かっこいいねかっこいいね!刀だ!』

『かっこいいねかっこいいね?私分からない』

 

「ちっ、なめやがって・・・」

 

「男と女で分かれてらっしゃる」

シャドーがタバコを吸いながら答える。

 

『ピンポンピンポン!正解!』

『僕は有象に居る』

『私は無象に居る』

『答えは単純明快』

『それがボクたちさ!』

正解すると空間が元の場所へと入れ替わり静けさが戻ってくる。

 

『お見事!』

『お見事!』

二人はシャドーに拍手を送る。

 

「なぁんか、釈然としないな…今すぐにでもこいつらをぶちのめしたい気分だ」

 

「こいつら・・・何か変だ、何か不思議なオーラを放っている・・・」

 

「そらそうさ、普通の奴なんてここ最近見たことない」

シャドーは呑気にタバコを吸って有象無象を眺める。

 

「・・・さて、どうしてやるかこいつら」

 

『へへへ、僕に勝てるかな?』

『ふふふ、私に勝てるかな?』

 

「・・・ちっ、なめやがって」

 

「さーて、負け覚悟でやるしかないぞ」

 

「クライシス居ればぱぱっと終わるんだけどなぁ」

シャドーはタバコを投げ捨て、レゾンは悪態をついて鎌を構え直す。

 

「どうやって、倒すんだ?」

クリアは素手で構えながら少しずつ歩みを寄せ言う。

 

「レゾン、無を脳に送れ。あいつらの力が必要不可欠だ」

 

「ばか、俺の中の無はそこまで優しくないんだ。あいつに脳を貸したら俺の体ぜーんぶ持ってかれちまう。いいか?お前の中の無は特別な人なんだ、慈悲に感謝しやがれ」

 

「ふむ…そういう物か。ならいい、合わせろ」

シャドーはふたたび無を脳に送りこみ、構えてから吸血鬼、人、神、あらゆるものを越えた速さでかかと落としを無象にかます。

 

『ふふふ、私と遊んでくれるの?嬉しいな~』

『ちぇっ、無象の方に行ったんだ~、つまんない~』

 

無像はその渾身の一撃をモロに脳天に食らったはずなのに何気ない顔をして平気で立っている、そうしてそいつは言霊を一回だけ呟く。

 

『デス』

そいつはそう呟くとシャドーは脳天から強い衝撃を受けて地面に顔を埋める。

 

「大丈夫か!?シャドー!?」

 

『君は僕の相手さ~』

有象はそう言ってクリアの顔を握り天高く投げやる。

 

「ぐっ!」

 

「女の方を俺が選んでてよかったな、無象は名前の通り無だからな」

埋まっていたはずの顔はそこにはなく、無象の後ろで胸をどう揉むかを色々な体勢で模索していた。

 

『ふふふ、私に気があるの?』

 

「見た目ガキの胸でも胸は胸だからな、それに俺は別に恋情や性欲と言う物は存在しない」

無象のまな板を撫でる。

 

『ふふふ、面白い人だね貴方、気に入ったわ、少しだけ種明かし!』

無象はそう言って無数にまた増える。

 

『世界には質量があります!無から有は生まれません、それは宇宙の原則です、では私は何で出来ているでしょうか?』

 

「やっぱり、無なんじゃないか?」

 

『ん~君は無をなんだと思ってるのかな?無限のエネルギー?万物の頂点?それとも力の頂点かな?でもどれにしてもハズレだよ、君はまだ無の『存在意義』と『森羅万象』の意味を知らなさすぎるね、どこの生まれ?』

 

「仕方ないさ、こいつは片腕を無にしてから日が浅い。つか数時間も経ってないんじゃないか?って感じなんだよ、今から色々教えてやってくれ、最悪殺しても構わん」

クライシスがティーカップを手にして降りて来た。

 

「そして有象、そいつを殺されると色々困る。俺もまだ傷は貰いたくない」

有象が反応できないほどの速さで股間に手を伸ばす。

 

「ふむ、やはり男か…残念だ」

 

『君たち本当に楽しいね~』

『ん~私たちに教えを請うの~?』

 

「ぐっ、こいつ、なんて強さだ・・・!」

 

『君が弱いだけ、僕まだ五歳なのに』

『本当にね、大人として恥ずかしくないの?』

 

「こんな五歳児が居てたまるか・・・」

 

「…!?無象、結婚しよう」

クライシスが無の力で動き、無象の左手を手に取り頭を垂れる。

 

『やだ』

クライシスはショックで虚無臓の管理を誤り、無を吐血する。

 

「と、友達からでも…」

 

『やだ』

その一言でクライシスは完璧に落ちた。

 

「もう学園転覆とか知らん…5歳児すら口説けない雑魚なんてできるはずもないんだ…あぁ…鬱だ死のう」

 

「なんだよクライシス、たらしまだ抜けてねーの?ばっかだなぁ……無象ちゃん、俺と付き合ってください!!」

 

「お ま え も か!!」

シャドーが気持ちの良い所でツッコミを入れてくれた。

 

『えー』

無像は少し考える。

 

『そうだなぁ・・・君、すごく面白い力持ってるけど、ちょっとまって欲しいなぁ、だって君彼女居るんでしょ?』

 

「彼女は…あー、無の方に居たんだった…よっしゃ別れて…」

するとレゾンの携帯に電話がかかる。

 

「はい、レゾンですが…あ、ひっさりぶり~」

 

「あ、え?彼女が出来たから別れる?お前おんn…あっ、レズの方でしたか…お騒がせしました…」

レゾンは複雑な顔で無象を見る。

 

「この気持ちって一体何なの?」

 

「闇の炎に抱かれて消えろ」

クライシスはもう嫉妬しか残ってないようだ。

 

「で、こいつから何を教わろうってんだ・・・」

 

『そうだね、私達に何を教わりたいの?』

 

「無の何たるかを少しね。あのバカが無を扱う上でなにかヒントにでもなるだろ」

 

『無を扱うか・・・逆に効くけどそもそも君たちは『エネルギー』や『力』を『操る』とか『扱う』とかそういう目でしか見てないのかい?』

 

「見てないな」

シャドーは勿論のこと即答。

 

「俺やクライシスの場合俺の中に入って虚無臓が生成されてから人格を持つようになった。それからは少し鼻につく隣人感覚だな」

 

「力を貸してくれる嫌な奴」

 

『ふ~ん、人格か~・・・君、一回帰って勉強し直したほうが良いんじゃない?今の君を倒しても面白くない』

 

『でも少しは教えてあげたほうが良いんじゃない?』

 

『ていうか、なんで君こんな所に来たの?』

 

「この惑星にある宝具の回収だ」

 

『宝具?ああ、レイルの事か・・・』

『諦めな、どっちにしろ今の君じゃ起動はおろか持ち去ることすら出来ないよ』

 

「それは困るな、持って帰らんと殺される…」

シャドーは真面目に震え出し、それを見て笑い出すクライシス。

 

『でも事実だし、そっちの貴方ならできるけど君が手を出すと世界干渉を壊しかねないからなぁ』

『できればやめていただきたいね』

 

「重々承知してるさ。出すつもりはない」

 

「さぁて、どうするか…」

シャドーはタバコを咥えて考える。

 

「お前、レイルが欲しいのか?」

 

「いや、ある人に命じられたから持って行くんだ」

 

『・・・ねーねーさっきから思ってたんだけどさ』

『君、変な気配はなってるね、何者?』

 

「あ?俺か?」

クリアが不思議そうに指を自分に指していう。

 

「お前以外に誰が居るんだよ」

クライシスは椅子に座ってビールを飲み干している。

 

「・・・俺はただの人間だ、お前たちとは違う、普通の人類だ」

 

『へぇ、普通の人類?』

『へぇ、ただの人?』

 

「な、なんだよ」

 

『シャドー君はこいつのこと知ってるのかな?』

『”これ”が何なのか・・・を』

 

「昔どっかで聞いたファイタースピリットを扱う謎の人間だ」

 

『あー違う違う、”それ”じゃないよ』

『これの”正体”さ』

有象がそう言ってクリアの首根っこを持つ。

 

「な、何しやがる」

 

『よくもまぁここまで純粋に人に化けられたものだよ』

『よくもまぁここまで人の心に近い体を持てたものだよ』

 

「な、何を言ってやがる」

有象の首を絞める力が強くなるに連れてクリアが苦しそうな声を上げる。

 

「そいつを殺されると俺も困るんだ、一度だけ言う。殺すな」

シャドーがアルペジオを首もとに付ける。

 

『なんでさ?君だってこれの正体知りたいんだろ?』

『なんでさ?君だってこの理論を知りたいんだろ?』

 

「いーや、知りたくないね。そいつを殺したらえぐい事になるくらい俺だって想像がつく。それに俺はこいつを強くしてやらんと行けないんだよ」

 

『君ほどのものが力を求めないの?』

『君ほどの力をあるものが理論を求めないの?』

 

「お前達と俺の力の感じ方は違うようだな。ただ自分の欲を満たすために使う力は力ではなく暴力と呼ばれる。俺は未来の馬鹿な俺がその道を辿ってどうなったかを知っている。そうならないためにも俺は今、そいつを殺されちゃいけないのさ。分かったらそいつの首から手を離せ」

 

『・・・そうか、君は力の矛先をそっちに向けるんだ』

『なら、君は今何をしなきゃいけないのかを知っているはずだよ』

『行きな、ここには君の求めるものはない』

『行きな、君がいる場所は”今”はここじゃない』

 

「今いるべきでなくても、それでも俺は宝具を持ち帰らなければならないんだよ。ミスは、許されない」

 

『それは恐れからくる忠誠心なの?』

『それとも執念からなる忠誠心なの?』

 

「恐怖、尊敬、羨望、殺意…あらゆる感情がまじりあって生まれた忠誠心だ。あの人の手を煩わせるわけにはいかないんだ」

 

『ん~なら僕達を持っていくと良い』

『なら私達を持っていくと良い』

『この力、君には必要だよ?』

『この力、君には必要なものだ』

 

「げほげほ・・・シャドー・・・こいつらからは殺意しか感じねー、騙されるな・・・」

 

『うるさいなー出来損ない』

『うるさいなーたかがアトランテの末裔ごときが』

 

「何かの末裔なら余計に殺させるわけにはいかないな…それにお前らの力なんぞも借りないことに今、決めたぜ」

 

『いやいやこいつの言うこと聞いちゃうのかい?』

『まぁ私たちはどっちでもいいけどさ、君には必要な力だと思うよ?』

 

「けほ、てめぇら、何考えてやがる」

 

『僕は有象』

『私は無象』

『『すなわち、森羅万象なり』』

 

『特異点にこの身置き』

『世界の万象を見定めるもの』

 

「・・・は?」

 

『僕はやりたいようにやるだけ』

『私は動きたいように動けだけ』

 

『『さあ、未完成の特異点さん、君の選択を聞きたいな』』

シャドーを指差しながら素振りを合わせて言う。

 

「俺が特異点と言うの良く分からんが、俺はなるべく誰も殺さず宝具を学園へと持ち帰りたい」

 

『・・・ま、それもいいさ』

『宝具欲しいならこれ持っていきな』

有象が何かをシャドーに投げ渡してくる。

 

「…、これは?」

 

『いずれ必要になる』

『大事なものさ』

渡されたそれは鍵のような形もしているがどこか不思議な力を放つ霧のような形状が変化してしまう、いうなれば『何か』があった。

 

「いずれ…ねぇ。何年後になる事やら」

 

『そんなに遠くない未来さ』

『まぁ使えるかわ知らないけど』

 

「おい、話してる場合じゃないぞ、何か気配を感じる」

 

「あれだな、さっき上であった男の子だ。しかたない、迎え撃つぞ。構えろ」

レゾンは嫌そうに鎌を出す。

 

『君たちは行きな』

『出口はあっち』

そう言って双子は反対側の方を指差す。

 

『”あれ”の目的は僕達だ』

『まぁ僕たちは死ぬかもしれないけど、ここで無駄死にしてほしくはないからね』

 

「ならシャドーはそのガキ連れて行け。レゾンは隠れてろ、俺はこいつらを援護する」

 

『ははは、こいつら強いよ?』

『それに君がこいつらを殺してしまったら・・・どうなるかわかるでしょ?』

 

「しるか、今までの経験使って頑張ってみるさ。あ、あと前に戦った無のお姉さん開放してくんない?好みなんだよ」

 

『え?ああ、あの人ね』

『僕達がここで死ねば開放されるさ、そういう『設定』だ』

 

「おいシャドー、なんかヤバそうだぞ。逃げたほうが良いんじゃないか?」

 

「なんで俺らまで逃げなきゃならないんだ、負け犬になり下がるなら俺は死を選ぶね」

そう言ってシャルドニュクスを引き抜く。

 

「おいおい・・・」

 

『あれは本当に扱いにくいね』

『ねぇ?本当に扱いにくい』

 

「お前は良い成長をしてると思うぜ、ただな。人間でも神でも、妖怪でも、どんな奴にだって引き際ってものが存在する。それをしっかりみつけないと強くなることすらできないぞ」

クライシスはシャドーの腹に一発拳をねじ込んで気絶させてクリアの背中に寝かす。

 

「じゃあ、こいつを頼んだ。急がなくてもいい、きっと時間は腐るほど作れるからな」

 

「わ、わかった」

クリアはそのまま、出口の方に歩いていった。

しばらく歩いていると中層辺りに差し掛かる。

 

「ん…くっそ、いってぇ…」

呻きながらシャドーが起きる。

 

「よお、シャドー、起きたか?」

 

「あぁ…歩けるから下ろせ」

クリアは言われるとシャドーをその場に下ろす。

 

「あー、いってぇ、あいつ本気でやりやがったな。まぁいい、戻るぞ」

 

「任務は達成したが・・・結局俺がここに来て学んだものはなかったな」

 

「そうだなぁ、なにかあるって言われてたのになぁ」

クライシスの方へ向かおうとする。

 

「お、おい、そっちは危険だって!!」

 

「あー、お前はまず出しておいた方がいいか…しょうがない」

出口と言われた方に走る。

 

「走るな!!!」

クリアはため息を付きながら付いていく、しばらく走っているとそこには大きな扉があった。

 

「あ?来た時こんなもんあったっけか?」

 

「いや、なかったはずだが・・・」

その扉は不思議な扉で後ろに壁などはなくまるで扉だけがそこにあると言った代物だった。

 

「地面通っていくか。得体の知れないもんには触りたくない」

 

「・・・声がする」

 

「俺には聞こえんな…」

 

「いや、確かに聞こえるんだ、扉の奥から・・・なにか宴のようなものが聞こえる・・・」

 

「じゃあ、通ってみるか」

その扉はどうやら施錠されているようだ。

 

「無で消えるかね」

左腕で触ってみる、すると無のエネルギーが扉に飲み込まれていく。

 

「これ・・・無の飲み込むのか? 」

 

「鍵ねぇ…ちょっと待ってて」

シャドーはコートの中の異次元空間に入って倉庫を漁る。

数分後出てくると馬鹿みたいな数の鍵がぶら下がっている皮で作られたヒモを持ってくる。

 

「そういや有象たちに鍵っぽいの渡されたな…これだこれこれ」

 

「ふむ、それで良いんじゃないか?」

それを使うと扉は容易に開く、中は真っ白で歩いてる人や建物も全てが真っ白い何かで出来ている空間だった。

シャドーは無を血管に通し脳の毛細血管を伝って目の血管へと移動させて水晶体に無を膜のように張る。

そうして見てもやはりそれは単なる白いだけの物質?だということがわかる。

 

「白くて怪しいのに無じゃない奴初めて見たなぁ」

無を腕に戻して辺りを見回す。

 

「入るか?」

 

「おう、入ろう」

中に入ると2人は不思議な感覚に包まれる、まるで母に抱かれているような、なにか心地よい安堵感のようなものが二人を襲う。

 

「な、なんだ?」

 

「バブみあるなここ」

 

「素直に母性って言えよ・・・」

2人はしばらく歩いていると大きな式場のような場所につく。

 

「なんだここ」

 

「なにかの式場・・・だな、どこかで見たことがあるような気がするが・・・どこだったっけな?」

 

「葬式?結婚式?」

 

「本来、教会ってのはどっちも請け負ってるからな、正直わからん、入ってみればわかるだろ」

 

「え、教会なの?…俺、元々悪い存在だから入っていいのかな、死んだりしない?つか入りたくねぇ」

 

「教会ならって話だ、てか地球にも教会ってあるんだな、こっちの星では昔から馴染みのあるものだから何とも思わないが・・・とりあえず入るぞ」

クリアはそう言って少し大きな扉を力いっぱいに開ける、するとそこでは何かの祝のパーティーのようなものが行われており、扉を開けた途端にさらに安堵感が強まる。

 

「なんか飯ありそうだな、食わしてもらうか」

 

「こんなところの飯なんて食べて大丈夫・・・か・・・?」

クリアは話している途中に少し様子がおかしくなる。

 

「どんなものでも腹に入るならいけるだろ」

適当に回って飯を探す。

そこにはいろいろな料理が置かれているようだが全て真っ白で見分けすらつかない、しかも匂いもなにも感じない。

 

「・・・・。」

クリアは無言のまま、奥へと歩いていく。

シャドーも落ち込んで後を付いて行く、後をついていくと真っ白い人形にクリアが話しかけ涙を流しながら何かを話しているようだ。

 

「なんだこいつ、頭でもいかれたのか」

タバコを咥えて指パッチンで指に火が付き、それでタバコに火を灯す。

しばらく話した後にクリアは涙を拭き、シャドーの元へ戻ってくる。

特に気にせずタバコを吸う。

 

「・・・すまん、戻った」

 

「で、学ぶものは見つかったのか?」

 

「・・・お前ってさ、大切な誰かを失ったことって、あるか?」

 

「何回もあるぞ、それも俺がまだ人間だった頃に多くな」

 

「・・・悔しかったか?悲しかったか?」

 

「申し訳なかった。20後半だったかな。その時は俺とガキを身ごもった嫁と一緒に散歩してたんだが交通事故で俺が死亡。大事な時期で俺が支えなければいけないときに死んだからな、悔しい悲しい以前に申し訳なかった」

 

「・・・そうか・・・・あんたは俺の師として今ここに居るんだよな?何故だ?」

 

「元マフィアのボスとして、お前を見ていて情けなかった。ボスとは何のために居るのか、それを理解せず仲間を放置し挙句の果てには身内同士殺し合って新しいボスを決める、何てやってたらな。はらわたが煮えくり返るかと思ったさ」

 

「・・・そうだな、『ボスとしての在り処』か・・・、ありがとうな、ここまで連れてきてくれて」

 

「さて、マフィアのボスとしてやって行く決心はついたか?」

 

「いや、それは俺の下のアルスに任せる、俺はあんたと共にこの宇宙に出ることにした」

 

「まぁ…あいつでも足りるか。ついてくるのはいいけど少なくとも100回は死ぬ一歩手前まで『俺』が追いやるからな。覚悟しやがれ」

 

「はは、恐ろしいな」

 

『さて、話はついたか?』

その声とともに白い空間に邪悪と呼ぶに相応しほどの憎悪が立ち籠める。

 

「おぉ、こっちの方が俺好きだな。とりあえず終わったぞ」

後ろには虚空からこちらを覗き込む一人の男が立っていた。

 

『そうか、ならそいつを渡せ』

 

「なぜ?」

 

『そいつが危険すぎるからだ、ユウタの助けをする気はないがそいつのこの世界に置いとくわけには行かん』

 

「・・・シャドー、知り合いか?」

 

「ユウタってのは知ってるがこいつは知らない。だがこいつを渡すわけにはいかないな、こいつは今しがた俺の仲間になった。仲間を守るのは俺の役目だ」

 

『力ずくでも奪い取る』

男はそう言って空間から出てきて何やら見たことのない刃のついていない丸い棒のようなものを振り回して手に持つ。

シャドーは石を亜高速で投げる能力を創ってアルペジオを出すときにその能力を消す。

 

『我のお呼びか』

 

「おう、ユウタって奴を知ってるらしいし、それなりの手練れだろう、気張っていけよ」

 

「こいつに戦わせるのか!?」

 

『承知した、久しぶりの手練、相手にとって不足はないな』

 

『たかだか武器ごときが調子に乗るな、俺を止められるのはユウタだけだ』

男はそう言ってアルペジオに斬りかかる。

 

「たかだか武器ごときに苦戦してる奴がこの世に何人いると思ってんだ、程度を知りやがれカス」

下半身に素早く無を流して相手の真後ろに移動する。

 

「よし、無の扱いも多少慣れてきた。いい傾向だ」

 

「無か、多少はやるようだな、ならこれでどうだ」

男は棒の先で空間をなぞる、するとそこに黒い線のようなものが浮き出てそれがシャドー目掛けて飛んでいく。

それをかわして無を腕に移動させて馬鹿みたいな力に引く力を加えて斬りつける。

男はそれを指で白刃取りすると棒のようなもので吹き飛ばす容量で薙ぎ払う、するとシャドーが空高く吹き飛ばされる。

 

「おー、すっげぇ。それなら同じくらいの力を加えてやるよ」

シャドーはアルペジオをシャルドニュクスに戻して刃を叩きつける。

 

「ふん、創神器か」

男はそれを棒で受け止める、桁違いの力が加わった攻撃だが男は顔色人使えずその場で涼しい顔をしてシャドーを睨んでいる。

シャドーがまた突進しようとすると頭の中でクライシスの声がする。

 

「その作戦はいいんだが、お前の力じゃ少々心もとない。お前の体が耐えられるかは知らないが俺の力とお前の力を一旦交換する。生きて来た世界線は違えど元々は同じ存在だからな、入れ替えるなんて造作もない。だから俺の力を使って奴を打ちのめせ」

クライシスが喋りおわってから力の交換が行われた。

 

「あいつの強さが余計わからなくなってきたぞ…」

先程と同じぐらいの力でシャルドニュクスを振り下ろすが力の入り方が全く違う。

素振りを地面にやっただけで地面が綺麗にさっくり切れる。

 

「おっしゃ、喰らいやがれ」

突進と共にシャルドニュクスを横に薙ぎ払う。

 

「・・・!」

男はそれを受け止めるが相殺しきれず吹き飛ばされる、同時にシャドーはその場から足を動かせなくなる。

 

【黒印】『ブラックホール』

 

 

「これくらい…クライシスの力に二十固めの解放だ」

【二十固め、拾伍之鐳月】

シャドーに黒い稲妻が走りシャドーの周りで稲妻が弾けていく。

そして無理やり体を動かそうとする、するとなんとか体が動く。

 

『重力を力でねじ伏せるか、お前と戦うだけ時間の無駄だな』

男はそう言ってクリアのところに行き地面に作った空間に埋めようとする。

 

『シャドー、私を投げろ』

アルペジオが提案してくる。

 

「おっけぇ、任せたぞ」

アルペジオを再び出して槍のように投げる、クライシスの力が加わった投擲は空間を裂き、男に突っ込んでいく。

 

『ちっ、面倒なやつだ』

男はそれを片手で受け止め、同じように投げようとするがアルペジオを持った瞬間、力が抜けたように崩れ落ちる。

 

『掛かったな、私の力を侮るからだ』

 

『・・・な、なにをした?』

 

『シャドーよ、私のコストを教えてやれ』

 

「あー、こいつは手に取ると能力を一つ消費するんだわ。一つの能力で一時間ってところかね」

 

『な、なに・・・』

 

『チェックメイトだ、相手が悪かったな』

 

『ちっ、殺すなら殺せ』

 

『それを決めるのは私ではない』

 

「なんか今の女騎士のくっころみたいだったな、面白かった」

 

「で、こいつどうするよ」

クリアがシャドーの方によって言う。

 

「あー、そうだな。ユウタの知り合いらしいしとりあえず手元に置いておこう」

 

『俺はお前の手下になるつもりはない』

 

「お前、立場わかっていってるか?」

クリアが男の頭をぐりぐりする。

 

『や、やめろ!』

 

「はっ、能力なしじゃ俺と変わらねーな」

クリアが男をからかい続ける。

 

「まぁ…手元に置いとけないならある意味すらないからなぁ…そうだ、お前さ、痛みはないのに体の一部がなくなる恐怖を知ってるか?知らないよなぁ?そんなもの味わいたくもないもんな」

シャドーは心から楽しそうににやけ始める。

 

『・・・なにが目的だ、見ての通り俺はただの人間だ、神様のお手伝いになりそうな力など持ち合わせておりませんが?』

男は皮肉げに言う。

 

「あれー?俺ってば一言も神様なんて言ってないけど?」

 

『・・・・。』

 

「お前、本当に人間か?」

 

『に、人間だ』

 

「人間ではあるでしょ、ただなにか隠してそうだよなぁ?言ってくれたら手荒な真似はしないぜ?...もうしてるけど」

 

『・・・・なにを知りたい』

 

「シャドー、こいつどう見ても強いよな?」

 

「俺が神だと言う事をなぜ知ってる?」

 

『・・・神力で感じ取った』

 

「あれ、俺神力なんてだしたっけ…出してた?」

 

『お前、神の構成するエネルギーの1つなんだから感じて当然だろ、それともお前は神では無いのか?』

 

「一応神だけど、ほとんど妖怪。神なんて1、2割程度だ」

 

『へぇ、面白いな、妖怪と神のハーフか』

 

「妖怪ってなんだ?」

 

「あー、地球に伝わる恐怖を具現したような怪物だ。俺は西洋の方の妖怪なんだ」

 

『はっはっはっは!面白いな!気に入ったぞ、名を言ってみろ、神よ』

 

「シャドーエッジ・スカーレット、種族としては色々混じってるけど一応吸血鬼だ」

 

『そうか、地球出身なんだな、俺は磯貝裕太(いそがい ゆうた)だ、正真正銘地球人だがお前の知っている地球とは別の地球出身だ』

 

「そうかぁ、人間時代の俺を知ってる奴がどっかでめぐり合わせてもいいと思うんだけどなぁ」

 

「そろそろ声にエコー掛けるのも疲れたから普通に言うぞ、だが一応お前の居た時間軸とは同じ並行世界を行きてると思う、俺もユウタと同じ『時空トラベラー』だからな」

 

「さっきから何の話をしてるんだ?」

 

「あー、そうなのか。聞いたことないと思うが間淵京助って聞いたことないか?マフィアの人間なんだが」

 

「すまん、俺は知らないな、だがユウタなら知ってるかもな、色んな時空を旅してるから多分知ってると思うぞ」

 

「なーなー、なんの話だ?」

 

「お前は少し黙ってろ」

 

「は、はい」

 

「まぁいいや、いくぞ」

 

「それとお前にこれをやる」

磯貝がそう言って何かディスクのようなものを渡してくる。

 

「なにこれ」

それを受け取って磯貝のでこを叩く、磯貝はそれ振り払って後ろに下がる。

 

「ここに宝具はない、代わりに面白い代物はあったがな」

 

「なんだよ、宝具ないのか…で、面白い物って?」

 

「読んでみろ」

 

「おい、クリア。これ読み方わかる?」

 

「頭に当てるんだ、そうすれば記憶を辿れる」

 

『私がその記憶を取り出すことができる』

 

「ほえー」

言われた通り頭に当ててみる、するとどこか嵐が吹き荒れる水の星のような所に聳え立つ要塞のような機械帝国が脳裏を横切る。

 

「おー、なんだこれ。次はここに向かえって?」

 

「宝具の手がかりだ、そこにあると思われる」

 

「俺正直一旦学園でゆっくりしたいんだけどなぁ…」

 

「それが良いだろう、学園で大会や授業などがあるんだしな、それにここがどこかもわからんし」

 

『面白そうだな大会♪』

『楽しそうだねお祭り♪』

 

「大会かぁ…俺は確か大会をやった後に学園をむちゃくちゃにしたんだったなぁ、今思えばなんであんなことを」

特に反省も見せずクライシスがタバコ吸って無象の後ろをついてくる。

 

「こいつがシャドーか、なるほど、面白いやつだな」

そこには悍ましい気配を放つ男が少年を肩に乗せクライシスの隣に立っている。

 

「・・・お、おい、シャドー、なんか居るぞ」

 

「あー、こいつあれだよ。レゾンと一緒に行動してる時ヤバい奴いたろ。そいつだ、仲間になった」

 

「あー…なんていうか、もうお前死ねよ、死んでいいよバカたれ」

シャドーはもう頭を抱えていた。

 

「そんなこというなよ~、やばい敵は仲間にしたら心強いじゃないか。これで俺は犯罪組織としてまたさらに強くなったわけだ。近々潰しに行くから楽しみにしてろよ?」

 

「そんなこと言われて楽しみにできるかっての馬鹿野郎」

 

「そんなこと言われても笑えるほどの夜慂いうを持てよ、なぁシャドー。お前の悪い所だ、いつも必要以上に張りつめやがって」

 

「うるせぇ、喧嘩してんじゃねぇよ。とりあえず出るぞ」

レゾンが仕切り直す。

 

「あ、無象。無のお姉さんどうなった?」

 

『もう自力でも出れるはずだけど、出てこないね』

『寝てるんじゃないかな?よく冬眠するしあの人』

 

「やはりとs…これ以上はいけないきっと戦った後だから疲れたんだろう、うんそうに違いない。」

 

『あの人おばあちゃんし』

『あの人歳だしね~』

 

その言葉とともに空気が凍り、どこからか狂気の声が聞こえてくる。

 

『アラアラ、ナニカ聞こえたかしら?』

そう言ってどろどろの黒い瘴気を纏ったレイが空間を裂いて現れる。

 

「待って!俺が叱っとくからレイさん怒んないで!!」

冷静だったクライシスが面白い程慌てて止めに入る。

 

『やあおばさん』

『また僕達の手駒になりに来てくれたのかな?』

 

『フフフフフ・・・・いい度胸じゃないボウヤ?♡』

美しく揺れる空間のカーテンが嵐に揺れるカーテンのように荒々しく舞う。

 

「お、おい、シャドーさん?逃げたほうが良いのでは?」

クリアが裏返った声で言う。

 

「・・・俺の人生短かったな」

磯貝はどこか諦めたかのようにそれを絶望の眼差しで見ている。

 

「はぁ…やれやれ」

クライシスは結構本気で有象と無象に拳骨を頭にねじ込む。

 

『いったい!なにするのさ!』

『いったい!なんで殴るの!』

 

「あのなぁ、言っていい事と悪いことがあるんだわ。お前らはまだそこらへん知らないからなぁ…とりあえず一般常識を身に着けようぜ」

 

『ぶー』

『うー』

2人はいじけたように不貞腐れる。

 

『マァ今回はそれで許してあげましょう、正直クライシスさんとの戦いでワタシも消耗してますシ』

 

「おー、そう言ってもらえると俺も嬉しいな。」

 

「あれで全力じゃねーのかよ」

クリアがボソッと吐き捨てるようにいう。

 

「とりあえず学園に戻るのか?スカーレット」

 

「そうだな、とりあえず宝具は無いがその手掛かりを見つけたって報告する。あとは、収穫も沢山あったってことでな」

 

「俺とこいつは神ではないが入れるのか?」

 

「あー…どうなんだろいけるんじゃね。死んだら死んだでどんまい」

 

「あ、ちなみにユイとディレンデルは俺のだからな。俺が勧誘したんだし当たり前だがな」

 

「敵の勢力が強まるのを黙認しないといけないって辛いな」

 

「ふん、安心しろ。殺すときは散々痛めつけてから殺してやる」

 

「クソが」

 

「だーかーらー!喧嘩しないでくれって!めんどくさいから!!」

レゾンが珍しく苦労人になっている。

 

「で、だ。有象無象はどうするのかってことなんだが。ここに残るのか?」

クライシスが問いかける。

 

『さっきも言った通り僕たちはここに残るよ』

『もう一度シャドーがここの本当の目的を知り戻ってくるその時までね』

 

「ここに宝具は無い、戻ってくる必要な無いはずだ」

 

『君は知らないはずだ』

『そう知ってるのはシャドーだけだから』

 

「?」

 

『それとそこのクリアもね』

『君とユウタ、それとシャドー、デル、アル、幽鬼、エイジ、この7人がここのカギを握るからね』

 

「誰だ?そいつらは?」

 

「スカーレット、知ってるのか?」

 

「ユウタとデルは知ってる。デルは学園の人間だしな。まぁ…それならここで頑張ってな。暇出来たらまた来るよ」

シャドーは小さく手を振って外に出る、外に出るとマフィアが2人を待っていた。

 

「おかえり、クリア」

 

「アルス・・・」

 

「自分が何か、わかっただろう?」

 

「・・・。」

 

「シャドーさんありがとうございます」

 

「いいさ、これくらいな。それと、こいつから言う事があるんだ。聞いてやってくれ」

 

「・・・アルス、お、俺はこの人と・・・」

 

「知っている、そのつもりでここにこさせたんだからな」

 

「え?」

 

「お前は昔からあいつとよく宇宙の話をしていたな、いつか世界へ出て世界を見て回ると」

 

「・・・。」

 

「ここがお前のスタートラインだ、世界を見てこい」

 

「アルス・・・・、ありがとう・・・ございます・・」

 

「マフィアの方針は以上です、最初からこういうつもりでした、貴方がこの星に来たという噂を聞いてからずっとね」

 

「なんだよ、こいつよりよっぽどできた奴じゃねぇか。なんかあったら学園に連絡くれ、出来る限りの協力をしよう、名前くらいならいくらでも使ってくれて構わんよ、と言ってもあまり知られていないだろうが」

愉快そうに笑ってシャドーは磯貝を連れて学園へと戻る。

 

「さて、俺たちも我が家へと帰るぞ。ブローケルツに着いたらまずは宇宙船の改造だ。流石に人が増えすぎて来たからな」

レミーに連絡をして船を近くまで寄せて中に入る。

 

こうしてまた1つの星の調査が幕を閉じた。

 

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