番外編01
ション達はアンドロメダ銀河の消滅の原因を探るためションの隊とアドバンス、クライシスとその仲間を連れアンドロメダ銀河に向かう。
クライシスはゆったりした足取りにもかかわらず馬鹿みたいに早く宇宙空間を歩行し、比較的短時間でアンドロメダ銀河があった場所へと辿り着く。
ションたちもそれに続く。
「ここだな」
「やはり空間ごと消えてるな、それにそれを意図的にやって痕跡もある」
「どうしますかション隊長」
「どこの空間にぶっ飛んでるかわかるか?」
ションは部隊の仲間に問いかける。
「ちょっと見てみますね・・・」
隊員はその場で目を閉じ何かを見ているようだ。
「お前がやったほうが早いと思ってるだろ?」
アドバンスはクライシスに問いかける。
「仕事が減って楽とは思ってはいる。それになんか楽しいんだよ、誰かと任務をこなせるってことがね」
「そうか、ま、お前が楽しいならそれでいいさ」
「とりあえずみんなに命のストックを増やしときますね」
そう言って全員に一個ずつ命のストックを作る
「・・・お前いるのか?」
アドバンスがクライシスの方を苦笑いのしながら問いかける
「…考えたくないけど死にそうになったらお前ら全滅させてでも生き残るために力をほとんど開放するから気にしないでくれ。それまでは完璧な護衛役として役立ってやるから安心しろ」
呼姫の頭をいい腕置きにしてタバコを吸う。
「それは御免被りたいものだな」
「むぅ、こんな神ばっかいる中で妾は要るのか?」
「お前は俺のお守りだ。この年になってから一人ってのが本当にダメになっちまってな。お前は俺が守ってやるから安心しろ、第六宇宙最強の化け物に守ってもらえるんだ、心配はないさ。お前は俺の肩にでも乗ってればいい」
「・・・わかった」
「ション隊長、この世界を消した張本人ですが・・・空間に記憶がありません」
「やはり”無”絡みか」
「それと消えた時刻は我々宇宙時間でつい一分前です」
「妙だな、情報が届いたときは一時間前のはずだが・・・?」
「時間すらもおかしくなってるんじゃね?」
「それしか考えられないだろうな、おい、クライシス、手を貸せ。ここの時空線の消えたアンドロメダ銀河に繋がる入口を作ってくれ、できるだろ?」
「了解だ」
左手の指で2メートルほど空間をなぞりこじ開ける、そこには荒れ果てたアンドロメダ銀河があった。
「さて、乗り込むか」
「準備はしっかりな」
「部隊を整えろ、行くぞ」
「随分と生ぬるい壊し方だな。俺ならもっとやれるのに」
銀河の荒れ具合に納得がいかなさそうにタバコを投げ捨てる。
「これは意図的な壊し方だな、情報が届くのも早すぎたし明らかに誘ってきている」
「罠ありか?」
「だから俺達が来たんだ、ここからは別行動だ、広いしな、クライシスの部隊は俺の部隊のサヌーサと、アドバンスは俺と来い、残りで編成を組め、行くぞ」
「了解」
言われた通りに編成を組み、別行動で探索を始める
そしてそれぞれ
「よろしくな、クライシスさん」
「あぁ、よろしく。戦闘ではなるべく俺の射線に入るなよ。命の保証はできない、無もあるしな」
「了解ー」
「さて、とりあえず何を調べるか…」
クライシスは辺りを軽く見まわす。
星は単に表面が得体の知れない物質で覆われているだけでそれ以外はあまり変わっていない。
「表面はあまりないか」
右手を地面に着けて、微弱な妖力波を飛ばす、辺りには無のような生物が徘徊しているような感じがした
「中には無っぽいのがいるみたいだ。入るぞ」
地面を左手で無にしながら突き進んでいく。
「星の内部に入るのか?」
「そうだ。まずこいつらの動きを探る」
クライシスは左目を外して保存液の入った瓶の中に入れ、左腕を取り外して目に変えてから左目にぶち込む。
「さ~て、こいつらはどんな動きをしてるのかね。頭がいるならそいつを先に潰した方が良さそうだ」
そう呟いて消した地面を埋めて地面の中に一部屋程度の空間を作り椅子に座って監視する。
無の奴らはバカのように走り回ったり死体でドッチボールやサッカーなどで遊んでいたり心理の境地に立ってるようなやつが居たりと好き勝手暴れている。
「…全滅が早いな。おいお前、戦闘能力はどのくらいだ」
「まぁまぁだな、教師クラスで指折りではあるがな」
「ふ~む、物足りんが…仕方ない。やれるだけやれ、これより無との真っ向勝負だ」
クライシスは土から這い上がり埃を掃ってから無の多い所に入る。
「これで物足りないとか・・・」
「始めよう」
『哭いて枯れ果て無と成りて。我らは拓く者。虚無の先で夢を見る』
創刀【シャルドニュクス】
鞘は黒い鞘に蛇が巻き付いてるかの様な刻印が彫られていて、鞘を抜くと鍔はなく刃文は赤黒く謎の文字が彫られ、強く湾曲した白い刀身が露わになる。
「行くぞ、無なんざ俺らからしたらゴミクズ以下だよなぁ、シャル…」
特に目立った技も出さず、こちらに意識を向けていない無を勢いよく切り捨てる。
しかし切りかかった瞬間”無”達は急に目の色を変えたようにどこからか無の武器を取り出し一斉に攻撃してきた。
「読みが外れたな。こりゃまた特異個体ばっかだな。どうするか」
「明らかに普通の無じゃないですよねこいつら、無は集団行動なんてしないし」
「視て何か分かるといいんだが」
攻撃をシャルドニュクスで何とか防ぎ、左目で無を凝らして見る。
すると奴らはどうやらただの無ではなく”意図的に”無にされたこの星の住人であったことがわかった。
「なるほどねぇ、どうするか。首謀者を見つけた方が早いかもしれん」
無を創刀の片面に付けて一旦距離を置く。
「どうしますか?」
「うちの弟が強ければ錬創術でこいつを元々の生物に戻してやることが出来るんだが…仕方ない。一旦ションたちと合流しよう」
「了解」
霧でションたちの居場所を見つけ、サヌーサを掴んで馬鹿みたいな速さで移動する。
ション達の星はさっきとは打って変わって緑に包まれ穏やかな星だった。
「どうしたシャドー?」
「先程この世界での無と接触した。どうやら元々はこの銀河の住民らしく、一筋縄では倒せないようだ」
タバコを吸いながら呼姫の胸をまさぐるがすぐに舌打ちに変わる。
「まさぐるなっ!そして残念がるなっ!!」
「・・・お前の力を持ってしてもか?」
「別に20分の17ほど出せたら策がない事も無さそうだが…やりたくない。俺の力にあてられて助けられるのは一人くらいだ」
嫌々呼姫の胸をまさぐりつつ、創刀に付けていた無を左腕に戻して左目も付け直す。
「だな、お前の力は確かに世界への影響が多い、わかった、ならお前もこっちの探索を手伝ってくれ、そっちは後で行く」
「わかった。さっさと黒幕が出てきてくれたらうれしいんだけどな」
呼姫にちょいちょいセクハラを仕掛けながらたばこの灰を落とす。
「ここの状況は随分と穏やかだ、と言うか不自然なくらい平和だ」
「そうだよな。俺が無の世界に行ったときに少し似てる気がする」
「そうなのか?無の世界のとこはわからないが、警戒した方がいいだろう」
「そうだな」
ザっと辺りを見回してみる。
恐ろしい程の緑の草原が広がっており、文明があった形跡も痕跡もなく動物が生き生きとしておりたしかに不自然なほど平和だ。
「素晴らしい程のセクハラ日和だな」
吸い殻を捨てて新しい物を吸う。
「どうでもいい情報はいい、役にたつことを探せ」
「呼姫、こういうのでは仕事としろよ。俺はめんどくさい」
「セクハラしておいて仕事しろか、横暴なやつじゃ・・・」
呼姫は辺りを歩いて探索する、すると急に姿が見えなくなった、よく見るとションの部隊の二人も居なくそこにはションとクライシスしか居ない。
「・・・。」
「なん…だと…」
クライシスは大量の血を吐きながら地面に倒れる。
「おい、起きろ、お前まで使い物になったら面倒くさい」
「もうだめ…呼姫ちゃんは俺の癒しであり生命源…それを奪うなんて、許せん…ぶっ潰してやらぁ!!」
唐突に妖力と神力が跳ね上がり空間に歪みがいくつも生じる。
「さぁ、かくれんぼの時間だぜ呼姫…」
三つ首龍の隻眼を開いて辺りをしっかり見まわす。
「抑えろ抑えろ、空間がおかしくなる」
辺りを見渡しているクライシスの方を叩く。
「だって…た゛っ゛て゛!!」
クライシスが振り向くと…それはもうボロックソに泣きじゃくっていた。
隻眼で見るとどうやらただ地下にある謎の都市のような場所に穴から落ちているだけだった。
「見えた。後からついて来い」
翼を大きく広げてから勢いよく地面をかき分けて、地面を高速で呼姫の所まで泳ぎ切る。
「呼姫、大丈夫か」
クライシスが少し息を乱して天井から降りてくる。
「うっ、大丈夫じゃ、たまたま下にスライムがあった」
「済まなかった、お前はもうただ俺のそばで存在してくれてればいい。俺がお前を守るから」
「むう、納得はいかんがたしかにそのほうが安全そうじゃの」
「…で、服は溶かされないのか?」
クライシスが不服そうに呼姫の服を見る。
「そんな展開はないっ!」
「行くぞクライシス、ここを調べるぞ」
「任せてくれ」
クライシスが腕の筋繊維を二本引きずり出して霧にする。
そしてそれらを都市一帯にばら撒く。
「わざわざそこを霧にする必要あるか?」
「腕を丸々やるよりましだ。一番は小腸を霧にするのが一番なんだ」
椅子とテーブルを置いてコーヒーを飲む。
「そのまま霧となって朽ちてくれ」
ションは呆れながら迎えの席に椅子を造り座る。
「俺はまだ死ぬわけにはならんのさ。生きる目標が残ってるんでな」
あぐらの上に呼姫を乗せて頭を軽く撫でていると、途中で力を出したままでいることに気づきすぐに全て抑え込む。
霧で辺りを調べると死体やら肉片やらがそこら中に散らばっていた。
「おおぅ、スプラッタ画像みたいだなこれ」
「地下に人が居たのか」
「らしいな。少し行ってみる。行くぞ呼姫」
肩車して死体が一番多くある場所に向かう。
そこは明らかに故意に死体で遊ばれた形跡がいくつも見つかる。
「悪趣味だな」
隻眼で脳に残されたこの惨劇を覗く。
しかしその記憶の持ち主が体験したことがあまりにも恐ろしかったのか記憶が跡形もなく粉々にされていた。
「ちっ、使えない死体だ」
頭を踏み潰して、ある程度離れた別の死体にも同じことを実行する、しかしそれもまた記憶が破壊されていた。
「・・・意図的なものか?」
「恐らく。そんな感じがする」
辺りに散乱する肉片や死体に何か変わった物はないか目星をきかせる。
持ち物は至って単純だが無に遊ばれたと仮定してもその死体は無に侵されておらず単に猟奇殺人が行われたような状態だった。
「うーん…二つの可能性があると言う事は…半無かもしれん。単純な奴じゃなくある程度の知識と力を有した半無のはずだ」
神妙な顔をしてタバコを吸うと、呼姫が煙いからやめろと頭をポカポカ殴ってくる。
「とりあえず他を探ってみよう」
「お前それしか言ってないじゃん…。あ、それと呼姫。胸が小さいからってブラを付けないのはやめておけ。無いうちからでも形は決まり始める、終わったら後で胸囲測らせろ。スポブラでも何でも作る」
「要らん、妾はつけたくない」
「タレ乳になるぞ」
「つ、付ける!」
「だってよ」
「まぁ、女の扱いとか諸々は慣れてる。恥ずかしいだろうが何でも聞け」
服の上からスポーツブラの形をなぞり両手を打ち付けて錬創術を発動させて創る。
「うう、仕方ない」
「さて、どこを調べるか」
「と言っても何もないぞ」
難しい顔をして辺りを見回す。
…今日でもう何回辺りを見回しただろうか。
「調べるのは地表だけじゃない、地質も調べろ、念入りにな」
「人使い粗いなぁ」
片手を地面に着けて集中する。
すると地表全てに高エネルギーの何かを感じ取る。
「地表になんかヤバいのありそう」
「ふむ、それが何かはわかるか?俺は別のことに忙しい、調べてくれ」
「任せろ、さぁ行ってこい」
石ころに命を吹き込んで地表に移動させてからその石ころと視界を同期させる。
と言う事をしながら首の付け根くらいまで伸びた髪をウルフヘアーに固めていたヘアワックスを取り除き、左目を隠すボサボサのロンゲとなる。
「なんで??」
「ここは任せたぞ」
ションはそう言って何処かへ言ってしまう。
「なんだあいつ。こんな状況で別の事なんざ考えてるのか」
「なんか思い詰めたような顔をしておったぞ?」
「まぁ、そんなの俺には関係ない。もしこの事件の解決にまでその私情を持ち込むようなら体半分を無で消す」
タバコの煙を吐いてから霧の視界に意識を移す。
そのエネルギーはどうやら無と何か感じたことのないエネルギーの二層でできており更に少しずつではあるが星を食らっているようにも見える。
「なんだこれ」
よい…しょッと言って無の手を後ろに引いてから反発の力を加えて地面に叩きつけて全土を覆いこみその二層のエネルギーを無にする、しかしそのエネルギーはなんとその無のエネルギーを食らって更に増大した。
それに対して腹を立てたクライシスは自分の妖力と神力をドバーッと溢れ出させてそのエネルギーを喰らいあう、しかしそのエネルギーはシャドーのエネルギーを更にくらい増大する、シャドーが食らうよりも若干早いようだ。
「む?、このエネルギー見たことがあるぞ」
「本当か呼姫。教えてくれ」
「ハングリースペースと言うものだ、何もかもを喰い尽くしなくしてしまうという未知の領域じゃ」
「なるほど。少し気になることがある、後で存分に俺を怒ってくれていいから今はただ俺にしがみついててくれ」
「わ、わかった」
クライシスは自分の存在を消滅させないレベル、つまり19割の力まで底上げする。
こうなるとそこにいるのにその存在を認識できなくなるほど次元が格段に違ってきて、力を感じられないながらも別の意味での強さを感じる。
まずはそれでハングリースペースを全力で殴る。
するとその空間が大きく歪み大穴が空き吹き飛ぶ、その反動でその世界の時間が一時的に壊れてしまい、それに気づいたアドバンスが光速で飛んでくる。
「何かあったのか!?」
「ハングリースペースが俺に喰われないから腹立ってこうなった。反省はしてる」
その場に座りタバコを吸っている。
「はんぐりーすぺーす?」
「よくは知られてないが、何でも喰い尽くす場所らしい」
「喰らい尽くすか、厄介だな」
「らしい、俺も良く分からんが…なんか腹が立ってな。少しムキになった」
「お前ほどのやつがムキになるんじゃねーよ、この辺壊れたらどうするんだ」
「悪かったよ」
バツが悪そうにタバコを取って呼姫にセクハラをけしかける。
「やめぬか!」
「まぁ大事に至らなかったからいいけどさ、それよりこの辺なんかあったか?」
「無に支配されたアンドロメダ銀河を奪還するために赴いたんだ」
呼姫の嫌がる姿を見てさらにセクハラを激しくする。
「やはり無関係か、どうする?」
「一旦学園に戻ろう、深追いは危険だ」
「そうだな、他の部隊も連れてこないとこれは解決できそうになさそうだ」
「じゃあ俺に捕まれ。色々破壊しないレベルに最高速で行ってやる」
「ション達もちゃんと拾ってけよ」
「あいつらはどこ行ったのかわからないから知らん」
呼姫を肩に乗せ、アドバンスを担いで学園まで移動する。
「さて、応援を呼ぶと行っても誰を連れてくるかね」
「まずは理事長に話そう、知恵を貸してくれるやもしれん。そして俺はシャドー達の授業に出席してくる」
タバコの煙で遊びながら教室へと向かう。