緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet9

 あの珍騒動から数日。

 その一件でキンジが男子寮のベランダからすぐ下の東京湾にダイブして翌日に風邪を引いたりなどがあったが、それ以外は平和そのもので、アドシアード開催の準備も着々と進み、白雪の身にも何事も起こらなかった。

 だから……『こういうこと』になる可能性を今はすでにベストコンディションのオレにも考えられたわけで、これすらも魔剣の思惑の内なのだと想像しただけで鳥肌が立ってしまう。

 そんなオレは現在、強襲科の施設の屋上へと出る扉の横に座っていた。

 目的としてはここでアドシアード閉会式のチアの練習をする女子を観賞……もとい見学するためだったが、まぁそれは表向き。

 本当はそのチアの監督をする白雪をそれとなく観察するため。

 でまぁ、それも終わってさっさと施設を出るのかと思ったのだが、風邪から回復したボディーガードのキンジが仕事を放って屋上へと行き、その少しあとにアリアがそれを追い掛けていったのだ。

 気にならないわけないだろ?

 

「いざ、って、ここ数日白雪に張りついたけど何も危ないことなんて無かっただろ! こうなりゃもういっぺん言ってやる! 敵なんて、魔剣なんて、いねえんだよ!」

 

 それで来てみたらこんな話が始まってるわけだ。やれやれだな。

 

「お前が一刻も早く母親――かなえさんを助けたいのは分かってる。でもな、今のお前はそのために平常心を失ってんだよ! 敵の一員かもしれない『魔剣』って名前を聞いた時、お前はその敵を『いてほしい』って思っちまったんだ。それでいつの間にか、自己暗示ってやつで、『いる』ような錯覚に陥ってんだよ!」

 

「――違うっ! 魔剣はいる! あたしのカンでは、もう近くまで迫ってるわ!」

 

 この2人って、仲良くしてる時があるんだろうか?

 いやないな。何故か確信を持って言える。

 ただ、今回はこれが『悪い方向』に転がりそうだ。つまりは魔剣にとっての『良い方向』にな。

 もちろんオレは魔剣が『いる』と信じてる。

 たとえキンジが何を言おうとそれは変わらないし、『いない』という『証拠』もないのだから。

 まぁ、キンジの言うように逆も然りだがな。

 

「そういうのを妄想っつーんだよ! 白雪は絶対大丈夫だから、どっかいけ! アドシアード終了まで、あとは俺が1人で白雪のボディーガードをやってやる!」

 

「なによそれ! ――あったまきた! そうよねそうよね! あたしはあんたたちにとってジャマな、妄想女だもんね! 依頼人とボディーガードのくせに! ふ、ふ、服を脱がし合ったり……サイッテー!」

 

「そ……その事だってそうだ! お前は何でも思い込みの独断で事を進めすぎなんだよ! ちょっといい家に生まれたからって、いい気になんな! お前は天才かもしれねーけどな、世の中は俺たち凡人が動かしてんだ! お前はズレてんだよ!」

 

 いい家?

 ああそっか。アリアは確か『H家』……『ホームズ家』の4世だったか。

 オレにとってはどうでも良かったから忘れてたな。

 しかし、こいつは何か考えないと事が起きてからじゃ対処できないぞ。

 キンジ1人でボディーガードなんて不安で仕方ない。

 となるとオレは……

 

「あんたも……そうなんだ。そういうこと言うんだ」

 

 ……ん?

 なんかアリアの声が弱々しくなったな。

 

「みんな、あたしのことを分かってなんかくれないんだ。みんながあたしのことを、先走りの、独り決めの、弾丸娘――ホームズ家の欠陥品って呼ぶ。あんたも――そう!」

 

 みんな……か。

 きっと色々あったんだろうな。

 オレにはその苦悩は理解できないが、『似たような経験』はした事がある。

 自分の意志を一切認められず、否定しかされない苦痛……まるで自分という存在を否定されたかのような、あの感覚。

 オレは昔のことを思い出しつつ、無意識の内に手に力が入ってしまっていた。

 

「あたしには分かるのよ! 白雪に、敵が迫ってることが! でも、でも、それをうまく説明できない! 偉大なシャーロック・ホームズ曾お爺さまみたいに、誰にでも分かるように、状況を論理的に説明することができない! だからみんな、あたしを信じてくれなくて――あたしはいつも独唱曲(アリア)で――でも、でも、直感で分かるのよ! こんなにあたしが言ってるのに、どうして! どうしてあんたは信じてくれないのよ!」

 

「……ああ、分かんねえよ! いもしない敵が迫ってるなんて、信じられるか! 主張があるなら証拠を出せ! それが武偵だ! 何度でも言ってやる! 敵なんかいねえ!」

 

「――この――この、どバカ! バカバカバカバカバカ――――――ッ!!」

 

 そんなアリアの叫びのあと、ばきゅばきゅばきゅばきゅきゅ!! と銃声が。

 本当にところかまわずぶっ放すよな。

 

「キンジのバカ! バカの金メダル! ノーベルどバカ賞ー!!」

 

 ばきゅばきゅばきゅばきゅきゅ。

 さらにぶっ放したかと思うと、突然横の扉が開き、オレは勢い良く開かれた扉と後ろの壁に板挟みにされてしまった。いってーなちくしょう!

 それに涙目になりながら勢い良く扉を開いて階段を下りていった人物を見たオレ。アリアだ。

 おっと、痛がってる場合じゃないな。

 オレはすぐに頭を切り替えて立ち上がり、アリアのあとを追いかけた。

 だがまさかあのアリアが依頼を放棄とはね。過去のデータにもないことだぞ?

 なにせ依頼達成率99%なんだから。

 ちなみに残りの1%はキンジの強猥が原因らしい。記録にはないが。

 にしても足速いなアリア。

 結構マジで走ってんのになかなか差が縮まらない。もう叫ぶか。

 

「待てアリア! ちょっとストップ!」

 

 オレのそんな声が届いたのか、アリアは強襲科の出入口付近で足を止め後ろを駆けていたオレに振り返った。

 

「……京夜?」

 

 オレに呼び止められる理由が見当たらなかったアリアは、追いついたオレを不思議そうな顔をして見ていた。まぁそうなるよな。

 

「用があるなら手早く済ませて。あたしはこれからやることがあるから」

 

 ……ん? やることがある? なんか変な話じゃないか? アリアは依頼を放棄したはず……

 

「あー……んー……とりあえず2人きりで話せる場所に移ろうか」

 

 不思議な言動を見せたアリアにオレが混乱しかけたので、とりあえず自分が落ち着くためそんな提案をして、近くのファミレスに行くことになった。

 ファミレスに移動したオレとアリアは、隅のボックス席に着いてテキトーな注文を取ってから話を始めた。

 

「あたしやることあるって言ったわよね?」

 

「なら断れば良かっただろ。別に強制はしてない」

 

「京夜が引き止めてまでする話なら、聞く価値はあると思ったのよ」

 

「そりゃどうも」

 

 なら最初に文句を言わないでくれ。口には出さないが。

 

「さて、まずは確認をするか。さっき強襲科の屋上でキンジとの会話をこっそり聞いてたわけなんだが……」

 

「やっぱりね。引き止めるタイミングがおかしかったもの。でも盗み聞きは良くないわ。たとえそれが専門でもね」

 

「んー、これでも考えて動いてるからな。咎められると困る」

 

「考えて動いてる?」

 

 アリアは言って首を傾げる。

 まぁそれが普通のリアクションだな。前にボディーガードを断ってるし。

 

「まぁそっちをいま話すかはこれから決めるよ。んで、キンジとの会話から察するとアリアはボディーガードを止めたように聞き取れたんだが……違うのか?」

 

「そう思わせたのよ。魔剣にね。あいつは確実に白雪に近付いていて、常に監視してる。だからあたしが1度ガードから外れたように見せるためにキンジと喧嘩したフリをしたの。まぁ、ムカついたのは事実だけど」

 

 ……なるほど。

 だが綱渡りでもあるぞ。なんて言ったってあのキンジ1人にボディーガードをやらせるんだから。

 

「魔剣の動くタイミングを作り出すってのか? ずいぶんと危険な作戦だな」

 

「白雪は絶対守るし魔剣も捕まえる。それで解決よ」

 

 どんだけ自分に自信あんだよ、アリアさん。

 だが確かに裏で動いてるオレの独自の警戒網にもかからないような奴と睨み合いを続けるのは消耗戦になる。それも守る側が不利な、だ。

 アリア、それとレキもか?

 この2人が白雪から離れれば、魔剣ももしかすれば仕掛けてくるかもしれない。

 それにアリアには魔剣を『逮捕』しなければいけない理由がある。追い払ってはダメなんだ。

 

「まぁとにかく、アリアが依頼を放棄したわけじゃないなら安心ってところか」

 

「武偵憲章2条。依頼人との契約は絶対守れ。あたしは引き受けた依頼は投げ出さないわ」

 

 立派ですこと。

 さて……こうなったならアリアにオレの事情を話しても問題なさそうだな。

 オレとしても緊急時にバタバタするのは嫌だったし、事前に打ち合せができるのはありがたい。

 

「そういうことなら話すよ。オレが会話を盗み聞きしてた訳をな」

 

 そこでひと呼吸置いてから、オレはアリアに白雪のボディーガードを影ながらしていたこと、白雪自身にもそれを知らせていないことを説明した。

 話を聞いたアリアは案外落ち着いていて、驚きはさほどなかったようだった。

 おそらくここに来るまでとその前の話で勘づいていたんだろう。大したカンだよな、まったく。

 

「それで? あたしにそれを教えて京夜は何がしたいの? 急にあたしの動きが変化したら、魔剣に怪しまれるかもしれないわよ」

 

「特に何かしてほしいわけじゃない。ただアリアがこれから白雪やキンジから離れるなら、教えておいて損はないだろ? 緊急時にはアリアの手札(カード)としてオレを使える」

 

 そう話すとアリアは顎に指を当ててしばし沈黙。何かを考えているようだ。

 その間に注文した物――オレがブラックコーヒーとショートケーキでアリアがパフェ――が届けられ、話は食べながらに変わった。

 

「まぁ……あむ……京夜を使えるのは……あむ……あたしとしても心強いわね……はむ……レキもあんたのことは……はむ……見込んでるみたいだしね」

 

「食うか話すかどっちかにしろよ」

 

 パフェを食べながら話すアリアに軽くツッコミを入れつつ、オレはショートケーキにフォークを入れ口に放りコーヒーを飲む。

 

「だが、オレを使えるのは実際に何かあった時に限るぞ。何もなければそれに越したことはないわけで、教務科……つーか、綴も保険としてオレに依頼してるしな」

 

「わかってる。でも京夜には近々動いてもらうことになるわ。あたしのカンが正しければね。それまでは京夜も今まで通りに依頼をこなしなさい。魔剣はイ・ウーでも……はっ!」

 

 アリアはそこまで言いかけて口を閉ざす。

 おそらくイ・ウーの名前を口に出したからだろう。

 

「……イ・ウーについてはオレも名前ぐらいは聞いてる。危険がないレベルの話ならしても大丈夫だよ」

 

 それにはアリアも「へっ?」などと間抜けな声を出していた。

 

「そ、そうなんだ。さすが京夜って言うのかしらね。じゃあ改めて。魔剣はイ・ウーでも指折りの策士なの。だから魔剣の計画に狂いを生じさせる存在は大きいわ。頼りにしてるからね」

 

 それでアリアはニコッと笑顔をオレに向ける。可愛いなこのやろう。

 そして話し終えてパフェを黙々と食べたアリアは、自分の分の会計をしてそそくさと帰っていってしまった。

 そういや、やることあるって言ってたしな。

 思いつつオレはまだ半分も食べてないケーキをのんびり食べていく。

 さて、オレも白雪のボディーガードに戻るか。

 アリアとも繋がりを持てたし、収穫としては上々。

 あとは何も起こらないことを祈りつつ、気を抜かずに依頼を全うするだけ。

 

『……5月5日、東京ウォルトランド・花火大会……一足お先に浴衣でスター・イリュージョンを見にいこう……?』

 

 その夜、小鳥の指導を終えてから、すでに日課になりつつある盗聴を開始していたオレは、イヤホンから聞こえてくる白雪とキンジの会話に意識を集中していた。

 

『行け』

 

『えっ!』

 

『そんな驚くことじゃないだろ』

 

『だ、だめだよ、こんなに人が沢山いるところ……私……』

 

『心配するな。ウォルトランドには入らなくていい。少し遠くなるが、葛西臨海公園から見ればいいだろ。1日ぐらい、外出のトレーニングだと思って学校から出てみろ』

 

『で、でも……私……』

 

『……俺もついてってやるよ。ボディーガードとしてな』

 

『キ……キンちゃんも、一緒に……?』

 

『ああ。一応それ、アドシアード前だしな』

 

 ……どうやら仲良くお出かけらしいな。

 こっちはずっと気を張ってるのに、呑気なことで。

 そう思いつつオレはイヤホンを耳から外すのだった。

 世はゴールデンウィークに突入。この連休が明ければアドシアードも開催される。

 そんな連休中の5月5日夜8時過ぎ。

 オレは花火を見に外出したキンジと白雪を尾行していた。

 尾行と言ってもドラマとかであるあんな怪しげな感じではなく……

 

「京夜先輩っ! 花火、楽しみですね!」

 

「そうだな。あんまりはしゃいで転ぶなよ?」

 

「大丈夫ですっ! 京夜先輩に迷惑はかけません! ねー、昴っ!」

 

 戦妹の小鳥と一緒に同じ場所、葛西臨海公園に向かっているのである。

 こうすることで万が一鉢合わせになっても誤魔化しが利くし、どこかで監視してるはずの魔剣の目からも逃れられる……はずだ。

 そして花火を見に行くと話した時の小鳥のはしゃぎようが異常で、どこから引っ張り出したのか、浴衣まで着てきた。

 浴衣はピンクの生地にひまわりの柄をあしらったモノで、赤い帯。可愛いタイプの小鳥には似合ってると思う。

 実際に似合ってると言ったら顔を真っ赤にして「あ、ありがとうございましゅっ!」って噛んでたし、あれは笑えた。

 そこでつい思い出し笑いをしてしまったオレは、隣を歩く小鳥に不思議がられてしまう。

 

「何かおかしなことでも?」

 

 オレを見上げながらそう尋ねる小鳥はとても可愛らしくて、つい頭を撫でたくなる。というか撫でてしまった。

 

「いや、さっきの小鳥の噛み噛みの台詞を思い出してな」

 

「あう……ひ、酷いです京夜先輩! 私は恥ずかしかったんですよ!」

 

「いやいや、小鳥らしくて良かったぞ?」

 

「良くないです!」

 

 それで小鳥はオレの前に立ち塞がり頬を膨らませる。

 

「わ、私は確かにテンパりやすいとは思いますけど、好きで噛んでるわけじゃないんです!」

 

「わかったわかった。だからとりあえず歩くぞ。肝心の花火を見逃す」

 

 切実な小鳥の言い分を軽く流しつつ、オレは言いながら小鳥の体を180度回転させてその背中を押して歩き始めた。

 小鳥はそれに慌ててわたわたしたが、すぐにオレの隣に移動して歩き始めた。

 そんなこんなでモノレールやら電車やらを乗り継いでポンポンと葛西臨海公園までやってきたわけだが、一応持ってきたキンジ限定発信機の現在地がまだ葛西臨海公園駅。

 どうやら追い抜いていたらしい。テキトーな尾行だなオレよ。

 まぁ、遅からずここに来るわけだしいいか。

 オレがそう思いながらこの公園で花火が見えるであろう人工なぎさに向かっていると、いつの間にか小鳥が近くの売店で買ったであろう缶ジュースを横を歩きながら差し出してきた。

 できた戦妹だなおい。帰りになんか奢ってやるか。

 貰いつつ人工なぎさへと出たオレと小鳥は、近くに備えてあったベンチに腰を下ろして缶ジュースを開けて花火を見始めた。

 のだったが、花火は見始めてから数分で終わってしまい、なんだか味気ないものになってしまった。

 キンジ達に合わせたらこれだ。時間にルーズなんだよキンジ!

 

「……終わっちゃいましたね、花火……」

 

「……すまん。時間にミスがあったみたいだ」

 

 いや、オレにミスはない。悪いのは7時に出かけるはずだったあの2人が8時に出かけたからだ。

 

「で、でも私は京夜先輩と2人きりでお出かけできてすごく嬉しかったんですよ! あっ、昴もいますが。これはホントにホントですから!」

 

「ありがとうな、小鳥。だがその優しさは時に大きなダメージを与えるんだ。覚えておけ」

 

 今のオレは申し訳なさMAX。小鳥の優しさが逆にダメージになっていた。

 そんなやりとりをしていると、やっと来たキンジと白雪の姿を遠目に発見した。

 あちらはまだオレ達に気付いていないようだ。

 まぁ、外灯があるとはいえ暗いし、オレも小鳥も武偵高の制服を着ていないからぱっと見なら気付かれないだろう。

 あれは外では色んな意味で目立つから困る。

 

「そういえば小鳥の両親って、ずっと海外を飛び回ってる探偵なんだよな? なんか面白い話とか聞いたりしてないのか?」

 

 オレは白雪とキンジを観察がてら、小鳥に話題を振って自然な感じを作る。

 

「えっと、そうですねぇ……うちのお父さんとお母さんも私と同じで動物のパートナーがそれぞれいるんですけど、先月その子達が……」

 

 小鳥が楽しそうに話し始めたのを聞きながら、時折視線だけキンジ達に向けて観察していると、あろうことかキンジの奴、白雪から離れてどこか行きやがった! あんのバカが!

 そう思ったのも束の間、キンジの制服の上着を羽織った浴衣姿の白雪は、近くにあったベンチに座って数秒、おもむろに携帯を取り出して開いた。

 どうやらメールを読んでるようだが、表情が見えない。

 しかしメールを読んでいた白雪の動きがピタリ。時間が止まったかのようになっていた。

――魔剣は相手に脅迫メールを送る。

 この情報が頭をよぎったオレは、小鳥にトイレとだけ言って離れて、公園の公衆トイレから白雪に連絡を取ってみた。

 

『猿飛くん? こんな時間にどうしたの?』

 

 普通の反応……か?

 

「今日はやけに下が静かだと思ったら、誰もいないのな。キンジとデートか?」

 

『……ううん。キンちゃんに連れられて花火を見に来たの。見られなかったんだけどね』

 

 ……これはおかしいな。

 いつもの白雪ならキンジとデートか? なんて聞かれたらテンパりまくってなに言ってるかわからなくなるはずだ。

 

「そうか。オレ的にはもう少し静かな夜を過ごしたいから、ゆっくり帰ってこい」

 

『キンちゃんにもそう言っておくね』

 

「おう、それじゃあな」

 

 ……ふう。これで確定か……

 白雪は魔剣に狙われている。それが今確定した。

 となると動きがあるのはアドシアードの期間中かそれに近い頃。

 武偵高のセキュリティーが下がる期間と見て間違いないな。

 アリアは始めから魔剣がいると言っていたから、改めて連絡を取る必要はないか。

 それにあまり動きすぎれば魔剣にオレの存在を気付かれる。

 いや、すでに気付かれてると思って行動した方が良さそうだな。

 オレはそう考え至ってから、小鳥の元へ戻って帰路についたのだった。

 そして……アドシアード開催……

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