緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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 ……忙しいっ! なんだこれ!?

 アドシアード開催に合わせて入場口でパンフレット配りをしていたオレは、次々に来場する人の波に対応を追われていた。

 

「ご来場ありがとうございます! こちら学園島のパンフレットになります」

 

 いまさら思うが、なんでこんな物騒な祭りに人が集まるのか不思議でならない。

 やってる競技なんて狙撃競技(スナイピング)やら拳銃射撃競技(ガンシューティング)やらだぞ。

 確かに日常生活でそんなもの見る機会なんて日本にはほとんどないが、それにしてもだ。

 それにこのパンフレット配りにしたって、オレみたいな無愛想な奴がやるより、近くでパンフレットを配るモデル並みのスタイルとルックスの武藤貴希みたいなのが全員やればいいと思う。

 実際オレと貴希の周りの人の数は雲泥の差……というか貴希の前に男どもの行列ができてるんだが?

 などと思いつつ忙しいことに変わりないパンフレット配りを黙々と営業スマイル全開でやっていると、少し気が付いたことがあった。

 

「お兄さんありがとうっ!」

 

「ありがとうございまーす」

 

 何故かオレの元に来るのが小中学生だと言うことだ。しかも女子。

 パンフレットを貰った女子中学生なんかは「今の人なかなかだったよね?」「うんうんっ」などと話していた。

 そういや前に不知火に「猿飛君って、普通の学校だったら女の子にモテるだろうね。武偵高は実力主義なところあるから仕方ないけど」とか、理子にも「キョーやん素材はいいから」とか言われたか。

 ……嬉しくない。人に好かれようと思ってない側としては迷惑極まりないぞ。今から営業スマイルやめるか。

 だが何故年下ばかり……オレは何で年下に好かれるんだ?

 京都にいる『あの子』も1個下だし……オレに何か特殊な能力があるとか?

 そんな疑問を抱きつつ、最初の混雑を乗り切ったオレは、入場口前のテントに避難して休憩していた。

 

「京夜先輩っ! お疲れさまですっ!」

 

 そこに同じく休憩中の貴希が、紙コップに入ったお茶を渡しつつ隣に座った。

 

「貴希の方がお疲れだな。男共が群がってただろ」

 

「京夜先輩も女の子に囲まれてたじゃないですか」

 

 どうでもいいがこの貴希。キンジや他の先輩には平気でタメ口なのだが、何故かオレには敬語を使う。

 少し砕けた感じではあるのだが。

 

「囲まれてない。目が腐ったか?」

 

「腐ってません! これでもちゃんと京夜先輩を見てま……!」

 

「みてま?」

 

「うっ、今のなし! 問い詰めたら轢いちゃうぞ?」

 

 出た。武藤兄妹の口癖「轢いちゃうぞ」。兄貴は「轢いてやる」だ。

 

「ふむ、轢かれたくはないな。オレはそっちの趣味はないし」

 

「どんな趣味ですか……」

 

「それはそうと、ちょっと参考までに貴希に聞きたい。オレはこう……年下の女子から見たら、見た目がいいのか? パンフ配りしてて疑問に思ったんだが……」

 

 変な方向に話が進みそうになったので、とりあえず話題を変えてみることにした。

 しかしそんなオレの質問に貴希は赤面し顔を伏せてしまう。何でだオイ。

 

「京夜先輩は……その……一部では『反面教師』って言われてますけど、それを抜きにしたら女子の間では割と人気でして……最近では戦妹の橘さんが1年の女子達に京夜先輩が実は凄いって自慢気に話したりしてて……」

 

 小鳥……帰ったら尋問だな。

 それにしてもまさか『反面教師』の称号があってもというのは……

 ちなみにオレは実践授業でほとんどドベの成績なため、武偵高……特に同学年には『反面教師』の称号を与えられている。

 だから自分が密かに女子に人気がある事実には正直驚きである。

 

「なるほどな。だがオレが年下に好かれる理由が見えん。この疑問は迷宮入りか……ちなみに貴希はオレのことどう思ってる?」

 

「は、はい!? 私はその……お兄ちゃんとも仲良くしてくれますし、私にも優しくしてくれるので、その……好……」

 

 貴希がそこまで言いかけると、入場口にまた人の波が来たようで、オレと貴希にもヘルプが入る。

 

「悪い貴希。話はまた後でな」

 

「あ……はい……」

 

 何で落ち込む貴希よ。オレが何かしたか?

 そんな残念そうにする貴希を見て、オレは手を引っ張り立ち上がらせる。

 

「ほら、そんな顔でパンフ配ってたら来場者に悪い印象与えるぞ。オレは貴希の笑ってる顔、好きだぞ?」

 

「す!? 好き!?」

 

 そう言ってやると貴希は途端に赤面したかと思うと、今度はにへらぁと緩んだ顔になる。表情豊かだな。

 

「よーし! 頑張りますよ、京夜先輩!」

 

「お、おう」

 

 それで貴希のエンジンに火が点いたらしく、そのやる気に満ちた笑顔にオレは気持ちで圧されてしまった。

 時間は11時過ぎ。

 地獄のようなパンフ配りを終えたオレは、貴希と少し話してからアドシアード準備委員会のテントが見える建物の屋上に移動して、別れ際に貴希が差し入れてくれたサンドイッチを食べていた。

 理由は簡単。そのアドシアード準備委員会の委員長が白雪で、朝からずっとそこにいるからだ。

 今も忙しそうに生徒達に指示を出しながら動いている。相変わらずの優等生ぶり。オレには絶対無理だな。

 など考えながらサンドイッチ片手に携帯を開いていたオレは、そこに映るこの近辺の地図とその中に点滅する赤い点を見て苛立っていた。

 

「バカキンジが。白雪から離れやがって」

 

 点滅する赤い点はオレがキンジにあげた魔除けの御守り……の中に仕込んだ発信機。

 それは現在、白雪のいる場所からかなり離れていた。

 案の定、『魔剣がいない』と思ってるキンジの油断が行動に出た結果だろう。

 だがまぁ、これでアリアの作戦はほぼ成功。1人になった白雪を見逃す魔剣ではないだろう。

 あとは出てきたところを『無事に逮捕できるか』という最大の難関をクリアするだけ。

 言うのは簡単だが、相手は今まで人前に『姿すら見せたことがない』強敵、魔剣。一瞬の油断や判断ミスが結果を変える。

 オレも慎重に、そして場合によっては大胆に立ち回らなきゃいけない。

 キツい任務を請け負っちまったよ、まったく。

 時間は昼の3時を回った。

 未だにキンジは白雪から離れて開会式会場辺りにいるし、白雪にも異常はない。

 何もないのは良い事だが、逆に何もなさすぎて不安になってくる。

 集中の切れかけたオレが大きなあくびをしつつ空を眺めていると、なにやらこちらに近づく鳥の姿が目に入った。

 あれは昴だな。よく見ると左足に布切れが付いてる。小鳥からの伝言か? 連絡なら携帯でしてくりゃいいの……

 オレはそこまで考えて頭を覚醒させ昴を招き、足から布切れを取って内容を確認する。

 ――兆しあり。注意されたし――

 布切れにはそう書かれていた。

 小鳥は聞くとアドシアード準備委員会の一員だったらしく、アドシアード期間中は白雪の近くにいることが多いと昨夜になってわかった。

 そこで昨日、小鳥には白雪が自分から持ち場を離れようとしたりしたら内密に昴を使って伝えるように言っておいたのだ。

 これはオレが白雪のボディーガードにつけない時――アドシアード開催時――の保険だったのだが、良い刺激になった。おかげで眠気が吹き飛んだ。

 ちなみに小鳥には依頼について話していないが、必要あってのことと話したら快く了承してくれた。

 本当に良い子だよ。今度何かお願いでも聞いてやるか。

 そうして改めて白雪の監視に集中していったオレは、その1時間後に行動を開始することになる。

 時刻は夕方4時を回る頃、白雪が誰も引き連れずにテントから離れた。行き先はSSRの専門棟のある方向。

 さて、どこに行く白雪よ。

 オレは白雪を見失わないように屋上をあとにして、その跡を追った。

 白雪は始め、SSRの専門棟に入ったかと思うと、十数分で出てきてまた違う場所へ。

 その際に武偵高の制服から巫女装束に着替えて、さらに手には日本刀が。

 確かアレは『イロカネアヤメ』とかいう星伽に伝わる名刀って前に話してた気がするぞ。そんなもんを持ってどこに行く、白雪。

 改めて白雪の跡を追い始めた矢先、突然携帯にメール着信が。

 白雪を追いつつメールを確認すると、武偵高の周知メールだ。

 ――ケースD7。

 その暗号が意味するところは、『アドシアード期間中、武偵高内で事件が発生したことを意味する』もの。

 その中でD7は『事件であるかは不明確で、連絡は一部の者のみに行く。なお保護対象者の身の安全のため、みだりに騒ぎ立ててはならない。武偵高もアドシアードを予定通り継続する。極秘裏に解決せよ』というもの。

 タイミング的にどうやら白雪のことらしいな。

 おそらくあの花火大会の夜、魔剣に『抵抗すれば誰か殺す』とでも言われたのだろう。

 その際に『誰にも何も告げるな』と付け加えられてな。

 オレは携帯をポケットにしまいつつ、どんどん学園島の中心から離れる白雪の跡を追い続けた。

 白雪がやってきたのは、武偵高で3大危険地域に数えられる地下倉庫(ジャンクション)に繋がる通路だった。

 一般の学校なら危険なんて皆無だろう。だがここは武偵高。

 授業で銃弾やらなにやらを大量に使うここの地下倉庫はいわば火薬庫。

 こんな場所で銃をぶっ放して誘爆なんてしてみろ。学園島が吹き飛ぶぞ。

 そんな通路の中に入っていった白雪を見ながら、オレはどうするべきかを考えていた。

 アリアにはとりあえずメールで知らせるとして、問題はあのバカキンジに知らせるかどうかだ。

 発信機が未だに動いてないところを見ると、あいつ周知メールにも気付いてないぞ。寝てんのか、こら。

 時間はもうすぐ5時になるな。

 チンタラやってると白雪が連れ去られる。かといってオレが先陣切るわけにもいかん。

 いきなり魔剣の『想定外』が起きては、かえって状況を悪くしかねない。

 ……仕方ない。バカキンジにも知らせるか。

 そう考え至ってまずアリアにメールを送り、次にキンジに連絡を入れようとすると、やっと発信機が動き出した。おせーよバカキンジ。

 だが発信機はしばらく動くとその動きをピタリと止めた。おそらくアテもなく走り回っていたのだろう。焦っても仕方ないだろうに。

 それにケースD7だ。極秘裏に動かなければならない。

 ――タァーン……

 そんな時に遠くの方からわずかに銃声が聞こえた。

 音のした方角や大雑把な距離を割り出してみると、その辺りの範囲には狙撃科の専門棟があるな……って、だからなんだって話だ!

 かなり集中してるからどうでもいいところにも意識が行く。

 それからキンジに連絡を入れてみると、誰かと通話中らしい。

 誰だ? すると数秒の内に同時回線通話に切り替わりキンジと繋がる。

 

「お取り込み中か? キンジ」

 

『京夜さんですか?』

 

 ん? この無機質で抑揚のない独特の声は……レキか。

 

「相手はレキか。しかしこのタイミングでする話となると……」

 

『はい。冷静さを欠いていたようでしたので、今キンジさんには強引ではありましたが落ち着いてもらいました』

 

 強引に落ち着かせた? 今?

 

「……撃ったのか?」

 

『はい。街灯に1発』

 

「……手間が省けた。サンキューな、レキ。それじゃあ、落ち着いたキンジ君に朗報だよーっと」

 

『な、なんだよ?』

 

「白雪の居場所について」

 

『ど、どこだ!?』

 

「地下倉庫に繋がる道に入ったのを確認してる」

 

『キンジさん。私もその近くの海水の流れに違和感を感じます。第9排水溝の辺り』

 

『マジか……わかった。ありがとうレキ、猿飛。今向かってみる』

 

「おう、頑張れや」

 

『……ところで何で猿飛がそんなこと知って……』

 

 ……レキよ。お前は狙撃科の専門棟から学園島外周の排水溝の流れまで見えるのか。化け物だな。

 キンジに無駄な質問をされる前に通話を切ったオレは、レキの超人能力にため息を吐きつつ、アリアから「了解」とだけ返ってきたメールを確認してから、今の自分の装備の確認を始めた。

 ミズチは……整備のおかげで音なく使える。異常はない。クナイは……8本。小刀は……ある。万能ツールもオッケー。

 中は火薬の山だ。クナイは投げると危ないから温存。使えるのは小刀とワイヤー、万能ツールか。

 おそらく事前にエレベーターなんかの手段は使えないようにされてるはずだから、オレは諜報科らしく中に入りますか。

 そしてオレは、キンジより少し早く地下倉庫内部へと侵入していった。

 武偵高の地下は船のデッキみたいな多層構造になっていて、地下2階からが水面下になる。

 とりあえずそこまでは階段で音なく駆け下り、その階にある立ち入り禁止区域に続くエレベーターを確認したが、白雪が使用したような痕跡はあったものの、やはり動かなくされていた。

 予想してたし使う気もなかったからな。別ルートから行きますか。

 しかし地下倉庫は地下7階。

 浸水用の隔壁などを兼ねる非常扉くらいしかエレベーター以外に降下手段がないのは痛い。

 それにオレがアリア達と合流せずに地下倉庫に行っても仕方ない。

 ここはアリアとキンジを信じて『先手』を打っとくか。

 考えながら変圧室に入り、そこにある3重の隔壁を開け非常ハシゴを下りて、また隔壁を開けハシゴを下りてを繰り返し地下6階まで到達。

 すぐ下は危険物満載の地下倉庫がある。おそらく今は白雪と魔剣もいる。

 オレは地下6階のコンピュータ室を歩きながら、その内部構造を把握していくと共に並列して思考を巡らせる。

 魔剣の計画にキンジが来ることは想定内だと考えよう。

 しかしアリアの登場はおそらく魔剣の想定外になるはず。

 そうなるとレキの情報から察して、地下倉庫から繋がる排水溝からの脱出は使わない。

 白雪も仕方ないといって切り捨てる可能性もある。たぶんなんらかの手段で3人をまとめて仕留めにかかる。

 そうなると脱出手段はオレが通ってきた非常扉か、別の排水溝しかない。効率を考えれば、すぐ上の階にある排水溝が定石だ。

 考えながらここに1つだけある排水溝を確認した。手が加わっている形跡はない。まぁ、それならレキが気付いてるか。

 続いて下の階に続く非常扉の確認。何ヵ所かあったが、1ヵ所だけ事前にロックを開けられた扉があった。ビンゴ。

 

「んー、策士が逃走ルートを事前に作るのは確かに基本だが、相手はイ・ウー。存在が曖昧だった自分を世間に認知させる可能性を残して逃走するか?」

 

 そうなるとアリア達を確実に仕留め、それを自身で確認する。

 聞けば魔剣は剣の達人とか。1対1ならアリアクラスの化け物と考えていいだろう。

 こう予測すると、地下7階でまとめて仕留めるための仕掛けがあって、ここ地下6階は唯一の逃げ道として各個撃破に用いるといった形か。

 このコンピュータ室は機材が乱雑に置かれていて、ちょっとした迷路になってるし、銃撃戦になっても盾になるものが多い。

 そんな魔剣が手を加えたであろうここに、オレが手を加えるのは危険……とは思うが、アリア達はいま綱渡りをしてる。オレがここで綱渡りしなくてどうする。

 幸いここは薄暗くて細かいところはわかりづらい。仕掛けるならワイヤートラップが一番か。

 ただ、アリア達を考慮するなら手動式の起動トラップにしないとな。

 やることを決めたオレは、ワイヤーを切ることで作動する起動トラップを天井すれすれに設置していく。床に近いとこちらの意図としない作動があるかもしれないからな。

 そうしてトラップを仕掛け終えた頃、オレ以外いないはずのこの階に人の気配がした。誰だ?

 息を潜めながら気配がした方にゆっくり向かっていたが、少ししてまた別の気配がして、そちらの方が距離的に近かったため優先順位を変更。

 懐の小刀を抜き、大きな機材越しにまで気配へと近付き、フッ……小刀を相手の首筋にあてがう。が、ほぼ同じタイミングでオレの腹に銃口を突き付けられた。完璧に気配は消したはず……って……

 

「「アリア(京夜)!?」」

 

互いに顔を確認したオレとアリアは、小声で同時に口を開いた。

 

「あんたここで……!」

 

 オレは話し出したアリアに対して、人差し指を口元に当てて静かにするようにと促した。

 

「魔剣がこの階にいるのか?」

 

 アリアはそれにこくり。首を縦に振り応えた。

 

「キンジと白雪は?」

 

 それには右の人差し指で下の階を指し示す。

 

「オレが必要になったら右手でツインテールの先を触れ。仕込みは万全だ」

 

「わかったわ」

 

「よし、行け」

 

 運が良かった。

 魔剣との対決の前にアリアと打ち合わせが出来た。具体的な説明はしてないが、アリアレベルなら咄嗟でも対応できるはずだ。信じよう。

 それから数分が経ち、下の階から何故か大量の水が出てきて、その吹き出し口付近にキンジと白雪の姿を確認。

 水が溢れ出たということは、下の階はもう水で一杯なのだろう。なるほど、浸水による溺死狙いか。

 この階にこれ以上水が入らないようにキンジが出てきた扉を力技で閉めてロック。ひとまず浸水の危険はなくなったか。

 

「――キンジ。よかった、無事だったのね……」

 

 そこにアリアが合流。

 白雪は吹き出した水に流されてはぐれてしまったようで、オレも見失っちまった。

 

「――なんで逃げなかったの。『戦わなくていい』って言ったでしょ」

 

「可愛いアリアを置いて逃げられるほど、俺は理性的なタイプじゃないんでね」

 

「……な、なによそれっ」

 

 ん? この感じのキンジは……『使えるキンジ』か。

 よしよし、状況はこちらに有利になりかけてるな。

 

「それよりアリア――魔剣は?」

 

「……まだ見つからない。あの臆病者、あたしと戦うつもりがないみたいだわ」

 

「――そうか」

 

 それから白雪と合流しようとしたタイミングで、微かな咳の音を聞き取ったオレ。

 どうやらキンジとアリアも気付いたらしい。

 

「白雪だわ。あっちにいる」

 

 それで2人は移動を開始。オレもそれに合わせて移動をしていった。

 

「……けほっ、けほっ……て、敵、は……?」

 

「姿が見えないわ。白雪、あたし達から離れないで」

 

 これでとりあえず全員合流。あとは魔剣を逮捕するだけだな。

 オレがそう思って手元にあるクナイを確認していると、なんとなくだがキンジの表情が安心していないように思えた。

 白雪と合流できたのにあの何かを警戒するような表情は……何だ?

 

「唇、大丈夫か。さっきの」

 

「うん、大丈夫」

 

「血が出てたろう。見せてみろ」

 

「ううん。大したことなかったよ。口の中を切っただけ」

 

 キンジが白雪とそんな話をした後だった。

 

「アリア逃げろ!」

 

 キンジが叫び白雪めがけて発砲したのは。

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