緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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「あー…………適度な寒さが心地良いとかなんだかなぁ……」

 

 十蔵さんの娘さんである菜々美さんのところに厄介になった翌日の朝。

 寝ぼけたままオレの見えるところで着替えるというお約束なことをした菜々美さんが完全覚醒して謝ってきてからすぐにアパートを出て、ジャンクフードを朝食に公園のベンチで空を見ながらにそんなことを思う。

 良い意味でも悪い意味でも菜々美さんのいる空間は暖かい。暖かすぎると言ってもいいかもしれない。

 それをわずか半日足らずで感じてしまったわけだが、あの空間に武偵が長くいると『腐ってしまう』。

 そう思って足早に出てきたのはいいが、また夜には戻るのだから、ちゃんと挨拶して出ていくべきだったかもしれん。今となっては後の祭りか。

 まぁ、その辺のことはまた戻ってからでもなんとでもできそうなので後回しにして、脳に栄養がいってるところで今回の依頼についてをもう1度確認しておく。

 幸姉からの依頼はこうだ。

 先月辺りから仕事の成果として密輸などの取り締まりを強化したらしく、実際イ・ウー時代にココなどのその手のやり口を学んでいた幸姉の政策は結構な結果を出していたのだが、今月の末にここ東京の輸入品の中に銃器類の密輸が発見されたらしい。

 出所不明のその密輸品はどうやら極一部のようで、幸姉の政策の目を盗むような狡猾な手段を用いていたことから、まだ発見されず密輸されてる物もある可能性があり、いま現在も取り締まり強化はしているものの、元を絶たねばトカゲの尻尾切りということでオレに話が来たわけだ。

 そしてオレがすることはその密輸品がどこに流れているかの調査と、どこから流れてきたのかを突き止めて報告すること。

 言うは易しだが、実際にやるとなると手がかりがなさすぎて笑えてくるのだが、幸いなことに幸姉の政策が実施されて以降、密輸関係の問題はピタリとまではいかないまでも、アジア圏での失敗のリスクが高いからと発生率が激減。その煽りを受けるのがオレが頼ったヤクザなどの闇組織。

 幸姉の圧力でナリを潜める組織ばかりの中で、活気づいているところがあればそこはちょっと怪しい。

 もちろん全うな仕事(シノギ)で儲けているところが多いだろうが、そういったところを当たっていけばいつかは当たりを引ける可能性がなくもないといった感じだ。

 唯一の手がかりとして幸姉からもらったのは、密輸が全て『中国経由』ということで、ある程度調査の簡略化は可能だが、それでも物的証拠の入手には組織の事務所などへの侵入が必要。

 会話の盗聴など期待はできないしな。

 そこまでを考えてジャンクフードを食べ終えた頃。

 時間にして朝の8時30分になろうという頃合いに十蔵さんから渡された携帯に着信があり、『B』と示された名前に誰かを一瞬考えて思い当たり通話に応じる。

 これは紛失時に誰の物かを特定できないようにした連絡用の携帯――もちろん向こうもそうだ――だから、シゲさんなどの名前もアルファベットで適当に割り振られている。

 

『旦那、朝早くにすみません』

 

「何か掴んだんですか?」

 

『はい。天狼会ってところが最近、景気が良いとかで近々銀座に開くバーへ資金援助を惜しんでねーみてーです。全うなシノギをしてるだけにも見えますが、そんな感じの噂でいいんですよね?』

 

「ええ。あとはその天狼会の事務所の所在なんかもわかればありがたいですけど」

 

『そっちもわかってますよ。大抵の組は名前さえ聞きゃシマくらいはわかりますからね。調べるまでもねーです』

 

 朝早くから連絡をくれたシゲさんは、早速拾ってきた情報をオレに報告してくれて、それに感謝しながら事務所の所在を聞いて、頭の低いシゲさんに確認のために尋ねておく。

 

「あの、シゲさん。一応の確認ですけど、この探りは組全体でやってないですよね?」

 

『はい。それは旦那も俺らも危険を伴うんで、俺と筆頭数人だけでそれとなくやってます。俺らも末端全員に常に目がいくわけじゃねーですからね』

 

 オレの質問の意図を皆まで言わずとも理解してくれていたシゲさんは、抜かりのない調査方法に少々自慢気だが、油断はしないでほしいと言ったら携帯越しでもビシッと姿勢を正したのがわかる返事をしてきてちょっと笑ってしまう。

 シゲさんならそんな心配なさそうだけどな。

 

『まぁ、旦那は大船に乗ったつもりでいてくださいや。旦那が何をしてるかは尋ねませんが、俺らも頭も旦那のやってることが無事に済むように願ってます』

 

「……どうもです」

 

『それでその……これはちょっとしたこっちの事情なんですがね、少々尋ねたいことがあるんですが、いいですかね?』

 

 そうしてオレの不安を取り除くようにして口を開いたシゲさんに感謝してから、急にモゴモゴとした雰囲気で尋ねることがあると話すので、聞くだけならと返してその話とやらを聞く。何だろう。

 

『そのぉ……お嬢は……ちゃんとやれてますかね? 俺らも頭も何か緊急のことでもねー限りは接触も連絡も控えてくれって言われてまして……お恥ずかしい話、お嬢がどんな生活してるか知らねーんです』

 

 これは真面目な話かなとちょっとベンチに座り直してしまってから聞いたシゲさんの話だったが、本当にあちらの事情だったのでちょっとベンチから滑り落ちるものの、シゲさんは菜々美さんのことが心配だからこそオレに……

 ん? 違うなこれ。たぶん十蔵さんはそういう事情があったからオレを菜々美さんのところに……

 そう思ってオレの返答待ちのシゲさんに確認するように質問で返してみる。

 

「あの、シゲさん。もしかして十蔵さんは菜々美さんの大学生活を探るためにオレを密偵として寄越したんじゃ……」

 

『か、勘違いしねーでくださいよ旦那。頭は本当に困ってる旦那を助けたい一心で大切なお嬢のところに身を置かせたんです。これは俺が勝手に尋ねたことで……すが、頭にも報告はするつもりでした。ですが!』

 

「あー、別に責めてるわけじゃないです。十蔵さんにも菜々美さんにも感謝してますから」

 

 どうやら昨日のあの場でそこまで考えてのことではなさそうだったが、そういう密偵みたいな使われ方をされてることには変わりない。

 だがそれは菜々美さんの大学生活。プライバシーを侵害することにもなるので、公開する情報は選択させてもらう。

 その上でシゲさんは納得したので、十分な情報を選別して、十蔵さん達が安心するようなものだけを厳選。

 

「菜々美さんにもプライバシーはありますから、オレからベラベラと喋るのは家庭の事とはいえ余計な火種は生みたくないです。なので当たり障りないことだけ述べさせてもらいますと、普通に良い大学生活を満喫しているかと。何か問題を抱えているとも別段思えませんし」

 

 そうして出した言葉に、携帯越しのシゲさんは沈黙。

 やっぱりこの程度じゃ安心してはくれないかなともう少しだけ話をしようとしたところで、ホッと息を吐いて安堵するシゲさんの声が聞こえてきてこちらもひと安心。

 

『旦那がそう言うなら安心です。ただ、これだけは聞いときたいんですが、お嬢にその……男の気配はありやしませんでしたか? お嬢は今まで男との付き合いが全く……』

 

「あー携帯の電波が遠いので切りますねー」

 

 はい終了。

 これ以上は菜々美さんに迷惑かけるからなし。

 そんな意味を込めて話の最中に強引に通話を切ったオレは、すぐにかけ直しが来ないことを確認してから向こうも突っ込みすぎたことを理解したかと思って携帯を懐へとしまって、教えられた天狼会とやらの事務所を目指してバイクを走らせていった。

 さて、久々に諜報科らしい技術を使うことになりそうだな。

 シゲさんの情報通りに渋谷区の原宿まで足を運んで、天狼会の事務所の入るオフィスビルの前まで移動しては来たが、2階にあるらしい事務所の窓からはすでに人影が確認できたので、人のいなくなるタイミングを狙うために道路を挟んだ向かいに丁度あった3階建てのオフィスビル。

 そこの屋上――侵入できなかったがミズチで強引に登った――を陣取って持ってきていた片手で持てる小型の望遠鏡を使って事務所を観察。

 人がいなくなるのを待つついでに事務所の押さえるべきところとドアの確認をするが、なんだか甲冑やら模造刀やらが飾られてるので武士マニアの感じがうかがえる。

 まぁそんなことはどうでもいいわけだが、ヤクザにも事務所の色があるよな。十蔵さんのところはあれ系の内装はない普通な感じだったし。

 そんなやたらと物の多い事務所内の観察をしながら、いざ人がいなくなった時に備えて迅速な行動のための手順を頭でシミュレートしておき、それに必要な道具も今のうちに準備。

 ピッキングとか密室作りとか本当に久々だから想定よりも手間取るかもしれないな。

 そうして不安を取り除くように授業で習ったピッキングやポピュラーな密室作りの方法をシミュレートしていたら、昼頃になって外食でもするのか、事務所内の人間が全員出ていったので、これを好機と見て速攻で屋上から降りて道路を渡りオフィスビルに侵入。

 監視カメラの類いが設置されてないことを確認してから堂々事務所の前に行って、ドアの施錠がピッキング可能なのを判断してから約5秒で解錠を完了させて中へと静かに侵入。

 内鍵がひと捻りで閉められることは確認済みなのでどの程度の力が必要かを調べてからすぐに事務所内のデスクを物色。

 元の配置を崩さないようにそれらしい確約の書類が出てこないかを探ること1分。

 割とまともそうなシノギの書類やシゲさんが言っていたオープンするバーへの援助に関する物は出てきたが、それ以外に怪しいと思う物は見当たらず、ここはハズレかなと判断して撤収。

 ワイヤーを取り出してドアの内鍵の捻る部分にワイヤーを括り、事務所を出てドアを閉めてから持ってきたワイヤーをドアノブ辺りから下へとススッと引っ張って内鍵を降ろして施錠。

 強く引っ張れば内鍵からワイヤーがすっぽ抜けるようにしていたので証拠も残さずに調査を終了。

 あとは何食わぬ顔でオフィスビルを出て立ち去るだけだ。久々でちょっと緊張した……

 これら全てを5分程度でやり遂げたわけだが、こんなことをこれからまだ何回……下手をすると何十回とやることになるかもしれないと思うと気が滅入ってしまうが、幸姉に頼まれてやると言ったからには弱音は吐いてられない。

 おそらくは今年最後の依頼だし、気合い入れてやりきるか。報酬は赤字だろうけど……

 その後も夕方頃にまたシゲさんから情報が入り、午後8時頃に誰もいなくなった事務所へと侵入し物色してみたが空振り。

 この調子だと1日で2、3件の調査が限界かもな。東京だけでどのくらいのヤクザがいるかは知らないが、長引かせてもよろしくない案件だから早く終わらせたい。菜々美さんのところに長居も危ないし。

 その菜々美さんのところには連絡の後に戻ることになってるので、その間に近くの温泉施設でくつろぎ、全く同じ防弾私服の2着目に着替えてそのままコインランドリーでさっきまで着ていた服を洗濯乾燥。

 午後9時30分頃に菜々美さんからの着信が履歴に残っていたので、コインランドリーから出てからすぐにアパートへと戻ってみると、勉強をしていた菜々美さんはまだ着替えてもいなくて何事かと思えば、お風呂がまだとかで心底呆れてしまう。

 全部済んだら連絡してくれって言ったはずだよな、オレ。この人もう天然すぎて怖い。

 

「……明日からはオレが戻ってきた段階ですぐ寝れる状態まで済ませてください。時間がかかっても構いませんからお願いします」

 

「でもそれだと夜の10時過ぎたりとかもあるかもだし、外は寒いしキョウ君が……」

 

「オレは別に……その気持ちはありがたいですけど、寒さをしのぐ術はありますし、菜々美さんの私生活に踏み込むことをしたくないんです」

 

「……キョウ君はお父さんとかとちょっと違うかなと思ったけど、頑固なところとか似てるかも。……わかりました。明日からは言われた通りにさせてもらいます。けど、今夜はこれからお風呂に入るの許してね」

 

 なんかもう何回も言ってる気がするけど、菜々美さんに浸透していないみたいなので強めに言っておくと、今度こそ納得してくれた菜々美さんは可愛らしく笑ってから話を終わらせて寝室から着替えを持って洗面室に行ってしまい、1日1天然みたいなのが炸裂しそうな菜々美さんに不安しかないな。

 その日はそれ以上のイレギュラーもなく昨夜と同じ感じで寝ることができたが、翌朝はどういうわけかベッドから落ちて寝ていた菜々美さんがパジャマのボタンがいくつか外れた状態でいたため、またもその魅惑の光景に戦慄しながら被っていた毛布を上から被せてあげるのだった。

 この人がいると目覚めには困らないな……

 それからの日々はこれといった変化はなく、日中はシゲさん達から寄越される情報を頼りに夜までできる限り調査。

 寝るのは菜々美さんのアパートのリビングとちょっとしたサイクルに突入。

 菜々美さんもさすがに2日くらいしたら天然も炸裂しなくなって割と安心してきたが、気を抜くとこっちが距離を詰めかねないので寝てる時以外に菜々美さんと顔を合わせているのが一番疲れる。

 親しみやすさを持つ人との生活は普通なら居心地良いのだが、状況にも寄るよな。

 そんな日々も1週間と続くと、さすがにたくさんあるとはいえ調査するヤクザもだいぶなくなってきて、シゲさん達からの情報も鈍化。

 日に1件程度で調べるのも早い段階で終わることがあって暇な時間というのも増えていた。

 幸姉には進展があったら連絡するように言われていたため、今のところそうする必要がないのだが、さすがに1週間音沙汰なしは不安にさせるか。

 などとも考えはしたが、オレを信頼してくれてるあの人なら待っててくれる。

 何の収穫もなしに連絡したら、それこそ怒られてしまうかもしれない。「真面目にやれ!」ってな。

 そんなわけで日曜日の夕方頃に本日の調査を終えてしまったオレは、西日暮里の辺りからちょっと通い慣れてきた温泉施設へと戻っていき、その途中で巣鴨のセルフスタンドでガソリンの補充をしていた。

 その最中に、何気なく街並みを見回していたら、あまりに見慣れすぎているものを発見し思わず2度見して凝視してしまう。

 武偵高のセーラー服だ。日曜日なのにそんなもの着てたら余計に目立つが、それを着ている女子も女子だ。

 散々監視してたからたとえ後ろ姿であっても見間違うことはなかっただろうその横顔は、遠山かなめ。

 その手には科学剣ではなくスーパーにでも行っていたのだろう買い物袋が持たれていて、驚くことにその隣を並んで歩くおばあさんと何やら仲良さげに笑顔で話をしながらオレの視界から遠退いていくが、あのかなめがあんなに仲良くするってことは、あの人もジーサードの仲間なのか?

 そんな疑問がふと沸いたオレは、かなめがこの辺りにいる理由も気になったので給油を終えてからかなめとおばあさんが進んでいった道を進んで追跡を試みたところ、ちょっと街の中心から離れた住宅街に入って、いかにもな日本家屋に2人して入っていってしまい、2人が完全に家の中に入っていったのを確認してからその家の正面玄関まで行き塀にあった表札を見れば『遠山』の名があったので、その場で少しだけ思考してから思い当たる。

 確かキンジの実家が巣鴨とかなんとか言ってた気が。ということはさっきのおばあさんはキンジの……

 そこまでに至って深読みしすぎたかと思い、何も見なかったことにして去ろうとしたら、なんかどっかのホームセンターでも行ってきたのか農園でも作れそうな材料を抱えたやたら派手な格好の男が進行方向から姿を現したので、フルフェイス型のヘルメットを被ったままそいつをよく見れば、ついこの前までキューバにいるとかなんとかだったジーサードだとわかって思わずハンドルから手が落ちる。

 何でお前が巣鴨なんて場所にいるんだよ。

 

「あ? んだてめェ。家に何か用なのかよ」

 

 そのジーサードはヘルメットのせいで顔がわからず、まだオレだとわかってない感じでガンを飛ばしてきたが、ここで会ったが百年目。あの時の恨みを晴らしておくか。

 そう思ってガンを飛ばすジーサードを見たまま1度バイクから降りたオレは、そのまま棒立ちのジーサードに対して先制のグーパンを顔に叩き込んでやる。

 

「……ああ? んだてめェ、死にてェのかおい」

 

「これはあの時の借りを返しただけだ。それで許してやるから感謝しとけ」

 

 オレに殴られても微動だにしなかったジーサードだが、明確に殺気を放ち始めたところでオレも声を出して誰かをわからせてやる。

 するとジーサードは放っていた殺気を少し緩めてオレのヘルメットの前面をガションと開けてオレを再確認すると、ニタァとよくわからない笑みを浮かべて殺気を完全に消す。

 

「おうおう、お前か。こんなとこで何してんだよ」

 

「黙秘する。それよりお前は何やってんだ」

 

「ああ? そりゃおめェ、帰省ってやつだ。兄貴もいるぜ。会ってくか?」

 

 最後に会った時は殺すだのなんだの言ってたのが嘘のようにフレンドリーなジーサードにちょっと調子が狂うが、オレの1発を気にも止めてないところを見るに悪いとは思ってたらしいな。

 そして指で家の方を指しながらにキンジもいることを知らせてきたわけだが、もう隠す気もないのかそれ。

 そしてそのキンジはまだ冬休みでもないのに帰省してるところを察するに依頼か何かをしてる最中とすぐに判断したオレは、こちらも依頼中とあってその誘いを断る。

 面倒なことになる可能性もあるし守秘義務もあるしな。

 

「オレがここにいたことは黙っとけ。それよりこれ、返すぞ」

 

 それはそれとして当分会えないと思ってたのに、こんな巣鴨の道端でばったり会ったことをチャンスと見て懐に忍ばせていた単分子振動刀を取り出してジーサードに返そうとしたが、それを全く受け取る素振りも見せずに訳わからないこと言ってるぞこいつみたいな目で見てくる。

 

「かなめに言ったはずだがよ、いらねェんだよそれ。返されたところで太平洋にでも捨てちまうし、使う必要があるやつが持ってりゃその方がいいだろ。それともかなめがなんか余計なこと言ったのか?」

 

「これ壊したらお前に従うしかないぞって言われたが」

 

「んなことして俺の下に付かれても困んだよ。俺は俺を信頼するやつしか下には置かねェ。要するにかなめのは独自解釈だ」

 

 ……かなめのやつ……人を惑わせるようなこと言いやがってからに。今から家に乗り込んで文句言ってやろうか。

 至って真面目にそう答えたジーサードが、100%真実を語ったとわかったので、余計なことをしてくれたかなめに突っかかろうと思うも今はやめておき、どうやらこのまま持っててもいいらしい単分子振動刀をまた懐にしまいつつ、これ以上ここにいるのもはばかられたので再びバイクに股がる。

 

「それで、お前は戦役ではどういう立場になった?」

 

「一応は兄貴に負けたからな、師団ってことにはなると思うぜ」

 

「それならいい。キンジとかなめと仲良くしろよ。もうお前らの喧嘩に巻き込まれるのは御免だからな」

 

「余計なお世話だ」

 

 それで最後に現在のジーサードの所属について尋ねたら、ちゃんと負けを認め師団になったらしく、それに安心したオレは恥ずかしそうに悪態をついたジーサードを横目に遠山家をあとにしたのだった。

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