緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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 もう夕食といくには完全に遅くなってしまった夜中。

 どうにか鏡高組とのいざこざも乗り切って、後始末をアリア達に任せ、菜々美さんとの約束を果たすために蔵前にある松方組の組長、十蔵さんが住む家の近くまでようやくやって来れた。

 結果として十蔵さん達が乗り込んでくるような気配はなかったので、菜々美さんはちゃんとこの件を黙っていてくれてるようだが、このまま黙ってるってわけにはいかないだろうし、何か盛り上がる雰囲気になる前に謝罪はしておこう。

 そう思って角を曲がって、十蔵さんの家の正面入り口のある通りに入ったら、その家の門の前で落ち着かない様子で立つ菜々美さんの姿があってちょっと動揺する。そんな外で待つなんて寒いでしょうが……

 向こうもバイクの音とヘッドライトに気付いてすぐにオレの方を見てきて、菜々美さんの目の前で停車してヘルメットを取ると、心底ホッとした笑顔を向けられてしまったが、その頬がすっかり赤くなって手袋もせずに白い息を吐いて手を暖める菜々美さんが心配になる。

 

「どうして外で待ってたんですか。体も冷えてしまったでしょ」

 

「中にいたらお父さんやシゲさんに気付かれちゃうと思って。それなら外で待ってた方が気が楽っていうか……」

 

 言われてみればそういうのに目ざとい人達だから、一緒にいるのはあまり得策ではなかったのか。

 それでも1時間くらいは外にいたような感じだったので、さっさとバイクを敷地内に入れて家の中へと入ると、居間の方へ通されてそこにいた十蔵さんとシゲさんに、幹部らしき2人の男が鍋の置かれたテーブルを囲んでいて、オレと菜々美さんの到着に歓迎の雰囲気を作ってくれる。

 端から見てもヤクザには見えないところは松方組の顔って感じだ。

 防寒着を脱いでそのまま台所の方に行ってしまった菜々美さんを横目に、十蔵さんに座るように言われたオレだったが、ここで座ってしまうと完全にタイミングを逃すと思ったので、普通に座るようにしてから十蔵さんを向くように正座をしてまっすぐに十蔵さんを見ると、十蔵さんはどうしたみたいな顔をする。

 

「……すみませんでした」

 

「……何がだ?」

 

 とにかくまずは頭を下げたオレに対して、当然わけも知らない十蔵さんは疑問を投げてくるし、シゲさんと他の2人も意識をオレへと集中してきて、そこに鍋の食材を持ってきた菜々美さんも、空気を察して立ち止まる。

 

「今日、オレのミスで大事な娘さんである菜々美さんを危険な目に遭わせてしまいました。なんとか穏便に事は済ませて今に至りましたが、本当にすみませんでした」

 

 これが精一杯の謝罪。あとは殴るなりなんなりが来ても甘んじて受けよう。

 そんな覚悟で頭を下げていると、静かに頭を上げるように言った十蔵さんに従って頭を上げて十蔵さんを見ると、その顔は真剣そのものでオレをまっすぐに見ていた。

 

「……菜々美。お前はキョウを許してんだな?」

 

「……キョウ君は自分を犠牲にして私を助けてくれた。キョウ君の失敗が招いたことだったのかもしれないけど、それでも私は、危険も省みずに全力で助けてくれたキョウ君を責めたりしない」

 

「……そうか。キョウを信用して菜々美のところに行かせたのは俺だ。つーことは菜々美を危険な目に遭わせたのも俺ってことになるな。それでもちゃんと助けてここに2人揃ってるってことなら、それでいいだろ。お前らもそれでいいな?」

 

 真剣な顔のまま菜々美さんに問いかけた十蔵さんに、しっかりと答えた菜々美さん。

 その答えに意外なことを言った十蔵さんがシゲさん達にそう問えば、3人も一致で賛同。

 そうなるとオレはお咎めなしってことになるのだが、それでいいのか……

 

「実を言うとよ。菜々美が帰ってきた時に様子がおかしいことにはすぐ気付いたんだが、本人が言おうとしねーから言い出すのを待とうってことにしてたんだ。なんか良くねーことなのはわかってたから、お前さんがここに来てそれを隠すようだったら、締め出すくらいの事はするつもりだったが、お前さんは正直に話して頭を下げてくれた。それで俺らはもうとやかく言うつもりはなかった」

 

 と、場の空気が和らいだところでやはり菜々美さんの異変には気付いてたことを話した十蔵さんは、オレがどうするかで今後のことを決める考えだったことを教えてくれて、本当にオレに対して怒ってないと笑顔を向けてくる。

 しょ、正直に話してて良かった……

 

「よし、話も終わったんだ。菜々美も突っ立ってねーで隣に来い。それともキョウの隣の方がいいか?」

 

「確かに意地悪なお父さんよりキョウ君の隣の方がいいかな」

 

「お嬢、それは頭が可哀想で……」

 

 そうして話も終わって食事の雰囲気を作り始めた十蔵さん達に、オレもズルズル引きずるようなことはせずにその中に静かに加わって、開始から酒を入れてきた十蔵さん達の陽気な感じと賑やかな食事が久々っぽい菜々美さんの結構なノリの良さを見つつ、鍋をつつくのだった。本当に良い家だな、ここは。

 それから酔った勢いやらなにやらでオレに菜々美さんとの生活のあれやこれやを聞いたりし出したシゲさんや、菜々美さんの今後のことを泣きながらに語り始めた十蔵さんに適当に付き合いつつ、トイレに立ったついでに幸姉にメールで依頼の件を報告。

 これでオレの仕事は完全に終わったな。あとはここを何事もなく出て帰るだけ。

 そうしたら十蔵さん達とはもう、見ず知らずの赤の他人か。

 などと考えながら用を済ませて居間へと戻ろうとしたら、今しがたメールを送った幸姉から電話が来て、一旦庭に移動してからそれに応じると、何故か声を聞くだけで安心してしまうその人が労いの言葉をかけてくれた。

 

『京夜、お疲れ様。京夜にしては結構かかったんじゃないかしら?』

 

「これで全力だよ。それより藍幇が相手ってことだけど、大丈夫か?」

 

『私の警告を無視してくれた香港藍幇には雷落としとくから安心しなさい。金輪際、日本に密輸なんてさせないんだから』

 

「そりゃ怖いな」

 

『あー、それとは別件なんだけどさ、藍幇っていうと近々……』

 

 わざわざ電話してきたから直接話したいことでもあったのだろうとは思ったオレは話題がシフトしたそのタイミングでちょっと真剣さを増すが、ここでオレを発見した菜々美さんが庭に出てきてしまったので一旦通話を保留。

 携帯を背中に隠して菜々美さんと正面から向き合った。

 

「こんなところにいたら風邪引いちゃうよ?」

 

「ちょっとだけ頭を冷やしたかったので。すぐに戻りますから」

 

 わざわざオレを探しに来た、というわけではなく、居間を出たらオレを見つけて近寄ってきたってところだろうが、オレがそう言えば1度目の前まで来て両頬を手で挟み、まだ暖かいことを確認したら「お父さん達が待ってるから早くね」と言い残して家の中に戻っていった。

 

『……おいこら京夜。きょーうーやーさーん?』

 

 これは長話してたらまた呼びに来そうだなと予想しつつ放置していた携帯に意識を向けると、ちょっと不機嫌気味な幸姉の声が聞こえてきて最初に謝ってから応じたが、なんかまだ怒ってるから放置されたことにだけ怒ってるわけではなさそうだ。

 

『今さぁ、私の知らない女の声が聞こえたんだけどぉ、京夜君はどこから電話に応じていらっしゃるんですかねぇ』

 

「んー、依頼をこなすに当たってお世話になったところから、ってのが答え。具体的な回答はプライバシーもあるし控えたいかな」

 

『へぇー、ふーん、そうかそうか。京夜はいつでもどこでも女のところに厄介になるわけだ。さぞ良い思いをしながら依頼を完遂してくれたんでしょうし、報酬もいらないんじゃないかな?』

 

「…………何でそんなネチネチ攻撃してくるんだよ。オレは別に楽なんてしてないし、完全なる赤字覚悟で完遂したってのに、そう言われるとちょっとオレも怒りたくなるけど」

 

 そんな不機嫌な幸姉が珍しくネチネチとした言葉の攻撃を仕掛けてきたので、一生懸命に依頼をこなしたオレにとってはちょっと効いたためこっちも怒る手前の雰囲気を出すと、向こうは少しの沈黙のあとに落ち着いたのか一言「ごめん」と謝ってから話をする。

 

『京夜は優しいから、知らないうちに周りを惹き付けちゃってるかもしれないよ。何か起きる前に物事は解決することをオススメします』

 

「何も起きてない気もするけど、オレが自覚してないだけなんだろうし、注意するよ。それより話の続き。何かあったんだろ?」

 

 謝罪のあとにしてくれた話は唐突だったのでいまいち繋がりが見えなかったが、オレのためにしてくれた忠告なので一応はお礼を言ってから、さっき中断してしまった話を掘り返すと、幸姉も思い出したようにいつもの調子で口を開く。

 

『改めて話すとなるとまぁ言葉を選ぶんだけど、京夜は今回の修学旅行Ⅱでどこに行く予定?』

 

「あー、そういやそんなのあったなぁ。確かジャンヌがシンガポールってメールで送ってきてたような……」

 

『そっかぁ……それさぁ、まだチケットとか諸々は取らないでおいて欲しいのよ。こっちはこっちで頑張ってはみるけど、何事も上手くいかないし、いざって時にまごつくとダメだと思うから』

 

「………ごめん、言ってることのほとんどがわかんないんだけど。これから何かあるのはわかるけど、オレが必要になるかもってこと?」

 

『そういうこと。本当なら必要にならないようにしたいんだけど、どうなるかは私にもわかんないし、フットワークは良くしておいてってこと。もし必要になった時には経費は私が出すから』

 

 再開された話はどうにもよくわからない内容ながら、どうやら移動を伴うことのようで、近くに行われる修学旅行Ⅱと時期も被るっぽい。

 オレを使わずに済むように頑張ってくれるようではあるが、なんだかすでに雲行きが怪しいのは何故だろうか。

 オレは修学旅行Ⅱさえまともに参加させてもらえないのか。

 

「……わかった。ジャンヌにも一応報告しておくけど、本当にギリギリは勘弁してくれよ」

 

『了解。それじゃまた連絡はすると思うけど、今回はお疲れ様。帰ったら小鳥ちゃんと、ついでに幸帆にもよろしく言っておいてね』

 

「妹の方がついでっておかしくないかそれ」

 

『いいのよ。何だかんだでたまに近況メールくれるし、あの子も改めて言われても困ると思うから。それじゃあね』

 

 そんなわけで話も折り合いはついたので通話も終わりの方向になり、どうやら姉妹らしい関係を築き始めていたらしいことを最後に報告しつつ幸姉から通話を切っていき、体が冷え始めたために身震いしてから家の中へと戻って待ってましたとばかりに迎え入れてくれた十蔵さん達の話にまた付き合っていったのだった。

 軽い宴会みたいな感じになった食事は2時間ほど続き、帰ろうとした頃にはもう夜の10時を過ぎていて、久々に娘といられて気分を良くし酔い潰れた十蔵さんはすでに就寝。

 オレの仕事が終わったことは食事の間に知らせてあったので大丈夫だろうが、ちゃんと別れの挨拶をできなかったのが失礼にならないといいけど。

 シゲさんと幹部の2人はそのまま宿泊の流れでせっせと酔っぱらいながら布団を敷いていたが、シゲさんはオレの見送りにわざわざ門の前まで来てくれて、菜々美さんも隣で見送りに出てきていた。

 

「それでは、1週間とちょっとの間でしたが、お世話になりました」

 

「いえ、旦那のお役に立てたなら俺らも頭も本望です。また何か困った時には頼ってください」

 

「それはもう、ない方がお互いのためです。オレはシゲさん達とは住む世界が似てるようで違う。だからこれっきりで」

 

「そうですか……旦那はお優しい方です。ですから最後にその優しさに漬け込んで、お嬢を家まで送ってやってくださいませんか? 俺らはもう酒が入っちまって運転できませんから」

 

 別れの挨拶としたオレではあったが、完全に不意を突いてきたシゲさんの発言に、オレも菜々美さんさえ驚いてしまう。

 菜々美さんもタクシーで帰るつもりだったのだろうが、シゲさんがそう言えば迷惑じゃないかみたいな顔をしつつもちょっとズルい感じでオレを見るので、そういうのに弱いオレは特に断る理由も見出だせず小さなため息を吐いてからシゲさんのお願いを聞き入れて菜々美さんを後ろに乗せると、嬉しそうに強めに抱きついてきた菜々美さんの色々なあれな感触にちょっとドキドキしつつ、綺麗なお辞儀をしたシゲさんに見送られて菜々美さんのアパートへと向けて走り始めた。

 道中、菜々美さんとの会話はなかった。

 交通量も幾分少なくなった東京の道路を走り抜けて、ほとんど止まることもなく菜々美さんの住むアパートへと到着。

 バイクを降りた菜々美さんは、やはり色々あって疲れたのか若干表情にそれが出ていたが、それを隠すようにオレに笑顔を向けてくる。

 

「キョウ君との生活も、終わってみたらあっという間だったね」

 

「そうですね。菜々美さんの天然っぷりには何度も頭を抱えましたけど」

 

「それはごめんなさい。男の子との同居は本当に要領がわからなくって。でも、キョウ君のおかげで色々学んだから、もう大丈夫だよ。たぶん」

 

「たぶんじゃ困るんですけどね……」

 

 それから別れの挨拶といった感じで話を始めた菜々美さんに、オレも最後だからと少し親しげに付き合ってあげると、年下に心配されたからかムッとしたが、すぐに元に戻って何故かオレにヘルメットを取るように言うので、言われるままにヘルメットを取ると、

 

「この1週間とちょっとで、キョウ君の不器用な優しさにたくさん気付いたよ。普通には見えにくかったけど、いつも私のことを気にかけてくれたよね。その優しさはわかる人にはわかると思うから。私もその1人になれてちょっと嬉しかった。ありがとね、キョウ君」

 

 そういった感謝を述べながらゆっくりと菜々美さんがその顔をオレに近付けてきて、これから何をしようとしてるのかをすぐに察する。

 その時に先ほどの電話で幸姉が言っていた言葉が脳裏によぎり、それが成される前に菜々美さんの喉と胸の間にスッと指先で触れてそれ以上近付くのを阻止。

 そのまま拒否するように菜々美さんを押し返すと、とても切ない顔をされてしまい悪いことをしたと思う。

 たぶん、結構な覚悟でそうしようとしてくれたはずだから。

 

「オレは……お世話になりながら名前も、何をしてるかも明かさなかった最低の男です。そんなオレが菜々美さんから何かをもらう資格はありません。菜々美さんのそれは、いつか出会う大切な人のために取っておいてください。菜々美さんはとても素敵な女性です。それをちゃんと理解してくれる人が、支えてくれる人が必ず現れますから。だからこれで、さよならです」

 

 きっと、純粋な感謝の気持ちを形にしてくれようとしただけで、オレに特別な感情があったわけではない。

 そうは思ったが、オレの認識違いで別の問題が発生しては困るのでここではっきりと菜々美さんと距離を離す。

 それにもう、次に会う時にはお互いに赤の他人。好意的な感情は出来る限り処理したい。

 もちろん、菜々美さんの幸せを祈るくらいさせてもらうが。

 そうした意味で菜々美さんを見ると、その目に少しだけ涙を溜めてはいたが、最初からさせてもらえないとわかってたのか「やっぱりキョウ君は優しいね」と呟いてから、方法を変えてその手を差し出し握手を求めてきたので、オレもそれに応じて精一杯の感謝の気持ちをそこに込めて手を放し、再びヘルメットを被って菜々美さんに見送られながら学園島目指して出発した。

 ありがとうございました、菜々美さん。

 結局、松方組の皆さんと菜々美さんには名前すら名乗らずに学園島まで帰ってきたが、そうと最初から決めていたものでもやはり申し訳なさというのはあって、これで良かったのかと考えながら久々の男子寮の部屋に戻ると、誰もいない。

 人の気配がないので依頼にでも行ってるのかとリビングに入れば、テーブルに置き手紙があり、小鳥の筆跡で「金曜日には帰ります」と書かれていたが、火曜日に当たる今日いないということは先週の金曜日から今日までの間に書かれたものだろうな。

 小鳥も武偵だ。こういうことはむしろあった方が活動として見えて喜ばしい。基本的にオレと入れ違いになることがあるのは不思議ではあるがな。

 小鳥がどんな依頼をこなしているのかは少し気になるも、自分の実力をキチンと見極められるようになった小鳥なら大丈夫だろうと思い、松方組の皆さんと菜々美さんに対してのこともあれが最良であったと言い聞かせて、やはり連日の緊張感と適度な集中力の連続に、今日の騒動とで疲れがきて大きなあくびが出てしまい、教務科への報告やバイクの返却を明日優先してやることを決めて久々のベッドに沈んでいった。

 翌日。

 まずは教務科に寄って担任の高天原先生に報告書を提出。

 一見すると温厚そうなうちの担任だが、これであの蘭豹、綴とルームシェアしてるんだからただ者ではない。

 その高天原先生はいつものニコニコ笑顔で報告書を受け取って労いの言葉をかけてくれるものの、そういった計り知れない怖さを感じてるためにオレの表情はちょっと固い笑顔で返し教務科をあとにして登校していった。

 教室では待ちわびたかのように理子が飛びつきの挨拶をしてくるも適当に躱して一旦落ち着かせると、昨夜に色々と情報操作してくれたアリアがケロッとした感じでオレに挨拶してきたので軽く会釈しつつ、あれからのことをそれとなく聞いておくと、鏡高組の方は『内部抗争があったらしい』程度のニュースで留めてくれたらしく、オレ達のことについてはまるで情報が出ずに済んだようでひと安心。

 しかしオレが待避したあと、キンジとジーサードは藍幇のやつらと一戦交えたらしく、あのカットオフ・セーラーを着た少女にジーサードが一撃で倒されたところで敗走。

 藍幇も事情があったのか撤退をしたためアリアが途中まで追跡していたものの、平賀製ゆえの信用性のなさで飛行ユニットが壊れたらしく墜落して逃げられたとか。

 聞く話ではジーサードを倒した少女はレーザーを使うらしく、過去にオレが撃たれたのもそれなのかとその正体に驚愕。

 光速の攻撃なんて普通は避けられない、というか見えもしないが、オレの時は寝ぼけた雰囲気を持っていたからそのおかげだったのかもしれない。

 ジーサードもなんとか死ななかったようだが、これはマジでヤバイのが出てきた感じがするな。

 とまぁ、アリアからの情報はこのくらいで、あとは姿の見えないキンジがみんなを集めて話でもしてくれればいいかと思って1日を過ごして、放課後は貴希にバイクを返却。

 ドライブの件も今週中に済ませる約束をして帰路についたら、その途中でオレを探していたっぽい幸帆と遭遇。

 何か用事かと思って挨拶もそこそこで尋ねてみたら、ちょっとモジモジした雰囲気を出した幸帆はオレにだけ聞こえるだろう小声で用件を言ってきた。

 

「その……今夜は京様のところに泊まってもよろしいでしょうか?」

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