京夜先輩が修学旅行Ⅱの補習で欧州に旅立って数日。
未だにうんとも寸とも連絡がなく、いつ帰ってくるかもわからない状況ですが、別に義務でもないので私の勝手なモヤモヤなわけで……
先日。年越し前に幸帆さんのせいで京夜先輩への気持ちに気付いてしまってから、どことなく戦妹としてではなくて女として見てもらいたい私が見え隠れしててなんだかなぁと思う。
このモヤモヤもなんというか、戦妹への報告としてではなくて究極的には京夜先輩があっちでどうしてるのか気になってるからでしょうし、残り3ヶ月を切った徒友契約から来る焦り、もあるのかもしれませんね。
「どおりゃー!」
「あっ! それはズルいです理子先輩!」
「ズルじゃないもーん! システムが認めたテクニックです!」
「世の中には暗黙の了解という言葉がありますから!」
「ルールに縛られていたら、可能性という未来を失うことになるんだよ、ほっちゃん……」
「カッコつけてもダメですよ」
そうした私のモヤモヤを同じように感じていそうな理子先輩と幸帆さんは、放課後となった時間に一緒に部屋に戻ってくるなりテレビゲームを始めて、仲が良いのか悪いのか仲間同士でポイントを競うシューティングゲームで対戦中。
何やら理子先輩が幸帆さんが弱らせた敵を横取りしてポイントを掠め取るズル賢い戦術をしていて、被弾も増える幸帆さんの影に隠れてやってるのがわかって苦笑。こういうゲームを理子先輩とやったら宿命だよね。
「はい理子りんの完全勝利っ! 負けたほっちゃんは1枚脱ぎ脱ぎねっ!」
「そんな約束した覚えがありませんが!?」
「まーまー、そんな堅いこと言わなさんな。よいではないかー、よいではないかー」
「ひっ! た、助けて小鳥さん!」
「ぎゃっ! 飛び火したよぉ!」
その様子をリビングのソファーに座って見学していたら、決着してすぐに嫌な笑みを浮かべながら幸帆さんを追い詰めた理子先輩は、私の後ろに隠れた幸帆さんごと押し倒して胸やらお尻やらを揉んでくる。酷い……
――ピンポーン。
その理子先輩の暴走を止めるように誰かによって部屋のチャイムが鳴らされると、見当もつかなかった私とは違ってピタリとその手を止めてくれた理子先輩がルンルンとスキップ混じりで応対していって、魔の手から解放された私と幸帆さんは着崩れた制服を戻しながらリビングに戻ってきた理子先輩と来訪者に目を向ける。
「お邪魔しまーす」
「存分にくつろぎたまえよ」
「それを理子先輩が言うんですか」
「家主不在でフリーダムな部屋に……」
その来訪者、貴希さんは両手に袋一杯のお菓子を持ってリビングに腰を下ろすも、我が物顔な理子先輩が仕切ってる辺りに違和感があります。ここは京夜先輩のお部屋ですから。
「でもお菓子なんて持ってどうしたの?」
「ああ、理子先輩が今夜はオールでお菓子でパーティーだー! って誘ってきたからその買い出し頼まれてたんだぁ」
「あれ、聞いてない……」
「言ってないからねぇ」
「もしかして私達も参加するんですか?」
「もちのろん! あっ、夜にはもう1人参加予定なんで3人とも仲良くしてねぇ」
ツッコミどころ満載の理子先輩はとりあえず無視して貴希さんの来訪について問うと、ちょっとテンション高めな貴希さんは理子先輩を見ながらに即答。
私も幸帆さんもただ単に遊びに来ただけだと思ってただけに強制参加らしいそれには苦笑しかなかったけど、この部屋でやるっぽいので私はもう参加せざるを得ないし、のらりくらりと帰ろうとした幸帆さんの制服の袖をギュッと掴んで引き止める。逃がしはしない……
私の道連れを受けた幸帆さんも諦めて参加を認めてから、まぁ流れで夕食となったので、逃げるようにゲームに走った理子先輩と貴希さんを余所にパパッと作って4人での賑やかな夕食を終えて、パーティーの前にやっちゃうことはやろうとお風呂にも入るのですが、4人で一緒に入るには無理がある浴室の関係上、1年生組に遠慮したのか理子先輩は寝室の上下扉で下の階へと降りると、どうやら下の階でも家主を無視して入り浸っていたらしいアリア先輩や白雪先輩がいたのか、悲鳴と共にお2人を連れて洗面所に突撃していったようだった。
「きょ……胸囲の格差社会が辛すぎる……」
「胸も個性だって小鳥」
「そうですよ。胸の大きさで女の価値は決まりませんから!」
悪さすることに定評のある理子先輩がいない安全なお風呂に入れたのは良かったけど、今度は見せつけられるスタイルの格差に絶望を叩きつけられるというハードパンチが待っていて、2人とも隠すこともなく慰めにくるけど、それは持つ者の言える台詞……持たざる者には慰めにならないのだ。
「ふんだっ。来年くらいには2人の間くらいには成長するんだからねっ!」
「そ、その意気ですよ小鳥さん! ねっ、貴希さん」
「んー、私、スタイルには自信あったんだけど、幸帆の方がこっちは大きいね」
「ひゃうんっ!」
とはいえ慰めようとしてくれた2人の良心は汲みつつそういった宣言をして自分にプレッシャーを与えていくスタンスに切り替えると、貴希さんがまじまじと幸帆さんの胸を見てワシャッと鷲掴みしてちょっと揉んだので、幸帆さんも艶やかな声を上げてしまう。
「これはバストアップの体操か何かやるべきかなぁ。あっ、ちょっと小鳥。こっち来て」
「はい? なんです、か!?」
貴希さんの奇襲にへなへなと座り込んでしまった幸帆さんを余所に私へと声をかけてちょっと近寄った瞬間。
瞬時に前から抱きつくクリンチに持ち込んだ貴希さんは後ろに回したその両手で私のお尻をグワシッ! と持ち上げるように掴んですぐに離れるけど、理子先輩と大差ないその横暴さに幸帆さんと一緒に戦慄する。
「そっちは私より大きいよ、小鳥は」
「む、むむぅ!! それはお尻がおっきいって言ってるだけじゃないですかぁ!! 全然嬉しくないですぅ!」
「まぁまぁ落ち着いて小鳥。お尻が大きいってことは小鳥は安産型ってことでしょ。将来安泰じゃんっ。元気な赤ちゃん産めるよっ」
「確かに子孫繁栄でこれほど安心できる要素はない気も……」
「ゆーきーほーちゃーんー」
「ご、ごめんなさい出来心で……」
「2人とも許さないんだからぁ!」
「「キャー!」」
その横暴さから繰り出されたデカ尻発言にはさすがの私もプンプン。なのに幸帆さんまで悪ノリしてきたので怒りは頂点有頂天!
もう本当に失礼な2人にはお仕置きとして胸のお裾分けをしてもらうのでした。本当におっきいなぁもう!!
結局のところ理子先輩がいるのと大差ないだろうお風呂を上がった私達は、先にリビングに戻って髪を乾かしていた理子先輩に合わせて飲み物やらの準備を始めると、髪を乾かしながらにノートパソコンをいじるという器用なことをしていた理子先輩は、どこかへと繋いだらしいそのノートパソコンに確認のための声がけをすると、そのノートパソコンから『見えますし聞こえますよ』と返事が来て、それが気になった私達が一斉にそのノートパソコンの画面を見る。
するとそこにはひと目見ただけで美人とわかる東洋人女性が笑顔を向けて手を振る画面があり、遠くにいる誰かと映像通信をしていることがわかった。誰だろう……
「ほい蘭ちん自己紹介っ」
『お初にお目にかかります。私は劉蘭といいます。中国人ですが日本語を嗜んでいますのでどうぞ皆様、お気兼ねなく接してくだされば嬉しいです』
「「「こ、こちらこそよろしくお願いします……」」」
その女性が映るノートパソコンをテーブルの端っこに置いて、なるべく多くのものが見えるようにした理子先輩に促されて自己紹介をしてくれた劉蘭さんに、3人してぎこちない返事をしてしまい、それには劉蘭さんがクスクス笑い、理子先輩も「これだから日本人は」みたいなやれやれ顔を披露。
そのあとにちゃんとこっちも自己紹介をしてとりあえず今回のオールナイトのお菓子パーティーとやらの参加者が揃ったようなので、みんな揃ってノートパソコンのカメラが捉えられる位置に陣取ってからパーティー開始。
「理子先輩、それで今回のこの人選はどういった意図があるんですか?」
「あ、それ私も気になってました」
「私もー」
とはいえこの唐突なお菓子パーティーにお呼ばれした人の選別基準がいまいちわからなかったので、開口一番に幸帆さんが謎解きに動いてくれて、私も貴希さんも便乗すると、早速お菓子の袋を開けた理子先輩はえっ? とわかってなかったのみたいな顔をして私達を見る。えっ? わからないのが普通だと思うんですけど……
「いやいや、蘭ちんは除くとしても、この面子で共通の話題って1つしかないでしょ」
『まぁ、理子様はちゃんとお話になってないのですか? そういうことは事前に話すのがマナーですよ?』
「蘭ちんかたいー。こういうのはノリでいいんだよぉ」
『何事にも了承は必要という話をしているんですよ』
そうした適当さの見える理子先輩とは裏腹にちゃんとしてそうな劉蘭さんが漫才みたいな言い合いをするので、仲の良さそうなお2人の様子をただ見るしかできない私達の雰囲気をいち早く察して言い合いをやめて咳払いをする劉蘭さん。
『理子様がいい加減なので私からお話しします。この度の夜会は皆様がその思いを寄せているお相手、猿飛京夜様についてを見つめ直す会、という主旨のもとで開催されております』
「へっ?」
「京様について?」
「見つめ直す? ってゆーかそれなら私はフラれた身なんですけど……っ!」
それで改めてこのお菓子パーティーの主旨を話してくれたわけですが、予想もしてなかった京夜先輩のことを話す会とかで3人して呆気に取られるものの、貴希さんがそんな爆弾をポロッと投下するのでみんなして貴希さんを見てしまう。
「だいじょぶだいじょぶ! 理子も蘭ちんもフラれてるから問題ないって」
「えっ、貴希さんいつの間に京様に告白なんて……その辺を詳しく」
「あれ、それ私も聞いてないんじゃないかな」
「だってフラれた話なんて自分からしたくないし……って、私はもう京夜先輩とは普通の先輩後輩であって……」
「とかなんとか言ってさー、知ってんだからねぇ。最近バイクのレンタルの割引とか言ってタンデムデートしちゃってるんでしょ? 未練たらたらだろ? ええ?」
「違っ!? それは純粋に……」
『純粋に京夜様とデートがしたかったんですね』
その貴希さんを畳み掛ける私達にたじたじな感じで後ずさりするも、崩れた正座からガックリと顔を伏せてしまう。
「ああもう! そうですよ! まだ京夜先輩のことが好きですよ! これで満足ですか!」
「うおっ、開き直ったよ」
『自分に正直になるのは素敵ですよ』
「もうやだこの会……」
そこからいきなりガバッと顔を上げて独白した貴希さんは、もう目に涙を浮かべてこれから始まる夜会ですでに手負いの状態にさせられてしまった。
「あれ、サラッといきましたけど、理子先輩も劉蘭さんも京夜先輩に告白したんですね」
貴希さんが撃沈してひと笑いが起きてから、冷静にさっき流された言葉を拾った私が理子先輩と劉蘭さんを見れば、あはは、と笑いつつ2人して言葉を分けて口を開く。
「まぁフラれたって言ってもキョーやんに武偵高にいる間は誰とも付き合わないって宣言されただけだし」
『明確に誰かを選んだわけではないですから、まだまだ大丈夫ということです』
「なるほど。それならば今のうちにアタックして好感度を上げておくのが得策というわけですね」
「ああ、そのための京夜先輩を見直す会ですか」
「そゆこと! やっぱ好きな人はちゃんと評価したいもんね」
『私ももっと京夜様のことを知りたいので、皆様よろしくお願いしますね』
実際のところお2人がどこでそんなことを言われたのかは……って、劉蘭さんが中国人ってことはこの間の修学旅行Ⅱの時か……
とにかくそういう理由で京夜先輩が卒業までは誰ともお付き合いはしないと知って、幸帆さんはホッとしつつも気を引き締めて、貴希さんはふむ、と何やら思考を巡らせ、私はといえば何だからしいなと思いつつも安心してるんだよね……これもう絶対に恋しちゃってるなぁ……
というよりもこの夜会に招かれてる時点で理子先輩にはお見通しってわけだよね。なんだろう、私ってわかりやすいのかな。
とかなんとか考えていたらそれぞれが好きなお菓子を開けてスタンバイを終えていたので、私も遅れてお菓子を開けて準備を整えると、今回の主催、理子先輩が「さてっ!」と改まって口を開いて、京夜先輩との今後を占う怪しい夜会がスタートした。
「じゃあまずはい、ほっちゃんスタンダップ!」
「えっ? あ、はい」
開始早々で理子先輩はいきなり幸帆さんを立たせて何やらちょっと手を加えると、その幸帆さんを見る形で私達も座り直す。
「あの、これは?」
「いやね、まずはキョーやんの初恋であるゆきゆきから好みのタイプの分析でもと思って」
『幸音様の妹君なだけあり、とても参考になりますね』
「あまり嬉しくないですが、これは分析ですから割り切りましょう。さぁどうぞ!」
幸音さんにまだ劣等感みたいなものがある幸帆さんは似ていることに不満はあるようですが、言葉で割り切ると示して自分を見るように胸を張り、それを私達でじっと見る。
「まずロングヘアーは外せないよねぇ。理子クリアー」
『そ、それは関係ないのではないでしょうか。私とデ、デートしてくださった時は服装を褒めてくださいましたし、ス、スタイルなどが重要なのでは?』
「幸帆は少し胸が大きいけど、幸音さんってそこまでボンッキュッボンッではなかったですよ?」
「ここでまさかのロリコン疑惑か……そいえば昔にあややに告ってたのもあながち冗談じゃ……」
『確かに狙姐といる時にも嫌そうには……』
そこから繰り出される京夜先輩の好みの女性議論は酷いもので、理子先輩からのロリコン疑惑なんて完全に妄想の域ですよ。いないのを良いことに言いたい放題。可哀想になってくる。
「というか今は別に京夜先輩の好みの女性像を考えることは重要ではない気がしますが……」
なのでなんとなく流れで乗ってたけど、そもそも今回の夜会が京夜先輩について見つめ直す意味合いならとそもそも論を語ると、4人して「だよねぇ」と正論と思ったのか反論はなし。幸帆さんも座り直して会話は再開される。
「んじゃまずはキョーやんの1番好きなところを1人ずつ言ってみよっか。そっからあーだこーだ討論だ!」
『では僭越ながら私から。京夜様はとても聡いお方で周りへの気配りがよくなされています』
「その割には自分への好意には鈍感でイラッとするけどねぇ」
「えっ? でも京夜先輩がいるだけで喧嘩する気を削がれるっていうのはわかりますよ。私、京夜先輩の前で喧嘩とか出来ないですもん」
「それは京様にそういう姿を見られたくないからではないかと……」
「んー、そういうの抜きにしても喧嘩が本格化する前にどうにか仲裁したりとかはしてくれる印象ですね。どうにもならない時は我先に消えるのがあれですが……」
「あーそれわかるー! キョーやん面倒になると然り気なくフェードアウトしてくぅ! ことりんよく見てるぅ! さすがキョーやんの
改めて京夜先輩のどこ辺に惹かれるのかを劉蘭さん発信でようやくまともに議論がなされてあーだこーだ言う理子先輩達は楽しそう。それだけで皆さんが本当に京夜先輩のことを好きなんだなとわかってホッコリする反面、私の中での京夜先輩の1番って何なんだろうとちょっと頭を悩ませもする。
きっとこういうことで真っ先に思い浮かぶ劉蘭さんみたいな人は純粋にその人のことを見てるんだろうなと思う。
「私はなんというか漠然としていますが、一緒にいて不思議と心が暖かくなる。それが京様の良いところだと思うんです」
『私は隣にいられるとまだ身体中が熱くなって頭が沸騰してしまうのでダメですね……』
「香港で会った時はそんな風には見えなかったけどねぇ。ってゆーかキョーやんは相づちが多いんですぅ。話し相手としては落第点っ」
「それは理子先輩がマシンガントークとかするからですよね……」
「違いますー。キョーやんいっつも話し半分で『へぇ』『ふーん』『ほぅ』の3パターンをループするし!」
「それは本当に話に興味がない時の反応ではないかと……」
続けて幸帆さんが投下した話題にも食い付きの良い皆さんの意見が飛び交うも、なんか理子先輩はさっきから結構なディスりようであれ? とは思うけど、誰もそこにはツッコまないから私も流しておく。
「私はいざって時に頼りになるところがいいなって思います。普段がやる気ないからあれですけど、頼られたら頑張っちゃうタイプっていうか」
『メリハリがちゃんと出来るということですよね』
「やるからには手抜きをしないってこともプラスしていただければ幸いです」
「逆に言えば人に頼られないと何もしないってことだよね。人はそれをニート予備軍と呼ぶ」
「そうなる以前に生活力を落とすような人でもないと思いますけど……」
もう吹っ切れてしまった貴希さんもあれ以上の羞恥はないとばかりに堂々と京夜先輩のことを語り、ほとんど賛同かと思ったらまたも理子先輩はマイナスなことを言う。なんか無理して粗探ししてるみたいに見えてきた。
「じゃあはい、ことりんの番っ」
その理子先輩にやんわりとツッコみつつでそういう役目なのかなぁと悟り出した時に理子先輩が振ってきたのでちょっとテンパってしまう。
えっと……えっと……みんな見てるよぉ……
「わ、私は……京夜先輩は、1人にしたらダメな人、だと思うんです」
「ほほぅ、その心は」
「なんといいますか、京夜先輩はその気になれば別に1人でも困るような状況というのがない人で、そういう人って放っておくといつかは人との関わりが薄くなるっていうか……って、何が言いたいのやらですみません……」
『つまり小鳥様は京夜様の放っておけないところに惹かれた、ということでしょうかね』
「なんとなくわかる気がします。京様はある種のカリスマ性で周りに自然と人が集まってしまいますが、京様自身から誰かと積極的に関わろうとすることはあまりない気がします」
「きっと皆さん、京夜先輩がそういう人だって本能的にわかってしまうんでしょうね。だからそこに母性ってゆーか、あれな感じが」
「繋がりを失いたくないから繋がろうとする……必死なのは理子達っていう事実を突きつけられた感じ」
「うぐっ、すみません……」
それでなんとか言葉にして出たのが思いの外に皆さんの心に突き刺さったのか、ちょっとしんみりとした雰囲気になってしまって、私も困るけど、いち早く察した劉蘭さんが「それは1つの事実として受け止めて」と脇に置くジェスチャーで進めてくれる。圧倒的感謝。
『理子様のご意見を聞きたく思います。思い返せば理子様はことあるごとに京夜様をご非難されていましたし、ご自慢があるのでしょう?』
「そうですそうです! 理子先輩ずっとディスってましたもんっ」
「私も少々気になってました」
「あっ、やっぱり皆さん気にしてたんですね。てっきり私だけなのかと」
と、皆さん切り替えるように今度は散々なことを言ってきた理子先輩を一斉に見て促すと、メチャクチャ照れながらの理子先輩は体をクネクネさせて口を開いた。なんだかイラッとしますね。先輩ですけど。
「理子は……そういう人としてダメなところとか直してほしいところとかいっぱい見て知って、そんなダメなところをひっくるめて好きになれるのが良いのかなぁって」
………………これはあれですね。
『その回答はアウトです』
「…………やっぱりダメかー! たっはー!」
そうやって全員を出汁に使って最後に全部持っていこうとした理子先輩の思惑に全員が気づいて口を揃えてツッコむと、丸く収まるとは毛ほども思ってなかったのか大笑いする理子先輩を一斉にくすぐってやるのだった。
そのあとはまぁ普通に女子会みたいなノリでお喋りして、本当にオールナイトになったのは見事に翌日へと響いてしまうのでした。