緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet140

 アリア奪還の様相になったロンドン市内での鬼達との攻防戦。

 キンジとワトソンとは分かれて津羽鬼を追ったはいいが、その津羽鬼がひっそりとテムズ川に進入していたイ・ウーから攻撃ヘリを持ち出し、それに気付かれないようにヘリの底の下にワイヤーを使って潜り込んだまでは良かった。

 だがしかし、現在進行形で命綱なしでヘリの真下を空中ブランコ状態のオレは何をすることも出来ずにただ津羽鬼が行く先に同行することしかできない。

 

「さーむーいー」

 

 まだロンドンも朝9時すら回ってない時間帯とあってお空の上は寒く、さらにヘリも高速移動してるので受ける風もバカ寒い。

 手先の感覚が鈍らないように防刃グローブをした手は常にグーパーしておきつつ、ほぼ東に進路を取ってるヘリから下の様子をうかがうと、警察による封鎖がある程度だが機能して全体的に車通りが少なくなっている。

 そんな中で同じ方向に爆走するトレーラーと黄色いバスを発見。

 ワトソンのポルシェが見えないが、どうやらおいかけっこは乗り物を替えて展開してるようで、黄色いバスは1度トレーラーと並走すると、そのバスの屋根の上にいた人影が2つトレーラーへと移り、バスはそのまま道を外れるように横へと逸れてしまう。

 依然としてトレーラーが爆走中ということは、そっちに鬼達がいて、飛び移ったのがキンジと、おそらくはサイオンか。

 敵対してた2人が休戦して行動してるっぽいのはヘリが急接近したことで鮮明になったものの、ヘリの角度が嫌な感じでトレーラーに向いた瞬間、すぐ前方のガトリング砲が駆動し砲火が開始される。

 目の前でバリバリバリバリうるさい中で撃たれるトレーラーの方を見ると、荷台の方は大穴をいくつも開けられていくが、その上にいたキンジとサイオンは直前で運転席の上に転がり込んで安全地帯に逃げ込むのが見えた。

 津羽鬼もさすがに仲間が乗ってるからか、トレーラーを完全破壊するような掃射はせずに荷台の方だけを穴だらけにして撃つのをやめ、今度はこのヘリで逃げるつもりなのかトレーラーの真上を陣取ってオレの頭上からフック付きのワイヤーが下ろされる。ってか危ないんだよ! ぶつかるところだったんですけど!

 そうして下ろされたフックに危うく殺されかけて少し安堵したのも一瞬。

 今度は荷台の中にいたっぽいセーラから矢を放たれて、オレを支えていたワイヤーが2本いっぺんに切られてピンチ。死んだんじゃねこれ……

 

「あ、の、小娘ぇ!」

 

 叫ぶ暇もなくヘリから落ち始めたオレは、ミズチのアンカーを出しかけてやめ、真下で狙いを定めるセーラにクナイを投げて牽制しつつ、下ろされていたワイヤーを掴んで半ばほどで落下を阻止。

 下ろされていたフックは壼とアリアの入った壺を引っかけて、その上にセーラが腰かけて浮上を始め、巻き取られるワイヤーに合わせてオレも再びヘリの着陸足に辿り着き腰かけることに成功。

 ワイヤーで吊り上げられてきた壺も金具でオレとは逆の着陸足と繋がってぶら下がり、セーラもその上で弓を構えて隙がない。

 必然的にヘリ本体を挟んで対峙することになったが、ここからでは互いにどうこうすることが難しい軽い膠着状態が完成してしまう。

 

「猿飛京夜。邪魔ばかりしてムカつくヤツ」

 

「これもお仕事なんでね」

 

 弓で狙うにも着陸足の隙間しかなくて、そこも狙わせないようにいつ撃ち出されるかわかったもんじゃない横に装備されたミサイルにしがみつき足も出さない。

 その間にフックがまた下ろされて、今度は閻がそれに掴まって回収を終えそうになっていたが、キンジが阻止するように飛び出してフックを掴み、それを荷台に開いた2つの弾痕に通してワイヤーを噛ませて接続。

 それによってヘリとトレーラーがワイヤーで繋がってしまい、トレーラーの進行方向にヘリが合わせなきゃならない形になるが、危なすぎないこれ……

 

「あ、そういやセーラ。おいかけっこの間もチラチラ見てたけど、今回もスパッツ穿いてなさそうだな。サービス精神旺盛ですのぅ」

 

「ちがッ!? こ、殺す!!」

 

 まぁ危ないけど鬼達の逃走を阻止したのはファインプレーなので、オレも上からのセーラの攻撃を阻止するために感情を揺さぶる事を言ってやる。

 以前に風の超能力を使うのにスカートの中への配慮がないことを指摘してたのに、今回も対策してなさそうだったからそこを突いたら、見事に反応してオレに向けて殺気を放ってきた。

 

「前に忠告したんだからこれはセーラの落ち度だよな。それで見えちゃったものでとやかく言う権利はないでしょ」

 

「み、見ないようにするのが紳士! 女の敵は落ちろッ! そして死ねッ!」

 

「オレ英国紳士じゃないしなぁ。というかオレは別に見えたなんて一言も言ってないし、見られたって被害妄想で殺されるのは御免被りたいわ」

 

「バカッ! バカバカバカッ! やっぱり死ね!」

 

「セーラのボキャブラリーが貧相にやっておられるぅ。怖いよぉ」

 

 ヘリ越しで届く殺気は怖すぎるものの、そうやってオレに意識を向けて集中力が散漫になってる間は下のキンジとサイオンが射抜かれる可能性が低いのは間違いない。

 弓というのはそれだけ精神状態がダイレクトに伝わる武器。それもあってセーラもレキのように無愛想な感じはあったが、女の子らしさはレキよりも面に出てくれて助かった。

 そうして順調にセーラの好感度を下げていくオレの身を削る行動の間に、下のトレーラーでは荷台の中で閻が金棒を振るって暴れてるっぽく、缶詰めのように徐々にフックの付けられた上部だけが剥がされていく。

 かなり強引だが、閻のやってることはトレーラーとヘリとの繋がりを断って空へと上がる最善。

 キンジとサイオンの妨害も考慮して荷台の中から出来る最大限があれだったようだが、ついに荷台の上部だけが剥がされてトレーラーと切り離されると、元から乗っていたキンジとサイオンと上手くバランスを取るように閻もそれに乗り、ヘリもトレーラーと離れて徐々にスピードを上げ上昇を開始する。

 しかしヘリはその重量とアンバランスさで安定性がなく、津羽鬼も操縦が上手い方ではないと思うから何かの拍子に墜落、なんてこともあり得そうで怖いな。

 しかもご丁寧に最初の関門が眼前に迫ってきやがった。

 

「セーラさんや。そっちのミサイルをパージ出来ませんかね?」

 

「無理。それに気休めにしかならない」

 

「両方合わせりゃ何百キロ単位で減りますけどね」

 

 ヘリの飛ぶ前方方向に見えてきた巨大橋梁、タワー・ブリッジにこのまま行くとぶつかってしまうだろう軌道をどうにかしようと、目の前のミサイルを単分子振動刀を使って落とすことを考えたが、セーラ側のミサイルもどうにかしないとかえってバランスが悪くなってしまう可能性もあったので却下。

 というかこんなものを落としたら下の街が惨事になるわな。

 下ではキンジ達も一時休戦して宙ぶらりんの足場を上げにかかり、セーラも上昇気流でも発生させてるのかヘリも弧を描きながら上昇。

 それによってギリギリのところで下の足場が橋の一部に掠った程度で難を逃れたが、今のでヘリがさらに不安定な挙動になって大きく旋回するような軌道で飛び始める。

 操縦席の津羽鬼を無理矢理覗くと若干コントロールが効いてない感じだ。

 これならワイヤーを切って下のキンジ達をテムズ川に落とし、ヘリも危険を承知で不時着気味にでも降りた方が良いと考えた。

 が、色んな条件が重ならないとまずキンジ達をテムズ川に上手く落とすことも出来そうにないし、ヘリを降ろしたところで津羽鬼、セーラ、壼を相手にオレが粘れるかと言えば無理だ。アリアがいてもそれは覆らないはず。

 ならオレがやるべきことは下のキンジとサイオンが閻を倒すまで、上にいるセーラと壼を無力化することくらいなもんか。

 幸い、壼は壺の中に隠れて蓋までして出てくる気配はなかったし、その上にセーラが陣取ってるから、あの蓋の上に乗ってれば壼は無力化できるはず。

 

「あとは……タイミングと運だな」

 

 下の様子を見ながら、どうにかしてセーラ達のいる側に行く方法を考えてみるが、やはり多少の運は絡んでくるし、その間はセーラの攻撃をオレが止められない。今度は下手にオレへの意識を持たれると狙い射ちされかねん。

 なのでキンジとサイオンには先に心の中で謝っておくが、その当人達が今まさに崖っぷちに立たされているのが見えて冷や汗を流す。

 サイオンは完全に足場から落ちて、足場に手がかかってるだけのキンジとワイヤーで繋がって落下を阻止してる状態。

 そしてそのワイヤーもセーラの矢によって無情に断ち切られて落ちるかと思ったが、その前にキンジがサイオンの足下にまたもあやや製と思われる銃弾を放ってエアバッグを炸裂させる。

 そのエアバッグを蹴って足場に掴まってサイオンは間一髪で落下は免れたが、やべぇ。下手なアクション映画よりアクションしてるわこれ。

 足場は片方に寄ったせいでバランスが崩れていたので、閻も追撃を諦めて反対側に移動してバランスを取り、その間に2人も足場へと戻っていく。

 

「…………チャンスを待つ間のピンチが多すぎる……」

 

 鬼相手に善戦する2人には頭が上がらないが、それを称賛する暇もなく次の障害がオレの目には見えてきて、それはほぼ全員が認識してるであろう危機。

 ロンドンに来た時に空港が混んでる理由をワトソンが『競技バルーンの大会がある』とか話してくれていたが、まさか今日のこのタイミングでか。

 ヘリは細かい操縦が効かない状態で目の前に見えてきた競技バルーン。気球の群れに突入しようとしていた。

 三次元的に展開される気球の群れの中をヘリが通り抜けるのは不可能に思うが、当たれば墜落は免れない。

 しかも下の足場がさっそく気球の1つと当たる軌道にあって、それを避けるために足場の角度を調整するようにサイオンが飛び降りて気球の上に移動。

 それで足場はギリギリ気球を避けることに成功するが、足場に戻ろうとするサイオンを、厄介な相手の脱落を見逃さないとばかりにセーラが狙いに行く。と先に読んだ。

 プロゆえに相手の隙を見逃さないセーラの攻撃の隙。

 その瞬間を待っていたオレは、足を外側に投げてヘリの着陸足に両手で掴まり、振り子の原理でヘリの下へと潜り込むと、流れるように雲梯(うんてい)の応用で左の着陸足から右の着陸足に跳び移り、懸垂と逆上がりで着陸足に着地。

 矢を放った直後だったセーラは、いきなり横に現れたオレにビックリして対応が少し遅れ、その間に接近してセーラを抱き締めて簡易の拘束をして壺の上でドカッと座り込む。

 

「は、放せヘンタイッ!」

 

「ちょおっと待ってろよっと」

 

 抱きついたのは拘束目的だったが、もう1つ背中に背負っていた矢筒から残りの矢を全て破棄するためだ。

 それを完了させてからセーラとの密着状態は解除して、上手い具合にセーラの体を回して今度は後ろから抱きつく体勢になると、とりあえず無力化したとはいえ手に持つ弓も没収して袈裟に背負っておく。

 

「まだ超能力もあるし油断はしないけど、このまま黙っててくれれば何もしない」

 

「……抵抗したら?」

 

「太ももとかお腹とか不可抗力で触っちゃうかもしれないなぁ」

 

「ヘンタイ」

 

「まだ触ってないんですが……」

 

 どうにかセーラの無力化には成功し、下の壼も蓋を抑えて封じ込めるのには成功してると思いたい。

 セーラは弓は神がかってるが、それ以外の近接戦などは心得がないらしく、オレの拘束を受けてだんまり。

 だんまりの前に没収した弓を壊したら呪うとか言われて無駄にプレッシャーをかけられたが、さてさて、ここからどうしよう……アリアが起きれば嬉しい限りだが……

 壺の中の壼は人外の鬼。セーラを拘束しながらこの蓋を開ける勇気はオレにはないので、どうにかして下の2人が閻を倒してくれたら、着陸足と壺を繋ぐ金具を壊して壺を下に落として拾ってもらうのがいいかなと考える。

 セーラの妨害がなくなったおかげで自由の利くようになったキンジとサイオンはさすがの機動で閻と渡り合うが、それよりもこの危険地帯を抜けられる方が奇跡まであるのはいただけない。鬼を倒す云々の前にこっちをどうにかしないと。

 

「なぁセーラ。このままだと気球にぶつかって全滅ってことになると思うんだが、どうにかできないか?」

 

 そこで拘束中のセーラにどうにかできないものかと相談してみる。

 オレに対して不機嫌なオーラを放つセーラではあったが、自分もピンチなのは事実なのでオレへの怒りは引っ込めて口を開いてくれる。

 

「……ここじゃ大きな超能力が使えない。ある程度はヘリから離れないと危ないから」

 

「離れるって言ってもなぁ……」

 

 オレの問いには手段があるような回答のセーラだったが、空中でヘリからある程度とか無茶な想定を言われて困ってしまう。

 が、先ほどのサイオンのアクションで気球の上に跳び乗ったあれを思い出し、丁度ヘリの真下辺りに気球が浮いているのが見える。

 

「飛ぶぞ。落下阻止はするが、落下調整は任せる」

 

「はっ? えっ!? ちょっと!?」

 

 四の五の言ってる場合でもないので、セーラの言う条件を満たすためにセーラを左腕で抱えて立ち上がり、右腕のミズチを準備していざ出陣。の前に下の壺の蓋を少し開けて、中に閃光弾を放り込んでおき、壼の目を一時的に潰しておく。

 そうした上で下の気球に落ちるように飛び降り、足場で戦闘中のキンジとサイオンにはすれ違い様に「後はよろしく」とだけ言って、少し気球の中心からズレる軌道なのをセーラが空気を蹴って修正してくれ、ミズチのアンカーを気球に取り付けて、ぼふんっ! 無事に気球の上に着地して難を逃れた。

 

「セーラ、頼む」

 

「指示しないで」

 

 着地後にセーラの腰を持って支えて、セーラもオレの突飛な行動に文句を言う前に両手を広げてヘリを押し上げるような動作をし、それに合わせてヘリも気球の危険地帯の上を抜けて離れていった。

 

「もう戻れないよな」

 

「無理。人は飛べない」

 

「セーラからそれが聞けて良かったよ」

 

 一応、まだセーラがここから1人でヘリの方に復帰する可能性もあったが、役目を終えて暴れる様子もなく座り込んだセーラは大人しいものでひと安心。

 オレもずり落ちない場所に腰を下ろして、少し離れてジト目で見てくるセーラと対面する。

 

「何もしないって。地上に降りるまで大人しくしてようぜ」

 

「……弓、かえせ」

 

「それは地上に降りるまでダメです。超能力で吹き飛ばされて落ちる未来が見えるので」

 

「…………」

 

 オレへの警戒具合が半端ないセーラは弓の返却を求めてくるが、ここで返すと即座に気球から落とされる可能性が高いので却下。

 それに仏頂面をしたセーラは、弓が大切なのか無理矢理に取り返そうとはせずにだんまり。

 しかしオレはセーラに聞きたいことがいくつかあるので、口を開かせるために話しかける。やることもないし。

 

「少し疑問に思ってたんだが、セーラって鬼達に雇われてるんだよな?」

 

「……それがなに」

 

「いや、セーラはプロだしとやかく言うつもりはないんだが、支払い能力だけで具体的に雇う理由を言ってなさそうな鬼達についたのが気になってね。それで考えた。セーラの依頼主って『鬼達じゃない』んじゃないか?」

 

 口を開かせるには意外性もないとダメかなと思って、どうでもよさそうなところから抉りにいくと、オレの言葉にピクリと眉が動く。

 

「それとこのタイミングで何でセーラ達がロンドンにいたのかも疑問だった。まるでアリアの所在を知った上で動いてるみたいな挙動は、本能的な鬼達にしては知的だし」

 

「何が言いたいの」

 

「んで、さっきヘリに同乗する時にイ・ウーの原潜を発見した。あれってまた盗まれて行方不明だったんだけど、『誰か』がまた使ってるのは間違いないし、要するに繋がってるでしょ。その『誰かさん』と」

 

 ピクピク。

 オレの持つ情報からの推理に対して、あからさまな反応はしないものの、普段が無表情ゆえに変化がわかりやすいセーラは諜報科には向いてないな。

 

「そこでちょっとものは相談なんだが、セーラの今の依頼主に掛け合っておいてほしいんだ。実はオレ達の方でセーラを雇いたいから、そっちの契約を満了にしてくれないかってね」

 

「私に、依頼? 複数系……」

 

「支払いに関してはたぶんうちのリーダーがなんとかできると思うし、詳しいことを知りたいなら説明もするけど?」

 

 そのセーラのおかげで依頼主の方はほぼわかったので、二重契約はしないセーラのプロ意識は大事にしてそっちの契約を終わらせてもらうように交渉。

 新たに依頼したいと話すオレに説明を求めるセーラは当然なので、今のところのオレ達が計画した作戦についても説明。

 それを黙って聞いてくれたセーラは、何を考えてるのかよくわからない無表情でしばらく思考する。

 

「…………確実性はあるの?」

 

「それがなきゃセーラを雇うなんて奮発はリーダーもしないだろうな。下手すりゃ超絶赤字だぜ?」

 

「……私も個人的に因縁がある。もしも達成できたなら報酬は半分でもいい。それだけの価値はある、と思う」

 

「じゃあ掛け合ってもらえるかな」

 

「どうなるかはわからない。けど言ってはみる」

 

 その思考から出た言葉に笑って返事をすると、要求通りにとりあえず掛け合ってくれることを決めたセーラに、背負っていた弓を返してあげる。

 それには一瞬だけ嬉しそうにして、すぐに表情を戻して受け取ったが、何故というジト目でオレを見る。

 

「信頼の証。まさか次の依頼主になるかもしれないオレを殺したりはしないだろ? セーラはプロなんだし」

 

「ぐっ……」

 

 本当は下がりまくりのオレの好感度を少しでも上げる目的があったが、そうした理屈もあった上での返却なので、別に自殺願望があったわけではない。

 だからセーラもぐぬぬしながらもオレを気球から落とそうとはせずに再びだんまりを決め込んで以降、オレが見逃すこともわかってるから、見えてきた地上の方をじっと見て降りるタイミングを図っていた。

 それで地上から30メートルほどの高さまで降りてから風に乗って走り去ったセーラは、去り際にチラッとオレを見てあかんべーしてくるが、可愛いもんだよ。

 

「さって。オレもメヌの家にでも行くか」

 

 セーラを見逃したので後でキンジに何か言われそうだが、まぁ言い訳は考えておくことにしてオレもミズチを使って気球から滑り降りて、キョトンとする乗員に頭を下げてから、メヌエットの家を目指して移動を開始。

 あとはキンジの報告待ちってところだな。頼んだぞ、キンジ。

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