緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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「駄犬ですね」

 

「忠犬の間違いだろ」

 

 鬼達との戦闘を中途離脱してメヌエットの家にまで戻ってきたオレは、リビングに通されるや否や家主のメヌエットに結果報告を求められ、素直に説明すると返ってきた第一声がこれだ。

 

「私はお姉様を取り返してとお願いしましたのに、京夜ったらそのお姉様を忘れてくるなんて、駄犬もいいところですわ」

 

「その辺はキンジとサイオンがやってくれてるっての。むしろあの人外大戦に途中まで付き合ったオレを称賛してもらいたいくらいだ」

 

「その割には怪我もなさそうですが? 死闘を繰り広げたと言うならば、それなりの手傷を負って戻ってこられた方が説得力があると言うものではありませんか?」

 

「きーこーえーなーいー」

 

「おおよそ、自分の手に負えない相手をキンジやサイオンに押し付けて、安全な場所から援護射撃でもしていたのでしょうが、それでしたり顔で戻ってこられる京夜の強心臓には感心しますよ」

 

「きーこーえーなーいー」

 

 メヌエットが何か迷惑したわけでもないのに、現場でのオレの行動を推理して軽く批難してくるのは納得いかないが、まぁ言ってることは正しいところもあるのでソファーでふて寝を決め込む。

 そんなオレに追い討ちの言葉をかけてくるメヌエットもしつこいが、紅茶を持ってきたリサは何が面白いのか笑いながら淹れた紅茶を差し出してくる。失礼じゃない?

 

「失礼しました。お嬢様が楽しそうに猿飛様をいじめてらっしゃるのが面白くて。それを聞こえないふりで乗り切ろうとする猿飛様もまた面白くて」

 

 そうした自分の行動が失礼だと自覚してるリサは謝りつつもまだクスクスと笑い、なんか言われちゃうとオレもメヌエットもそれをすることをためらうことになって、結果的にやり取りが終了。

 ひょっとしたらリサはそうなるとわかってて割って入ったのかと勘繰るも、どこまで何を計算して動いているか判断がつかないリサは本当に扱いが難しい。

 まぁそれで助けられたオレは淹れてくれた紅茶を飲むことで感謝としつつ、正午を指した時計を見てからキンジの帰還を気長に待つのだった。

 

「くそっ。何で俺がこんなにボロボロでお前がケロッとしてるんだ。納得いかん」

 

「役割分担だろ。オレが鬼に勝てるわけないんだから、勝算のあるお前がぶつかる。素晴らしい采配だ」

 

「そんな采配クソ食らえだ」

 

 夕方。

 ようやく戻ってきたキンジは、全身がバッキバキになってるらしくてリサに治療を施されながら、呑気にリサの作った夕刊各紙のスクラップを読むオレに文句を言ってくる。

 

「京夜は自分が『役立たず』なのを自覚してるんですから、あまり言ってあげないのが大人というものですよ」

 

 もうキンジの対応はお手の物なので軽くいなしにかかったオレだったが、同じようにルーペを使ってスクラップを読むメヌエットが酷い言葉を割り込ませてきて『役立たず』の文字がオレの頭に順番に落ちて当たる。痛い。心が。

 

「……別にいいですけどね、役立たずでも。自分の力不足なんて実感するのは今に始まったことじゃないし」

 

「あら、開き直りですの? ですがそれで学習せずに今に至っているのでしたら、役立たずに加えて『無能』なのでは?」

 

「…………」

 

「お、おいメヌエット。そのくらいにしてやれ。猿飛の目が死んでいく」

 

「あらあら。役立たずで無能ですのに、落ち込んでる暇があるのですか? 京夜は時間を無駄にするのが好きなのですね」

 

「……ぷぷぅ。そんなオレをいじめて遊ぶメヌの方が時間を無駄にしてるけどな」

 

「なっ!? くっ!」

 

 1度でもメヌエットが饒舌になると割と止まらなくなるから、調子に乗せてから落とすという手法に切り替えて自虐もやむなしでいたが、上手くいって良かった。ダメージは残るけどな……

 それでメヌエットもぐぬぬと唸りながらスクラップに集中したところで、オレもその内容を頭の中で整理。

 キンジの話では鬼達は3人とも捕まってロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)に引き渡されたらしいが、事件に関わったやつら――ハワード王子やらサイオンやらアリアやら――がどいつもこいつも表立って記事に出来ないとあって、スクラップにオレ達の名前は一切出ていなく、バスジャック犯逮捕の記事には手柄はロンドン警視庁に取られ、見たこともないやつらの顔写真が載ってる始末。

 攻撃ヘリが飛び回ってたのも、オレとセーラが脱落してからほどなくして墜落したのも、全部が映画の撮影とその事故によるものとされていた。

 鬼達は顔写真が出なかったところを見るに、セーラが助け出して不祥事を隠したのだろうが、キンジの存在のおかげでまたアリアを奪いに来るってことはなさそうか。

 まぁそんな感じでロンドンで暴れたにしては目立ったこともなく終息して安堵の息を吐いたら、家の電話が鳴ってそれにメヌエットが応じると相手はアリアだったようで、すぐ近くに来てるから迎えに行ったらとキンジに勧め、アリアが絡むと素直なキンジは1人で家から出ていってしまう。

 

「ああそうだメヌ。お願いを聞いたオレに相談する権利ってのは与えられてもいいよな?」

 

「何ですかいきなり。今回の件は京夜1人で解決したわけではないでしょうに」

 

「それでも危険な現場で死ぬ思いはしたんだ。何もなしは暴れるぞ」

 

「やけに素直にお願いを聞いたかと思えば、そちらが目的でしたのね。推理できてはいましたが、こうも推理通りに来られるとため息も出ますね」

 

「推理通りに動いたんだから文句を言うな」

 

 どうせすぐにアリアを連れて戻ってくるだろうから、ゆっくりするがてら、今回のアリア奪還の件での要求をメヌエットにすると、わかりやすいオレの行動を推理していたからか、結構な嫌々な表情をしつつもわかってて頼んだ部分はあると認めて要求を通してくれた。

 これでオレが今できることは全てやったかね。あとは万全の状態で日本に戻れれば文句を言われることはないだろう。

 

「お久しぶり、メヌ。あんた、しばらく会わないうちにキレイになったわね」

 

「お姉様もですよ。女は恋をすると美しくなると言いますけれど、さて」

 

 オレの相談についての話はもう少し落ち着いてから改めてということで保留にして、10分と経たないうちに戻ってきたキンジと迎えに行ったアリアがリビングへと入ってきて、久しぶりの姉妹が顔を合わせての挨拶はやはりメヌエットが主導権を握る。

 さっきの電話でアリアの他にもう1人いるとか言っていたが、その人物はどうやらハワード王子だったようで、その王子がアリアを手放して今に至ってると推理したメヌエットに肯定と取れる反応をしたアリアは、チラチラとキンジを見ながらメヌエットを睨む。

 そんな視線もなんのそのなメヌエットもようやくアリアと会えて安堵し一件落着としたのだが、そもそもメヌエットのところにオレ達が来たのは、色金について知ってることを教えてもらうためで、そのためにあれこれと苦労していたキンジがその辺を指摘する。

 なんかメヌエットにとって良いことをすれば貰えるとかいう星の最後の1つを賭けてギャンブルを持ちかけたキンジに、メヌエットも同意して話が進むが、その辺はオレの関与するところではないので成り行きを見守る。

 勝負は昨日の決闘のようにキンジの代理人としてアリアがメヌエットとポーカーで勝負することになり、奥にあった音楽室の方に移動。

 そこにあった丸テーブルに対面する形で着いた両者は、こうなるとご自慢のカンで読んで持ってきていたアリアのトランプを採用し、姉妹ではいつもの形式らしくカードを全て裏面にしてテーブルに広げて、その中から5枚を選んで手札を作る。

 カードの交換は1度きりで、先にメヌエットが1枚交換し、アリアは難しい顔で3枚を交換して新たな手札を作ったが、アリアが持ってきたトランプの柄がどこかで見たことあるような気がしていたオレは、交換前のアリアの顔を見て思い出した。

 こういったゲームが大好きな理子が趣味で集めてる『イカサマコレクション』の1つだこれ。

 一見すると何の変哲もない裏面がまだら模様のトランプだが、このまだらが目の焦点をズラすと表の文字を見せてくれるってやつで、オレも見ようと思えば全てのカードがわかるが、それをやるとメヌエットに勘づかれるのでやめておく。

 その結果、イカサマでメヌエットのフラッシュより少し強いフルハウスを作ったアリアが勝利し、メヌエットも素直に負けを認めてキンジに星を授け、無事に色金についても終息。

 

「サシェ、エンドラ。私とお姉様が幼かった頃のように――ペツォールトのト長調、B・W・V、アンハング114番を。今日はリサも加えて、三重奏で」

 

 久しぶりにアリアに負けたからか、はたまた再会したからか機嫌の良いメヌエットは、自らの名前にある小舞曲(メヌエット)を3人に演奏するように指示し、サシェがピアノ。エンドラが堅琴(ハープ)。リサがバイオリンを演奏。

 その演奏に合わせて手を取り合ったアリアとメヌエットは、さすが貴族の嗜みといった具合で綺麗なダンスを披露する。

 

「メヌエット」

 

「なあに、お姉様」

 

「あなたが、大好きよ」

 

「――私もですわ。お姉様」

 

 踊りながら、2人ともが穏やかな表情で互いのことを好きと言うホームズ姉妹を、部屋の端で見ることしかできなかったオレだが、幸せそうな2人を邪魔するほど野暮じゃないってことだ。こんなことなら楽器の1つも演奏できるようにしておけば良かったかね。

 そうしてこの空間でちょっと寂しい思いをしていたオレのことなど気にするやつもいない中で、演奏とダンスが終わってこっちを向いてきたメヌエットは、ようやくその重かった口を開いてくれた。

 

「――日本へ帰り、星伽白雪に会いなさい。緋緋色金の事は、彼女が全て知っています」

 

 その言葉によってキンジとアリアは驚きの表情を見せるが、同時に心のどこかで「やっぱり」と思ってたのか、その驚きは大きくない。

 

「小舞曲のステップの如く、順を追ってお話ししましょう」

 

 オレはこれまでの情報から白雪が。星伽がキーパーソンなのは予測できていたから、メヌエットの言葉でようやくそこに目が向いたかといった感じ。

 しかし具体的にそれがどういった意味を持つのかまで推理できているメヌエットは、チェリーの精油を香らせたパイプを咥えていつもの口上の後に話してくれる。

 

「お姉様たちは初めから、緋緋神問題に対するアプローチ法を間違えてらっしゃるのです。問題とは、その問題の正体を見極める事で初めて対応できるもの。『殻金を盗まれたから取り返そう』と場当たり的に対応したり『憑依されたから追い出そう』と闇雲に緋緋神と闘うより先に――相手が何者なのか、その正体を暴くべきです。正体が分からなければ、どう戦えばいいのか、どう話し合えばいいのかが分からない」

 

 ――なるほどな。

 そう思わざるを得なかったメヌエットの話に返す言葉が見つからない。

 確かにそもそもとして緋緋神が何なのかということにオレ達は関心が薄かった。

 意思を持つ金属。ただそれだけを知って緋緋神と対話をしようとしていたオレの考えも、同種の瑠瑠神で何とかしようというのも、オレ達は理解の外での出来事を客観的に見ている程度でしかなかったってことだ。

 緋緋神の問題をどうにかするつもりなら、その緋緋神がどんな存在なのかをちゃんと理解しなきゃ解決には導けない。

 メヌエットはそう話してくれたわけだ。

 そしてその答えを白雪が知ってるのかと尋ねたアリアにメヌエットはさらに言葉を重ねる。

 

「星伽神社の巫女たちは初代緋巫女の時代からおよそ2000年、緋緋色金――すなわち緋緋神の研究をしている。言わば星伽神社は『緋緋色金研究所』の側面も代々持っている神社。その歴史を継承した者が当代の緋巫女、星伽白雪のはず。彼女より緋緋神に詳しく、またその正体に近い者はいないはずですよ」

 

 何でそんなことまで知ってるのか謎すぎるが、断言に近いそれはほとんど確かな情報なのだろうことはわかり、オレ達は納得。

 しかしこの推理にも欠陥が1つあると付け加えたメヌエットは、自分の推理にキンジが絡むと正常に働かないから、キンジのせいで思い通りには行かないだろうと不安なことを言う。

 だがそれにアリアまでカンを働かせて同意しちゃうので、キンジは微妙な表情をせざるを得ない。同情はしないがな。

 とにかくこれからの行動は決まったのでメヌエットの推理も終わり、白雪に会う前に一報くらいはと家の電話を借りに行ったキンジとリサが音楽室から消え、何気なく音楽室の楽器についての雑学をメヌエットに披露してもらっていたら、家の外から変な鳴き声がかすかに聞こえてくる。

 オレの他にアリアも気づいたようだが、夜には奇声を発するアホもいないことはないので1度は無視したが、次の――ホッキョアアアアァァァァーッ!――というおぞましい鳴き声はかなり鮮明に聞こえてきて、さすがに人ではないそれには全員が反応。

 すぐにリビングに戻って、同じように鳴き声の気になったキンジがテレビをつけてライブ映像のニュースを観る。

 そこにはサーチライトで照らされた夜霧の立ち込めるテムズ川の上空を翼を広げて飛ぶ怪鳥が映されていて、一同はその大きさに言葉を失う。

 大きい。翼を含めておよそ10メートルはある巨体のその怪鳥は、かつて地球上に存在していた翼竜、プテラノドンのように見える。

 そんなオレの予想を確信に変えるように恐れおののくサシェ、エンドラ、リサを他所に興奮気味のメヌエットは、テレビに釘付けになってそれがプテラノドンであることを説明。

 何故どうしてそんなものが現代に。

 そういった疑問は浮上するも、プテラノドンにはさほど反応がないアリアが立ち込める霧の方を気にして、これが自然発生のものでないと予測。

 そこから弾き出された答えは、オレ、キンジ、アリアにおそらくはメヌエットも同じのようで、放置できるわけのないキンジとアリアに向き合ったメヌエットは、それで別れの言葉を2人にかける。

 

「お姉様、キンジ、どうぞ、ごきげんよう。私の事も、よろしくお伝え下さい」

 

「いってらー」

 

「……メヌエットはいいとして、お前は来ないのか、猿飛」

 

「悪いがオレがお前らに付き合ってやれるのはここまでだ。オレも別件で『やること』があるし、お前らだってやることも行く場所も決まったんだ。最後はお前の手で助けてやれ。アリアもその方が嬉しいだろ?」

 

「バ、バカ京夜! アンタなに言ってんのよ!」

 

 そのメヌエットに合わせて、オレもここから先には同行しないことを伝えて、ここまで付き合ったオレに対して文句の1つも言わなかったキンジは「そうか」とだけ返し、直前の言葉でプンスカしていたアリアもいつもの調子に戻ってから「ありがとう」と一言だけで感謝し行ってしまった。

 残されたリサは後日、オレと一緒に日本に戻るということで良さそうだが、どうやらのんびりとメヌエットの家でくつろいでるわけにもいかなくなったな。

 おそらくキンジとアリアが向かった先には、死んだと思っていたシャーロックが待ち構えている。

 鬼達と繋がりのあったシャーロックは、イ・ウーの原潜を拠点にしつつ鬼達に助言をしオレ達の行動の先に配置した。

 相変わらずイラッと来る行動だが、このタイミングで出てきたからには、緋緋神の問題が確実に関わっている。

 元はと言えばあのシャーロックから緋緋神問題が発生したと言っても過言じゃないし。

 

「さて、待ち人は来るかな」

 

「何を企んでますか、京夜」

 

「企んでなんかいないさ。ただ過程で躓きたくないって話。とにかく1時間は待ってみていいか。それからオレの話をする」

 

「私、今日はもうはしゃぎすぎて眠いのですが、夜更かしをさせるつもりですの?」

 

「キンジに聞いたぞ。いつも深夜までネットゲームやって起きてるって。だから大きくならないんだぞ」

 

「どこが、までは言わないのは殊勝ですが、視線は正直なのですね。傷つきましたわ」

 

 何をするのかわからないシャーロックのことを推理するのはオレのような凡人には無理な話なので、どう判断し行動するかはキンジとアリアが決めればいい。

 そしてどうあってもあの2人はほぼ間違いなく星伽神社に行く。

 それさえわかっていればオレ達の進める作戦に大した影響はない。離れる分タイミングは難しくなるがな。

 とにかく、向こうは向こうで進展すればいいので、オレもその時になって出遅れないようにいよいよ持ち込んできた話をメヌエットにする段階になり、その前にオレの話を持ち込んだセーラが来る可能性を考慮して、1時間だけ待ってもらう。

 

「ホームズ4世。アリアの妹」

 

「ご存じなようで光栄ですわ。セーラ・フッド」

 

 40分ほど経って家のチャイムが鳴り、出迎えたサシェと一緒にリビングにやって来たセーラは、くつろぐオレ達をざっと見回してから、メヌエットが誰かを特定して挨拶っぽいような確認をし、メヌエットもすでに顔は知ってたから無表情で言葉を返し沈黙。

 何故セーラがここに来れたかなんて推理するまでもないが、来てくれたということはシャーロックから依頼完了のお達しはもらえたんだな。

 それを証明するように特に何かを語らないセーラは、対面してるオレとメヌエットの間のソファーに腰かけて、紅茶を持ってきたリサにビクッとして――先日のジェヴォーダンの獣のせいだろうな――からそれを口に含み落ち着き、オレに「さっさと話せば?」と目線をくれる。

 

「さて、んじゃ話をするけど、その前にセーラとリサの携帯を借りるぞ。この話に同席してもらいたいやつが3人いるからな」

 

 ここまで話を引っ張っておいて、まだ引っ張るのかというメヌエットの痛い視線が本当にグサッとくるが、こればっかりは全体で把握しておいた方がいい案件なので、事前にメールで電話をすることは知らせていた3人と借りた携帯も使って通話を繋ぎ、スピーカー機能で向こうの声もみんなに聞こえるようにする。

 

『そっちは今は夜の9時頃か……さすがに朝5時の起床は覚醒しないな……』

 

『そんなことを言っていられるのも今だけかと思いますよ。ええと……ジャンヌ様、でよろしかったですよね?』

 

『そういうお前は劉蘭だな? 京夜から話は聞いている。京夜の現地妻らしいな』

 

『……君は女には一途なタイプかと思ったが、存外そういうこともなかったようだね。いっぺん死んだらどうだい?』

 

「お前らこの場にいないからって好き勝手に言いすぎなんだよ。合流したら殴るぞ」

 

 そうして全ての電話が繋がったところで、互いの確認のためなんだろうが各々が好き勝手に喋って挨拶も兼ねるが、あることないこと言うから殴りたくなる。

 

「……とにかく、作戦は実行の前段階まできたんだ。ここからはおふざけなしの真面目な調子で頼む」

 

 殴りたくはあるが、いないやつを物理的には殴れないので、そちらの方は保留ということでとりあえず落ち着き、仕切り直して真面目なトーンで言うと、ワイワイやってた通話組のジャンヌ、劉蘭、羽鳥も黙ってくれる。切り替え早いな。

 

「では話してくださいな、京夜」

 

「ああ。それじゃあ話すよ。オレ達が密かに進めてきた作戦。この作戦で捕まえる。『完璧な犯罪者』……世界最強の陰陽師、土御門陽陰をな」

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