緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Aiming10~Liu-Ran~

 上海市のとあるビルの会議室。

 年齢にバラつきはあるものの、その誰もが高級なスーツを着込んだ男性。

 計20人いるその中に1人。私だけが女性であるこの光景にも、もうずいぶんと慣れたような気がしますが、集まった面子の全員が全盛期には豪傑と呼ばれた武闘派の人間なだけあって、顔には何かしらの傷跡が残っていたりとその顔は厳つい。

 

「では劉蘭。君の企画を聞こうか」

 

 藍幇の中将以上の位階が集まって行われていた4月の定例企画会議。

 藍幇では3ヶ月に1度、藍幇の影響力を強めるための企画を立案して持ち込む機会を設けていて、その企画の決議を集まった面子で行う。

 もちろん持ち込みは自由意思なので決議が成される企画は毎回3つほどが精々で、歳を召された方ほど挑戦的な企画は上げてきません。

 しかし私はほぼ毎回、何かしらの企画を持ち込んでは意気揚々とプレゼンをするので、藍幇の元帥が私の名を呼び話の主導権を渡せば、周囲の大将、中将の方々は口には出さないものの「またか」といった雰囲気になる方が半数以上を占める。

 これは私がまだ中将という位階にいることが全面的に認められていない何よりの証拠ですが、そんなことに尻込みしていては、これからの藍幇の変革など夢物語。

 現状維持の姿勢が強い藍幇の今の思想を変えるため、掴めるチャンスを逃すまいと立ち上がった私に対しての視線は様々ですが、女は度胸。

 

「皆様、本日の企画は皆様が想像するよりもずっと挑戦的な要素が少なくなっておりますことを、始めにお伝えします」

 

 そうした始まりから私が用意した資料をプロジェクターに表示し、その横に立って指示棒を手にプレゼンの姿勢に。

 画面の切り替えは同行させた機嬢がしてくれて、今回はやけに協力的なことには疑問はありつつもプレゼンを始める。

 

「この中にもご存知の方がおりますでしょうが、今年の6月に上映予定となっているこちらの映画。撮影は昨年の夏に行われましたが、その撮影はここ中国、北京を中心としております。出演俳優には香港のアクションスター。アメリカで有名な俳優の息子が主演ということもあって話題性はかなり高いものとなっております」

 

 表示した画面には今年放映される映画の表紙とタイトルと主演の写真があり、元来の武闘派の方々も映画が有名なドラマのリメイク作品であることも説明すれば食いつきが悪くない。

 

「そこで映画の上映時期を見計らって、日本ではポピュラーになってきている聖地巡礼。いわゆる観光ビジネスの1つで、映画の舞台となった場所に実際に足を伸ばして、作品の空気に触れようといった主旨のお手伝いをまとめて引き受けようというのが、今回の企画になります」

 

 映画による宣伝効果が見込めると説明してから、いよいよ本命となる観光ビジネスの説明をしてみますが、企画が観光ビジネスだとわかると渋る顔がチラホラ。

 その理由は私にもわかり、要は『そんなことは他もやっている今さらなこと』という意味合いでしょう。

 ですがプレゼンとは落差をつけることでその効果を劇的に上げることができる魔法がありますから、私もそうした普通に行き着く結論に導いてから画面を別のものへと変えてプレゼンを続行。

 

「何をそんな大仰にとお思いになった皆様。私もそれだけではお客様の目を引く観光には1歩足りないと感じます。ですがこの聖地巡礼に特別なオプションを付けることでその1歩をたぐり寄せることができるのです。具体的にはこちらにあるように、今回の主演お2人を事前にお招きして撮影場所を先行して回り、その時々で撮影時のコメントなどをいただくことで映像とし、編集されたその映像を観光参加者に観ていただくことで、より観光地への期待感を煽ることができます。さらに観光の最終日のために主演お2人から特別なコメントをいただき、最後に流すことで、この観光でしか味わえない特別な時間を提供しようというわけです」

 

 そうして今回の企画に不覚にもワクワクしたような方がそれでも威厳を保つように咳払いなどをして誤魔化しましたが、感触は上々といったところでしょうか。

 詳しい内容については早急に詰めなければなりませんが、他の観光ビジネスに負けない強みを打ち出したことで決議も賛成が多数の空気になりかける。

 しかしそう上手くいかないことも理解していたので、冷静にプレゼンを聞いていた元帥から鋭い指摘が飛んできます。

 

「話はわかったが、肝心の主演2人を招いての映像の作成は可能なのかね?」

 

 さすがは元帥といったところで、その質問が出てきた瞬間、少し浮かれていた皆様が現実に戻ってきたように企画の根幹に関わる無理難題に対して難しい顔を私へと向けてどうなんだと睨み付けてきます。

 ですが私はできないことを口にするような愚かなことはしません。

 

「ご安心ください。先日、とある映画制作会社とのコネクションで、こちらが望むのであれば今月中までにならば取り付けるとお約束いただき、実はすでにお招きしております。到着は本日の夜で、明日から2日をかけて映像作成に協力いただけることになっています。報告が遅れたことを謝罪いたしますが、作成予定の映像はこちらで企画が否決になった場合でも無駄にならないように配慮はしております。ですが若干、藍幇には利益が少ない結果になることは間違いありませんので、懸命なご判断を皆様に委ねようかと思います」

 

 こうしたことを涼しい顔でやってのけてしまうから、私のことを一部では『食えない女』と呼ぶ者も少なくなく、今も可決にせざるを得ない状況にされていたことを知らされて悔しそうにする皆様が、さらに険しい顔で睨み付けてきます。

 が、そんな私に対して元帥だけは開き直りなのか声高々に笑ってみせて、皆が呆然とする中で私を真顔で見て口を開く。

 

「こちらに不利な条件を飲ませる手口はよくあるものだが、こちらに有利な条件を突きつけて選べときたか。その強引さはあっぱれだ。次の定例会議での結果報告を楽しみにしよう」

 

「それでしたら次の会議は月末に開催してください。そうでなければ時期的に報告もできないものになるかと」

 

「では次の定例会議は7月31日の開催とするか」

 

 元帥がそうして私の企画を認めたことで、他の皆様も否決にして得られる利益を失うことがほぼ確定している事実に納得して、企画は可決の方向となり、プレゼンを終えた私がホッと息を吐いて指示棒を下ろすと、パソコンを操作していた機嬢も心臓に悪いといった表情で私を見てくるのでした。

 

「お前に付き合ってたら寿命が縮まるネ」

 

「あら、曹操の子孫がこの程度で音を上げては示しがつきませんよ?」

 

 その後、定例会議は滞りなく終了し、私のプレゼンの時にだけ入室していた機嬢が会議室を出るなり私の腕を引っ張って他の皆様の目の届かないところまで移動してからそのような文句を言ってきましたが、14歳にはまだ耐えられない空気のようですね。

 私も中将になってもうすぐ1年になりますが、あの空気は苦手です。

 でもあの緊張感があるからこそ、私は弱音を吐く暇がなくて頑張れているような気もするので、機嬢にもいつかそのくらいの胆力を身に付けてもらいたいですね。

 次代の藍幇は私達が築くわけですから、ココ姉妹も実力は確かなので、あの舞台に上がる時はいつか来るはずです。

 

「……劉蘭の挑発、乗っても旨味ないヨ。それより早く北京に行くアル!」

 

「そうですね。出発時間もあと30分ほどですから、待たせてあるタクシーの料金が上がる前に駅に向かいましょうか」

 

 そうした意味で期待を込めた挑発をしましたが、機嬢は4人の中で理知的なので生産性のないことはせず、それよりもと私の腕を再び引いてさっさと北京に行きたい旨を伝えてくる。

 その表情は14歳の少女そのもので、何をそんなに楽しそうにしているのかはプレゼンの時の機嬢のノリノリな感じでわかりました。

 

「それにしても機嬢はミーハーですね。そんなに有名俳優と会えることが嬉しいのですか?」

 

「当たり前ネ! どこの名前も知らない男なら見向きもしないアルが、来るのがあの人なら話は違うヨ!」

 

「ふふっ。実は私も楽しみなんです。私が生まれる以前から活躍している大スターですからね。サインはどうしますか?」

 

「り、劉蘭から切り出してほしいヨ。ココじゃ最悪、現場に迷いこんだ子供に間違われるネ……」

 

「タイミングの話をしたつもりでしたが……では機嬢の分も私が書いてもらいますから安心してください。その代わり、護衛の方は狙姐と一緒に頑張ってくださいね」

 

「任せるアル! 北京にいる間の劉蘭の安全はココ達が保証するネ!」

 

 上海駅へと向かうタクシーの中で、私の想像以上に今回の企画に乗り気だった機嬢の興奮は収まることがなく、ほぼほぼ独占インタビューに近い今回のこれには内心で私も興奮していることを伝える。

 こうなると私と機嬢もただのファンであり乙女で、これから会える大スターに自然と笑みがこぼれる。

 

 上海駅から北京駅とを結ぶ京滬(けいこ)線は、その総距離を約1500kmとしていて、移動だけでも10時間以上かかってしまいます。

 なので到着する頃には来客をもてなす時間を過ぎて早朝になってしまうこともあり、そうなることを見越して狙姐と静幻を北京に先行させて、現地で協力してもらう方々と合流してもてなす準備をしてもらっています。

 広い中国でのこの移動時間はアメリカなども抱える問題の1つですが、この京滬線も来年には新幹線を通すことが出来るようになり、その京滬高速鉄道が開設されれば、上海虹橋(シャンハイホンチャオ)駅から北京南駅の間を最短で約5時間にまで短縮される予定となっています。

 それには私たち藍幇も1枚噛ませてもらっているので、式典には元帥が呼ばれるのではないでしょうか。

 その京滬線の寝台電車に揺られて終点となる北京駅に到着したのは早朝にあたる時間帯で、始めこそワクワクでお喋りをしていた私と機嬢でしたが、やはり眠気には勝てずにぐっすり6時間ほどは睡眠を取って到着したので、降りた時には2人して快調。

 ここ最近は仕事続きでまとまった睡眠時間を取れなかったため、この睡眠は体に良かったらしく、迎えに来てくれた静幻と狙姐が揃って「顔色が凄く良い」と褒めてくれる。

 これからのことを考えれば疲れた顔を見せずに済むのでありがたいことですが、まだやっておくことはあるので、静幻と狙姐にはお2人の歓迎が何事もなく済んだ報告を聞いてから、宿泊先となるホテルへと直行して急いでシャワーを浴びて朝食を済ませて、現地のスタッフと合流してから段取りのチェック。

 その辺は静幻が事前にまとめてくださったおかげで、私は段取りを聞いて細かい部分のチェックだけになり、あとは現地で順応していこうと一同に声をかけておきます。

 この声かけはあまり意味のないものと思う人が多いのですが、私の場合は単に律儀や礼儀などといった括りで語れるものではなく、性質的に意味が出てきてしまう。

 

 私は生まれつきというか、そのような感じで人から疑われにくく信頼されやすい性質を持っていて、敵意や悪意といったマイナス面の感情さえなければ、大抵の人は私のことを初対面でも自然と受け入れてしまうらしいのです。

 そうした元来の性質の持ち主を天衣無縫。日本でわかりやすく言えば天真爛漫ということで、周囲に好かれやすいこの性質のおかげで今の位階に登り詰められた部分は確実にあります。

 もちろんそれだけで登り詰めたなら、人につけこんで得た地位などと言われてしまうでしょうが、私は決してそのような性質を利用して歩んできたつもりはありませんし、私のことをちゃんと認めてついてきてくださる静幻や趙煬といった存在も大きい。

 ですがやはりそんな私を好意的に見られない者も藍幇には多く、表向きには良い顔をしてくる人の中には、今の地位から引きずり下ろそうと企む者も少なくない。

 特に同性は賛否が真っ二つで、好きか嫌いかの2択でどっちつかずの人はおそらくいないでしょうね。

 実際に中将になる以前は頭角を現した辺りで陰湿ないじめに遭って出る杭を打つ勢いで妨害をされましたし、青春と呼べる学生時代は私にはなかったかもしれません。

 それでも頑張れたのは、その頃はまだ生きていると信じていた約束。京夜様との婚約があったからに他ならなく、それだけを支えに頑張れた私は、今にして思えばかなり異常な執念で食らいついていたように思えます。

 だからなのか、ココ姉妹のように正々堂々と喧嘩をしてくる存在は私にとって内心で嬉しいものであり、嫌いと言いながらも互いにその存在と実力を認め合う対等な関係になれていた気がします。ココ達がどう思っているかはわかりませんがね。

 

「どうしたネ、劉蘭……ちょっと気持ち悪いヨ」

 

 打ち合わせも終わっていよいよ主演俳優お2人をおもてなししながらの映像作成が開始され、ちゃんとした撮影スタッフと機材でロケさながらの体制で撮影ができ、私達はそれをバックから眺めて同行する形でついていっていました。

 その最中にここまでの私の道程を振り返って笑みが浮かんでしまっていたのか、横にいた狙姐からちょっと失礼なツッコミが入って冷静になると、ココ姉妹を褒めてしまった手前、それを口にするのは恥ずかしかったので「ちょっとした思い出し笑いです」と誤魔化しておきます。

 それに納得するような狙姐でもありませんが、良からぬ企みをしているわけではなかったのは理解して特に気に留めることもなく撮影風景にまた視線を戻して目を輝かせていた。

 

「それにしても、趙煬には悪いことをしましたね」

 

「そうですね。彼あっての今回の企画の成立ですから、来られなかったのは本当に残念ですが、来られない理由もまた悩ましいところです」

 

 目の前では2人の俳優が撮影時に食べていたものを食べて振り返る場面を撮っていて、それを見ながらに狙姐とは反対の隣でフラッシュがつかないカメラで時おり写真を撮っていた静幻に話しかけてみますと、本来であれば私の護衛を任されているはずの趙煬がこの場にいないことを残念なようなそうでないようなといった微妙な返事が。

 実は今回のこの撮影は、3月の半ば頃から映画の撮影でアクションシーンの代役をしてくれた趙煬が、その映画監督に酷く気に入られたことから実現した背景があり、結構な無理を通していただいた条件として、趙煬をそのまま映画の役者として使わせてほしいと言われ、趙煬の合意も得て今に至っています。

 その撮影が上手くいけば趙煬もなんとかスケジュールを合わせて合流する手はずではあったのですが、超人、趙煬でもアクションシーンはNG知らずのキレキレの演技はできても、台詞を与えられての演技には悪戦苦闘しているようで、撮影もそこで難航しているようです。

 

「ですが趙煬が悪の親玉役なんて、意外と合っていると言いますかなんと言いますか」

 

「それは本人には言わないのが懸命でしょう。本人としてはあの方のようなアクション俳優が憧れでしょうし」

 

「そちらも問題ないでしょう。趙煬が評価されたのは類まれな身体能力と幼い頃より精練された功夫(クンフー)によるものです。それは間違いなくあの方にも引けを取らない天賦の才。それが世間にも認められれば、自ずと今後の身の振り方も変わっていきますよ。何よりまだ趙煬はスタートラインに立った段階ですから、何もかもがこれからです」

 

 あの趙煬が日々を悩みながら演技に励んでいる姿はなかなか珍しく、それをこの目で拝めないことを少しだけ悔やんでいる旨のことを口にした私に対して、あくまで冷静なツッコミをする静幻は後々に都合の悪いことを言って趙煬に知られるのを恐れているようですが、私はそんなに酷いことをするように思われているのでしょうか。心外ですね。

 おそらく私ではなく狙姐と機嬢がチクることを想定して言葉を選んでいるのでしょうが、私としては本音で話してほしいところなので少し残念です。

 そうしたところで静幻とは腹を割ってのブラックトークが出来そうになかったですし、狙姐も機嬢も目の前の撮影に釘付けで私との会話など邪魔にしか思わなそうで、ちょっと口と耳の方が暇になってしまったところ。

 唐突に私の携帯に着信があり、相手が誰かと確認してみると、このところ忙しくてお相手ができていなかった理子様だったので、話し相手が向こうからやって来てくれた幸運に感謝しながら通話に応じます。

 

『おっすおっす! 今はお暇だった?』

 

「丁度いま話し相手がほしいと思っていたところでした。理子様は今のお時間ですと学校なのでは?」

 

『依頼で今は校外なんだよねぇ。3年生になると依頼の質も上がるから大変ですよ』

 

「その割にはこうして私に連絡する余裕はあるのですね」

 

『何事にも息抜きは必要なのですよ。それよりもさぁ、この前アリアが……』

 

 理子様はいつもこっちの都合などお構いなしに自分が話したいことを勝手にペラペラと喋って、それに対しての反応がどうであれ、それによって溜め込んでいるものを吐き出すところがあります。

 始めはほぼ一方的なそれには戸惑いましたが、こちらがつまらなそうな雰囲気になれば、いち早く察して話題を変えたりと意外と空気の読める方で、歯に衣着せぬその言動は聞いていて心地よさを覚えることもあります。

 

「……そうなんですね。アリア様も理子様に似てプライドが高い方ですから、喧嘩もほどほどになさってください。それよりも理子様、いま私はとても凄い方と一緒にいるのですが、知りたいですか?」

 

『なぬ? 蘭ちんが凄いというからには、相当なあれですかな。何系の人?』

 

「芸能系です。香港出身の男性ですよ」

 

『ほほう。理子りんに凄いとわかる香港のスターですか。ならその男はズバリ……サインもらって送ってください!』

 

「ふふっ。かしこまりました」

 

 何よりも私にとって理子様は、初めて対等に接してくれた大切なお友達であり、同じ人を好きな恋のライバル。

 恋敵というとドラマなどではもっとギスギスとした関係で描かれるものですが、理子様に抱く感情はそうしたネガティブな要素はなくて、これからもずっと仲良くいたいという思いと、絶対に負けたくないという思い。それと同時にこの人になら負けても悔いはないと思える不思議な感情が混在している。

 

『ああそうだそうだ。来月に修学旅行Ⅲでキョーやんに押し掛け女房やってくるんだけど、プレゼントしたいものとかある?』

 

「えっ!? そんな急に言われても何を差し上げればいいのやら……」

 

『いやいや、今日明日の話じゃないし、考える時間くらいあげるって』

 

「そ、そうですよね。もちろん差し上げたいので、決まった際にはご一報させていただきます」

 

 理子様もこうしてライバルであるはずの私にもチャンスを与えるようなことをわざわざしてくださるので、私のことを対等な存在として扱ってくださっているのかなと感じます。

 おそらくは私の恋のライバルとしては最大の敵である理子様ですが、私も理子様の正々堂々の姿勢に応えて、いつか京夜様が出してくださる決断に納得ができるように、悔いのない勝負をしていきます。

 

「……負けませんからね、理子様」

 

『ハッ。かかってきなよ劉蘭。こっちも負けるつもりなんてないからな』

 

 それを言葉にしてみると、意味を汲み取った理子様はいつもの様子から一変して本気モードで返してくれて、またすぐにいつもの調子に戻って通話を切っていってしまいました。

 最短であと1年。後悔は残したくないですね。

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