緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

25 / 288
Bullet22

「くたばれ神崎アリア! これは天誅! 天誅なのですっ! あはっ、あははははは!」

 

 ――ばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりぃ――!!

 幸姉と小鳥と一緒に七夕祭りから帰宅後しばらくして、階下の部屋から聞こえてきたのは、そんな狂気に狂った白雪の笑い声と、明らかに高火力な銃器の連射音。

 ブラドの一件の少し前に星伽の実家に戻っていた白雪。帰ってきてたのか。

 しかも帰って早々アリアと喧嘩って物騒極まりない。

 そんな階下の騒動にもすっかり慣れてしまった小鳥と、武偵としての経験豊富な幸姉はほとんど気にすることなく、買ってきたお土産を広げて昴達にあげていた。

 バダンッ!

 そこでいきなり寝室の扉が開いて、そこから何故かアリアが登場。

 しかもバニーガールの格好をしてるという謎すぎる状況。推理するのも嫌だ。

 

「いったいなんなの! いきなりM60マシンガンをブッ放すなんて普通じゃないわ!」

 

「いや、オレはアリアがなんでここの寝室から出てくるのかとか、なんでバニーガールの格好してるのかとか、そっちの方が気になるんだが」

 

「そんな些細な事はいいのよ。それより京夜。アンタの寝室の床も弾が貫通してるから中が大変よ?」

 

「は? はあ!?」

 

 言われてすぐに寝室を覗くと、床に無数の穴が開き、さらに部屋の何ヶ所かに被弾して残念なカンジで散らかってしまっていた。

 一応防弾素材でできた男子寮なんだけどな。そこを貫通までしてくるか。

 そうして散らかった寝室の隅に、アリアが使ったとおぼしき階下とを繋ぐ簡易扉を発見。

 いつの間に作ったあんなもの。とアリアを見ると……

 

「あれよ。白雪の護衛をした時に緊急避難用に作っておいたの」

 

 先読みしたアリアは即答。

 だが普通、避難なら外に逃がさないか?

 などと言っても仕方ないので、とりあえず怖いがそれを使って下の部屋に行くか。白雪にはちゃんと弁償してもらわないとな。

 思いながらひょいっと下の階に下りたオレは、まだ臨戦態勢だった白雪に日本では違法所持になる戦争用機関銃、M60マシンガンの銃口を向けられ、マジで死ぬかと思った。

 

「はっ! 猿飛くん!? ご、ごめんなさい! てっきりあの泥棒ネコかと」

 

「ああ……いや……撃たれなかっただけ良かったよ。それよりオレの寝室も被害を被ったんだが、できれば弁償、修繕してもらいたい」

 

 言われた白雪は持っていたM60マシンガンを床に落としてピョンッ! ザシュッ! ジャンピング土下座を決めてオレに謝罪。

 すげーな今の。もう1回やってほしい。

 

「只今キンちゃん様の寝室ともどもお片付けを致しますので、何卒お許しを!」

 

「いや、直してくれるなら文句は言わないよ。それよりおかえり白雪。帰郷は楽しかったか?」

 

「あ、うん。妹達に会えたからそれなりには、ね」

 

「ん? 何か良くないこともあったか? いやまぁ、星伽の掟破って戻されたんだから、そりゃ楽しいことだけじゃなかっただろうがな」

 

「うん、そんなところ。猿飛くんは優しいね。気になっても深くは尋ねてこないから」

 

「優しいんじゃなくて面倒な話を避けたいだけだ。それで巻き込まれたりしたら迷惑だからな。それじゃ、寝室の修繕よろしくな」

 

「うん」

 

 面倒事はなるべく避ける。

 最近はそれを実感させられることが多い。オレまでキンジレベルの災難に見舞われたら命がない。

 それに今は幸姉という爆弾も抱えてる。

 何を企んでるかは知らないが、野放しにしておくのも危険だし、これ以上の面倒は御免被りたいのがやっぱり本音だ。

 だから白雪の言う優しさとは違うな。

 思いながら上の階に戻ると、今度はリビングでアリアと幸姉が睨み合いを繰り広げていた。

 いや、睨み合いというか、アリアが一方的に睨み付けてる状況なんだが。幸姉は蛇に睨まれた蛙状態だし。

 

「ちょっと京夜! こいつカナと一緒にいた奴じゃない! どういうこと!」

 

「ここで居候してる」

 

「どうしてここにいるのかって意味!」

 

「ほら、前に話したろ。オレが真田の家に仕えてたって。んで、この人がオレの元主様ってわけ。武偵で言うところのパートナー。だからそんな睨むなよ」

 

「なに企んでるかわからない奴を近くに置くなんて正気じゃないわね。まっ、確かに今のところあたしも何かされたわけじゃないからいいけど、何かあったら京夜の責任だからね」

 

「へいへい、肝に銘じておきますよ。んで、アリアは今夜はどうすんだ? キンジのとこにはバーサーク白雪がいるし」

 

「何か上に着るものちょーだい。今夜は自分の部屋に戻るわ。こんな格好じゃ外も歩けないわ」

 

 そういや何でバニーガールの格好なんてしてんだ? キンジの趣味か?

 なるほど、キンジはうさぎさんが好みなのか。

 などと考えながらアリアにオレの制服の上着を貸してやると、アリアはそれを着てささっと部屋から出ていってしまった。

 それから少しして白雪が部屋に来て寝室の修繕をやると言ってきたのだが、リビングにいた幸姉を見て目を丸くした。

 

「幸音……さん?」

 

「あ、白雪ちゃん。久しぶりね。前見た時よりずいぶん綺麗になったわ」

 

「い、いえ! 私なんて幸音さんに比べたらまだまだ子供です、はい!」

 

 言いながら白雪は幸姉と対面の位置に正座してペコペコし始めた。

 え? 知り合い? どこで接点があったんだ? オレが知らない繋がりがあるとは思ってなかった。

 

「で、ですが幸音さんは1年以上前に行方不明になったって話を耳にしましたが、どうして猿飛くんのお部屋に?」

 

「京夜は唯一私が頼れる人だから、少しの間お世話になってるの。あ、ごめんね京夜。白雪ちゃんとは『玉藻(たまも)』様との会談の時に席を同じくしてね。その時に知り合ったの。もうずいぶん昔の話なんだけどね」

 

「玉藻様って……あの化けぎつ……」

 

 確認しようとしたら幸姉と白雪に睨まれてしまった。

 悪口ととられたか。次言ったら殺されかねんな。

 

「ダメよ京夜。目上の人には敬意を払わないと」

 

「いや、だって人じゃな……」

 

 また睨まれた。もう何も言わないですごめんなさい。

 

「まぁ幸姉と白雪が知り合いなのはわかったよ。それより寝室の修繕を頼む。小鳥なんかは祭りで疲れてすでにあんなだし」

 

 これ以上睨まれたらたまらないので、話を切り替えるようにそう言いながら、煌牙にのしかかる形でうとうとする小鳥を指して白雪に修繕を急がせると、白雪も目的を思い出したように動き出し、幸姉は撃沈寸前の小鳥を連れてお風呂に入っていった。

 それからの白雪はまぁ手際の良いことこの上なく、20分ほどで寝室の修繕を終わらせてしまった。職人ですかあなたは。

 

「ご迷惑をおかけしましたが、無事に終わりました」

 

「お疲れさん。お茶淹れたから飲んで戻ってくれ」

 

「うん、ありがとう猿飛くん」

 

 言った白雪はリビングのソファーに座ってお茶をすすると、ぴょこっと何かに反応したようにオレを見て話をしてきた。

 

「猿飛くん。その首から提げてるペンダントはどうしたの?」

 

「これか? これはこの前幸姉から貰ったんだけど、どうかしたか?」

 

「それ、その宝玉に退魔の紋様が刻まれてるの。効力は強くないけど、呪いなんかの類は寄せ付けないよ」

 

「呪いって……でも確かに幸姉も魔除けのお守りだって……」

 

「ねぇ猿飛くん。最近身の回りで変な虫を見なかった?」

 

 白雪に言われて記憶を遡ってみる。変な虫ってなんだ?

 とか思ったが、1つ心当たりがあった。

 

「……今日、見たな。祭りの時に近くを飛んでた黄金虫かなんかをこのペンダントが打ち落とした」

 

「じゃあ幸音さんは知ってて猿飛くんに? ……猿飛くん、実はさっき星伽の実家の妹から連絡があって、星伽によくない虫が忍び込んでたって。誰かの使い魔みたいなんだけど、何か良くないことが起きるかもしれないから、猿飛くんも気を付けてね」

 

 いや、あの、そんな漠然とした注意をされても構えようがないんだが。

 と言おうとしたら白雪は気になることがあるのか、グビッとお茶を飲み干してさっさとキンジの部屋に戻っていってしまった。

 さてさて、レキにも前に気を付けてくださいって言われたし、なんだか怪しいカンジになってきたぞこれは。

 オレの知らない水面下で何が起きてるんだ一体……

 それから程なくして幸姉と小鳥がお風呂から上がり、小鳥はそのまま就寝。

 幸姉は眠たくないのか、リビングにいた美麗と煌牙のブラッシングを始めて、オレはそんな幸姉の隣に座ると、幸姉は少し肩を跳ね上げて俯いてしまうが、黙々とブラッシングをしていた。

 

「白雪がさ、教えてくれたよ。魔除けのお守りって、本当だったんだな」

 

「私が嘘つくと思ってた? 酷いなぁ、京夜は」

 

「幸姉、オレが確かめたいことはわかってるだろ? いい加減話をしてくれないか。幸姉が何をしようとしてるのか……いや、何をしてるのかを」

 

 言われて幸姉はブラッシングをしていた手を止めて、俯いたまま口を開いた。

 

「……私は『何もしてない』のよ。たとえこれから何かが起きるとしても、私は『何もしない』。それが私の今の最良」

 

「何もしないって……じゃあ目的があるって言ったのはなんなんだよ」

 

「それは……言えない。それを言ったらきっと京夜は『動いちゃう』」

 

「動く?」

 

「ダメ。教えないよ京夜。こればっかりは絶対! 時が来たら絶対に話すから、今は聞かないで。お願い」

 

 言いながら幸姉は俯いていた顔を上げてオレをまっすぐに見つめて、Yシャツの袖をキュッと握ってきた。

 これは嘘は言ってない。時が来たら話してくれると言うのも信用できる。

 だが、それがこれから起きる事態の後で、それに関わりがある話なら、きっとオレは幸姉を許せなくなる。

 何よりそれが原因で何もできなかった自分が許せないだろう。

 

「……わかった。オレは幸姉を信じる。でも、この選択で誰かが……オレの仲間が傷付いたりするなら、オレは幸姉を許さない。絶対にだ」

 

「……京夜……」

 

 それっきり幸姉は沈黙してしまい、すとんと袖から手が落ちて再び俯いてしまい、そのあと一言「おやすみなさい」とだけ言って寝室に行ってしまった。

 ……初めてだった。

 オレが幸姉の言うことに素直に従わなかったのは。

 幸姉はたぶん、そのことに動揺したんだ。絶対的な信頼を置くオレに牙を向かれたのだから。

 明日からどんな感じで話せばいいかわかんなくなったな。

 でも、幸姉のあんな顔は、もう見たくない。そうさせたのはオレだけど、間違ったことを言ったとは思わない。

 それでもまぁ、明日はまず謝るか。

 そうして少しだけ考えを巡らせてから、寝室に行くのもはばかったオレは、ソファーで横になり、美麗と煌牙と一緒に夜を過ごしたのだった。

 その翌朝。

 そんな昨夜のオレの心配を吹き飛ばすように現われたのは、元気100%のフレンドリー幸姉で、昨夜の話などなかったかのように普通に接してきたから、もう全身の力が抜けてしまった。

 それからあっという間に2週間が過ぎ、気付けば日付は7月24日に。

 この日は確かキンジ達が台場にある都営カジノ『ピラミディオン』で警護の依頼をするはずだったか。

 などと思いながら、昼下がりにうちわ片手にだらだらとソファーに座ってテレビを観ていると、隣で同じくぐだっていた幸姉が着ているシャツの下部分をばっさばっさとうちわ代わりで扇ぎながら話しかけてきた。

 

「ねー京夜ぁ、貴重な高校生の夏を無駄に過ごすのはどうかと思うよ?」

 

「じゃあデートでもするか。それとだらしないからシャツで扇がないでくれ」

 

「京夜うっさい。あとデートに誘うならもう少し真剣に言ってほしいわ」

 

 などとミニコントをやっていると、テレビのニュース速報で動物園に搬送中だった2頭の豹を乗せたトラックが横転し、2頭が逃げ出したとあった。

 物騒な話だな。と思っていた矢先に突然オレの携帯が鳴り出し、誰かと思えば未登録の番号。

 ニュースを観ながら電話に出ると、相手はなんとあのジャンヌだった。

 

「ジャンヌからの電話なんてな。デートなら喜んで付き合うが?」

 

『何の冗談かは知らんが、とりあえずテレビを観ろ。ライブ中継でニュースが流れてるはずだ』

 

「丁度いま観てるよ。豹が逃げてるってやつだろ?」

 

『なら話は早い。今しがた警察から武偵高に緊急依頼として来て綴……先生から直で依頼された。依頼内容は「台場湾岸に追い込んだ豹2頭の安全無事な捕獲」だ。猿飛、お前は以前私にこう言ったな。困ったことがあったら手を貸すと』

 

 なるほどね。

 しかし綴『先生』ね……確かにジャンヌは前に綴の尋問を味わった身だから、怖くもなるか。

 

作戦(プラン)は? オレは何をどうすればいい?」

 

『私にお前と銀狼2匹のGPSを送れ。リアルタイムで指示を出す。ターゲットを指定ポイントまで追い込む詰め作業もこちらでやることになってるからな』

 

 つまりジャンヌは指令官に徹して現場はオレと美麗達に任せるわけか。

 策士らしいやり方だな。というかまだ足が完治して日が浅いのか。納得。

 それから細かい指示を受けながら、肩と耳で携帯を挟みながら準備を整えていると、先に準備を完了させた幸姉がオレから携帯を取り上げてジャンヌと話を始めた。

 

「私も手伝うわ。ジャンヌ、うまく使いなさいよ。タイムリミットは日が沈むまでに、でしょ? ならさくっと終わらせるわよ」

 

 そう言った幸姉は、すぐに携帯をオレに投げ返して「早く行くわよ」とでも言いたいように玄関へ向かい、オレは美麗と煌牙の首に無線付きの首輪を付けてから、あとを追うように部屋を出て現場へと向かっていった。

 今回のミッションはこうだ。

 まず警察が台場まで2頭を追い込み包囲を狭める。

 警察ではそこまでしか人員を割けないらしく、オレ達はその包囲の中でさらに2頭を追い込み、可能な限り無傷での捕獲をするということになる。

 ジャンヌからの情報によると、2頭は臆病な性格らしく、単独で行動しているが美麗達でも威嚇誘導が可能らしい。

 だが、あまり追い込むとかえって危険になるかもしれない。

 さらに幸姉が言っていたように暗くなってしまえば、夜行性である豹の活動が活発になる。

 現在時刻は15時。日没まであと3、4時間くらいといったところか。

 移動開始から30分ほどでジャンヌに指定されたポイントに到着したオレ達は、無線の調子を確認してから各々で散って行動を開始した。

 幸姉が作戦に加わったことで各自の現場での役割が自然と決まり、オレと美麗、煌牙はジャンヌの指示で豹を誘導し幸姉のいる地点に向かわせて、幸姉には『あれ』を使って安全無事に捕獲してもらうことになった。

 

『美麗、次の角を左に。煌牙は次の角を右に曲がって交差点で待機。猿飛は豹が高所へ逃げた時に随時行動しろ。つまりバックを追い続けろ』

 

 オレだけ指示がアバウトだなおい。美麗と煌牙はまぁ狼だから仕方ないとは思うがな。

 よくよく考えれば、美麗達の誘導は先回りしないと出来ないから、どのみち速度で劣るオレには無理だったな。

 などと考えながら、1頭目の豹の移動ルートをGPSで追いながらやっとすぐ後ろまで接近できた。

 思ったよりしんどいなこれ。気付いたら走りっぱなしだ。

 GPSでは真後ろにつけてるが、実際はまだ姿も見えていないことに不安はあるが、ジャンヌの止むことのない指示の言葉と、時折聞こえる美麗達の吠え、豹についてるGPSがジャンヌの誘導するルート通りに進んでいることから順調であろうことはうかがえている。そして……

 

『真田幸音。15秒後にその通りに出る。準備はいいな?』

 

『当然! 誰にものを言ってると思ってるの、ジャンヌ』

 

『そうだな、変人にかな』

 

『ジャンヌ、あとでおしりペンペンだからね』

 

 残り数秒でこんなやり取りする辺りにオレは苦笑いを浮かべながらも、余裕のある2人に安心できていた。

 そうしてジャンヌが言った通りに幸姉のいる地点に誘導された豹は、幸姉と接敵した瞬間にその動きを止めた。

 

『はい、1匹目捕獲完了。とりあえず暴れないように渡された麻酔針は打ち込んだから、警察の方に頼んで回収お願いね』

 

 さすが幸姉だな。豹と対峙してものの数秒で押さえ込むなんて普通できない。

 というか幸姉武器すら持ってきてなかったから、生身だからな。オレなら死んでるかも。

 そんな幸姉の余裕な声を無線機越しに聞いたオレは、インターバルなしで指示を出してくるジャンヌに動かされて、もう1匹の捕獲に駆り出されていた。

 ここまでで大体1時間弱か。今の調子なら日没までには間に合うかな。

 まぁ、そんなオレの予想は見事に裏切られるわけで……

 

「ジャンヌ、目標は狭い通路を利用して逃げてる。美麗と煌牙だけだと誘導し切れないぞ」

 

『焦るなよ猿飛。警察も封鎖区画を徐々に狭めていってる。それにこいつの行動パターンももうすぐ計算できそうだ。お前はそのままバックを追い続けろ』

 

「了解。だがオレも美麗達も体力は無限じゃないから、そこら辺気にかけてくれよ」

 

『問題ない。それより目標が道から外れているんだが、施設に入ったりしてないか?』

 

「公園だな。どこに誘導すればいい?」

 

 指示を促しながら公園に入ると、ジャンヌは美麗と煌牙も動かして誘導する場所を示し、やっと豹の姿を捉えたオレはすぐにクナイを取り出して足下に投げつけ豹の誘導を始めた。

 どうやら臆病な性格というのは本当らしく、オレには襲い掛かろうともしなかった。

 クナイも数に限りがあるので、投げては拾い、投げては拾いで繰り返し使用。今の世の中エコだからな。

 などと考えながらやってると、こちらの意図がわかってるかのような逃げ方をする豹に少し手間取ってしまったが、それでジャンヌも行動パターンを把握したようで、誘導ルートに待機させていた美麗と煌牙も使い効率を上げてきた。

 どうやら幸姉もこちらに向かっているみたいで、総力戦になるようだ。

 確かに気付けば時間は17時30分を回っている。タイムリミットも近いか。

 そうしてオレと美麗がジャンヌの指示で豹を追い詰めて、近くまで来た幸姉の場所へ向かわせると、接敵した瞬間に決着。早っ!

 

『これで依頼は完了ね。さっさと帰って小鳥の作った夕飯を食べましょ』

 

『2人ともいい働きだった。美麗と煌牙もよく動いてくれたな。これで私も綴先生に折檻……いや、安心して報告できる。協力感謝する』

 

 なんか物騒な言葉が聞こえたが、気にしないでおこう。

 さて、時間は18時ジャスト。思ったより時間かかったか。

 それによく見たらここからキンジ達が警護の依頼をしてるカジノ『ピラミディオン』が一望できるな。

 そう思っていると、そのピラミディオンの近くの海上に異様な船が浮いていた。

 異様なというのは、明らかに現代の船ではなく昔の造りをしているからだ。

 

「幸姉、そこから時代錯誤した船が見えるか?」

 

『京夜……そこから動かないで。私と一緒に帰るわよ』

 

「……幸姉、あれが何か知ってるな? ならイ・ウー関連だ。放っておけな……」

 

『いいから動くな!!』

 

 動こうとしたオレに突然叫んだ幸姉。

 それには美麗と煌牙も目を丸くし、オレも思わず無線を耳から離す。

 らしくない幸姉の言動に仕方なく動かず船を眺めていると、美麗と煌牙が突然唸り出して周囲を警戒し出し、オレも遅れてその異変に気付きクナイを構えた。

 そしてオレ達を囲むように現れたのは、エジプトの壁画などに描かれるジャッカルの頭をした人型の怪物だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。