緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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 これが夢であってほしいね。

 瀕死の怪我を負いながら、ようやくの思いで暴走していた羽鳥を止めることに成功したのも束の間。

 オレの治療だけで精一杯だったせいで羽鳥が自分の治療をまともに出来ていないことに気づき、意識を失った羽鳥をどうにかして治療しないといけない状況になったものの、限界を越えて生きるだけで精一杯な満身創痍のオレではどうしようもないと絶望しかけていた。

 そんなところに追い討ちという名のとどめを刺しに来たテルクシオペーの出現で完全に思考停止してしまった。

 海上に自らの超能力で立つテルクシオペーは、周囲の波の音さえも操作しているかのように恐ろしいほどの静寂の中で存在し、決して張ってるわけでもない声量で絶望していたオレに話しかけてきた。

 

「私がこれから何をするかは、言うまでもないでしょうか」

 

「…………羽鳥が仲間にならなくて、オレも死んでないなら、やることなんて1つだろ。放っておいても死ぬオレ達にする必要があるかは知らないがな……」

 

「そうですね。生殺与奪権は教授より私に委ねられています。もっとも、教授の条理予知によれば、この結果も5%ほどの確率で起こりうるとされていたようですが」

 

 ……ここに来てもまだモリアーティの掌の上ってか。嫌になるね……

 考え様によってはわずか5%の未来を勝ち取ったとも言えなくはないが、どのみちそこにもテルクシオペーを配置しているなら関係ない。

 

「殺すならさっさとやればいいだろ。今のオレも羽鳥も抵抗なんて不可能に近いんだから」

 

「……私は、そこで寝ている彼女にあなたが殺されると確信しながら動向の一部始終を見ていました。実際、あなたが意識を失ってから彼女は実に3度もその手の銃の引き金を引こうとしたのです。ですがその引き金がついに引かれることはなく、それどころか自らの命の危険を省みずにかの拠点へと走り、あなたを助けた」

 

 テルクシオペーの力なら容易く殺すことはできそうなものだが、その仕草すら見せずに会話に興じることには疑問が生じる。

 さらにオレが意識を失っていた間の羽鳥の行動も見ていたテルクシオペーからそんな情報がもたらされてさらに困惑。何が目的なんだ……

 

「私は、人間の『愛』というものに強く惹かれるのです。私達セイレーネスはつがいのいない種族ですから、人間の愛を感じさせる行動は理解しがたいもの。ましてや自らの命を危険に晒してまで助けようとしたあなた方の行動は、私には納得できる理由が考えられませんでした。愛の形は様々だと思いますが、あなたはどうしてそのような状態になってまで、彼女を助けたのですか?」

 

「愛を……理解できない、か……だったら何でテルクシオペーは、呪いを受け入れてまで人間の足を手に入れたんだよ」

 

「……会いたいと、願われたから」

 

 こうして話している間も羽鳥の血は減っていっているので、せめてもと傷口を押さえて止血をして会話を続ける。

 どうやらセイレーネスに性別。或いは男という存在がいないらしく、異性間の育む愛情が理解できないようだった。

 だがバンシーはテルクシオペーが人間の男に恋をしたと言っていたから、どうにもその辺で違和感を感じて質問を質問で返すと、どうやら順序のようなものが違ったことがなんとなくわかった。

 

「最初は気まぐれだったのです。海で溺れていた人間の男を見つけて、いつもの私であればエナジードレインで食事をして終わりでしたが、その男は溺死する直前に自らが身に付けていたペンダントを握りしめて死を受け入れた。その様子が誰かへの謝罪を思わせたからでしょうね。私はその男を岸へと運び助けました。そして男が握りしめていたペンダントには1人の女性の顔が描かれていました。それは後に婚約者であることがわかりましたが、男が死の間際に抱いていたのが自分のことではなく、その婚約者への感情であったことに強く興味を引かれました」

 

「……残された者を憂う人の感情も理解できなかったのか……」

 

「はい。セイレーネスに『死』の概念はありませんからね。しかし私はその時に抱いた疑問に思案していたことで、男が意識を取り戻したことに気づくのが遅れてしまいました。すぐに海へと逃げましたが、朦朧とする意識の中でも顔と性別だけは判別できたのでしょうね。翌日の夕刻には私を探す男の噂が船乗り達の間でもささやかれるようになりました」

 

 意外にも饒舌なテルクシオペーの話は、彼女をNから引き剥がすきっかけを見つけるに至れそうなこともあって、羽鳥の容態が悪化していくこととの板挟みに遭う。

 そんなオレの気持ちの焦りを察したか、どのみち殺せることには変わらないからか、テルクシオペーが水の超能力で羽鳥に向けて水の塊を投げ飛ばすと、その水は羽鳥の腹にまとわりついて止血をしながら、出てくる血を体内に戻して循環させ出血を抑える役目を果たす。

 血も水も液体だからテルクシオペーにとっては造作もないことなのかもだが、おかげで羽鳥の顔色も幾分良くなって呼吸も落ち着いた。

 

「……ありがとう。テルクシオペー」

 

「まだ私はあなたから答えを聞いていませんので、話どころでなくなっては困ります」

 

 殺されるまでのわずかな時間なのかもしれないが、たとえそれでも羽鳥を助けてくれたことには変わらないため、敵であろうと感謝の言葉を述べる。

 ただテルクシオペーとしては自分の抱いた疑問が解けることの方が重要なようで、そのために必要な話を再開する。

 

「噂はそれだけではなく、どうやら男は私に見惚れて婚約者との婚約を破棄したとも聞き及び、そこで私は興味が湧きました。人間とは『どのようにして愛を覚えるのか』と。その疑問を解くために私は、当時の呪術を生業とする魔女に頼み、人間の足を手に入れ、自らがセイレーネスであることを隠し男に近づきました」

 

「……恋愛ごっこ。真似事か」

 

「真似事と言えば、そうなります。男は私のことを心底愛してくれました。声の出ない私が男の愛を確かめる術は限られましたが、男は私が欲しいと願ったものを買い与え、して欲しいことをしてくれる。当時の私はその快感に溺れ、男が私にのみ向ける愛情に酔っていました。そしてその愛情が本物かどうかを試すために、ある日の夜に私は真の姿を男に見せました」

 

 興味本位からの恋愛ごっこ、か。

 そのために呪いを受けるテルクシオペーの好奇心は理解しがたいものだが、少なくともテルクシオペーは人間の愛情を理解しようと努力をしたことはわかる。

 そして話からするとセイレーネスとしての姿を晒したところで何かが起きたのだろう。それは今のテルクシオペーの影のある表情から察することができる。

 

「……男は、私を受け入れてくれました。セイレーネスの私であろうと、変わらずに愛すると言ってくれました。私はその時、初めて男に恋をしていることに気づきました。嬉しかった。一緒にいたいと心の底から思いました。ですが周囲はそれを許さなかったのです。私がセイレーネスであることがわかると、男の周囲の人間は『人魚に魅入られた可哀想な男』と哀れみ、男の目を覚まそうと私を引き剥がし街を追い出されました。男が悲しむ姿を見たくなかった私は、私を迫害した人間を殺すことはせず海へと帰り、2度と男と会うことは叶わなかった」

 

「……男は会いに来ようとはしなかったのか?」

 

「……残念ながら。私もそれを密かに望みながら10年、男を待ちましたが、叶わぬ夢と散りました。あなたはどう思いますか? 男の愛は周囲の反発に負けてしまうものだったのか。私は本当に愛されていたのか。もしかすると本当に人魚に魅入られていただけなのではないかと考える日もあります」

 

 難しい話だと、率直に思う。

 テルクシオペーに寄った考え方をすれば、男の行動は愛が足りなかったとも言える話だし、10年も待ったテルクシオペーの愛もまた本物だったと思う。

 ただ男に寄った考え方をすれば、色々なしがらみがあったのだろうことも察することはできる。

 

「……テルクシオペーは……というかセイレーネスは当時、人間達にどう捉えられていたんだ?」

 

「姉達が気まぐれに船を襲い、乗船した人間からエナジードレインをする食事を楽しんでいましたから、人間には決して良く思われてはいませんでした」

 

「……だとしたら、男の愛が偽物だったかは図りかねるな。推測でしか語れはしないが、もしも男が会いに来なかったんじゃなくて、会いに行けなかったとしたら?」

 

「会いに、行けなかった?」

 

「テルクシオペーは人間の感情や命の尊さを理解しようとしてるが、まだ不可解な部分が多いんだろ? だから男がその後に死んだ可能性にも思い至れなかったんじゃないか? もしくは男の取り巻く環境を見誤っていたか」

 

「……人間の寿命は当時でも60年余りはあったはず。男はその時でもまだ30歳ほどでした。それに取り巻く環境とは何です?」

 

 テルクシオペーは他人の立場になって物事を考えるだけの人間の思考や理解力を持っていない。

 だからオレ達なら考えうることにも考えが及ばないんだろう。

 そうした意味でテルクシオペーが理解できていない部分をオレが教えてやる。

 

「セイレーネスが当時、恐怖や破滅の象徴とされていたのは間違いないし、そんな存在に魅入られたとなって、いつまでも思いを馳せ続けていたら、人間ってのはそれこそ『呪い』だなんだと騒ぎ立てる。その結果として男を排除しようとする動きがあってもおかしくはない」

 

「……つまりあなたは、人間の手によって男が殺されたと言いたいのですか」

 

「あくまで可能性の1つだ。あとは男がその後に監禁に近い扱いで街から出られなかったか、街から離されて2度とテルクシオペーのいる海に行けなくされていたかだが、どちらにせよ男に自由がなかったという考え方がある」

 

「…………あなたの考え方は、人間の言葉では『自業自得』と言うのでしたか。自らのこれまでの行いが招いた結果ということで納得するしかない、と」

 

「別に納得することはない。話でしか聞き及べない以上、本人でもなければ事の真相はわからないんだから、可能性でしかないんだよ」

 

 オレが真剣に答えたからか、テルクシオペーもそうなのかと納得しかけるが、こんな推測の域を出ない話に結論など出せるはずもない。

 そうした意味でどう捉えるかはテルクシオペーの自由だと付け足してやりつつ、オレはこんな話ならNのメンバーの中でも理解できるヤツはいるだろうにと素直に思う。

 

「……どのみち、人間という存在が種の壁を取り除けない狭量でしか物事を見られないのが悪いのです。未知を恐れて身の守るために排除する排他的な考え方を改めるには、世界を丸ごと変えるしかないでしょう」

 

「その先にテルクシオペーが求めるのは、何なんだよ。人間の男との愛をまた育むことか? それとも──」

 

 ──自分という存在を受け入れてほしいのか。

 そうした言葉が出てくる前に話は中断せざるを得ないことになる。

 これまで全くと言っていいほど文明の気配がしなかったこの島に、機械的なプロペラ音が近づいてくるのがわかった。ヘリだ。

 その音にはテルクシオペーも気づき、こんなタイミングでヘリが近づいてくるのはおかしいと思ったか、海中から水のつぶてを出現させてオレと羽鳥を始末する動きに切り替える。

 

「あなたとの話はとても興味深かった。ですがこれで終わりですね。最期に聞かせてください。あなたが彼女を助けた理由を」

 

「テルクシオペー。お前に大切な存在はいるか? この人のためになら自分が傷ついても良いと思えるような、そんな存在が」

 

「……強いて挙げるなら、姉達がそうでしょうが、姉達もまたセイレーネス。守る必要などなく、そうした感情を抱くことはありません」

 

「そうか……なら教えてやるよ。人間ってのは、時にそういう存在のために自分の命さえも犠牲にする時がある。オレの場合は死ぬ気なんて更々なかったが、あんな羽鳥を見て見ぬフリはできなかった。それだけだ」

 

「それが答えですか」

 

「いや……色々言ってるが答えはもっとシンプルだよ」

 

 こうなるともうオレはテルクシオペーを止めることは不可能だが、せめて羽鳥だけでもとその上に覆い被さってやりつつ、答えを求めるテルクシオペーに回答。

 別に羽鳥のことを好きなわけでもないし、命を懸けて救おうとも思ってなかったさ。

 

「──目の前に助けを求める人がいたら助けるのが、人間っていう愚かな生き物なのさ」

 

 オレが羽鳥を助けた理由なんて、究極的に言えばそれだけのことなんだ。

 迷子を見て見ぬフリができないとか、駅のホームから落ちた酔っ払いを咄嗟に助けたりとか、それと同じこと。

 良心というものを持っていれば自然としてしまうことをオレがしただけのことだが、テルクシオペーはそれが不可解でならないとばかりに無言になってしまう。

 

「…………やはり理解はできませんね。人間とは何故そうも愚かなのでしょう。いえ、だからこそ人間が輝いて見えるのでしょうか……」

 

 そして出てきた言葉はなかなかに厳しいもので、ここまで話してもテルクシオペーには理解されなかったようだった。

 こうも人間とセイレーネスで考え方が違うのかと、人外の種族の難しさに苦笑していたら、話が終われば水のつぶてが飛んでくるとばかり思っていたオレは目を疑う。

 水のつぶてを出現させていたテルクシオペーは突如として水のつぶてを海中へと戻して殺意を収めると、呆然とするオレに意外な言葉をかけてきた。

 

「今のあなたはとても輝いて見えています。その輝きを失わせることは私には出来そうにありません。その輝きを見せるための彼女もまた、殺せばあなたの輝きを失わせることになりかねない。生殺与奪権が私に委ねられているということは、こうした結果もあり得るということです」

 

「……今度また会うことがあったら、オレ達はお前達の敵としての立場は変わらないんだぞ」

 

「その時はあなたの輝きの如何で処遇を決めましょう。私はとても人間らしいあなたのことが少しだけ気に入りましたので。それでは『また』」

 

 テルクシオペーの言う輝きとやらがどれほど眩しく映っているのかは知らない。

 しかしテルクシオペーはその輝きを尊く思う気持ちを優先してオレ達を生かそうと言ってくれた。生かしてくれたんだ。

 その結果は情けをかけられたような悔しさはありつつも、死んではそれまでの人生で拾った命を粗末にはできないと甘んじてそれを受け入れる。

 そしてそれだけ言って笑ったテルクシオペーは、その体をスッと海中へと沈めてその場から消えてしまったのだった。

 

 その後、予想通りオレと羽鳥──正確には羽鳥の方をだ──を探していたリバティー・メイソンのヘリが島へと到着して、瀕死のオレと羽鳥を救助。

 指揮にはカイザーがついていて、とんだ再会になったオレと羽鳥の状態を見て「よく生きてたな」と皮肉なのか判断しづらい言葉をくれてヘリに収容される。

 一応、生き残ってる犯罪者達も森にいることを伝えて、一辺には運べないと追加でヘリが要請されて、6人の遺体もベースキャンプの物も全て回収する流れとなり、一足早くヘリでイギリスへと戻ることになったオレと羽鳥は、ヘリの中で同伴していた医師に適切な治療を受けて、ようやく本当の安息を得たのだった。今回はキツかった……

 ヘリの中で聞いたが、羽鳥の持ち物の中には、よく単独行動で消息不明になる──極東戦役でもやってたからな──ことからGPSが仕込まれていたらしく、それで居場所を捕捉することができたらしい。

 性能に関しては何日もかかったことからお察しなようだが、羽鳥も知らないで持たされていたならあまり高性能のゴツゴツしたのは仕込めなかったんだろうな。

 リバティー・メイソンも手に負えないなら手放せば良いだろうに、物好きなこった。

 まぁそうしてでも確保したい人材ってことなんだろうが、そもそも組織に向いてないんだよな、羽鳥は。

 オレ達を乗せたヘリは日が暮れる少し前にロンドンへと到着し、その間に意識が戻ることがなかった羽鳥と一緒に武偵病院へと搬送されて、そこで全治1ヶ月を言い渡される。

 羽鳥についてはロンドン武偵高のマリアンヌ校長が保護責任者として見舞いに訪れて診察を聞いたようで、病室を一緒にされたオレに全治1ヶ月であることを教えてくれた。

 それでその日はもうオレも限界突破していたこともあって久しぶりのベッドで爆睡。やっぱりベッドって素敵な寝心地ですよ。消毒液臭いのはいただけないけど。

 

 翌日は少し慌ただしい1日になった。

 まずオレが捜査中にいなくなったことで困惑していたロンドン警視庁のレストレード警部がリバティー・メイソンからでも話を聞いたか、代表して見舞いに来て、オレ達の聴取から作成された報告書を持ってさっさと退散。見舞いの品くらい持ってきてほしかったね。

 それから冷やかしのように登校前にヴィッキーが見舞いに来て、オレと羽鳥がボッロボロなことを苦笑しながらも「お大事にー」と笑顔で声援を贈る。が、見舞いの品はなし。コイツら……

 さらに何の用事かは知らないがロンドンに来ていたカツェがどこから聞いたか顔を出してきて、こっちは悪意全開で「ついに悪運尽きたか。ケケッ」と笑って帰っていった。

 これは酷いと自分の人脈のひとでなしな感じが傷口を抉るが、羽鳥も羽鳥で本気で心配して来てくれたのがマリアンヌ校長のみだったことを考えると、こっちも大分あれだ。

 そんな可哀想なオレが療養に努めていたら、意識が戻ってからも会話をしようとはしなかった羽鳥が唐突に口を開いてくる。

 

「君にはすまないことをした。今回は私の弱さが招いた結果だ」

 

「……別に責任を押しつけるつもりはないんだが。オレもオレで力が足りなかった」

 

「君はまたそんなことを……それでは私が困るのだと気づけバカが」

 

「知るかよ。自分の弱さから目を背けられるほど愚かじゃないんでね」

 

「……バカが。でも、ありがとう、京夜」

 

 容態も安定すると口の悪さも復活したか、すっかりいつもの羽鳥である意味安心して会話に興じていたら、あまりにも唐突に女としての羽鳥から感謝されて反応に困る。

 互いに顔が見えないから、それから静寂が訪れて何やらオレの苦手な気まずい雰囲気になった病室は、非常に居づらい。誰か助けてー!

 その願いが通じたかどうか知らないが、この静寂を破ったのは病室の外からの来訪者によるもので、慎ましくも図々しい感じのノックの後に入ってきたメヌエットお嬢様。と、サシェとエンドラがズカズカと入ってきてオレのベッドの前で止まる。

 

「さぁ退院ですわ京夜。車椅子は用意しましたから準備なさい」

 

「い、いやいや。オレ全治1ヶ月……」

 

「安静に療養できるなら場所などどこでも構いませんのよ。早くなさい。これ以上わたしを待たせたらどうなるか、教えて差し上げましょうか?」

 

 それだけで嫌な予感はしていただけに、有無も言わせないメヌエットの迫力に圧されて、クスクスと息を潜めて笑う羽鳥に気づきつつも従うしかなかったオレは、勝手に決まった退院によって武偵病院をあとにするのだった。

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