「……はい。よろしくお願いします」
7月18日、日曜日。深夜11時50分。
もうすぐ日付が変更されようとしている頃。オレはカボ・ペーニャス灯台の上で陣取り、シャナが現れるのを待ちながら、最終確認のために連絡してきた百地さんと通話。
すでにクエレブレへの奉納品はビオドの町の人間によって無骨な祭壇の上に置かれて、例により朝を迎えるまでは人が寄り付かない場所となっている。
ただあまりにも大きな音を立てれば、異変を察知した町の人間が来てしまう可能性があるので、百地さん他2人にはその辺の注意を促しておいた。
バンシーには野次馬精神があったから、マジで怒る3秒前な雰囲気で威圧してクエレブレの洞窟で事が終息するまで大人しくさせておき、クエレブレにももどかしいかもだが待機をお願いした。
そもそもクエレブレの姿が最初からあってはシャナが奉納品を洞窟まで運ぶ必要がないと判断して出てこない事を危惧したわけだ。
先月に来たことを加味してクエレブレの動きはもっとあるべきかとも思うが、シャナが来る時間を絞れるわけではないから、クエレブレも人間に姿を見られるリスクを何時間も負えない前提での動きで、果たしてどうなるか……
いや、シャナはもう来ることが確定してるんだ。あとはオレ達がどこまでやれるかの話。オレがNに臆さずどこまで踏み込めるかが全て……
これまでのことでNに対して様々な感情を抱いてきたが、その大部分は残念ながら組織としての不気味さや底の見えない恐怖が占めてしまっている。
それは言い換えれば本能的にも意識的にもオレがNを恐れていることに違いなく、ここまでの戦績を見ても現実として勝ててもいないのは苦しい。
そんな苦手意識が今回の件で影響を及ぼす可能性は残念ながら否定できないし、そのためらいが前線で孤軍奮闘するオレの致命傷になるかもしれない。
待機してからかれこれ2時間は経とうという頃合いなせいで、色々と考えては振り払うみたいなことを繰り返して精神統一が上手くいってないのは分かりきってる。
それを落ち着かせようとしても無駄だったから、いっそのこと早く現れろ。そうすれば開き直れる。と姿なきシャナにちょっとした怒りをぶつけ始めたところで、時間は深夜の0時を回った。
不気味なほどの静寂。聞こえるのは穏やかすぎるくらいの海から上がる波の音くらいで、少し離れたところにあるビオドの町のわずかな灯りがここ周辺をほんの少しだけ照らしてくれている。
とはいえ灯台下の人を判別できるような光源になっているわけでもないから、どちらかと言えば暗闇に近いし、その暗さに目を慣らしてしまったから今さら強い光源はいらない。暗さはオレのほぼ唯一のアドバンテージになりえる……
状況だけは冷静に見ておこうと振れ幅の大きい精神とは別のところで周囲を俯瞰して見ていたオレだからだろうか、或いはその警戒している精神が及ぼした影響か、陸地に目を向けていたオレの聴覚がすぐ後ろの海から異音を拾う。
穏やかすぎるくらいと言っていた海から波の音以外の渦を巻くようなザァァァァ、という途切れない水の音の流れを察知。
波ならこうはならない音にオレが瞬時に振り向き状況を確認しに行った時。
灯台からわずか50m程度の海上に直径10mはある渦潮を発生させて、その中心に直径1mほどの小さな水の竜巻を発生させ上に乗るテルクシオペーが視認できたのとほぼ同時に、その渦潮から水のつぶてがオレへと飛ばされてきた。
「くっ! おおっ」
情けも容赦もないその奇襲を灯台から身を投げて陸地側に落ちることで躱すことには成功したが、その落下地点付近には水の超能力で光の屈折でも利用していたか、ゆらりと揺らめいた場所にシャナが長い金髪をなびかせて出現。テルクシオペーと同じような水のつぶてを下方向から狙い撃ってきた。
奇襲するつもりが先に捕捉されて奇襲されちゃ、諜報科として落第点すぎるだろ。チャン・ウー先生に「ロンドンでナニを学んだのかしらネ」とか言われそう。
と、落下中にそこまで考えられていたおかげで自分が想像よりずっと落ち着いていることを自覚しつつ、ミズチのアンカーを灯台の壁面に射出して固定。
ワイヤーを巻き取って落下軌道を変えつつ、飛来した水のつぶての1つを足の裏で蹴って受けて落下スピードを減退。
壁面にぶら下がってから十字手裏剣をシャナに投げつつ、すぐにワイヤーを緩めて地上まで降りて追撃を阻止することに成功した。
テルクシオペーとシャナに挟み撃ちに遭うのを避けるために灯台からは即座に離れて海を右側に、正面にシャナが来る位置に陣取り十分に攻撃を躱せる距離を保つ。
テルクシオペーも海面から海岸付近まで竜巻を移動させて高さ10mほどに上昇して陸地を見下ろす位置で止まり、シャナもいくつかの水球を空中に維持したまま右腕を横へと伸ばして構えている。
「やはり来たか。お前もしつこいな」
「アンタも来るとわかってて来たなら、相当なバカだと思うが?」
「確率は五分程度だった。来たなら来たで問題もない。あの島で死んでいた方が良かったと思うことになるだけだ」
「そうはならないさ。そのために準備もしてきた」
余計な音を立てて人間が来るのを避けるためか、シャナもテルクシオペーも無駄になりそうな攻撃を仕掛けてくる様子はなく、やはりオレが来ることは予測されていたこともわかる。
ただNにしては予測の確率が低かったのが気がかりだな。シャーロックと同等の推理力を持つモリアーティならほぼ100%に近い確率を出しててもおかしくないのに……
それには少しだけ引っ掛かりつつも、今は状況として1対2の劣勢。もしかすればどこかに勇志さんも潜んでいるかもしれないなら、こちらに余裕がある態度は百地さん達の存在を察知される要因になりえる。
だからオレも平静を装ってるような警戒心で暗に余裕がないように見せながら会話。
「準備か。そんなものは無駄だろうが、私とテルクシオペーを相手に水辺で戦うことの愚かさを思い知れ」
「雨が降ったら絶望してたが、星も見える快晴の夜空なら幾分マシだ。それよりクエレブレはお前に会いたがってたぞ。ひと目くらい顔を見せていったらどうだ?」
「人間風情があの人の名前を気安く口にするな。あの人はお前などよりもずっと上位の種族。超常の世界でさえ恐れられる存在だ」
「だろうな。だがお前に人間風情がとか言われるのは違うな。今は違うかもしれないが、お前だって昔はオレと同じ人間だったんだろ」
「黙れよ人間。どこまであの人から聞いたか知らんが、私はもう人間ではない。人間の上をいく種。あの人の眷属だ。これまでも、これからもな」
「そこまでの忠義があって何で……いや、聞くだけ野暮だな……」
向こうもオレ以外からの奇襲に警戒している素振りがあるので、動くタイミングは慎重に見つつ会話を続け、シャナから感情を引き出していく。
さすがにこの程度で揺らぎはしないものの、クエレブレとは顔を合わせたくない空気はしっかりと伝わってきた。
言葉は武器にもなり得るのでこれ以上の刺激でシャナに先制させ主導権を握られるのは避けたかったから、とりあえず会話はここで終わりだなと先制を仕掛けるための合図を百地さん達に送る。
右手にクナイを逆手に持ち、左手は懐の手裏剣に伸ばして構えることで、こちらの様子を見てくれている3人に行動開始の合図にしていたのだ。
だからオレが奇襲された時も薄情かと思うほど3人は動かなかったが、通信手段を絶ってオレとのみ意思疏通ができない状況──向こうに3人の意図が伝わらないようにするためだ──を作ることで、シャナもテルクシオペーもオレの挙動抜きで姿なき襲撃を常に警戒し続けなければならなくなる。
オレの意思が介入しない援護はオレもちょっと反応が遅れるが、オレが不利になる援護は来ないならアドバンテージはこちらにあるのは明らかで、さらに相手がシャナの他にいた場合は、3人にはオレとシャナがタイマンになるように援護してくれと頼んである。
そこまで決まっていればオレの取る行動は単純明快。シャナとのタイマンに集中すること。
「……最早お前と語ることもない。テルクシオペー、やるぞ」
オレはまだ説得する気は満々だから、頃合いを見て勝手に話させてもらうけどな。
戦闘の気配が強くなったのを感じ取ったか、シャナは水球を小さく分散して数を増やしながらテルクシオペーに仕掛ける旨を伝える。
しかしすでに合図を送り終えているこっちが先に動けるのは道理であり、実際に海水を自在に操れるほどの超能力を持つテルクシオペーがオレに凶暴なまでの攻撃の意思を見せた瞬間、音を置き去りにした高速の弾丸がテルクシオペーを襲う。
夜の闇から飛来した弾丸は視認など不可能だったはずだが、何らかの感知能力があるのか寸でのところで攻撃に気づいたテルクシオペーは水の盾を作り出して咄嗟に防御。
海水を圧縮した盾の強度は練り上げた集中力に比例するのだろうが、弾丸はその盾を容易に貫いてテルクシオペーに迫ったものの、水の抵抗のせいか軌道が変わり命中はしなかったようだった。
あの威力の弾丸は対物ライフルのそれだったろうな。となると撃ったのは3人の中で最も長い絶対半径を持つレキだ。
レキはダメ元で連絡してみたら、イタリアでのベレッタの護衛の依頼後、まだヨーロッパに滞在したようで話をしたら即決してくれて、昨日にこっちに到着して作戦に参加してくれた。
そのレキがいつかのかなめとの因縁の時に持ち出した対物ライフルを躊躇なくぶっ放す辺り、生半可な攻撃が通用しないと判断したんだな。人間なら完全にオーバーキルだけど。
そして向こうにとっては少し想定外の奇襲で意識を散らしたタイミングを見逃さずに、テルクシオペーが防御に回った辺りでシャナへと距離を詰めたオレは、若干だが反応が遅れて水のつぶてを放つのが後手になったそれを先んじてサイドステップを用いたジグザグ移動で躱す。
その間にテルクシオペーの動きをさらに封じるようにレキの攻撃の間隙を埋める形で2人目の狙撃手が狙い撃ち、攻撃に移る隙を的確に潰す。
着弾から発砲音の到達までのタイムラグからおおよその距離を割り出すと、いま撃ったのは幸姉経由で来てもらった援軍。旧知のプロ武偵チーム、月華美迅のメンバーの1人、進藤早紀さんだ。
あの人達もかなり忙しい部類だから期待はしてなかったが、なんとか早紀さんだけ都合を合わせて派遣してくれたのはありがたい限り。
自ら移動しながら狙撃ができる早紀さんは今回の依頼で遊撃手として使うには十分すぎる人材で、狙撃ポイントを特定されても回避が出来るのは大きな強み。
その移動の隙をレキと百地さんが埋められるから結果として今回の狙撃手3人構成は悪くないものだったかもしれない。
ただやっぱり前線に1人は欲しかったよね。オレの負担よ。
そんな援護が頼もしい一方、それも際限がないわけではなく、当然のごとく弾数に限界があるため、オレが悠長にシャナと戦い続けて泥仕合になって援護がなくなったら詰みだ。そこだけは要注意。
そうやってシャナとタイマンさせてくれるレキ達の援護に応えるために、水のつぶてを上手く避けて懐まで一気に入って拘束してしまおうと緩急もつけて翻弄。
オレの動きを先読みできないシャナの水のつぶてはほとんど後追いする形で当たることはなく、これならと意気込んで前へ加速。
ワイヤーと超能力者用の銀の手錠を持って最速の拘束を仕掛けてやろうと3mまでに迫ったところで、シャナの動きに変化が。
オレに当たらなかった水のつぶては全て後方の地面に当たって崩れていて、その水を前回は凍らされて動きを制限させられたから、一応は確認していたのだが、今回はその水が再び地面から離れて浮き上がりシャナの元へと戻っていく挙動を取る。
その速度は前にいたオレを追い抜くもので、1m距離を縮めた頃にはほぼ全ての水がシャナの手元に戻り、それが圧縮されて水の鞭を作り出す。
「ふんッ!」
「ぬわっ! とぉっ!!」
シャナには操れる水の総量が決まってるっぽいのは今のでわかった。
ただ飛び道具主体の超能力者特有で近接攻撃が弱点が当てはまらない想定外にオレの方が慌てる事態に。
2mとなるともう近すぎて鞭は振るえないところを、シャナは振るう力と超能力の操作で不自然すぎる軌道で鞭を操り、至近距離のオレを正面から弾き返すように動かしてきた。
鞭の壁なんていう経験皆無な攻撃と、当たってどうなるかわからない水の鞭とで避けるしかなかったオレが急ブレーキからバック転で切り返すと、着地の足を鞭に絡め取られて引っ張られ仰向けに転倒してしまう。
このままではされるがままになると追撃される前に単分子振動刀を抜き水の鞭を切ってくっついたりする前に距離を取ると、足首に絡みついた水はバシャッと崩れて地面を這って水の鞭まで戻っていった。
「近接も出来るのかよ……」
「私が飛び道具だけの女と侮ったのはお前の勝手だろう」
確かに想定外で慌てもした。ぐうの音も出ない正論をぶつけられて苦しい。
反論する余地もないからそこは受け入れるとしても、こうなると懐に入りさえすれば有利という前提が崩れて戦術の組む直しが必要だ。
まだ冷静だ、落ち着け。崩す余地はある、はず。観察しろ。思考しろ。立ち止まるな。時間の猶予はそんなにない。
今もテルクシオペーに対してほぼ絶えずに攻撃して防御に回させてくれているレキ達のおかげでシャナに集中はできてる。見えてる。もっとよく見ろ。そして考えろ。
水の超能力の操作速度はオレの接近よりも速いから、懐に入るにはどうやっても後手になる。
ならそれを前提として水の鞭をしのぐしかないが、果たしてあれはただの水の鞭なのか。当たって致命的なダメージを負うような何かがあれば最悪だ。
となればもう1つの活路は、シャナの超能力を使う精神力の枯渇狙い。
アリアみたいな色金を使う超々能力者は例外として、ほぼ全ての超能力者の力は有限。使い続ければ精神力を消耗し、いつかは発動すらできなくなるのは道理。
これにも個体差があるから、その辺で圧倒的な力を感じるテルクシオペーは精神力の枯渇を狙えないにしても、目の前のシャナは確実にテルクシオペーよりもずっと早く限界が訪れるはず。
集中力を削ぐことでも安定性を下げることが出来たはず。やはり動揺狙いで無駄撃ちをさせるのが得策か?
光源がないと水というのがそもそも見えにくいから、夜空の明かりとわずかな町の明かりでギリギリ見えている状況もあり、オレはそれを捉えようと集中力を上げてシャナを見る。
そして気づく。シャナに本来あるはずのものがないことに。
「シャナ。オレの見間違いか? お前、付けてないよな?」
「…………」
「沈黙……ってことは自覚があるってことか。なるほどな。だから来たなら来たで問題もない、か。それは自分自身にも言い聞かせてたわけだ」
「戯れ言はその辺にしておけよ」
「テルクシオペーはどうかわからないが、お前は今日、ここで悪い結果になっても良い覚悟で来たんだな。だから付けてないんだろ、『指輪』をよ」
「黙れ」
この暗さではほぼ気づかないレベルのことだったが、Nにとって重要な階級を示す証明である指輪はオレの意識の中で大きく、それがシャナの指に付けられていないことに気づくことが出来た。
ただ偶然で付けてないだけかもしれないから、そこを確認してみたら意図的なものだと反応で判明。
そこからわかる可能性の1つが、五分だったらしいオレの待ち伏せに引っ掛かるとわかっていて来ることをNに止められながら強行し、その結果として負けて捕まっても知らぬ存ぜぬを通せと宣告されたか。
或いはすでにNにとってシャナは不要で尻尾切りとして見捨てられたかだが、どちらにせよNにとってはシャナはそれほど手放すには惜しくない人材だってことだ。
そんな使い捨てみたいな扱いにはシャナでなくとも怒りを覚えるも、シャナもわかってここに来ているはず。それでも戻るためにはオレ達に勝つしかない。死に物狂いで来てるんだ。
その覚悟がどれほど固いかはシャナの表情などから読み取りにくいが、反応から気にしてることはわかった。ならそこから崩すぞ。
「Nはもうお前の成否なんて気にしてないんだろ。テルクシオペーが付いてきたのは……それはある程度で予想がつくからいいか。戦況が悪くなったらテルクシオペーはお前を見限ってでも撤退するんだろうが、そんな状況になるかもしれないのに来るなんてな」
「……あの人が困ってるかもしれないなら、放ってなんておけないじゃない。それもこれもお前があの日、ここに来たから狂った」
「オレが来なくても近い未来にICPOが、MI6がお前を見つけていた。狂ったのはオレがここに来たからじゃない。お前がNになんて加わったから……」
「その口を閉じろ人間風情が!」
自分の状況を理解しているからこそ、その事実を他人に突きつけられると苛立つ。
そうなるとわかってて飛び込んだ自分の愚かさを客観的に見れば見るほどバカなことをしていると理解でき、意識と行動の不一致で心が揺れる。
話せばどんどんと人間らしくなっていくシャナはやはり元人間。いや、身体の構造こそ変わったのかもしれないが、心はまだずっと誰よりも人間なんだ。
そんなシャナとクエレブレの関係にテルクシオペーは興味を持って来たんだろうな。あれはシャナよりずっと分かりやすい。種族の壁という共通項もあるし。
それで激情を煽られたシャナは水の鞭を再び水球へと変え、今の激情を乗せたようなつぶてがオレを襲う。
しかし激情任せな攻撃はオレの動きを読んでいるわけでもない単調なもので、避けるのはそう難しくなかった。
「お前はクエレブレを崇拝……思い慕うあまりに、クエレブレ本人から本音を聞くのを躊躇った!」
「何を!!」
「自分勝手にクエレブレのためと行動し暴走した結果が今だ! それを認めるのが怖いんだろ!」
「黙れぇぇぇえ!!」
ここまで感情を揺らせば超能力にも乱れが生じる。
それはまず間違いなく水のつぶてにも現れ、つぶての速度は上がったが放たれる圧力が、脅威の度合いが落ちた。
おそらく密度や圧縮率に差が出ているんだろうが、これなら当たっても数発なら問題ないかもしれない。
と、オレの方がよほど余裕が出てきたのは事実なはずだったが、シャナの場合は激情すらも力に変える才能があったのだ。
単調に狙って放たれた水のつぶては確かに容易に避けられたが、オレの周囲にまばらに着弾したせいでいつの間にか地面は水浸し。
それを狙っていなかったのはわかっても、利用されるとは思わなかったオレは、両腕を左右にバッと広げて、それに連動するように地面の水が持ち上がり、いくつもの水のカッターを作り出しオレの周囲を取り囲むと、左右の腕を前へとかざしたのと同時に逃げ場なしの水のカッターが一斉にオレを襲ってきた。
──やべぇ……避けられない……