緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Slash69

 

「それでは皆さんよろしくお願いしまーす!」

 

 神奈川県鎌倉市扇ガ谷の標高93mある源氏山。

 鎌倉駅から徒歩20分ほどの距離ながら、周りには他の建造物もほぼゼロに等しい閉鎖的な空間。

 そこに私立アニエス学院は校舎を構えている。

 8月1日、日曜日。夏休み期間中にも関わらず今日この日、オレがこの学校を訪れたのは、別に編入手続きをしに来たわけじゃない。そもそも女子校だし。

 眞弓さんからの情報では、関西武偵局の副局長と何らかの繋がりがあり、その動向を探っていたっぽい特命武偵の不審死に裏がありそうってことで、副局長と繋がっている大阪武偵高の3年、有馬鳩雄が現在潜入捜査をするここ、アニエス学院に来たわけだ。

 捜査方法については割と大っぴらでも構わないとのこと──最悪、本人に潜入がバレても目的が隠せれば構わない──なので、今回は大胆にいくつもり。

 一応、事前に大阪武偵高の在校生リストなんかで有馬の写真などを調べることはできたかもだが、オレが万が一にも有馬を探っていると察知される可能性を考慮してそれは敬遠した。

 そのせいで学院に来たはいいものの、肝心の有馬が誰かはわからない状態。

 探るべき対象が見つかってない状態からのスタートだけに強引さは必要になるんだよな。

 まぁ時間はあったからいくらかの手段は思いついて試すつもりではいるが、全て空振ったら……その時はその時に考えよう。うん。

 

 それでこの男子禁制の学院にオレがどうやって潜入したかと言えば、眞弓さんがどうやってかねじ込んだある団体への協力要請によって。

 この依頼がそもそもなぜ時間的な制限があるのかを考えれば予測もいくらかつくが、今回は外部の人間が学院側から招かれて入る方法。

 今年の春先から企画自体はあったみたいで、この学院のホームページを調べればわかることとして、割と新設校のアニエス学院は、その生徒を付近の廃校予定の女子校から受け入れて数を確保した部分があって、進学校としては最先端の勉強方針もウリみたいだ。

 だがその一方で学費に関しては一般的な公立校の10倍はするみたいで、毎年の受験生の確保も割とスレスレをいくレベル。そりゃお嬢様しか通えないような学校は生徒数の確保も厳しいものがあるさ。

 校長も全国で最年少とかいう堀江美由紀(ホリエミユキ)という女性らしいが、若さから来る発想とチャレンジ精神で色々と試していってるようで、その結果としてこの学院の宣伝動画を作成しようとなったわけ。

 様々な打ち合わせやら何やらを経て、ようやく撮影を開始することになったのが今日この日からの3日間ということで、オレはその撮影スタッフの1人として学院内に入り込むことが出来た。

 だから今はシャツとパンツのみの薄着なスタイルでスタッフに紛れて撮影の挨拶を聞いていた。

 現場監督は校長と顔見知りみたいで、到着して早々に迎えた校長と和気あいあいとした雰囲気で話してからオレ達に機材などの準備を指示し、今回の撮影でモデルとなるキャストがここの制服に着替え終えて姿を現すと、スタッフ側のテンションがぐわっと上がる。

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

 紺色のブレザーにロングスカートとお嬢様らしい制服を着込んで元気良くお辞儀と共に挨拶したキャストは、何の因果かオレと同じ武偵高在校の生徒。

 名前は結城ミク。特殊捜査研究科(CVR)の教師である結城ルリの歳の離れた妹で、現在は高校1年生だったはず。

 でっかい水色のツインテールと清楚なブレザーというなんともミスマッチな組み合わせで異彩を放っていることこの上ないが、学校のPRなら派手なくらいが人目を引くし目的には合ってるのか。

 この結城ミクは武偵でありながら世間的に受け入れられたアイドルも兼業していて、歌って踊れる武偵アイドルとして世に出ている稀有な存在。

 ハッキリ言ってオレは面識がない。顔と名前は知ってる後輩くらいの認識しかないから、彼女がどんな人物かは計りかねる。が、逆にオレが武偵で先輩だとバレることもないだろう。留学してて東京武偵高にもいなかったし。

 採用されたキャストにわずかながらの不安要素はあるものの、結城ミクも撮影に全身全霊だろうし多少は無視してオレも役割を果たそうと、有名人の登場で撮影前にも関わらずすでにちらほらと野次馬の生徒が集まり出していて、撮影の邪魔になりそうなラインを定めて注意喚起をする。

 ここは敷地内に建設された寮に住む寮制らしく、夏休みは実家に帰省してる生徒が大半だろうが、残る生徒も少なくはない。部活とかもあるだろうからな。

 そうした一部の生徒に有馬も含まれている可能性は高い。

 何の目的で潜入してるかはわからないが、人も減るこの時期に出来ることは確実に多いし、オレならこの機に何かしらのアクションを起こす絶好の機会と考える。

 

 そんなこんなで宣伝動画の撮影も滞りなく始まり、校門前でのありきたりな冒頭紹介を撮り、順を追って敷地内のアピールしたい施設やご自慢の授業プログラムなどについて結城ミクの口から発信。

 さすがアイドルやってるだけあって、説明口調でも可愛さと笑顔とメッセージ性は全く損なわずに伝えたいことを画面の向こう側へと伝える技術はピカイチ。

 ここまで5シーンほど撮影したが未だにNGなしで別パターン含め全て1発OKは驚嘆に値する。これ3日もいらないんじゃないの。

 あらかじめ撮影予定には目を通しているからどの程度の進行度かは明確にされてるため、逆算すると明日で終わりそう。このまま順調ならだけど。

 しかし本当にそうなったらオレの仕事も達成できないまま終了を迎えてしまう可能性があるので、仕事職人な結城ミクに仕事を巻かれてしまう前に急ぐ必要が出てきた。いらんことするなよもう……

 それに撮影しているうちにこの学校の建物に違和感を覚えてきていたのも、ようやく確信に近い感覚になって、日本人には「何が?」という部分が判明。

 敷地内には目的は不明ながら教会や礼拝堂などのヨーロッパ風建築もあり、そちらに合わせてなのか全体的にヨーロッパ風な外見の建物が大半を占めている。

 見る分には綺麗な建物で問題ないが、少しでも知識があるとその様式がイギリス式だのフランス式だのとごちゃ混ぜであるとわかるんだ。

 これはおそらくあの最年少の校長が独自のこだわりか何かで意図として作ったか、単に知識が不足していて結果的にそうなったかのどちらかだろう。

 なんでもあの校長。世間で有名なRPG『グリフィンサーガ』シリーズの生みの親らしく、そのゲームがヨーロッパ風なことを考えれば、和製ファンタジーを表現してる感が強い。

 メヌエットなんかが見たらきっと指摘箇所の宝庫と化して、少し移動する度に延々と文句を言ってそう。一緒に来たくねぇ……

 

 さて、撮影の野次馬をいくらか観察したところ、漫画の世界のような典型的なお嬢様が存在していて軽く驚愕したのも数時間前。

 それ故に学力特化というか見た目特化というか、とにかく体力面では明らかに貧弱そうな生徒がほぼ100%な比率にはビックリさせられたが、逆に言えば有馬を探しやすくもあるわけで。

 武偵をやる以上、常人レベルの身体能力で留めるのは難しいし、それは体つきや歩き方などにも表れる。

 女性の体をまじまじと見る行為には負い目はあるものの、撮影の隙を見て注意深く1人ずつ観察して除外対象を増やし、怪しい人物をピックアップしていった。

 ──そして、何故か釣れた。

 

「あのぉ、ひょっとしてですけどぉ、ただのスタッフさんじゃないですかぁ?」

 

 ノーマークの結城ミクがな!

 撮影の合間の休憩時間になって買い出しに出て帰ってきたタイミング。

 頼んでいたらしいコンビニスイーツを結城ミクに渡したところで不意にそうやって話しかけられて少しビックリする。

 そんなに不自然な動きはしてなかったはずなんだが、やっぱりわかるやつにはわかるのか。

 

「どうしてそう思ったんですか?」

 

「私ぃ、これでもアイドルなんでー、私に興味がある人とかぁ、見ればなんとなくわかるんですー。でもお兄さんはぁ、私というより違う何かに集中してるー、みたいなぁ? 気がしてー」

 

 なんともフワフワした話し方で気が抜けそうになるも、言ってることは割と武偵らしい? アイドルらしい? 感じがして素直に感心。

 しかし武偵としての勘というよりもアイドルとしての勘みたいなものに引っ掛かるって意外だったな。

 言われてみれば結城ミクに対して仕事への入れ込み方は感心したものの、アイドル結城ミクには特にこれといった興味はなかったから、それが表面に出ていたんだろう。これはすぐにコントロール出来るものじゃないかもな。

 

「……仕事はキッチリやってるつもりですが……不満でもありましたか?」

 

「不満とは違いますけどぉ。一緒にお仕事してて興味を持たれないのは少しプライドがーってお話かも? これでもアイドルですからー」

 

 とりあえずオレが武偵であることを見抜かれたわけではないので、これ以上のマークを避けようと改善点を探ると、なんかいけそうな空気だぞこれ。

 要はここから先は結城ミクにも適度に興味を持つ態度を見せておけば切り抜けられるってこと、だよな?

 と思って結城ミクとのこれ以上の会話は各方面に注目されかねないとひとこと謝罪のようなものをして退散しようとしたら、なんかオレの意図としない「よーし」と謎の意気込みを見せた結城ミクは、プラスチックのスプーンの先をオレの顔にピシッと向けてくる。

 

「じゃあこれからの撮影でぇ、あなたが私に夢中になるくらいにまでしてみせますぅ。覚悟してくださいねぇ」

 

 自信があるのかそんなことを営業とも違う可愛い笑顔で言ってのけた結城ミクは、新たな目標でも見つけたかのようにウキウキしながらコンビニスイーツに手をつけ始め、その宣言に対してどう返すべきか悩んだオレも、直後に他のスタッフに呼ばれたことで結局は返事ができずに仕事に戻ることとなってしまった。

 ただ結城ミクも勝手に定めた目標だからか、特にオレの返事は求めてなかった節があり、それから手が少し空いても呼び止められたりはなく、しかし一瞬でも目が合うとアピールのつもりなのかウィンクをしてきたりと挑戦的なことをしてくるようになった。

 ぐっ……こう変に意識されるとオレも動きにくいっての……アイドルって厄介すぎないか?

 

 そうして結城ミクのいらない視線を気にしつつ、視線に対しての感覚が若干ながら鋭敏になってしまったのが何故か功を奏してしまう。

 よく尾行する側が自分への尾行に気づかないということがあるように、目標に集中していると同じことをされていてもそうとは気づけないことがある。

 今回の場合はオレが有馬鳩雄を探し出すいわゆる攻めの捜索をしていたから、同じ攻めの捜索をされていたことに警戒が薄くなっていた。

 まさかオレに探りを入れるようなヤツがこの学院内にいるとは思わなかった。わけでは100%ないが、可能性の話をすれば除外してもいいレベルだったのは確か。

 だが逆にそんな人物がいるなら消去法で割り出せるというもの。

 結城ミク以外にそんな酔狂なヤツがいるとすれば、有馬鳩雄しかいない。

 そうと確信してオレは撮影の最中に攻めの捜索を何の前触れもなく唐突に打ち切り、全神経をアンテナにする守りの体勢にチェンジ。

 この落差にはどんなヤツでも動揺してボロを出す。なまじ優秀なら優秀なほど、この落差にいち早く気づき反射的に視線を切る。

 その気配をオレが見逃すはずもなく、狙い通りの反応が1つだけあって、不自然だと思ったのかもう1度だけ視線を戻してから撮影に注目するような視線の移動も目視で確認。

 上手いな。ちゃんと誤魔化しが効くように結城ミクとオレが同時に視界に入る位置取りをして見られていたぞ。

 

「にしても、ずいぶんとまぁ……あれだな……」

 

 どうやらそいつが有馬鳩雄で間違いなさそうで、実際ここまででオレがアタリをつけていた生徒の1人でもあったから、驚きこそそこまでではないにしても、そうだったら性別って何だろうなと疑問には思うなと考えていたから、この現実に夢じゃないかとは思った。

 学院に潜入していた有馬鳩雄は当然ながら女子生徒に扮して潜伏していて、パッと見で男子などとは思えない容姿をしていた。

 というよりもその辺の女子生徒よりも頭1つ抜けて可愛くて女子女子してるくらいで、理子のようにカツラか染めたであろうピンクの長髪をツーサイドアップにして色んな意味で目立っている。

 その仕草や表情の豊かさなどから、やはり理子のような快活さがキャラとして定着させている節があり、撮影の見学もいちいち落ち着きがない様子があった。

 なんか注目してくれって始めから言われていたような気もして、撮影初期から呆れ気味に放置していたのが災いしてたな。逆に視界に入らないようにしてたわ。潜伏してる自覚持ってくれない?

 しかしあれが男だとわかると本当に世の中を疑いたくなるな。整形とかしてない天然素材でしょあれ。生まれる性別を間違えたとしか思えん。

 そう思うほどの美少女、有馬鳩雄が何はともあれ見つかり、おそらく向こうにもこっちが見られていたことに気づいたことを悟られたから、ここからは接触があるはず。

 それを待ちつつ結城ミクのさりげないアピールにも苦笑いして仕事をこなしていくと、陽も暮れ始めて本日の撮影は終了。

 結城ミク含めて撮影スタッフ達は最寄りのホテルに宿泊することになるから、機材なども回収して撤収の流れに。

 片付けに追われながら結城ミクが一足早くホテルへと向かって余計な視線が消えてひと安心したのも束の間。

 校長と監督が長話に突入して出発が少し遅れそうなのを見越したか有馬鳩雄の方から接触してきてくれた。

 

「なーんやえらいカッコええスタッフさんがおる思たら、君やったんやねぇ」

 

「…………そっちは誰だよ。記憶力は良い方だが、顔に覚えがない。言葉遣いからして関西圏の人間か」

 

「そりゃ初対面やし。あ、でもウチが一方的に知っとるのは不思議なことやあらへんよ。猿飛京夜。今は影の陰って呼ばれとるんやっけ?」

 

 声まで男らしくないというか女な有馬にはマジでビックリしても表情などには出さず、正体に気づいた様子を見せずにとりあえず警戒心を持って接する。

 その反応は自然だったようで、まずはオレを怪しむような素振りは見せずに会話に応じる有馬は、オレを事前に知ってる発言で話の主導権を握りに来る。

 

「その2つ名はバチカンが勝手に……いや、今はいい。それより何でオレを?」

 

「ウチ、乙葉(おとは)まりあ言うねんけど、一応は同業者ってことになるんよ。大阪武偵高の3年やから京夜とは同い年なんよ?」

 

「大阪武偵高……別にそっちとも接点は……」

 

「自覚ないん? 意外と鈍感なんやな、京夜は。これでもウチは注目しとったんよ。当時、京都武偵高にインターンで約3年、同い年の武偵が通っとったって。あの月華美迅の懐刀とまで言われとった人と、まさかこないなところで会えるとは思わへんかったけど。光栄やわぁ」

 

 仕事上では乙葉まりあを名乗っておいて武偵であることは明かしてくるか。

 これは先の視線が云々の話の辻褄合わせのために予防線を張ったんだろう。素性を隠して話を進めるのは自分を不利にすると判断したってところ。

 武偵手帳を見せなかった辺りで疑うべきものも、オレの勝手に広まった2つ名を知ってる部分で上手く躱してるし。あれまだ国際武偵連盟にも登録されたりはしてないはず。

 

「別にオレが凄かったわけじゃないだろ。凄いのは月華美迅の5人だ。色眼鏡で見られても困る」

 

「謙遜せんでもエエやん。今はちゃーんとSランクに昇格しとるんやし、Sランクは生半可な武偵が取れるランクとちゃうよ?」

 

 まだオレがどんな目的でここに来たのかを探る様子の有馬は、自分が男だとバレてないと判断して可愛らしい笑顔でぐいぐい近寄って上目使いで見上げてくる。

 近くで見てもこれが男とは未だに信じられない不思議な感覚を覚えながらも、女を武器にしてくる手法には慣れているといった態度で動揺すら見せずに平然と対応。そもそもこれは男だ。動揺する理由がない。

 

「オレの自己評価については置いといてだ。互いに知らぬ存ぜぬで通せたのに何で接触してきた?」

 

「逆に京夜は何で接触しようとせんかったん? ウチが誰かもわからんのに放置するん?」

 

「今回は単純なバイトだから実害さえなきゃいいくらいの気持ちだっただけだ。それにあの視線の動き方は素人じゃないから、関わって変なことに巻き込まれるのも嫌った。だからそっちから来たのもちょっと迷惑くらいに思ってる」

 

「ええー、それは酷いやん。ウチは京夜に会えてめっちゃ嬉しいのにぃ」

 

 もう理子を相手にしてる感覚に限りなく近いから、さっさと会話を終わらせる雰囲気で関わりたくない空気を醸し出す。

 一見すれば目的に背く行為になるが、理子タイプは相手の都合を無視する傾向にあるし、うざ絡みを楽しむことも間々ある。

 有馬も例に漏れず話を終わらせたくない空気で対抗してきて、あからさまな寂しいオーラを噴出。

 そうなればまだ2日もここに滞在するオレからすれば、今後の不安要素にしかならないため、仕方ないから有馬が満足する程度の会話を成立させざるを得なくなるわけ。自然な流れだろ?

 

「……やけどぉ、いま京夜は嘘ついたんとちゃう?」

 

「……はっ?」

 

「ホンマに撮影のバイトなんやったら、何で仕事中に周りを探る必要があったん? そんなん普通のスタッフがやることとちゃうよね?」

 

 話の主導権はこれで握れる。

 そう確信して有馬が気になるだろうことが何かを尋ねつつ、スタッフ全員の撤収のタイミングを待つ態勢を整えたが、ぶりっ子の入った演技から急に武偵の顔になった有馬がオレのわずかな綻びを見逃すことなく指摘してくる。

 流石はSランク。やっぱりその対応には眞弓さんを相手にしてるくらいの緊張感は持った方が良さそうだぞ。

 

「あっ、今ちょっとだけ考えとることが表情からわかったで。『こいつ、油断ならへんな』って思たんちゃう? 正直、同じ武偵として侮られるんもウチのプライドが許さんところがあるんよ」

 

「お前……まさかSランク……」

 

「どうやろね。そんで京夜は何でこの学院に来たんや? ウチ、それが気になってしもたわ」

 

 有馬を知らない体を押しすぎて思わぬボロを出してしまったオレに対して、完全に主導権を握りにきた有馬の鋭い眼光は、ここから先のオレの嘘を何ひとつ見逃しはしないといった意思をひしひしと感じさせた。

 うわぁ、面倒臭いことになったわ……


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