「はぁ、はあ……どうしてこんなことに」
俺、遠山金次は溜息混じりに呟き、速度を落とさないようにひたすら脚を動かしていた。
始業式の朝。いつものように
ギョッとした俺が慌てて周囲を見回すと奇妙な物体が俺の
車輪を2つ平行に並べただけで走るカカシみたいな乗り物。
確か……『セグウェイ』とか言ったか?
それが俺の
「……」
一体何の冗談だ?
そのセグウェイには本来人が乗るべき部分に、スピーカーと銃座が載っていた。
そしてその銃座にあるソレが俺に向けられているのだが。
……どうしてこうなった⁉︎
俺に向けられているもの。
それは……
UZI。
秒間10発の9ミリパラベラム弾をブッ放す、イスラエルIMI社の
その銃口が俺に向けられているのだ。
「なっ……何だ! 何のイタズラだっ!」
訳がわからなかった。
セグウェイは何も言わずにただ俺の真横を走るだけだ。
何だ⁉︎
いきなり何なんだよ、この状況は⁉︎
混乱しながらも、
サドルの下に何かがあるのを発見してしまう。
______やばい。コイツはやばい。
型までは分からないが、どうやらプラスティック爆弾のようだ。それもこの大きさだと、自転車どころか電車も吹き飛ばせるぞ。
______マ ジ か よ______
全身に悪寒が走る。冷や汗も滲んできた。
やられた。直感だがわかる。イタズラなんかじゃない。
ハメられた。なんてこった。乗っ取られた。
______世にも珍しいチャリジャックをやられた!
「騎場、いたぞ! 彼処だ」
自転車と、その自転車の真横に並走しているカカシみたいな乗り物。
私達はそれらを追っている。
私が乗っているのはGSX1300Rハヤブサ、運転は騎場に任せている。
騎場は高校一年生にして、すでに大型自動二輪の免許を取得しているからな。
車は勿論、船舶、セスナの免許まで所持している完璧なる私専属のアッシーさんだ。
「桔梗様、しっかりおつかまりになられてくださいませ。少々手荒に参ります故」
騎場の言葉に頷く。すると、乗っているバイクは加速し、自転車を漕いでいる少年の真横。
カカシと私達で少年の自転車を挟むような形となる。
『警告。ただちにバイクは速度を上げて追い越すか、速度を下げて離れるかしやがりやがれ。30秒待つ。警告に従わない場合、蜂の巣にしあがりやがります』
ふむ、どうするか。
素直に警告に従った場合、少年を見捨てることになり、私達が来た意味がなくなる。
かと言って、このまま並走していればその銃口は私達に向けられる。
選ばなければ、やられる。
なら。
ズガガガガガッ!
私は手に持つベレッタM93Rをカカシに。カカシはUZIの銃口を私に向ける。
同時に銃口から9ミリパラベラム弾を撃つが。
UZIから放たれた銃弾は騎場の運転技術により回避されたことにより私には当たらず、私の放った銃弾はカカシの銃座に直撃……せずに、狙いとはまったく違う方向に飛ぶ。
あっ……しまった、失敗したと思ったが。
運良く放った弾はタイヤを直撃し、カカシのタイヤは破裂してバランスを大きく崩し、カカシは横転して止まる。
「……結果オーライですな。桔梗様」
「くっ……偶々だ。偶々調子がよくなかっただけだ。いつもならちゃんと当てられる!」
「先月の
くそう。何でこの世の中には試験なんてあるのだ!
銃弾をちゃんと狙い通り的に当てる試験なんて、そんなに重要か?
力比べとか、型の稽古の方が私には重要だ。
『崩月』流では銃技なんて教わらないからな。
「た、助かった。さ、サンキューな、えっと……」
声をかけられて視線を自転車の方に向けると。そこには疲れた顔をした少年が汗だくになりながらも一生懸命自転車を漕いでいた。