執政官アンナの溜め息   作:やーなん

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一先ず、ネタ切れなので今回で一区切りとさせてもらいます。




敗者と勝者 後編

 新生される聖魔騎士団の発足は玉座の間で執り行なわれ、布告の段階から正式に誕生した。

 

 その役割は聖なる力も暗黒の力も問わない人員の構成にあった。

 主に重装歩兵、騎兵、砲術士などの兵科を中心に構成され、これから訪れるだろう魔界の悪魔たちとの戦いに備えられた物であるとされていた。

 

 早速王城内の司令部に招かれた彼だったが、司令部内の空気は物々しかった。

 ここは主に王子や軍師達の作戦会議室としてしようされており、王国軍に所属する四人の軍師達の反応は様々だった。

 

 

「納得がいかぬ。何ゆえ先日まで敵だった男の下に付かねばならない」

 魔物に滅ぼされた亡国の将だったシュウカは反対を示し。

 

「せめて、一言私達に言ってほしかったところですな」

 地の軍師と渾名されるウズメは表立ってはいないが消極的な反対という態度を匂わせ。

 

「…………」

 天の軍師の名を継ぐレンは何も言わず。

 

「……(おろおろ)」

 伏龍の軍師と称されるアイシャはおろおろしていた。

 

 

「王子の決定でしたので。

 団長さんから了解を得られるとは限りませんでしたというのもあります。

 しかし、こんなに早く布告と立ち上げが成されるというのは私も驚いています」

 アンナは四人の軍師たちにそう弁解した。

 彼女もそう答えるしかないのだ。

 アンナとしても発足はともかく、立ち上げの式典は最低でもひと月先を検討していたところを王子が予定を繰り上げさせれた。

 結局、彼女達には事後承諾の形になってしまったのである。

 

「つきましては所属する兵員の相談に参りました」

「待て、確りと説明して欲しい。我々の献策がこの男の一言で却下されることもありうるのだ。

 しかも先日まで敵対していたこの男が、害意を持って不利益を齎さんとどうして言える」

「王子の決定です。そうとしか申し上げられません」

 シュウカもアンナも、お互いに嫌な役柄だと道化を演じていた。

 これらの不満は誰かが口に出さなければならず、それに対する応答は決まりきっていることを示さねばならなかった。

 

 ここで空気を呼んで不満を溜め込むよりは、口に出してしまった方が余程いいのである。

 

「建設的な話をいたしましょう。

 彼の叛意が有るというのならば、それを見抜くのも我々の仕事でしょう。

 彼と敵対していたという事実や風評も、どうにかするのが我々の仕事です」

「確かに、その通りですな」

 無言を貫いていたレンが発言し、ウズメはそれを肯定した。

 不毛な言い争いができるほど、王国軍は余裕があるわけではない。

 

 

「王国軍の課題は二つ」

 すう、とアイシャは目を細めて指でその数字を示した。

 軍議の雰囲気になると、先ほどまでのおろおろした様子はどこへやら。

 

「一つ目慢性的な兵員不足。

 今の時代どこの国でも言えることだけど、今後の課題としてとても重要」

 そう言ってアイシャは指を折る。

 

「二つ目は上級指揮官の経験不足。

 下仕官クラスでは熟達した者は多いけど、軍団規模の指揮官はボクらですら経験不足ゆえに難航していた。

 王子とボクらで工夫をしていたけれど、それでも限界はあった」

 そもそも、王子が纏める王国軍においてこの騎士団は異例の試みだった。

 これまでは兵科ごとに部隊長を置き、部隊単位での運用を行われていた。

 この運用は効率こそ良かったが、指揮権が王子に依存しているという弱点が存在した。

 

 そのため、王国軍はたびたび魔物たちの陽動に引っかかるという愚を犯している。

 

「つまり、私達は性質上軍を二つに分けることが出来なかった、ということですね」

「片方の拠点防衛だけならばそれは可能だったけど、二面攻勢を行うとなると確実に足並みが揃わなくなる」

 それは他の軍師たちも同意見だったようで、アイシャに異論はなかった。

 

「王子は魔物の根絶を掲げている。

 だけど今までは追撃戦を指揮出来るひとは居なかった」

 その結果、大将格を取り逃がしたことは一度や二度ではなく、そのことで王国軍は何度も辛酸を舐め続けてきた。

 

 

「王子は、あなたを熱望していた」

 羽扇を持った手で顎に手を当て、アイシャは今まで一言も話さず黙っていた団長を見やる。

 

「……」

 そのことを何を思ったのか、アンナは分からない。

 結局、沈黙を保つ団長は会議を終えるまで殆ど発言しなかった。

 

 

 

 

 

 

「魔物の根絶、か。……フッ」

 凡その団員が決まり、会議の終わり軍師たちが退出すると、不意に可笑しそう団長は声を漏らした。

 

「どうかしたのですか?」

「小娘、貴様は本当に魔物を根絶できるとでも思っているのか?」

「それは……」

 アンナは答えられなかった。

 団長はそれが答えであるとでも言うように、顎を杓った。

 

「王子は恐らく歴史に名を残す英雄になろう。

 だがそれは魔物を根絶した英雄ではなく、人類の覇権を維持した英雄として、だ。

 伝説の通り、魔王などという存在が居るとして、その存在を討てたとして、それで万事解決とは行くまい。

 まさか封印の維持も出来なくなっている女神に奇跡を願い解決してもらうなどという都合のいい展開など望んでおらんだろうな?」

「……」

 アンナの女神アイギスに対する信仰は本物であるが、死力を尽くして封印を行っている女神がその力を維持できなってきているのは客観的な事実であった。

 

 仮に王子が彼のご先祖のような状況に置かれ、魔王を討ち果たしたとして、その血肉から湧き出る魔物を果たして抑えられるだろうか?

 神ですらどうしようもできなかった、悪夢を。

 

「我は魔物どもの側に付いたことにより、このままではいたちごっこであると実感したよ。

 新たに暗黒騎士団を立ち上げたという若造も痛感しているだろうさ。

 ……人類など、堂々巡りをして神頼みをしている道化に過ぎないのだと」

 団長のその言葉に、アンナは唇を噛むことしか出来なかった。

 

 

「故に我は、神の力など当てにはせんぞ」

「団長さん……?」

 その彼の言葉は、アンナにとって意外に思えた。

 彼の達観は全てを諦めているようにしか思えなかったからだ。

 

「永遠に終わらぬ戦いなぞ、こちらの望む所よ。

 我が身はそれが全て故に、な。そしていずれ、歳食って剣も握れなくなった王子を笑ってやるとしよう」

 そう言って、団長はマントを翻して司令部から去って行った。

 

「団長さん……」

 それが彼の贖罪なのだと、アンナは思ったのだ。

 

 

 

 

 

 聖魔騎士団の最初の訓練を監査し、その様子を報告し終えたアンナは昼食を取るべく食堂へ向かっていた。

 受け取り口から注文の品物を待っていると、ちょうど先に訓練を終えた下級指揮官三人が昼食を持って席に着くところが見えた。

 

 アンナはこっそりと彼女らの死角になる場所に陣取り、彼女らの会話を聞くことにした。

 会話の内容は、やはりと言うべきか主に愚痴だった。

 

 

「ええ、実力は認めましょう。指揮能力も痛いほど知っているわ。

 ―――だけどあの態度だけは鼻持ちならない」

 と、憤っているのは女神アイギスの加護を受け、聖戦士を名乗るマリーベルだった。

 

「確かに、轡を並べて戦う者として配慮は欲しいところだな。

 それに騎士として扱うのならヒラ騎士からでも良かったはずだ」

 彼女に頷くのは女神の加護を受けるワルキューレの中でも戦乙女と称えられるエミリアである。

 

「あの男が女神アイギスを信奉していないのは分かっている。

 だが我々の信仰まで口出しされてはな」

「あの人の言い方が悪かったのは私も同感だとだけど、混成部隊なんだし特別扱いはできないんじゃないの?」

 聞き手に回っているのはこの中では王国軍に入って日が浅い砲術士のカノンだった。

 

 彼女らの話題は恐らく、訓練中に祈りの時間になった時に起きたひと悶着のことだろう。

 ほんの少しでいいから神に祈る時間を欲しいといったマリーベルに、団長はそんな暇があるなら戦いに備えろと返したのだ。

 直情的なマリーベルとその場で言い争いにならなかったのは奇跡である。

 

 

「折り合いをつけなければいけないのは分かっているわ。

 でも部下達にどう納得してもらえばいいのよ」

 マリーベルの部下は元々彼女の意思に賛同して集った重戦士たちなのだ。

 当然、女神アイギスへの信仰心も高い。

 それはエミリアのところも似たようなものだった。

 

「私は強くなるために貪欲な姿勢は否定はしないがな。私も似たようなものだ。

 とは言え、話が分からないというわけでもないだろう」

「そうね、彼らだけで部隊が成り立っているわけじゃないし」

 二人は軍属としての意見を述べた。

 そうね、とマリーベルはゆっくりと頷いた。

 

 アンナは彼女らを配属したことを一瞬誤りだったかとおもったが、大丈夫そうでホッとした。

 一先ず団長が叛意を持っても扇動に応じないだろうという周りを納得させる人選であったが、彼女らを選んで正解だったようだ。

 

 その後も三人は部隊の運用について話し合いを続ける。

 食事中なのに真面目な三人であった。

 

 

「こんなことは言いたくないのだけれど」

 と、マリーベルは前置きした。

 

「彼は本当に暗黒の力を乗り越えることが出来たのかしら」

「そればかりは信じるしか無いだろう。王子の判断だ」

「どういうこと?」

 難しい顔をしている二人に、カノンが尋ねた。

 

「心まで暗黒の力に支配された人間がもう一度そうなる可能性はまま有ることなのだ」

「必ずしも心が弱いからそうなるわけではないし、むしろ心が強いからこそ闇に深く心を囚われてしまうこともある。

 もしそうなら、私は一人の人間として彼らを救いたい」

「うむ」

 エミリアもマリーベルの言葉に深く頷いた。

 

「すごいね、二人とも」

 カノンは感心した様子で二人を見た。

 この二人は仮にも改心して仲間として戦う以上、彼らが裏切るなどとは微塵も考えては居ないようだった。

 直接矛を交えたことは無かったが、何度も戦った敵だったということで少し不安だったカノンは素直に己を恥じていた。

 

 そうして三人は次の戦いへ向けて英気を養っていった。

 

 

 

 そんな彼女達の新部隊での初陣は意外にも早くやってくることになった。

 

「団長さん、大変です!!」

「何があった」

 訓練場で全体訓練を行っていた団長の元に、アンナが血相を変えてやってきた。

 

「王都周辺の森林に集結していた魔物たちが王都へ向けて進撃してきたという情報が入りました!!」

「王子は……近隣諸国に遠征中だったな」

 彼は主力を連れて魔物の討伐に向かっている。

 たいした規模ではないので常に引き連れているアンナも留守番していた。

 

 魔物の討伐になれた主力なら問題なく終わる程度の規模だったのだが。

 その隙に本拠点を狙われた形となるのだろう。

 

「エルヴァ、お前は城門前に部隊を集結させておけ。

 我は司令部に寄ってからそちらに向かう」

「あいよ!! よーし、お前ら訓練は中止だ!!

 装備を整え次第、城門前に集結、整列して待機だ!! 我らが聖魔騎士団の初陣で失敗は許さないよ!!」

 エルヴァの声に応じる兵士達の言葉を背に、アンナと団長は司令部へと向かった。

 

 司令部に積めていた軍師はウズメとアイシャのみだった。

 残りは王子が引きつれ前線に赴いている。

 

 

 次々と伝令がやってきて、敵の部隊や構成、進路などが露になっていく。

 そうしてみると、敵は下級のゴブリンが中心の数ばかりの集団だと判明した。

 

「と、とにかく一大事です、王子に知らせないと!!」

「待たぬか。恐らく魔物の狙いは前線の混乱でしょうな」

 王都周辺の地図を指差しウズメがそう言った。

 

「王子たちに王都が攻撃されていると知られれば、前線は少なからず混乱いたしましょう。

 敵はその隙を狙い王子を討つ気やも知れぬ。この場合補給路を断たれるほうが恐ろしい」

「敵は三つの選択肢があった。

 ひとつは王子たちを背後から挟み撃ちすること。

 ひとつは前線への補給路を荒らしまわること。

 そしてこっちを攻撃してくること。

 そのどれかを取るかによって、相手の考えていることは容易に読み取れる」

 すぐそこまで攻め込まれようとしているのに、軍師二人は冷静だった。

 

「貴方はどう考える?」

 普段の様子からは想像もつかない鋭く俯瞰するような目つきで、アイシャは団長に尋ねた。

 

「お前達が考えている通りだろう。

 この攻撃は前線を混乱させる陽動に過ぎない。やる気の感じられない編成だが、時間稼ぎはしてやろうという魂胆が明け透けだ。

 そもそも王国軍は王子を失えば烏合の衆といわずとも、各個撃破は難しくない。

 王子たちはどうやら面倒な敵と出会っているのだろうな」

 それはかつて敵対していた者からの意見だった。

 

「さっさとこの雑魚どもを蹴散らし、増援を向かわせて味方の士気を回復させるのが最善だろう。

 数だけは多いから掃討作戦の為の部隊編成と指揮官を選別せねばな」

「うむ」

「そうだね」

 団長の言葉に軍師二人は頷いた。

 

「何をしている、執政官。

 お前は市民への事情通達と外出禁止令の発令、やることは他に山ほどあるだろう」

「あ、はい!!」

 彼の声に弾かれるようにアンナは司令部を飛び出した。

 

 

 

 彼女の仕事が片付き、城門前に布陣している聖魔騎士団の元に辿り付いたのは敵軍が眼前に迫っているという状況だった。

 

「マリーベル隊、前へ!!」

 部隊長のマリーベルが先頭に立ち、王都へ向けて進撃する魔物たちの進路を塞ぐように巨大な盾を構えた重装戦士たちが横一列に並んだ。

 彼らに対して散発的に矢などが射掛けられていたが、最前列の後ろに並んだ重装戦士たちが盾を頭上に水平に構えて攻撃を弾いていく。

 

「ほ、砲術士部隊、射撃体勢よ-い!!」

 城門の上に配置された砲術士たちが一斉に個人携帯用の大砲を構え、備え付けの大砲の前に陣取る。

 

 カノンは震える体を奮い立たせながら、風向きやその強さ計測し、その度に部下達に調整を命じる。

 大丈夫だ、何度も練習したんだ、と心の中で何度も唱えながら。

 

「何を緊張している。

 この程度相手、ある程度手を抜いたところで蹴散らせる」

 横で戦場を見下ろす団長が、カノンに声を掛けた。

 

「本格的な戦いは初めてか?」

「……はい、王国軍に所属してからは部下の調練ばかりで」

「最前線で戦えないことは不満か?」

「ええと、軍人として私情は挟みません。ですが、少し……」

「ならば後悔しないようするといい。

 自信は実戦ではなく訓練の数で培われる。もうまったりと練習する暇はないだろうからな」

「はい!!」

 そうこう話しているうちに、敵軍が大砲の射程に入った。

 

 

「そういん、ってぇええええーーーー!!!」

 どぉおん、どぉん、どどどどん!!

 轟音と共に大砲が火を噴き、密集する敵軍に砲弾が着弾した。

 爆音と爆炎が敵軍をなぎ払う。

 

「敵の陣形は崩れたぞ!! エミリア隊、突撃!!」

 団長の号令と共に、城門が開け放たれ、エミリアを先頭とした騎兵隊の面々が姿を現す。

 重装歩兵の中心から左右に別れ、そこにできた道を騎兵達が走り去っていく。

 

 陣形を失った魔物たちに騎兵突撃は致命的な打撃を与える。

 彼女らが獅子奮迅の働きをして敵軍を食い破った後には血の道しか残されていなかった。

 

 

「残敵を掃討する。我に続け!!」

 そして団長が剣を抜き、歩兵部隊を率いて生き残りの魔物たちを斬って捨てる。

 

 戦闘終了まで三時間、その殆どが掃討戦という手際の良さだった。

 

 

「お見事な手際です、団長さん」

 アンナは彼をそう労ったが。

 

「ふん。この程度の指揮、子供でも出来るわ。

 さっさと王子に伝令を送れ。こちらに魔物どもが来たが、何の問題もなかった、とな」

 この程度のことで評価されては堪らない、と言わんばかりの態度で、団長は腕を組んだ。

 

「おい、近隣の村々へ斥候を出せ。

 落ち延びた魔物が現われるかもしれん」

 そう言って地図を部下から受け取る団長の後姿を、アンナは頼もしく感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




プレガチャ十回最後

黒演出

作者「来たか!?」

→エスタ
「被ったぁ!!
→無言のコスト下げ

作者「くそう、泣きの一回!!」

黒演出
( ゚д゚)

→伏龍の軍師アイシャ
( ゚д゚ )彡
作者「マジかよ・・黒ユニ屈指のアタリ引いちまった。」

即座にフェスやブラックアーマー投入し覚醒&スキル覚醒。
試験運用後→あかん、このこやばい

ゲームバランス崩すとか言われてるけどマジだわ。うん


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