ある哺乳類職員の一日   作:C-K

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 はじめまして。この作品はある年の暑さにやられた頭で書いたものです。


ある哺乳類職員の1日目

 春は出逢いの季節である。

 同時に子孫を残さねばならない衝動に駆られる時期でもある。

 

 と、云う本能の天使に惑わされたボクは、女性にカッコイい所を見せねばなるまいと強い漢を探しに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★★    ある哺乳類職員の一日   ★★

 

 

 

 

 

 

「さあ!」

「いきなり良く分からないよっ!?」

 

 文字通り本の山に埋もれたボクの男性友人一号、ユーノ・スクライア無限書庫司書長が素っ頓狂な声を上げた。

 落ち着け、ほら女性司書職員達がこっちを見てくすくすと笑っているじゃないか。

 

『いいえ、マスターの在り方に微笑まれているのだと推測致します』

 

 ボクのインテリジェントデバイスのパンドラが白さを誇るように輝き進言してくれる。

 

「そうなのかい?」

『そうに決まっています』

 

 しかしボクは女性に認められるには強さを証明しないとならないので好意は受け取れない。

 愛想を振りまく程度にナニを振り返しておく。

 

「なにしに来たんだよキミは……」

「戦いに」

「いきなり轢殺宣言!? って言うか意味が分からない!」

 

 失礼な、ボクは轢殺なんてしないぞ。

 ただ猪突猛進に突っ込むだけだ。

 

「さあ、早くイタチに戻ってボクと闘おう」

「やっぱりまだ分かってないっ! 僕はフェレットに化けてたってだけで本質が動物じゃないから!」

「そーなのかー」

「去年も同じ様な会話したよね!?」

「そーなのかー」

「話を聞こうよ!」

 

 ……怒られた。

 

 

 

 

 

 

 忙しく働きまくる職員達の上を素通りし、本局を探し回ったボクは男性友人二号のザフィーラを見つけた。

 

「さあ!」

「……」

「意味が分からねえよ!」

 

 一緒に居たヴィータにハンマーで突っ込まれました。

 なんでユーノと同じことを言うんだろう?

 

「せめてザフィーラの所まで来た理由を言えよ」

「強い漢と戦いに」

 

「…………」

 

「な、なんの為にザフィーラと?」

「女性にカッコイい所を見せるんだ」

「「……」」

 

 あれ? 二人とも頭抱えてうずくまってどうしたの?

 

『きっと本局の冷房が強すぎて頭痛を訴えたのでしょう』

 

 そうなんだ。相変わらずパンドラは誰かの健康を気遣うよね。

 

『恐れ入ります』

 

「全然ちげえよっ!!」

 

 

 

 

 

 大丈夫、ヴィータ?

 

 無理をしなくても言ってくれれば医務室まで付き合うよ。

 

「あー……、」

 

 口を開けたり閉じたり金魚みたいなヴィータの頭に手を置いて、マッチョマンになったザフィーラが立ち上がった。

 

「つまりはまあ、なんだ……。女性に強さをアピールしたいがために我と闘おうと?」

 

 コクコクと頷いて肯定する。

 

「……でアピールする筈の女性は誰だ?」

「……あ」

 

 おおう、相手を見つけるのが先だった。

 

 闘争本能の天使さんしか見ていませんでしたぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「探してくるううぅぅ!」と激震を立てながら走り去った古い友人を唖然と見送った二人。

 

 その背後にあったドアから彼等の主が姿を見せる。

 

「あ、はやて」

「なんか今凄い騒がしかったんやけど?」

「バニングスが来ていた」

「バニングス? あ、グレイ君」

 

 問題の人物が駆け抜けて行った廊下では、あわや重戦車に轢かれかけた職員達が引きつった表情で壁に張り付いていた。

 

「多分いつもの奴だぜ」

「ふふっ、あれでも本人は真面目なんよ。大目にみないとあかんで」

「傍迷惑な奴め……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 強い女性を求めたボクは自分の仕事場へ突撃した。

 あれ、なんか違う?

 

『強い女性には強い漢が集まる。間違っておりませんよ、マスター』

 

 そうなんだ、有難うパンドラ。

 

『恐悦にございます』

 

 

 

 

 駄菓子菓子、仕事場にいたボクの同僚から衝撃的な事実を告げられた。

 なんとあの【空中戦艦キャンセル技は砲撃】であるエース・オブ・エースさんが休暇を取ったと言う。

 てっきりワーキングラヴ一筋だと思っていた、明日は飴が降るかもしれない。

 

 でもなのはちゃんって休暇取って何処へ行ったんだろう? 

 あれだけ仕事一直線なら休日は居間でTVを見つつ、せんべいを頬張りごろごろと雷様になってるのかな?

 フェイトちゃんには悪いと思いながらも愛の巣へ連絡を入れてみたけれど留守だった。

 

 

 

 

 

 

 

『マスター、高町様はヴィヴィオ様の授業参観に行っていらっしゃるそうです』

 

 途方に暮れ、黄昏ているとパンドラが起死回生な報告をしてくれる。

 なんだとおお! なんでそれを今まで黙っていたんだああぁ!

 

『つい先程レイジングハートに確認致しました。ご報告が遅れ申し訳ありません』

 

 キミと云うパートナーが居てくれた事をボクは幸せに思うよ、疑ったりしてゴメン。

 

『すべてはマスターの為に。私と云うデバイスはそれに全身全霊を込めています』

 

 有難うパンドラ。

 

『恐悦至極にございます』

 

 

 

 

 

 大勢の親子が聖王教会附属を後にする中、一組の母子を見つけたボクは大きく第五の足(ナニ)を振った。

 

「あっ!」

 

 母親を引っ張りつつ喜び勇んで駆けてきた少女、ヴィヴィオがボクの鼻に飛び付いてくる。

 

「パパッ!」

「おっと……」

 

 座らせる姿勢で巻き付かせ、ぶらぶらと揺らしてあげるだけでヴィヴィオは満面の笑みを浮かべた。

 周りの親子が吃驚した顔でボクと母親、なのはちゃんを交互に見詰めてるけどどうしたんだろう?

 

『ヴィヴィオ様、マスターはパパではありませんよ。それはユーノ様の役目です』

「ちょっ!? パンドラさんまで何言ってるんですかっ!」

「何でなのはちゃんは必死に顔が赤いのだろうか」

「なのはママ照れてる~」

「もうっ、グレイ君もヴィヴィオも変な事言わないで!」

 

 耳まで真っ赤になってソッポむいた、何時ものことだしな。

 

 

「パパ」

「どうしたんだいヴィヴィオ?」

「どうしてパパのお耳はそんなに大きいの?」

「体温を調節する為に進化したんだよ」

「……むぅ、どうしてパパのお鼻はそんなに長いの?」

 

「なのはちゃんや、ヴィヴィオはボクに何を求めているんだろうか?」

「ヴィヴィオの為って言って欲しいんだと思うよ?」

「ボクにどうしろと言うんだ……」

 

『なにしろマスターは比類なきゾウで在らせられます故に』

 

 

 

 

 

 ところでボクはどうしてココに来たんだっけ?

 

『高町様に用事があったのでは?』

 

 そうだった、やっと思いだしたよ。 有難うパンドラ。

 

『恐れ入ります』

 

 ボクは首元の小物入れからラッピングされた袋を取り出し、なのはちゃんへ差し出す。

 

「はい、お土産」

「あ、翠屋のクッキー!」

「うん、休暇取って海鳴まで里帰りしたついでに買ってきた。桃子さんと士郎さんがたまには帰ってこいと言ってた」

「あ、にゃははは……。 検討します」

「あと、ご主人様(アリサ)とすずかちゃんが帰って来たら四次会まで付き合わすそうだよ」

 

「………………」

 

「なのはママどうしたの?」

『親友達の思い遣りに言葉も出ないそうですよ、ヴィヴィオ様』

「そうなんだ、ヴィヴィオも学校でお友達いっぱい出来たんだよ」

「それはボクの背中に乗せきれないくらい?」

「パパが潰れちゃったら困るから乗せてあげないもん」

 

 いやそこは懐の広さをみせようよ。

 ヴィヴィオを背中に乗せ 縦線を背負ってフリーズしているなのはちゃんを鼻で抱えると、ボク達は談笑しながら家路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ───次の日。

 

 休暇最終日だが昨日の忘れていた目的をパンドラに指摘されたボクは、男性友人V3に突撃を掛けた。

 

「帰・れ( 怒」

 

 提督権限で摘み出された。

 せめて言葉のキャッチボールぐらいはしようよ。

 

『希望を捨てないで下さいマスター。まだマンとおやっさんが残っています』

 

 そうだね、いつも助言を有難うパンドラ。

 

『勿体無いお言葉に御座います』

 

 ところで査察部って本局だっけ?

 

 




・オリ主紹介
☆グレイ・バニングス。♂、象、二等空尉。
 異世界の人語を解す象という次元漂流者。バニングス家に落ちてアリサのペットとなる。魔力持ちと判明したのはA’S時期に蒐集されたから。STSの六課を経て、現在は高町なのはと同じ職場で教導官としてお勤め中。砲撃魔法に適正が無く、なのはを凌ぐ強固な防御魔法に身を包み突撃するという戦法を得意とする。マイペースののんびり屋で、子供たちからはひじょーに懐かれている。

☆パンドラ
 グレイの片方の牙となっているインテリジェントデバイス。のほほんとした主のサポートに日夜研鑽を積んでいる。グレイのリンカーコアを抜いたことのあるシグナムとはとことん仲が悪い。
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