映画館前で人を待っていると、街中でナンパに困っていた女性がいた。
パオーンと乱入し、
ドーンと跳ね飛ばし、
ブニューと踏み潰した。
「それ以上やったら過剰攻撃ですよ、グレイ二尉」
……ティアナだった。
★★ ある哺乳類職員の1日 Ver.7 ★★
うむ、放っといても大丈夫だったかもしれん。
「ええと根拠を聞いても?」
なのはちゃんの弟子だから。
「……意味が分かりませんが?」
え? なぎ払うんでしょ?
「そんな事やってないって言ってるでしょーっ!」
おや、おかえりー二人共。
「パパお待たせー。あれ、ティアナお姉ちゃんがいるー」
「なのはさん、ヴィヴィオ、こんにちは。ご無沙汰しています」
ヴィヴィオの背中を突ついて促すと、慌てて頭を下げる。
「こんにちはティアナお姉ちゃん」
「お久しぶりティアナ」
「それでヴィヴィオ、どうだった? 面白かったかい?」
「うん! こー、ドーンとね!」
「はいはいヴィヴィオ。とりあえず落ち着ける所行ってからお話ししようね」
「はぁい」
「ティアナも暇なら一緒にどう?」
「あ、えーと……。お、お供します」
オープンテラスのカフェに腰を落ち着けて談笑タイム。
主に観てきた映画をヴィヴィオがボクに語る場。
「ひゅーんて来てねー、竜がずどーんってね、主人公がどかーんてねー。 それでぇ……」
なんという擬音すぎる映画か。
「映画館前で待ち合わせだったんですか?」
ゾウに身振り手振りで映画の内容を語る少女。
変テコリンな光景だが、グレイはこの辺りではソコソコ有名人だ。
知らない人はまったく知らない訳だが。
ティアナも六課で初めて会った時は隊長陣の正気を疑ったものだ。
「ちょーっと違って、映画館に入場拒否されちゃったんだよね。グレイくんが」
「……まあ、確かに。グレイ二尉大きすぎますよね」
そもそも入り口をくぐれるのかすら危うい。
「パパ、こんどは車にのったままみれる映画行こうねー」
まてまて、あれは大人向けだからヴィヴィオは観てて面白くないぞ(と前にアリサが言っていた)。
「えー」
『此方にも『子供映画会』の様なイベントが有れば良いのですけれど』
映画って高いからねー。前にアリサに映画の値段とか聞いたことがあるけれど。
「映像ソフトを使ったらダメなのかな?」
「なのはさん、パッケージに公共の場で公開放映すると罰せられると書いてありますよ」
「あー、ダメかぁ……」
誰に罰せられるんだろうか、警察?
「この場合管理局にではないでしょうか?」
『では管理局に許可を取りましょう。幸い提督や高官クラスの人脈は豊富にあります故に』
そうだったねー、クロノとリンディさんと、はやてちゃんとかいるもんね。
「あーあ、パンドラさんの悪巧みがまた始まっちゃった……」
「パパ、なんのお話ししてるのー?」
『ついでにマスターの権限も使って聖王教会も巻き込みましょう。訓練場を使わせてもらって、孤児院にも声をかければ子供を沢山集められますから』
「え? グレイ二尉って聖王教会のコネがあるんですか?」
「あるんだよ、グレイくんには特上のフリーパスが。普段はまったく恩恵を受けないから分からないけど……」
ふっふっふ、越後屋。そちもワルよのう?
『いえいえ、お代官様にはかないませんよ』
「なんの話してるのー?」
さっそく鉄は熱いうちに打て、とばかりに話をねじ込みに行ったら……。
「「「それは面白そうな企画ね」」」
「うわ、どこからでてきたんですか!?」
レティさんまで共謀してとんとん拍子に話が進み、わずか5日間で準備や告知が済んでしまった。
権力恐るべし。
但し、聖王教会と管理局の主張が食い違わなくて宗教色が少ない子供向け、
と言うものの選定に手間がかかり、結果的に残ったのがひとつだけ。
仕方無く、地球から怪獣映画とアニメ映画を持ち込んで公開する事に。
「わぁ、スゴいねー」
「良かったですねーヴィヴィオちゃん」
何故かボクの上にヴィヴィオだけでなく、クロノの子供達とリインが乗る事に……。
いやまあ、いいんだけどねー。
学校の生徒やクラナガンの親子連れやら百人以上が集まった映画会は好評で。
寄付を集め、定期的に実行することになったそうです。
感想をもらえたことで有頂天になり、衝動的にあげました(オイ