一輪の咲く花とともに歩む夜中の姫   作:十六夜 大和

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どうも、十六夜大和です
えー、今回も主人公は打ちません←
てことで始まります。


実力

 麻雀部でお世話?になった次の日。咲が本を借りたいから、図書室に行きたいとのことで、私たちは図書室に来ていた。

 昨日、咲に3回連続プラマイゼロにされ、プライドがズタボロになってであろうインターミドルチャンピオン、原村 和が諦めずに声をかけてくるかも思っていたが、昼が過ぎてもその声を聞くことがなかった。咲の「麻雀が好きじゃない」という言葉で本当に諦めたのだろうか。

 

「うへぇ……見つからない」

 

 そんなことを考えているとき、シリーズものの本が並ぶ棚の前で、咲は声を漏らす。どうやら探している本がないらしい。

 

「カウンターにいる図書委員に聞いてくれば? 貸し出し状況を教えてくれるかもよ?」

「…………そうだね。聞いてくる」

 

 私のアドバイスを聞いた咲は、トテトテとカウンターの方へと歩いていく。さて、私はここら辺の本でも物色––––––

 

「おや? あんたは––––––」

「あら、あなたは宮永さんと一緒にいた人じゃない」

 

 出来なかった。本棚に目を向けようとした途端、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。仕方なく振り向くと、赤髪のショートカットで紺色のスカーフを巻いている人と、緑色の髪でメガネをかけていて、緑色のスカーフを蝶結びで結んでいる人が立っていた。2人とも見覚えがある。1人は昨日麻雀部の部室であった人。もう1人は……

 

「部長に…………染谷先輩? お久しぶりです」

「おーっ! やっぱり夜か! 久しぶりじゃの」

 

 もう1人のメガネをかけた人は、染谷 まこ。私がよく行く雀荘の家の人で、訪れるごとに打っていた。清澄に通っているとは聞いていたけど、まさか麻雀部だったとは………

 

「え? まこ、知り合いなの?」

「よくうちの店に来とった常連さんじゃ。わしもよぅ打っとった」

「あの時はお世話になりました。先輩、強くて手も足も出ませんでしたよ」

「何言ってんさ。半荘なのに東場で終わらせたのは誰じゃけん」

「あれはたまたまですよ。たまたま」

「たまたまじゃすまないほど飛ばしといて、偶然なんておかしいじゃろ」

「あはは〜」

 

 私は照れくさそうに答える。それを聞きていた部長はただ呆然としているだけだった。

 

「で、何でこんなところにいるんじゃ?」

「部長が探している妹の付き添いです」

「………やっぱり宮永さんはここにいるのね?」

「はい。咲ならカウンターにいますよ」

「あら、そう。教えてくれてありがとう。ついでに少し付き合ってくれる?」

「…………それは麻雀部にってことですか?」

「そういうこと」

 

 む。何か嫌な予感がする。咲だけだと思っていたら、どうやらさっきの会話で私も目をつけられたらしい。

 

「咲が行くと言えば、私も行きます」

「分かったわ。それじゃあ、宮永さんのところへ行きますか」

 

 そして、私たちは咲のいるカウンターへ向かった。

 

「今貸し出し中ですね」

「そうですか……」

 

 咲のところについたときは、丁度本日のことを聞いているときだった。それを見ていた部長はニヤニヤしていて、咲を部室に連れて行く方法を思いついたそうだ。

 

「何が貸し出し中だって?」

「会長! それに夜お姉ちゃん」

 

 その声に反応した咲は、こっちに振り向き、思わず声をあげる。

 

「どれ……」

「のぞくなよ……」

 

 部長はカウンターに座り、図書委員が見ていたPCを覗き込む。ちなみに呆れているように言っているのは染谷先輩だ。

 

「ふむふむ……この本持ってるよ。全集も。貸そっか?」

「いいんですかっ⁉︎」

 

 流石は文学少女の我が妹。本にはすぐ食いつく。それを見た部長は獲物がかかったと言わんばかりに口元を釣り上げる。

 

「その代わり、宮永さんに一つお願いがあるの」

「え? またですか?」

 

 –––––––––––––––––

 

 所変わって旧校舎。結局咲は本のために部長のお願いを聞くことになり、私たちは麻雀部の部室の前にきている。

 

「本当、咲は本に目がないよね」

「えへへ。あのシリーズ面白かったからつい……でも、今日だけでいいんですよね?」

「うむ」

 

 咲の問いに答え、その後部長は部室の扉を開いた。

 

「待ち人きたる」

「いや、おみくじじゃないんですから」

 

 開けるとともに言った言葉にツッコミをいれ、私たちは中に入る。そこには、和が昨日と同じ席に座っていた。咲は和を見ながら対面の席に近づく。

 

「須賀くん。優希呼んできて」

「あっ、はい」

 

 京太郎は運んでいたお茶をすぐに置き、優希を呼びに行く。

 

「え……ってゆーこたァ夜の妹が例のプラマイゼロ子か?」

「今更気づくか」

「染谷先輩、気づくの遅すぎです」

 

 部長がメンツを揃えたことで、やっと染谷先輩が気づく。もうとっくに気づいてるもんだと思ってたよ。

 そして、優希がきてメンツが揃った。

 

「宮永さん、和、まこ、優希。この4人で2回戦打ってもらうわ」

「会長はやらないんですか?」

「私が入ったらみんなトンじゃうでしょ」

「言ってんさい」

 

 私個人としては部長の実力が気になるんだけど……まぁいいか。

 

「ただし、東風赤4枚ね」

「やた」

「⁉︎」

 

 この言葉に私と部長を除き、喜ぶもの1名、びっくりするもの1名、無反応が2名となる。うわー、これ完璧に咲のプラマイゼロ対策じゃん。

 

「って、それどういう意味すか?」

 

 そして1名、意味がわかってないものがいる。まぁ京太郎だけどね。

 

「解説するじぇ! 麻雀は本来東一局から北一局の十六局を争うものでした。これを一荘戦と言います。しかし! せっかちな現代人にはその半分の「半荘戦」、更にその半分の「東風戦」 が一般的だじょ」

 

 いつもは南四局までやるため、半荘戦になる。これは、大会などの公式戦にも使われる一般的なルールになる。全八局で争われ、長くも短くもない丁度いい数になる。しかし、今回は東風戦。半荘のさらに半分のため、終わるのがとても早く、咲のプラマイゼロに必要な点数調節が難しい。

 

「でもって、赤ってのはこんなんだじょ」

 

 優希は雀卓の上にある牌をジャラジャラとあさり、4枚の牌を取り出す。

 

「赤く塗られた『5』の牌……赤ドラ! これが今回4枚入るじぇ!」

 

 さらに、今回は赤ドラが入っている。ドラとは、手の中にあるだけでその手が1段階高くなる特殊な牌のこと。本来はサイコロをふり、王牌と呼ばれる牌の山から1枚めくり、そのひとつ上の数がドラとなる。全部で4枚だけど、赤が入ることにより、8枚となる。

 

「25000点持ちの30000点返しね」

 

 そして、全員が席に着き。東風戦が始まる。

 

 1回戦 東一局 親・片岡

 

「親っリーチいっくじぇー!」

 

 開始早々2巡目で優希が親リー。流石にこれは誰でも分からない。当たったら事故に近いな。

 

「ドーン! リーチ一発ツモドラ3! 18000‼︎」

 

 片岡43000(+18000)

 原村19000(−6000)

 宮永

 染谷

 

 誰かが振り込むにツモ上がりする優希。まだ3巡目でしかもおやっぱね。

 

「やっぱ優希は東場で流れに乗るタイプだね」

「そ、東場で稼ぐだけ稼いで、南場で失速してしまう。エンジンはかかるのが早いけど、持続しないタイプなのよ」

「天才なんですけどね。集中力が持続しないのだ」

「飽きっぽいの間違いでは?」

「それだ!」

 

 和の言葉に否定をしないで、素直に肯定する優希。この元気さがまたかわいi……おっといけない、流されるな私!

 

 東一局 一本場 親・片岡

 

 親の優希が上がったことによって、東二局にはいかず、東一局のまま次が始まる。今回は優希のさっきのはやさはなく、普通に進んでいく。

 

「ロン。8300です」

「えぇっ! 今染谷先輩が捨てたのじゃん!」

「直撃狙いです」

 

 片岡34700(−8300)

 原村27300(+8300)

 宮永19000

 染谷

 

 東二局 親・染谷

 

「それだ! 1000」

「なぬ!」

 

 片岡35700(+1000)

 原村27300

 宮永19000

 染谷18000(−1000)

 

 東三局 親・宮永

 

「はっとる?」

「はい。タンピンドラドラ、11600」

「イタタ」

 

 片岡35700

 宮永30600(+11600)

 原村27300

 染谷6400(−11600)

 

 プラマイゼロは29600点から30500点のわずかな範囲。麻雀の点数は四捨五入ではなく、五捨六入で考える。例えば、今の咲の点数で終局してしまえば、±0ではなく、+1となってしまう。しかし、まだ東三局。この後何が起こるかわからない。たとえここで1000点失ったとしても、オーラス他の人がツモあがりしてしまえば、−になる。プラマイゼロにすることはこれほど難しいのだ。

 

 東三局 一本場 親・宮永

 

「ツモ。門前混一自摸、中・ドラ1。3000・6000の一本付けじゃ」

 

 片岡32600(−3000)

 宮永24500(−6000)

 原村24200(−3000)

 染谷18700(+12000)

 

 今まで動かなかった染谷先輩の上がりで、東三局が流れる。そして、運命のオーラスへと場が移る。

 

 東四局(オーラス) 親・原村

 

 ここまで咲の点数は24500。そして、咲の今の手は門前混一テンパイ。5pと8pが出れば5200でプラマイゼロとなる。我が妹、恐るべし。

 

「とおるかな」

 

 ここで優希が5pを切る。普通の人なら上がるのけど、咲は上がらない。

 

「………」

 

 今度は山越しに和が赤5pを切るが、咲はまたしても上がらない。

 もし、優希のところで上がってしまえば、トップに出て、オカがついてしまうため、プラマイゼロにはならない。かといって、和のところで上がってしまえば、一役プラスされてしまい、+2となってしまう。そう、咲にはプラマイゼロにしか眼中にないのだ。

 

「リーチ」

「ぅわお」

 

 和のリーチ宣言に私はつい声を漏らしてしまう。あの子もプライド高すぎだね。

 

「ってこれ、場に1000点増えたってことですよね」

「そ、こうなるとプラマイゼロに出来るのは4100点から5000点まで」

「そして、その条件に合うのは70符2飜のみ。全く、あの子も意地が悪いよ」

 

 京太郎の問いに、部長がはじめに答え、後に続いて私が答える。

 

「70符って––––––」

「部の記録を見る限り、70符なんて千局に1回出るかどうか」

「役満以上のレアですか……」

「それを2飜で作るとなると、もっと難しい」

 

 普通の手じゃ70符なんてでない。少し工夫をしなければ届かないのだ。ただ、咲は違う。

 

「部長、奇跡って何だと思いますか?」

「? 不可能に近くても成功してしまう……かしら」

「簡単にいえばそうですね。絶望的なピンチのとき、または、絶対に成功しないだろうと思うとき。そんなときに助かる、成功することを奇跡と呼びます」

 

 そこで一旦話を区切る。咲の手を見れば、揃っていたところを崩していて、誰でも降りたと思う捨て方をしている。しかし

 

「けど、奇跡って起こることじゃない。起こすことだと私は思っています」

「それってどういう「カン」⁉︎」

 

 部長が聞こうとした時に、咲のカン宣言が場に響き渡る。その声に、部長だけでなく、私を除いた全員が思わず目を見開いていた。私は話を続ける。

 

「そして、私の妹、咲は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツモ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その奇跡を起こすことが出来ます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嶺上開花。70符2飜は、1200・2300です」

 

 




以上です
うわー、書き方下手←
結局今回も咲しか打ちませんでした。
次回あたりに主人公が打つと思います。
ご意見・ご指摘・超普通な感想も待ってます。
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