一輪の咲く花とともに歩む夜中の姫   作:十六夜 大和

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どうも、十六夜 大和です。
今回! ついに夜の正体が明らかに! まぁお気付きの方はもう大勢いそうですが。
そして、今回凄く長いです。書くの大変でした←
ていうことで、始まるよ!


正体

 

「グーテンターク! って、あれ?」

 

私と咲が入部してから早2週間。

途中で咲が手を抜いた事で、和が怒ったりなどのトラブルがあったけど、其なりに楽しくやっている。さらに言えば、そのトラブルで咲と和の距離が少しだけ縮まった。姉としては良いことだ。

そして今、私はいつものように部室に来たら、もぬけの殻だった。咲は遅れるって聞いたけど、他の人も遅れてくるのかな? ちぇ、折角ドイツ語で挨拶したのに……あっ、明日の朝はインドネシア語にしようかな。

 

「さて、1人か……何して待ってよっかな」

 

パソコンでも開いて、みんなの牌譜でも確認しようかな。でも、もう部長を除いた全員の打ちは把握済みだし。部長のは探しても出てこないだろうし。洗牌でもしようかな。でも、和が毎日やってるんだよな……本でも読むか? もうここの本棚にある本は全部読んだしな……うーん……

 

「ん?」

 

何かないか部室を見渡すと、一つのベッドが視界に入った。

確か、入部した時に部長が好きに使っていいとか何とか言ってたような……ていうか、初めて来た時部長が寝てたよね。

やることないし。うーん……よし!

 

「寝よう!」

 

そうと決まればベッドにダイブ! 思った以上に弾力があってふかふかする……気持ちいい。ヤバい、これは確実に寝るやつだ。でも誰もいないし、別にいっか。ちょっとみんなが来るまで目を瞑ってよ……

 

〜竹井side〜

 

はぁ〜……。やっと学生議会が終わったわ。学生議会長になっても、やっぱ会議には慣れないわね。肩苦しいというか、かったるいというか。取り敢えず、部室に行きましょうか。

まこは家の手伝いで、和と優希が係の仕事が、須賀くんは委員会だったかな? 咲は図書室に用があると言ってたから……今部室に居るのは夜だけかしら。2人だけだと何も出来ないわね……お茶でも飲んで待ってましょうか。なんかまこが入部してきた時を思い出すわね。

 

「夜、いる?」

 

扉を開け、取り敢えず夜を呼んでみるけど……返事が返ってこない。あれ? いないのかしら。入部してから毎日来ていたからてっきり居るものだと思ったんだけど。

 

「……すー」

「ん?」

 

しばらく考えて静かにしてると、ベッドの方から寝息が聞こえてくる。これって、もしかして……

 

「すー……すー……」

「あら、珍しい」

 

近くに行くと、ベッドの上で夜が横を向いてうずくまるような形で寝ていた。

普段キリッとしている分、寝顔が結構可愛いじゃない。ちょっと弄ってみようかしら。取り敢えず、その可愛い頬を突っついて見よう。

 

「ん……みゅ……」

「ッ⁉︎///」

 

ちょ! 何よこの可愛い生き物は! 何がんみゅよ! 普段の夜だったら考えられない言葉じゃない!

も、もうちょっとだけ……

 

「ん……やめてよ〜……」

「ッ!!」

「さきぃ……」

 

な、何だ寝言か……今のはすごく焦ったわ。起きたかと思ったじゃない。

ていうか、夢に咲が出てくるって、まさか夜ってシスコンだったの?

しかし、起きないわね……

 

「夜ー? 早く起きないと弄りまくっちゃうわよ?」

「すー……」

 

頬をツンツンしながら耳元で呟くけど、中々起きない。しかも、さっきよりも顔を布団に埋めて可愛さが増してる。

私は1回視線を夜から外す。

……今この場にいるのは私と夜の2人。まこは家の手伝いで今日は来ないし、須賀くんはまだ委員会をやっているはず。和と優希、それに咲はいつ来るか分からないけど、しばらく掛かると予想すると……その間私と夜の2人っきり。そして、夜は布団の中で夢の中。

マズイ、私の理性が––––––––

 

「すー……えへへ、さきぃ……」

 

本当どんな夢見てるのよ。夢の中にまで妹が出てくるってシスコンじゃない。取り敢えず、そろそろ夜を起こそう。

そして、目線を夜に戻すが––––––

 

「ッ!!!?」

 

な、なんて格好をしてるのよ! 仰向け⁉︎ しかも右手を顔の横手曲げてるし!

少し目を離しただけよ? なのに、何で可愛さに加えて色気付いてる寝方になってるのよ。

 

「よ、夜? 早く起きてくれないかしら? ていうか、早く起きてくださいお願いします。そうしないと、そっちの方に行って帰ってこれなさそうです」

 

そう言い、寝ている夜の肩を揺らす–––––––が、

 

「すー……」

 

お、起きない………だと⁉︎ 可笑しい。結構肩揺らしてるんだけど、起きる気配がない。

 

「お、お願いだから起きてー」

「……ぃやだ」

 

プチン! 私の中で何かが切れる音がした。そのすぐ後に、自分でも分かるぐらい呼吸が荒くなってきた。体が熱い。

 

「も、もう……こうなったのも全部夜のせいなんだから……」

 

ダメ……もう我慢できない!

私は夜に飛びつき、馬乗りになろうとした。

 

「責任とって……きゃあ!」

 

しかし、夜の上に乗った瞬間に夜が目を覚まし、逆に押し倒された。それを機に、私は吹っ飛んだ理性が戻ってくる。

この子、意外と力があるわね。って、何で冷静に分析してるのよ私は! ていうか、この状況マズくない?

 

「よ、夜。おはよう?」

「…………」

 

取り敢えず、挨拶してみるけど、反応無し。よく見ると、目が半開きだということに気づく。まだ完全に起きてない?

 

「お、降りてくれるとありがたいかな?」

「…………」

 

未だに無反応な夜。降りてくれる気配無し……。

すると、だんだんと夜の顔が近づいてきた。

え⁉︎ 何で襲おうとしたのに逆に襲われてるの⁉︎ ってそこじゃない! 顔が近い!

 

「よ、夜! 私は咲じゃないわよ!」

「…………」

 

ダメだ、聞こえてないわこれ。抜け出そうにも、ガッチリ腕をホールドされてるから抜けられないし。ていうか、夜の力が女の子の力じゃないんだけど……。

そのうち、互いの呼吸が分かるほど近づいていた。え? もしかして、このまま私のファーストキスを夜に奪われるの? ちょっとま–––––––

 

「………いただきまーす」

「痛ッ!」

 

お互いの唇が触れようとした瞬間に、夜が口元を吊り上げながら何かを呟いたかと思ったら、夜の視線が逸れた。何事かと思う間もなく、首筋の方から何かに噛みつかれたような痛みが走る。

視線を落とすと、夜が私の首筋に噛み付いていた。

え? 何で? まぁ初めてを奪われるより良かったかも知れないけど……いや、よかないけど。

 

「ん……んあっ……?」

 

噛まれてる……だけだよね? なのに、何でこんな艶やかな声が漏れてしまうのかしら……。あと、何かを座れてる感じが済んだけど……。

 

「ちょ、んんっ! ……よ、夜あっ……は、はなしてぇ……んあっ!」

 

だんだんと息が荒くなっていく。噛まれた時は痛かったのに、今は痛みなどなく、何故か快楽を感じている。

ヤバ……頭がクラクラしてきた……それに、急に目眩が……なんで目眩が……ダメだ、頭が真っ白で何も考えられない。

 

「こんにちは。って誰もいな……え⁉︎」

 

誰か来た……けど、視界がボヤけて誰だか分からない……。

 

「あっ! んんっ!……よ、夜を、んあっ! と、止めてぇ……あっ!」

 

私は息を途絶えながら精一杯言う。

ダメだ、もう耐えられない……い、意識が……遠退く……。

 

「ちょ! お姉ちゃん何やってんの!」

 

この声は……咲か……でも、もう……げん……かi……。

 

〜side out〜

 

あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ。私は確かに寝ていた。寝ていたんだ。咲と凄くイチャイチャする最高の夢を見ていたから間違いはない。そして、誰かに馬乗りされそうだったから反射的に行動してし、逆に押し倒した。そんな事をするのは可愛い可愛い咲だと思って、よく見ないまんま首筋に噛み付いてしまった。そしたら、相手が咲じゃなくて部長だったんだ。何を言っているか分からねぇかと思うが、私も何をされたか分からねぇ。超能力とか、瞬間移動とかそんなもんじゃねぇ。もっと恐ろしいものの、片鱗を味わったぜ……。

まぁ馴染む! 馴染むぞぉ! までは行かなかったけど、部長の“血”がなかなか美味かったから止めらんなかったんだよね。それに、面白いこと分かっちゃったし。お陰で実にいい気分なんだ。歌でも一曲歌いたいくらいに、最高にハイッ!ってやつになってる。

そしたら、咲が入ってきて、その直後に部長の意識がフェードアウト。流石にやばいと思った私は直ぐに離し、部長を寝かせた。そして今、

 

「いくら寝ぼけていたからって、外でダメだよ!」

 

床に正座させられて、可愛い可愛い咲のお説教をくらっています。かれこれ30分くらい。

 

「しかも、部長気絶させちゃったじゃん! これ起きても、貧血で数日くらい体調悪いやつだよ!」

「ま、まぁ誰も居なかったから良かったじゃ「良くない!」……はい」

 

うへぇ……しょうがないじゃないか。野生の本能? みたいなのが来ちゃって、血! 吸わずにはいられない! って、なっちゃったんだから。

反省はしている。しかし、後悔はしていない。

 

「後悔はなさそうだけど、反省はしているっぽいからまだいっか」

「何故分かった⁉︎」

「だって丸見えだもん。あ、次にお姉ちゃんは、貴様! 見ているな! って言うね」

「貴様! 見ているな! ……ハッ!」

「本当に言ったよ」

 

ぐっ……咲に先手を取られるなど……不覚! これも気分が紅潮しているせいか。

 

「まぁ、反省もしていることが分かったし、そろそろみんなも来ると思うから……」

 

おっと? これは私は助かったのか? 今回は咲の長時間に及ぶありがたいO☆HA☆NA☆SHI☆を回避できるのか? よっしゃ! 今宵は宴じゃ!

 

「残りは帰ってからこってりやろう」

 

そう思った時期も、私にはありました。クソ! 死刑宣告じゃないか!

明日、私生きてるかな……。

咲ってああ見えてお説教ちょー怖いんだよね。私じゃなかったら、しばらく再起不能に陥るんだよね……。しかも、こってりって……私でも耐えられるかどうか……この鬼!

 

「今、私のことを鬼って言わなかった?」

「いえ、滅相もございません」

 

咲が私のことをギリッと睨んでくる。何で鬼なんて考えたの分かったんだろう……。怖いよ……魔王がいるよ……。

 

「はぁ……。今魔王って思ったのもプラスにするか」

「え⁉︎」

「何?」

「いえ、何も」

 

あ、これ本当に私死んだわ。今のうちに遺書でも書いておこう。ていうか、本当に心読んでるよね? この子。

 

「遅くなりました……え?」

「やっと終わったじぇ……じょ?」

 

一先ず落ち着いた矢先に、用事が済んだ2人が部室に入ってくる。2人は一言言った後に、2人の目の前で繰り広げられている異様な光景に唖然としていた。

部長がベッドで寝ている。まだここまではいいだろう。気付いてすらいないと思う。

問題はここからだ。仁王立ちをしている咲に、正座をさせられている私。

2週間見ている中でも1番可笑しな状況だと言えるだろう。私でもそう思うもん。たった2週間しか過ごしてなかったらね。

 

「これはどういった状況だじぇ?」

「別に気にしなくて大丈夫だよ。今終わったから」

「そ、そうですか」

 

咲からの言葉を聞き、正座していた足を崩してから立ち上がる。ふぅ……何とか痺れる前に終わったよ。

 

「そう言えば、学生議会が先に終わってそうだったんですが……会長は?」

「ん、部長ならベッドで寝ているよ。少し体調が悪そうだったから寝かせておいた」

 

言えない……口が裂けても、私のせいで気絶してるなんて……言えない。

 

「そうだったんですか」

「ちょっと様子見に行くじぇ」

 

2人は部長の寝ているベッドの方へ向かった。私は少し伸びをしてから4人のお茶を用意しに行き、咲は卓の椅子に座った。

 

「本当に具合悪そうですね。顔色が真っ青です」

「まるで血の気がないようだじぇ」

 

実際に血は少なくなっております。主に私のせいで。

 

「ちょっと貧血気味っぽいね。はい、お茶」

「有難うございます。これじゃあ、今日の活動は何をすればいいのかわかりませんね」

「ありがとうだじぇ。毎回部長が指示を飛ばしてたからなー」

 

2人は渡されたお茶を飲みながら考える。いつも部長の指示で動いてたからね。分からないのも仕方ないか。

私は咲にお茶を渡しながら、アイコンタクトで大丈夫だということを伝える。咲は黙って頷き、お茶を飲み始める。

 

「その事だけど、部長から伝言があるから問題ないよ」

 

もちろん嘘である。伝言なんてものは存在しない。けど、部長のやりたかったことはわかってしまうのだ!

フハハハハ! このスーパー夜様に出来ないことはない!

 

「夜お姉ちゃん、その不気味な笑みをやめて早く本題に入って」

 

横にいる咲から冷たい視線が送られているのがわかる。顔に出ていたのか……。まぁ今最高にハイッ! てやつだから仕方ないか。

 

「お姉ちゃん?」

「はい、今すぐ入ります。だから時間を増やすだけはやめて下さいお願いします」

「…………はぁ、本題」

「イエス! マム! えぇっと……これから和と咲には染谷先輩の家に行ってもらいます」

 

ようやく始まった本題に、咲と和は首を傾げる。そして、辺りを見渡してから染谷先輩がいないことを確認した。

 

「そういえばいませんね」

「確かに……。で、何で染谷先輩の家なの?」

「染谷先輩の家で店を経営していることは知っているよね? 2人にはその手伝いにいって欲しいの」

 

そこまで説明して、少し納得したような顔をするが、直ぐに曇らせる。

まぁまだ2、3個ぐらい疑問はあるもんね。

 

「何で私たちなんですか?」

「練習とお店の手伝いに何の関係が?」

「私は何で行かないんだじぇ?」

 

ほら来た質問三連発。2人に加えて優希まで質問してくる。

多分優希には必要ないと判断したんだろうね。それよりも咲と和の2人を“凹ませる”方が先だと。

まぁこの事は当然言えないから別の応えをするけど。

 

「順番に応えるね。まず和の質問だけど、2人で足りるらしい。咲と和……特に和の方は体型もいいし、2人とも美少女だから男ウケがいいんだと思う」

「お、男ウケですか」

「そ。次に咲ね。染谷先輩の家は今は喫茶店だけど、昔はここら辺じゃ数少ない雀荘だったの。その名残だと思うんだけど、店に1、2台くらい雀卓が置いてあって、うちに来る人がいる訳。だから、2人にはその人たちの相手をして欲しいの」

「なるほど……」

「最後に優希だけど、優希は私と2人で部長の様子を見て欲しいの。いつ起きるか分からないしね」

「わかったじぇ」

「よろしくね。それじゃあ、染谷先輩が待っているから、2人は急いで用意して行ってね」

 

2人は頷き、せっせと準備をしてお店へと向かった。

これを部長が説明してたら、何故2人だけなのかという問いの時に、私年だから、とか何とか言って誤魔化してそうだね……。

 

「さて、2人だけじゃ何もできないし、部長が起きるまでお菓子でも食べてるか」

「おぉー! それは名案だじぇ! タコスも買ってきてあるから、一緒に食べるか?」

「うん。一つもらえる? ここのタコス美味いんだよね」

「同士だじぇ!」

 

優希はそういい、タコスの入っている自分のバッグの方へ取りに行く。

しかし、染谷先輩のところに行きたかったなぁ。私も行かせる予定だったらしいけど、部長をこんな風にしたのも私のせいだし……。でも、まさかあの2人を凹ませるとはね。しかもあの人を使って。2人にはいいスパイスかもね。全国は甘くないって分かるだろうし。

あー、久しぶりに打ちたかった。“まくりの女王”と……。

 

〜竹井side〜

 

「…………知っている天井だわ」

「部長、起きて早々何言ってるじぇ?」

 

目を開けると、見たことある天井が目に入り、すぐ後に椅子に座りながら私の顔を覗き込んでいる優希の顔が飛び込んできた。

あれ? 何で私こんなところで寝てるんだっけ? 確か夜が寝ていて、あまりの可愛さに理性が吹き飛び、襲おうとして……、そのあと……何が起こったんだっけ?

取り敢えず、横になっている体を起こそうとするけど、力が上手く入らない。やっとの思いで起き上がれたけど、あたまがクラクラする。

 

「部長、無理に起きないほうがいいじぇ。貧血気味になってるじぇ」

 

貧血気味、貧血……貧血……血……血⁉︎ そうよ、思い出した! あの後逆に押し倒されて、そして……。

私は咄嗟に自分の首筋に手を当てた。

あれ? 傷口がない。確かに噛まれたはずなのに……。じゃああれは夢? でもあの感覚は……。それに、この体調不良の説明にならない。やっぱり……。

 

「あ、部長おはようございます。どうですか? 体調の方は」

「えぇ。取り敢えず大丈bッ///」

 

夜の声が聞こえ、答えながら落としていた視線を上げる。すると、ティーカップを持っている夜と目が合い、直ぐに逸らしてしまった。

 

「? 部長の顔が赤いけど、熱でもあるのかな」

 

カシャンとティーカップが置かれた音がした後、夜が私の方に歩いてくる。座っていた優希が立ち上がり、代わりに夜が座る。そして、私の額に手を当ててくる。

え? ちょ、な、何やってるのよ! でも、夜の手冷たくて気持ちいいかも……。って、何考えてるのよ私は!

 

「うん、熱はなさそうだね。って、さっきよりも赤いですけど」

「ーーーーーッ///」

「ほうほう、これはこれは」

 

な、何でこんなにドキドキするのよ!これって、もしかして……。でも、相手は夜よ? なのに何で……。

ていうか、優希は何でそんなにニヤニヤしてるのよ……。

 

「まぁ、熱ではないので大丈夫ですね」

「あっ……」

「ん? 何か?」

「な、何でもないわ」

 

夜は熱がないのを確認すると、私の額から手を離す。

私、絶対に可笑しいわ。もっと当ててほしいと思ってしまったもの……。

それに、夜と目を合わせることができない……。どうしちゃったのかしら……。

でもこれって、やっぱりそういうことよね……。

 

〜side out〜

 

んー、どうしたんだろう部長。私と目を合わせてくれないし。目が合っても直ぐに視線逸らすし……。熱があると思って手を当てたら、逆にもっと顔が赤くなったし……。咲の時はこんなことなかったんだけどな……。

取り敢えず、早く話さないと。

 

「優希、ちょっと京太郎捕まえて、2人で買い物に行ってきてくれない? お菓子が切れちゃったから買ってきて欲しいの」

「分かったじぇ。1時間ぐらいで帰ってくるじょ」

 

……ん? 1時間も掛からないよね? コンビニ近くにあるし。

まぁいいか。話せる時間が多くなるし。

 

「じゃ、ごゆっくり〜だじぇ」

 

優希は1分も掛からないうちに準備を済ませ、意味不明な言葉を言い放ち、逃げるようにして出て行った。

何であんなこと言ったんだろう……。

ま、これで2人っきりになったし、よしとしよう。

そう思い、視線を部長に戻すと……

 

「…………ッ///」

 

部長の髪色のように顔を真っ赤にしながら俯いていた。

ん? あの言葉の何処に真っ赤にする要素が?

 

「部長、本当に大丈夫ですか?」

「……ハッ! だ、大丈夫よ」

 

私が顔を覗き込みながら聞くと、慌てたように返事をする。

本当に大丈夫なのかな……。なんかあの一件以降部長っぽくないような……。そこらへんも含めて謝っておかないとね。

 

「さて、それではそろそろ本題に入りましょうか」

 

〜竹井 side〜

 

もー///優希は何てことを言い残して行くのよ! 余計に意識しちゃうじゃない! でも、そんな関係に慣れたらいいな……。はっ! 今の無し! 女の子同士でそんなこと無し! ていうか、これ私のキャラじゃない!

 

「部長、本当に大丈夫ですか?」

「……ハッ! だ、大丈夫よ」

 

な、何で覗き込んでくるのよ! わざとなの? それとも気づいてないの? 実はアホの子だったの?

いや、最後のはありえないか。

 

「さて、それではそろそろ本題に入りましょうか」

 

今まで心配そうな顔をしていた夜が、いきなり真剣な顔つきへと変わり、声のトーンが低くなる。そして、さっきまで和んでいた空気が一気に張り詰める。

その変化を感じ取った私は、気持ちを切り替え、夜の方を見る……目を合わせないように意識しながら。

 

「まずは、寝ぼけていたとはいえ、襲ってしまい。申し訳ありませんでした」

 

座っていた夜は一度立ち上がり、頭を下げる。

土下座なんてされたらどうしようかと思ったけど、普通でよかった。

 

「大丈夫よ。元々危害を加えたのは私なんだし。そのことに関しては気にしてないわ。だから、顔を上げて頂戴」

 

夜は顔を上げ、「ありがとうございます」と、一言言ってから腰を下ろす。

これは、私にも非がある。理性が吹っ飛んだ私が悪いわけだし。

 

「それで、ひとつ聞きたいのだけれど……」

「私が何者か……ですよね?」

 

私はコクリと頷く。

そう。本題はここからだ。さっきの行動。それに、私の急な体調不良から推測するに、夜は“人間”ではない。

実際に“吸われた”私だから分かる。

夜は–––––––

 

「お気付きの通り、私は––––––」

 

近世のヨーロッパで恐れられた悪魔。

 

「生き物の血を吸って生きる、吸血鬼というものです」




はい、以上です。
堕ちちゃった……部長堕としちゃった……
本当は優希がよかったんだけど←
そして、やっぱり吸血鬼と言ったらやっぱりこのネタだよね!
次回は夜の過去+原作でもあった部長の過去をやる予定です。
一巻が終わらねェ……
ご意見・ご指摘・ノーマルで普通な感想を募集中です。ドシドシ送ってください。
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