一輪の咲く花とともに歩む夜中の姫   作:十六夜 大和

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どうも、十六夜大和です。
大っっっっ変長らくお待たせいたしました!
合宿という名のほぼオリジナル展開だったもので、構成に時間がかかってしまいました! 申し訳ありません!
そして、祝! お気に入り数300件突破!
こんなダメな作者に付き合っていただき、誠にありがとうございます!
まだ話数が一桁なんだよ? 怖いわー←
これからも頑張っていきたいと思っています!
ということで、始まるぞ☆


合宿

ゴールデンウィーク。本来は、五月三日の憲法記念日から始まる三日間の連休のことを指すのだが、一般的には四月二十九日から五月五日までの間を示す、一年で一番大きな休みシーズン(社会人に限る)。春真っ盛りで、暑くも寒くもない丁度いい気候から、多くの人々は旅行したり、家族と仲良く時を過ごす。

―――――中には例外もいるけど。

まぁそれは置いといて、今、私たちはバスに揺られながら遠出をしている。我ら宮永家も例外ではないだ! っと、言いたいところだけど、今回は麻雀部のメンバーで、しかも遊びではなく、全国へ行くための強化合宿として学校の合宿所に向かっている。

合宿所ってどんなところかな? ご飯が美味しいといいな……。あとは温泉で優希ときゃっきゃウフフとか、夜に優希ときゃっきゃウフフとか、優希と…………ウフ、ウフフフフフ。

 

「ッ!?」

「? 優希、どうかしましたか?」

「な、なんか背筋が凍るような寒気がしてきたじぇ…………」

 

あぁ、怯えてる優希かわいい……。今すぐ壊してしまいたいよ 

因みに、私と咲が後ろから二番目の席に座っていて、その前に和と優希、反対側に部長と染谷先輩が座っている。京太郎は一番後ろで荷物に埋もれている。ていうか、多すぎじゃない?

 

「――――夜お姉ちゃん? 優希ちゃんにまで手を出したら、合宿だろうと今夜も寝かさないよ?」

「!? な、なにを言っているのかな? ヨルワカラナイ」

「刺すよ?」

「どこからそのフォークを取り出した!? まさかま○r「うるさい」ギャー!」

 

私の脳天にどこから取り出したか分からないフォークが突き刺さる。

痛い……凄く痛い。吸血姫だから傷はすぐ塞がるけど……痛いのには変わりないんだよね。そのうち痺れフォークが出てきそうで怖いよ……。しかし! 私の優希への愛は止まらない! 止まるはずn

 

「もう一発いっとく?」

「マジですみません」

 

マジで痛いから! ていうか、地味にこの子私の心読んでるよね! 恐ろしい子!

 

「まったく、何をやっとんだか」

「あら、あれはあれで面白いじゃない」

 

年長組から温かい視線が送られる。年が一、二年離れただけでこんなに違うのか……。

 

「と、馬鹿な事やってないで、あともう少しで着くわよ」

 

さっきまで見守っていた部長から声がかかる。外を見てみると、もう山の中に入っていて、一つの旅館らしきものが見えてきた。あれが学校の合宿所か……割といいところそうだね。

 

「はい、それじゃあみんな、降りる準備をしなさい」

 

ハーイと返事をし、各自荷物をまとめ、いつでも降りられるようにする。なんか京太郎だけ妙に多いけど。

 

――――――――――――――――――

 

「はい、ちゅうもーく!」

 

部屋に荷物を運び終え、部長が部屋の窓際に立ち視線を集める。―――――片手にホワイトボードを持ちながら。あれ、どっから出したんだろう。咲といい、部長といい、謎が多いわ。

 

「練習を始める前に、やることが二、三点あるから言っておくわ。まずは、県予選のオーダーを発表ね」

 

オーダー、その言葉を聞いて京太郎を除いた、女子部員全員の顔が引き締まる。喼急如律令じゃなくてスタメンのほうね。

今のうちの部は女子が六人だから、誰か一人選ばれないことになる。男子は京太郎一人だから論外。はてさて誰が呼ばれるのか。

 

「先鋒、咲」

「わ、私?」

「次鋒、まこ」

「了解じゃ」

「中堅が私で、副将は和」

「はい」

「で、大将は夜ね」

「分かりました」

 

私は大将か……。確か、先鋒に次ぐほど化け物が多かったはず。特にあれ、あのウサギ? がいたような気がする。

 

「以上よ、優希には悪いけど、須賀君と一緒に後ろでサポートしてもらうわ」

「うぅ……わかったじぇ……」

「え? 俺もですか?」

「そうよ。うちの部に男子は一人しかいないし、個人戦に出るとしても、女子団体戦が始まるまでには終わるから、手伝いという形で来てもらうわ」

「なるほど、わかりました」

 

この説明に、京太郎は納得しようにうんうんと頷く。優希のほうは、さっきから和に慰めてもらっていて、何かを決心したような顔つきに変わっていた。個人戦もあるし、そこで頑張ってくれるかな。

 

「あのう……質問なんですけど」

 

そんな中、わが最愛なる妹、咲が恐る恐る手を挙げる。まぁ質問の内容は大体理解できるけど……。咲が先鋒になったのが気になったのかな? ていうか、この状況で言えるのってこれくらいだし。

 

「何で私が先鋒なんですか?」

 

案の定、オーダーに関するものだった。言われてみれば、私もなんで大将なのか気になるかも。なんか妙に大役っぽそうだし。

 

「そうね、全員気になると思うから一人ずつ言っていくわ」

 

そこから、何故そのオーダーにしたのか説明が始まった。

咲を先鋒にした理由は、ただでさえエースが多い中で、できるだけ稼いでほしいと。後、点数調節がうまいから大将、副将でもよかったらしいけど、咲にはそんなことを気にせずにのびのびと打ってほしいとのこと。……あの子にそんなことできるのかな。

で、次鋒に染谷先輩を入れた理由は、一年で、しかも今まで公式戦に出たことのない咲が、どっちに転ぶか分からないから、経験豊富でその場に応じて対処してくれる先輩にしたらしい。中堅の部長も同じような理由。……ほかにも何かありそうだけど。

副将の和は、全中チャンピオンの力を見せつけてほしいとのこと。前の二人が初期値、またはそれ以上稼いでくる予定だから、点数なんて気にしないで全国に和の力を見せつけてほしいと。頑張れ! 和!

で、最後に私なんだけど……

 

「あなた、日が落ちたほうが力が出るじゃない? だから、夜まで長引く可能性が高い大将にしたわけ。それに、去年の天江衣みたいな異常な打ち手……俗にいう牌に愛された子が出てくるかもしれないけど、あなたなら冷静に対処してくれそうだからね」

 

思った通り、ものすごい大役でした。つまり私は、照姉みたいなやつが出てきても稼ぎ負けしないという信頼で置かれたわけだ。いや、昔は照姉にも稼ぎ負けしなかったけど、今はどうだか知らないしな……。これ負けたら大変な奴じゃん。

 

「それゃあ、説明も全部終わったところで……」

「お、さっそく特打ちか?」

 

遂に全国出場に向けた強化合宿が――――

 

「まずは温泉よね!」

 

始まらなかった。てか、もしも露天風呂しかなかったら、この時間帯って下手したら私入れないんだけど。

 

―――――――――――――――――――――

 

~咲 side~

 

「ふぃ~。いいお湯だじぇ~」

 

露天風呂に入った優希ちゃんから、力が抜けたような声が漏れる。

オーダー発表後、すぐに練習が始まるかと思いきや、まさかのお風呂タイムとなった。そして、今私は原村さんと優希ちゃんの三人で露天風呂に入っている。

部長と染谷先輩はすでに入っていて、私たちが入ると同時に先に出て行った。入るの早すぎだよ……。どのくらい楽しみにしてたんだろう……。

 

「本当、いい湯加減ですね」

「信じられる? ここ、学校の合宿所なんだよ?」

 

そう、ここはホテルでも、ましてや旅館でもなく、学校指定の合宿所。もっとボロい感じをイメージしてたけど、普通のホテルよりもいい設備が揃っている。露天風呂があるくらいだもん。これで自由に使えるんだからすごいよ。

 

「でも、どうして夜さんは入らなかったのでしょ」

 

ギクッ!

 

「本当だじぇ。こんなお風呂に入らないなんて、人生半分損してるじぇ」

「いや、半分も損はしないでしょう……。咲さんはなんで入らなかったか知ってますか?」

「え? し、知らないよ? な、何で入らなかったんだろうね」

 

実はこの場に一人居なかったりする。それは、私の姉である宮永夜。

脱衣所までは一緒に来たんだけど、露天風呂しかないと分かった途端、一気に顔色を悪くし、出てきた先輩たちの後につき、部屋へ帰ってしまった。当然、事情の知らない私と部長以外の三人は首を傾げていた。

多分日が落ちれば入ると思うけど、日中は入らないかな。え? 何でかって? それは7、8話をご覧ください。……何言ってんだろう、私。

 

「そうですか……。姉妹でも隠し事の一つや二つありますもんね」

 

ごめんね、原村さん。本当は知ってるんだけど、人に話せることじゃないから。部長? あれは全部お姉ちゃんが悪いから、自業自得ってやつだよ。

 

「……なんか隠してそうな雰囲気だじぇ」

 

優希ちゃん、何でこんな時にそんな鋭いのさ。まさか、ここ東場だったの? 嘘だといってよバーニィ。

 

「ま、今はお風呂をゆっくりと楽しむじぇ」

 

ふぅ。今追求されなくてよかった。だけど、結局ばれると思うんだよね。私は。まぁまだそんなことは考えなくていいか。ばれたらばれたでその時に何とかしよ。取り合えず、温まりますか。

 

~side end~

 

――――――――――――

 

わしこそが、みんなお風呂に入ってる間、日が出ているため、一人だけ入らず、部屋に帰ってきた吸血鬼。そう! わしじゃ!

……結局誰なのか。お風呂、入りたかったな……。日が落ちれば入れるけど、日中にみんなと一緒に入りたいな……。あ、日傘持っていけば……。けど、それだと時間制限付きになっちゃうからな。入るならゆっくりと入りたいよね。これ絶対みんな浴衣なのに、一人だけ制服で練習するみたいになる奴じゃん。だけど、やっぱり優希と一緒に入りたいな……。優希……。あぁ、そんな目で見るなよ。ゾクゾクしちゃうじゃないか♢

 

「……夜、顔に出てるわよ」

「本当に、お前さんは優希が好きじゃの」

 

だって優希かわいいんだもん。小柄の子はみんな可愛い! 夜が楽しみだわ……。そうなれば、今度こそ優希と一緒に入れる!

 

「……私だって夜と一緒に」

「ん? 何か言いました?」

「……なんでもないわ」

 

さっきから優希の話をするごとに、部長がだんだんと不機嫌になっていてるような気がするんだけど……。なんで?

 

「あんたは鈍いのぉ」

 

はて? なんのことやら。私が鈍いだって? 馬鹿な。私はどちらかというと敏感のはずだ。敏感、だよね?

 

「取り合えず、みんなの練習メニューを考えましょう。あの子たちが帰ってくる前に決めないと、時間が取れないわけだし」

「あれ? 考えてなかってんですか? 部長のことだからてっきりもう考えてあるのかと思ってました」

「……あのね。私だって人間なの。そんな完璧にできるわけないでしょ? あなたみたいにきゅ「ちょ、ストップ!」むぐっ!」

 

咄嗟に私は部長の口を塞ぐ。

何言おうとしちゃってるんですかこのアホ部長は! 染谷先輩がいるんだから言わないでしょ! 普通!

 

「きゅ? なんじゃ? きゅって」

「い、いや、なんでもないですよ? ね?」

「ぷはっ! え、えぇなんでもないわ」

 

口を塞がれたことによって、自分の失態に気が付いた部長と二人でなんとか誤魔化す。ふぅ……危なかった。チームだから話してもいいとは思ってるけど……。もうしばらく黙っておこう。

 

「と、とにかく、個々の欠点を克服するためのメニューを考えるわよ。折角だし、夜も参加してちょうだい」

「分かりました」

 

私が返事をすると、部長はバックからルーズリーフとシャーペンを取り出した。あれに書いていくのかな。

 

「先ずは先鋒の咲からね」

「咲はほぼ無いと思うがのぉ」

 

全中チャンピオンの和を負かし、今まで部員の度肝を抜いてきた咲には、一見して弱点らしいところがないように思える……が、

 

「……咲はネット麻雀したことが無いため、デジタル打ちが出来ないんです」

「……………は?」

「その通りよ」

 

やっぱり部長は気がついていたようだ。まぁ部長の観察眼って凄いから、一ヶ月くらいも打ってれば分かっちゃうか。

 

「それは、どういうことじゃ?」

「簡単に言っちゃうと、彼女はリアルの情報だけを頼りにして麻雀をしているわけ。たとえ、非現実的なことがその場で起こっても、疑うことなく信じてしまうってことね。逆に言えば、そういうことに敏感ってことになるわね」

 

部長の説明に、染谷先輩は合点がいったように頷く。多分だけど、この前、藤田プロと打った時も、藤田が店に入ってくる前に、オーラ的な何かをいち早く感じ取ったんじゃ無いかな。そのくらい、咲は強者に敏感になっている……が、

 

「けど、目の前の現実をあまりにも信じすぎじゃって、主観的にしか場を見ることができず、全体を客観視することができないのよ。だから、自分の思い通りに打てなく……、咲の場合は嶺上開花が出来なくなると、本来の力が出なくなるようね」

「それだけじゃないですよ。もう1つ、決定的な欠点があります」

 

そう、咲の欠点は1つじゃない。確かに、嶺上開花で上がれなくなると、力が出ないのは事実。けど、それを引き起こしている大元の部分が存在する。それは……

 

「あの子、メンタルが普通の人より弱いんです」

「「……………は?」」

 

今度は染谷先輩だけでなく、部長までもが間抜けな声を上げる。流石にここまでは気がつかなかったか……。私も咲の血を吸い始めるまで分からなかったからな。

 

「それは……どういうことかしら?」

「そのまんまの意味です。まず、普通の人なら思い通りの打ちが出来なくなるだけで、力が出なくなるなんてことはありません。その場でどうやって勝つか考えるはずです」

「それもそうじゃの」

「です。しかし、咲の場合は嶺上開花が出来なくなった時、自分よりも強い敵と対局した時に、頭が真っ白になってしまい、すぐ内気になる。この前の藤田プロとの対局もそうじゃありませんでした?」

 

あの人のことだから、咲の嶺上開花を妨害したはずだ。プロだし、部長からの依頼でもあったわけだから、妨害しないほうが可笑しい。ま、それで咲の顔つきが変わっていたんだけど。

 

「……そのとおりじゃ。一回だけ、嶺上開花を阻止しとった。そこから咲は崩れていったのじゃ」

 

予想通り。多分、咲よりも先にカンをして、咲が取ろうとした嶺上牌を取ったんだろう。でもさ、我が妹よ。一回阻止されただけですぐ崩れすぎでしょ。どんだけメンタル弱いんだよ……。エビフライくらいかっとビングしようよ……。さすがに無理か。

 

「つまり、咲は極端にメンタルがよわいんです。そのため、一回だけ妨害されただけでもう上がれないと思ってしまい、そのまま力を出せずに終局を迎えてしまう。あの子最大の弱点です」

 

そう結論付けると、場にしばらくの静寂が流れる。まぁそれもそうだろう。だって、期待の新星がそんな欠点を持っていたんだから。私も何度か直そうとは思っていたけど、気付いた時にはもうあまり麻雀打ってなかったし、直す気が無かったから、直そうにも直せなかったんだよね。

 

「……なるほどね。ありがとう、夜。それも踏まえて咲のメニューを決めるわよ。先ずは、デジタル打ちに関することだけど、あの子にネット麻雀を打たせるわよ」

「まぁそれが1番適作じゃな。けど、パソコンはどうするんじゃ? ノートパソコンなんてうちにはないし……」

「そのことなんだけど、須賀くんに頼んでデスクトップごと持ってきてもらっちゃった☆」

 

――――――はい?

いや、ちょっとま――――えぇ?(困惑)

部長の思い切った行動にびっくりなんだけど……。ほら、染谷先輩なんか、額に手を当ててすっごく深いため息吐いてるし。

だから京太郎だけあんな大荷物だったのか……。何というか、その……ドンマイ。でも……

 

「誰かの携帯借りて打つっていう方法を思いつかなかったんですか」

「…………あ」

「おい」

 

どうやら思いつかなかったようです。部長がもうちょっと考えていれば、京太郎も苦労せずに済んだのに……。ご愁傷さま。

 

「あ、あれよ。咲にパソコンの使い方を教えたいなぁっと……」

「別に合宿じゃなくてもできますよね?」

「諦めんさい。今回ばかりはあんたが悪い」

 

染谷先輩が止めを刺すと、部長の顔が見る見るうちに赤くなっていき、肩をプルプルさせながらこっちを見てくる。そして、徐々に目が赤く、潤っていき、頬をぷくっと膨らまさせた。

……意外と可愛い。普段の部長からは想像できないこの表情……。ギャップ萌えってやつかな。

 

「そ、そんなことより! メンタル強化のほうはどうするのよ!」

「あ、そのことならもう考えてあります」

「へ?」

「流石は夜じゃ。して、どんな練習じゃ?」

「……私って部長よね。なんか地味に扱い酷くない?」

 

部長が何やらぶつぶつ言っているがスルー。そのうち部屋の隅で膝を抱えながら、のの字を書き始めそうで怖いんだけど。

 

「凄く……いや、めちゃくちゃ簡単、私と打てばいいんです」

 

拗ねそうになっていた部長と、そんな部長を見て二ヤニヤしていた染谷先輩は同時に首を傾げる。

ふっふっふ、今に分からせてやろう……。って、なんで悪役っぽくなってんだ?

 

「私の能力、ご存知ですよね?」

「えっと……確か……」

「……!? そういうことか!」

「え? どういうことなの?」

 

部長……パソコンの件から調子落としすぎでしょ。いつも通りだったらすぐ気づくはずなのに……。

 

「私が初めて打った時のこと、覚えてます?」

「確か、咲の嶺上開花で……!? そういうことね」

「そうです。私にはコピーする力があります。それを使って、咲の嶺上開花をコピーし、咲と対局させる。そうすると、咲は嫌でも同じ力を持った人と戦うことになり、耐性が付くはずです」

 

これが私の考えた咲強化プログラム。名付けて、私以外の嶺上使いは要らないよ! そんなニワカはこの咲ちゃんが断罪しちゃうよ☆大作戦!

……うん、ないね。いろいろとおかしいし。長い。普通に強化メニューでいいや。

 

「じゃが、咲はあんたの能力知っとんじゃろ? だったら……」

「あ、多分知らないと思います」

「「ゑ?」」

「咲と打っていた時は、咲が知らない人の能力をコピーし、それしか使ってなかったので、多分それが私の能力だと勘違いしているはずです」

 

まぁコピーしたのは、超有名なトッププロの誰かなんだけどね。あの子、プロとか関心なかったし、知られずに済んだよ。

 

「……知らないのね?」

「はい」

「よし。それじゃあ、咲のメニューはその二つでいくわ」

 

これは咲にとって地獄とも呼べる合宿になりそうだね。主に私のせいだけど。

その後、一人一人の練習が決まっていく。染谷先輩と部長は、ひたすら打ち、一年生へアドバイスを、和はネット麻雀の集中力を引き出すために、限りなく家で過ごしている状態を作る方法として、ちょくちょく持ってきているペンギンのぬいぐるみを抱きかかえながら打つことになった。なんでも、咲とは真逆で、リアルの情報に惑わされてしまい、実力が引き出せなくなっているとか。……部長、よく気が付いたよ。

優希は点数計算が壊滅的なため、ひたすら計算ドリルを解くことになった。ここまで来て勉強って……。更にもっとひどいのが京太郎。部長曰く、初心者すぎて話にならないとか。まぁ仕方ないね。覚えろ、しか指示が出せないもん。

最後に私なんだけど―――

 

「あなたは私でも知らないことが多すぎて、手の打ちようがないのよ。だから、その鋭い観察眼を使って、気になったところをバンバン言ってもらうわ。頼んだわよ」

 

あれ? おかしいな。これちょっと前にも似たようなことを聞いたような気が……。この圧倒的既視感。つまり、私は一年にも関わらず、先輩二人と同じ立場で練習するという。私だってすべて分かるわけじゃないのに……。

そして、私の練習内容が言い終わったところで、咲たちが戻ってきた。少しのんびりした後、今度こそ練習が始まる。

部長が練習メニューを伝え、各自言われた指示通りに動く。計算ドリルを渡され撃沈したタコス好きや、ペンギン―――エトぺリカになりたかったけど、なれなかったエトペンを赤面しながら抱えるおっぱいさん、私の能力と、ネット麻雀によって涙目になった文学少女など、なかなかカオスなことになっていた。

この合宿が終われば、県予選までもう間もない。最後まで気を抜かず、頑張っていこう!

――――――早く夜にならないかな。

 

 

 




ハイ、以上になります。
優希との入浴シーンはそのうち番外編として出したいと思います。
何故か進む夜の変態化……←
途中からヒ〇カに見えて仕方ないんですよね。書いてる本人が。
で、毎回思っていることが、染谷先輩の口調が難しいんですよ。どう使っていいのかわからなくて……。
心優しい方、ぜひ教えてください←
その他、ご意見・ご指摘・普通の感想をお待ちしております。
以上! 最近頭痛に悩まされて苦労している十六夜大和でした!
……ほんと頭痛辛い←
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