二話目、よろしくお願いします。
青年は眉間にしわを寄せて召喚用の魔法陣を見つめていた。
ーーー1人でサーヴァントを二騎...
普通の魔術師なら召喚できない程の魔力を必要とするこの儀式、異端の聖杯戦争であるが故に二騎のサーヴァントを召喚しなくてはならない。
おそらく魔術師二人で行われるであろう召喚だったのだが青年はパートナーが見つからずその負担を一人で持つことになっていた。
ーーーいや、できる!
不安を頭から振り払い青年は召喚の詠唱を始めた。
「素に銀と鉄。 礎に石と"二つの"契約の大...コホッ...公」
青年は咳き込んでしまい詠唱を止めてしまうが気を取り直し続けた。
「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者、
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
これは異端の聖杯戦争、例え何が起きてもおかしくはない。
狂化の詠唱をしてなくてもバーサーカーのクラスが召喚されてみたりーーー
「やあ、君が僕達のマスターかい?』
ーーー同じ名前、そして同時に召喚されることがない"同一人物"がこの世に現界してみたり。
「やあ、君が僕達のマスターかい?』
二つの魔法陣から出てきたサーヴァントで最初に口を開いたのは顔の無い紳士風の服装をしたサーヴァントだった。
念話なのか普通に話しているのか、どんな声なのかすらもわからない不思議な感覚を覚えた青年は『異端だから』という一言で自己完結しそれに応える。
「そ、あんたの名前は?」
次は俺の番だと青年は質問してみるが紳士風のサーヴァントは首を傾げるような仕草をし、微妙な表情をしているような雰囲気をだし答えた。
「...そうだね、本当の名前はわからないけど真名はジャック・ザ・リッパーらしいね。クラスはバーサーカー』
「ジャック・ザ・リッパー...」
青年が考えていたのはバーサーカーが喋るのか、ではなくその真名の方だった。
ジャック・ザ・リッパー、日本では切り裂きジャックと呼ばれている有名なシリアルキラーだ。
その"作業"は1888年から行われていて確実にザ・リッパーがやっとされている被害者の数は5人、証拠は無い場合でも推定では大きく被害者の数は増えていく。
そんなジャックの特徴は猟奇的な殺害方法にあったのだが...そんな狂った雰囲気は全く無く、ただの陽気な人物となっていた。
「その真名にも多分を付け足したいところなんだけれど...どうやら"聖杯が教えてくれた"みたいなんだよね』
「聖杯が?」
ジャックの言葉のようなものに青年は首を傾げる。
そしてその青年の目は説明を求めていてそれをジャックが見るとまた喋りだした。
「そ、僕の願いは自分のことを知りたいなんだけど...断片的に教えてくれた感じなんだ。つまりーーー』
「ーーー願いの前倒し』
「一部的だけどね』と付け足すジャックに青年は願いの前倒しなんてあるのかと驚愕していた。
しかし、驚いているのは青年だけでは無かった。
「...それ、本当!?」
今まで全く喋っていなかった少女のサーヴァントはジャックに飛びかかり希望を見た顔で質問し始める。
「ああ、本当だよ?君も叶えてもらってるんじゃないか?一部だけ』
女の子サーヴァントのテンションに困ったような声のようなものを出しているジャックからそう聞くと少女サーヴァントは今にも何処かへ行きそうだったので慌て始める青年。
「ちょ、待ってくれ...せめて名前を教えておくれ」
「はっ...」
まるでマスターの存在を忘れていたみたいな顔をする少女サーヴァント(実際そうなのだが)、心ここに在らずといった感じで青年に顔を向ける。
「クラスはアサシン、真名はーーー」
「ーーージャック・ザ・リッパーだよ」
その言葉にくらっとした青年は額を抑え、ひたすら頭の中で『異端だから』と唱えていた。
そうでもしないと、上手くまとめられずに頭がどうにかなりそうだったから。
どうも、二話目お読みいただきありがとうございます。
前述の通り、次でプロローグはお終いとなり本編が始まります。
この作品は毎回毎回戦い、ではなく少しだけのコメディ、そしてロマンスを入れていきたいと思いますのでこれからもどうぞよろしくお願いします!
では!次でお会いしましょう