天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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73話のサブタイトルと
71話のサブタイトルが被ってたので、
今回のサブタイトルを含めて変更致しました。



第七十四話 レオパルド

コエリオの悲鳴が途絶えて、

しばらくしてからの事だ。

 

 

「終わったか?」

 

 

元コエリオの部屋に戻り、その部屋の中央で返り血で染められた2人の男、紳助と喜助に問う。

 

 

「「天竜.....」」

 

 

それぞれが呟く。

 

 

「どうだ?憎っくき白人をぶっ殺した気分は?

それもただの白人じゃあない。

奴隷貿易を積極的に行ってた奴だ。

黒人だけじゃない。我ら黄人もまたこいつらの餌食にされた。

お前らにはまさに宿敵と言えるだろう。

どうだ?糞虫を潰した気分は?」

 

「あまり.....いい気分じゃない」

 

 

紳助は答えた。

 

 

「恨みは晴れたはずなのに.....

まだ何か心の中に残っている感じだ」

 

 

喜助は言う。

 

 

「ふ〜ん」

 

 

天竜は渇いた表情で眺めていた。

 

 

「にしても、よくもまぁこうもグチャグチャにしたもんだ。何を使ったらこうなるんだ?」

 

 

拷問後のコエリオは、原型を留めない程に損壊していた。この肉塊が数時間前には息をして動いていたとはとても思えない。

この肉塊の周りには鈍器や刃物などの拷問道具がズラリと並べられていた。

 

 

「トゲトゲの鞭に鉄パイプに、

ノコギリに爪削ぎ鋏にトンカチ。

釘に棍棒にポン刀にガスバーナー.....

ガスバーナー!?」

 

 

適当に拷問道具を召喚して用意したが、

こんなものまで出してたのか。

まぁジャンヌには悪いが、

火炙りは拷問の基礎だしな。

 

 

「天竜よ。一体どういう事なのだ?

この白人を殺せば、我らの悩みは解消されるはずでは?」

 

「そうだ。解消されるどころか、

新たな闇が出つつあるぞ」

 

 

2人は天竜に訴える。

それに対して天竜の返答とは.....

 

 

「当たり前だ。復讐を成し遂げた時点で、

貴様らはもう"正義"ではないからな」

 

「「!?」」

 

 

天竜は続ける。

 

 

「迫害され、いつか復讐をしようと心に決めていた頃はさぞや気分が良かっただろう。

何故なら、そこに悪などはない。

一方的な被害者であったからこそ、

復讐を正義という名目にできたからな。

"これは正義の行い。

間違っている事など何もない"とな。

だが、成し遂げてしまってはそれは正義ではなくなる。被害者から加害者になるからな。その両手は血で染まる。糞を始末した時点で、お前らは糞の同類になれたわけだ。

良かったな。黒人が白人に並んだぞ。

お前らも正真正銘の人間だ」

 

「「..........」」

 

 

2人には天竜の思考が読めなかった。

明らかに自分達を挑発している。

しかし、蔑んでいるとは思えないのだ。

 

 

「人間になった気分はどうだ?

さぞやいいご身分であろう?

白人が同じ目線にいるかい?

黄人が畜生に見えるかい?

なら、俺はどう見える?

化け物か?悪魔か?それとも糞虫か?」

 

「何が言いたい天竜!」

 

 

紳助がたまらず叫ぶ。

 

 

「そうだ。お前らしくもないぞ!」

 

 

喜助も叫ぶが.....

 

天竜は突如キツい面相となり、

ドスの効いた声をあげる。

 

 

「被害者面が気にくわねぇんだよ」

 

「「!?」」

 

 

天竜は怒りの混じった言い方をする。

 

 

「今言ったように、貴様らは加害者だ。

貴様らに善は最早存在しない。

貴様らは悪だ!極悪だ!

正義という仮面を被って、

己の罪を濁すゴミ屑さ!

その肌の色と同じく性根から黒く濁っているのだ!そんな奴が未だに、弱者を名乗るのが、俺は途轍もなく気に食わない!」

 

「「天竜!!」」

 

「怒るか?この元奴隷共!

この世に完全なる正義、完全なる善、

完全なる被害者が存在すると思うか?

人間は必ず悪を持つ。虚無を持つ。

そして、誰もが加害者なのだ。

貴様らがやっとなれた人間は、

そんな腐った存在なのだ!」

 

「天竜お前!!」

 

「お前がそんな奴だったとは思わなかった!!」

 

「思わなかった?はぁ?

貴様らは気づいていただろう。

俺は日本人であるが、半分は白人なのだ。

貴様らが憎んだ悪の根源さ!

白き衣とは裏腹に、

俺の心は闇よりも暗い。

俺こそが諸悪の根源さ!」

 

「「天竜!!」」

 

 

2人は怒って部屋が出て行ってしまった。

 

 

「ふん.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故、そんな事を言うのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が去った後、ジョバンナが扉際で尋ねる。

 

 

「今貴様が言った言葉は、先程義兄上達を説き伏せた言葉とは真逆のものだ。

単細胞な2人は気付いてないがな」

 

「ほう、お前に分かるのか勝成?」

 

「貴様を理解するつもりはない.....

と言いたい所だがさしずめ、

先程のは、我らのわだかまりを解消させる為と、

コエリオ様へ立ち向かわせる為。

今の発言は、彼らを強くする為。

奴隷という身分から抜け出した彼らにはまだ、奴隷特有の弱さがある。弱さが染み付いている。だから貴様は、あえて悪役を買う事で彼らから弱さを取り除いた。

彼らに己という宿敵を作る事で、

彼らに目標や使命を与えた。

彼らを戦士にした」

 

「おいおい。それでは俺がいい奴であるかのようではないか」

 

「違うのか?」

 

「違うね。何故なら俺が生粋の悪だからだ。

だから悪役を買う必要などない。

全ては自分の為さ。

コエリオを始末する為に利用し、

いずれ利用する為に、家畜として肥えさせたまでだ。

そこに正義などない。

それこそが俺の野望さ」

 

「ふむ。貴様はそっちの方がいい。

いずれ倒すべき目標は、

やはり生粋の悪の方がいい。

その方が後味が悪くない。

貴様の言葉を借りるなら、

正義という仮面を被って、

罪を濁すことができる」

 

「ふっくくくく.....

お前の主人の氏郷は既に俺のもの。

彼女にも刃を向けるのかい?」

 

「レオンは私が全力で救出する。

今は無理でも、いつか必ず.....」

 

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!

その時を楽しみにしてるよ勝成ちゃん!」

 

「..........」

 

 

ジョバンナは思い詰め、

そして言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様は..........寂しいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

「孤高とはまた違う。

貴様は孤独な王なのだな。

常人ならとても耐えられないような負の境地に貴様はいるのだな。同情するよ」

 

「お前!!」

 

「ふふふ。伯爵に一言言えた時点で満足だ。

私はもう一度一眠りしてくるよ」

 

 

そう言って彼女は自室に戻って行った。

 

 

「....................ちっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天竜は氏郷の部屋に戻った。

 

 

「氏郷.....いいか?」

 

「..........」

 

 

氏郷は答えなかった。

部屋の隅でジッと俯いていた。

コエリオを見捨ててすぐ彼女はすぐさま自室に戻り、大声で泣いていたのだ。

 

今でこそ泣き止んでいるが、

心を痛めてしまっている事には変わらない。

 

 

「コエリオの死亡を確認してきた。

これで君の首輪は外れたわけだ」

 

「..........ふっ、私も同じように野良犬になったわけですか。貴方と同じように」

 

「..........クリムゾンの様子はどうだ?」

 

「眠ったようです」

 

 

腹がいっぱいになったクリムゾンは眠りにつき、左手の形に変質した状態で大人しくしている。日常生活にも影響はしなさそうだ。むしろ、3年ぶりに左手が戻ってきて、氏郷にはある意味嬉しい誤算だったのかもしれない。

 

 

「実はですね.....

私、サタン教に憧れてたんですよ?」

 

「うん。知ってる」

 

「..........キリスト教において、神は自らに似せて人間を作った。神は白人だから、白人以外は人間ではない。キリスト教を信仰しない者は白人だろうと認められない。

その思考が、カトリックは特に強い。

白人以外が認められるには、

キリスト教を信仰し、

彼らの犬になるしかない。

犬になることでしか、

この国を守るすべはなかった。

そんな時、サタン教に出会った。

本質こそはキリスト教と同じ。

なのに、そこに差別思想など存在しない。

白人も黒人もアジア人も皆平等で、

世界は身分や富の差で、

人間の価値を決めるべきではないとある」

 

「俺のサタン教は儚い夢である、

"民主主義"を謳っただけに過ぎんよ。

まぁ、キリスト教を散々利用してる連中は権力を持ちたい、教会や貴族共だからな」

 

「そう。だから、貧しい者達は上にすがる他なかった。下であり続けなければならなかった」

 

「上に昇ろうとする事をタブーにしたんだ。

あくまで権力者が国を支配できるように。

だが、いつまでも民は我慢できない。

そしてやがて、革命が起きる」

 

「歴史はその繰り返し。

そんな中、異端中の異端者が現れた。

それがウラド3世。ドラキュラ伯爵」

 

「..........」

 

「元はキリスト教徒。にもかかわらず、

裏切られ、異端に落とされた。

それからは、キリスト教の最大の脅威になった。欧州全土を敵に回して、100年も暴れまわった大魔王」

 

「"100年?"」

 

 

氏郷の言葉に天竜は何か違和感を覚えた。

 

 

「いや、なんでもない」

 

「私はある意味、貴方に畏怖の念を抱いていたのかもしれない。この世で最も力を持ったキリスト教に真っ向から対立し、己が理念を貫き通そうとする貴方の信念に.....

だからサタン教にも共感できた。

コエリオ様のやり方に納得いかず、彼の目の前で廃教を宣言した。その結果、私は駆逐対象になった。

神に見捨てられ、生きる価値もなくなった私に手を差し伸べて来たのは、己が散々陥れようとしてきた悪魔で.....

私はその悪魔と同種になった。

だが、不快感は不思議と感じなくて」

 

「氏郷」

 

「先程貴方は、私は貴方のものであると言った。

それすらも嬉しいと感じてしまう自分がいて。

不必要であるはずの自分を、

敵であるはずの自分を、

私というちっぽけな存在を、

一個人として、人として見てくれた貴方に.....」

 

 

氏郷は涙を浮かべつつ、笑顔で言う。

 

 

「好意を持っている自分がいるんです。

可笑しいですよね。笑ってください」

 

「可笑しくないさ」

 

 

天竜は氏郷を抱き寄せた。

 

 

「くくく。皆が皆、俺を勘違いしているな。

俺がそんないい奴に見えるか?

俺だって差別主義者だぞ?」

 

「えっ?」

 

「くくく。俺は性別差別主義者だ。

この世には俺と雌以外はいらないと思ってる。

全雌人類を妻にしたいとまで考えてる。

お前だってその内の1人だ」

 

「流石はドラキュラ伯爵ですね」

 

「それは蔑みかな?」

 

「これでも褒めてるつもりです。

私は貴方に惚れてるのでしょう?」

 

「くくく。そうだったな」

 

「何故、私だったのですか?

別に私でなくとも.....」

 

「おいおい、それを言うのか?

随分と難しい質問だな。

面喰いの俺にどう答えろと?」

 

「最低ですね」

 

「むぅ.....そうさなぁ。

俺は自分を完全に曝け出してくれる女子が好きなんだ。逆に隠す子は嫌いじゃないが苦手でな。

お前は他の女子とはジャンルが違うが、

確かに自分を曝け出してくれた。

殺意の篭ったお前の熱意に萌えたのだ。

これが理由かもな。

あと血がメチャクチャ美味かった」

 

「..........それでよしとしときます」

 

 

氏郷は完全に天竜は身体を預けた。

天竜はそのまま氏郷の唇を奪う。

 

 

「..........」

 

「ファーストキスは頂いた」

 

「何故それを!!?」

 

「ありゃ?本当にそうなの?」

 

「!?.....よくもやりましたね!」

 

「カマかけたつもりはないんだが、

ってか、真っ赤になってるその顔も可愛いな」

 

「誤魔化さないで..........っ!?」

 

 

再び口付けされる。

今度は深く、舌を絡ませて.....

 

 

「ぷはぁっ!」

 

「いいな、たまには。

新しい女を抱くのはいつも新鮮だ」

 

「..........とことん魔王ですね。

いいですよ。私の処女を捧げます。

私を汚してください。

私を壊してください。

私を貴方の色で染め直して下さい」

 

「氏郷」

 

「私は生まれ変わらせて下さい。

私はもう貴方のものなんですから」

 

「..........よし」

 

「?」

 

「『レオパルド』」

 

「え?」

 

「お前の新しい洗礼名だ。

ドイツの言葉で"豹"を意味する」

 

「女豹とでも言いたいんですか。

ドイツとは?」

 

「この時代にはまだない。

プロイセン。今より300年後くらいに現れる。

俺が尊敬する国の1つだ」

 

「へぇ。レオパルドですか」

 

 

ドイツの戦車から取った事は内緒にしておこう。

 

 

「では気軽に"レオ"とお呼びください」

 

「なんか犬みてぇだな」

 

「伯爵!」

 

「冗談だ」

 

 

天竜はそのまま氏郷を押し倒す。

 

 

「あっ.....」

 

「安心しろ。

言われずとも優しくしてやるさ。

女性の扱いに関しては紳士なつもりだ。

脱がすぞ?」

 

「はい.....」

 

 

露わになった乳房に触れる天竜。

小ぶりではあったが、やや弾力があった。

 

 

「Bだな」

 

「変態伯爵」

 

「ふっ.....くくくくくくくくくく」

 

「ふふ」

 

 

笑い出してしまった2人。

その後、またキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

 

「..........」

 

 

目覚めた天竜は、隣りに裸で眠っていた氏郷にそっと布団をかけ、素早く着替え、部屋を抜け出す。

 

 

「..........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調略は終わりましたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如現れた少女、それは大友宗麟だった。

 

 

「そんな大それたもんじゃないさ。

今回のはただの引き抜き。

"レオ"は半分味方のようなもんだったさ。

ただ、その価値観の違いからわだかまりがあっただけに過ぎない」

 

「しかし、上手くいったものです。

まさか"貴方の思惑通り"に事が進むなんて」

 

「まぁな」

 

 

この時、2人は気付いていなかった。

氏郷が目覚めて、聞き耳を立てている事を.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"俺が裏から手を回してコエリオに圧力を回し、面倒臭がりの彼がレオにキツく当たるように仕向けた"。

その予想通りにコエリオはレオを虐め抜いた。双方の性格の関係もあって予想以上の結果になり得たよ。

その結果レオの心はコエリオから離れ、その弱みに漬け込んだ俺を信頼するようになった、という事だ。

レオを味方にする気は3年前からだが、

この計画は去年からのものだ。

まさかこうも予定通りに進むとは、

自分でも驚いているよ」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「.....!!?」

 

 

この事実に、氏郷は絶望した。

地獄のドン底にいた自分に手を差し伸べてくれた救世主が、今回の事件の黒幕だったのだ。無理もない。

 

 

「どうして!?何で!?」

 

 

神のようにも見えた。

自分を導いてくれる唯一の存在であると。

だから身体を許したのに.....

だが、やはり彼は悪魔だったのだ。

 

 

「ドラキュラァ!!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「レオにはいずれ、謝らないければならない」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「!?」

 

 

今にも部屋から飛び出そうとした時、

天竜のその言葉で氏郷は止まった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「例え俺が介入せずとも、

氏郷はその内壊れていただろう。

コエリオらのバテレン共に利用され、

搾りカスになるまで駒のように使い古され、

ボロ雑巾のように捨てられる。

バテレン共は容赦しない。

レオ自身に日本人の虐殺を命じるかもしれなかった。

そんな事をすれば、レオは心を殺され、本当に人間ではなくなってしまっていただろう」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「..........」

 

 

氏郷は扉を背に膝を抱えて座り、

じっと天竜の話を聞いていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「だからこそこの行動に出た。

善人であれば、回りくどいやり方をしてでも、正しいやり方で彼女を助けただろうし、俺もそれをやるべきだったのかもしれない。

だが俺は生憎悪人だ。

手段を選んだりはしない。

最も早急にレオを救う事ができる道があるなら、

俺はそれを選ぶ。

例え卑怯だ悪だと非難されたとしても、

"レオを救う"という結果を一早く手に入れる事ができるなら、俺はどのような責任だって負ってやるさ。

そこから新たなイザコザが起きたり、不幸な者が現れたら、その後に解決すればいい。

今回の優先対象はレオだ。

俺はレオを救うためだったら何でもするさ!」

 

「はい」

 

 

宗麟は黙って頷いた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「やっぱり..........

私は..........間違っていなかった」

 

 

氏郷は涙を流す。

 

 

「聞いていたのだろう?レオ」

 

「!?」

 

 

天竜は扉を開けた。

 

 

「そっ.....その.....太閤様」

 

「天竜でいい」

 

「..........天竜様」

 

「うむ。蒲生レオパルド氏郷よ。

お前の所領の会津を加増しよう。

これよりは会津92万石を治めよ。

それに伴い、お前に参議の官職を与える」

 

 

それは破格の待遇であった。

 

 

「ははっ!」

 

「それとだ。我が軍としては、

お前には外交官を勤めてもらいたい」

 

「外交官.....ですか?」

 

「あぁ、外交と言っても、

今までと違って日の本の外との国とだ。

日の本はあと少しで完全統一される。

そうなれば、朝鮮や明や天竺だけでなく、

欧州諸国との貿易も多くなる。

その総括をしてほしい。

特に欧州とはお前の力が何より必要だ。

やってくれるな?」

 

「ははっ!ありがたき幸せ」

 

「ふふっ.....右手を出せレオ」

 

「?」

 

 

言われた通り、氏郷は右手を出す。

 

 

「そらっ!」

 

「きゃっ!?」

 

 

天竜はその右手を掴んで自身に引き寄せる。

氏郷は天竜に抱かれる状態になる。

 

 

「俺はお前を手に入れられて大変嬉しい。

俺がドラキュラであるという事を理解しながらも俺を認めてくれた。俺はお前を誇りに思っている」

 

「.....天竜様」

 

「これからも俺に付いて来てほしい。

俺がお前を導いてやる」

 

「はい.....」

 

 

氏郷はまた涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城を出た2人。天竜と宗麟。

 

 

「日差しがキツいな」

 

 

2人共黒い日傘を差していた。

 

 

「最近は益々だ。妖力が削られる。

デイウォーカーである俺は平気のはずなのに」

 

 

通常、吸血鬼はナイトウォーカーと呼ばれる。

だが、ドラキュラなどの太陽を弱点としない種族は別に

デイウォーカーと呼ばれる。

 

 

「このまま"常陸"に向かう。

すまないが運転を頼む」

 

「はい」

 

 

宗麟に車の鍵を渡す。すでに教習済みだ。

 

 

「はぁ.....はぁ.....はぁ.....」

 

 

助手席に乗り込んだ天竜は大汗をかきながら息切れをしていた。

 

 

「大丈夫ですか天竜様?」

 

「心配するなベル。今はとにかく安全運転を心がけてくれ」

 

「はい.....」

 

 

天竜の愛車デロリアンが常陸に向けて今発車した。

 

 

「寿命が近いのか.....」

 

 

天竜はボソリと呟く。

 

 

「..........」

 

 

ベルフェゴールと呼ばれた少女、大友宗麟は不安な顔で車を走らせた。

 

 

「仮に死ぬとしても、

俺はその前に会わなくてはならない。

もう1人の俺に..........

場合によっては奴ともう一度.....」

 




天竜がいい奴(?)っぽい回でした。
だが、その天竜にも何故か死期が!
続きが気になるかもですが、
その前に何話か挟みます。
ちなみに次回は番外編です。
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