フランボワーズタルト   作:りりょ

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私は、学生時代からの友人と待ち合わせの駅前に立ち、読みかけの本を読んでいた。

秋特有のひんやり冷たい風に時折ページを捲られながら、風に揺られ甘い匂いを散らす肩より少し長い髪を押さえ、のんびり彼女を待っていた。

つい、いつもの癖で着なれたブラウスとスカートで来てしまい、ぼんやりとお洒落さんで世話焼きな彼女に怒られてしまうかなと考えた。

 

私は夢ノ瀬リラ。

大学を卒業し、今は実家のこじんまりとした本屋を継いでいる。

常連さん以外あまり訪れないけれど、大好きな読書が沢山出来るし、多少の物足りなさはあるものの、なんだかんだ気に入っている。

 

今日会う友人は、花里リンゴ。

長く伸ばした茶色いカールした髪が綺麗な、自慢の友人だ。

OLとして働いているのだが、早速イケメンの彼が出来た、なんてはしゃいでいた。

 

 

「おーい、リラ!お待たせ」

「電車遅れてたんでしょ?いいよ」

「うーん、まあ飲み物くらいは奢らせて」

「じゃあ、ノロケ代ってことで、おごってもらっちゃおうかな」

私たちはくすっと笑いあった。

 

「で、今日どこいくの?」

「あのね、なんと超イケメンの店員がいるカフェ見つけたの~!

奥まったとこにあるから、案外常連さんしかこなくて。落ち着いててリラに超オススメかも!」

「へえ~…」

「それに…リラもたまには息抜き必要よー?

イケメンにキャーキャー言ったりねっ

リラはただでさえ真面目で溜め込みやすいんだからっ!」

「リンゴ…」

友人のさりげない気遣いに、心がパッと温かくなる。

「…大好き」

「んもう、今更だってばあ」

二人でクスクス笑った。

 

 

のんびり歩くと、確かに奥まったところにまるでお伽噺に出てくる家のような、可愛らしい店が見えてきた。

恐る恐る扉を開けると、ちりん、と涼やかにベルが鳴った。

「いらっしゃいませー」

甘さを含んだ優しい声が響く。

黒い猫目が、私の視線を捉えた。

スラリと背の高いその人を見た瞬間、私の胸が高鳴った。

細身で驚くほど整った顔立ちの青年だ。

年は同じくらいだろうか。

「こんにちはー、この間話した友達連れてきましたー」

リンゴがニヤっと笑う。

「どうも…」

「わざわざありがとう、ぜひケーキ食べていって」

「は、はい」

「ここは本当になんでも美味しいよ。あー悩んじゃう!っていうか太っちゃう!」

「じゃあ、交換しようよ。2つ分味わえるしね」

「やったね!何にしよっかなあー?」

席につき、私は柔らかい革のメニューを開いた。

 

 

To be continued…

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