火竜の遷悠   作:通りすがりの熾天龍

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今回めっちゃ短いです。
2000字にも満たない。


不穏な気配

「何だよこれ! 一体何で・・・何でっ!」

「酷いよ・・・こんなのってないよ・・・」

 

崩壊して瓦礫の山となってしまった俺達のギルド。

何がどうしてこうなったのか、俺達には全く分からない。

 

「おぉ、戻ったか二人共」

「じっちゃん!」

 

残っていた地下への入り口からじっちゃんが顔を出した。

俺とハッピーも地下へ入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《幽鬼の支配者(ファントムロード)》が、か・・・」

 

じっちゃんやギルドの皆から顛末を聞いた。

 

「でも、何でこんな・・・酷いよ・・・酷いよぉ・・・ぐすっ」

 

俺の膝の上で泣きじゃくるハッピーを、俺は頭を無言で撫でて慰める。

 

「奴らの狙いは?」

「全く分からん。被害が出たのは夜の間。ギルドに誰も居ない時に起こりおった。何かメッセージを残したわけでもない。これでは只奴らが罰せられる以外のことが起こらん」

 

ギルド同士の抗争は禁止。

当然ギルドの建物の破壊も駄目だ。

・・・相手が何を考えているのかわからない以上、今は警戒を怠らないこと、か。

 

「現状、それ以外には何もできんのぉ」

 

幽鬼の支配者(ファントムロード)》の魔導士にも強力な者達が居る。

まずは向こうのマスターであるジョゼ・ポーラ。

向こうのS級魔導士4人の総称である《エレメント4》。

そして最近入ったばかりな為S級の称号は持っていないが、S級同等の実力を誇る、鉄属性の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)、ガジル・レッドフォックス。

それ以外にも数名、無名の実力者が居るようだが、他は有象無象の弱者らしい。

しかしその人数は妖精の尻尾(ウチ)の数倍とも聞く。

 

「何か・・・嫌な予感がするな・・・・・・」

「それでも、今は動くわけにはいかん」

 

やるせない気持ちを抱えたまま、俺は地下の出入り口から差す陽光を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になって、エルザとルーシィとレビィが帰ってきた。

昨日の朝から泊りがけで仕事に行っていたらしい。

これでギルドに今日いるはずの人間は揃った。

今いないのは長期の仕事に行っている人だけだ。

明日からギルドの建て直しをする予定となっている。

とりあえずこれから数日は複数人での寝泊まりが推奨されることとなった。

俺も例外ではない。

 

「おいナツ、開けていいのどれだ?」

「20年物までで頼むわ」

 

棚を覗くグレイに問われ、答えを返す。

 

「んじゃ、30年物貰うわ」

「オイコラ」

「冗談だって」

 

グレイが選んだワインを開けグラスに注ぐ。

 

「ナツ、こっちはできたぞ」

「いいタイミングだ。サンキュー、エルフマン」

 

エルフマンができたばかりの料理を持ってきた。

 

「ナツ、天体望遠鏡はどこだい?」

「右側の棚の青い取手の引き出しん中。ってかロキお前今用意するのか?」

「飲む前に準備だけでもしておきたくてね」

 

ロキが天体望遠鏡の場所を聞いてきたので教えた。

 

「おいビジター、踊ってないで運ぶの手伝え」

「待ってくれマックス。後10分、いや5分だけ・・・」

「却下に決まってんだろ馬鹿野郎」

 

マックスがビジターを引きずっていった。

 

そんな面子を前に俺は天窓から見える夜空を見上げた。

 

「こんな時に清々しいくらいの快晴だなぁ」

「あい、でも曇りだったらオイラの気分も落ち込んじゃいそう」

 

今頃他の皆も何人かで集まって飲んだりしているのだろうか。

このまま何事もなく終わって欲しいが、そうはいかないのだろう。

と、そんなことを考えているうちに準備ができた。

 

「んじゃ、とりあえず飲むか。あ、ハッピーはオレンジジュースな」

「あい」

「そんじゃ、乾杯」

『乾杯』

 

静かに乾杯をして、俺達は飲み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、凄い数」

「えへへ~、そうでしょ。ここまで集めるの大変だったんだよ」

 

一方、ここはレビィの自宅。

ルーシィは現在彼女の家の大量の本棚を見上げて目を輝かせている。

この家には現在ミラもおり、彼女は料理中だ。

 

「二人共、できたわよー」

 

訂正。今料理が終わったところだ。

ミラが作った料理を置いた食卓を3人で囲み、食べ始めた。

 

そんな折、玄関の扉を叩く乱暴な音がした。

 

「あら? こんな時間に誰かしら?」

「あ、あたし見てくるね」

「オッケー。お願いね、ルーちゃん」

 

 

 

そしてルーシィが玄関の扉を開ける。

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「写真の通り、間違いねぇ。まさか一発目から辺りを引くとはな」

「・・・あの、どちら様、でしょうか・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギヒッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

「ん? どうかしたのかドロイ?」

「いや、なんかあっちの方で妙な光が」

「妙な光? 誰かが魔法でも使ったのか?」

「こんな時間に、か?」

 

「「・・・・・・」」

 

「急いで見に行くか」

「だな。あ、ジェット、悪いけど背負ってってくれ」

「あぁ、わかってるよ」

 


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