今作は【ハイスクールD×F フェストゥム物語】の改訂版となります。
主人公は転生者ではありません。
前作と違う所が少しあるのでご了承下さい。
第1話 出会〜はじまり〜
2146年
人間の言うところの北極ミール〈ポラリス〉が破壊され、バラバラに世界に飛び散った年のことである。
僕はそのミールの欠片である。
それも、ミールの中心核、いわば脳の部分とも言えるコアの前頭葉のような部分の役割を担っていた存在だ。
あの日、あの時僕は、『真壁 一騎』と『遠見 真矢』によって撃ち抜かれ、『皆城 総士』に人間の素晴らしさを、感情を教えられた。
そして撃ち抜かれ、コアがバラバラに破壊された時、僕だけはワーム・スフィアによって虚数空間に転移したのだが…その後、バラバラにされ、力をうまく制御できずに虚数空間に乱れが生じて空間どころか“時間”を跳躍してしまったようなのだ。それに、どうやら此処は自分が存在した世界では無いようなのだ。
空は青紫色で、周囲の森には見たことも無い植物が生えている。
本来なら此処を一刻も離れて人がいる場所でも見つけて人間の観察やら何やらをしたいのだが、
パキ…
この様に僕が触れた物や生物が僕と“同化”してしまったのだ。
これではどうしようもない。
まだ完全にこの新しい体を制御出来ていないのだろう。
もしこのまま人里なんぞに行こうものなら触れた人間を全部“同化”してしまうだろう。それだけは避けなくてはならない。
パキャァン!!
だからこうして“同化現象”を制御して“同化”した後にそれを吐き出す練習をしているのだ。
今では3回に二回は成功する様になった。それに情報についてはこの森の動物達の持ってる情報を読心でなんとなく把握している。どうやらここは冥界というところの様だ。
ん?ということは人里に居るのも人じゃないのか?
ちなみに読心の能力が別に染色体の中にミールの因子がなくてもできるのは、仮説だが恐らくこの並行世界にまで超古代ミールの因子が空間歪曲で流れてきたのだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれからかなり時間が経った。
ここに転移してから大体二〜三ヶ月程度だ。その間に“魔物”やらなんやらが襲ってきたりしたが全部“同化”したり、ワーム・スフィアーを使って倒してしまった。
“魔物”と“動物”の違いは、魔力と言うものを扱えるか扱えないかの違いだそうだ。そのことを考えると、ここが自分達が降り立った【地球】とは違う【地球】のようだ。
そして、最近はめっきり魔物が来なくなった。来るのは小さな動物や比較的大人しい草食動物くらいのものだ。まぁ、この生活には飽きていないので別に構わないのだが…。
それもこれも森の一部を結晶化させてしまったのが要因かもしれないが、何故結晶化させたのかといえば結晶化させた場所の動きなんかがよくわかるからだ。
『皆城 総士』の居た“竜宮島”でも似たようなことをしていたらしい。
「キュッ、キュキュ〜!」
む?どうやらここに大きな力を持った人達が近づいているらしい。動物達の考えや心は読心能力で分かる。
それにしても大きな力を持った人か…どんな人なんだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
サーゼクスside
私はサーゼクス・グレモリー
グレモリー家の長男だ。この森に来たのはここ数ヶ月、森の魔物が人里に降りてきたり数が減ってきていると報告があったのだ。ここの魔物は一体一体がかなり強力で、その上徒党を組んでくる魔物なんかもいる。
もしそんな魔物達を森から追い出せる程の実力を持った人物がいるのなら、近くにある集落がきけんなのだ。
仮にそうでないとしても、四大魔王に変わって、その原因を突き止める必要がある。
「それにしてもセラフォルー、何も君まで来なくても良かったんだよ?」
「いいじゃなーい?最近は息抜きも出来なかったし!それにサーゼクスちゃん一人よりも二人の方がいいと思うんだよねー」
「それもそうだけどね…」
そんなことを話しているとどうやらその原因の場所に近づいてきている様だ。
「うわ〜キレー!」
森の木々の一部が翡翠色の結晶と化していた。それは一部が結晶化したものもあれば木が丸々結晶化したものすらある。
「こんな素敵な景色が見れるなんて…」
「ああ…そうだな…」
ここの神秘的なこの光景に目を奪われながら、私は今やるべきことを思い出す。
「きっとこの近くに何かあるはずだ。探そう」
そう言って私はセラフォルーを見る。
「サーゼクスちゃん!あそこ!」
どうやらセラフォルーが何かを見つけた様だ。
私はセラフォルーが指差す方向を見る。
「……人?」
そこに居たのは、少年だった。
黒く絹の様な髪に白い服を着て、こちらをじっと見ている。その黒い瞳はまるで黒曜石の様に美しい。
「え、えっと…あなたは誰?ここで何をしているの?」
「…………」
セラフォルーが質問するが、少年はその質問に答えずただこちらをじっと見つめている。
だがこの少年…何かおかしい、
人の気配がしない。
悪魔の気配でも、堕天使の気配でも、天使の気配でも、ましてや人間でも龍の気配でもない。
それ以上に、もしもこの少年に私達が挑めば……
確実に死ぬ!!!
超越者とまで言われた私が、負けると確信するほどの力を、この少年は有している。
「………」
スッ
少年はゆっくりと片手を上げてこちらを指差す。なんだ?何が言いたいんだ?
「…………そこ…踏まないで……」
澄んだ美しい声、まるで美の神のような美しい声に、私は完全に心を鷲掴みにされた。
「え?」
セラフォルーは地面を見て、そこに何があったのか気がつく。
「…うさぎ………」
セラフォルーの足元に、うさぎの巣があったのだ。そこを踏んで壊さないで欲しかったのか…
「……なにか用…?」
少年は自分達が何をしに来たのか知りたいようだ。
「私はサーゼクス・グレモリー、グレモリー家の長男なんだ。
ここの魔物が人里に降りたり、数が減ったりしていると聞いて調査に来たんだ。何か知っていることはないかな?」
少年はしばらく考えた後に、こちらを見て話し始める。
「……多分、それは僕のせいかもしれない……生き物と闘ったりもしてたから…でも、別にそんなつもりはなかった……」
なんだかシュンとしている。
何故だか知らないが、いじめている気分だ。胸が痛い。
「い、いや、悪気があったわけじゃないことは分かった!」
「そ、そうだよ!それに魔物が減ったことは別に悪いことじゃないの!」
セラフォルーが私をフォローしてくれる。ありがたい。
「……そう…………」
少年はそれだけ言うと大きな木の幹に座り込んでしまった。
「キュキュッ、キュ〜」
少年が座り込むと木の陰から動物達が現れ、彼に我よ我よと擦り寄る。
「君は何者なんだい?ここの魔物はかなり強いはずなんだ…それを追い払うほどということは、君はかなりの実力の持ち主ということだよね?」
「……そうなの?僕はそんなことは知らないけれど…何かまずいことでもあるの……?」
「いや…特にはないんだが、君は何故人の居るところに行かないんだ?」
「別に…理由はない。ただ最初から此処に居たからからここに居るってだけ…ただ、それだけ…」
最初から此処に居た?この森で生まれたということなのか?
「…それと…これ……」
そう言って少年は地面に落ちていた拳くらいの大きさの石を拾い上げる。
パキパキッ!
「な?!」
石は一瞬で翡翠の結晶と化してしまい、
パキィィンッ!
すぐに粉々に砕け散ってしまった。
魔法を使った様子はなかった。仮に魔法だとしてもあんな魔法は見たことがない。
「……今まで制御できなかった……だから人里に降りたりしたらみんなこうなる……でも、もう慣れた……けど、ここは静かだから……好き……」
なるほど…。今まで制御できなかったからここに居たのか、でもここの生活には不自由は感じていないということか。
「君は…いったいどういう存在なんだ?」
「……これ…」
ザクッ
少年は地面を抉り取り手の平に乗せてこちらに向けてくる。
「…土?」
「……珪素…」
珪素?
つまり彼は珪素で出来ているということか?
「……99%が珪素……」
99%……
ほとんどじゃないか…。
「君は…なにか目的はあるのかい?」
「……特にない…」
少年はそう言ってペタペタと手で押さえて地面に土を戻す。
「ねぇねぇねぇねぇ!!君の名前はなんていうの!?」
いきなりセラフォルーが会話に入ってきて彼の名前を聞く。
「……祝…」
ゆっくりと口を開き、己の名前を告げる
「……ポラリス……」
これが、私と彼の、最初の出会いだった。
如何でしたでしょうか?
前作と変わったところは、【主人公の名前】【主人公が転生者では無いという所】【一部設定】となっております。
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