ハイスクールD×F 蒼穹のフェストゥム   作:HA.KO3

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遅くなって申し訳ない!!

大会だのいろいろな手続きで多忙でございまして、誠に遺憾でございます;^_^A

今回は2話連続投稿とさせていただきます。


閑話休題
第15話 至福〜かずきカレーである〜


 

 

 

 

 

イッセーのリアス・グレモリー奪還後、この世界にいる筈のない人物達

 

【真壁 一騎】

 

【皆城 総士】

 

【遠見 真矢】

 

に遭遇したポラリス。

 

「〜♪〜♪」

 

オカルト研究部の部室で陽気に鼻歌を歌い“とある人物”の膝の上に座り、リスのお腹をグリグリとくすぐる。

 

「…ねぇ…この際だから、【黄金の虚無】がここにいる事は何も言わない事にするわ?レーティングゲームでも朱乃やイッセーを鍛えてくれたわけだし」

 

オカルト研究部部長にして、ここに居る悪魔の主人でもあるリアス・グレモリーは自分の指定席で紅茶を飲みながらまるで独り言のように語り出す。

 

 

「でも!!何であなた達までここに居るの!?

 

 

 

【アルヴィス】!!」

 

 

 

紅茶を置いて机を勢いよく叩く。

 

 

「え?」

 

「なんでって…」

 

「ここに【黄金の虚無】が居るからだ」

 

真矢、一騎、総士の三人の順に答えられるリアス。

 

「私達は彼の守護者であるため、彼の側にいる義務と責任があります」

 

その上ほぼ最年少の皆城 乙姫に指摘されてしまい、完全に怒れる雰囲気ではなくなった。さすがに一回り年下の少女に怒るほどの事でもないのだ。

 

「我々【アルヴィス】は未だ世間に公表されていない。いわば秘密組織のようなものだ。知っているのは各勢力のトップのみ。

それに君は魔王の血族で既に魔王から我々の存在を知らされているだろう?ならば君達の側にいる方が良いというのが、我々が下した合理的判断だ」

 

彼らアルヴィスは自分たちの言わば信仰対象のような存在であるポラリスの側に、誰かを置くべきだと考え、アルヴィスの中でも実力のある三人と【黄金の巫女】である皆城 乙姫をポラリスの側に置いた。

そして、早々に早口で様々な事を述べる総士に、オカルト研究部の皆は渋い顔をしていた。

 

一部を除いて。

 

「まぁまぁ、良いじゃないですか部長。この人達も別に悪い人たちじゃないんですから。それに、辰宮の味方だっていうなら俺らの味方みたいなもんでしょ?」

 

ざっくりと切り捨てるイッセーに、一同は頷かざる負えず、リアスはさらに渋い顔をした。

 

そしてもう一人、

 

 

 

「あの〜…さっきから私凄い見られてるんだけど…」

 

 

陽気な雰囲気を醸し出しているポラリスを膝に乗せた“とある人物(遠見 真矢)”が、恐る恐るといった感じで挙手をする。

 

 

「…あらあら…気にしないでくださいな?

全然ッ!!

これっぽっちもッ!!

羨ましいだとか妬ましいだとか憎らしいだとか恨めしいだとか狂おしいだとかは決して、決して!考えておりませんわ?」

 

 

背後に言葉では形容できない何かを纏わせた朱乃が、辰宮を膝に乗せた真矢に対して微笑んでいた。

 

「なんかごめんなさい…」

 

もう涙目である。

 

そして、この中心となっている筈の人物は…

 

「…かっずきカレー♪…かっずきカレー♪」

 

部室の奥から流れてくる食欲を刺激する香りに釘付けであった。

 

「はい。できたぞ、真壁 一騎特製の【カズキカレー】だ」

 

耐熱皿の上には純白のご飯と焦げ色のルーを掛けてある。具材は牛肉とジャガイモ、ニンジン、玉ねぎのスタンダードでオーソドックスなカレー。

 

「…じー」

 

真矢の膝の上から降り、テーブルの上に置かれたカレーをまぢまぢと見つめるポラリス。

 

「はい、スプーン。熱いから気をつけろよ?」

 

「………」コクコク

 

スプーンでご飯とルーを掬い、口へと運ぶ。

 

 

「……」

 

「どうだ?」

 

俯いたポラリスの顔を伺うように覗き込む一騎。

 

「…おいしい…!」

 

ぱぁ…!と効果音の付きそうなほど良い笑顔で一騎に微笑むポラリス。

 

「そっか!良かった良かった!ほら、皆もあったかいうちに食べてくれ!」

 

いつの間にか、誰にも気づかれぬうちに一騎は全員の目の前にカレーとスプーンを置いていた。

 

「…結構おいしいわね…」リアス

 

「お店で出せるレベルだねこれは」祐人

 

「美味しいです!」アーシア

 

「マジでうめぇ!!」イッセー

 

「…何処かで修行でもしてたんですか?」子猫

 

各々が各々の感想を述べ、()められない()まらないといった風にカレーを食べ続ける。

 

「………」

 

ポラリスは、一足先に食べ終えてしまったようで、空になった何もない皿を見て物欲しそうな顔をしている。

 

「…おかわり…」

 

「ええ!?実は今日は普通の鍋で作ったからあんまり量は作って無いんだ…」

 

「……」ガーン

 

口を開け、ショックを受け項垂れるポラリス。だが、ポラリスは少し不満顔でお腹をさすり…

 

「…足りない…」

 

眉にしわを寄せ口を尖らせて不満を露わにするポラリスは、その場に居たある少女の母性を激しく刺激したのだろう。

そこに、横からスイー…っとカレーの入ったスプーンがポラリスの前に流れてくる。

 

「……」

 

ぱくり、とポラリスは目の前の獲物を逃がすことなくそのままカレーを口に入れる。

 

「あらあらうふふ…よければ私のカレーを食べますか?」

 

「…たべる…!」

 

そう言った瞬間、ポラリスは食べやすい位置である朱乃の

 

 

膝の上

 

 

に乗った。

 

「はぅ!」

 

何やら声を上げ、朱乃が悶絶する。

だが、できるだけ何事も無かったかのようにスプーンでカレーを食べさせる。

 

「…は、はい。あーん…」

 

「…あむ…♪」

 

顔を真っ赤にしながら鼻から愛を垂らす勢いでポラリスにカレーを食べさせる。

 

「…朱乃…?」

 

「どうかしましたか?」

 

「…あーん…」

 

ポラリスが朱乃からスプーンとカレーを奪い、スプーンで掬って朱乃に向ける。

ポラリスからしたらお返しにとの思いだったのだが…

 

「……」

 

「……?…朱乃…?」

 

 

 

 

「………」ブバッ!

 

決壊した。

耐えきれずに鼻から“愛”を吹き出し部室の木製の床を赤く染める朱乃。

 

 

「朱乃ッ!?大丈夫!?」

 

 

リアスが朱乃に駆け寄り、尋常じゃ無い血の量を見て恐る恐る朱乃を抱きかかえる。

ちなみに、ポラリスはすでに朱乃の膝の上から離れ、カレーを片手に疑問を募らせていた。

 

「…リアス……」

 

「なに!?どうしたの朱乃!」

 

「…ふふ……ショタ…最…高…!」

 

そのまま朱乃はガクリと脱力した。

 

「……」

 

リアスも、何も言えずに動けなくなった。

 

「あ、あの部長…?副部長さんは治療した方が良いんでしょうか?」

 

「……いえ、その内回復するわ…ただの貧血みたいだし。ありがとうねアーシア」

 

リアスはまともな思考回路を持ち合わせ、そしてくだらない理由で貧血を起こして気絶した朱乃を治療しようとしてくれたアーシアに心から感謝した。

そして、

 

 

「…ごちそうさま…」

 

 

カレーは無くなった。

そこに、ポラリスの名を呼ぶか細い声が聞こえる。

 

「…辰宮先輩…」

 

塔城 子猫である。

彼女は知る人こそ少ないが、“猫又”と呼ばれる妖であり、その“本能”は限りなく猫に近い。

そしてポラリスは動物にこれでもかというほどに好かれる。それは彼の“同化”した大地と森の匂い、そして溢れんばかりの包容力に起因する。

 

故に、子猫はポラリスの醸し出す雰囲気に本能レベルで好感を抱いており、それなりに懐いてはいた。

ポラリス自身も森の動物とほんの少しだが似通った気配を子猫から感じ取り、たまにお菓子の交換をしたりしていた。

 

「…眠いです…」

 

しょぼしょぼと可愛らしく目を擦り、ポラリスに上目遣いで眠いと言う子猫。

 

「……」ぽんぽん

 

ポラリスは自分の膝をぽんぽんと叩き、空いてますよとジェスチャーをする。

 

「…では、失礼します…」

 

子猫はポラリスの膝…正確には太ももに頭を乗せて目を瞑った。

 

膝枕である。

 

コレは朱乃が先ほどの様な状況下での気絶していたり、諸用により席を外していたりなど、彼女の目を盗んで子猫がよく行う行動である。

 

ポラリスもいつもは自分が子供扱いされるのでこういった風に甘えられる事は滅多になく、頼られるという事に対しては実際嬉しかったりするのだ。

 

「…よしよし…」

 

まるで花でも愛でる様に優しく子猫の頭を撫で、その白く柔らかな髪を梳くポラリス。

 

「………」

 

実は彼女、起きている。

こうしてポラリスに頭を撫でて貰う為に、この様な羞恥に等しい行動に打って出たのだ。

だが、恥ずかしかったのは最初だけであり、何度も膝枕をして貰っていれば顔を真っ赤にしながら寝たふりをする事もなくなった。

 

(…気持ち良い…ずっとこうして入られたら良いのに…)

 

目を閉じて頭を撫でられる感触を楽しみながらポラリスの匂いを間近で感じながら寝たふりを続ける子猫。

 

「くっそぉ…!辰宮のヤツめぇ…なんて羨ましい!!」

 

「イッセー君、僕の膝でよかったら貸そうか?」

 

「ふ ざ け ん な!!!何が悲しくて男に膝枕されなきゃいけねぇんだよ!!」

 

「はは、残念」

 

木場の冗談?に対して、イッセーは拳を強く握って反発する。

 

「う…う〜ん…」

 

朱乃が回復したのか、呻き声を上げて目を擦る。

その瞬間、

 

シュバッ!

 

と子猫はポラリスの膝から飛び起き、目の前にある来客用のお菓子に手を伸ばす。

 

「…あら?また気絶してしまいましたの?」

 

「ええ、しかも血の量は過去新記録じゃないかしら?」

 

朱乃は自分の寝ていた真っ赤な床とこれまた真っ赤な制服を目にして頬に手を当てた。

 

「あらあら大変ですわ。どうやって掃除しましょう…」

 

そうやって小一時間悩んで、結局その血は使い魔になんとかしてもらうのが通例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーきっと…彼らは変わらない。

 

何も変わることなく、そこに居るだろう。

 

それはかけがえのないもので、

 

とても愛おしくて、

 

誰もが望む小さな幸福。

 

そんな時間に、彼らは生きている。

 

 

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