なんか選ばれたらしいから自由にやってみる。   作:★Sprite★

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お久しぶりです、★Sprite★です!

1ヶ月ぶりになってしまい申し訳ありません!

その割にはポケモン要素薄めです(^-^;

そんな感じでよければよろしくお願いいたします!


13話目

ジリリリリリッ!

 

目覚まし時計が鳴り、飛び上がる様に起きる俺。

 

周りを見渡すと、既に起きていたブラッキーとゼニガメ。

昨日はゼニガメ、早々に眠ってたからな…。

 

チルットの起床がさっきの俺にそっくりで少し笑ってしまった。

 

ダンバルとヒトモシも、ぼんやりしながらも目を覚ましたようだ。

 

現在、AM5時。

 

アニメみたいに大事な日に遅刻するようなドジを踏む主人公のような惨事に見舞われる事はなさそうだ。

 

「じゃ、今日もやりますか」

 

寝間着のまま、部屋を出た。

 

 

 

はい、という訳できのみの所に来たんだが。

 

「ラムのみは昨日と同じにしても…、しろぼんぐり、あんたは一体何物?」

 

しろぼんぐりは既にラムの木を追い越し、実もまだ熟しきっていないものの、遠目から見ても数個確認できた。

 

まさかの成長具合にポケモン達も唖然。

 

お前らもあれを見習って成長してくれな、との俺の冗談にそれぞれ『うん、無理』というリアクションをしてた。

 

さてさて、じゃ、やりますか。

 

昨日と同じ通りゼニガメに水を撒いてもらい、チルットに上のきのみを収穫してもらう。

 

昨日と違う所は、

 

「クラシックに疎い俺でも、これは好きだな、賑やかで」

 

BGMとして、『ラプソディー・イン・ブルー』を流すようにしている事だろうか。

 

昨日、空いた時間にネットで調べ物をしていた時、『音楽を聞かせるのは植物を育てる上で大変有効である』との記載があったためである。

 

最初はよく聞いているアニメの主題歌でもいいかとも思ったのだが、いわゆる成功例がクラシックしか無かったのだ。

 

明るい雰囲気、軽いリズム感で、作業も順調に進んだ。

 

「気持ちいい朝だね、本当に。」

 

「ブラ~」

 

共感するように一鳴きしたブラッキーを撫でてやると、作業を再開した。

 

結果はラムのみ×8と安定の収穫量。

 

「さて、ここからもう1つ実験を。」

 

今から、ラムのみを2つ植えようと思うのだが、変化をつけてみる。

 

一方は普通に植えて、水を撒いておく。

 

もう一方も、普通に植えて、水を撒くのだが、仕上げが少し違う。

 

ふと周りに誰もいないか確かめる。

 

俺のポケモン達には、何をやるか知らせているので問題はない。

 

よし、覚悟は決まった。

 

ラムのみの前に立ち、

 

「頑張れ! お前はやれば出来る子だぞ!」

 

「ブラブラッ!」

 

応援した。

 

というのは、植物に対して明るい言葉や励ます声かけ等をすると成長を早めたり、質が良くなったりするらしい、との事だ。

 

とはいえ、やるのは勇気がある。

何も知らない人に見られたら、色々と大変な誤解を生むことになる。

 

何度も実験で成果が出ている様だが、これがポケモン世界のきのみに該当するものかどうか…。

 

とりあえず、やることも済んだので家に戻ろうとして振り向き、

 

「あ…」

 

気まずそうに窓から顔を覗かせたりっちゃんと目が合った。

 

りっちゃんは笑みを浮かべると、そのまま窓を閉めた。

 

「違うから! 俺正常だから! 頭おかしくなってなんかないから!」

 

早速変に誤解されただろう俺は、りっちゃんに説明するため駆け足で家に戻った。

 

 

 

りっちゃんの誤解は解けた。

 

しかし、本当の災難はここからだった。

 

いつも通り、朝のニュースを見るため、テレビの電源を入れて、

 

「…、え?」

 

冷や汗が背中を伝った。

 

りっちゃんや既に起きていた母さんも唖然としていた。

 

画面に映るのは、見慣れたショッピングセンターの入り口前。

 

『T市市役所入り口でありますショッピングセンター『トゥ・ピア』の前からお送りします!』

 

昨日のニュースと同じ女性アナウンサーが生中継してた。

それまではまぁ想定内だ。

 

想定外だったのが、報道陣の数だ。

 

未だかつて、このショッピングセンターの前がここまで賑やかだった事があっただろうか?

 

「祭りなんかより賑やかじゃない? 人気者だね、お兄ちゃん?」

 

「冗談じゃないって…。 あと少ししたら俺があそこに立ってるかもしれないんだぜ?」

 

久しぶりに着るスーツがやけに重く感じた。

 

「職場で見てるから頑張って」

 

「母さん、笑いながら言わないでくれ。てか、職場で見るなよ」

 

Prrrrr Prrrrr

 

俺のスマートフォンからアラームが。

 

「電話…。田口さんからだ」

 

まぁ、十中八九今の状態の件だろうが。

 

『おはよう、和馬君。 今ニュース見てたりする?』

 

「おはようございます、田口『課長』。残念な事になってますね」

 

『和馬君からそう呼ばれると、実感が湧いてくるわね。 この後なんだけど、屋内駐車場の入り口は報道陣がマークしてるみたいでね~』

 

屋外の駐車場にもちらほらマークが入っているらしく、急遽、近くの料理店の駐車場を借りることに。

 

『あとでポケモンと記念撮影よろしく、だって。店主さんからの伝言。』

 

「うわぁ、すっかり有名人じゃないっすか…。」

 

『何だか嫌そうね?』

 

「そりゃ、そうっすよ~。 あんまり注目してほしくないっすわ」

 

『それは無理な相談ね。 作業員の人達に協力取り付けたから、こっそり搬入口から入ってもらえるかしら?』

 

「…こんなハラハラする通勤初めてっすよ」

 

『貴重な経験だと思って、ね?』

 

「分かりました、とりあえず、頑張ります」

 

ふぅ、と一息。

心配そうに見てくる母さんと妹に一言。

 

「朝からかくれんぼして通勤しろってさ」

 

「何があった?」

 

母さんの疑問はごもっとも。

 

「お兄ちゃん、すっかり有名人だね? あとで写メ撮らせて」

 

「却下だ、バカ」

 

さて、行きますか。

 

 

 

「うわぁ、マジか…。」

 

とりあえず、『トゥ・ピア』前を一回素通りしてみるが、減らずにむしろ少し増えている報道陣に対応する市職員の方々が。

 

「ブラ…。」

 

「チル~…。」

 

いつも通り、ブラッキーとチルットを出していたりするんだが、唖然少し引き気味といった様子である。

 

裏に回り、協力者が待っている料理店へ。

 

「着いたから、ボールに戻ってくれな」

 

「ブラブラッ!」

 

「チル~!」

 

頑張れ!と言わんばかりに一鳴きし、体をすり寄せてきた。

 

ありがとよ、何となく緊張解けた気がするよ。

 

見つめ合う俺達。

 

「仲良いんだね?」

 

「!?」

 

声がかけられ、後ろを向くと店主と思われるおじさんに、作業員の方々。

 

「その調子で一息ついたら、記念写真と食事よろしくね?」

 

「あ、了解っす」

 

恥ずかしくなり、そそくさと準備を始める俺に対して、苦笑されてしまった。

 

 

 

「よし、気づかれてない。 もう頭上げていいぞ、坊主」

 

「ありがとうございます、助かりました」

 

「いや、良いってことよ! こっちも映画みたいな事やって楽しかったしよ」

 

『あのカメラマンこっち見て焦ってたよな、お前』

『ち、違ぇし。びびってなんかないからっ!』

 

なんて言って喜びを分かち合う作業員の方々。

 

「まぁ、いきなりこんな事になって慌ててるのは分かる。でもまぁ、ここまで来たんだから腹ァ括って頑張れ坊主!」

 

「ガンバ!」

 

「応援してんぞ!」

 

「ありがとうございます!」

 

後ろから聞こえる応援を聞きながら、中へと入っていった。

中は開店準備で忙しなく動く店員さんが一様にこっちに目を向けた。

 

ギョッとしたが、すぐに朗らかな笑顔で『今日の主役来たぞ!』と声があがり、エスカレーターから見慣れたあの3人が。

「おはよう、和馬君」

 

「おはようございます、田口課長」

 

「お疲れさん、朝からこんなスリルのある通勤した感想は?」

 

「これっきりにしてほしい位疲れましたよ…。」

 

「まぁ、朝からそんな事させられたら、誰だって気滅入っちゃうよね」

 

田口課長、新島さん、姫島さんの3人の登場でホッと一息…つく暇もなく、市役所の職員の方々の前に連れていかれた俺。

 

市長が横につき、俺の方を一瞥した後、前を向いた。

 

「話題になっていたから知ってるとは思うが、今日からT市市役所専属のポケモントレーナーとなった神崎和馬君だ。 和馬君、挨拶を」

 

場が一気に静まり返る。

 

ぶっちゃけ、ガヤガヤしてたさっきの雰囲気のままに挨拶をしてしまいたかった俺。

 

(しゃあない、やるか)

 

「今日からT市市役所専属のポケモントレーナーになりました神崎和馬です! 至らない点もあるかとは思いますが、これからよろしくお願いします!」

 

拍手と共に、暖かい声が。

 

市役所職員記念すべき一日目が始まった。

 

 

 

「和馬君、ネクタイ曲がってるわよ?」

 

「あ、すいません…、って確かこの前受付にいた…。」

 

「覚えててくれたんだ! 石田麻里(いしだまり)よ。よろしくね?」

 

「よろしくお願いします、石田さん」

 

石田さんにネクタイを直してもらい、報道陣の方々が待つ入り口へ。

 

「落ち着いて、ガンバ!」

 

「ありがとうございます、石田さん」

 

胸の前で小さく拳を握り、応援してくれた石田さん。

 

(やっぱり美人がやると違うな…。うん)

 

T市市役所の美人率高くね?とか考えていた俺。

 

既に緊張などなく、こんなくだらない事を考えていられるのはやっぱり。

 

「さぁ、行くわよ」

 

「了解です、田口課長」

 

頼れる3人の先輩方が側にいるからだろうな。

 

戸が開けられ、詰め寄る報道陣の前に出てきた。

 

「神崎和馬と言います! 今日からT市市役所専属ポケモントレーナーとして、頑張っていきます! よろしくお願いします!」

 

まずは自分から。

勢い良く出された言葉は、歓声やシャッター音と共に、カメラを通じて全国に知れ渡る事になった。

 

 

 

「和馬君、インタビュー直後で疲れてるとは思うんだけど、まだ予定は詰まってたりして…。」

 

「…勘弁して下さい」

 

あの後、少々興奮気味の報道陣からの質問攻めに始まり、ポケモンを出す事を促すリクエスト、何度も鳴るシャッター音に注がれる視線。

 

それらを何とか乗り越え、帰ってきた俺を待っていたのは、家族を始めとした親族、友人等からのメール、SNSの着信の数々。

 

大抵は驚いたという内容。

 

しかし多かったのはこれである。

 

『俺でもポケモントレーナーになれるってマジかよ!?』

 

そっちかよ!

確かに、インタビューの流れの中で言ったよ?

 

『まずは、ポケモンの事を皆さんによく知ってもらう事、そしてポケモントレーナー人口を増やしていく事。 実現させるために、微力ながらこの町で頑張っていきたいと思っています!』

 

なんて言った後、ポケモントレーナーについて話をさせてもらったがここまで反響があるとは…。

 

ちなみに、『この町から』を強調する事で遠回しにT市を離れるつもりはないとアピールしてみた。

 

「この後、T市警察署の署長さんと市長と市議会議員の人達で会議になるから」

 

「うわぁ…。俺には一生縁のない響きだと思ってましたよ、田口課長」

 

「これから何度もこういう機会あるかもしれないから、早く慣れる事をおすすめするわ」

 

「マジですか…。」

 

会議か、嫌な予感しかしない…。

背中に流れた汗を感じずにはいられなかった。

 

 

 

会議自体は議会でやるような大それた物ではなく、ミーティングルームでの面談および会議となった。

 

問題はそれで決められた内容。

 

「あの流れで断れる訳ないですって…。 マジか~…。」

 

「何というか、ドンマイ?」

 

「新島さん、変わってくれてもいいんですよ?」

 

「うん、それ無理!」

 

笑顔でサムズアップする新島さん。

 

姫島さんは苦笑いしながら、淹れてくれたお茶を俺の前に置いた。

 

「何か手伝える事があったら、手伝うし、まだ期間もあるから頑張ろう?」

 

「助力感謝っす、姫島さん」

 

「私も手伝うわよ? なんたって和馬君の上司なんだから」

 

「ちょちょちょ、俺を除け者にしないで下さいよって! もちろん俺だって出来る事はやりますよ! 頼むぞ、和馬!」

 

「りょ、了解です」

 

皆が意気込み、俺が落胆しつつも覚悟を決めたその内容。

 

まとめると、次のようになる。

 

・最初の業務は市職員や警察署署員等の人達にポケモンについての指導、講義。

 

・場合によって、問合せがあれば応対、現場への急行の義務あり。

 

ここまではまだ許容範囲内。

 

俺も、『あぁ、この前のコミュニティアプリのフラグ回収しちゃったか~…。まぁ、やるしかないよな…。』位にしか思ってなかった。

 

しかし、だ。

ここからが問題だったのだ。

 

・5月1~3日辺りに、ポケモンについての指導講義を盛岡で行う。 場所は県民会館。 対象は岩手県内の警察官及び役所職員等。

 

この時点でかなり焦っていた俺。

『いやいや、ちょっと待って! 無理っしょ! 俺にはハードル高過ぎっすよ!』

心の中で叫ぶも、現実は厳しく。

 

俺はとどめの一撃を食らったのだ。

 

・最終的には、東京や大阪などの大都市にて指導講義を行う事になりそうである。 また、情勢が安定し次第、日本のトレーナーを集めて、総理大臣との面談及び会議を取り行う事になるだろうとの情報あり。

 

俺の精神がマッハでヤバい件について。

 

そして、コミュニティアプリのフラグが思わぬ力を発揮した件について。

 

帰ってきた後、自分に与えられた机に向かって頭をぶつけてどうしようか悩みだした俺は悪くない。

 

「とりあえずは目の前の事を、だね」

 

「了解です」

 

今まで製造業の作業員をしてきた俺にとって、初めてのデスクワークが、指導講義に使う資料作りとは…。

 

「来週から始まるらしいから、準備しなきゃね! あ、あと明日フィールドワークしたいらしいから、申し訳ないけど用意お願いね」

 

「…大分いきなりですね? 明日は平日ですけど、その辺は「明日のフィールドワーク、上から許可もらったわよ!」…問題なさそうっすね」

「よっしゃあ! 和馬、もちろんOKだよな? な?」

 

3人の期待の視線が向けられる。

 

当然、断れる訳もなく。

 

「明日は動きやすい服の着替えを。どんなポケモンを捕まえたいかイメージしておいて下さいね?」

 

さて、明日のためにも目の前にある仕事に取り組みますかね…。

 

 

 

 

 

 




やっと投稿できました…。

タグにまったり更新とはあるものの、ここまで待たせてしまい申し訳ない限りです!

さて、ここで1つご報告というか、お願いがあります。

ある読者の方から、『感想の一部が利用規約に反しているために削除されている』との報告がありました。

台本形式の感想等、規約を見ると色々と制限がある様です。

是非確認してみてはいかがでしょうか?

自分としても、せっかく書いていただいた感想が消えてしまうのは悲しい限りなので…。

実際、自分の部屋でそれを見て少ししんみりしてしまいました…(--;)

以上の事を踏まえてよろしくお願いいたします!
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