バカとテストと召喚機   作:wasu

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「―――――お前ら、不満はないか!!?」

                『『大ありじゃ!!!』』

一年F組の男子生徒の魂の叫びがこの学校中に響き渡った。

「そうだろう?そこでみんなには俺の、代表としての意見を聞いてほしい」

『おお!?』

これから戦友となる仲間たちに満点の白い歯を見せ、

「FクラスはAクラスに『戦争』を仕掛けてみようと思う」

Fクラス代表、坂本雄二は戦争の引き金を引いた。

分からない方は前話をご覧ください。
それでは 第三話戦争 をご覧ください。



第三話 戦争

Aクラスへの宣戦布告。

それはこのFクラスには非現実的なことに等しかった。

『勝てるわけがない』

『これ以上設備が悪くなるのは嫌だ』

そう宣戦布告して勝てばそのクラスの設備と交換できるが負ければ自分のクラスの設備がどんどん悪くなっていくのだ。

確かにどこの誰が見てもこの差は分かりきっている。

 

 

このIS文月学園は点数の限界がないテストは5年前からだ。

このテストには一時間という短い時間で無制限の問題数でどれだけ点数がとれるのかが鍵となってる。

そのためその強化に特化している能力を持っても簡単に成績を伸ばすことができる。

だがこのクラスはその特化した能力がなく大体の教科が低いため成績も低くなる。

また、この学校は『試験召喚システム』というものがある。

このシステムはテストの点数に応じた『召喚機』を喚び出して『戦争』をすることができる。

しかし、校長の認可が下り、教師の立会いの下でしなければいけない。

この戦争で重要なのはテストの点数というのもあるがもう一つ重要なのがある。

それは『戦略』である。

Aクラスに対してFクラスは相手次第で3人~6人で勝てるかどうかというところにある。

 

「そんなことはないぞ、運良くこのクラスには勝つことのできる要素が詰まっている」

 

圧倒的な戦力差があるにもかかわらず雄二は自信満々に宣言した。

『何を馬鹿なことを』

『そんな夢物語できるはずがない』

マイナスな発言が飛ぶ。

確かにどう頭をひねっても勝てるはずがないと思う。

姫路さんの為と思った僕でもその意見に同感だ。

 

「まぁ待て、それを今から説明してやる」

 

不敵な笑みを浮かべ教壇から見下ろす雄二。

 

「おい、康太いい加減に姫路をスカートの奥にある物体を見ようとするな」

 

「・・・・・・・・!!!見てない」

 

おもいっきり顔を横に振る康太。

 

「は、はわっ・・・・・・・」

 

必死に手を左右に振る康太と呼ばれている男子生徒。

姫路さんがスカートの裾を押さえて遠ざかるがアイツはどうしても見たいらしく畳に顔をつけて姫路さんのスカートを追っていく。

流石だ。

あそこまでして恥を知ることなく低い姿勢で覗き込むのはアイツしかいない。

 

「土屋康太、こいつがあの噂の暁を制する性職者(ムッツリーニ )だ」

 

「・・・・・・!!違う」

 

土屋康太という名前はそこまで有名じゃない。

だが「暁を制する性職者(ムッツリーニ )」という名前は別だ。

その名前は男子生徒には畏怖と畏敬とわずかな希望を、女子生徒には軽蔑を以って挙げられる。

『む、ムッツリーニだと』

『だが見ろ、みんなに見られているのに覗いていることを未だに隠そうとしている』

『ああ、ムッツリという名に恥じない姿だ』

 

「そして次に姫路なんだがみんな姫路のことは大体知っていると思うから説明は必要ないだろう」

 

「え?わ、私ですか?」

 

「ああ、このFクラスの主戦力だ、期待している」

 

もし戦争が行われるようなことがあれば確かに姫路さん以上に頼りになる人はいない。

『そうだ姫路さんがいるんだ』

『彼女がいれば何もいらないな』

『これでAクラスへ対抗できる』

 

「それに木下秀吉だっている」

 

木下秀吉。

学力ではあまり名は聞かないがあることで有名である。

演劇部の天使とか双子である姉のこととか。

『おお!あの木下優子の・・・・・!』

 

「当然だがクラス代表である俺も全力を尽くす」

 

『確かに戦略とか上手そうだ』

『噂によるとあいつも熱出して休んだらしいぞ』

『ということはAクラスの実力を持つ奴が二人いるってことか!』

『おお!!』

だんだんクラスの雰囲気が盛り上がってきた。

いけそうだ、みんなで協力すれば何とかなりそうだ。

 

「それに、吉井明久だっている」

 

・・・・・・・・・シーン

 

最高だった雰囲気パラメーターが最低値まで一気に下がる。

ちぃっ!!

僕の名前は知名度が低い!

ていうか僕の名前を挙げる必要性がないと思うんだけど!?

 

「ちょっと雄二!なんで僕の名前を呼んだのさ!その必要はないよね?!」

 

『誰だよ、吉井って』

『聞いたことないな』

 

「そうか、知らないのか知らないのならそれでいい」

 

え!?何もないってことだよね!?

 

「ただ一つだけある」

 

『なんだ?』

『て言うか一つしかないのか』

僕の心はズタズタ。

誰か助けてくれる人はいないのか。

 

「こいつは俺たちを助けてくれる、《観察処分者》だ」

 

あ、言っちゃった。

言ってはいけないことを堂々と言うなんて普通はしないよ。

『なんだそれ』

『あれじゃねぇか?中学校から高校へ行く際に高校の教師が成績が一番悪い奴を選んでISの設定を少し変えたってやつじゃないか?』

 

「その通りだ、吉井のISは俺の予想ではおそらく『専用機』だ」

 

専用機?

僕のISは専用機なのか?

 

「まぁとにかくだ、俺達の実力を見るためにもDクラスへ『戦争』を仕掛けてみようと思う」

 

こんなに近くにいるのに圭太に届かない僕の思いが歯がゆい。

 

「みんなこの教室に不満だらけだよな?」

『当然だー!!』

「ならば全員ペンをとれ!!出撃の準備だ!」

『おおー!!』

「俺らが目指すのはAクラスのシステムデスクだ!!!」

『うおおおーーーっ!!!』

「お、おー」

 

クラスの雰囲気に圧倒される姫路さんも可愛らしく手を挙げる。

なんだか守ってあげたくなるけど僕は守ってもらう立場なんだよなー。

 

「明久にはDクラスへの宣戦布告をしてきてもらう、無事に大役を果たし帰還せよ!」

 

珍しく雄二からありがたい言葉。

だが一つ気になる。

大役なら自分で行けばよいのでは?

 

「何も心配すんな、俺を信じろ」

 

そうだ。

雄二はジョークを言っても嘘はつかない。

それに信じろって言われたら信じるしかないじゃないか。

 

「分かったよ、僕が使者という大役を引き受けるよ」

 

クラスメイトの歓声と拍手が湧き起こる中、僕は使者らしく毅然とした態度でDクラスへと向かった。

 

                      ★

 

「騙されたぁっ!!!」

命が奪われないために全速力で廊下を走ってFクラスへ飛び込む。

こ、殺されるとこだった!!

Dクラスの男どもが凄い勢いと顔で襲いかかってきたぞ!!

僕が床に仰向けになってぜぇぜぇと息を切らしていると、

 

「やっぱりか」

 

と雄二が平然と言い放った。

おいブッ殺すぞコラァ!

 

「やっぱりってなんだよ!こうなることは予測済みだったってことじゃないか!」

 

「当然だろ、こんなことが予測できない代表は代表じゃない」

 

「雄二よ、少し前から気になっているんじゃが何故Dクラスなのじゃ?段階を踏んでいくならEクラスじゃろうし、一発勝負で行くならAクラスじゃろう?」

 

突然秀吉が口を開ける。

久しぶりに声を聞く。

あ、さっき自己紹介で聞いたんだった。

 

「まぁな、当然だが考えてある」

 

雄二は鷹揚に応える。

 

「どんな考えですか?」

 

「考えりゃぁ分かるだろ、Eクラスは戦う相手でもねぇ」

 

「え?どいうこと?Eクラスは僕らよりも上なんだよ?」

 

成績でクラスを振り分けられているのでEクラスは当たり前だがFクラスよりも成績は上だ。

それなのに戦うまでもないっていうことはどういうことなんだろう。

 

「よく見てみろ、こっちには姫路がいる、姫路と残り数名でEクラスは倒せる」

 

「あーなるほど」

 

「だからEクラスと戦わなくてもいいっていうこと」

 

ここで一つ疑問が湧く。

 

「それならDクラスと正面からぶつかるのは厳しいの?」

 

「ああ、確実とは言えねぇし万が一のことがあったらどうする?」

 

「だったら最初っからAクラスへ行けばいいじゃん」

 

僕の目的はAクラスであって戦いが好きな雄二の目標Dクラスではない。

求めるものが違う。

 

「はぁ?お前バカか?Aクラスには姫路みたいな連中がごろごろいるんだぞ、Fクラスだけ(・・・・・・)で勝てるわけがないだろ」

 

「そうだね、それじゃあDクラスとはなんのために戦うの?」

 

「それを含めて今から作戦について説明する」

 

涼しい風が吹き込むボロ臭い教室で僕らは勝利の作戦に耳を傾けた。

 

                   ★

 

「吉井!木下がDクラスの連中と超電磁バリアが使われているグラウンドで交戦状態に入ったよ!」

 

茶髪の肩まであるポニーテールを揺らしながら駆けてきたのは僕と同じ部隊に配属された島田さん。

こうして改めて見ると、意外と可愛い。

背は高く長身で脚もすらすらとしていて綺麗なのに何かが女性としての魅力に欠けていた。

 

「あ、胸か」

 

「アンタの指と足をきれいに180度反対側に折り曲げるわ」

 

ヤバい!なにかの導火線に火をつけたっぽい。

顔がマジだ。

どうにかしてこの状況から逃れないと。

 

「そ、それより戦争に集中しないと」

 

現在最前線にいるのは秀吉率いる先攻部隊で、僕が率いる中堅部隊はグラウンドの前だ。

しかしここからは戦闘の様子が窺えるように超電磁バリアが張られている特製の透明ガラスがドーム型に配備されていてどんな状況かがわかるようになっている。

グラウンドは東京ドームでいえば3個分にもなる大きさだ。

そう、とても広い、というか広すぎる。

もはやグラウンドではない。

大規模な運動施設だ。

Fクラスである僕たちのISは第一世代型の大量生産機「紅のバハムーン」を使っている。

一方Dクラスは第二世代型の大量生産機「蒼のストライク」を使っている。

ステータスはどちらも五分五分だが多少「ストライク」のほうが機動性が優れている。

部隊長の僕は状況を把握しみんなを導く義務がある。

まずは雰囲気を感じるんだ。

耳を澄ませ戦闘の様子を聞き取るんだ。

 

『さぁ来い!この負け犬がぁ!』

『い、嫌だぁ!鬼の補習は嫌だぁ!』

『鬼?そんなんじゃない、これは立派な教育だ、補習が終わったら趣味は勉強尊敬する人は二宮金次郎といった完璧な人間にしてやる』

『お、鬼だ!だ、誰か助けてぇ――!!!』

 

よし、だいたいの雰囲気は分かった。

 

「島田さん中堅部隊全員に通達」

 

「ん、なに?作戦?」

 

「総員退避、と」

 

「この意気地なし―!」

 

殴られた。

さっきのことも含めておもいっきり僕の股間を殴ってきた。

 

「ぎゃああぁぁーーー!!!!」

 

「いい吉井?ウチらの役目は山下の前線部隊の援護でしょう?アイツらが戦闘で消耗した点数を回復試験で補給するまでウチらが前線を維持する、そんな重要な役目を担っているウチらが逃げ出したらFクラスはあっさりと負けるわよ」

 

島田さんがやけにもっともらしいことを言う。

だがそれよりも僕の股間の回復が追いつかない。

痛い。

腹の底がまち針で刺されるような痛みがくる。

とてもじゃないけど戦えない。

でも確かに彼女の言う通りだ。

僕は戦死ペナルティを恐れていた。

だから逃げようとした。

こんな自分が憎い。

 

「ごめん、僕が間違ってたよ、補習を恐れずに勝つことだけを考えよう」

 

すると前から一人の男子生徒がボロボロになったISでこちらに飛んできた。

 

「お知らせします!先攻部隊が後退を始めました!」

 

「吉井、逃げるわよ」

 

さっきと言っていることが全然違う!

見損なったぞ島田さん!

くるりと回ってFクラスのほうへ歩き始めた。

僕もそれにつられて歩き始めた。

未だにいたい股間に手を置きながら。

嗚呼恥ずかしい。

僕もお婿にいけない。

ふと前を見るとFクラスに配備されているはずの鈴木が走ってきた。

 

「ん?横田じゃない、どうかしたの?」

 

「代表から伝言があります!」

 

胸のポケットからメモを取り出しじっくりと見ながらはっきりとした声で告げる。

 

「『逃げたら命はないと思え』」

 

「全員方向転換!Dクラスへ向かって突撃しろぉーっ!!」

 

気が付くと戦場に向かって走っていた。

だがそれもFクラスの勝利を思ってのこと。

ん?前からこちらに向かって飛んでくる傷だらけの美少女がきた。

 

「明久!援護に来てくれたんじゃな!」

 

なんだ秀吉じゃないか。

うーんなんていうか、やっぱり秀吉はいつ見ても可愛い。

 

「大丈夫なの秀吉?」

 

「うむ、じゃが「バハムーン」もかなりボロボロじゃわい、今から回復試験に向かうから指揮は任せたぞ」

 

僕はボロボロになった秀吉の召喚機を見上げながら話す。

どうやら点数を減らされただけではなく疲労も溜まってきている。

戦死したら補習室行き。

なんて恐ろしい!

だけど僕はこの部隊の隊長なんだ。

こんなことをいちいち恐れていたらきりがない。

それに今まで痛かった股間の痛みが晴れてきた。

僕は腕輪らしきものにスイッチを入れながら右手を勢いよく挙げ、

 

 

「―――――召喚機召喚(ジンスタッド)!!」

 

 

と大きな声で言い放った。




こんにちは、お久しぶりです。
wasuです。

今回の話はどうだったでしょうか?
面白く書けていたら嬉しいです。

いつもよりも文字数が多くなってしまいました。
感想やアドバイスなど是非投稿してください!
参考にしたいと思います。

それでは次回!『第四話 協力』 です。
お楽しみに!

ではまたソードアート・アライブかこの話の次話で逢いましょう。
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